【大学】

リーグ戦は昨年の覇者関東学院大が断然リード。箕内主将やスーパーブーツの神辺選手が抜けても、それを補って余りある戦力アップ。春の横浜でケンブリッジ相手に互角に近い戦いを見せた力は相当なものです。選手の全体的なスキル向上と有望な新入生の加入による熾烈なポジション争いで、総合的には昨年度以上の力があるかもしれません。淵上、萩谷、四宮、矢口、吉岡、立川など大学NO1のバックス陣による華麗なオープン攻撃は観客を魅了することでしょう。優勝したことによる気の緩みさえなければ、大本命は揺るぎ無いところです。
二番手グループは大混戦。
昨年は国立にまで駒を進めた日本大学。あの経験が有形無形の財産になったはずです。龍、沢木、古屋という突破力のある選手が抜けた今年はどんなラグビーで挑戦してくれるのでしょうか?
大学選手権で明治をあと一歩のところまで追いつめた法政大学。厳しいディフェンスは今年も健在で、スピード感のある展開ラグビーがより一段とスケールアップできれば、台風の目になりそうです。
パワーラグビーで一世を風靡した大東文化大学。あの初優勝後、徐々に気が緩んでいったわけでもないでしょうが、ここ数年は地盤沈下状態でした。昨年度の関東学院の優勝に刺激されたのか、今年は鏡監督の気合の入り方も違うようです。回りの評価も高く、力だけに頼りすぎるラグビーにならなければかなり期待ができるでしょう。
昨年、大学ラグビー界に爽やかな新風を吹き込んでくれた流通経済大学。チームとしてのまとまりが感じられ、見ていてワクワクするようなラグビーを久し振りに味あわせてくれました。渡辺主将、池田選手など核になる選手の抜けた穴は大きいでしょうが、今年もあのスタイルは健在のはず。初の国立進出のカギは、明治戦で痛感した一人一人のパワーの差をどこまで詰められるか?にかかっているのかもしれません。
今季初昇格の山梨学院大学は、昨年度の流経のようなフレッシュで活力のあるラグビーでファンを楽しませて欲しいものです。またスポーツ界でもまれな、流通経済大学との親子監督対決も興味をひきます。

対抗戦グループはやはり明治大学が一番手。
このチームの問題点は選手のモチベーションとコーチング。日本選手権のサントリー戦で見せたような、フォワードが生きたボールをバックスに供給し、そのボールを積極的に展開するラグビーができれば、関東学院にも引けを取らない力があります。タレント集団を如何にまとめていけるのか?ヘッドコーチに就任した神戸製鋼の加藤氏の腕の見せ所でしょう。
密かに楽しみにしているのが慶応大学。昨年も優勝候補に挙げましたが全くの期待外れ。明治戦、早稲田戦で溜飲を下げたものの、久しく優勝争いから離れていたせいか、選手たちも勝つための戦い方を忘れてしまったようで、なんとも不本意なシーズンになってしまいました。来年に迫った『創部100周年』。ルーツ校としての意地から、"何としても『大学日本一』で記念の年を飾る"ためのここ数年の積極的な戦力補強がそろそろ実を結びそうな予感がします。ただし、万が一、今年優勝して来年不成績に終わるようだと洒落にならないので、今年はせいぜい久方ぶりの国立進出ぐらいまでに止めておきたいところかも?(ウソウソ)
早稲田大学は、例の週刊ポストの事件が何処まで尾をひくのでしょうか?昨年度京産大によって味わった大学始まって以来の屈辱を晴らすために、大御所日比野氏を招聘して再建に賭けたのですが、のっけから腰を折られてしまいました。
コトの真偽や是非は別にしても、選手たちの受けたダメージは計り知れなく、影響は相当なものでしょう。それでなくてもオープン戦での結果は芳しくなく、今年も大きな期待はできないかもしれません。
対抗戦グループは帝京の辞退によって試合数も減ったせいもあり、全体的に盛り上がりに欠ける試合が多くなりそうな気がします。ひょっとすると、早や11月1日の慶明戦が優勝を左右する大一番になる可能性もあります。

関西では京産大がアタマ一つ抜けているようですが、毎度言うように、大学選手権でどこまで踏ん張れるかは、やはり関西リーグでどれだけ厳しい試合を経験できるかどうかなのです。現状から見れば、今年も他チームとの実力差があり、関西リーグを楽々と制覇しそうなだけに、同じ不安があるのは否めません。
昨年度は2位以下が大混戦。近畿大、竜谷大、大体大、同志社が僅差で鎬を削りました。
今年も何処が生き残るかは紙一重。順当ならば往年の覇者同志社が京産大に続くところでしょうが、一度狂った歯車というのは元に戻すのになかなか苦労するもの。早稲田、明治などにもかつて長い低迷の時代がありました。その轍を踏まないためにも、今年は正念場でしょう。

最後に、簡単な順位予想を付け加えておきます。
リーグ戦は、関東学院、大東文化、法政、流通経済、日大の順。
対抗戦は、明治、慶応、筑波、早稲田、日体。
関西は、京都産業、同志社、大体、近畿、龍谷というところでどうでしょうか。
鬼が笑う話までしてしまうと、大学選手権ベスト4は関東学院、明治、京都産業の3チームはほぼ決まり。最後の椅子を残りのチームで争うということなりそうです。
ただし優勝となると、関東学院連覇の確率が60%以上、というのが現時点でのわたしの見方です。
(1998年9月25日 記)

Back