チェンライから深夜戻った。空港の案内所でスクンビットのホテルをとってもらった。わたしにとっては最高級ホテルだ。最後の2晩くらい許されるだろう。明後日、日本に帰る。旅の終わりはいつも空しい。
ホテルの窓からスカイトレインが見えた。翌日、駅まで歩いた。どこに行くのかわからなかった。とりあえず
スカイトレインに乗った。
車窓から見えたある風景が気になった。名前も知らない駅で降りた。その街には憶えがあった。
数年前、わたしがたまたま紛れ込み、一週間沈没していたエリアだった。誰からも忘れ去られた歓楽街。誰も褒めてくれない歓楽街。ひっそりと忘れられたように存在している街。空白のなかの空白。
あのときのホテルがあった。庭では顔見知りの運転手が昼寝していた。食堂は相変わらずひっそりしていた。あの食堂の女の子は、まだいるだろうか?
食堂の扉を開けた。あの頃の、わたしが、まだ、飲んでいた。
BTSの走る街で 2002 bkk
関連記事へ
|