PS/55note N27sx (5527-U08)

巨像の如く、初のカラー液晶搭載機。

PS/55noteシリーズとして、初のカラー液晶を搭載したのが、この N27sxです。
初のカラー機にして視認性に優れたTFT液晶パネルを搭載していますが、カラー液晶パネルの透過性の問題から、大きなバックライトの搭載が必要なために信じられないような厚みとサイズの筐体となってしまっています。

 

この画像では判りにくいですが、PS/55"note"と言っているのが信じられない様な巨体ノートパソコンです。
(サイズと重量からして、ラップトップ機に分類する方が、まだマシな気がします。(^^;)

サイズこそ巨大なものの、液晶パネル自体のサイズは10.4インチと、その後のモデルにも踏襲されたサイズとなっているところはポリシーを感じる部分ですが、その他のスペック的は 386SX-20MHz、RAM:2MB、HDD 80MBと、飛びぬけて優れているというものではありません。

それにしても、この筐体の大きさと重量ゆえに、各所の撮影は大変でした。
(調子も決して快調とは言えない状態でしたし・・・)
実際に導入・運用されていたところでは、更に大変だっただろうことは、想像に難くありません。

 

 

N27sxのキーボード。

大きな筐体を生かして(?)、独特の配置となっています。
(トラックボール搭載のためか、所謂「7段目」のキーが右に移動しています)

インジケータ部分の立ち上げ部の形状に、モロに液晶パネルの厚みを見出すことが出来ます 。
もうどうしようもない厚みですね。(^^;

 

 

どうです、この液晶パネルの厚み。(苦笑)

この部分、なんと 3.5cm余りもあります。
今時の薄型ノートとは比べ物にならないサイズです。

カラー液晶搭載機の草分け的な時期の製品ですので、小型化や薄型化以前に「ノートPCの筐体に如何にして搭載するか」という命題の元に本機は登場したと言えます。
パネル自体は16色表示ですが、他メーカーがSTN/DSTNの物が多かったのに対して、本機はTFTパネル故に視認性の良さでは大変評価が高かったようです。

 

 

N27sxには、キーボード右上にポインティングデバイスとしてトラックボールが内蔵されています。

初のカラー液晶機=ハイエンドモデルということで内蔵されたのかもしれませんが、OS/2プリロードモデル(5527-UZ8)にはわざわざ外付けマウスが何故か添付されています。
(常用するには操作性が気になると判断されてしまったのでしょうか?)

実際のところ、この位置は操作性はもうひとつ良くないんかな?って気がしますが、全く使い物にならないという印象はありません。
また、ボタンは 3つありますが、一番小さいボタンはドラッグ操作用のもののようです。
(このボタンを使わなくても、そんなに操作性は気になりませんが・・・)

逆にキーボードは筐体の大きさの割に、あまりキータッチが良いように感じません。

 

 

液晶パネルの映り込みの状況。

量産創生期のカラー液晶パネルということで、表面の映り込みはかなりのものです。
コントラストや輝度調整を甘くすると、映り込みがかなり気になります。

それからコントラストと輝度調整がよく見かけるスライダータイプでなく、音量調節のような回転式になっています。
正に本機の液晶パネルの厚みを如実に示している部分で、今時のノートPCでは絶対に真似の出来ない力技的デザインと言えます。

 

 

液晶パネルを閉じた本機。

上には比較のために PC110を載せていますが、本当にどうしようもなく大きいです。(^^;
でも、完全な箱型筐体のため、ヘタなラップトップ機よりは収納性に優れています。
5535Sの様に立てて収納する方式より、箱型の本機は収納の自由度が高いことは誰の目から見ても明らかでしょう)

 

 

本機の底面。
後端の滑り止めゴムは紛失しています。

何も無さそうですが、左に 2箇所バッテリーパックが組み込まれ、後端右側にはコプロセッサソケットがあります。

 

 

前面は液晶パネルロックつまみのみ、正面向かって左側側面は 2個のバッテリーとそのロック解除つまみが 2箇所あるのみで、以外にもスッキリしています。

ThinkPad220を開発コードネームに準じて「モノリス」と呼ぶことがありますが、本機はその上を行く「巨大モノリス」といったところでしょうか。

 

 

右側面にはフロッピードライブと、見づらいですがモデム/メモリースロットが配置されています。
フロッピードライブは 2モード(いわゆる「PC-98フォーマット」と呼ばれる1.25MBフォーマットFDは未サポート)となっています。

エンブレムは「IBM PS/55note N27sx」と 3段表記になっています。

 

 

背面のコネクタ類。
PS/2、パラレル、シリアル、CRTと、一通りのコネクタのほか、妙な形の拡張コネクタ(MCAバス?)があります。

背面のコネクタカバーは簡単に取り外しできるようになっています。
(大抵のモデルは撓ませて外すわけですが、このコネクタカバーは脱着機構がついています)

 

 

コプロセッサソケットとチルトフットの状態。

本機の CPUは 80386SX-20MHzで、浮動小数点演算機能はオプションとなっています。
これを付加するのがコプロセッサ(80387SX)です。

コプロが有効に機能するにはソフト側の対応も必要で、表計算(Lotus1-2-3なんかには、コプロを有効にする起動オプションがあったと思います)や CADソフト位しか有効に利用できませんでした。
故に、コプロが付いた個体は少なく、コプロ自身も最近はなかなか見かける機会がなくなってきました。

本機では 80387SX-16MHzを組み込んで「オーバークロック」状態ですが、特に問題はありません。
(当然ながら保証外行為になります)

 

 

チルトフットを立てた本機。

本機の重量は約5kgにも達するので、なんだかポキッと折れてしまいそうで頼りなく見えてしまいます。(^^;

 

 

本機はバッテリーパックを標準で2個搭載しています。

透過率が低く、故に強力な光源の必要な初期のカラー液晶搭載機故の苦肉の措置のようですが、それでもこのふたつのバッテリーパックで 1時間位しか稼働時間が無かったようです。

本体の巨大さと重量の問題もあり、これでは外に持ち出してバッテリー駆動でプレゼンテーションに・・・という訳にはいかなかったかもしれませんね、、、

 

 

取り外したバッテリーパック。

12V 1.5AHと、大きさの割に容量は小さいようです。
この辺りも今でしたらかなり容量密度が上がっているところでしょうが、もはやカタログスペック上の駆動時間では「無停電電源が限度」といった感じです。

 

 

右側面のメモリースロット。

蓋はモデムスロットと兼用になっていますが、これだけ図体の大きな本機のこと、わざわざこんな構造にしなくても別のところにメモリースロットを用意できたのでは?と不思議に感じるところです。

メモリーはパリティ有りD-RAMカードによる増設で、最大で 8MBのカードを2枚組み込みできますが、CPUで扱えるメモリ容量(16MB)を越えた容量(本体と合わせて18MB)になってしまうため、超過分の 2MBは未使用領域となってしまいます。

 

 

巨大なACアダプター。
手前の PC110と容積的にはあまり変わらないようです。(^^;

プラグは本機のみの特殊な形状の物ですので、壊れたり紛失してしまうと大変面倒なことになります。
(事実上、本体は使用できないと考えてもよいでしょう)

 

 

本機のCPU性能では、Windows3.1ですら随分と重いOSに感じてしまいます。

人類の歴史を紐解いてみると、理由は色々あるにせよ巨大な構造物や機械が過去にいくつも存在し、歴史に埋もれていったことに気が付きます。
ひょっとすると、本機もそんな歴史の片隅に静かに眠ることになるのでしょうか?

 

 

本機の基本スペック (5527-U08)

CPU    Intel 386SX-20MHz (FPUオプション組み込み可能)  
RAM    2MB Max.16MB (88pin パリティつきD-RAMカード)
HDD    80MB (2.5" ESDI 固定式)
CD-ROM   none
FDD   2mode 内蔵 
LCD    10.4" TFT カラー (640x480 16色 V-RAM:256KB)

セットアップやメンテナンスのポイント

とにかく変わったところの多いモデルです。本体が巨大なので、使うのにも保管するのにも苦労が伴います・・・。

(2001/07/20 記)

 

 

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