1998/11/15
サントリー VS 三洋電機
サントリーVS三洋電機
2714前半2465
1TRY3
0GOAL3
3PG1
0DG0
13後半41
1TRY6
1GOAL4
2PG1
0DG0

長谷川(中央大)FW佐藤(山梨学院大)
坂田(法政大)久米(東洋大)
中村(同志社大)松田(京都産業大)
星川(関東学院大)岩津(大体大)
吉永(天理大)古田(国士館大)
広野(福岡大)フィナウ(HB高)
大久保(法政大)太田(行田工)
オルソン(MB高)ラトゥ(大東文化大)
永友(明治大)HB堀越(早稲田大)
伊藤(明治大)ヴニポラ(トンガ高)
福田(明治大)TB井出(高鍋高)
ウルイナヤウ(MA工科大)古賀(山梨学院大)
沢木(日大)西川(新田高)
青柳(早稲田大)木川(山梨学院大)
吉田(専修大)FB中嶋(日体大)


時間試合経過得点
3分 サントリー、左ラックから右展開。相手ギャップをついて右WTB青柳が走りきり、右隅にトライ。G失敗。
5-0
8分サントリー、右中間20mPG成功。8-0
14分三洋はサントリーゴール前での左サイドスクラムからサインプレー。左WTB井出がカットイン。デイフェンスを突破してゴール下にトライ。G成功。8-7
15分三洋は自陣から積極的に繋いでサントリーゴール前まで攻め込む。たまらずサントリーオフサイド。FB中嶋がチョン蹴りからステップでディフェンスを交わしそのままゴール左にトライ。G成功。8-14
18分サントリー、中央38mPG成功。(ノットリリースザボール)11-14
30分サントリー、左中間25mPG成功。(ノットロールアウェイ)14-14
36分三洋、左中間22mPG成功。(ノットロールアウェイ)14-17
38分三洋は自陣から展開すると右WTB木川が素晴らしいスピードで突破して大きくゲイン、プロップ佐藤がフォロー(!!!)して一度ラックになった後、左サイドをフィナウがタテを突き、再びラトゥがサイドを突破して右中間にトライ。G成功。14-24
HALF TIME
開始3分のあまりにもあっけないトライでサントリーの圧勝かとも思われたが、サントリーのディフェンスが破綻。若いバックスが上手く対応できないのか、一度ターンオーバーされるとバッキングアップがまるでなく、簡単に大きくゲインされる。FB吉田のポジショニングにも問題があるのか?
3分三洋は自陣からSOヴニポラが抜けてWTB木川がフォロー。木川がインゴールにパントを上げ、ディフェンスをスピードで振り切り、自ら押さえて右中間にトライ。G成功。14-31
7分サントリー、中央35mPG成功。(オフサイド)17-31
15分サントリー、中央25mPg成功。(ノットロールアウェイ)20-31
17分 三洋はSOヴニポラが逆サイドにキックオフ。Gライン付近に蹴りこみ、不意をつかれたサントリーバックスが何とかタッチキックで逃れるが、G前5mで三洋ボールのラインアウトに。
三洋はそのマイボールラインアウトからラック。最後はFLフィナウがサイドを突いて右中間にトライ。G失敗。
20-36
19分三洋はサントリーのキックオフボールをキャッチして自陣から展開。SOヴニポラが抜けて絶妙のショートパント。自分でキャッチするとディフェンスを交わし独走、右中間にノーホイッスルトライ。G失敗。20-41
23分サントリーは三洋陣で右オープンに展開。途中交代の右WTB尾関まで回ったところで内へ返したパスを三洋FLフィナウにインターセプトされる。最後はフィナウをフォローした途中交代のSH西岡が中央にトライ。G成功。20-48
26分サントリーは三洋ゴール前のラックからHO坂田、LO星川と繋いで左中間にトライ。G成功。27-48
29分三洋、左中間35mPG成功。(ノットリリースザボール)27-51
31分三洋はサントリーのキックオフをキャッチしてラック。SH西岡がサイドを抜けて、WTB木川へパス。木川独走でゴール下にまたまたノーホイッスルトライ。G成功。27-58
36分三洋はサントリーが左オープンに展開してこぼれた球をWTB木川が素早く拾って右サイドを60m独走。サントリーWTB尾関が懸命にも戻るが及ばず。右隅にトライ。G成功。27-65

感想
すぐお隣の国立競技場では東京国際女子マラソンで白熱したデッドヒートが演じられ、その熱気が伝わって来そうな秩父宮。長袖では暑すぎるほどの陽気の中、まさかまさかの三洋電機の圧勝でした。

開始早々のトライで自分のペースに持ち込むかと思われたサントリーでしたが、一皮むけた三洋の戦い振りの前に、その後は殆ど持ち味を発揮することなくノーサイドを迎えてしまいました。
三洋の勝利に水を差す気はさらさらないのですが、いったいこれほどの点差でサントリーが敗れると誰が予想したでしょうか?

いわきでは日本一の東芝府中が同じような点差でNECに大敗。
このような結果を見ると全体的に東日本社会人大会へのモチベーションが下がっているのではないか?という気がするのです。
つまり目標はあくまでも全国大会、あるいは日本選手権。東日本で優勝しても全国大会や日本選手権で負けてしまっては元も子もありません。(そのうえもし全国社会人大会と日本選手権の優勝チームが異なった場合、どちらが上なのか?という問題まで生まれてくるので尚更ややこしくなるのですが・・・)。

結局最終的な名誉と東日本リーグでの順位とは何ら関係性がないのです。(現行のシステムでは東日本で優勝したってちっとも偉くもなんともないのです。恐らく選手達だってそれほどうれしくはないでしょう。もしこの試合が日本選手権だったらいくらなんでもこんな大差にはならなかったと断言します)。であれば、この大会は勝利に拘らず、あくまでも相手チームの手の内を計りながら自チームの戦力を試し全国大会につなげる、という見方が各チームに生まれてくるのはやむを得ないことかもしれません。 今シーズン、番狂わせや予想外の大差になる試合が多いということもこの可能性を示唆しているように思えます。

関東大学の対抗戦やリーグ戦の在り方と同様、今の社会人大会の在り方も根本的に考え直す時期に来ているのでしょう。4強と下位チームの戦力差が如実に現れている現在、今日の両チームなどは勝っても負けても全国大会には間違いなく出られるのですから。それこそセブンズの大会のように、はなっから一位はカップリーグ、二位はボウルリーグなどという風にグループ分けして、すべての試合の勝敗が最終順位に影響してくるようなやり方の方がまだましでしょう。
このままでいけば、社会人リーグの在り方が問われるのはそう先のことではないような気がします。

と、まあ試合と直接関係ないことはとりあえずここまでにしておきます。

今日の三洋は見ていてとても楽しいラグビーでした。
何処からでも積極的にオープンに展開。それが見事に嵌まりました。特に要所要所でのヴニポラ選手の状況判断は見事。パス、ランニング、キックと三拍子揃った大活躍でした。(小柄で何となく雰囲気が地味なのであまり騒がれませんが、もし彼が日本人だったら岩淵選手や広瀬選手とジャパンの正SOの座を争うような素晴らしい能力を持ったSOだと思います。まあトンガ代表で32キャップも持っているのだからそれも当然といえば当然ですが)

三洋にとっては前半の堀越選手の退場が逆にプラスになったようです。
交替出場したSHの西岡選手がスピード感のある良いリズムを作っていました。三洋電機にも新旧交代の波が押し寄せてきたのでしょうか。
三人の山梨学院勢の活躍も目に付きました。ルーキーのプロップの佐藤選手。第一列とは思えない走力と真面目なフォローにびっくり。久々にうれしくなるような選手を発見しました。まだまだこんな選手が埋もれていたのです。この選手、これからの試合要チェックだと思います。同じくルーキーのCTB古賀選手もしっかりとしたディフェンスを見せていました。

そしてこの日観客を沸かせ続けたWTBの木川選手。
ジャパンの大畑選手を思わせるような超特急の走り(古い…)を披露。そのスピードを80分間維持し続けたスタミナもジャパン入りを充分狙える可能性を示しました。

三洋の快勝に不安があるとすれば「あまりにも手の内を見せすぎたのでは?」という気がすることでしょうか。まあ私の取り越し苦労に終われば良いのですが。
ただし反則の多さは相変わらずのようです。それもかなり露骨な反則(特にオフサイド)が目立ちました。一発勝負の全国大会では気を付けないと足元をすくわれる可能性もあります。

サントリーはどうしたのでしょう。ウルイナヤウ、沢木という軸になるCTBがかなりマークされたこともありましたが、それにしてもお粗末。鳴り物入りのルーキー、FB吉田選手もポジショニングの悪さからディフェンスに手一杯で、「リーグ戦に吉田あり」とまでいわれた大向うを唸らせるプレーとは程遠い出来でした。この敗戦から全国大会(或いは次の東芝戦まで?)にどう立て直してくるのでしょうか?

社会人大会はいかにも企業の応援という家庭的な雰囲気で、大学の試合と違った味があるのは良いのですが、ラグビー場に初めて足を運んだ人も多く、秩父宮が禁煙であることを知らない方もいるようです。(そりゃそうですよね。言われなければわかりませんから)

だからこそ協会はもっと禁煙のアナウンスを徹底して欲しいと思います。(この日アナウンスはあったのでしょうか? 私の耳には入ってこなかったのですが…)
何事も最初が肝心。最初から《禁煙》といわれれば、よほどのヘビースモーカーでもない限り結構納得してくれると思うのですけどね。

試合とはまるで関係ありませんが、バックスタンドに現れた日本代表プロップ、リコーの小口選手が伴って現れた長身の美女を見てビックリ。何とあの早稲田出身、バレーボール元アメリカ代表の堀江ゼッターランド陽子さん(たぶん)でした。(いいのかな、こんなこと書いて…)。
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