1999/1/17
全国社会人大会 決勝トーナメント
東芝府中 VS 三洋電機
東芝府中VS三洋電機
2814前半916
2TRY0
2GOAL0
0PG3
0DG0
14後半7
2TRY1
2GOAL1
0PG0
0DG0

溝辺(関東学大) FW佐藤(山梨学院大)
薫田(筑波大)久米(東洋大)
中村(筑波大)松田(京都産業大)
釜沢(大東大)岩津(大体大)
安田(専修大)古田(国士館大)
渡辺(日体大)フィナウ(HB高)
臼井(大東大)太田(行田工)
ゴードン(オタゴ大)ラトゥ(大東文化大)
村田(専修大)HB堀越(早稲田大)
島崎(佐賀工)ヴニポラ(トンガ高)
和田(東海大)TB米本(国士大)
小山田(浪速工)古賀(山梨学院大)
マコーミック(Cチャーチ高)西川(新田高)
森田(東洋大)木川(山梨学院大)
松田(関東学院大)FB中嶋(日体大)


時間試合経過得点
1分東芝は三洋陣でのラインアウトからCTB小山田が抜けてWTB和田へ。スピードでディフェンスを振り切り左隅にトライ。G成功。7-0
3分三洋、左中間25mPG成功。(オフサイド)7-3
9分三洋フランカーのフィナウ、ラフプレーでシンビン。
17分東芝は三洋陣でのラックからCTB小山田が抜けて、ラストパスをWTB和田へ。左隅にトライ。G成功。14-3
34分三洋、左中間30mPG成功。(デンジャラスプレー)14-6
41分三洋、左中間20mPG成功。(ライイングオンザボール)14-9
HALF TIME
14分東芝は三洋陣22mライン付近のスクラムからSH村田が右ブラインドを突破。フォローしたWTB森田にパスが通り、右中間まで回り込んでトライ。G成功。21-9

東芝は怪我人続出。
19分、村田→伊藤。
23分、ゴードン→小野。松田→薬師寺

26分東芝は中央付近でのスクラムからSH伊藤がパスダミーで突破。ステップで相手ディフェンスを交わして最後はWTB森田にパス。右隅にトライ。G成功。28-9
32分三洋は自陣22mからカウンター。WTB木川がハーフライン付近まで戻し、ラック。FL太田が左サイドからG右下まで走りきりトライ。G成功。28-16

感想
第二試合は風も収まり、ボールも良く動いたスピーディな展開に加え、ゴードン、ラトウのNO8同士の凄まじいぶつかりあいなど非常に見どころの多い試合でした。
それに加え、センター陣のタックルが良いと試合が締まります。マコーミック、小山田の東芝勢に対して、古賀、西川という全国的には知名度の低い二人も随所で好タックルを連発。
二日前の大学選手権決勝とはまた違った厳しい攻防を見せてくれました。

東芝府中は開始早々、早くもハイスピードラグビーを披露。キックオフでマコーミック選手が逆サイドに蹴り込み、そのボールを三洋がタッチに蹴り出すことで、相手陣でのマイボールラインアウトから試合のペースを掴むのが当初からの作戦だったというのには正直驚きました。その目論見通りに、そこからの攻撃で、あっという間のトライに結びつけたのには、もう脱帽としか言いようがありません。

結局、この先制トライで常に東芝が有利に試合を進めることになったのですから、向井監督の読みの深さには恐れ入ります。
東芝府中の勝因はやはり一人一人のプレーの正確さ。わずかの隙を見逃さずにトライに結びつけた東芝府中と、もう一歩のところまで攻め込みながら、ミスを犯し、得点を上げられなかった三洋電機の差が明暗を分けました。フォワードからバックスまでの個人個人のスピードも三洋を大きく上回っていました。フィットネスもやはり東芝の方に一日の長があったようです。

ここまで4敗もした東芝ですが、やはり全国大会に入ってしっかりと調子を戻してきました。これまでの敗戦は、当面の勝利を度外視し、あくまで理想のラグビーを追い続ける向井監督の志の高さ故の結果だったのかもしれません。

東芝にはゴードン、村田、マコーミックとキープレーヤーが三人います(むろん他の選手も素晴らしいです(^_^))が、マークされる3人以外の選手がどれだけ活躍できるかが常に勝敗のポイントになります。
この試合では、小山田選手が力を付けてきたことで、マコーミック選手をうまく囮に使えるようになり、攻撃の幅が広がりました。

FWでは渡辺選手の急成長(彼は最近試合毎に凄みを増しています。ゴードン選手という素晴らしいお手本がそばにいるせいか、地道なフォローも手を抜かず、この試合でも良く走っていたようです。ワールドクラスのプレーヤーになれる可能性を感じる数少ない選手です。)でゴードン選手の負担も軽減。この日は臼井選手も良い動きを見せており、改めて層の厚さを感じます。後半、村田選手に代わって出場したSHの伊藤選手。そのスピードは村田選手にひけをとらないすばらしいものでした。

当初は、日本選手権はともかく社会人大会の三連覇は厳しいのでは?と思っていましたが、今日の様子を見るとそんな不安も消え去りました。
オプションプレーもまだいくつか隠していそうで、私が考えていたより、もっと懐が深そうです。
ゴードン、村田両選手の怪我が気になりますが、準決勝のトヨタとの戦いは、がっぷり四つに組んだレベルの高い好ゲームが期待できそうです。東芝が、トヨタをどう分析し、どんな攻撃を仕掛けてくるのか非常に楽しみです。

今年も残念な結果に終わった三洋電機。
東日本リーグ前半戦で無敵の快進撃を続けながら、優勝が決まった後のNEC戦で敗れてからやや歯車が狂ったのか、今ひとつ波に乗り切れませんでした。
長年ジャパンの大黒柱として頑張ってくれたラトウ選手の引退試合になるのでは? という思いもあり、どちらかというと三洋電機に肩入れして観戦していましたが、結局思いはかないませんでした。

11月のサントリーに圧勝した試合といったいどこが違うのか、あらためて自分の観戦記を読み返してみましたが(笑)、あの試合でも三洋が機能し始めたのはSHの堀越選手が故障で西岡選手に替わってから。やはりSHは西岡選手の方がマッチしていたのではないでしょうか? 主将という肩書きのために堀越選手を使わざるを得なかった苦渋の選択が、この結果につながったように思えます。

他のチームに比べると、あまりに東日本リーグを正直に戦いすぎ、ピークへの持って行き方もどこかチグハグだったような気がします。
いつまでも無冠の帝王でありつづける三洋電機。
そのおおらかなチームカラーは、個人的には見ていて好感が持てるものです。ハーフタイムにリザーブの選手がバックスタンドの応援団と談笑している姿などは三洋電機ならではという気がしました。それでも、やはり日本一の栄冠を獲得するためには何かが足りないはず。今のチームカラーのまま、ここ一番の厳しさを植え付けていくのはやはり難しいことなのでしょうか?  

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