1998/12/6
早稲田大学 VS 明治大学ー

早稲田VS明 治
2414前半1427
2TRY2
2GOAL2
0PG0
0DG0
10後半13
1TRY1
1GOAL1
1PG2
0DG0

安藤(1年)FW黒崎(4年)
萬匠(4年)山岡(4年)
正木(4年)石田(4年)
高田(3年)辻(4年)
山崎隆(4年)石井(4年)
大瀬(4年)川上(3年)
井手上(3年)阮(3年)
江原(2年)斎藤(3年)
辻(3年)HB後藤(2年)
福田(4年)森嶌(4年)
西辻(1年)TB山口大介(3年)
山崎勇(4年)山口大輔(4年)
小森(3年)松添(3年)
横井(2年)岩倉(3年)
長井(3年)FB福田(3年)



時間試合経過得点
2分 明治は早稲田のコラプシングの反則からG前10m付近にタッチキック。
マイボールラインアウトをキープ、モールを組んで押し込み、右隅にトライ。G成功。
0-7
3分早稲田のキックオフをキャッチした明治は左ラインに展開。CTBからWTBへのパスを早稲田CTB小森がインターセプトして独走。G下にトライ。G成功。7-7
28分明治FB福田がみずから上げたハイパントを追って、キャッチしょうとした早稲田の選手にデインジャラスタックル。シンビンを受ける。7-7
36分早稲田は明治陣での連続攻撃で大きくゲイン。左隅でペナルティをもらうと素早く右展開。FB長井が抜けてゴール右にトライ。G成功。同点。14-14
HALF TIME
25分明治は早稲田22m陣まで攻め込む。早稲田はたまらずペナルティ。明治はスクラムを選択。NO8斎藤がGライン目前で捕まるが、この時の早稲田ディフェンスがオフサイドで、認定トライ。G成功。14-21
29分明治、中央30mPG成功。(オフサイド)14-24
36分早稲田、右中間35mPG成功。(ライイングオンザボール)17-24
40分明治、PG成功(ノットリリースザボール)17-27
43分早稲田は明治陣での攻撃からSH辻がパスダミーでギャップを突いて大きくゲイン最後は左WTB西辻にパスが通り左隅にトライ。G成功するがここでノーサイド。24-27


感想
技術的にはお互いに問題点も見られましたが、見てる方にとっては非常に面白い試合展開で、なかなかの好ゲームでした。

「真っ当なら明治が少なくとも20点差以上つけて圧勝するだろう」と予想していましたが、想像以上に早稲田のディフェンスが立ち直ってきていました。
前半2分、明治のモールで簡単に押し切られた時は、「このままするずるといってしまうのでは?」と思いましたが、その直後のCTB小森選手のインターセプトがこの試合の流れを決めました。

あのプレーはまさに一か八かの大博打。外していたら逆にあのポジションから明治にトライを奪われかねない思い切ったプレーでしたが、見事に吉と出ました。僅か1分後の同点トライ。早稲田の選手達も思いがけなかったようで、みんな笑みを浮かべていたのが印象的です。

そして28分の明治FB福田選手のシンビン。このチャンスをきっちり生かしてトライに結び付け、同点で前半を折り返したことで、早稲田は「いけるぞ」という気持ちが芽生えたのではないでしょうか?

後半は一進一退。前評判の高かった明治バックスでしたが、インターセプトされたプレーが尾を引いたのか、やや自信のなさそうなパス回しになっていました。
それに対して早稲田の方は、鼻を骨折しながらもグラウンドに復帰した山崎勇気選手の鬼気迫るプレーや、故障で途中交替したものの、ライン際から声を出し続けた正木主将の気迫が伝わったかのように、最後まで全員怯むことはありませんでした。

結局、地力に勝る明治が3点という僅差で勝利を治めたものの、早稲田にすれば満足のいく戦い振りだったのは、ノーサイド後、明治の選手達と握手をする時の表情に良く表われていました。

ただ、『勝敗に対するこだわり』ということでいえば、後半36分、ペナルティをもらった場面でPGを選択したのは疑問です。あの場面ではPGが決まってもまだ7点差。残り時間を考えれば同点がせいぜいの、勝利の望めない選択のはずで、敢えて「引き分けで満足」と考えたのでしょうか?指示を出した山崎選手に聞いてみたい気がします。

厳しいディフェンスと、グラウンドいっぱいにボールを散らし、全員が走るラグビー。完成度はまだまだですが、日比野監督の目指すラグビーの方向性をちょっとだけ(あくまでもちょっとだけ・・・)垣間見た気がしました。(就任当初の「個々のパワーアップが必要」という発言を聞いた時にはどうなることかと思いましたが・・・)

ともあれ、慶応に勝利を治め、明治とは僅差の勝負を演じたことで、奈落の底に落ち込むかと思われた日体大戦から何とか持ち直してきたようです。
"組み合わせに恵まれれば"という条件付きですが、国立の大舞台に復帰できる可能性も出てきました。(ただし総合的な力ではまだ6、7番手の評価ですが)

一方の明治。勝利の後にフィフティーンが雄叫びを上げてましたが、本当に満足できる試合内容だったのでしょうか?
今シーズンの明治の力はこんなものではないはずです。選手達の目標達成意欲が低くなったのか?大観衆の前なので『兎に角カッコ良くアピールすることをしたい』というだけの現代学生気質なのか?よくわかりません。試合後のコーチ陣の苦虫をかみつぶした表情とは非常に対照的でした。

評判の第三列も個人プレーが目立ち、機能していませんでした。
山岡主将のスローインもお粗末です。スポーツ紙には本人の『サインが読まれていたみたいだ』という発言もありましたが、サインなど読まれても、ほとんどリフティングに近いサポーティングが許される現在のラインアウトでは、マイボールの獲得は容易のはずです。将来のジャパン候補にも名を連ねている選手だけに、もう少し頑張って欲しいと思います。

それと、これは両校に言えることですが、レフェリーにクレームをつけすぎます。山岡選手のは明らかにノットストレート。福田選手のパスもスローフォワード。誰か忘れましたが早稲田の選手も完全にオフサイド。それなのに、何故か選手は舌打ちし不満気な表情を見せます。もう少し自分のプレーを客観的に見直した方が良いんじゃないでしょうか?明治のラフプレーと、ボールはとっくに他の選手に渡ってるのに早稲田の選手がいつまでも斎藤選手にしがみついているプレーなどは見苦しいものがありました。

さて、これで大学選手権のチームがほぼ出揃いました。
春先に『関東学院の連覇の確率は60%以上』と断言した私の予想もぐらつきつつあります。関東学院の苦戦の原因は、立川主将を初めとするレギュラーの戦線離脱の影響が大きかったとはいえ、百戦錬磨の社会人と違って、学生の場合は一度負けると『負け癖』がついてその後の試合にも実力を発揮できないことが多々あります。

その意味では、二敗もしてしまった関東学院は本当に大丈夫なのか?やや雲行きが怪しくなってきました。

関西勢に目を転じれば、雨の中、最悪のグラウンドコンディションで近大を完封し圧勝した京産大。今年もかなりの力がありそうです。ただし、昨年も同志社戦で同様の感想を抱いただけに、接戦になった時のゲームプランなどが上手く運べるのかはまだ分からないというのが本音です。

結局、今年の大学選手権は、組み合わせ次第で5、6校にチャンスがある戦いと考えて良いかもしれません。
(組み合わせが決定したようですが、その感想及び予想についてはまた改めて。ちょっと不思議な組み合わせのようですが、参考までに昨年はこんな組み合わせでこんな予想をしていました。比較してみて下さい)

最後に、対抗戦グループの不明瞭な順位決定方法について一言。
いつのまにか早稲田が3位になっていました。当初言われていたはずの『得失点差』というのは何処へ消えてしまったのか?『お互いの話し合いで決める』などと、灰色な、まるで日本の政治のようなことをやっていると、終いにはファンからも見放されかねません。
この際、リーグ戦グループのように、公明正大、きちんとした順位決定方法を採用する必要があるのではないでしょうか? もちろん、大学選手権の組み合わせ自体も。

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