ThinkPad X20 (2662-2MJ)

迷ったら、これを買え!!

日頃ノートPCを持ち歩いている方なら、「もう少しコンパクトだったら・・・でも拡張性は欲しいし・・・」なんて思うことはよくあるのでは、と思います。
そんなワガママな要望が叶いそうなモデルが、この X20ではないでしょうか?
以前から気になっていたモデルですが、手に入れて「もっと早く買っていれば・・・」とつくづく感じさせられました。

 

基本的なコンセプトは、「トランスフォーマー」こと ThinkPad570に準じたもので、更にコンパクトなデザインになっています。

液晶パネルは 12.1インチXGAで、ThinkPad240の10.4インチの様な狭さは感じず、ビデオ系は ATI RAGE Mobility-Mを搭載しており、A20p程まではいかないにしても、ちょっとしたゲームならそこそこ動きます。

拡張性と携帯性を両立して、家でもオフィスでも外出先でも使い倒せる万能選手といったところです。
ホームモデルとして i1620が登場したのも納得が出来ます。
問題点も決して無いとは言い切れませんが、それをカバーして余り余る程の機能と使い勝手の良さが詰め込まれています。

 

 

キーボードは一部支障の無い範囲で縮小されているキーがありますが、「これぞ ThinkPad」と感じさせる統一された 7段キーになっています。
i1124/240ではトラックポイントは2ボタンでしたが、本機では3ボタンとなり、スクロール機能が付加されて実に快適になっています。

上段 ESCキー横には、ミレニアムシリーズの共通デザインといった感じの、ThinkPadボタンと音量調節ボタン、インジケータ、そして丸い電源ボタンが並んでいます。

キータッチは個体差もあるとは思いますが、Enterキーが若干バタつく感じがする以外は、大変良好です。
薄い筐体の割にしっかりとしたキーストロークがあるのには、本当に驚かされますね。

 

 

液晶パネルを閉じた本機。
ウルトラベースX2に載った状態なので、少々不恰好なのはご愛嬌です。

本機は部所毎にこまかく材質が違っていて、この液晶パネル上面はチタン複合素材が使われています。
これ以外にも実によく考えて材料を使い分けていて、採算が取れるのだろうか?と心配になってしまいます。(^^;

 

 

本体側には電源ジャック・USBポート・CRT出力・LAN・モデムが、ウルトラベースX2側には電源ジャック・PS/2ポート・シリアル・パラレルポートが配置されています。

従来は本体にレガシーポートを搭載しつづけてきたThinkPadですが、本機では逆転の発想でウルトラベースをポトリに見立てることで、本体のレガシーフリー化を進めています。

 

 

正面から見た本機。

ウルトラベースX2装着時には、本体のサイズがB5ファイルサイズのために妙に背が高く、アンバランスな印象を受けてしまいます。

 

 

ウルトラベースX2には、左側にウルトラベイ2000、右側にフロッピーディスクドライブ(固定式)が内蔵されています。

本モデル(2662-2MJ)にはウルトラベースX2が標準添付されており、ウルトラベイ2000にはご覧の通り 24倍速CD-ROMドライブを搭載しています。
ウルトラベイ2000には、DVD-ROMドライブや CD-RWドライブに交換して柔軟な運用が出来るようになっています。

ThinkPad570では、ドライブベイが左右に配置されていましたが、本機では前面向きデザインされており、(視覚的に威圧感がありますが)メディアの入れ替えや設置スペースの低減に貢献しています。

 

ウルトラベースX2本体。

570のウルトラベースに比べると、あまり使われないと思われる機能(セカンドバッテリーの搭載やジョイスティック端子)を思い切って省略しています。

もちろん 570と同じ様に、ホットドッキング・アンドッキングが可能です。
(少々判りにくいですが、FDD上部中央寄りにアンドック用のグレーのボタンがあります)

 

 

ウルトラベースX2の底面。

570ではウルトラベースに更にポートリプリケーターを重ねて装着するという大技まで出来ましたが、本機ではさすがにそこまでできません。
(このため、底面はロックスイッチ以外は何もありません)

しかし、代わりにウルトラベースX2に代えて、A20/T20系のポトリやドックを共用して装着できるようになっています。

 

 

ウルトラベイ2000 CD-ROMドライブをイジェクトしたところ。

600系や570系のウルトラスリムベイデバイスとの互換性はなくなってしまいましたが、A2x系やT2x系等でも広く互換性のある形態になっていますので、メリットは大きいでしょう。

なお、ウルトラベースX2では、ウルトラベイ2000バッテリーパックは使えないようですので、この点だけは注意が必要です。

 

 

X20本体。
感覚的には T20系の縮小版といった雰囲気です。

240と 570の中間くらいのサイズで、代表的な競合モデルは Vaioノートの Z505系といったところでしょうか。
特にそれほど小さく見えないところですが、ブラックボディ故にコンパクトで非常に引き締まって見えます。

ThinkPadシリーズのポリシーであったプリンタポート等のレガシーポートの内蔵は止めてしまいましたが、故にコンパクトになり、モデムやLANへのケーブルを直結できるという強みがあります。

 

 

X20本体を前方から見てみます。

いいカンジの薄さ・・・というか、何かに踏み潰された(^^;ような薄いデザインです。

 

 

右側面の状態。
中央から後ろに向かってハードディスクスロット、排気穴、そして USBポートと並んでいます。

液晶パネルの厚みが前後で違う点にも注目。

 

 

左側面にはオーディオジャックのほか、CF Type-IIスロットと Type-II PCカードスロットが配置されています。
PCカードスロットを2つ並べるスペースが無い事を逆手に取った CFスロットは、なかなかのアイデアですね。

特に本機は元々モデムとLANを内蔵しているので、通常 PCカードスロットはひとつで間に合ってしまうケースが大半だと思います。
更にCFスロットのおかげでデジカメ等とのデータのやり取りがCFプラットフォームアダプタカードなどを用意しなくてもOKで、これは結構便利だったりします。

 

 

CFスロットとPCカードスロットの実際の使用状況。

PCカードスロットは何の問題もありませんが、CFスロットについては、シャッターが無く、少し奥に引っ込んでいるためにカードの抜き差しがしにくいといった点がやや不満の残るところかもしれません。
(特にウルトラベースX2にドッキングしている状態では、CFカードを抜くのに結構苦労します。(^^;)

なお、CFスロットはType-II対応ですので、ご覧のようにマイクロドライブも使用できます。

 

 

X20の底面。

非常に複雑な形状に見えますが、特に注目すべき点は中央付近にある波型の形状の部分です。
放熱効果を高めるためか、ヒートシンクの様な形になっているところが大変ユニークです。

どことなく A20pに似ていますが、ポトリやドック等のオプションが共通となっているため、装着時の差異をなくすため故の設計のようですね。

 

 

底面メモリスロットの状態。

増設メモリは一般的な 144p/PC-100/SD-RAMにて 256MBまで装着できます。(本体と合わせて 320MB。)

ただ、この手元のX20と、勤務先のX20で経験したのですが、バルクの安いメモリで動作が不安定(OS起動中に保護エラー等で落ちる)という現象を経験しました。
(このため、手元の本機では、純正オプションのメモリを入れています)

個体差の問題なのかもしれませんが、購入の際には気をつけたほうが良いかもしれません。
(メーカーとしては当然ながらメーカー純正オプションとの組み合わせが動作保証範囲というのが原則です)

 

 

本体右側面中央にはハードディスクが格納されています。

脱着は容易で、比較的初心者の方でもハードディスクの載せ換えは簡単に出来そうです。
(自力でのハードディスク換装はメーカー保証外になりますのでご注意ください)

本機(2662-2MJ)搭載のドライブは 10GBの容量で、最近のモデルに比べるとやや少ないと感じるかもしれません。
特にウルトラベースX2無し状態での運用を考慮して仮想CD-ROMドライブソフトを使用される場合や、パワーユーザーにとっては、ちょっと辛い容量かもしれませんね、、、

ちなみに手元の本機に搭載されていたのは、IBMの DJSA-210でした。

 

 

X20のバッテリーパック。

本モデル(2MJ)では、標準で大容量バッテリーパックとなっています。
バッテリー稼働時間は公称値で 3.5時間とまずまずです。

 

 

底面の凸凹具合。

大容量バッテリーがけっこう出っ張っていますが、持ち運びには支障の無い範囲です。

それにしても、この角度から底面を眺めて見ただけでも、無駄なく構成部品を配置することの難しさがひしひしと実感できますね。

 

 

液晶パネル頂部のウルトラポート。

周辺機器が少ないため、なかなか活用できる機会が少なく、少々もったいないところです。

 

 

添付のACアダプタ。
最近のモデルでよく見かけるタイプですが、以前のスリムタイプのACアダプターでも使用できます。

この画像では反射で色が飛んでしまっていますが、3色の IBM表示がちゃんとACアダプタ本体にあります。

持ち歩きにはやや大きい感じがしますので、もう少しコンパクトなタイプがオプションであるといいかな?と思います。

 

 

初心者からパワーユーザーまで、モバイルから省スペースデスクトップ的な運用まで、正にありとあらゆる方向を守備範囲とするノートパソコンは、本機を含めてもなかなか希少でしょう。

ThinkPad220以来、色々な視点からモバイルマシンを開発してきた IBMならではの強力なモデルですね。

ホント、迷ったときにはおすすめはコレですね。(^^)v

 

本機の基本スペック(2662-2MJ)

CPU    Moblile Celeron-500MHz
RAM    64MB Max 320MB(PC-100)
HDD    10GB
LCD    12.1"TFT/XGAカラー (1024x768)
VGA   ATI RAGE Mobility-M AGP (V-RAM:4MB)
CD-ROM 24x (添付ウルトラベースX2のウルトラベイ2000に内蔵)
FDD   添付ウルトラベースX2に内蔵
MODEM  内蔵 56kbps V.90
NIC   100BASE-TX内蔵

セットアップやメンテナンスのポイント

この 2MJは特別モデルのようです。標準でウルトラベースX2(24x CD-ROMドライブ付)と大容量バッテリー、Office2000 Personalが添付されていて、税別で約12万円(!!)でした。
570のコンセプトを引き継ぎ、拡張性と携帯性を見事にまとめあげた X20は、ユーザーの期待を裏切らない変幻自在のモバイルマシンとなっています。

(2001/8/4記)

 

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