駅前のロータリー。
バス停に並ぶ人たち。
なかなか傘がうまく開かない自分に降りかかる雪が、急に途絶えた。
見上げると、高校の制服を着た女の人が、僕に傘を傾けてくれていた。
何だか照れくさくて、自分のさした傘に隠れるようにして、隣に並んだ。
あのとき、「ありがとう」の言葉が言えなかったこと。
その人の、微笑んだ顔が綺麗だったこと。
今でも、何となく思い出す。
ずっと昔の話なのに。