ThinkPad 555BJ (2437-JWC)

これが本当の意味の「オールインワン」

今時のワープロ専用機と言うとカラー印刷は当たり前で、モデムが付いていてインターネット接続できるとか、表計算が出来るとか、スキャナも内蔵しているとか、とにかく持っている機能はパソコンと遜色無いものとなっています。
しかし文書ファイルや周辺機器、はたまた機能そのものの互換性が無いといった「汎用性」では、パソコンに軍配が上がります。

それでは、パソコンからワープロ専用機に対するアプローチという視点で考えるとどうなるのか・・・という疑問に対する回答が、 ThinkPad550BJ であり、更にスペックの強化を図ったのが、この ThinkPad555BJ です。

 

tp555bj_1.jpg (11709 バイト)プリンタ内蔵のワープロ専用機がそうである様に、本機はノートパソコンと呼ぶにはかなり大柄な筐体です。

しかし、先代 550BJで残されていた課題を手堅くまとめ、現在でもちょっとした文書作成なら便利にこなすことができる、正真正銘の「オールインワンパソコン」となっています。

550BJはモノクロ液晶で本体サイズに比べてやや小さい(9.5")きらいがありましたが、本機ではDSTNながら表示品質が比較的高いカラー液晶パネル(10.3")を搭載しており、使いやすさが確実に向上しているばかりでなく、デザイン的にもバランスの取れた端正なものとなっています。

tp555bj_2.jpg (8649 バイト)550BJ との目に見える違いとして、TrackPointの搭載が挙げられます。

これにより、基本的に本体外にぶらさがるのは電源アダプターだけで、ケーブルの接続に悩まされることは一切ありません。

tp555bj_3.jpg (5803 バイト)プリンタ部のクローズアップ。

プリンタ部は CANON BJ-10vがベースとなっているようです。
構造上用紙リリースレバー以外の操作部はこの部分に集中配置されており、初心者でも比較的容易に操作部を見つけることが出来ます。

tp555bj_4.jpg (6695 バイト)プリンタ部のカバーを外したところ。
モノクロプリンタですが、実用性は現在でも十分なレベルです。

tp555bj_5.jpg (8999 バイト)給紙の為にキーボードを跳ね上げたところ。

750/755系のキーボード跳ね上げ方式の原型になったと言われているものですが、この様に跳ね上げた状態で固定できる点が違います。

シートフィーダーにより、用紙を予め数枚セットして置いて、連続印刷することもできます。

ちなみにプリンタの仕様は 550BJと変わっていませんが、プリンタモードの切り替えプログラムは厳密にモデルをチェックしています。
(HDDを初期化してモード切替プログラムも消去してしまい、危うくハマりそうになったことがあります。幸い ESC/Pモードになっていましたが・・・)

tp555bj_6.jpg (5717 バイト)取り外したインクカートリッジ。

この純正インクカートリッジは店頭ではなかなか見つけることは難しいですが、互換品(IBMのカートリッジの方が互換品と言った方が正しいのかもしれませんが)の CANONの BJI-101が入手しやすい様です。

tp555bj_7.jpg (3449 バイト)液晶パネルを閉じた状態。

横幅は A4 ThinkPadとほぼ同じですが、奥行きはプリンタの分 4cm近く大きく、省スペースデスクトップ機的位置づけとなっていて、バッテリ駆動は可能ですが、バッテリパックはオプション設定とされています。

tp555bj_8.jpg (6215 バイト)これが 555BJのバッテリーパックです。

550BJは Ni-Cdでしたが、本機では Ni-MHに強化されています。
バッテリ駆動時間は 3時間程度で、本体の機能や大きさの事を考えると、それなりに使える数値です。
(とは言え、これだけ大きく重い機種なので、持って歩くのには腕力が必要ですが・・・)

tp555bj_9.jpg (3930 バイト)背面コネクタカバーを開いたところ。

判りにくいですが、550BJにあったAT拡張バス(右側のフタ)は廃止され、ブランクカバーで塞がれています。

tp555bj_10.jpg (4284 バイト)これまた真っ黒で判りにくいのですが、555BJで AT拡張バスの代わりに装備された PCカードスロット。
(本体を逆さにした状態)

このPCカードスロットにより、重い Windows95でも、汎用性のある運用が出来るのです。

tp555bj_11.jpg (7954 バイト)メモリとコプロソケット。

555BJはコプロソケットを装備している数少ない ThinkPadのひとつで、この画像では Cyrixのコプロを搭載しています。

メモリは16MBのFP-SIMMにSIMM-IDを加工して装着していますが、本機ではメモリーエラーは出ることなく、約15MBのメモリ増設となっています。
なお、残念ながら CPUの仕様上、16MBを越えるメモリ領域は無効となってしまいます。

tp555bj_12.jpg (3206 バイト)FDD側側面です。
FDDとHDDパックが配置されており、写真はHDDのロックを引き出した状態です。

HDDパックは、PS/55note C23Vなどと同じです。

tp555bj_13.jpg (7001 バイト)ACアダプタは、この頃の ThinkPadによく添付されていた物と同形状のタイプですが、ラベルには「5523/2433/2437専用に使用して下さい」と明記されています。

CPUは IBM486SLC2/50MHzと、流石に時代遅れなものとなってしまいましたが、これがなかなかどうして結構使えるのです。
手軽に文書をプリントアウトでき、面倒なケーブル接続も不要で、とても便利です。

残念ながらコスト面の問題(今や手間を惜しまなければ、カラーインクジェットプリンタも 1万円そこそこで買えてしまいます)からか、後継機は途切れてしまったのは残念なところですね。

 

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