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ヴォイジャー エピソードガイド
第42話「ケイゾン総攻撃」(前)
Basics, Part I

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・イントロダクション
ロン・スーダー※1の自室。植物の入っている容器を手に取った。それをトゥヴォックにみせ、君は適合しないとあきらめただろというスーダー。小さな植物を見つめ、では遺伝子構造を突き止めたのかと尋ねるトゥヴォック。全く新しい種類のランだ、君の名をとってトゥヴォック・オーキッド※2と名づけたとスーダーは話す。ありがたいが、自分の名前を付けるべきだろう、ミスター・スーダーというトゥヴォック。命を与えたのは君だというと、君がいたからこそ私は生きているとスーダーは言う。部屋の中には花がたくさん置いてある。融合のおかげだと言った。トゥヴォックは確かに園芸※3に興味を持ったのは私の影響だが、熱心に取り組んだのは君自身の意志だ、特殊な才能を開花させたのは努力の結果だといってランの芽を見つめる。人を殺す以外に能のなかった私を変えてくれた、君の名前をつけさせて欲しいと頼むスーダー。そういうことなら、使ってくれというトゥヴォック。スーダーは船のために仕事をしたいと持ち出した。出してくれというつもりはない、もちろん罰は受けるという。だが何らかの形で貢献したいと言った。自室から出ることはできないのに、どんな形でと聞くトゥヴォック。考えたんだが、このランを栽培する過程で開発した遺伝子工学の技術を応用すれば、野菜の収穫量をもっと増やせるかもしれないというスーダー。一理ある、艦長に話してみようとトゥヴォックは言う。許してくれると思うかとスーダーに聞かれ、返事を待て、さあ始めようと言った。手を組むトゥヴォック。目を閉じるスーダー。トゥヴォックが語りはじめる。「心の中を見つめて、そこには未来に対する夢や、過去の記憶がある。それらの思考を全て脇へどかし、命の源である白い光に、神経を集中するんだ。」
亜空間通信を捉えたことを報告するキム。付近に船はないため、発信源を捜す。無人のブイから来ているようだ。おそらくケイゾンの信号ですというキム。ワープから出て、チャンネルを開く。乱れた映像の中に、赤ん坊が映し出された。セスカ※4の声が響く。「チャコティ、あなたの息子※5が危ないの。カラ※6がこの子を見たら。奴らが来るわ。もう時間がない。カラの子供じゃないとわかったら。チャコティ、助けに来て、この子のためにお願い。」ここには入るなといったはずだ、というケイゾンの声が聞こえる。「やめて、この子だけは連れて行かないで。やめて。」通信は途切れた。

※1: ロン・シューダー Lon Suder
(ブラッド・ダリフ Brad Dourif) VOY第32話 "Meld" 「殺人犯スーダー」以来の登場。声: 山路和弘

※2: Tuvok orchid

※3: floriculture

※4: Seska
(マーサ・ハケット Martha Hackett DS9第47・48話 "The Search, Part I and II" 「ドミニオンの野望(前)(後)」のトゥルール (T'Rul) 役) VOY第36話 "Investigations" 「パリスの裏切り」以来の登場。声: 叶木翔子

※5: VOY第27話 "Maneuvers" 「ケイゾンの謀略」など

※6: ジャー・クルーフ Jal Cullah
ケイゾン・ニストリムのファースト・マージ。VOY第11話 "State of Flux" 「裏切り者」など


・本編
作戦室。私には責任はない、よくも助けに来てくれなど、と憤慨するチャコティ。セスカはあなたを知ってる、息子が危険だと聞けばほっとけないことをというジェインウェイ。私には任務があるんです、それを放り出していくことはできないでしょうとチャコティは言う。ジェインウェイはもちろんケイゾン・ニストリムの領域へあなた一人で行かせるわけにはいかない、助けに行くならみんなで行くわという。それもセスカはわかってるでしょうという。罠だと思いますかと尋ねるチャコティに、セスカが生まれた子を利用して、私たちを騙すかって、というジェインウェイ。やりかねないわといった。しかしセスカは産み月を迎えてたし、あの子はカーデシア人と地球人のハーフだというチャコティ。自分の子じゃないと知ったらカラは激怒するでしょう、つじつまはあってる、本当かもしれないとジェインウェイは言った。チャコティは、無視して元のコースへ戻る方が懸命なんですという。元のコースに戻るのは簡単よ、でもその前によく考えてというジェインウェイ。あなたが行きたいって言うのなら、艦隊士官もマキもみんな同意するでしょうという。私もあなたを応援するわと言った。
チャコティはヴィジョンクエストを始めた。川の石を握り締め、祈りの言葉を語る。「ア・クー・チ・モヤ。我々は今聖なる故郷から遠く離れており、祖先の魂からも離れている。私は今悲しみと不安の中にいる。我父の魂よ、私をみつけこの苦しみから救い出したまえ。夢の中に現れ、正しい道を示したまえ。」珍しく悩んでいるようだな、チャコティという声が聞こえた。夜の森の中に、コロパック※7がいた。
チャコティはコロパックのそばに座った。うなずくコロパック。彼は木を積んでいる。息子ができたと話すチャコティ。息子が、それが悩みの原因なんだろう、その子に問題があるのかと尋ねるコロパック。病気だとか、どこかに欠陥があるとかという。そうじゃないというチャコティに、ならめでたいことだという。お前ならきっといい父親になれる、心配するなとコロパックはいった。その子を受け入れるべきかどうかで迷っているというチャコティ。母親が一人で作った子だ、俺は同意してないと話す。しかしもう随分前のことだから記憶は怪しいが、私が協力しなきゃお前はできなかったと思うがねというコロパック。俺の DNA を使って、母親が何の断りもなしに妊娠したと説明するチャコティ。なるほど、それで心からその子を受け入れる気にならないのかとコロパックは言う。当然じゃないかというチャコティに、子供の責任じゃないと言った。母親が裏切って作ったような子供を、どうやって愛せるって言うんだというチャコティ。子供は裏切りなんて知らない、罪はないんだというコロパック。何世紀も昔、この部族の女たちは白人の征服者に犯され、何人もが子供を産んだと話す。だが拒絶などせず、子供たちは種族に受け入れられた。その中には私やお前の祖先もいるというコロパック。名前はセ・アクトル※8。偉大な首長として崇められた。彼も母親の同意なしにこの世に産まれてきたんだ、それと同じことだという。お前の子供とセ・アクトルはどこか違うかと尋ねられ、チャコティはいいやと言った。コロパックはうなずき、お前の子供だ、種族の子孫だといった。
チャコティは我に返った。まじないの道具を片づける。
プレマ2号星※9の鉱山コロニーにいるタラクシア人の仲間に連絡を取ってみました、何かトラブルがあった時にはいつでも呼んでくれっていってますというニーリックス。平均ワープ2なら 40時間は通信圏内だけど、その後は連絡できませんというパリス。それでもやはり心強いわ、ありがとうニーリックスというジェインウェイ。救出活動を始める前に、戦術アレイの点検をおすすめしますとトゥヴォックは提案する。でも戦術だけじゃなく、罠だった場合に備えていくつか奥の手も用意しておかないと、とジェインウェイは言う。キムはディフレクターグリッドをプログラムすれば、援軍が向かってくるように見せかけられますという。ドクターの映っていた画面を失礼といって消し、地図を出した。エコーを利用※10するのねというトレス。おとりの映像を複数発生させれば、敵のセンサーを欺くことができるというキム。ケイゾンは艦隊が来ると思うでしょう、数はいくらでも増やせるという。それでしばらくは注意を逸らせるでしょうね、でも問題は向こうがさらに兵力を増強してきた場合よというジェインウェイ。ドクターの一言よろしいでしょうかという声が聞こえ、映像が戻される。私にとって専門外なので、口を挟んでいいものか迷うんですがというドクター。ジェインウェイは専門外でも提案は大歓迎よという。そうですか、でしたら別の問題でも近々ご提案したいことがありますとドクターはいう。それはそうと、センサー上で敵を惑わすよりホログラムで援軍を作り出した方が効果的でしょうといった。ドクターを医療室から出すことすらできないのに、どうやって宇宙空間にホログラムの船を出すのよというトレス。私は君たちの使う並みのホログラムより遥かに優れている、とはいえ船のような大型の 3次元映像を出すにはちょっとしたトリックがいるというドクター。鏡を使えばいいんだとパリスはいった。人の話を横取りしないで欲しいが、君の言う通りだとドクターは言う。船体に沿ってホロ・エミッターをインストールし、そこにパラボラミラーを付ければ映像を拡大して空間に投射できるという。可能ですがかなりのパワーを消費しますというキム。ケイゾンをだませるならやる価値はあるというチャコティ。トゥヴォックはだませるでしょうかという。ホログラムをスキャンすれば生命反応もパワー信号もないことがわかり、すぐ気づくだろう。長くはもたないけどわずかでも時間は稼げるでしょう、少しでも優位に立つ方法を考えないと、というジェインウェイ。トレスにドクターと組むように命じる。全システムのパワーを最小限に抑え、ケイゾンの長距離センサーにキャッチされないようにする。パリスにはカラの船のワープ信号を追ってワープ2で追うように命じた。解散する。チャコティが私からも一言という。ありがとうといった。
ブリッジ。カラの船ではない、おそらくシャトルでしょうというチャコティ。減速してインターセプトコースに入るように言うジェインウェイ。損傷を受けているかは不明で、呼び出しても応答がない。非常警報発令。映像圏内に入り、スクリーンに出す。浮遊するシャトルが映し出された。生命反応は 1体のケイゾン成人男子。危険な状態だ。医療室に緊急転送に備えるように言うジェインウェイ。スタンバイしますというケスの声。トゥヴォックに非常体制を維持するように命じ、チャコティと共にターボリフトに乗り込むジェインウェイ。
医療室のベッドにはケイゾン人が横たわっている。骨盤を骨折、気管支に重い炎症を起こしてるというケス。シャトルが損傷した際に有毒ガスを吸い込んだんだろうというドクター。ポルモジン※1140ミリを投与。この男を知ってます、名前はティルナ※12、セスカの部下でしたというチャコティ。こいつに拷問を受けたという。ティルナは急に起きてチャコティの肩をつかんだ。そしてセスカは死んだと言った。

※7: Kolopak
(ヘンリー・ダロウ Henry Darrow TNG第25話 "Conspiracy" 「恐るべき陰謀」のサヴァー提督 (Admiral Savar) 役) VOY第25話 "Tattoo" 「天の精霊」以来の登場。声: 筈見純

※8: Ce Acatl

※9: Prema II

※10: エコー残像 echo displacement

※11: pulmozine

※12: Tierna
(John Gegenhuber VOY第27話 "Maneuvers" 「ケイゾンの謀略」などのジャー・スラット (Jal Surat) 役) チャコティが捕まったのは VOY "Maneuvers" より。ただしティルナは登場していません。声: 中田和宏


医療室。セスカはマージを操れると思ってた、これまではうまくいってたが今回は当てが外れたと話すティルナ。俺たちはブイからお前にメッセージを送った、だがそれが見つかりセスカはその場で殺された、カラの目の前でという。俺にも処刑命令が下ったが看守を買収してシャトルで脱出したとティルナは言う。カラはすぐ撃ってきたがその場では殺さずに、シャトルの生命維持システムを破壊して死ぬまで放置しようとしたと話す。子供はどうなったと尋ねるチャコティ。奴隷として育てるためにジーマ4号星※13のコロニーに連れて行かれたというティルナ。じゃあジーマ星系へ案内しろとチャコティは言う。ティルナは助けにいくつもりか、援軍もいないのにという。俺は関わりたくない、ニストリムの領域へは連れて行かないといった。だがこの状況ではお前も一緒にいくしかないだろうというチャコティ。オフィスのドクターに、ティルナの状態を尋ねる。1、2日で立てるようになるだろう、だが安静が必要だというドクター。頭を強打し脊髄を損傷しており、原因は不明だが多血症※14も起こしている。赤血球の数が異常に増加する病気だ。次に尋問する時は、あいつを応答心理分析※15にかけてくれと頼むチャコティ。彼が真実を言っているかどうかは判定できない、ARA は一般的な種族のパターン化された反応を基準としているというドクター。アルファ宇宙域なら誰でも通用するが、デルタ宇宙域の種族は対象外だという。出ていこうとするチャコティに、我々の到着が 1時間遅れたら彼は助からなかっただろう、これだけは紛れもない事実だとドクターは言った。
シャトルに分子変動の痕跡があるのは攻撃された証拠だし、エネルギー信号はケイゾンだから、仲間に殺されたかけたのは本当ねというトレス。それにキャビンには四酸化窒素※16が充満してました、これがケイゾンの作戦だとしたら自分から有毒ガスに飛び込んだことになるというキム。やつの話を覆すような証拠はと尋ねるチャコティに、首を振る 2人。俺は納得できないとチャコティはいった。
地図を指しながら、ジーマまでワープ2で 6日かかると説明するティルナ。4日あれば行けるだろ、そんな回り道をしなくてもテナラス星団※17を突っ切っていけばいいというニーリックス。それじゃ 1日もしないうちにニストリムの艦隊に遭遇する、嘘だと思うならこの領域を知ってるやつに聞いてみればいとティルナは言う。実を言うとね、ケイゾン君、俺はその領域を知ってる、ただ君を試したのさとニーリックスは言った。確かに迂回した方が安全ですよとジェインウェイに言う。安全に決まってるだろ、カラに見つかったら俺の方が危ないというティルナ。それなら確実によけるために、ニストリムのディフェンスネットのコマンドコードを教えてもらおうかというチャコティ。トゥヴォックは現在のコースの戦術概要を表示させた。ティルナはコマンドコード入力、4-9-1-1-7-0-カラ※18といった。地図に新たに情報が表示される。パリスにコースを調整してネットを避けるように言うジェインウェイ。だがまだ安心はできない、これから向かう先にはケイゾンの中でも最も性質の悪いセクトがひしめきあってるというティルナ。いきなり襲ってくるような連中ばかりだと言った。
ブリッジ。船が接近中。信号はケイゾンのもので、非常警報を出す。船の形態は武装した小型艦、破壊力はあまりないが武器システムを起動している。撃ってくるようだ。小さく音がした。シールドは正常。反撃する。敵は攻撃を中止した。12デッキの第2コマンドプロセッサーに軽度の損傷というキム。EPS パワーサプライと、アイソリニアコントローラーが停止したが、負傷者はない。修理班を派遣させ、ほかのケイゾン船がいるか尋ねるジェインウェイ。長距離センサー上にはなく、小型艦は退却していきますというパリス。少なくとも 2時間は襲ってこないだろう。貴重な時間ねといい、非常警報を解除するジェインウェイ。パリスがまもなくタラクシア人コロニーとは連絡が取れなくなることを報告する。今のコースを維持するように命じるジェインウェイ。トゥヴォックはジェインウェイを呼んだ。忘れてないわ、今なら丁度時間があるからというジェインウェイ。2人はターボリフトに乗った。
スーダーは植物の研究に没頭していた。ジェインウェイが来たのに気づき、慌てて椅子を用意するスーダー。気がつかなくてすみません、何かお飲みになりますかと聞く。結構よ、トゥヴォック大尉に聞いたけどよくがんばってるそうねというジェインウェイ。本当に感謝してます、これほどまでに成果を上げられたのは彼のおかげですというスーダー。研究を始めた頃は…としゃべり出すスーダーに、艦長はあまり時間がないというトゥヴォック。すみませんというスーダー。トゥヴォックは君の希望はお伝えしてあるという。あなたの研究の成果について、もっと詳しく聞きたいんだけどというジェインウェイ。お見せしましょう、私は全く新しい遺伝子接合※19技術を使い、特別な酵素を作ったんですというスーダー。それを使えば、異種のかけあわせや品種改良を促進できるという。でもここで栽培室の植物を使った実験などできるのかしらというジェインウェイ。できます、私はここを野菜研究所にしたいんですというスーダー。わずかな野菜と、装置と薬品があればすぐできますという。どんな装置と薬品と尋ねるジェインウェイに、危険はありません、ここにリストを作りましたといってパッドを手渡す。それをみて、前向きに検討しましょうというジェインウェイ。まずケスとトゥヴォック大尉に相談してから答えを出すという。ケスにはもう相談したんです、応援するといってくれましたというスーダー。そう、しばらく考えさせてとジェインウェイは出ていく。信用できないとおっしゃるんですか、私は船に貢献したいんですよというスーダー。わかってるわよというジェインウェイに、だったらなぜこの場で答えを出してくれないんですかと怒鳴る。トゥヴォックが抑える。私は船の役に立ちたいだけなんですとスーダーはいった。失礼するわといってジェインウェイは出ていった。しばらくスーダーを見つめ、トゥヴォックも続いた。

※13: Gema IV

※14: polycythemia
TOS第65話 "For the World Is Hollow and I Have Touched the Sky" 「宇宙に漂う惑星型宇宙船」では多血球血症 (異種多血症、xenopolycythemia) が登場

※15: autonomic response analysis
無意識の生理的要素の試験で、証人の信頼性を評価するために法の執行で使用される。VOY第8話 "Ex Post Facto" 「殺された者の記憶」でも使用

※16: nitrogen tetroxide

※17: Tenarus cluster

※18: 保安アクセスコード (secutiry access code)、"4-9-1- 1-7-0- Cullah"

※19: gene splicing


ヴォイジャーは再びケイゾン船の攻撃を受けている。艦長日誌、補足。度重なるケイゾンの攻撃にも深刻なダメージは受けてないが、毎回必ず右舷腹部を狙われ、第2コマンドプロセッサーの修理が困難になっている。
怪我の方は順調に回復しているんだが、なぜいつまでも多血症が治らないのかがわからないというドクター。医療記録を見ても過去に血液の病気はしていないんだがという。遺伝病ということも考えられる、両親がかつて…というドクターに、俺の両親はトレイブの攻撃で死んだ、俺が産まれてすぐにというティルナ。なるほど、それならしばらく様子を見る必要があるというドクター。我々のセンサーでは感知できない化学物質のせいかもしれないし、シャトルで吸い込んだ有毒ガスが原因とも考えられるといいながら、トリコーダーで調べる。ティルナはそれをよけ、保安部員に付き添われて医療室を出ていこうとする。そこへチャコティがやってきた。もういいのかと聞かれ、おかげですっかり回復したというティルナ。長居はしたくない、ジーマコロニーに着く前に逃げ出さないと、という。まだ勝ち目はないと思ってるんだな、ここまでは簡単に撃退してるんだぞというチャコティ。ニストリムが本気でかかってきたら、かなうわけがないというティルナ。チャコティは今もニストリムを誇りに思ってるのか、殺されかけたのにという。俺を椅子に縛り付けて殴った時のお前の目には、不敵な光があったという。今も同じ目をしてる、それが俺は怖いと言った。震え上がらせるのは簡単だなというティルナ。チャコティはティルナの首をつかみ、壁に押し付けた。ケイゾンの攻撃は決まって右舷腹部に集中してるが、何か狙いがあるんじゃないのかと聞くチャコティ。知るわけないだろというティルナに、もし知ってて嘘をついてるとわかったらという。ドクターが医療室でそんなことをするな、と止めた。警報が鳴る。チャコティは手を放し、ブリッジへ向かった。
フェイザー発射、推力を 2分の1に上げる。やはり右舷腹部を狙って来ている。シールドが回復していないため、このままでは第2コマンドプロセッサーにさらにダメージが及ぶ。コンピューターが 12と 15デッキのセクション A-4 から C-18 に火災が発生と報告する。消火班が対処してますというキム。なるべく左舷前方を敵に向けるようにして、右舷腹部を見せないようにというジェインウェイ。やってはいるんですがというパリス。右舷フェイザーを連射。敵は退却していく。非常警報解除。被害は 12デッキがひどい。恐らく修理が終わらないうちにまた襲ってくるというチャコティ。負傷者は出ていませんが、第2コマンドプロセッサーは停止したままですというキム。何とかしないと、攻撃を受けなければ 2日で直せるという。なぜどのケイゾンも申し合わせたように同じ攻撃パターンを取るのか、しかもなぜ重要でない部分に集中するんでしょうというチャコティ。わからない、まるで鳥の群れに突つき殺されるみたいというジェインウェイ。このままのコースでいったら敵の思うつぼですよというチャコティに、そうね、プランを練り直さなくてはという。パリスに反転するよう命じた。トゥヴォックにミスター・ティルナを監禁デッキに閉じ込めておけというチャコティ。
ティルナが部屋に入る横で、ニーリックスが容器を運んでいる。保安部員がドアを開け、中に入った。スーダーが暗い部屋の中にいる。保安部員をちらりと見て、ディナーだよ、スーダー君、最高のレオラの根っこ※20のスープだというニーリックス。しばらくの無言の後、腹は減ってないというスーダー。ニーリックスは警報が鳴っていることに気づいた。いかなきゃ、ここにおいておくからといって容器をテーブルに置く。よかったら食べてといい、出ていく。
何隻と尋ねるジェインウェイに、大型の空母が 8隻、信号はケイゾンですというトゥヴォック。反転するのを待ち構えてたようですねというチャコティ。遭遇時刻は 8分後。カーデシアの古典的な戦闘隊形を組んでいる。トゥヴォックは奇妙なことに逃げ道を残していますという。確かに奇妙だわ、逃げ道の先に何があるのかはわからないけど、いいことじゃないことは確かねというジェインウェイ。パリスに敵の先頭艦のインターセプトコースに入るように命じた。戦闘体勢をとる。

※20: leola root
ビタミンとミネラルを豊富に含んだ、味の苦い黄オレンジ色の塊茎。VOY第11話 "State of Flux" など

遭遇予定時刻を聞かれ、3分10秒後です、光子魚雷分くらいの誤差はありますがというパリス。キムはパネルを操作し、エコーの準備ができましたという。大群を送り出してというジェインウェイ。ディフレクターグリッド起動、ヴォイジャーの後方から新たに船のエコーが現れる。タラクシアの信号をもつ船が 10隻、向こうのセンサーも捉えているはずだ。4隻のケイゾン艦の戦闘隊形が崩れた。餌に食いついたというチャコティ。依然として 4対 1だわというジェインウェイに、8対 1よりずっといいという。遭遇まで後 2分。
機関室に連絡を取り、トレスが準備はできていますと答える。ホロ・プロジェクターは全てオンライン、いつでもタラクシアの船を 3隻出せる。後 1分半よ、スタンバイしてと命じるジェインウェイ。通信をつないでいるドクターは、もう一度システムチェックをした方がいいんじゃないかと勧める。既に 2度もしてるというトレスに、ホロジェネレーターをこんな風に使うのは初めてだ、パワー入力を増やすべきだという。でも補助動力は全て防御システムに回さなきゃならないのというトレス。一度実験を…というドクターにトレスは向き直り、ドクターと言った。任せるよ、君を信じてる、うまくいくさというドクター。
飛行経路にランダムに機雷が設置されている。シールドは正常、被害なし。ジェインウェイは魚雷を無駄にしないため、撃ち返さないように命じる。遭遇まで後 30秒、ワープ脱出。通常エンジンに切り替える。全武器システム起動、フェイザースタンバイ。右舷前方 1万キロメートルにケイゾン艦接近。まだ撃たない。距離 6千キロ。5千、3千、2千。発射。巨大なケイゾン艦に応戦するヴォイジャー。回避パターン、ベータシークエンス開始。さらに 2隻のケイゾン艦が接近中。シールド 90%。
その頃ティルナは、自室で呪文を唱えていた。ジェインウェイはトレスにホロ・プログラム起動を命じた。起動させるトレス。ヴォイジャーの近くに新たに船が現れた。ケイゾン艦はその船にも攻撃している。さらにもう 1隻、ホログラムの船が現れる。
3隻目を出すトレス。だがモニターのドクターの映像が消えた。宇宙空間にドクターの姿が現れる。助けてくれと叫ぶドクター。敵の攻撃がドクターをかすめる。姿が消え、医療室のオフィスに戻った。無事なのというトレスの声。だからもう一度システムチェックをした方がいいといったろというドクター。ため息をつく。
真正面にケイゾン艦 4隻、だがホログラムのおかげでターゲットは分散している。光子魚雷準備、装填。回り込んで 4隻目の船を狙うように指示するジェインウェイ。1号魚雷発射。敵艦の後部に命中する。面舵一杯、回避パターンラムダシークエンスを指示。さらに 2発を発射する。ケイゾン艦は爆発した。
ティルナは足の親指の爪をはがした。そこから、小さな針を取り出す。シールドは 85%を保ち、14デッキに軽度の損傷。旋回。魚雷準備、散開パターンシエラ。発射。
ティルナは針を右腕に刺した。叫び声を上げるのと同時に、体が膨れていく。気づいた隣室のスーダーはとっさに身を伏せた。爆発。壁が吹き飛び、外にいた保安部員も巻き込んで炎は通路を伝っていく。ブリッジでも第8デッキで大規模な爆発が発生したことをキムが報告する。主要プラジマコンジットを消失した。第8デッキ、ティルナの部屋があるというチャコティ。被害対策班を急行させるトゥヴォック。全艦のパワーが低下。ホログラムの 3隻の船は消えてしまった。
ホロデッキグリッドのパワーが落ちた、復旧できないというトレス。機関室で爆発が起こった。無事なのというジェインウェイに、はい、でも反応体インジェクターコントロールに被弾したようですと伝えるトレス。ケイゾン艦 3隻は攻撃を集中させていますというトゥヴォック。シールドは 70%から降下中、右舷ターゲットスキャナー停止。回避パターン、ガンマシークエンスを指示するチャコティ。ワープに入るわよというジェインウェイ。だがワープはできませんというトレス。密閉フィールドジェネレーターのバイパス作業中だ。パリスはシャトルで戻り、タラクシアの援軍を呼ぶことを提案する。ジェインウェイはチャコティに操舵を代わらせ、気を付けてとパリスにいった。
攻撃を浴び続けるヴォイジャー。シャトルが発進した。ケイゾン艦の攻撃を受けるシャトル。援護するようにトゥヴォックにいうジェインウェイ。シャトル内では爆発が起こった。ヴォイジャーからパリスへの交信も途切れる。操縦アレイ機能停止、前方フェイザーのパワー停止。シールド 30%、限界ですというキム。ブリッジのコンソールが次々と爆発する。ドライバーコイルアセンブリを損傷、通常エンジン停止。さらにシャトル格納庫から敵が侵入してきた。フェイザー発砲が第5、第6、第7デッキで報告。侵入警報、保安部員を向かわせるチャコティ。ジェインウェイは脱出することに決め、コンピューターに自爆シークエンスの起動を命じた。承認コード、ジェインウェイ・パイ 1-1-0※21。10分後にセット。だが、第2コマンドプロセッサーが破壊しているため、自爆シークエンスの起動は不可能だった。茫然とするジェインウェイ。ケイゾン人がブリッジに入ってきた。トゥヴォックが撃ち返すが、敵が多く反撃される。撃たないように命じるジェインウェイ。ブリッジクルーは一個所に集められた。ヴォイジャーは完全にケイゾン艦に囲まれた。

※21: 保安アクセスコード "Janeway pi 1-1-0"

ケイゾンに周りを囲まれ、座らされているクルー。ジェインウェイはマージ・カラと話させてという。聞こうじゃないか、艦長といってカラ※22がブリッジへやってきた。後ろには赤ん坊を抱えたセスカもいる。あなたの息子よ、目があなたに似てるでしょとチャコティにいうセスカ。でも地球人の貧弱な額を受け継がなくて良かったという。両親の不仲を知らずに育ってくれればいいんだがなというチャコティ。余計な心配は無用だ、俺が我が子として育てるというカラ。自分の部下を強姦するような男に、息子をもつ資格はないという。チャコティはセスカがそういったのかと聞くが、カラは無視してこの子はニストリムの兵士にする、今回の戦いでも重要な役割を果たしたからなという。これからのことを話し合いたいというジェインウェイを、カラは殴り倒した。チャコティたちが受け止める。お前はケイゾンの女よりも低く扱われる、今やこの船と技術は俺のものだというカラ。俺がいいというまでは口を開くなといった。クルーは殺さないで、私に従っただけよというジェインウェイ。お前はこいつより手におえんと言い、セスカを指差すカラ。お前らの宇宙域の女はどうなってるんだ、こいつは部下の前で俺に意見するんだからなと言う。女の分際で主人であるマージを平気で侮辱する、お前らのせいだといった。女を付け上がらせるからだと言うカラに、心から忠誠を誓ってるわと言うセスカ。いやに暗いな、誰か明かりを点けろと命じるカラ。修理に取りかかれ、できるだけ早くハノン※23星系に向けて出発したいと言う。ハノン星系に何があるんだと聞くチャコティに、新しい家よと言うセスカ。ケイゾンに貨物室にほかのクルーも一緒に閉じ込めるように命じた。ブリッジを出されるクルー。さよならチャコティ、この子のことは心配しないでとセスカはいった。泣き出す赤ん坊に、お腹が空いたんでしょという。
機関室や食堂、医療室のクルーたちも貨物室に連れて行かれる。ドクターは身を隠しながら、医療用ホログラムの自動リコールを 12時間後にセットした。姿が消える。スーダーの部屋は空だった。全員貨物室に入れられた。
主要個所の修理は終わりました、連邦のクルーも集めましたが 2名が見当たりませんと報告するケイゾン人※24。シャトルがなくなっていますという。あれは発進した直後に撃墜したと言うカラに、確認したと尋ねるセスカ。わかった、ほかの船に捜索班を送らせてシャトルの撃墜を確認させろと命じるカラ。それらしき残骸が見つかっても安心しちゃだめよ、ワープの痕跡がないか調べさせてとセスカはいう。カラは無言で手を挙げ、部下に指示した。
ヴォイジャーは惑星に到着した。大気用スラスターをスタンバイさせるカラ。大気圏に突入するヴォイジャー。着陸準備、スクリーンに地表の火山や溶岩が映し出される。着陸用スタンドを出す。環境整備装置準備。何もできずにいる貨物室のクルー。ヴォイジャーは着陸した。エンジン停止、スラスター排気確認。笑い出すカラ。セスカも微笑み、息子を見つめた。
地上に降りたクルーたちは、フェイザーやコミュニケーターをケイゾンに取り上げられる。技術を独占しようとした奴らには、ふさわしい場所だろとジェインウェイにいうカラ。だが生き残れるかな、技術なしでといった。ケイゾン人たちはヴォイジャーへ戻っていく。行きましょう、まず飲み水と避難所を見つけなきゃというジェインウェイ。クルーもそれに従い、歩き出した。
クルーをチームに分けて、あなたたちをリーダーにするわというジェインウェイ。希望を失わないように言い聞かせて、助けがくるまで生き延びないと、と言う。本気で誰かが来てくれるって信じてるんですかと言うニーリックス。あなたはムードメーカーでしょというジェインウェイ。ニーリックスは助けはきっと来るぞと叫んだ。もしかしたらトムは脱出したかもと言うキム。ジェインウェイはとにかくクルーに希望をもたせて、それが一番重要な任務だと言う。それに水を見つけることと、寝場所を見つけること。崖の下のような壁のある所がベストだと言うチャコティ。食物と燃料、基本的に必要なものを探しましょうと言うジェインウェイ。チャコティは工具や武器として使えるものも探すように命じる。2時間後に集合する。チームに別れよう、おそらくすぐに日が沈むだろうと言うチャコティ。標準的なサーチパターンアルファ※25で探索にあたる。チャコティとトレスに一緒に来るようにいい、アルファチームはここよというジェインウェイ。ベータチームはトゥヴォック、ガンマチームはキム、デルタチームはニーリックスのところに集まる。
地面が揺れた。地震活動が盛んなようねというジェインウェイ。Mクラスの星ではありますが、進化の途中なんでしょうと言うチャコティ。数百万年前の地球に似ている。音がし、ジェインウェイたちは振り向いた。ヴォイジャーが離陸体勢に入っている。近くの洞窟に、巨大なヘビのような生き物がいることには気づいていない。トレスはジェインウェイを呼んだ。こちらの様子をうかがう、原住民がいる。ヴォイジャーはゆっくりと高度を上げはじめた。
カラとセスカは勝ち誇った顔でブリッジに座っている。着陸用スタンドが収納される。クルーたちはその様子を遠くから見ている。医療室ではドクターが再起動された。スーダーは自室の換気孔に隠れていた。ヴォイジャーはジェインウェイたちの上を過ぎ、空高く上っていく。見えなくなったヴォイジャーの後を、みつめ続けるジェインウェイ。

※22: (アンソニー・デロンギス Anthony DeLongis) VOY第30話 "Alliances" 「平和協定」以来の登場。声:立木文彦

※23: Hanon

※24: (Scott Haven DS9第95話 "To the Death" 「戦士の宿命」のヴィラカラ (Virak'kara)、映画第8作 "Star Trek: First Contact" 「ファースト・コンタクト」の保安部員役)

※25: alpha search pattern


・To Be Continued...
・感想
ヴォイジャー第2シーズンの締めくくり、そしてパイロット版以外では初の前後編エピソードになります。さすがに迫力のある内容、これまでのケイゾン・セスカ関連の締めくくりという感じですね。それにしても後編へ引き継ぐファクターが多すぎるほどありますね^^;

さて、これでヴォイジャーのLDボックス、セカンド・シーズン Vol.2 の内容が終わりました。これから前後編エピソードは完全版エピソードガイドにしていく予定です。お気に入りエピソードを 3つ選ぶと…
    "Death Wish" 「Q1, Q2」 (やはり Q が出てくるのは外せません)
    "Lifesigns" 「ドクターの恋」 (ドクター中心、そして最後のシーン)
    "Deadlock" 「二つのヴォイジャー」 (頭がこんがらがる楽しさと、意外に手強いヴィディア人)


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