帝京大学 | VS | 東海大学 | ||
33 | 14 | 前半 | 14 | 26 |
2 | TRY | 2 | ||
2 | GOAL | 2 | ||
PG | ||||
DG | ||||
19 | 後半 | 12 | ||
3 | TRY | 2 | ||
2 | GOAL | 1 | ||
PG | ||||
DG |
大会前までは帝京8連覇揺るがずと信じていたが、大会に入ってからの東海の上昇度が凄まじく、直前には全くの5分と思った。 開始から東海FWが炸裂。スクラムで優位に立ち、ボールも近場を攻めて前進。 6分、HO大塚が飛び込んでトライ。G成功で7対0。17分にもスクラムを押し込み、最後はNO8タタフが抑えてトライ。14対0と突き放す。 しかし、さすがに王者帝京。 33分、SO松田の絶妙なインゴールへのキックをNO8マクカランが抑え、トライ。14対7に。38分には、CTB矢富が、ぬかるんだ難しいコンディションにも拘らず、素晴らしいステップで東海ディフェンスを切り裂きトライ。松田のゴールも成功し、14―14の同点で折り返した。 前半の20分過ぎまでは東海ペースだったが、攻め疲れた東海FWがそれ以降やや動きが悪くなり、ギャップが生まれるのが気になった。 勝敗はスタミナ、所謂フィットネス勝負になると感じた。 後半は帝京のパスをインターセプトした東海SH湯本がGラインまで走り切りトライ。Gは失敗するが再び東海大が19対14とリード。 前の準決勝の試合では大差がついたので誰も触れなかったが、野口は結構イージーなキックを外していた。その試合では右に外すことが多く、その意識があったのか、この場面、左に外した。さほど難しくないこのコンバージョンを野口が外したのは、結果から見ると東海にとっては痛かった。 何故なら後の竹山のトライ後の難しい位置からのコンバージョンを帝京SO松田が決め、14点差となった段階で帝京は負ける恐れが殆どなくなったからだ。悪くても同点優勝で、試合運びに余裕が出ることになる。 5点リードされた帝京だが、選手全員の意思統一された動きと全くミスのないパスワークで、一度ボールを奪うと大きくゲインする場面が目立った。 SO松田の状況判断も的確で、時折見せる正確なキックで帝京陣に攻め込む。矢富、吉田と二人がトライを奪い、逆転し26対19と7点差に。 そして、インゴールに蹴り込んだボールを帝京WTB竹山と東海FB野口が追いかける。 どちらが抑えたのか分からない微妙なシーンで、ビデオで見ると野口のほうがグラウンディングしているように思えるこのボールは竹山のトライと認められた。この左隅の難しいキックをSO松田がしっかり決め、33対19と14点差の安全圏に。 東海大は34分にゴール前スクラムを押し込み26―33に。 終了間際にも帝京G前に攻め込むが、クイックからアタックを仕掛けたボールが帝京側に転び、ここで帝京にとっては歓喜の、東海にとっては無念のホイッスルが吹かれ試合終了。 お互いにミスが殆どなく、大学レベルとは思えない最高峰の試合に終止符が打たれた。 勝敗を分けたのは、グラウンディングできていない竹山君をトライと認めたレフェリング。 あらためてビデオで見ると野口のほうがしっかりボールを抑えている。 戸田レフェリーを責める気はないが、あれはどちらとも判断できない(見えない)場面。 タッチジャッジに確認に行ったが、タッチジャッジはどう答えたのだろうか? 全くボールの見えない位置にタッチジャッジはいたはず。ならば、分からないのだからトライとするべきではない。TMOが導入されていれば、しっかり確認できて東海ボールで再開したはず。 TMOがないため、戸田レフェリーにもタッチジャッジにも判断がつかないのであれば、百歩譲って、 競技規則22条の15 「インゴールにおいて、いずれの側のプレーヤーがボールを最初にグラウンディングしたか疑わしい場合には、ボールがグラウンディングされた場所に相対する地点で5メートルスクラムを組み、攻撃側がボールを入れる。」 を適用し、帝京ボールの5mスクラムでの再開が妥当だろう。 (※ Y様、正確なご指摘ありがとうございました<(_ _)>) もちろん、それでも帝京がトライを奪った可能性は高かったかもしれないが。 大学選手権は試合数が多いので全てTMOを導入しろとは言わないが、NHKの中継するカメラがある大事な決勝戦ぐらいはTMOを活用すべきではないか。 あれが正当にジャッジされていれば、試合展開はまた変わっていただろう。 結局、このHPを作り始めた20年前から要望しているTMOが、この大学選手権でも採用されなかったことが勝敗の重要な場面でキーポイントになってしまった。 大学生だからという声もあるようだが、大学生だからこそこの試合に全てを賭けている選手もたくさんいるはずだ。これを最後にラグビーの第一線から退く選手もいる。その人生最後の試合を正当なジャッジで終わらせてあげたいと思うのは私だけではないだろう。 協会には、今一度「選手権決勝」という言葉の持つ意味を深く考えていただきたい。最も残念で悔しいのは、私たち観客やファンよりも、選手たち自身のはずなのだから。 もう一つ言えば、試合終了間際の東海のクイックに対する帝京のディフェンスは、誰が見てもノットテンのペナルティ。 あれを流してはいけない。 戸田さん、全体的には素晴らしいレフェリングだったとは思う。 だからこそ、最後のノットテンはしっかり取って欲しかった。 それにしても、大学生とは思えないレベルの高い素晴らしい決勝戦だった。 ハンドリング、パスワーク、渾身のスクラム、果敢なタックル。ブレイクダウンの激しさ。イージーミスなし。殆どノッコンの無い試合。 大学生にこんな凄い試合ができるとは・・・・・・。 ここ数年の大学選手権、いや21世紀に入ってから、さらに言えば、ラグビー大学選手権史上、最もレベルの高い試合と言ってもよいのではなかろうか。 優勝した帝京大学、8連覇おめでとう。 準優勝の東海大学、負けはしたが素晴らしい戦いぶりだった。 両校の選手に心から敬意を表し、大きな拍手を送りたい。 秩父宮で観戦していたなら、私はずっとスタンディングオベーションをしていたはずだ。 本来ならこの二校とも、トップリーグと戦わせたかった。 勝った帝京がトップリーグ王者にどこまで通用するのか? 期待して観戦したいと思う。 追記:私がこのHPで大学選手権の観戦記を書いたのはいつ以来か調べてみたら、2003年の「早稲田対関東学院」以来で14年振りだった。読み返して驚いたのは、その時もTMO(当時はビデオレフェリーという呼称だった)とノットテンンメートルバックの問題に言及している。14年経っても同じことが問題になるというのは如何なものだろうか? とあらためて思った。 |