2010年 FIFAワールドカップ南アフリカ大会の試合感想ページです。
試合は基本スカパー、日本戦は地上波民放局の中継で観ています。
最初は軽い気分で気になった試合だけ、しかも1試合5行以内ぐらいで書こうと思っていたんですが、徐々にクドく長くなっていくのが見所です(笑)。
言うても所詮は素人のエロマンガ屋の雑感なので、事実誤認や勘違いがあったらご容赦下さい(一部、誤認は掲載時から修正してます)。サーセン。
【6/13】
FIFAワールドカップ2010。スカパー生中継のスタジオ解説はトルシエとオシムという無茶なキャスティングで、案の定トルシエとオシムが進行無視で勝手にフランス語でトークを始めて、 司会の野々村が「何言ってるのか分かんないんですが(苦笑)」と困惑するというフリーダムな展開。相変わらず面白いな>スカパー。開幕戦、南アフリカvsメキシコ。楽しく観られたものの、結果的には緒戦らしい堅い凡戦、という印象。「どちらも、得点したら失点が怖くなってしまった」(オシム談)。 ただ、シャバララの先制ゴールと同点アシストになったグアルダードのクロスは素晴らしかった。 メキシコの4バック−3バックの併用とかも無駄にテクニカルで面白かったな。あとブランコ最高(笑)。
同グループA、ウルグアイvsフランス。予選時よりフランスが機能してる感じで、ウルグアイを押し込む展開が目立つ。あれ、フランスわりと良いじゃん、みたいな(相当酷い状態を予想してたんで)。 特にDFハーフのトゥラランは攻守に良かった。 ウルグアイはしっかりした守備からロングボールを織り交ぜてカウンター気味に攻めるが、ミスが多いのと、FWがフランスのDFラインの裏を取り切れない。ちょっと手前のゾーンだとフォルランがボール持てるんだけど。 80分に退場者が出たことで(噂のロデイロ…ちゃんと見たかった)、10人のウルグアイは引き分け上等の雰囲気に。 数的優位のフランスは猛攻に出るが、結局スコアレスドロー。どちらも攻撃の姿勢を見せつつも、やはり慎重な試合だったかな。
グループB、韓国vsギリシャ。なんか韓国もサウジやイランとかと観てる気分が変わらないよなあ。 ギリシャもあの衝撃の2004年からメンバーも内容もあんま変わり映えしないんで、部屋の片付けとか洗濯しながらダラッと観戦(笑)。ハリステアスとかまだ先発なんだーとか。 開始早々セットプレイから緩い守備で先制されたギリシャが終始、韓国に主導権を握られながら試合が展開。堅守速攻しかないギリシャの怪しい攻撃相手に韓国の省エネ気味のカウンターが面白いほどハマる。 途中で韓国DFがバタバタする時間もあったが、最後までギリシャの崩しが効かないまま終了。 ギリシャは欧州予選で組み合わせに恵まれた感が強い(でも1位通過のスイスに2敗してる)が、このレベルならプレイオフで負けたウクライナの方がマシだったんじゃないかと。お寒い試合でした。
同グループB、アルゼンチンvsナイジェリア。まずマラドーナ監督のスーツ姿に笑う。マフィアの親分ですか。 攻撃力のあるオバシとタイウォのサイドのSBにホナース・グティエレスという博打起用(マジョルカ時代にあったような無かったような…ベレス時代から基本SHで守備の人じゃないすよ)もマラドーナイズムか。 序盤決めきれなかったアルゼンチンだが(イグアイン何やってんのよ)、エインセの先制ゴールでチームが一応リラックス。 ナイジェリアが中盤勝負を避けてボールを縦に速く運ぶサッカーをする事もあり、アルゼンチンがポゼッションする時間が長くなる。 ただ守勢に回ったときのアルゼンチンの組織があまりにも怪しいので(笑)、見た目の印象ほど一方的な展開でもなかったりして。 以降、ボール持ちつつも攻めあぐねるアルゼンチン、堅く守ってリアクションで攻め好機を作るナイジェリア、という構図。 決定的チャンスはイーブンだったが、ナイジェリアGKエニェアマの凄いシュートストップが何度もあって、どちらも決めきれないまま試合終了。アルゼンチンの良さと問題点が改めて際立った試合だった。 ナイジェリアも守備は集中してたけど、攻めがちょっと雑だったかな。ただまあ勝ってる状況で、この何となくグニャッと試合を終わらせてしまうテクニックも流石と言えばそうかも。
グループC、イングランドvsアメリカ。国歌斉唱で"God Save The Queen"と"The Star-Spangled Banner"が流れると嫌が応にもテンションはアガるな〜。 早い時間にDFの隙を突いたジェラードの先制ゴール(素晴らしい)でイングランドがリードするも、強いメンタルのアメリカが徐々に盛り返してくる。 派手なプレイやファンタジスタはいないが(ドノヴァンぐらいか)、ミスの少なさとコレクティブな組織の連動性、不屈の精神力はアメリカは凄いよな。 GKとCBに不安のあるイングランドに対して、アメリカのGKハワードは堅実な良い選手で(まだ23歳か)[※修正:31歳でした]、両CBの安定感もあって簡単にイングランドが追加点を奪えそうな雰囲気はない。 そんな中、前半終了間際の40分にイングランドGKグリーンのファンブルからアメリカが同点に追いつく(「ジェームスかと思った(笑)」川勝・談)。 まあ完璧に自滅というかお粗末なミスなのだが、アメリカのキャッチアップした粘り強さは本当に凄い。 後半はイングランドも球際を厳しく行き始め、さらに運動量が落ちたことでイングランドの個人テクニックの高さが出始めたものの、アメリカは規律ある組織で何とかカバー。ドローは妥当な結果か。 渋い展開だったが、個人的には結構楽しめました。いやーアメリカ頑張った。
それにしても今回の大会公式ボール、飛びすぎ&無回転掛かり易すぎだろ。 逆に、回転掛けても軌道が曲がらないし落ちないし。まあ高地で空気が薄いというのもあるんだろうけど、5試合観てFKで直接ゴールが入る気が全然しないってのもどうなんすかね。
あと同じD3放送なのに、地デジよりスカパーHDの方が明らかに画質良いです(最強はNHK-BShiだけど)。つか地デジの画質の悪さは何とかならないのか。前から言ってますが。
【6/16】
いやー日曜日にやったテレ朝のワールドカップ特番のビデオは最悪だった。日本代表を応援するのには全く同感だが、俺はその思いを中村俊輔や本田圭佑とかの選手個人には託したことはないよ、悪いけど。 なんかこの「英雄待望論はサポーターの総意」みたいな煽り方がもう生理的にダメ。単に「顔」が無いと放送しづらい、っていうテレビ局の都合だろ。本当に最悪だ。FIFAワールドカップ2010。グループC、アルジェリアvsスロベニアの地味すぎる一戦。どちらもしっかりとパスを繋ぐサッカーだが、序盤はスロベニアのペース。 繋ぎきれないまま押し込まれるアルジェリアだったが、徐々にペースを掴み始めると試合を優位に進める。また両チームとも完全に崩すよりも、若干遠目からでもシュートを撃ってくるようにシフト。 ただまあ、どちらもプレイにちょっと精度もチャレンジも足りない印象で、一進一退が続いてる中で興味の持続が難しい(苦笑)。 アルジェリアに退場者が出て数的優位になったスロベニアが79分に先制。 イングランドの失点を思わせるGKのファンブル気味なゴールで、普通に凡ミスっぽく見えるのだが、どうもボールが疑わしく思えてしまうのが今回の大会の特徴かな。 ともあれ、渋い試合でした。
グループD、セルビアvsガーナ。個人的に今大会で最注目のセルビア登場ということで楽しみなカード。主審は南米好きにはお馴染みのエクトル・バルダーシ。 エッシェン不在でどう出るのかに興味が集まったガーナだが、立ち上がりから予想以上に飛ばしてきたため、セルビアは受け身になってスタート。 ボールを奪うと回して落ち着かせようとするセルビアだが、ミスを許さないガーナの堅い守備に主導権は奪えない。いや、ガーナは守備も攻撃も極めてモダンで機能的だよなあ。 一方、本来は攻撃的なセルビアがポゼッション取れない状況で凌ぎつつ何度か好機は作るが、全体的な押し上げが遅くガーナのカウンターを受けるシーンも散見。 75分にセルビアCBルコビッチが退場になると一時的に攻撃のギアが上がるが(ここは凄かった)、その後ガーナに押し込まれて、84分に遂にペナルティエリアでハンドを取られてPK。 まあこの試合に関していえば、勝者に値するパフォーマンスを見せたのはガーナの方だったな。アフリカ特有の身体能力と高い個人技、そしてディシプリンの行き渡った組織力。素晴らしかったです。
同グループD、ドイツvsオーストラリア。バラックのいないチームでケディラとエジル、シュバインシュタイガーがどこまでやれるか。 オーストラリアFWはケネディでなくガルシアが先発。開始直後からどちらも攻撃的。その中でドイツが個々のクオリティでチャンスを生み出し、8分にポドルスキーがゴール前の崩れた状態から先制ゴール。 オーストラリアの無骨でフィジカルなサッカーに対して、今のドイツは若くて(21歳から25歳がゴロゴロいる)パスを回して崩すチームになっている。エジルがキーマンだな。 ドイツ代表というと堅いサッカーという印象があるが、ユーロ2008ぐらいからブンデスリーガで各クラブがやってるようなモダンなポゼッションサッカーが代表にも浸透してきた感じがする。 26分にクローゼが追加点。オーストラリアは守備に追われて(パスの出し所にプレスが掛からない)、ボールを取っても攻撃に精度を欠いている感じで、あまり決定的な場面を作れない。 ドイツは右サイドのラーム・ミュラーからエジル・クローゼを絡めればいつでも崩せる一方、逆サイドはバードシュトゥーバーが蓋をしてオーストラリアに攻めさせない。いやードイツ完成度高いな。 後半始まってしばらくはオーストラリアが高い位置からアグレッシブに出てきてペースを握るが、56分にケーヒルが微妙な一発レッドで退場させられると、流れは再びドイツへ。 67分のミュラーの技ありゴールで勝負あり。後は余裕の采配でドイツ完勝。これは強いな。
グループE、オランダvsデンマーク。攻撃は物足りないが守備は堅いデンマーク相手に、前半はオランダも崩しきれない。 まあ華麗な攻撃陣を並べたオランダの攻撃が目に付くが、デンマークの攻守の切り替えの速さもレベル高くて(ロンメダール凄え)、展開的にはお互いの持ち味が出てる印象。 デンマークのチャンスも多かったが、フィニッシュで精度が低くて微妙に点が入る気がしない感じ。 そして後半開始直後にデンマークのオウンゴールでオランダ先制。これでデンマークもリスクを負って出て行かなければならない状況に。 オランダも無理をせずにリアクション気味の戦い方で結構ロングボールを多用、まだ本調子でないにしてもユーロ2008での攻撃的サッカーとは遠い感じだなあ。 終了間際には省エネサッカーのオランダが、一瞬だけ集中力を欠いたデンマーク守備を相手にカイトのゴールで追加点。うーん、クオリティは高かったけどオウンゴールが勝敗を分けちゃった感じだな。
グループE、日本vsカメルーン。いやもう、何も言えません。これしかないという勝ち方。札幌でも横浜でも見た「岡ちゃん戦術」が南アフリカで爆発。 でも「フィジカルで負けない」「最後まで走る」「チームに献身的」というメンバーの組み方はまったく正しいよな。「今の日本」が世界と戦うなら、こういう泥臭いサッカーしかないと思う。痺れました。
グループF、イタリアvsパラグアイ。試合前に雹が降るという天候での試合(試合中は小雨)。いつ聴いてもイタリア国歌はテンション上がるなあ。 どちらも守備には定評のあるチームだが、攻撃はイタリアが一枚上手。パラグアイはそれを深めで受けつつカウンターで手数を掛けずに反撃する。ただイタリアの守備に隙は無いなあ。 カンナバーロの年齢を感じない動きとか凄いっす。そんなイタリアが押す状況の中で39分、意外にもパラグアイがセットプレイから先制。おお。失点したことでイタリアの守備が若干綻び始める。 さらになんと後半頭からGKがブッフォンからマルケッティに怪我で交代。大丈夫かイタリア。その後も基本イタリアがボール持ちながらも、時折パラグアイが鋭いカウンターを見せる。 パラグアイの方がイタリアっぽい(笑)。だが63分、今度はイタリアがCKからゴール。決めたデ・ロッシ、DFに抱えられながら足を出してたよ。凄え。 ギリギリの攻防を見せつつ、試合はこのままドロー。慎重さとか消極的とは真逆の、良い意味での守備の堅さが堪能できました。
グループG、コートジボワールvsポルトガル。予想通りポルトガルが個の能力でやや優勢にポゼッションし、コートジボワールが組織的に対応する展開。 どちらもなかなかフィニッシュまでに至らない状況で、仕掛けと潰しで膠着した状況が続く。 ポルトガルのショートパスの組み立てやドリブル突破を、コートジボワールの中盤がことごとく止め、組み立ててゴール前まで持って行く。 これが凄いんだけど、ドログバの居ない前線が得点するには至らない。うーん。ただ、南アフリカといいガーナといいコートジボワールといい、今のアフリカ勢の近代的なサッカーは素晴らしいなあ。 カメルーンはアレでしたけど。65分、遂にドログバ投入。 この期待感は抜群だったが、時間帯的にポルトガルに押し込まれ始めたこともあり、コートジボワールの決定的な場面というのはあまり生まれない。 後半ロスタイムには怒濤の攻めを見せたコートジボワールだがそれも実らず、微妙に不完全燃焼感を残しながらスコアレスドローで終了。堅いな〜。
【6/18】
FIFAワールドカップ2010。
グループF、ニュージーランドvsスロバキア。これまた超渋いカード。 オーストラリアがAFCに移動してからオセアニア不動の王者のニュージーランド。バーレーンに勝っての出場だが、まあ正直、試合内容には不安が先に立つ感じ。 一方のスロバキアも欧州予選で結果はグループ首位だったが、2位のスロベニアに2敗しているという微妙な成績。キックオフ直後から両チームともロングボールを多用するレトロな展開。 スロバキアはドリブルや短めのパスも交えるが、ニュージーランドは3バックでボールを取ったら速く前線に放り込む、あまり全体を押し上げない渋いスタイル。スペクタクル感は皆無だが、これを徹底的にやられると妙な迫力があるなー。 実際、どちらかというとモダンなスタイル(あくまで比較的)のスロバキアよりニュージーランドの方が単純にチャンスは多い。スロバキアは両サイドで拠点を作って中に持ち込む感じか。 そんな中で50分、やや下がってサイドでボールを受けたFWシェスタークからのクロスを、ビッテクがヘッドでゴールしてスロバキアが先取。オフサイド気味だったが、DFラインとの駆け引きは良かった。 さすがにラインを上げてサイドも使うようになってきたニュージーランドだが、基本ロングボール主体の戦術はあまり変わらず。スロバキア守備陣ももう慣れてきた感じで、あまり危なげは無い。 うーんニュージーランドに点が入る気がしないなー、と思っていた後半ロスタイム93分。ついに前半からやっていたロングクロスでニュージーランドに同点ゴールが生まれる。そしてドローで試合終了。 ニュージーランドのスタイルの貫き具合は感動的ですらあるが、スロバキアの平均的すぎる出来も含め、試合としては見所の少ない内容だった。グループG、ブラジルvs北朝鮮。まあ想像どうりのブラジルが攻め、北朝鮮がカウンターの流れ。 ただ北朝鮮も単に前に急ぐだけじゃなく、ある程度前に溜めを作りながらの攻撃をしている。テクニックの差は人数と運動量でカバー。 ボールを保持しつつも攻めあぐむブラジルと、とはいえ能動的に攻撃に行かずにブロックで守備を固める北朝鮮。まだ本調子ではないのか、ブラジルがこの展開にある程度付き合ってしまってる感じ。 ジリジリした時間が続き、試合は後半へ。 ブラジルが何度となくゴール前まで運ぶが北朝鮮が体を張ってシュートストップ、という場面が続き、なかなか点が入りにくいなと思っていた所に、やや唐突に得点が入る。 56分、右SBマイコンのクロス気味のシュートがGKのニアを破ってブラジルが先制。マイコンも上手かったが、ゴール前に折り返すと思いこんでたGKも迂闊だったかな。 北朝鮮は守備ブロックをやや前にしたり、遠目からもミドルを撃ったりするようになるが、あまり状況打破には繋がらない。 そして72分、ロビーニョの鋭いスルーパスからエラーノがDFの裏を取ってブラジル追加点。これで北朝鮮の足が重くなり、運動量が目に見えて減る。 ブラジルはカカーやエラーノを交代で休ませるなど2戦目以降を見据えた采配。試合が決まったかの雰囲気だったが、北朝鮮も89分にチョンテセの落としからチ・ユンナムが得点して1点差に。 ただ時間が無く、そのまま試合終了。北朝鮮の守備的な対ブラジル戦術も妥当でハマってはいたが、まあ2点取られたらもうどうにもならない感じだったかな。
グループH、ホンジュラスvsチリ。あのビエルサ監督率いるチリは南米予選の3-4-3と異なり、いきなり4-3-3の布陣。 マティことマティアス・フェルナンデス(コロコロ時代は凄かった)とサンチェスの中盤、前線のバルビディアが核に、パスと個人技で攻める魅惑の南米スタイル。いやーチリ良いっすよ。 それにホンジュラスはリアクション気味に対応。個々のクオリティは高く(1対1ではほぼ負けない)、チリに攻め込まれながらも時折しっかりとショートカウンターからチャンスは作る感じ。面白い試合だ。 34分、マティの裏を付くパス→サイドでSBイスラの折り返し→FWボーセジュールと繋いでチリ得点。素晴らしい。その後も一本通れば1点レベルの攻撃を展開。なんとか凌ぐホンジュラスだが、DFラインの組織が緩くて個で守ってる感じ。 後半からホンジュラスが2トップにしたのを受けて、チリは3-4-3にシフト。SHになったイスラとビダルが度々ゴール前まで顔を出すようになる。この辺の駆け引きも凄いな。 ホンジュラスが前に人数を掛けるようになったこともあって、結構な攻め合いの様相。ただチリはメチャクチャ攻め込んでるのに、どうしても次の1点が遠い。このまま1-0でチリ勝利。 チリはもう4点ぐらい入ってても不思議じゃない攻撃だったが、ホンジュラスGKバジャダレスとDF個々の踏ん張りに阻まれた感じ。まあでも次も期待できそうっす>チリ。
同グループH、スペインvsスイス。スペインは4-1-4-1っぽい4-3-3か。スイスはヒッツフェルト監督らしく、イニエスタやシャビ、シルバにマンカバー気味のディフェンスを敷く。 対するスペインは細かく速いパスを繋ぎながら、流動的にポジションを替えながら前線のマークを引きはがす。いやーたまらんですな。ただ、ある程度までは持ち込ませながらも最後に締めるスイスDFの集中力も素晴らしい。 特にキャプテンのインレルは良いポジショニングと状況判断をしてる。スペインはボールを回しているものの、FWビジャになかなかボールが入らない。スイスはボール奪った後の流れの中では有効な攻めが出せず、セットプレイにチャンスがある感じ。 だがしっかりと守っていたスペインDFに綻びが出る。52分にスイスGKのロングフィードにカシージャスとピケが交錯、ジェルソン・フェルナンデスがこぼれ球を決めてなんとスイス先制。 無理に攻めなくて良くなったスイスをスペインがどう崩すのか。セルヒオ・ブスケツout/フェルナンド・トーレスin、シルバout/ヘスス・ナバスinで4-4-2にしたスペイン。サイドではボールを持てるが、どうにも中では決め切れない。 スイスGKベナリオ、頑張ってるなあ。ただこういう状況に対してスペインも策が無さ過ぎる気もする。ロスタイム5分も過ぎて、このままスイス勝利。スペインは不運だったが、最後まで集中が途切れなかったスイスが勝つべくして勝った試合という印象だった。
次からグループリーグ第2回戦。グループA、南アフリカvsウルグアイ。ウルグアイは前線にスアレスとフォルラン、カバーニをスタメン起用という超攻撃的布陣。開幕戦でメキシコ相手に健闘した南アフリカは、この試合でも堅実な組織力を見せる。 しかし24分、フォルランの鬼ミドルでウルグアイがリード。フォルランらしいなあ〜これ。南アフリカも退かずに点を取りに出てくるので、印象ではポゼッション互角という感じで、むしろ先制したウルグアイがカウンター気味に対応している時間帯も多い。 だが76分に南アフリカDFラインの裏を取ったスアレスをGKクーンが倒して一発レッド&PK。ピーナールを外してGKを入れる展開。これはキツい。フォルランがキッチリ決めて2-0。これで帰る客も結構出ていた(苦笑)。 1人少ない南アフリカも果敢に攻めるがウルグアイ守備を崩せず、逆に後半ロスタイムにセットプレイ崩れからアルバロ・ペレイラがダメ押しの3点目。ウルグアイは幸運も含めてかなり効率的に勝った印象。 南アフリカはグループリーグ突破が厳しくなってきた。最低でも次節、フランスに勝たないと終了か。
グループB、アルゼンチンvs韓国。アルゼンチンは第1戦で怪我したヴェロンに替えてマキシ・ロドリゲス先発。マスチェラーノの1ボランチっぽい構成か。前は完全に流動的。 右SBは今回もグティエレスで、韓国もやや左から攻めたい感じだが、ボールを奪ってもメッシとテベスのケアのために後ろの押し上げが出来ない。 アルゼンチンが常時押し込んでいる状況で17分、セットプレイからのオウンゴールでアルゼンチン先制。さらに押し込み続けて、33分にセットプレイからイグアインが追加点を挙げる。 この辺から、やっと韓国の前からのプレスが有効になってくるが、それでもボールを持って前掛かりになるような場面はあまり作れない。ただ前半ロスタイム、デミチェリスの凡ミスから韓国も1点返す。 バイエルンでもミス多いと思うんだよな>デミチェリス。代わりが誰かっていうと難しいんだけど、エインセCB/クレメンテ・ロドリゲスSBで良い気が。 後半から本職DHのキム・ナミルを入れて、前に人を割こうとする韓国。基本は変わらずボールを回してアルゼンチンが攻めているが、アグレッシブさの出てきた韓国がボールを持つ時間も増えてきた。 拮抗した時間が流れた後、76分にメッシ/アグエロのワンツーからメッシが抜けてトップスピードからシュート→こぼれ球をイグアインが決めて3-1。戻りオフサイド気味だが凄いゴールだった。 さらに80分、アグエロのループパスからイグアインがハットトリックで4-1。美味しいところ総取りだよな>イグアイン。アルゼンチンはDHにボラッティを入れて2ボランチを試しながら余裕で試合終了。 うーん、今のアルゼンチンには韓国みたいな運動量のあるチームは苦手かなと思ったんだけど、韓国が最初プレスに行かなかった事もあって、ちょっと予想外の点差となった印象。「韓国には自信が無かった」(オシム談)。 しかし前半のテベスは凄かったな。DF3人引きずってドリブルする姿はボカ時代を思い出しました。オシムにはディスられてたけど(笑)。メッシも良くなってきた感じ。あと反町の「ドヤ顔」解説は正直ウザいんですが>スカパー。
【6/20】
FIFAワールドカップ2010。
グループA、フランスvsメキシコ。ウルグアイ1強になりつつあるグループの2位を争う試合。メキシコは国歌の時にお約束の敬礼(ストリウム光線っぽいやつ(笑))をやらなくなったのは何故だろう。サポーターはやってるのに。 開始直後からメキシコはSBがバリバリ上がってかなりアグレッシブ。受けに回ったフランスの守備はラインが高い上にコントロールが不安定だが、攻撃陣は機能しているのでポゼッションしている時間は悪くない。 最後の決めに欠けるが、両チームとも攻撃的で面白い試合だ。ややフランス押し気味の状況で、メキシコは後半ハビエル・エルナンデスとブランコ投入。 64分、マルケスがDF裏に出したループパスからエルナンデスがオフサイド気味に飛び出て、GKと1対1を決めてメキシコが先取点。 フランスも十分可能性のある攻撃を見せているが、メキシコDFの中が堅くて得点に至らず。FWを替えて運動量を上げたりしているが、あまり打開できない。 77分にバレーラがドリブルでDFラインの後ろに入り、エリア内でアビダルが倒してPK。ブランコが決めて2-0。残り時間が無いのに、フランスはどうにも必死さが見えないプレイに終始。なんか淡泊なままメキシコ勝利で試合終了。 1点めも際どい判定(というかスローだと完全オフサイド)なのに、誰も特に文句も言わずに下向いて黙々と歩いてるし。ハーフタイムにロッカールームでアネルカが監督を罵って、試合終了後にチーム追放が決まったとのこと。チーム的に問題あるよな、フランスは。同グループB、ギリシャvsナイジェリア。第1戦ではどちらも微妙だったチーム同士の対戦。先制されると厳しくなる芸風のギリシャは中盤のパス交換を避けてロングボールかドリブル主体で慎重に進める。 ナイジェリアは当然ながらアルゼンチン戦より圧倒的にポゼッションできるので、パスを繋ぎながらサイドから崩す。ただし単純な放り込みや縦パスには5バック気味のギリシャDFがしっかり対応していてチャンスは薄い雰囲気。 と思っていたら16分、カル・ウチェのFKが誰も触らずそのままゴール。あれ?という感じでナイジェリア先制。その後もナイジェリア優勢で、ギリシャDFは大きいボールの動きには問題ないんだけど、細かいワンツーパスやドリブルに対応できなくてやたらファウルが多い。 なんか徐々に球際で荒れてきたなーと思ったら、33分、ナイジェリアのMFカイタが相手に報復気味の前蹴りを食らわせて一発レッド。数的有利になったギリシャはCBを削ってFWサマラス投入。 圧倒的にギリシャが攻め始める。44分、サルピンギディスのシュートがナイジェリアDFに当たって同点ゴール。さらに嵩に懸かって攻め立てるギリシャ。前半終了直後、ピッチで円陣を組んで祈りを捧げるナイジェリアメンバーたち。なんというか、その気持ちはよく判る展開だ。 後半もギリシャが攻めつつ、機会を見てナイジェリアも攻撃。単なるカウンターではなく、1人少ない中でも組み立てようとする意識は素晴らしい。とはいえ決定機は少ない。 守備もGKエニェヤマのスーパーセーブでギリギリ止めてる感じ。しかし71分、CKの流れからMFトィオリスのミドルシュートをGKが前に弾いたところをSBトロシディスがゴールを決めギリシャ逆転。 CK時に交錯してDFが倒れていたためオフサイドが取れなかったというハードラック。その前に主力のタイウォが壊れて、代わりに入ったエチエジレも傷んでアウトと、ナイジェリアには完全に運も無い。2-1でギリシャが勝利し、連敗のナイジェリアは今回のワールドドカップ、ほぼ終了か。 チームとしては悪くなかったんだけどなあ。
グループC、スロベニアvsアメリカ。キックオフ直後から選手が交錯で傷んで、両チームが乱闘寸前に。スロベニアは勝てばグループ通過が見えることもあって、かなり意気込みも強い。前節同様、アメリカはテクニックはないが組織力とフィジカルなスタイルで押す感じ。 個人技で勝るスロベニアがポゼッションする状況が多く、13分にはサイドにDHが引き出されたアメリカの守備ラインの前のスペースを使われて、MFビルサがフリーでミドルシュートしてスロベニア先制。 その後もスロベニアのボール回しにアメリカのプレスが掛からない。アメリカもセットプレイから押し込む時間帯もあったが、42分、ショートカウンターからFWリュビアンキッチがオフサイドギリギリで抜けてスロベニア追加点。 この試合のアメリカは細々とミスが多い。アメリカは後半頭でフランシスコ・トーレスを交代。この時点で個人的な興味が半減した(笑)。トーレスはアメリカらしからぬテクニシャンで良い選手なんだけどなあ(パチューカ育ち)。 48分、スロベニアDFの軽率なミスからドノヴァンが持ち込み確実に決めて2-1。いや、この人はさすがだ。とはいえ、その後も主導権はスロベニアが握り、ミス以外でアメリカが相手DFを崩すシーンはほとんど見られない。 アメリカはCBオニェウを下げてFWゴメス投入、完全に前掛かり。スロベニアはカウンターのチャンスでも急がずに時間を潰しながら戦う。 ちょっとアメリカ厳しいかな〜と思った82分、ドノヴァンのロングフィード→FWアルティドールの落とし→DHブラッドリーが中盤底から上がってきてゴール、アメリカ同点。いやード根性サッカーUSAだ(笑)。凄え。客席のサポ号泣ですよ。 直後のセットプレイでも逆転ゴールが謎の判定で取り消されたりと、アメリカには不利な判定も多かったが(ていうか審判が下手すぎた)、心が折れずに最後まで戦うメンタルは凄いと思う。結果は2-2のドロー。面白かった。
同グループC、イングランドvsアルジェリア。両チームとも前節でGKがファンブル→失点していて、違う選手にスタメン交代。でもイングランドGKはジェームスか…。イングランドの4-4-2を受けて、アルジェリアは3-4-3でショートカウンター狙い。 前半はアルジェリアの対応がハマって概ね互角。イングランドは相変わらず両CBとGKが怪しい。アルジェリアは前節より格段に良いな。だがそれを差し引いてもイングランドの渋さは感じる。人材は居るはずなんだけどなあ。 終盤はDHのバリーに替え、クラウチを入れてパワープレイ。まあカペッロ監督っぽいと言えばそれまでだが、見応えが薄いというか。結局スコアレスドローでイングランドサポは大ブーイング。アルジェリアの健闘だけが印象に残る試合だった。
グループD、ドイツvsセルビア。前節の反省か、開始直後から攻めるセルビア。ドイツもクローゼのポストから2列目のケディラやミュラー、ポドルスキー、エジルが次々に絡んでくる。スピーディーかつ攻撃的で、どちらが先制しても不思議でない内容。 ポイントはクラシッチとバードシュトゥーバーのマッチアップか。中盤の厳しい当たりで両チームにカードも多く出る(主審はリーガでお馴染みのウンディアーノ・マジェンコ)。36分にはクローゼが2枚目のイエローで退場。 まあ確かにボールを失ったら前から厳しく守備に行っていたが、でもこれは無いわ。前半だけで4枚って、カードの出し方がリーガ基準すぎるだろと。 その直後、セルビアの右サイドでクラシッチがバードシュトゥーバーをゴールラインギリギリ交わしてクロス、ジキッチが落としてヨバノビッチが先制ゴール。実にセルビアらしい攻撃だった。 ドイツはメンバーを代えずに、ケディラとエジルが前目でボールを持って両サイドやシュバインシュタイガーが来る形。どうしても中盤が薄くなっているが、先行している心理ゆえかセルビアの上がりが消極的になっていてドイツに押し込まれる。 59分、ポドルスキーのロングクロスにCBビディッチが露骨なハンドでPK。「なんでこんなことするんでしょうかねえ」(奥寺・談)。 そのPKをポドルスキーが蹴るがGKストイコビッチに止められる。ポドルスキーはこの試合、すでに3本ぐらい決定的な場面で外しているんだよな。70分にエジルに代えてカカウを入れ、前に収まり所を作る。 77分にはSBバードシュトゥーバーを下げてマリオ・ゴメス投入、3バックにするドイツ。各選手も運動量で頑張っているが、すでに無理に攻めず守備を固めるセルビア。時折クラシッチを走らせるカウンターも出すが両チーム、疲労が脚に来ていて走れない。 最後ドイツは両CBが常時前に張ってパワープレイに持ち込むが、守りきったセルビアが1-0で勝利。ドイツとしては前半に退場者が出たこと(結局両チーム合わせてイエロー9枚・累積レッド1枚出てる)とポドルスキーの不調(1人で5〜6本決定機を外してた)が計算外だったと思う。 セルビアは前半の攻撃が素晴らしかったな。
同グループD、ガーナvsオーストラリア。ガーナが様子見っぽい入り方で、オーストラリアがやや攻める展開。11分、FKからGKが弾いた球をFWホルマンが蹴り込んでオーストラリアが先取点。ガーナはオーストラリアの球際のプレスに窮屈なプレイを強いられる。 前節で素晴らしく機能していたガーナの組織力は見えないなあ。ただ時間の経過とともにオーストラリアのプレスが弱まり、徐々にガーナの動きが噛み合ってきて、オーストラリアの守備ブロックがこじ開けられつつある雰囲気に。 24分、エリア内でのジョナサン・メンサーのシュートをキューウェルが手で止めて一発レッド&PK。ギャンが決めて同点。ハンドには間違いないが、この判定はやや厳しいかな。オーストラリアは2試合連続で一発レッドが出てるのも辛い感じ。 数的優位になってからは組織・個人テクニックともガーナが上回り、オーストラリアは辛うじて中央の守備とフィジカルで対抗。68分にはFWケネディを入れてサイドからの崩しのポイントマンを立て、攻撃に目標を明確化する。 終盤は相当ゴツゴツした当たり合いの多い試合だったが、そのまま1-1で終了。オーストラリアは退場者が出た中で頑張って引き分けたが、2試合で勝ち点1、次はセルビア戦というのは相当厳しいと思う。
グループE、オランダvs日本。オランダ、日本ともスタメンは前節とほぼ同じ。中盤はオランダの寄せが異常に速いので、日本DFはかなり引目で守る。これ前線のプレスが下がるとヤバいな。運動量勝負で我慢強さを求められる局面が終始展開。 オランダのスタイルに全く付き合わない日本に、オランダもロングパスを使ったり前のプレスを若干抑えて縦パスを多用するなどで対応。デンマーク戦もそうだが、オランダあんま調子良くない印象。 そんな中でも53分にスナイデルのダイレクトボレー(さすがに上手かった)でオランダが得点。 仕掛けが減ってきたオランダに対して、日本も徐々に機会が増えてきた。64分、松井out/中村俊輔in。松井は攻守で効いてたと思うんだけどな。77分、長谷部・大久保out/岡崎・玉田in。 日本は残り時間でワンチャンスをモノにしてドローにすればいいという雰囲気。闘莉王も上がって中澤1CB状態。オランダも縦に速いFWエリアやMFアフェライ、ポイントマンでFWフンテラールと前目の選手を投入。オープンな展開になるが、結局0-1で日本敗戦。 日本としてはゲームプラン通りに泥仕合に持ち込んだのは良かったが、中村俊輔inはちょっと無いんじゃなかったか。運動量無い上にプレイが消極的すぎる。 パス出しやセットプレイ要員なんだろうが、そもそもボール持ったら速く展開するしかないんで、今のチームスタイルに全く合ってないと思うが。あとテレ朝実況の進藤アナは酷いなりに角澤よりはマシだった(苦笑)。
同グループE、カメルーンvsデンマーク。1敗しているチーム同士の一戦。カメルーンは主軸のアレキサンドル・ソングとジェレミが復帰。デンマークはトマソン先発か。主審はこれまた南米ファンにはお馴染みのウルグアイ人、ホルヘ・ラリオンダ。 キックオフ直後からカメルーンが積極的に前に出てくる。日本戦とはえらい違いだ。デンマークはまず守備からという感じだが、10分、DFのパスをウェボがカット→ゴール前でフリーのエトーが決めてカメルーンが先取。 さらに勢いに乗って攻めるカメルーンだが守備は怪しい印象で、デンマークが攻めるとMFが中側に固まり、サイドが空いてSHのロンメダールやSBヤコブセンがフリーになる。 33分、CBキアルからのロングフィード→オフサイドラインを潜ったロンメダールが折り返し→ベントナーのゴールで同点。 繋いだ崩しからの得点ではないが、ロンメダールを捉えきれないカメルーンのサイド守備を突いた形だった。前半終了直前には両チームとも決定的な場面が何度か起こるが、クロスバーや体を張った守備でお互い得点に至らず。 後半からカメルーンはエノーout /マクーンin(サイドのスペース対策か)、デンマークはあまり機能していなかったヨルゲンセンをout/イェンセンin。修正が効いたこともあって堅めの展開に。見応えあるな〜。 しかし61分、ベントナーの中盤からのパスからロンメダールがドリブルで運び、マクーンをかわして逆転ゴール。前半サイド守備を1人で頑張っていた左SBアス・エコトが、マクーンが入ったことで攻撃参加したため空いたスペースを使われたという皮肉な結果。 うーんデンマークは抜け目ないなあ。ロンメダールの個人技も素晴らしかった。勝ち点が欲しいカメルーンも攻めるが、リードしたデンマークの守備は非常に堅い。FK時はベントナーも頻繁に守備参加。かなり献身的に動き回ってるよな>ベントナー。 72分にCBを削って長身のFWイドリス投入(DHエムビアがCBに入って4バック継続)。どんどん前懸かるカメルーンだが、どうしても最後が決めきれない。 最後は2-1でデンマーク勝利、カメルーンはグループリーグ敗退決定。言うまでもなく、カメルーンは初戦で日本に負けたのが痛かったが、その日本戦で主力のジェレミが75分からの出場、アレキサンドル・ソングは結局試合に出さなかったという判断が大きかった。 理由は明確ではないが、まあチーム内に問題があったのだろう。
第3戦の日本vsデンマークで勝った方がグループ突破・引き分けなら日本勝ち抜けという、第1戦終了時の想定通りの展開になった(デンマークはオランダに2点差で負けてるので)。いやー痺れます。
【6/22】
FIFAワールドカップ2010。
グループF、スロバキアvsパラグアイ。パラグアイはサンタクルスがスタメン復帰。バルデス、バリオスが細かく動いてCFにサンタクルスが居る方が攻撃は落ち着くな。守備の堅い両チームだが、攻撃はパラグアイが上か。 とはいえパラグアイも基本1-0でオッケーの芸風なので、ポゼッションしながら相手の綻びを見ているような展開。チャンスがあれば人数が増え、奪われれば前からプレスしながらしっかり守る。 27分、プレスの密集からこぼれたボールをバリオスが溜めて落とし、後ろから来たベラが決めてパラグアイ先取点。これも見てから上がってたら遅いんで、チームとしての呼吸が合って生まれたゴールだろう。 ボールでのアプローチでパラグアイが一歩早いため、スロバキアはなかなかボールを持てない上に、持ってもパラグアイのプレスの前にビルドアップできずロングボール、とちょっと打開の手がかりがない感じ。 86分、セットプレイの流れからリベロスが試合を決める追加点。ロスタイム4分にも何も起きず、2-0でパラグアイが危なげなく勝利。このパラグアイの地味な強さ(ある意味で非常に南米らしい)は凄いな。この試合、スロバキアに何もさせなかった感じ。同グループF、イタリアvsニュージーランド。ニュージーランドは予想フォーメーションでは4-3-3となっていたが、実際は前節と同じ3バックか。 7分、FKからカンナバーロのクリアミスをFWスメルツが入れて、なんとニュージーランド先制。追うイタリアもかなり実効的なサッカーで前へ進んでくるが、ニュージーランドもフィジカルと運動量で守備的になりすぎずに攻めても来る。 イタリアが力で押すようなサッカーの分だけ、ニュージーランドが対抗しやすくなっている印象もある。ジラルディーノへの楔は全部潰してたし。 そんな状況の27分、キエッリーニのクロスに中でデ・ロッシが倒されてPK。確かにCBスミスが掴んでるのだが、これはデ・ロッシが上手く貰った感じで、この辺は踏んだ修羅場の数が違うな。ヤクインタが決めて同点。 変わらずニュージーランドはイタリアにポゼッションされながらも、中盤からDFラインでボールを奪ってFWに当てる(フィジカルでイタリアDFに負けない)というサッカーを愚直に続ける。5バック気味ということで、WBのロックヘッドとバートスの運動量がポイントだろう。 イタリアは後半頭からジラルディーノout/ディ・ナターレin、ペペout/カモラネージin。前半よりも変化のあるサッカーで何とか仕掛けて崩したい意図のある交代。 実際イタリアがゴール前で良い局面を作れるようになってきたものの、やはりニュージーランドのセンターDFは堅い。イタリアは61分に早くも3人目の交代、マルキージオout/パッツィーニin。 この時間に怪我人も居ないのに交代枠を使い切るのは極めて異例だが、リッピ監督の「点を取れ」という強い意志の出た采配だ。時間の経過でニュージーランドの運動量がやや落ちてきたこともあり、オープンなスペースが増えてくる。 イタリアも前懸かっているのでカウンター時の後ろの守備が危ないが、引き分け上等のニュージーランドは速攻はせずにボールを持ったら時間を使いながら進める。この状況をイタリアは打開できない。 このまま1-1のドロー。ニュージーランドのゲームプランが完全にハマった感じで、イタリア攻撃陣への懸念が露呈した試合だった。素人考えだけど、FWよりピルロとか入れた方が良かったんじゃないですかね。
グループG、ブラジルvsコートジボワールの大一番。コートジボワールはドログバがスタメン、ブラジルは前節通りのメンバーで、SBマイコンとSHエラーノの右サイドがポイントだろう。 立ち上がりからブラジルが出てくる。スゲー迫力。コートジボワールもテクニックあるし組織力あるし、これはレベル高いわ。ボール持ったときにドログバを見つつも、そこをケアされている場合の戦い方がカギになる感じ。 ブラジルは、エラーノが中に入ったスペースをマイコンが使ったり、カカーがマークを引きつけてフェリペ・メロを空けたりと、優勢に押しながらコートジボワールの守備ブロックに対してジワジワ揺さぶりをかける。 そして25分、中央でロビーニョ、カカー、ルイス・ファビアーノが細かくパス交換しながら守備6人の密集を交わして、ルイス・ファビアーノがゴール。これは美しすぎる。 ここまでほぼ唯一のチャンスを決められた形だったが、コートジボワールの組織も破綻せず、粘り強く対応。ブラジルが無理に攻めないこともあって、若干試合は停滞気味に。機を見てコートジボワールが攻めに転じると試合が動く感じ。 どこでコートジボワールが思い切って攻めに出るかが焦点だったが、50分、ルイス・ファビアーノが前で受けて、リフティングでDF2人抜いて個人技で追加点。かなりハンド臭いプレイだったものの(苦笑)、これはこれで凄かった。 54分、コートジボワールはFWジェルビーニョ投入。これを機に全体が前に出てくる。ドログバも外に流れて中を使わせたりと前線が活発になり、プレスも強まってショートカウンター気味に好機も作る。 だが62分、ブラジルが自陣ゴール前でのボール回しからSBバストスが縦に入れて、カカーがDFを連れてサイドに流れ、そこに右サイドからエラーノが中に入ってきてシュート、3点目。前でルイス・ファビアーノがDF釣っているのも渋い仕事してました。 これで勝負あり。しかしその直後、絶好調のエラーノが悪質なタックルで負傷(結構なケガっぽい)、ダニエウ・アウヴェスに交代。 グループ2位抜けを考えると1点でも返したいコートジボワールは、79分、テレビゲームみたいにブラジルにボールを回される中からのカウンターでジェルビーニョが独走し、折り返したボールをトゥーレ・ヤヤが裏に出してドログバがゴール。素晴らしい。 守備の集中が切れていたのもあるが、ドログバのオフサイドラインの抜け方はさすがとしか言い様がない。 最後はラフプレイが増えて、荒れて殺伐とした状況に。カカーが1枚イエロー貰ってるのに感情的になって、ボールと関係ない場面で相手にヒジ入れて退場とか珍しいよな。 結局3-1でブラジルが勝利。グループリーグ突破が決まったが、退場者と怪我人が出て、かなり後味の悪い試合になった。でもやっぱブラジルは強かったっす。コートジボワールは序盤の消極さと終盤のラフさが残念。 次の試合エラーノとカカーが居ないって、コートジボワールがポルトガルを有利にしちゃった感じだ。
同グループG、ポルトガルvs北朝鮮。ポルトガルは前節からデコに代えてチアゴ、リエジソンに代えてウーゴ・アウメイダが先発。北朝鮮には罰ゲームみたいなカードが続くなあ。予想では4バックだが、この試合も実質はWB+3バックの変形5バックっぽい。 開始直後から、小雨でスリップする選手が出ているのが目立つ。ブラジル戦では守備第一という感じだった北朝鮮だが、この試合ではライン高めで前からプレスしている。ポルトガル相手にポゼッション取りながら攻撃を仕掛けるって何か凄いな。 ポルトガルもスリッピーなピッチとDFラインが高いことを考えて、細かく繋ぐというよりは長めの縦パスをグランダーで入れながら守備の裏を突くような攻撃を見せる。 ポルトガル中盤は足下パスの多い内はあまり驚異ではないが、個人技やスピードでゴール前に入ってくるとやはり怖いな。北朝鮮DFの集中力が続いている内は持ちそうだけど。北朝鮮はボールを高い位置で奪うと、うまくスペースに走り込みながらシュートまで持ち込む。 いや北朝鮮、ポルトガル相手に良いサッカーしてます。ちょっと驚き。ポルトガル守備は中は堅いが、サイドでは意外とボール持てるので、北朝鮮にも得点のチャンスは感じられる。 ただ29分、チアゴからの縦パスから2列目からの飛び出しで裏を取ったラウル・メイレレスが決めて先制点。飛び出しも良かったが、パスを出したチアゴに全くプレッシャーが掛かっていなかったのがミスだった。この辺からポルトガル中盤と前線にほとんど北朝鮮のプレスが掛からなくなる。 その他の場面でもWBが上がってる時に3バックのサイドのスペースはシモンやクリスチャーノ・ロナウドに良いように使われてる。ここでパス&ゴーが出来ればチャンスが広がると思うんだけど。このサッカーならFWはリエジソンの方が合ってないか。 53分、ミゲルのパス→アウメイダの落とし→メイレレスのパス→フリーのシモンのシュートで2点目。CB全員がボールウォッチャーでまったく対応できなかった。直後の56分もフリーのチアゴからコエントランのプルバックのパス→ウーゴ・アウメイダが追加点、3-0。 とにかく最初のボール出しの選手にプレスが掛からず、ホルダーに3人ぐらい付いててもパス出されてる。 60分、クリチャーノ・ロナウドの個人技でDFに抜け、左サイドに持ち込まれてから折り返して、後ろからフリーのチアゴに決められて4点目。 時折北朝鮮にもチャンスが回ってるのだが、人が懸かっていないと散発的な攻撃に終わる。81分には途中交代のリエジソンが、クロスのDFからのこぼれ球を難なく決めて5-0。 完全に押し込まれた北朝鮮は反撃も前半以上に機能せず、このまま終わるかと思った87分、北朝鮮GKのクリアミスを拾って6-0。更にその直後、ミゲウ・ヴェローゾからのクロスをチアゴが決めて今日2点目、計7-0。 ロスタイム2分の後に試合終了。この状況で8点目を取りに行くリエジソンのプレイがポルトガルの姿勢を表しているだろう。この攻撃的というよりはハングリーさが強みなんだろうな。北朝鮮も男前のサッカーだったが、実力差はどうしようもなかった。
グループH、チリvsスイス。前節完勝のチリと、スペインにまさかの勝利のスイス。チリはバルディビラでなくFWにスアソが復帰。両SBだったイスラとビダルを右サイドに置いて、左SBはCBタイプのハラを置くという予想フォーメーション。実質3バックかも。 スイスは遂に大黒柱のFWフライ先発。インレルとフッゲルをDHに並べて守備を意識した布陣。怪我のCBセンデロスはベンチ入りだが出場無しの模様。いやーこの試合もワクワクするな。開始2分でいきなりスアソにイエロー。嫌な予感がする。 チリの流動的な中盤からのミドルシュートが続くが、スペイン戦でも止めまくったスイスGKベナーリオがここでも頑張る。凄いな。 スイスもなかなかアグレッシブで、チリDFの両サイドのスペースに起点を作ろうとしている。右サイドはイスラ、左サイドはハラとSHにビダルが張ってるっぽい。チリのフォーメーションは前節に近い4/3バックの併用だな。 25分でチリに3枚目のイエロー。主審はサウジアラビア人。そして31分にスイスMFベーラミがラフプレイで一発退場。中盤の核が居なくなったことでスイスは、やや守備的に。42分にフライout/バルネッタin。ベーラミの穴を埋める。 サンチェスとイスラの右サイドを中心に、基本チリが攻め続けるが、守りを意識したスイスの堅さはスペイン戦で証明済み。後半頭からチリは、スアソout(怪我?)/バルディビラin、ビダルout/マルク・ゴンザレスin。完全3バックか。 チリの縦パスは人数掛けて潰し、裏を狙ったパスはラインコントロールで対応。上手く抜けてもGKベナーリオが止める。鬼気迫るスイスDF陣。ファウル基準の曖昧さもあって、個々の局面でいざこざが起きて試合が荒れ始める。 65分にマティout/パレデスin。チリは2トップに。スイスは速いFWデルディヨクを入れて完全カウンター狙い。ベンチワークも凄い。 そして75分、バルディビラのスルーパスに抜けたパレデスが折り返してマルク・ゴンサレスがゴール。オフサイドの取り損ね、というかスローで見ると正直微妙な感じだが、交代選手が全員絡んでの得点だった。結局これが決勝点となって1-0でチリの勝利。 特に途中からケガっぽかったが、バルディビラの活躍は凄かった。
ハッキリしているのは、この審判はワールドカップで主審を務めるレベルじゃないことだ。 カード連発で試合を荒れさせた上に、チリがスローインした後に間違って2個目のボールを係員が入れたらドロップボールにするとか[※修正:2個目のボールが入ったら強制ドロップボールというルールなので、この対応は合ってました]、 インレルとサンチェスの交錯で止めに来たマティにイエローとか意味不明(これでマティはスペイン戦出場停止)。 もう勘弁してくれ。途中から変な笛に両チーム選手から苦笑が出てたよ。結局イエロー9枚・レッド1枚って、カード2枚で累積出場停止の大会で出し過ぎだろ。同グループH、スペインvsホンジュラス。良いところなく戦術の限界を見せて負けたスペインと、負けたなりに可能性を見せたホンジュラス。スペインはスタメンからフェルナンド・トーレスを入れて2トップ、右サイドは前節良い活躍を見せたヘスス・ナバス先発。 ホンジュラスは怪我明けのベテランFWダビ・スアソ先発。こちらの主審はJでまあまあアレな西村審判。スペインはいつものポゼッションサッカーだが、ホンジュラスも守備的ではなく割と真っ向勝負っぽい姿勢。押し込まれながらもボールを持ったらしっかり攻めている。 4-1-4-1のDHウィルソン・パラシオスが組み立てて、右サイドのSBメンドーサやSHマルティネスから攻撃が入る感じ。スペインが攻めつつも拮抗した状態から17分、左サイドからビジャが3人抜いてスペインが先制ゴール。これはさすが。 失点しつつも姿勢は変わらないホンジュラス。ただパスやクロスの出所にプレッシャーが掛けられないのが厳しい。スペインはトーレスが決めると楽になりそうなのに結構外す。プレミア見ない人からすると、トーレスが決めた試合ってユーロ2008決勝ぐらいなんだよなー(苦笑)。 アトレチコ時代はずっと「期待の若大将」だったし。どうなんすかね。ホンジュラスは後半からFWエスピノーサとウェルカムが入る。前からプレスを掛けるが、SBが攻撃重視なのと1ボランチの弊害か、スペインにボール持たれた時に両SBのあたりの守備がかなり緩い。 51分、ビジャがカウンターから追加点。これも一度サイドでヘスス・ナバスが受けて中に戻してのシュートだった。ホンジュラスも攻めるが、もう1点入ったらモチベーションが崩れそう。61分、ヘスス・ナバスが倒されてPK。これをビジャが外す。あれ? 66分、シャビout/セスクin。70分、トーレスout/マタin。後半スペインはより組織的になったが、まだどこかバタバタしてるなあ。77分、セルヒオ・ラモスout/アルベロアin。カウンター対策か。攻撃も露骨に人数が減ってきたスペイン。 ホンジュラスもチリ戦ほどの組織力は出せず、個人技メインで散発的な攻撃に終始。最後は両チームともグダグダな雰囲気で終了、スペイン2-0勝利。うーん。
しかしオシムのスペインへのディスり方は凄いな。「32チーム中最弱の相手に、スイス戦で傷ついた個人のプライドを満たすだけの試合をしている。傲慢で鼻持ちならない集団。スペインを押していた自分が恥ずかしい。システムではなく選手の頭が悪い」(オシム談)。 いやーそこまでじゃないと思うけど(苦笑)。
【6/24】
FIFAワールドカップ2010。各グループ最終節は同時開催。1日4試合はさすがにキツイっす。
そういえば例のオシム動画が上がっていたw。爺ちゃんテンション高すぎです。グループA、メキシコvsウルグアイ。相変わらずウルグアイ国歌はイントロが長い。メキシコはブランコがキャプテンで先発。登録メンバー上だと6-1-3だった前節から5-2-3へ(笑:メキシコはDF登録の選手が多数MFをやってるので)。 2試合連続完封のウルグアイは要の一人、CBゴディンが胃腸炎でビクトリアーノが代役というのが懸念点。 両チームとも引き分けでグループリーグ通過だが、メキシコは勝たないと2位通過で次は多分アルゼンチン戦になるというのと、でも大敗すると南アフリカに逆転通過される可能性があることで、若干アンビバレンツな立場。 開始直後、まずメキシコが出てくる。細かいパスでポゼッションを取りながら押すが、ウルグアイは受けながらも要所は抑えてピンチは作らせない。巧いねえ。両チームとも引き分けOKという感じでもなく、なかなか攻撃的。 ウルグアイは個人テクニックに加えて球際の強さでチャンスを作る。メキシコはDFがサイドから崩しきれないと見るや中に入ってミドルを狙ったりと(グアルダードのバー直撃とか惜しかった)、ウルグアイのプレスと堅さに対応しながら攻める。 どちらもチャンスがあれば一気に人数を掛け、ピンチを迎えれば全力で戻って体を張って守り、時には緊張感を保ちつつも適度に力を抜くという、この勝負勘も凄い。これクオリティ的には今大会最高レベルの試合じゃないだろうか。 35分にはウルグアイMFディエゴ・ペレスが競り合いで頭を切って流血。激しい。拮抗した状況だったが、前半終了寸前の43分。フォルランがプレスして前線でボール奪取→カバーニのクロス→スアレスがゴール。この3人はやはり凄いな。 後半頭からメキシコはグアルダードout/FWのバレーラin。やや中盤を簡略化しながら前に早くボールを動かす。グアルダード悪くはなかったと思うんだけど、とにかくメキシコは点が欲しい感じ。 逆にセットプレイでピンチを招くが、GKオスカル・ペレスのスーパーセーブで難を逃れる。やはり後半もペースはウルグアイか。メキシコは57分、モレノout/カストロin。63分、ブランコout/ハビエル・エルナンデスin。 アギーレ監督の交代カードは完全に攻撃。ほぼ同じメンバーで戦っているウルグアイには、やや疲労の色が濃くなり、前のプレスが無くなって守備にファウルが多くなる。それでも隙があればミドル撃ったりセットプレイに持ち込んだりと守備のみにならないのがウルグアイの凄味。 そして何とかDFが耐えきったウルグアイが1-0勝利。メキシコは次々カードを切って押し込んでいた時間帯に点が取れなかったのが敗因か。思ったより最後まで攻め合った印象だった。メキシコは負けたとはいえ2位通過を確保。ウルグアイは3戦全勝かつ失点ゼロで素晴らしかった。 ウルグアイ代表といえば、以前は良い選手は揃っていてもまとまりが無いイメージが強かったが、今回のチームは組織として機能してるよなあ。 一つだけ残念だったのは、スカパー実況の南鉄平がレベル低かったこと。適当な繋ぎを解説の松原さんに振ったり、選手の見分けが付かなかったり。最後のスタジオトークは時間調整を間違えて黙っちゃうし。好試合なんだから頼むよ。
同グループA、フランスvs南アフリカ。開催国初のグループリーグ落ちが近い南アフリカと、監督とチームが対立して事前トレーニングをボイコットという空中分解寸前のフランス。まずはチーム紹介ビデオでのピーナールの母ちゃんの巨乳ぶりに驚く(笑)。 フランスはメキシコ戦から6人入れ替えたスタメン。ジニャクとシセが先発で、アンリはまたベンチか。南アフリカも5人入れ替え。主審は国際試合でよく見る、コロンビア人のオスカル・ルイス。まあ普通かな。 リベリーを筆頭に選手個々の能力としてはフランスは高いわけで、立ち上がりはフランスが押している印象。南アフリカも何度か好機は作るものの、フランスの守備ゾーンではどうしても押さえ込まれる。 だが20分、カウンター気味にピーナールを走らせて取ったCKからDFクマロのヘッドで南アフリカ先制。MFシャバララのキックの質も良かったが、フランスGKロリスがパンチに行って触れなかったのが痛い。ロリスは他の場面では良いプレイだったんだけど。 さらに25分、フランス攻撃時の組み立てをしていたMFグルキュフが相手と競ったときにヒジを故意に入れたことで一発レッド。ボルドーでの活躍ぶりを全く発揮しないままワールドカップから去った感じだ>グルキュフ。 37分、オーバーラップしてきたSBマシレラのシュートがDFの足に当たってこぼれた所をFWムフェラが決めて南アフリカ追加点。ゴールを返したいフランスだが、数的不利でボールが繋がらないのと、南アフリカGKジョゼフスの好守もあって得点が取れない。 43分、別試合でウルグアイが1点取ったことで、南アフリカがあと2点取ればメキシコを抜いて2位通過する状況となった。ロスタイムも前半から3分(微笑)。後半頭からフランスはジニャクout/マルダin。カウンター要員か。 55分にシセout/アンリin。ただし状況は南アフリカが押していて、サイドを崩す、またはミドルシュートで終わるシーンが多い。中盤でフランス守備が効いていないが、なんとかゴール前だけは固めている印象。 全般的に、フランスは受けに立ったときに南アフリカ選手のスピードに付いて行けてない。年齢高めだしなあ。 70分、SBサニャが中に持ち込んで、リベリーがDFラインの裏を取って受け、折り返したボールをマルダが決めてフランスが1点返す。南アフリカはこれで3点が必要に。 実はこの時点で、別試合のメキシコベンチで「2-1になった」というスタッフのハンドサインが交わされていたのがカメラに写っていた(たぶん選手には判らないように)。メキシコvsウルグアイ戦の実況では触れられてなかったけど。 82分、MFディアラout/FWゴブーin。南アフリカ選手に疲労が出てきたこともあり、ポゼッション的には互角になったが、どちらも崩すというよりは一発チャンスで、という感じだなあ。 そのまま2-1で南アフリカ勝利。フランスは未勝利(1分2敗)で終了。南アフリカもグループリーグ敗退で、初勝利にもビターな表情。両チームともお疲れ様でした。
グループB、ギリシャvsアルゼンチン。ギリシャは好調のサマラス先発。アルゼンチンは前節からスタメン7人交代、遂にFWミリート(兄)が登場。おー、メッシがキャプテンマーク付けてる。ギリシャは5バック、ゾーンではなくマンマークからのカウンター狙い。 基本引いて守備、ボールが入ったらサマラス、カラグーニス、カツラニスの3人を中心に攻める。あとはセットプレイがチャンスか。ただゲームの大半をアルゼンチンがポゼッションしてるのでギリシャの攻撃自体少ない。 アルゼンチンはサブ組だが、アグエロ、ミリート、マキシ・ロドリゲスetcとメンバーは物凄い。でも連携は微妙かな。ゲームを組み立てるのはベロンだが、メッシが浮いてるんだよなあ。徐々にシュートも多くなってきたが、ギリシャGKツォルバスが好調でしっかり止める。 ギリシャもカウンターが徐々に増えて、得点しそうな雰囲気。ただ後半からカラグーニスout/スピロプーロスin。どうも足首の怪我らしい。しかもその直後にカツラニスとトロシディスも怪我。55分で交代枠を使い切ったギリシャ。 カウンターの起点でサマラスが機能している(ていうかCBデミチェリスが相変わらずヤバい)ので、得点の機会が無い訳ではないが、スコアレスドロー上等という状況で無くなってもサマラス放り込み以外に攻め手が無さ気な感じ。 一方、アルゼンチンもギリシャGKツォルバスを破れなさそう。メッシの絶妙なFKもボラッティの至近距離の強力シュートも全て止める。これ凄いな。75分、アグエロout/パストーレin。代表2試合目の21歳をここで入れるって、マラドーナっぽい交代だ。 直後の77分、CKからの流れでデミチェリスが蹴り込んでアルゼンチンが先制。これがあるから使ってるのか〜ってなんか違う気がするけど。チームスタイルなのかメンタルなのか、負けてる状況でもギリシャはなかなか前に出てこない(これない?)。 ギリシャは韓国戦でも同じように先制されてからの消極さが目立ったが、うーん、どうなのかこれは。 80分にミリートout/俺たちの36歳、パレルモin。会場ではブブゼラの音を抑えて、ボカのインチャが歌うパレルモのチャントが聞こえる。凄え。 89分、メッシの絶妙なドリブルからのシュート→GKが弾いたところを詰めて、パレルモがゴール。いやー正直、平日深夜に男泣きですよ。なんて物を見せてくれるんや。マラドーナ最高。試合は2-0でアルゼンチン完勝、1位通過確定。ギリシャは敗退。
決勝トーナメント1回戦の相手はメキシコということで、2006年ドイツ大会の再現。あの時は延長でアルゼンチン勝利だったが、今回はどうですかね。同グループB、ナイジェリアvs韓国。前節ギリシャ相手に泥仕合&ケガ人続出のナイジェリアは、ベテランのカヌーが先発。韓国はほぼベストメンバー。ナイジェリアは勝てばグループリーグ突破の可能性があるが、引き分けも許されない状況。 キックオフから両チームとも積極的にボールを動かす。韓国はサイドから、ナイジェリアはカヌーに収めてから攻める感じ。12分、オディアがサイドで強引な突破からクロス、逆サイドから中に入ってきたカル・ウチェがDFを振り切ってゴール。 ファーストシュートが決まり、ナイジェリアに先制点。ナイジェリアはしっかりボールが回っている。失点した韓国もアルゼンチン戦で足りなかったアグレッシブさが出ている。今度は38分、FKからDFイ・ジョンスがヘッドで同点ゴール。ギリシャ戦といい、キッカーのキ・ソンヨンは巧いな。 その後は一進一退の展開だが、韓国が前に当ててからDHが上がってくるとナイジェリアDFが対応しきれない場面が目立つ。ただファウルでFKは取れるものの、崩しきっている訳ではないので流れから得点するまでには至らず。 ナイジェリアは韓国の左SBのあたりをかなり突いてくる(先制点もそこから)。何らかの戦術なのか。後半頭からヨボout/エチエジレin。CB交代ということは怪我か。49分、パク・ジュヨンのFKが直接ゴールして韓国が逆転。この人、なんか俊輔っぽいんだよな。 この得点もナイジェリアがゴール近くでファウルが多いことが伏線になっている。点が欲しいナイジェリアは57分、カヌーout/マルティンスin。韓国はユム・ギフンout/キム・ナミルinでDHの2ボランチにしてキ・ソンヨンを一列上げる、守備重視の交代。 68分、そのキム・ナミルがオバシをエリア内で倒してPK。ヤクブが決めてナイジェリア同点。しかし、このまま引き分けだと総得点差で韓国が通過。ナイジェリアはもう1点欲しいところ。韓国は運動量が落ちてきて、ナイジェリアが攻める場面が続く。 その中で何度か決定的な場面を作るが、マルティンスやオビンナが決められない。韓国はボールを持っても無理には攻めない。終盤はナイジェリアの猛攻を韓国が粘って凌ぎ、試合は2-2のドロー。 韓国がグループリーグ突破。ナイジェリアの選手たちはピッチに崩れ落ちる。韓国の決勝トーナメント1回戦はウルグアイか。キツいなあ。
グループC、スロベニアvsイングランド。1勝1分で意外な首位のスロベニアは前節アメリカ戦と同じスタメン、というか3戦ともほぼ同じ先発メンバー。イングランドは勝たないと結構な他力本願となる状況。CBアプソンとMFミルナー、FWデフォーがスタメン。 主審は欧州CLでもよく見る、ドイツ人のヴォルフガング・シュタルク。初ワールドカップ主審らしい。まあ普通レベル。両チームともアグレッシブにプレスを掛け、スロベニアは比較的繋ぎ、イングランドは長めのボールで走らせるスタイル。 懸念はイングランドの守備か。どうも不安定なのと、プレミア基準のタックルがファウル取られるんだよな。あとGK(笑)。「スロベニアはロングでも撃てばいいんですよ。ボールがボールだし、GKはジェームズだし」(粕谷・談)。 でも20分の密集からの至近距離シュート止めたのは良かった>ジェームズ。でもランパードとかまだこのボールに慣れてないように見える。 スロベニアはサッカースタイルが説明しづらいのが特徴。繋ぐし組織的だしプレスもするし個人テクニックもあるんだけど、もの凄く完成度された部分がある訳でも凄い穴がある訳でもないんだよなあ。モダンちゃモダンなんだけど、説明できない強さ。 23分、ミルナーのサイドラインギリギリからのクロスを、デフォーがDFの前に巧く入って決めてイングランドが先制点。ここから何度か好機を作るが、デフォーが良いな。ていうか新たにスタメン入った3人ともいいパフォーマンス。さすがカペッロ。 その後、ポゼッションで攻めるスロベニアvsカウンター気味にデフォーとルーニーが走るイングランド、という構図が続く。ドイツ人主審らしく、前半ロスタイム無し(笑)。後半に入るとイングランドが猛攻。決めきれないまでも崩してもう一歩、というシーンが頻発する。 いやー、こういうのが本来のイングランドだよな。ルーニーはポスト直撃とか、本当に後は決めるだけという感じ。ただスロベニアGKハンダノビッチも素晴らしい出来で、なかなか追加点には至らない。72分、ルーニーout/ジョー・コールin。 ポゼッションもイングランドが握り、打開策が見えないスロベニア。79分、MFキルムont/FWマタフツin。点を取りに行く交代だと思うが、更なる失点を恐れてか、もの凄く前懸かりにガツガツ行ってる感じでもないのが微妙。 85分、デフォーout/ヘスキーin。イングランドは引き気味で時間を使いながら進める。痺れる。「God Save The Queen」の大合唱の中、ロスタイム3分が経過。試合終了でイングランドは通過決定。 同時に別会場でアメリカが後半ロスタイムにドノヴァンのゴールで勝ち越し。イングランドとアメリカが勝ち点5で、なんと勝ち点4のスロベニアは試合前の首位からグループリーグでの敗退が決定。 スロベニアは第2戦で最後アメリカに追いつかれて引き分けてしまったのと、このイングランド戦は0-1の負けでもいいやと思ってしまったのが痛恨だった。こういうのがあるから面白いんだよなあ。しかし今回のアメリカは凄いな。
【6/25】
FIFAワールドカップ2010。各グループ最終節は同時開催なので、もう1試合の結果は嫌でも分かっちゃうんだよなあ(ザッピングで見ない人です)。しかも1日4試合、4日で16試合のペース…決勝トーナメントは16日で16試合なのに。 こんな観られないっすよーという感じなんで、まあできるだけ。グループC、アメリカvsアルジェリア。アメリカ、アルジェリアとも勝てば決勝トーナメント進出。アメリカは前節後半のメンバーからCBオニェウに変えてSBボーンスタイン(ボカネグラがCBか)、FW登録だがMF的なエドゥを先発。アルジェリアは前節からMFを削ってFWジェブール先発。 というか前節イングランド戦の先発ってFW登録が一人もいなかったのね。主審はベルギー人のフランク・デブレーケーレ。 両チームとも様子をうかがいながら攻めるときには行く感じで、手数少なくシュートまで持ってくる。 アルジェリアは3バックだがライン高めで、ちょっとトルシエの日本代表っぽい。アメリカは決定的なチャンスを作るが、アルジェリアGKエムボリの好セーブやオフサイド判定(たぶんオンサイド)もあって決めきれない。 23分のイングランドの先制点で、この試合がドローだとスロベニアが通過。アメリカ、アルジェリアとも勝たないと敗退となる。 アメリカはDHブラッドリーのあたりがプレッシャーが少ないので、そこからの縦の楔またはドノヴァンへの配球で頻繁にチャンスを作る。だけど外しまくるんだよなあ、これが。力んでいるのか、いくらなんでも枠に行かなさすぎる。 アルジェリアはまだ惜しい感じだが、それでも決定的な雰囲気はない。ハーフタイムのスタッツは両チーム合計でシュート23本、うち枠内がたった6本(しかもアメリカの4本はGKエムボリに止められてる)という、ちょっとお寒い感じ。 アメリカは後半頭からFWゴメスに変えてMFファイルハーバー投入。アルティドールの1トップでデンプシーを内側に入れてシャドー気味に置いた布陣に。とはいえ両チームとも攻めたときにスペースが全く無いので、どこかリスクを負って人数掛けないと点が入らない気がする。 57分のカウンターからのアメリカ大チャンスもデンプシーのシュートがクロスバーに当たってゴールならず。こういう時に入らないんじゃ本格的に無理だ。お互いにどこかで行かなくては、と思いつつも同じサッカーを愚直に繰り返す。 64分、エドゥout/FWのバドルin。68分もバドルがGK正面でヘディングする決定的場面だったが、GKがしっかりキャッチ。入った選手の個人技やサイドや効いてきたこともあり、アメリカがかなり押す。アルジェリアはちょっと手詰まり感があり、疲労と共にファウルが増える。 アメリカもリスクを負って前に出る。でも点は入らない(苦笑)。アルジェリアはカウンターで攻めるが、リスクを負ってまでは出てこない。チャンスを作ってもボールが枠に行かない。うーん。80分過ぎぐらいからやっとアルジェリアも若干前に出始めるが、もうチャンスは薄い感じ。 そして、どちらも望まないスコアレスドローが濃厚となった後半ロスタイムの92分。 若干前に懸かったアルジェリアの決定的なシュートを止めると、そこからアメリカがカウンター。ドノヴァンのドリブル→アルティドールのクロス→デンプシーのシュートをGKエムボリが弾く→走り込んでいたドノヴァンがゴール。おお。ど根性USAに、再び観客が号泣。 90分掛けて、ついにゴールをこじ開けた。アルジェリアも最後は激しく行き、判定でもめた選手を止めに行ったアルジェリア主将のヤヒアが、なぜか退場に(苦笑)。試合は1-0でアメリカ勝利。シュート合計44本とは思えない内容だった。
これにより、イングランドとアメリカがグループリーグ通過。結果的には、状況に消極的だったスロベニアとアルジェリアが最後の最後で落ちた印象。アメリカはユーロ2008のトルコを思わせる存在だな。 敗れたアルジェリアは好チームなんだけど、スロベニアvsアルジェリア戦(ニュージーランドvsスロバキア戦と並んで、今大会最高の拷問でした)とか、この試合とか、このゲーム運びの厳しさは何なんだろう。観ていてもの凄いグッタリ感がある。 戦術的だし、出来ることを一所懸命しっかりやる「弱者のサッカー」という意味では好感を持つのだが(日本も同じだし)、このスタイルの試合を観るのはエンタテインメントではない、ということなのだろうか(苦笑)。グループD、ガーナvsドイツ。引き分けでもグループリーグ突破のガーナに対し、勝たないと自力突破のないドイツ。主審はブラジル人のカルロス・シモン。コパ・リベルタドーレスでもよく見る人だな。 ガーナはスタメンはほぼ変わらず、相変わらずアッピアーやムンタリはベンチスタート。ドイツはクローゼ出場停止を受けてカカウ、バードシュトゥーバーが控えに回ってSBはジェローム・ボアテングが先発。 なんとガーナのデレク・ボアテングとは兄弟(両親がガーナ人とドイツ人)。国歌斉唱でやはり2人が対比で映る。ドイツは前線でカカウ、ミュラー、エジルがポジションチェンジしながら積極的に攻める。 両SBだけでなく、隙を見てCBのフリードリッヒもドリブルで上がる。本家リベロだ。ガーナは前節同様、しっかりと守ってから攻めに転じるスタイルで、あまり無理にプレスする感じではないが、奪ってから縦に速い攻撃は迫力十分。得点の匂いがする。 ドイツは攻めは華麗だが守備は微妙。その攻撃も25分のエジルとか、決定的チャンスに決められない。このメンバーだとMFタイプばかりでストライカーという感じの選手はいないしなあ。ポゼッションはドイツだが展開としてはガーナ優勢という印象で前半終了。緊張感あるなあ。 後半もガーナのペース。ドイツが中盤でボール回しても、縦には入れさせない。サイドに追いやって中を固める。うーん、これドイツが点取れる気がしないぞ。このガーナのクレバーな戦い方は近年のアフリカでも抜群じゃないだろうか。 いくら回してもシュートまで持ち込めない状態だったが60分、ミュラーの突破からフリーになったエジルがミドルシュートでドイツ先制。ちょっと消極的なプレイが目立っていたエジルだが、バイタルでフラッと何気にフリーになる位置取りと、この思い切ったシュートは良かった。 これで攻めざるを得なくなったガーナだが、攻めに人数を掛けつつもバランスを変える程ではない印象。堅いな。67分、ミュラーout/トロホウスキin。ジェローム・ボアテングout/ヤンゼンin。ドイツが立て続けにカードを切って活性化する。 オーストラリアが2点取った報が入り(ガーナベンチにも反応あり)、ガーナも無理に仕掛けるかどうか様子を見ている印象で、この状況でもまだリアクション気味の対応。 80分、傷んだシュバインシュタイガーout/クロースin。この緊迫感のある状況で21歳の若造(90年生まれ!)[※修正:20歳でした]を入れるレーブ監督の胆力は凄いな。ドイツ選手もベンチに様子を聞きながらプレイ。 両チーム自重気味の展開で、いかにもグループリーグ最終戦という感じのまま試合終了。結局ドイツが1位通過、なんと決勝トーナメント1回戦の相手はイングランド!(「第二次世界大戦と同じカード」(オシム談)。凄い表現だ(笑))。2位通過のガーナはアメリカとなった。
同グループD、オーストラリアvsセルビア。ドイツが勝った場合、4点以上取っての勝利が必要なオーストラリア。ガーナが勝てばこの試合勝てばOK。いずれにせよ、オーストラリアは勝つしかない。セルビアは勝てば他会場の結果に関わらずグループリーグ突破が決まる。 オーストラリアはケーヒルが出場停止明け、前節退場のキューウェルの代わりにケネディがスタメン。前線にはっきりポイントを立てる意図か。セルビアは第1節退場のルコビッチが復帰、SBはコラロフを控えに回してオブラドビッチが初出場・初先発。より攻撃的なメンバー。 主審はホルヘ・ラリオンダ。試合はセルビアの両SH、特に右サイドのクラシッチ(この人は凄い)を中心に攻め、前からもプレスを掛ける。 オーストラリアはケーヒルが中で配球するか、ケネディに当てて(セルビアDFは高いがケネディなら良い勝負)そこからのセカンドボールを狙う感じ。あるいはケネディをおとりに、SHのブレシアーノやエマートンが相手エリア内に入っていくか。 ケネディ含め前線からボールを奪われるとしっかり守備するので、第1戦のドイツ戦のような相手にボールを回されてもプレスが掛からないということはなく、守備も概ねセルビアを抑えている。 セルビアのポイントはクラシッチに走らせることで(この試合は今まで以上にサイドから中に入ってくる)、そこに逆サイドのヨバノビッチや2列目のニンコビッチが絡んでくるとチャンスが生まれるが、オーストラリアGKシュウォーツァーがしっかり止めて得点には至らない。 強いフィジカルでプレスが効いている範囲ではオーストラリアペースか。ただ勝利は前提として大量点も必要なオーストラリアとしては(1-0勝利とかではダメ)、どうセルビア守備陣から点を取るのかが重要になってくる。 セルビアは思ったよりSBの攻撃参加が薄いので、両SHの攻撃が散発的になっている印象。後半もオーストラリアが前から激しく行き、セルビアがカウンターでチャンスを作るような形。ただセルビアは後半に入って、ちょっと前へ行くアグレッシブさが減った印象。 62分セルビアは、クラシッチout/トシッチin。この大会キレてたクラシッチを下げたのは疲労あるいは怪我か。 66分、バレリ&ブレシアーノout/ホルマン&チッパーフィールドin。オーストラリアは2トップ1ボランチに。直後の69分、SBウィルクシャーのクロスをケーヒルがヘッドで合わせてオーストラリア先制。 チッパーフィールドが後ろから入ってきたので、CBビディッチが1人でケーヒルとチッパーフィールドの2人に付く形となって生まれた得点だった。もう一人のCBルコビッチはウオッチャー状態、最初付いていたSBイバノビッチは奥のケネディの折り返しを気にしたか。 失点して前に人を懸けつつあったセルビアだが、73分、カウンターからホルマンのミドルシュートが決まりオーストラリア追加点。試合前は2-0ぐらいで割と楽にセルビア勝利とか思ってたんだけど、これは意外な展開だ。 クラシッチがいなくなったセルビア攻撃陣はサイドからの脅威が減り、オーストラリアの守備はやりやすくなった感じ。77分、MFクズマノビッチout/FWラゾビッチinと、前の選手を投入。あと2点欲しいオーストラリアもさらに攻める。 中盤を端折りめのスピーディーでオープンな展開。84分、トシッチのシュートをGKシュウォーツァーが弾き、パンテリッチが詰めてセルビアが1点返す。2-1。もう3点取らなくてはならないオーストラリアの足が止まり、あと1点取れば可能性が生まれるセルビアが元気付く。 いずれにせよ、このままだと両チームとも敗退決定。どちらも何とかしたいという、疲労の色が濃い中での死闘。スタンドの観客が全員立ち上がって観てる。凄い。しかし無常のタイムアップ。オーストラリアの選手は倒れる者あり、立ちつくす者あり。 セルビアの選手の数人は審判の判定に食ってかかり、それを止める選手やアンティッチ監督。ともあれ、両チームのワールドカップは終了した。セルビアは前半のチャンスが多いときに1点でも決めていれば、という印象。
ちなみにセルビアがオーストラリアに負けたことについてのオシムのコメント。「3時間でも話せるが、一言で言うと”バルカン・シンドローム”ということだ。バルカンの国のことはこれで何でも説明できる。永遠の初心者で、いつ2年生になるか判らない」。 「オーストラリアについて試合前にセルビアの選手に聞いたら”ラグビーやクリケットは知っているが、オーストラリア人がサッカーやるのか”、”サッカー選手は誰も知らない”というだろう。試合の終わったいま知っても遅すぎる」(相手に尊敬が足りず、学習能力が低いということか)。 「チリはが良い例になる。大幅に若手に切り替えて、モダンで野心的なビエルサ監督に複数年与え、自由にチームを作らせた。こういったチームは内部分裂など起こりようがない」(オシム談)。いやあ、爺ちゃんの話は面白いな。グループF、スロバキアvsイタリア。なぜF組が先なんだ。パラグアイ一人勝ちのこのグループ、スロバキアは勝たないと終了。イタリアは勝てば通過、負ければほぼ終了。引き分けはパラグアイvsニュージーランド戦の結果次第。 スロバキアはバイスが控えになった他、3人を前節スタメンから変更。イタリアはガットゥーゾとディナターレ先発。審判はイギリス人のハワード・ウェブ。CLやユーロ決勝を務めた有名どころだ。 ここ2戦は得点力に欠けるイタリアがキックオフから積極的に出る。ヤクインタ1トップにどんどん縦に球を送り、ディナターレとペペが絡む。スロバキアは速く繋ぎながらフリーランでSBが上がり中との連携でフィニッシュまで持って行く感じ。 どちらも攻撃的だが、スロバキアの方が得点しそうな雰囲気。なんせイタリアは2戦で2点、しかもCKからとPKでの得点で流れの中からは決めていない。個々は頑張っているんだけど、全体としてイタリアは機能し切れていない印象。 25分、中盤のパスをMFシュトルバがカット、そこから受けたビッテクが決めてスロバキア先制。ポゼッションも流れもコントロールされたままイタリアが失点。 イタリア選手もボールを取りに行くが、プレスじゃなくて個々のボール奪取でしかないので、しつこく行ってファウル取られてイラつく、という場面が頻発。 個人テクニックもあまり差がない(スロバキア選手はイメージ以上に巧い)ので、どう点を取るかを組織的にやらないとイタリアも相当難しいのでは、と思う。 前半終了直前に、先制点をアシストしたシュトルバがガットゥーゾに足裏で削られ、膝横をザックリ割られたが(すごく痛そう)、応急処置とテーピングで復帰。その鬼気迫る表情がスロバキア選手を鼓舞する。素晴らしい。 後半頭からイタリアはメンバーチェンジ、FWクアリアレッラin/MFガットゥーゾout、SBマッジョin/SBクリシートout。正直、メンバーや位置が変わってもやってる内容が変わらないとなあ。 クアリアレッラが審判の見ていない所でスロバキアGKを蹴飛ばしてたりして(見てれば余裕でイエローもの)、ちょっと苛々も極まっている。 56分、ついにピルロin/モントリーボout。この試合もこの時間で交代枠を使い切った。見た感じでは完調には遠いしボールにも絡めていないが、いると存在感あるな>ピルロ。まだスロバキアが押し込んでいる状態だが、徐々にイタリアが戻してくる。 60分ぐらいからは基本イタリアがボールを持って、スロバキアがショートカウンターを狙う展開。イタリアには不運なジャッジ(スローで見ると入ってるっぽいゴールが認められず)があったりとツキもない。 さらに73分、スロバキアのCKの流れからハムシクのパス→ビッテクがDFの前に入って2点目を決める。うーん。 81分、クアリアレッラがドリブルで切れ込み→ヤクインタとの壁パス→GKが弾く→ディナターレが蹴り込んでゴール。イタリアが1点返して2-1。 運動量が多く疲労したスロバキアは前からのプレスを止め、かなり引いてゴール前を厚くする。イタリアの猛攻。87分、シュトルバout/コプーネクin。 89分、スローインからコプーネクがDFラインの裏に走り込んでループシュート、スロバキア3-1。これはイタリア守備陣が完全に集中力を欠いたことが原因の失点。 守備を固めたスロバキアDFだったが、後半ロスタイムの92分、不十分なクリアをデ・ロッシが繋いでクアリアレッラがミドル、ゴールで3-2。この執念はさすが。スロバキアはメンバー交代で時間を潰す。最後はキエッリーニのロングスローにペペが合わせるが枠に飛ばず。 これで試合終了、3-2でスロバキア勝利。イタリアはグループリーグで敗退。名将リッピのチームながら、怪我人の多さとリーグ終了から上がらない選手のコンディション、メンバーの世代交代の不調で、寄って立つゲームスタイルが不透明なままこうなってしまった印象が強い。 こうなると強い、というのが希薄だったように思う。残念です。スロバキアは2位通過で、決勝トーナメント1回戦の相手はオランダ。ハードですな。
グループE、デンマークvs日本。勝った方がグループリーグ突破。デンマークは前節からCBキアルが出場停止、グロンケアに変えてカーレンベア先発。日本は同じメンバー。 開始からデンマークが前線で流動的なポジショニング。パススピードが今までの相手より明らかにシンプルで速い。日本はいつもの、引き気味からのプレスで相手のペースを取らせないサッカー。 主審の南アフリカ人(ワールドカップ初担当らしい)はいわゆる教師タイプで、選手を仕切りたい雰囲気が満々。オーバーアクション気味のコンタクトは全部流す。いろいろ気をつけた方が良いかも。 と思ったら12分、遠藤に遅延行為でイエロー。この時間にゲーム遅らせて何の得があるんだ(苦笑)。デンマークはキアルが居ないことが地味に大きく、DFラインからのビルドアップが弱いのと、押し込まれて守備ラインにプレスが掛かるとちょっと怪しい雰囲気。 日本は中盤とDFラインのマークの受け渡しが怪しい。どちらも点は欲しいが取られたくないが、この試合ではデンマークの方がその意識が強い印象。 その17分、本田がFKを直接決めて日本が先制。無回転で落ちながらサイドネットに突き刺さる、凄いゴールだ。これはGKは取れないよ。日本はさらに前から行く。大久保とロンメダールのマッチアップは激しいな。デンマークは速攻とセットプレイ(なにせ高い)が狙いか。 26分、今度は長友がスローインの遅延行為でイエロー。なんだこれ。30分、今度は遠藤が直接FKを決めて追加点。日本のゴール前が堅いのでデンマークは縦パスではなくミドルを多く撃ってくる。 デンマークはベンチも早く動く。34分、ヨルゲンセンout/ヤコブ・ポウルセンin。クリスチャン・ポウルセンとの2ボランチか。前半はそのまま終了。 後半デンマークはDFラインからのロングフィードを多用してくるが、本田、大久保、松井の3人でプレッシャーを掛けながらカウンターを狙う。 55分、CBクロルドルップout/FWラーセンin。クリスチャン・ポウルセンがDFラインに下がってるのか。すでにパワープレイ気味。63分、カーレンベアout/エリクセンin。 ミドルとパワープレイは何とかなるが、トマソンがDFラインの微妙な位置にマークを剥がして入ってくるのが何かと怖い。75分、松井out/岡崎in。松井は今日も効いてた。岡崎は指示なのか、前回と同じようにプレスよりもスペースを埋めるのが優先という感じのポジショニング。 81分、アッガーが倒されて微妙なPK。一度はGK川島が止めるが、キッカーのトマソンに詰められてゴール。デンマークが1点返す。トマソンが怪我っぽいが交代枠を使い切っているので代えられない。 87分、カウンターで大久保のパス→本田がロンメダールを交わしてクロス→岡崎がゴール、3点目。本田に抜けられた後、疲労でロンメダールが走れずにウオッチャーになっていた。直後の88分、大久保out/今野in。89分、遠藤out/稲本in。 ベンチから身を乗り出す選手を笑顔で第四審判がなだめている(笑)。そしてロスタイム4分後、試合終了。3-1で日本勝利、決勝トーナメント進出。すげー、トルシエに並んだよ>岡ちゃん。「まだお祝いをするには早すぎる」(オシム談)。 次はパラグアイですよ。いやーこれまた痺れるな。
【6/27】
FIFAワールドカップ2010。各グループ最終節。グループリーグだけで48試合あったんだよな…。まあできるだけ感想を。グループF、パラグアイvsニュージーランド。勝ち点4のパラグアイは引き分けでも通過。スロバキア戦の3バックから4バックに変更、CBフリオ・セサル・カセレスとSBカニサがスタメンで初出場。FWは長身のカルドーソが先発。先を見ての試運転か。 意外に健闘しているニュージーランドは勝てば通過。前節イタリア戦からメンバー変わらず、この試合もDF登録を5人使っての3バック。主審は日本人の西村さん。日本が次に当たる可能性のあるチームの試合を日本人が担当していいのか、という気もするが。 ポゼッションしながら様子見のパラグアイに対して、ニュージーランドは実質5バックの守備+ロングボール+フィジカルな球際でシンプルに前に出てくる。 パラグアイ守備を崩し切らなくても積極的に撃ってくるのは、一発入ればイタリア戦のような展開に持って行こうという意図だろう。パラグアイはサイドから崩してクロスを上げ、中で落とした後に2〜3列目のビクトル・カセレスやベラが上がってきて撃つ、というスタイル。 オーストラリア右WBバートスとパラグアイFWのバルデスのマッチアップが見所。スロバキア先制の報が入り、パラグアイの引き分けOKの色が濃くなり、あまり無理をしなくなる。と思ったら突然縦に入れて走らせたりと、このノラリクラリとし始めた時の南米チームは本当に強いよなあ。 勝たなければいけないニュージーランドだが、どこかでワンチャンス取れれば、というサッカー。あまり前掛かりにはならない。渋い試合だな。 ちなみにスロバキアvsイタリア、パラグアイvsニュージーランドとも1-1ドローだと、イタリアとニュージーランドが勝ち点・得失点・総得点[※修正:プラス、直接対決の結果]で並ぶため、なんと抽選で決めるらしい(記者会見でFIFA役員がくじを引くそうな)。 後半直後、前からボールを奪いにくるニュージーランド。パラグアイはポゼッション時に両SBがかなり高いので、ボールを奪うとそこのスペースに長いボールを入れて中盤がフォローする感じ。パラグアイも下がりすぎず、攻めるときには全体に押し上げる。 この攻守の切り替えの労を惜しまない感じは、さすが南米予選3位。ただスロバキア追加点の報が入っても、ニュージーランドは前掛かりでプレスをしたりDFブロックを崩してまで攻めない(攻められない)。 スロベニアとかアルジェリアもそうだったけど、最終戦でここまで慎重なのはどうなんだろう。たしかに第1戦スロバキア相手に同じサッカーをひたすら続けて、後半ロスタイムに追い付いたのはあったけど。うーん。 その後も互いにCKやカウンターで惜しいシーンはあったが(でも主にパラグアイ側)、このまま試合を終わらせてスコアレスドロー。 パラグアイは1位通過で決勝トーナメント進出、次は日本と当たる。パラグアイは、イタリアを筆頭に3戦連続で相手に全く何もさせなかった。この相手の光を消すサッカーに対して、日本は何が出来るのかを問われる試合になる。 ニュージーランドはかつてのオーストラリア的な印象で、選手個々は悪くない(プレミアのクラブ所属の選手が複数居る)ので、戦術的にモダンになれば結構な存在になるのでは。
グループE、カメルーンvsオランダ。カメルーンは敗退決定済み、オランダは日本かデンマークが大勝しない限り1位通過がほぼ決定という両者の試合。 カメルーンは2ボランチと右SHの3人が初出場。ソングは控え。オランダは前2戦から右SBをファン・デル・ビールからブラルーズにした布陣。 主審はチリ人のパブロ・ポソ。チリ人で国際審判といえばカルロス・チャンディアかエンリケ・オセスだったんだけど、最近はこの人なのか。 カメルーンはサイドやDFラインからのロングボールを使って、引いてきたエトーに一度ボールを預けてから攻撃に移る。オランダはカイト中心に前からの守備もあるのと、下がったエトーをデヨングやファンボメルが潰すので、カメルーンは中央からでは難しいかな。 カメルーンはあんまりサイドアタックで抉って、というスタイルのチームではないけど、サイドでポイント作ってクロスを上げるとチャンスが出来る感じ。 オランダはいつもの戦い方で、DFラインからボールを回しつつ、見計らって縦に入れたパスから中盤が崩しとミドルで攻撃。日本が相当注意したこの縦パスをカメルーンは割と簡単に許してしまうので、ちょっと守備が怪しい瞬間が多い。 35分、カイトのドリブル→サイドのファンペルシーに預ける→後ろから来たファンデルファールトに渡してパス&ゴー→ファンペルシーが2人をかわしてシュート、ゴール。オランダ先制。 数は揃っているのに3人だけで崩されるカメルーンの守備は、オランダが巧いのを差し引いてもさすがに緩すぎる。あとオランダはボール持っている選手に対する、貰う側の選手の動きが良いな。 足下の技術だけじゃなくて、そういう所の質に差がある感じ。59分、ファンペルシーout/フンテラールin。試運転モードか>オランダ。カメルーンはジェレミとアブバカルのいる右サイドでは優位に立っている。 64分、FKがペナルティエリア内のファンデルファールトの手に当たってPK。顔面に当たりそうになって手でかばっているので、仕方ないがちょっと気の毒。エトーが決めて同点。 73分、オランダはファンデルファールトout/ロッベンin。カメルーンはヌクルout/ソングin。両チームとも出てきて欲しい選手が登場。ここにきてカメルーンの動きが良くなる。というか負けなければOKのオランダが守備&カウンターにシフトした感じ。 83分、スナイデルのDF裏へのループパスに抜けたロッベンのドリブル→シュートがポストに弾かれる→フンテラールが決めて、オランダが2-1に。そのままオランダ勝利で3連勝、決勝トーナメント1回戦でスロバキアと対戦。
とりあえず、スカパー解説の遠藤さん「僕、日本の試合が観たかったんですよね…」に笑った。仕事なんで仕方ないですが、日本戦と同時開催の試合の解説担当って大変というか損だというか。グループG、ポルトガルvsブラジル。両者引き分けOKで、ポルトガルは負けてもコートジボワールが北朝鮮に大量得点で勝たない限りグループリーグ通過が決まるという一戦。とはいえ、ブラジルは負けたら2位通過になるという時点で、もうガチだろう。 ポルトガルはデコが腰の不調でティアゴ先発。ブラジルは前節で負傷したエラーノと出場停止のカカーが不在で、ダニエル・アウベスとジュリオ・バチスタが先発。しかしポルトガル国歌は熱いよなあ。審判はメキシコ人のベニト・アルチュンディア。 さすが両チームとも序盤からバンバン攻める。相変わらずブラジル右サイドのSHダニエウ・アウベスとSBマイコンの攻めが凄く、対するポルトガルの左SBファビオ・コエントランとCHメイレレスのマッチングが激しい。あと攻めてる時のブラジルのDFラインの高さが半端無いな。 今回のブラジルはハードワークできるメンバーしか居ないし、攻守の切り替えが速くできれば問題ないということか。徐々にポルトガルの攻撃がカウンターとセットプレイ中心になる。ポルトガルがここまでポゼッションされる相手は世界中でもスペインとブラジルぐらいだろうなあ。 ただブラジルもポルトガルを崩しきれないし(枠内シュートも少ない)、ポルトガルもクリスチャード・ロナウドがDF裏を抜けたりと時折いいチャンスを作る。ブラジルペースと見えて、それなりに互角な内容な印象。思った以上にポルトガルの守備が良い。 55分、ポルトガルはデュダout/シモンin。シモンが逆サイドに行ったりダニーと流動的に変わることで攻撃が活性化、ポルトガルのポゼッションの時間が長くなる。後半はポルトガルペース。 82分、ブラジルはバチスタout/ラミレスin、ポルトガルはメイレレスout/ミゲウ・ヴェローゾin。双方とも守備固めだな。まあ、攻撃的ではあるがお互い無理はせず、特に何も起こらないままスコアレスドローで試合終了。最後は軽くブーイングが起きた。 ブラジルが1位通過、ポルトガルが2位通過で決定。カード的に当然とはいえ、クオリティは今大会でも最高レベルだった。ただ、どこかしら「引き分けでもいいですかね〜」的な空気もあったので、お互い勝利マストの状況で観たかったな。
同グループG、北朝鮮vsコートジボワール。北朝鮮はすでに敗退決定、コートジボワールは9点差以上付けてこの試合に勝ち、ポルトガルが負ければグループリーグ通過という、もうちょっと無理がある状況。 北朝鮮は3戦連続で同じスタメン。コートジボワールは前節DHだったゾコラをCBに置き、途中出場で好調のジェルビーニョを先発起用するなど、ブラジル戦から4人を代えたスタメン。 主審は前の試合(ドイツvsセルビア戦)が酷かった、スペイン人のウンディアーノ・マジェンコ。当然のように、コートジボワールが攻めて5バック3ボランチ気味の北朝鮮が守る展開。 コートジボワールは相当高いDFラインで、トゥーレ・ヤヤやロマリックから前を組み立てる感じ。かなり前掛かりだ。北朝鮮は取ったボールをFWホン・ヨンジョに預けて、チョン・テセがどうにかする的なスタイル。 基本コートジボワールが攻めっぱなしの中で14分、上がっていたSBボカからの中央への戻しをトゥーレ・ヤヤが巧くコースを狙ってシュート。コートジボワール先制。 さらに20分、ボカの長めのクロスをドログバが巧く落として強烈なシュート、バーに弾かれた所をロマリックがヘッドで決めて追加点。何点入るんだ的な雰囲気になってきた。 北朝鮮も攻められつつも一応、ホン・ヨンジョ、チョン・テセ、MFムン・イングクが前でプレスしているのだが、あまり有効ではない。 押しまくられてリトリートする状況で、ポルトガル相手に真っ向勝負のサッカーをやった時のイメージは無かったが、時間が経過とともに35分過ぎぐらいから良い形が出来るようになってきた。ただチャンスは本当に少ない。完全にコートジボワールのペースで後半に。 北朝鮮も立て直し、ロングボール以外でも中盤からのビルドアップを図るが、フィジカルで潰されて前で溜めを作れないので難しい。やはりロングボールからチョン・テセを走らせてボールキープ、中盤の底からMFアン・ヨンハッが出てきたりするとマークが付いてなくてチャンスが出来る。 この辺が狙いどころか。コートジボワールは64分、ケイタout/カルーin、ジェルビーニョout/ディンダンin。両サイドを交代してさらに攻める。北朝鮮は67分、MFムン・イングクout/FWチェ・グムチョルin。前線の収まり所を増やすイメージ。 81分にはWBパク・ナムチョルの中央ドリブル突破からチェ・グムチョルのDF裏へのループパス、それを受けたチョン・テセが決定的チャンスを作るが、GKのシュートストップとDFの寄せで決められず。 その直後にボカのロングクロスをカルーが決めて3点目。カウンターで、WBとDHが上がっていて北朝鮮DFが3CBになっていた所に、カルーがCB間に巧く入ってきたことで生まれたゴール。これはボカもカルーも素晴らしい。 86分にはJリーグ(柏・徳島)にも在籍したドゥンビアが決めたように見えたが、これはオフサイドでノーゴール。ドゥンビアって昨シーズンのスイスリーグ得点王なのか。ロスタイム5分が経過し、このまま3-0でコートジボワール勝利。両チームともグループリーグ敗退が決定。
事前の期待値は高かったコートジボワールだが、入ったグループが厳しかったのと、監督が間際に替わったりしたことで戦術の洗練も足りなかった印象。北朝鮮はポルトガル戦のようなサッカーを志向しつつも、このグループでそれは無理だったとしか言いようがない。 正直、北朝鮮サッカーのイメージ自体あまりなかったが、選手のクオリティはそれほど悪くなかったように思う。とりあえず3試合合計でシュート80本を受け続けたGKリ・ミョングクはお疲れさんでした。
あと、前の試合でイエロー7枚・レッド1枚を出しながら、この試合は1枚もカード出さなかった主審のマジェンコは、ちょっと極端すぎだろと。リーガでもそんな感じの人だけどさあ。サウジアラビア人の審判と共に、ぜひ決勝トーナメントでは居なくなってて欲しいです。グループH、チリvsスペイン。チリは勝ち点6で首位だが、スペインに負けるとグループ通過が怪しくなる。引き分けでもOK。スイスがホンジュラスに勝つ可能性が高いことを考えると、スペインは勝たないと脱落か。いやー個人的には両方通過して欲しい。 チリはスアソとパレデスはベンチ、マティとカルモナは累積で出場停止でDHはエストラーダが初出場。3トップ基本の相手なので今回は4バックか。スペインはイニエスタ復帰でヘスス・ナバスが控えに。審判はメキシコ人のマルコ・ロドリゲス。 チリ国歌は非常に長いので途中でフェードアウト(苦笑)。スペイン国歌(ご存じインスト曲)が被ってくるが、そのメロディに合わせてチリサポーターがまだチリ国歌を歌ってるのに笑った。国歌で替え歌ってアリなのか。 しかもチリのサポーターが国旗に「FRANCE OUT, ITALY OUT, SPAIN OUT!」って書いてる(苦笑)。パンチ効いてるなあ>チリ人。 試合は、いつものようにチリが前からハードにプレスしてDFラインを上げる。スペインはポゼッションするが繋ぎすぎず、DFの裏に長いボールを入れたりする。プレス対策だが、なかなか効いている感じ。 だがチリに攻められた時にスペインが結構下がるので、ボールを奪ってもビジャとフェルナンド・トーレスしか前にいない。そして組み立てようとしているとプレスの餌食に。チリは攻守に速いな。そしてスペインが実質2トップなのでチリもビダルを上げて3バックに。 この辺のビエルサ監督の対応は相変わらず凄い。前2試合で不調ながらポゼッションは確実に取っていたスペインがまったく何も出来ない状況。ただこのハイテンションなチリのプレスがどこまで続けられるのかと、無駄なファウルでカードを貰う場面がチリに目立つのが懸念点。 なんか退場者とか出そうな雰囲気。そんな24分、自陣でボールを奪ったシャビ・アロンソのロングパスにトーレスが反応、出てきたチリGKブラーボのクリアボールをダイレクトでビジャが無人のゴールへ。スペイン先制。これ凄えなあ>ビジャ。 まだチリの猛プレスは続くが、得点したことでスペインの選手の動きが良くなり、当初ほどプレスが効きにくくなる。特に3人にプレスされてもボールを取られないイニエスタは異次元だな。 37分、イニエスタのボール奪取→トーレスがワンツー→イニエスタから逆サイドのビジャ→プルバックしてイニエスタのシュートでゴール、追加点。素晴らしい。チリはDFの人数はそれなりに戻ってきていたが、完全に崩されていた。 しかもその流れの中でエストラーダがファウル、2枚目イエローで退場。10人になったチリ相手にボールが回るスペイン。チリはカード貰ってる選手もいるし、このハードなサッカーを数的不利で、スペイン相手に続けるのはさすがに苦しいな。 後半頭からチリはバルディビアとマルク・ゴンサレスに代えて、パレデスとミジャールを投入。エストラーダの位置にイスラを入れて、イスラのやってた右WBをミジャールがやる感じか。 47分、ミジャールがDFからのビルドアップのパスを受ける→イスラが縦に入れる→受けたサンチェスが中に流す→ミジャールがシュート、チリが1点返す。ビエルサの修正が当たりすぎ。スペインも守備でプレッシャーが掛かっていなかった。 まだ10人のチリが押し込む状況で54分、トーレスout/セスクin。徐々にチリの運動量が落ちて前からプレスに行かなくなってきたが、ここ一番の出足の速さとハードさは保っている。65分、サンチェスout/オレジャナinでチリは最後の交代。 73分、シャビ・アロンソout/ハビ・マルティネスin。やや慎重にボールを回すスペイン、引き気味だが止まらない出足でチャンスを狙うチリ。ちょっとジリジリする時間帯が続く。攻め勝つよりも負けたくないという印象が強い。 全く攻めないで回すだけのスペインと奪いに行かないチリ。あまりに退屈な展開に軽くブーイングが起きる。ロスタイム必要なのかこれ。交代で準備していたシルバが7分以上待たされて、交代できないまま試合終了。2-1でスペイン勝利。 スペインが1位通過、チリが2位通過。この後半20分近くに渡るアンチフットボールぶりに不満も多いだろうが、個人的には両チームが通過してくれて安心した。 チリの自爆とはいえ、この試合は審判のカードの出し方にも疑問はあるし(ドイツvsオーストラリア戦でケーヒルに微妙な判定で一発レッド出した人)、なんといってもチリのハードプレスサッカー(この試合は前半30分までだったけど)がここで観られなくなるのが残念なので。 スペインは決勝トーナメント1回戦の相手がポルトガル。うわ。チリはブラジルか〜。これは楽しみ。
同グループH、スイスvsホンジュラス。両チームともグループリーグ通過には勝利が必須で、引き分けでも脱落が確定。 スイスはチリ戦からフレイをデルディヨクに交代、出場停止のベーラミの所をバルネッタがやる感じ。ホンジュラスは前節からスタメン6人を変更(4人は初出場)という荒療治。主審はアルゼンチンのバルダッシ。 どちらも基本は守備が持ち味だが、この試合は攻める必要がある。スイスは前に前目に人数は掛けているものの守備陣を崩せない。ホンジュラスはスイスの守備ラインの手前ぐらいにボールを入れてスアソやアルバレス、ニュネスなどで攻めるカウンタースタイル。 ただホンジュラスも解説の桑原が言うほど一方的に引いてはいないんだが(苦笑)。 というか、お互い守備が良くて基本は手数を掛けずに攻めるスタイル(しかもフィニッシャーが弱い)なため、お互い好機は作るものの得点の匂いはしない。どちらかに1点入ると変わるんだろうけど。 スイスは後半頭からジェウソン・フェルナンデスout/ハカン・ヤキンin。インレルの1ボランチか。チリvsスペインが1-2となったことを受けて、2点差以上で勝たないと敗退が決まるスイス。69分にフレイ、78分にシャキリと前目の選手を投入。その割には積極さが出てこない。 ホンジュラスのカウンターが怖いんだろうけど、スペインやチリ相手に受けのサッカーをやってきたスイスが急にスタイルの違うことは出来ない、ということのように思う。 ホンジュラスも67分にマルティネス、78分にウェルカム、87分にトゥルシオスと攻撃的な選手を次々と入れる。終盤は双方の運動量が減り中盤にスペースが出来てオープンな撃ち合いの展開になるが、どちらも決めきれないままスコアレスドロー。 スイスは頑張ったし個々人の能力は低くなかったが、今のチームスタイルでは限界だった気がする。ホンジュラスは3試合とも気持ちの入ったプレイを見せてくれたが、勝利には繋がらなかった。
ここまでグループリーグを観ていて、しかるべきチームが決勝トーナメントに出てきた印象はある。負けたフランスやイタリアには足りないものがあったし、戦術的な完成度やチームとしてのまとまりが弱いところは落ちた、という感じがする。 特徴は、アフリカ勢の不調(主催国含め5チームが落ち、結局ガーナのみ残った)と南米勢の好調さ(5チーム全て進出)だろう。 個人的に気になるのは、USスポーツ的な(ちょっとアメフトっぽい)スタイルとタフな根性を持ち、加えてミラクルで勝ち進んでいるアメリカと、現代の標準スタイル4-3-3に対抗して3-4-3のハードプレッシングサッカーを採用しているビエルサ監督のチリ。 どちらも世界標準の戦術トレンドからは完全にアウトサイダーなチームだが、この非ヨーロッパ的な独特の立ち位置は非常に面白いです。いやーサッカー楽しいな。
【6/28】
FIFAワールドカップ2010。決勝トーナメント1回戦がスタート。試合ペースが下がったので助かりました(笑)。でも結果を知りたくないので、テレビもニュースは観られず、ネットもヤフーとか近寄れない状態。ここ1週間、世間で何が起きているか全然知らないという(笑)。 なんかサミットとかあるの?あったの?ぐらいの認識で。A1位・ウルグアイvsB2位・韓国。ウルグアイはCBゴディンが胃腸炎から復帰。カバーニ、スアレス、フォルランの3トップも健在でほぼベストメンバー。韓国は3戦先発だったSHヨム・ギフンが外れ、同じ位置にキム・ジェソンが先発。あとは前節から変わらず。 主審はドイツ人のヴォルフガング・シュタルク。マルクス・メルクの後釜としては、今大会では安定してるかな。決勝トーナメントに入り、星取勘定は無くなってガチの一発勝負。開始直後から両チームとも球際激しいなあ。 5分、ファウルで貰った韓国のFKはパク・ジュヨンが蹴ってポストに弾かれる。その後の8分、右サイドから中に切り込んだカバーニが左サイドのスペースにパス→フォルランが1人抜いてDFラインとGKの前の絶妙なコースに速いパス→スアレスが決めてウルグアイ先制。 フォルランのGKもDFも触れないコースのパスといい、DFの後ろにいてシュート直前に出てきたスアレスの動き出しといい、本当に素晴らしい。 韓国も攻守の切り替えが速いが、韓国がボール持ったときにウルグアイFWの守備とDHのホルダーへの潰しが速すぎて、なかなか攻めのビルドアップが出来ない。 韓国はサイドでスペースを作って中へのクロスで変化を付けたり、ロングボールをDFラインの裏に入れたりするが、ウルグアイの中の守備が堅くてあまりチャンスが作れない。パク・チソンのドリブル突破も凄いが単発攻撃でしかないのが辛い。 そこからウルグアイのカウンターになると、基本FWの3人+MFアルバロ・ペレイラでどうにかフィニッシュまで出来てしまうのが凄いよなあ。韓国は中盤でポジションチェンジしながらカバーを剥がしたり、SBの攻撃参加を増やして徐々にペースを掴む。 ウルグアイは守備の時間帯。そこから繰り出すカウンターで前半終了間際にはペナルティエリアで韓国選手のハンドがあったが、これは審判がPKは取らず。そのままのペースで前半終了。 後半頭からゴディンout/前試合でゴディンの代わりに入っていた、ビクトリーノin。まだ完調でなかったのか>ゴディン。まだ韓国ペースは続くが、フィニッシュが決めきれない。人数掛けてポジションを代えながらボールを回し、隙を見てシュートに持ち込む。 良いサッカーやってるんだけどな。ウルグアイはボール奪ってもあまり人数掛けずに攻めるだけなので、ゴール前まで行かずにDHの辺りで奪い返されることが多い。ちょっとウルグアイは守備的すぎるのでは。 61分、キム・ジェソンout/ベテランFWイ・ドングッin。点を取るという意識での交代。 68分、再三見せていたパク・チソンのドリブル突破から貰ったファウルでFK。競り合いからこぼれた球をイ・チョンヨンが決めて韓国同点。CBルガーノとGKムスレラが被っちゃったな。 いままで3試合完封、1点も取られずに先制して守備力で勝ってきたウルグアイだが、これで攻撃に出てくるだろう。面白くなってきた。ウルグアイ選手は結構守備で走っていたのでやや足が重いように感じる。 74分、アルバロ・ペレイラout/ロデイロin。超観たかった選手だが、第1戦で途中出場で退場食らっていた(苦笑)ロデイロがここで登場。ただチームには微妙にフィットしてないっぽい。 雨がかなり強くなって、ピッチコンディションや視界の悪い中での80分、CKからのこぼれ球をスアレスがDF2人を半分交わしながらコントロールシュートでゴール右上隅に叩き込む。ウルグアイ追加点。 スアレスの個人技も美しかったが、相手ボールになりそうになってから猛ダッシュで詰めてCKを取ったMFディエゴ・ペレスの執念が本当に素晴らしかった。こういうのが出来るのが強いチームだと思う。 失点してから韓国が猛攻。体を張って守備だけでなく攻めに行くウルグアイ。 ウルグアイは84分、FWスアレスout/MFアルバロ・フェルナンデスin。4-4-2か。韓国も85分、キ・ヨンソンout/ヨム・ギフンin。DH削って攻撃的なMF投入。87分にはイ・ドングッがDFの裏を取って完全フリーでシュート、GKが弾いた球がゴールに向かうがルガーノがクリア。 ここまで綺麗にウルグアイDFが裏を取られたのは珍しい。疲労で集中力が切れかかっているのか。これ攻めに行かないとウルグアイは守備陣が持たないぞ。焦る韓国からファウルを貰ってゆっくりと回し始めるウルグアイ。余裕はないが、この時間の潰し方がスタイルなのだろう。 このままロスタイムも耐えてウルグアイが2-1で勝利、韓国は敗退。いやー、良い勝負だった。 ウルグアイは勝利に値するパフォーマンスだったが、途中出場のロデイロとアルバロ・フェルナンデスの空気の読めないプレイが微妙だった(時間潰しのタイミングで急いでシュートに持って行って相手ボールにするとか)。 特にロデイロは守備できないし、見せ所もスルーパス1回ぐらいで、この試合のようなタイトな状況に途中から入れるタイプじゃないと思った。あくまでリーグ戦向きで、一発勝負のトーナメントには合ってない選手なのかも。残念。
C1位・アメリカvsD2位・ガーナ。なんとグループCで1位のアメリカ。ミラクルとそれを生み出す強いメンタルで勝ってきたチームと、アフリカ最高の組織力を持ったチームの対戦。 アメリカはFWファインドリーが出場停止から戻ってきて、DHクラークが第1戦イングランド戦以来の先発。ガーナは基本4-3-3だが、守備レギュラー4人に加えてDFインコームが初出場でスタメン(DF登録が5人)、FWレギュラーのタゴエが居ない。予想では3-4-3の守備的な感じか。 ガーナはどの試合も内容は素晴らしかったが、得点はなんとPKの2点のみ、1勝しただけでグループリーグ突破。ある意味凄いな。 会場にアフリカ勢のバナーが張られているのは心情的に判るが、メキシコやエクアドル国旗(出てないだろ)、FCバイエルンとドイツ国旗、そしてどこにでも出てくるイングランドサポのセント・ジョージ旗が張られまくっている。カオスだ。 客席では、いつものようにクリントン元大統領が見守る。アメリカW杯招致委員会の会長らしい。主審はハンガリーのビクトール・カサイ。カードはあまり出さないタイプ。 キックオフからやや落ち着いた感じで推移。ガーナはインコームがDHでアナンとの2アンカーっぽい感じに見える。両者が正面から組み合っている感じの状況で、開始5分、中盤でFWケビン・ボアテングがボールを奪ってショートカウンター、そのまま持ち込んでシュート。ガーナ先制。 アメリカは両SBが上がっていて、2CBの片方がFWギャンに釣られていた。アメリカはイングランド戦(開始4分)もスロベニア戦(開始13分)も序盤に失点してるんだよな。何か問題あるんじゃないのか。 そこからもガーナの攻撃が続く。ピッチをワイドに使ってサイドチェンジしながら攻撃されると、アメリカ守備陣は対応が後手に回る。攻めも散発的で、ボールを持ってもガーナ守備の中に入っていけないので、裏狙いの速攻かミドルシュートになる。完全にガーナのペース。 アメリカもビルドアップは難しいものの、FKやショートカウンターを起点に徐々にチャンスを作り始める。ショートカウンター主体の両チームなので展開が目まぐるしく、リプレイ映像の間に試合がどんどん進む。 アメリカは31分、クラークout/エドゥin、中盤を締めに掛かる。これが効いて試合はイーブンな展開に。ガーナもGKからのロングパスなどで決定的チャンスを作るが、アメリカGKハワードが素晴らしいセーブを見せる。互角の状況で前半終了。 アメリカは後半頭からFWファインドリーout/MFファイルハーバーin。得点力のあるMFデンプシーをトップに入れる、点を取りに行く交代。いきなり決定的なシーンも出来るが、ガーナGKキングソンの左手一本のセーブで凌ぐ。 アメリカペースながらガーナもきっちり繋いで攻めを見せる。この辺の組織力はさすが。攻守で効いているドノヴァンが流動的に位置が変わるので、インコームがマンマーク気味に付いていく。展開がスピーディーすぎる。 61分、中に入ったファイルハーバーのドリブルからデンプシーのドリブル突破でDFを交わし、次のDFに倒されてPK。ドノヴァンがポールに当てながらも決めて同点。さらにアメリカが押す。 アメリカの2トップと両ハーフが中に入ってくるので、パッサーのアナンが攻めの組み立てが出来ない。ガーナは73分、サルペイout/アディin。ドノヴァンが主にいる左サイドのSB交代。さらに78分、足を痛めたボアテングout/アッピアーin。 疲れが見えつつも運動量やプレス、スピードが落ちない両チーム。凄い試合だ。そして90分が終わり、延長戦へ。アメリカは、疲れの見えたアルティドールout/ゴメスin。 延長開始直後の93分、アユーからのカウンターのロングボールから、FWギャンが2CB間を抜けてゴール。ガーナ追加点。 CBに当たり負けなかったフィジカルとワンチャンスを決めた決定力。それでも折れないアメリカは、ロングボールを前線に当てる感じで速く攻める。ガーナはボールを持ったら人数は割かずに、繋いで時間を使う。 113分、足が攣ったインコームout/ムンタリin。守るガーナのファウルが増え、アメリカもちょっとプレイの精度が落ちている。相当しんどい時間帯だ。ガーナのCKでもアメリカは前線に選手を置いたまま。終盤はGKハワードまでゴール前に上がる、アメリカの怒濤の攻め。 ロスタイム3分も痺れる展開で、そのままガーナが2-1勝利。倒れ込むアメリカの選手。どちらも組織が素晴らしいチームだったが、最後の最後に勝敗を分けたのはギャンの個人技ゴールだった。これがサッカーだよなあ。個人的には現時点での今大会ベストの試合。 ガーナは次はウルグアイか〜。
D1位・ドイツvsC2位・イングランド。決勝トーナメント1回戦で最大の注目カード。「イングランドとは1966年からの因縁があるんですよ!」(決勝の延長戦、怪しいゴールイン判定で1-2で負けた)。さすがミスターブンデス解説の鈴木良平さん、それ完全にドイツ人の発言です(笑)。 そういや、イングランドも1勝2分、2得点でグループリーグを勝ち上がってきたんだよな。 ドイツは最終節出場停止のクローゼが復帰。これは大きいでしょう。足にケガを抱えるボアテングとシュバインシュタイガーも先発。イングランドは最終節と同じスタメン。勝ってるときは変えるな、ということだろうか。 大挙して詰めかけたイングランドサポからドイツ国歌にブーイング。逆に「God Save The Queen」は大合唱。客席にはミック・ジャガーの姿も見える。主審はウルグアイのホルヘ・ラリオンダ。大一番ですな。 試合は序盤からSBアシュリー・コールが積極的に上がる。同サイドでマッチアップするミュラーとラームを押し込むという考えか。あと、どちらもDFラインを狙うミドルのパスが多いが、DFライン統率は両チームとも問題ない感じ。 イングランドがアグレッシブに前からプレッシャー掛けていくが、中盤のポジショニングとパス回しでドイツもアドバンテージを取っているので、時々ルーニーがDH辺りまでボールを貰いに来たりする。印象は互角。 20分、GKノイヤーのロングフィードをクローゼがCBアプソンと競って倒れながらシュート。これがゴールでドイツ先制。GKキック一発だが、これ狙ったプレイだな(普通GKキックはサイドに蹴るが相手ゴールに向かって蹴っている、あと蹴るときに助走距離をかなり長く取って蹴っている)。 スタジアムが標高1400mの高地で空気が薄く、今までの試合でボールが普通以上に伸びるのも判っていた筈。 失点してからイングランドは右サイドの攻めが目立つようになる。ボアテングの辺りを狙っているのか。あと中央近辺でのルーニーへの縦の楔はすべてケアされているので、長いボール以外は中からは入らない。これでCBにリオ・ファーディナンドがいれば別だろうけど。 32分、中盤左サイドから中へカディラ→ミュラー→エジル→クローゼ壁パス→パス&ゴーしていたミュラーがゴール前で左スペースにパス→走り込んで来たポドルスキーがGKの股を抜いてシュート、ドイツ追加点。 イングランド守備陣は前のパス交換でSBとDHが引きずり出され、そこからのミューラーの抜け(対応してたのは逆SBのグレン・ジョンソン)でポジションが混乱して全く何も出来なかった。 この完璧な崩しが今のドイツ代表を象徴するプレイだろう。イングランド守備陣はドイツのボール回しと、そこに必ず絡んでくるクローゼを捕まえきれない。 だが37分、ランパードの右サイドのドリブル突破からCKを取り、ショートCKでジェラードが蹴ったクロスをアプソンがヘッドで決めて1点返す。ショートコーナーで守備マークがややズレていたが、アプソンの意地を見たようなゴールだった。 直後の38分にはランパードのシュートがクロスバーに当たってバウンド。スローで見る限り完全に入ってるが、これがノーゴールの判定。これ1966年のゴールとまったく同じだ…凄ええ。やっぱこの対戦には何かがあるんだろうな、と思うと肌寒くなる。 イングランドがボールを回し、ドイツが受ける時間が続く。そして前半終了。イングランドは守備が怪しいんだが、攻撃で押し込むと相手が出てこられないという感じだな。 後半開始からもイングランドが猛然とプレスする。52分、ランパードのFKがクロスバーを叩く。どうもこの大会、ボールや気圧に合ってなかったランパードだが、先ほどの認定されなかったゴールといい、いよいよアジャストしてきた感じ。 イングランドがボールを持って、ドイツが隙をうかがう感じだが、デフォーがルーニーとの連携で動くとSBボアテングが中に釣られてサイドでミルナーがフリーで動ける、という状況が多々起こる(ほぼ1ボランチのシュバインシュタイガーはバイタルが空くので埋めに行けない)。 これヤバくないか、と思っていたら64分、ミルナーout/ジョー・コールin。イングランドはその位置に、より攻撃的な選手を入れる交代。 だが67分、イングランドFKからのカウンターでミュラー→シュバインシュタイガーがDF3人引きつけてパス→ミュラーがゴール。ドイツ3点目。最後DF人数は居たが、何人かはミュラーと逆サイドに走ったエジルに気を引かれてしまった。 直後の70分、ドイツゴール前のスローインからクローゼのロングクリア(裏を見てたので多分狙っていた)→カウンターでエジルがドリブル独走(球際でDHバリーが抜かれてる)、ゴール前でパス→ミュラーがアプソンを振り切ってゴール。4-1。 点が欲しいイングランドは、その前のスローインからの攻めの時点でCBテリーまで上がっていて(ボール取られる前のプレイにも入っている)、後ろが誰もいない状態だった。 71分、イングランドはデフォーout/ヘスキーin。ドイツはミュラーout/トロホウスキin、クローゼout/マリオ・ゴメスin。どちらも前線にフレッシュな選手を入れる。ゴメスは気持ちは分かるが、前に張りすぎ&自分でシュート撃ちすぎだな〜。 81分にはルーニーのポストからジェラードのシュート、GKノイアーがギリギリ片手で弾く。惜しい。83分、エジルout/キースリングin。ついにキースリング来た!ロデイロと並んで一番見たかった選手だ。やべえ。 ただドイツは、まるでスペインのようにボールを回しながら時間を潰してるんで活躍の機会は無いかな。客席のミック・ジャガーも渋い表情。イングランドは87分、グレン・ジョンソンout/ショーン=ライト・フィリップスin。実質2バック。 ロスタイム2分もイングランドが攻めまくるが、ドイツも運動量が落ちず、このまま試合終了。各選手が握手したりユニフォーム交換する中で、一人悔しさを滲ませながら歩くルーニーの背中。そこにクローゼが歩み寄って握手する姿が印象的だった。 あの認められなかったゴールがあればまた展開が違っただろうが、グループリーグも通じて今大会、良いサッカーをしていたのはドイツだったと思う。 イングランドはルーニーの相方FWとCB(アプソンは悪くなかったがテリーが…)にタレントが欲しかった。あとGKだな。この試合はそんなに悪くなかったけど。 「イングランドはドイツに勝てないんですよ」(鈴木良平さん・談)。それ言い過ぎ。いつもは非常に冷静で穏やかな人なのに、それだけイングランド戦は特別なんだろうなあ。
あと、スローインが逆になったり、オフサイドの見逃しがあったり、あのゴール判定があったりと、評価の高いラリオンダ主審でもちょっと全体にミスの多いジャッジだった。それだけプレッシャーの掛かるビッグマッチだったということか。B1位・アルゼンチンvsA2位・メキシコ。これまた痺れる一戦。アルゼンチンは何だかんだで3試合で7得点1失点と素晴らしい成績。メキシコは3得点2失点なので悪くはないが、アルゼンチンの攻撃をどう止めるか。 アルゼンチンはSBにエインセとオタメンディ先発(これが普通だと思うが)、マスチェラーノの1ボランチ、テベスとイグアインの2トップ予想。グループリーグではローテーション気味だったが、ベロンを使わないならこれが今のベストメンバーだろう。 メキシコはDHのマルケスがCB、DF登録のフアレスをCH、今まで途中出場だったFWハビエル・エルナンデス先発、今まで出場していなかったFWバウティスタがスタメン、と意表を突いた予想布陣。DFラインからのビルドアップ重視ということか。 いやーアギーレ監督の意図が読みかねるな、これは。全然関係ないが、前日会見でマラドーナが娘から貰ったサングラスを掛けていたのだが、光り物がド派手で趣味悪い感じでした(苦笑)。 選手入場時に紙テープ(トイレットペーパー?)が客席から投げ込まれる。コパ・リベルタドーレスっぽい雰囲気だ〜。メキシコは国歌であの胸の前で構える敬礼が復活。これが見たかった。いやーテンション上がりますなあ。 主審はイタリアのロベルト・ロゼッティ。いま欧州で最も評価の高いレフェリーだ。試合開始。マルケスはいつも通りのDHでメキシコはフアレスが右WB兼SBで3バック/4バック併用か。6分、審判が紙テープの片付けを指示してブレイク。これ南米だとそのまま試合やるんだけどなあ。 再開後、サルシド、グアルダードとサイドからのロングシュートでメキシコが惜しい場面を作る。ちょっとマスチェラーノの横のスペースを使われている感じ。アルゼンチンはメッシがマルケスにマンマークされながらもシュート。 撃ったメッシもさすがだが、全体的にメキシコの寄せが速いので、アルゼンチンは組織的なビルドアップでなく個人技で攻める印象。 それにしてもメキシコはバウティスタの意味が判らないな。あんまターゲットマンにもなっていないし、マスチェラーノ潰しかと思ったが特に守備もしないし。 アルゼンチンは低い位置ではポゼッションできるが、上がろうとするとメキシコが激しくチェック。高い位置では自由にさせて貰えない。 そんな中で25分、カウンター気味でメッシにボールが入り、裏へのスルーパスにテベスが行ってシュート、GKペレスが一度止めたボールをメッシがシュート、テベスがヘッドで決めてアルゼンチン先制。 これテベス触らなくても枠に行ってたし、しかもテベスの位置は完全にオフサイド。完璧に誤審だった。そのリプレイがスタジアムのスクリーンで流れて場内騒然。メキシコの選手は副審に猛抗議するが判定は覆らず。感情的になって厳しくチェックに行ったマルケスにイエロー。うーん。 ザワザワした状態の中で33分、メキシコCBオソリオのパスミスをイグアインが取ってGKをかわしてゴール、アルゼンチン2点目。あー。 ちなみにここで、ゴール後の喜んでいる選手を撮っているカメラが近すぎて、顔を上げたエインセの頭にカメラが直撃。一瞬でキレたエインセがカメラを殴るという素敵な場面もあり(苦笑)。いやー南米っぽいな。 メキシコはミドルではチャンスを作るが、アルゼンチンDFを崩すのは難しい感じ。ポストはハビエル・エルナンデスがやってるし、バウティスタは相変わらず意味不明。アルゼンチン先制点の元になったカウンターもバウティスタが楔パスを競り損ねたのが原因だし。 メキシコは精神的に引きずりつつも、何とか切れずに攻守で戦術を継続。前半終了間際には猛攻を見せる。アルゼンチンは韓国戦やギリシャ戦ほどの組織力は発揮できないものの(メキシコに消されている)、リードしていることで試合をコントロール。 前半終了後は荒れた雰囲気で、両チーム選手が合流するベンチ裏のあたりで乱闘寸前の小競り合いが発生(何か言い合ったっぽい)。集まった選手たちを別けて収めているのがロゼッティ主審とマラドーナ監督(笑)。 まあメキシコの選手もマラドーナに言われたら聞かざるを得ないだろうな。 メキシコは後半頭からバウティスタout/バレーラin、当然の交代でしょう。前線が活性化されたことで攻撃に厚みが出てきたメキシコ。ただ崩し掛けているのだが決定的なフィニッシュには至らない。 そして52分、メッシとポジションチェンジして中に入ってきたテベスがフリーでボールを受け、来たメキシコ選手2人を振り切って強烈なミドル。ゴールに決まってアルゼンチン3点目。これはマルケスがメッシに付いていった後のスペースを埋める守備が遅かった。 ただ確かにテベス凄いんだけど、もう「全部オレが行く」って感じで他が空いててもパス出さずに強引に行く場面が目立ちすぎる。ちょっとこのプレイぶりはどうだろう。結果は出してるんだけど。 61分、グアルダードout/ギジェルモ・フランコin、前線に高さを追加。バレーラのサイド攻撃やセットプレイでも惜しい場面は作るが得点は取れない。アルゼンチンはもう無理をしない攻撃。69分、テベスout/ベロンinで2ボランチに。 71分、DHトラードからの縦パスをCB間で受けたハビエル・エルナンデスがデミチェリスを振り切ってシュート。メキシコが1点返す。 疲れが見えるアルゼンチンは、マスチェラーノと両SBの所でしかボールが奪えない(マキシ・ロドリゲスとディ・マリアが守備では機能していない)ので結構キツい。79分、ディ・マリアout/ホナース・グティエレスin。グティエレスはSBやらされてたけど、やっと本職のSHでの起用だ。 86分、足が攣ったマキシ・ロドリゲスout/パストーレin。メッシも疲れて、もう前はパストーレが頑張る感じ。と思ったらロスタイム、メッシが個人技でDF2人抜いてシュートしたりと見せ場は作る。試合終了、3-1でアルゼンチン勝利。さすがに強い、という試合運びだった。 次はドイツ。これも凄いカードだ。
メキシコは組織も運動量もある良いチームだったが、この試合に関しては選手起用ミスとアルゼンチン守備に対するアプローチのミス(有効でないミドルシュート連発や得点シーンのようなCB間への縦パス不足とか)があったように思う。 まあ誤審を抜きにしてもアルゼンチンを攻略し損ねていたように感じられた。
しかし、シュートを顔面クリアしたエインセ(これはこれで痛そう)が「ヒジを入れられた」と明らかに嘘のアピールをしてたり、トラードがすれ違いざまに顔に手を入れたり(ノーファウル)と、 何かと南米イズム爆発の試合だった(メキシコも南米サッカー協会主催のほとんどの大会に招待参加している)。 前の試合といい、審判にはタフな試合が続くなあ。欧州最高の審判ユニットにして、この酷い誤審が出る(しかも現地ですぐリプレイが流れて観客が判る)という状況。 まあミスジャッジは副審の判定で、主審も会場のリプレイ映像で判定を覆してはいけないルールなんでロゼッティさんも辛かったとは思うけど。でも機械判定やビデオ導入(いまやってるウィンブルドンでもカメラ判定が大活躍中)もどうなんでしょうかね。
【6/29】
FIFAワールドカップ2010。決勝トーナメント1回戦。今回のワールドカップも、残すところ8試合なんだよなあ…。なんかこの間始まったばかりな気がするんですが。
そういえば一応、いままで書いてたやつをまとめてみました。何だかんだで、現時点で52試合分あるので(書きすぎだよ俺…)、お時間があれば。E1位・オランダvsF2位・スロバキア。タレントが揃いつつも本調子ではない印象のオランダ。3戦全勝、5得点1失点の成績は素晴らしいが、攻撃は個人中心でもうちょっと組織で点を取る感じが出てくればもっと強い気がする。 タイトな守備と組織力で勝ち上がってきたスロバキア。1勝1分1敗、4得点5失点で、イタリアに勝ったのが印象強いが、パラグアイには普通に負けたのとニュージーランドに引き分けているのは微妙。 オランダは右SBにファンデルビールが復帰、そしてロッベン先発。ほぼベストメンバー。スロバキアは大黒柱のシュトルバが欠場、ハムシクが一列下がってDHか。ヴァイスがスタメン復帰。 ここ2試合で大誤審があった決勝トーナメントだが、この試合の主審は、なんと今大会で判定がブレまくっているスペイン人のウンディアーノ・マジェンコ。正気なのか>FIFA。うーん。 試合キックオフ後、両チームとも攻める。オランダは、デンマーク戦のようにパスを回しながらファンペルシーに楔を入れて、そこからスナイデルがシュート。スロバキアはドリブルとショートパスで、相手ポジションの隙間からシュートを撃っていく。 さらにスロバキア守備陣は勇気を持ってDFラインを上げている。これオランダの迫力に押されてズルズル下がると一方的に攻められまくるんだよな。オランダはボールを前に持って行ってスロバキアのプレスが掛かるとミスが多くなる。 これはグループリーグでも同じで、カメルーン戦は良かったが、デンマーク戦の先制点はたしかCKからのオウンゴールと終了間際のデンマーク総攻撃からのカウンターだったし、日本戦もGKクリアからの落としのダイレクトボレーだったし、今大会ではあまり崩して点取ってる印象がない。 この試合でもパスミスもさることながら、ホルダーがプレスされるとあっさりボールを失う場面が目立つ。 ちょっと調子どうかな、と思っていた18分、スロバキアに押し込まれた状態からスナイデルのカウンターのロングパス→ロッベンがDF3人を交わしてシュート、ゴールでオランダ先制。これで点が取れるんだからなあ。 スロバキアは攻めるが、DFライン近くまで行ってもフィニッシュまで行けない(行ってもゴール外)。やはり今のオランダは守備が堅いのが特徴だ。 SBはあまり高くまで上がらないし、DHのファンボメル&デヨングと2CBの堅さがチームを安定させている。前の枚数が足りないときは、SBよりDHが上がることが多いんだよな。前半は両チーム攻守に良かったが、スロバキアの組織の隙をロッベンの個人技で破った感じ。 後半はオランダが若干引き気味。前の4人で決定的な状況を作り出すが、スロバキアGKムハの必死のセービングで何とか止める。 56分には左SBザバフニクが交錯して足を怪我。ピッチには戻ったがまだ痛そうで、対峙する相手はロッベンなんだよな。これは辛い。 スロバキアはシュトルバ不在の穴が大きく、DHの所で人数が居ないと相手選手を止められないのと、ハムシクが低い位置なのでボールを持っても有効な組み立てがしづらい。 67分、FWビッテクがこの試合はじめてオランダDFラインの裏を取ってシュート。惜しいがGKステケレンブルクに止められる。 71分、オランダはロッベンput/エリアin。まだ90分は無理か>ロッベン。同時にスロバキアはFWイェンドリシェクout/MFコプーネクin。ハムシクを上げる交代か。ただコプーネクは入ってファーストプレイでイエロー。大丈夫かいな。 80分、ファンペルシーout/フンテラールin。ファンマルバイク監督に「なぜ代えた」と文句を言いながらベンチに行くファンペルシー(笑)。オランダのFWっぽいよな。 両チーム疲労が激しく、あまり走れずにファウルが多くなる。そんな84分、ハーフライン近くのFKをファン・ブロンクフォルストがロングキック→ゴール前で受けたカイトが落として、スナイデルがゴール。オランダ追加点。 FKに至るファウルについてスロバキア選手が文句を言っていたときの速いリスタートだったこと(テレビ中継でも、その場面はリプレイのカメラにしか映ってなかった)、それもあってゴール前にDF2人しか居なかったことが痛かった。 87分、スロバキアはハムシクout/サパラin、ザバフニクout/FWヤクブコin。3バックで前を入れる交代。疲労が激しいとはいえ、ハムシクを外すのは厳しいんじゃないかな。 2点差になったことでオランダもSBが上がって、攻撃参加しながら時間を潰す感じ。92分、スナイデルout/アフェライin。 ロスタイム93分、スロバキアMFクチュカのシュートがオランダDFに当たってこぼれ、それに反応したヤクブコがGKステケレンブルクに倒されPK。ビッテクが決めてスロバキアが1点返したと同時に試合終了。オランダが勝利。
スロバキアは良い組織で小さなチャンスはあったものの、オランダ守備を崩すに至らなかった。あと層の薄さと疲労の蓄積が原因で、この試合は後半途中から本来のパフォーマンスを発揮するに至らなかったのが残念だった。 ただグループリーグを通じて、薄味ながら良いチームだと思いました>スロバキア。 オランダは、調子が悪いんじゃなくて今回のチームがこういうものだと言うことがこの試合で再認識できた。 前の攻撃4人はスペクタクルで素晴らしいが、崩して攻めると言うより個人技や相手のミスを突くという感じだし、守備はDFライン統率が怪しく(オフサイド取り損ねが多い)、基本引いて守っているから堅いだけで全体的に組織性とかは感じないな。 間違いなく強いが、個人的にはあんま面白いチームではない。正直、この試合も決勝トーナメントとしては非常に退屈だった。あー、そういえば審判は無難でした。プレッシャーはあっただろうけど。G1位・ブラジルvsH2位・チリ。強豪本命と異端サッカーの対戦。ここで当たるのは、ちょっと勿体ないカードだ。スカパースタジオはオリベイラ監督、ポポビッチ元監督、オシム爺さん、三浦ヤスと、ゲスト呼びすぎで話が面倒くさくて進まない(苦笑)。 適当に締めるMCの野々村が良い。ブラジルはコートジボワールに近いメンバーで、エラーノが復帰せずダニエウ・アウベスが右SH、ボランチのフェリペ・メロ(怪我)の所にラミレスが先発で入る、カカーがトップ下の4-2-3-1。まあベストメンバー。 チリはDHカルモナが出場停止明けで戻ってきたが、レギュラー3CBの内の2人、メデルとポンセが累積出場停止で第1戦10分だけ出場したコントレラスと初出場のフエンテスが先発という厳しいスタメン。マティアス・フェルナンデスとバルディビアは控えで、マルク・ゴンサレスを先発。 現地予想では4バックだが実際はどうか。あの連動性の強いハードプレスがこのメンバー変更で機能するのかが焦点。主審はイングランドのハワード・ウェブ。気を遣ってるなあ>FIFA。 試合開始からチリが能動的にボールを動かす。ビダルとフエンテスがSBの4バックだな。ブラジルはあまり引かずに前線と中盤でボールを奪い、必要以上に手数を掛けず縦に速く攻める。ボール持ったときのブラジルは凄い。どこからでも点が取れそうだ。 チリもこの試合はトップ下に入っているボーセジュールがDFライン前で流動的にスペースに動き、FWスアソがCBの間に隙あれば入っていって、一発通れば大チャンスという状況を作る。 チリは相変わらずプレス強いが、前掛かりすぎてカウンターを受けないように、前節スペイン戦よりもプレッシングエリアが低い印象。あとアドレナリンが出過ぎないよう冷静に進めている気がする(笑)。 SBマイコンの上がった裏をビダルとマルク・ゴンサレスで突いていくのが攻撃の狙いか。そのケアでCBルシオが引き出せたら中でチャンスが出来る。 だが、そのマイコンの攻め上がりから得たCKから34分、CBフアンがヘッドで決めてブラジル先制。ルシオとルイス・ファビアーノがチリ選手をブロックして後ろから来たフアンが飛ぶという、これは練習通りのプレイだろう。 直後のチリの攻めで、サンチェスのドリブル突破にブラジルのペナルティエリア内に攻撃陣5人が雪崩れ込む。すぐ取り返すという意識が凄いが、かなり前掛かりになった布陣に対してブラジル守備もしっかり人数を掛けて守る。 そして38分、チリに攻め込まれている状態で、マイコンのロングクリア→ルイス・ファビアーノのポスト→ロビーニョのドリブル→カカーに戻してワンタッチスルー→ルイス・ファビアーノがオフサイドを潜り、GKをかわしてゴール。絵に描いたようなカウンターで、ブラジル2点目。 いやー、カカーのスルーパスが凄すぎる。この2点目は重いな。こんなカウンターで決められたら、恐怖心で人数を前に掛けられなくなる。チリも勇気を持ってまだ攻めるが、ボールを取られた時にブラジルの攻めが速すぎてプレスがまったく掛からない。 これをハーフタイムにビエルサ監督がどう修正するのか。後半頭からCBコントレーラスout/MFロドリゴ・テージョin。マルク・ゴンサレスout/バルディビアin。ヤラとフエンテスがCB、ビダルとテージョがSBで一応4-1-4-1だが、これ実質2バックの2-3-4-1だろ。すげー。 極端に危なっかしい状態でチリが攻め続ける。ブラジルは前半よりプレイの精度が下がっている感じで、ちょっとミスが目立つ。ただCBルシオの上がりがあるとチリのマークがズレて混乱する。 59分、ラミレスのドリブルの上がりからDF突破、パスを受けたロビーニョがゴール右隅にコントロールシュート。3点目。カルモナがラミレスを捉えきれなかったことと、ビダルが上がっていたのでロビーニョに追いつけなかった。でもまあ決定力あるよなあ。 イスラout/ミジャールin。イスラはサイドやってり中でも良いプレイを見せて、印象的な選手だったな。チリが前に選手を投入し、ブラジルもなるべくラインを上げるので、狭いエリアに凄い人数が密集する。 ブラジルの攻めでチリ選手が凄い勢いで戻るので、これ疲労がキツそう。それを見てボールをワイドに回すブラジル。76分、ルイス・ファビアーノout/ニウマールin。81分、カカーout/クレベルソンin。お疲れ交代。 チリはこの時間でもハードにチェックに行ってるが、ボールを回されたりファウルを取られたりでなかなか奪えない。時折作るゴール前のチャンスでも、ブラジルDFの集中は切れずにキッチリ守るので、あと一歩のところでゴールには至らない。 むしろ3点差でブラジルが攻めに出る場面も多くあったりと、この完全には受けに回らないのは強豪の老獪さだ。85分、ロビーニョout/ジウベルトinで守備固め。そのまま試合を終わらせて3-0でブラジル完勝。 巧くて速くてチームプレイが出来てハードワークするブラジル。強い、というのはこういうことだと思い知らされる試合だった。隙が無さ過ぎる。ブラジルは次がオランダか。このブラジルが負ける姿が想像できない。
しかし今回のチリのチームとしての魅力、ビエルサ監督の凄さと面白さは十分に伝わった。 2002年大会でアルゼンチン監督だったときにはバティストゥータの1トップにこだわって、クレスポをなかなか使わずに「何なんだこのオッサン」と思ったが(そういう人も多かっただろう、特にアルゼンチン人には)、 その彼が5年掛けて作ったチームはアヴァンギャルドな戦術と練られた組織力を備え、スーパースターこそ居ないが、スリリングで素晴らしく面白いサッカーを見せてくれた。ありがとう。 確かにこういうチーム作りは、スター選手が多くメディアやファンからのプレッシャーが強いアルゼンチンでは出来ないだろうな。日本代表監督の話も出てるらしいけど、マジで来てくれないですかね>ビエルサ。性格は変人というか、ちょっと難しい人らしいですが(笑)。
【7/1】
FIFAワールドカップ2010。決勝トーナメント1回戦も終了。あと8試合だ。F1位・パラグアイvsE2位・日本。もう客観的に感想が書けないが、取り留めなく書ける範囲で。パラグアイもあまり得点力もなくハードワークによる守備重視なので(日本も全く同じ芸風)、ベスト16の中ではまだやりやすい相手とは言える。 パラグアイはネルソン・アエド・バルデスが控え、ベニテス、ルーカス・バリオス、ロケ・サンタクルスの3トップが先発。オルティゴサがアンカーか。日本は前3戦とスタメン変わらず。主審はベルギーのデブレーケーレ。 1点が決定的な差になるということで、まずはパラグアイが積極的に出てくる。左サイド(日本の右サイド)をSBモレル、ベニテスで攻められ、中へのクロスや逆サイドへの折り返しでしばしばチャンスを作る。 日本のゴール前の守備は、崩しのない放り込みの攻撃には基本安定していて、幾つかのピンチを除けば、中で落としてからのMFベラやリベロスからのセカンドアタックさえ気をつけさえればあまり驚異ではなかった。 ただ日本は相手の攻撃を跳ね返しこそすれ、その後のボールの繋ぎをマイボールにする時間が短くて攻められる時間が多い。これは精神的にも肉体的にもキツいな。 本田にボールを収めるが、マンマーク気味でDHオルティゴサが付いているので、そこからパスを繋いで攻め崩したシーンは多くなく(こちらも幾つかは決定的なものがあったが)、 オルティゴサは本田をDFに受け渡してからは遠藤または長谷部の潰し役に回るので、攻撃の組み立てが難しい。日本は速い攻めでファウルを貰ってからのセットプレイに活路がある感じ。 デンマーク戦のスカウティングをやっていたからだろう、FK取られるごとにマルティーノ監督やパラグアイベンチ陣が本気で嫌がってオーバーアクションで声を上げる。主審が結構ファウルを取るので(ちょっと細かく取りすぎかも)、FKの機会も多い。 ただ日本の走る中盤が全般的に、遠藤や長谷部が疲労からか一歩出が遅かったり判断も良くなく、球際で負けたりプレスされてボールを失う場面が散見される。松井も今までに比べるともう一つ出来で、このスタイルでの4戦目は消耗が激しいことが判る。 そんな中でも大久保と本田はさすがのフィジカルの強さ。攻撃に守備に献身的に走るし、当たり負けもしない。パラグアイ選手も個人テクニックはあるが細かいミスやボールロストもあり、連戦による疲労の色が濃い。 60分からベニテスout/アエド・バルデスin。嫌な選手が入ってきた。おそらく守備を意識して試合に入りたかったというパラグアイベンチの意図でスタメンから外れていたのだろうが、グループリーグでは3試合連続スタメンの攻撃的な選手だ。 65分、日本も早めで松井out/岡崎in。岡崎には、いつもよりFWとしての役割が求められるだろう。右サイドのスペースを埋めるだけでなく、本田を追い越して中に入ってくる場面(今まであまり見られなかった)も出ている。 時間が進んでも両チーム守備は破綻しない。中澤、闘莉王の両CBとアンカーの阿部、GK川島がとにかく安定していたし、長友と駒野の両SBも3トップのサイドFW(ウィンガーではなく中に入ってフィニッシュまでやるタイプ)相手に粘り強い守備を見せた。 75分、パラグアイはアンカーのオルティゴサout/バレートin。攻撃的MFを入れて完全に点を取りに来ている。 ただまあ両チームともあまり得点の入る気配はなく、予想通りのジリジリした堅い展開。どうせ1点勝負だから根比べのような試合だろう、とは予想はしていたが、これは精神的にも来る試合だ。 あまりに重苦しい試合内容で、81分に阿部out/中村憲剛inのあたりで正直吐き気がしてきた(苦笑)。アンカーを外して中村憲剛が入ったことで、日本もリスクを負って攻めに出る。今大会初めての大きな変更だ。だが良い形も作るが、連携が巧くいかずに得点には至らない。 そのまま後半も終了、延長戦へ。延長前半も一進一退の展開だが、両チームDHを削って前目の選手が入っているので、攻撃的チャンスは増えている。延長後半開始、105分に大久保out/玉田in。フレッシュな玉田の走力とDF裏取りに期待。 さらに長友の上がりから遠藤・中村憲剛・玉田の流れで相手ゴール前でのチャンスも作る。パラグアイも完全にガス欠で走れず、特に攻撃は個人単位で組織になっていないが、それでもしたたかにカウンターなどでチャンスは作って攻めながら守る感じ。 延長後半はロスタイム無しで終了、PK戦へ。日本3人目の駒野がクロスバーに当たり、0-0:PK5-3でパラグアイが準々決勝進出。5人決めきったメンタル、先にGKを飛ばしてから蹴るテクニックがパラグアイは上だった。 試合終了後、号泣する駒野を慰めるバルデスに泣けた。00/01シーズンCL決勝で延長PK戦後にカニサレスを慰めるカーンを思い出したな。 まあPKは時の運の要素も多いし、「マラドーナもバッジオもバレージもピクシーも外していた」(ポポビッチ談)ということで、悔しいがまあ仕方なかった。 「120分戦い抜いた選手に、こんなルーレットみたいなゲームで勝敗を決めさせて良いのか。FIFAにはもっと考えて欲しい」(オシム談)という意見もあるけど。
個人的には、PK戦に入る前にGK川島を楢崎と川口が励ましていた姿にもちょっとグッと来てしまった。現実的に「自分たちの出来るサッカー」へ転換し、戦いながら成長していったチームと選手は素晴らしかった。 ただ120分で決めることが出来なかったし、相手のミスを見逃さないというほどの狡猾さや老獪さもなかった。現時点では日本はこのサッカーが現実的で全てを変える必要はないと思うが、ここから何を良くするのか、どこを変えていくのか。 「今日だけは、”相手が強かった”という言い訳は出来ない」「負けないためではなく、勝つためのサッカーが必要だった」「これからを、我々は今日から考えなければいけない」「暗くなり過ぎなくても良い。サッカーはまだ続くのだから」(オシム談)。 引用はこの辺にするが、オシム爺ちゃんの言葉が本当に染みた。芸能人のトークを流している地上波民放との温度差が激しかったな。H1位・スペインvsG2位・ポルトガル。イベリア半島ダービーだ。グループリーグは不満足な内容だったスペインに対して、ポルトガルは3連勝で無失点と守備の堅さが目立つ。7得点だが全て北朝鮮から挙げた点なので、攻撃力は実は未知数かな。 スペインは前節チリ戦と同じスタメン。ポルトガルは前節ブラジル戦から右SBをリカルド・コスタに変更、DF登録を一人削り、FWをダニーを外してクリスチャーノ・ロナウド、ウーゴ・アウメイダ、シモンの3トップに変更。ビジャ対策をしながらも、若干攻撃的にシフトした布陣。 主審はアルゼンチン人のエクトル・バルダッシ。キックオフ。スペインはいつものバルサ型ポゼッションサッカー。ポルトガルはフィジカルの強いウーゴ・アウメイダを2CBの所に置いてポイントマンにする。右はクリスチャーノ・ロナウド、左はSBファビオ・コエントランが攻撃で目立つ。 特にイニエスタが中に入るのでコエントランがわりと自由に攻撃参加できる状態。 全体としてスペインが主導権を持って動かしているのは予想通りだが、この試合のスペインはいつも以上にピッチをワイドに使ってパスを速く回しているのが目立つ。でもポルトガル守備陣は縦の楔パスやDFライン裏は取らせない。 20分にはポルトガルがカウンターからゴール寸前まで行くが、GKカシージャスとDFが踏ん張って得点にはならず。ポルトガルの攻守の切り替えは速いなあ。カウンター以外は細かく繋がずにシンプルに前線に攻め込む。 スペインも堅い守備ブロックを細かいパスで完全に崩すことより、ボールを回しながらライン裏やCB前への一発でチャンスを作ろうとしている印象。 フェルナンド・トーレスは左右に流れて一人でドリブル突破しようとしたり、この試合ではちょっとミスマッチかな。もっと真ん中に張ってた方がチャンスあると思うけど。 その後クリスチャーノ・ロナウドの無回転FKをカシージャスが何とか止めたりと、今にでもどちらかに点が入りそうな雰囲気がありつつも、どちらも決めに行けないまま試合は進む。印象としてはポルトガルがスペインに攻めさせながら隙を窺っている感じで前半はスコアレスで終了。 後半は立ち上がりからポルトガルがかなり前に出てきて、スペインが守備する時間が続く。58分、ポルトガルはアウメイダout/ダニーin、スペインはフェルナンド・トーレスout/フェルナンド・ジョレンテin。 直後にジョレンテが決定的チャンスを作るが、ポルトガルGKエドゥアルドが何とか止める。中でジョレンテが張ることで良い形が見えてきた。 そして62分、シャビ・アロンソの縦パス→イニエスタとジョレンテのワンツー→イニエスタのアウトサイドのスルーパスをシャビが流す→反応したビジャがDFラインの裏を取ってシュート、GKが弾いたボールを再度ビジャが押し込んでスペイン先制。 最後はシモンまで戻って7人守備が居る状態でこのパス交換からのゴール。凄え。これもDFラインの裏を取るためにパスを細かく回した感じで、守備ブロックが崩されていなくてもビジャの進入を防ぎきれなかった。 72分、ポルトガルはペペout/ペドロ・メンデスin、シモンout/リエジソンin。ダニーとの本職FWの2トップで、かなり攻撃的な交代。 だがスペインのポゼッションに対して、ポルトガルはボールを奪えないのと、スペインが前にジョレンテを張り付けているのでアンカーまで上がりづらく、SBが上がったり中に絞ったサイドのスペースをスペインに狙われる。 ポルトガルは交代枠を使い切ってFWを投入したが、その前の選手を使うゲームメイカーが居ない状態で(強いて言えばチアゴか)、リエジソンらにボールが入らない。結果論だが、シモン残すかデコが入っていれば違ったかも。とにかくポルトガルには1点が遠い。 88分、スペインはビジャout/ペドロin。直後、上がっていたリカルド・コスタがカプデビラにヒジを入れてレッドカードで退場。この試合、バルダッシ主審はフィジカルコンタクトにかなり寛容だっただけに、この一発退場はちょっと唐突な感じだった。 93分、シャビ・アロンソout/マルチェナin、守備固め。そのまま試合終了、1-0でスペイン勝利。準々決勝はスペインvsパラグアイと決まった。
ポルトガルは「死のグループ」+スペイン戦の4試合で1失点の守備は素晴らしかった。今回みたいな失点もスペイン相手でない限りしない類のものだと思う。反面、攻撃力は個々のテクニックはありつつも点が取れない、という状況がもう10年続いている。 北朝鮮とかが相手ならいいが、同等以上の相手になると、組織的な攻撃戦術の手詰まり感はあると思う。まだブラジルの方が、やってるサッカーがモダンなんだよなあ。スペインがもう一つなのもあって、期待よりは面白みに欠けた試合だった。
【7/4】
FIFAワールドカップ2010。準々決勝。オランダvsブラジル。前回のチリ戦で圧倒的な強さを見せたブラジル。オランダの攻撃陣は凄いが、それをブラジルがどこまで抑えられるか。またブラジルのあの攻撃力を、若干守備に懸念の残るオランダが防げるのか。 オランダは試合直前にCBマタイセンが怪我でオーイェルが先発、それ以外スロバキア戦からメンバーの変更は無し。ブラジルはMFラミレスを怪我から明けたフェリペ・メロに戻した以外は同じスタメン。主審は西村さん。このビッグカードで担当するのか。 国歌斉唱の前に人種差別撲滅のメッセージをファンブロンクフォルストとルシオが読み上げる。試合開始直後から両チームとも、DFラインに対するプレスは弱いが、中盤にボールが入った瞬間から厳しくチェックが入って、一人のボールの持てる時間は非常に短い。 その中でもブラジルはボールを速く回してチャンスを作る。たぶん前が空いてないときだと思うが、この時間帯でもCBのフアンやルシオも上がったりするんだよな。すげー。 そして10分、フェリペ・メロが中盤の底から長いパスをCB間に出し、抜けたロビーニョがワンタッチでゴールに流し込む。ブラジル先制。 ロビーニョも巧かったし、ギャップを作ってしまったオランダCBの対応も良くなかったが、それよりもパスを出したフェリペ・メロが完全にノープレッシャーだったのがオランダとしては痛かった。 14分、CBハイティンハがSBがパスを出した瞬間にFWルイス・ファビアーノを蹴倒してイエロー。こういうのが効いてきそう。 オランダも今までの試合よりも積極的にSBが組み立てに参加しながら押し上げるが、ブラジル各選手のポジショニングが抜群で攻撃が割って入るスペースがほとんど無い。 逆に30分辺りでのブラジルの、サイドから激しいプレスを受けながらボールを失い掛けつつも繋いで最後にカカーのシュートまで持って行った場面とかはさすがだった(オランダGKステケレンブルクのナイスセーブで得点にはならなかったが)。 でもこの試合、ブラジルは当然としても、オランダも凄く組織が機能してるな。SBの攻守での動き、前目の選手の守備(せざるを得ないんだけど)など、ここまでの試合での攻めと守りが分離している感じが解消されてタイトにまとまっていると思う。 とはいえ、ブラジルが点差以上に圧倒的に優勢な流れだ。 ハーフタイムのスタジオでゲストのオリベイラ監督が、審判が公平にジャッジしていたらもっと大差が付いていたと言っていたが、ブラジル人であることと普段Jリーグで西村主審に煮え湯を飲まされていることも発言の背景にあるだろう(笑)。 そして後半。開始直後は前半同様のブラジル優勢な流れだが、52分、FKのリスタートの流れからスナイデルのロングクロス。GKジュリオ・セーザルがこれに飛び出たが、クリアに来たフェリペ・メロが触れてオウンゴール、オランダ同点。 これでオランダが活気づいて、試合としてはイーブンに近い雰囲気に。前半はオランダがポゼッション取っても点が入る気がしなかったんだけど、空気が変わってきた。62分、SBミシェウ・バストスout/ジウベルトin。ちょっとブラジルは全体の安定感とか無くなってきた感じ。 そして68分、ブラジルのスローインからオランダが奪ってスナイデルがDFライン裏にループパス。これに追い付いたロッベンを嫌ってフアンがCKに。そのCKをロッベンが蹴って、カイトが逸らせて、スナイデルがヘッドで決めてオランダ逆転。 セットプレイからブラジル2失点。うーん、キックも良かったけどブラジル守備陣がちょっと集中力を欠いていたかも。ボールが速かったのもあるが、フェリペ・メロとジウベウト・シウバがウォッチャー状態でスナイデルを離していた。 73分、そのフェリペ・メロがロッベンに強くボールを取りに行って一発レッドで退場。 ファウルで止めた後に(ここまではまあ良いとして)、ボールを抱えた感じになったロッベンを完全に意図的に踏みつけてるんで、これは仕方ない。ただリードされている状態で数的不利は、いくらブラジルと言えども厳しい感じ。 その後も判定を巡って、しばしば荒れ気味になる。77分、ルイス・ファビアーノout/ニウマールin。この交代はどうだろうな。若干ゲームをコントロールに入ったオランダに対して、CKからブラジルが猛攻を見せるが守備が堅くて点が取れない。 オランダは85分、ファンペルシーout/フンテラールin。時間が無い中、ブラジルはルシオを上げて3バックでパワープレイ。ロスタイム3分。もうオランダは攻めのクリア重視。そして試合終了、2-1でオランダ勝利。いやーこれは驚きの結果だなあ。 勝ったオランダは、本大会ではどうも組織が機能していないサッカーをやってる印象があったのだが(前は前、後ろは後ろでやっていて、ファンボメルが何とかリンクしている感じ)、この試合では非常に組織的なチームプレイを発揮していた。 このまま行けば優勝も射程距離だが、ファンデルビールやデヨングが準決勝で出場停止なのは痛いかな。
ブラジルは前半あれだけ完璧な試合運びだったのに、その中で追加点が取れなかったこと、ミスから失点した時点で動揺がプレイに出たことや退場者を出すに至ったメンタル面(ブラジルっぽくないけど)、そしてキャッチアップのための交代策があまり有効でなかったことが敗因だと思う。 「天国と地獄」(オリベイラ監督)、「前半オランダに何もさせなかった。それでブラジルは相手を過小評価してしまった。ブラジルらしくない」(オシム爺)。前節といいこの試合の前半といい、本当に凄かったんだけど、失点後からどこか集中できないまま負けてしまった。 いやーこんなこともあるんだよなあ。ちょっと未だに信じられない。
あと審判について。この大舞台で選手がジャッジにナーバスになるのは判るが、まあ確かに微妙な判定は多かったように思う (後半開始直後のファンデルビールのシミュレーション判定でのイエローとか、63分のルシオのハンド見逃しとか、76分にオーイェルにイエローと間違えてレッド出しかけたりとか)。 ファウルの流し方の基準など、まあ我々日本人が普段のJリーグで知っている西村主審だった(苦笑)。 まあこの大会はベスト16で帰国になった主審も多いので(ロベルト・ロゼッティとかホルヘ・ラリオンダとか…有名な人に限って大誤審あったからなあ)、ちょっと今後の審判レベルに懸念が残る一戦だった。ウルグアイvsガーナ。4試合1失点、しかもセットプレイからで流れからは失点していないという堅守のウルグアイ。決勝トーナメント1回戦で組織力とFWギャンの個の決定力を見せつけたガーナ。好チーム同士の試合だ。 ウルグアイはCBゴディンが今度は太腿の怪我で、この試合もビクトリーノが先発。MFアルバロ・ペレイラに代えてDHのアルバロ・フェルナンデスが左担当の予想。その他は前節と同じスタメン。 ガーナはCBジョナサン・メンサーとFWアユーが出場停止で、CBボルサーとMFムンタリが初先発。主審はポルトガルのオレガリオ・ベンクエレンサ。日本vsカメルーン戦の人だ。 キックオフ直後から会場の雰囲気は明らかにガーナ寄りで、唯一残ったアフリカ勢への応援が凄い。ポゼッションはややウルグアイだが、両チームとも基本速攻のチームなのであまり関係ないかもしれない。 ウルグアイはアルバロ・フェルナンデスが右SHだが、守備時はディエゴ・ペレス、エジディオ・アレバロとDH3枚気味になって、3トップの一人が右サイドの穴を埋めるような感じ。変則的だが、局面では割と前目で常に数的優位を作れているように見える。 ガーナのキッチリした組織力は健在で、一定の距離感を持って選手が配置され、攻守で効率的に戦っている。ウルグアイの攻撃力に決壊しかける瞬間もあるが、この試合でも最後の砦でGKキングソンが止める。 そして30分など、速攻やセットプレイから決定的なチャンスを見せるガーナ。ゴールには至らないが、得点が入ってもまったく不思議でない。個人技という意味では目立たないが、相当センスとテクニックあるよな>ガーナの選手。 ウルグアイの選手はこの試合、ちょっとミスが多い。運動量やフィジカルで疲れが現れているのかもしれない。38分、その前のセットプレイで足を痛めたCBルガノout/スコッティin。 42分には競り合いで頭から落ちたSBフシレが失神する場面もあった。主審がフィジカルコンタクトに寛容なこともあり、ウルグアイはファウルが貰えず、プレスで行った人数を抜かれてピンチを作るシーンも頻発。 前半ロスタイム45+2分、中盤フリーでボールを持ったムンタリが強烈なミドルをゴール右隅に決めてガーナ先制。ウルグアイはリトリートして構えていたが、パスしか想定していなかったのか、ムンタリにプレスを掛けていなかった。 後半頭からウルグアイはアルバロ・フェルナンデスout/ロデイロin。攻撃的な選手交代だが、まだペースはガーナが握っている。ウルグアイはミス多いな〜。 53分、フシレの突破からペナルティエリアの際でファウルを貰うと、そのFKをフォルランが直接決めてウルグアイ同点。この得点力があるからウルグアイは恐ろしいよな。GKキングソンは思ったよりボールが伸びて頭上を越えられてしまった。 同点になってからは両チーム互角の状況が続く。南米っぽいパス交換で速い攻めを見せるウルグアイ。前の誰かにボールが入ると次々後ろが上がって全体を押し込むガーナ。 どちらもパス一発でチャンスを作れるタレントが居るのでスリリングで面白い。74分、ウルグアイは最後の交代で、カバーニout/アブレウin。攻める時間が増えるが、ガーナの守備も集中が途切れない。 88分、ガーナはMFムンタリout/FWアディイアーin。だがウルグアイが攻める時間が続く。ロスタイム3分も経過し、延長戦へ。ガーナは2試合連続だ。 延長開始直後はガーナが攻めるが、ウルグアイがほぼ自陣で守備。ボールがウルグアイに渡るとポゼッションしながら上がるが、ちょっと運動量が厳しそう。組織で効率的に戦っている分だけガーナの方が体力は優位そう。 98分にギャンが、103分にはアブレウがペナルティエリアで倒されるがノーファウル。この審判、徹底的にこの手の交錯ではPK取らないな。延長も後半突入。109分と115分にギャンが、114分にフォルランが決定機を作るがどちらも決められず。 終盤はウルグアイも中盤が引き気味で、ガーナの波状攻撃を受ける。延長後半ロスタイム、アディイアーが競った状態で倒されてガーナが好位置からのFK。 そこのキックからゴール前での押し込み合いで、スアレスが完全に手で押し出して一発レッドで退場、PKに。泣きながら下がるスアレス。いやーこれは誰がどう見ても仕方ない。ガーナのキッカー、ギャンは今大会PKですでに2得点。 まったく時間が無い状況でのPKでガーナ勝利か、と思ったキックはクロスバーを叩いてゴール裏に。こんなことが現実に起きるとは。これがプレッシャーというやつか。絶句。 ウルグアイGKのムスレラはクロスバーにキスを送り、結果的にチームを救ったスアレスはロッカールームへの通路で歓喜を上げる。このまま試合終了。凄すぎる展開で、今大会2回目のPK戦へ。 ウルグアイ1人目のフォルランが決めた後、ガーナ1人目のPKキッカーは何とギャン。しっかりと決める。この順で蹴らせるライェバツ監督の信念と、蹴って決めるギャンのメンタルは凄いな。 ガーナ3人目のジョン・メンサーのキックがGK正面で止められるが、ウルグアイ4人目のマキシ・ペレイラが枠を外し、ガーナ4人目のアディイアーのキックはGKムスレラが読み切って止める。3人連続失敗。 異様な雰囲気の中、決めれば試合が終わる次のキックを、5人目のアブレウがスローループで入れて決着。1-1、PK 4-2でウルグアイ勝利。驚喜のウルグアイ選手たち、そして泣き崩れるガーナ選手。 ピッチに突っ伏したまま号泣するギャンを、スタッフが起こして「顔を上げろ」と語りかける。立ってもまともに歩けないギャンをデレク・ボアテングが支えて、励ましながら下がっていく。怪我でエッシェンが居ない今大会で、このチームを支え続けたギャンにとっては残酷な結末になった。 ウルグアイはオランダとの準決勝。この試合では疲労が蓄積した状態で厳しい時間帯も多く、出来は良くなかったがツキはあった。次はスアレス出場停止により3トップの一角を欠いた状態で、オランダとどう戦うのか。
敗れたものの、ガーナは本当に良いチームだった。アフリカ勢のフィジカルとテクニックに加え、欠点とされていた組織とメンタルという点において、完全に機能するチームを作り上げたライェバツ監督の手腕と選手の能力は特筆すべきだろう。 最後は少しだけ運が味方しなかったが、素晴らしい組織サッカーを見せてくれた。お疲れ様でした。
【7/4】
FIFAワールドカップ2010。準々決勝。アルゼンチンvsドイツ。これは堪らないカード。失礼な言い方だが、ブラジル無き今、事実上の決勝戦では(サーセン)。アルゼンチンもドイツも前節と同じスタメン。両チームとも、準々決勝を迎えて出場停止がいないのは凄いな(準決勝で累積カードがリセット)。 主審はウズベキスタンのラフスハン・イルマトフ。アジアNo.1審判だ。スタンドではメルケル首相、バラックとビアホフ、ミック・ジャガーなど関係者やセレブ(女優?)も観戦。キックオフから良い攻め合い。 3分、左サイドのポドルスキのドリブルからSBオタメンディのファウルを取り、そこのFKからミュラーのヘッドで早々にドイツ先制。シュバインシュタイガーのキックも素晴らしいが、オタメンディを振り切ってDF前に入ってきたミュラーの飛び出しが完璧だった。 そこからもドイツは左サイドからの攻撃で好機を生み出す。これ、オタメンディが完全に狙われてるな。攻めでも上がったときにCBフリードリッヒを蹴って11分にイエロー。大丈夫か>オタメンディ。 ドイツはサイドから攻め上がった後に高い位置でボールを回せるのが強みだ。アルゼンチンは奪ってもカウンターで良い形が出来ない。特にメッシとテベスには強烈にマークが付く。 あと1ボランチのマスチェラーノの両サイドをドイツに使われるので、攻撃的なディ・マリアとマキシ・ロドリゲスが下がり気味になり、ビルドアップで遅攻を強いられる。 20分過ぎぐらいからディ・マリアとマキシがポジションチェンジ、両SBが高めになってスペースを埋めて2人を押し上げたりと対応して攻撃を強めるが(これが本来の形だが右SBの所で負けているので機能しなかった)、ドイツもいくつか決定的な場面を作る。 ドイツも押してはいるが、この優位な状況で追加点取れないと後々が微妙かも。 30分以降はアルゼンチンが主導権を持ち、ドイツはポゼッションがなかなか取れない。ディ・マリアが右に回ってSBボアテングの所でボールを持てるのが効いている。得点には繋がらないものの、アルゼンチンが盛り返して前半終了。 後半立ち上がりもアルゼンチンが攻勢。かなり高い位置でボールが持てるが、ドイツが組織的かつ人数が揃っているのでFWに良いボールが入らない。 イグアインやテベスに当ててからメッシやマキシが行ったり、やや遠目からドイツDFの裏にボールを入れたり、CBデミチェリスの攻撃参加なども試みるが打開策にはなりきれていない。 55分ぐらいからは中盤が空き始め、速攻の応酬に。こうなってくるとドイツはヤバいな。アルゼンチンの攻撃に対して、ギリギリの守備が目立つ。ただ逆に言えば、それでもドイツDFの組織が踏ん張れている。 アルゼンチンは個人突破や2〜3人の連携のみで、守る相手を組織として攻めきる方法を持っていないように見える。 そして苦しい時間帯を耐えたドイツの反撃。68分、ミュラーの左サイドのポスト(相手は引っ張り出されたCBデミチェリス)から崩れつつもポドルスキにパス→スルーパスでゴール前のクローゼが軽く合わせてゴール。ドイツ追加点。 アルゼンチンDFはデミチェリスが引き出されているのに、ポドルスキに入った時点でブルディッソ以外全員がボールウォッチャーになっていて、クローゼを完全フリーにしていた(しかも、さらに奥側でエジルもフリーだった)。 70分にアルゼンチン、オタメンディout/パストーレin、右SBに本職でないマキシが回る布陣に。直後の72分にはドイツが、ボアテングout/ヤンゼンinと左SB交代。 早速そのヤンゼンの攻撃参加からCKを取ると、74分、ショートコーナーからシュバインシュタイガーがドリブルで3人かわしてプルバックパス、セットプレイで残っていたCBフリードリッヒが倒れ込みながらゴール。3点目。これは大きすぎる。 シュバインシュタイガーのドリブルコースにディ・マリア、パストーレ、イグアインと守備の巧い選手が居なかったこともあるが(それで勝負に行ったのもあるだろうけど)、それにしてもアルゼンチンの集中力が切れてたというか、ちょっと緩すぎる印象。 75分、アルゼンチンはMFディ・マリアout/FWアグエロin。直後にドイツは、ケディラout/攻撃的なクロースin。レーブ監督も守りに入らないなあ。ドイツは攻守に運動量が落ちない。アルゼンチンの選手には失望と疲労が漂う。 84分、ドイツは足を痛めたミュラーout/トロコウスキin。89分にはカウンターからクローゼが4点目を決めてダメ押し。主審も空気を読んでロスタイム1分。最後のメッシのシュートもキャッチされ、試合終了。 結果的には大差の試合となった。個々の能力で上回るアルゼンチンをこの点差で破った。この差は組織戦術とチーム完成度の違いだろう。 ドイツ代表がブンデスリーガの選手だけで構成されていることもあるが、個ではなく組織で攻守に対応することの意識が高く、かつ献身的に動いていたと思う。
破れたアルゼンチンだが、マキシは号泣していたが、他の選手は割と淡々と下がっていったのが目立った。点差やその点の入り方、ゲーム展開もあっただろうが、アルゼンチンにもっと執念が見えても良かったんじゃないかとも思う。 グループリーグや決勝トーナメント1回戦のメキシコ戦などでは目立たなかったが、南米予選でも拮抗した試合や先制された際の脆さはあった。 本大会では(ほとんど先制したこともあって)表面的には組織力が上がっていたように思っていたが、こういったレベルの相手にはその弱点がもろに露呈したような試合だった。 「アルゼンチンは”神の手”を持っていたが役に立たなかった。そういう、一つのアクションで奇跡を期待するような哲学ではモダンなサッカーには通用しない」 「バルセロナとは違って、アルゼンチン代表にはメッシを助ける選手が居なかった。クリスチャーノ・ロナウドも同じだった。ドイツ代表でクローゼが得点を重ねているのは偶然ではない」(オシム爺)。 まあ、コーチや協会も含めたチーム作りの問題なんだろう。マラドーナということで悪目立ちしやすいが、監督が代われば済むレベルの話でもない気がする。アルゼンチンは個々のタレントでは本当に魅力的なんだけど、残念でした。スペインvsパラグアイ。ベスト4最後の席を決めるカード。イタリアに引き分け、日本が良い勝負をしたパラグアイの守備(って書くとあんま凄い気がしないが…)。その4試合1失点の守備がスペイン攻撃陣に対して機能するのか。そういう興味もあったりする試合だ。 スペインは、ユーロ2008や欧州予選時の凄さ、組織の連動性と個人技の融合、守備の堅さといったものが本大会ではあまり見えないが(なんか昔ながらのスペインっぽい)、チリ戦とポルトガル戦でチーム勘みたいなものが戻りつつあるように思う。 スペインは前節と同じベストメンバー。個人的にはFWはフェルナンド・トーレスよりジョレンテ(ビルバオの方)の方が良いんじゃないかと思うんだけど。ユーロ2008でのグイサみたいな立ち位置で。 パラグアイは右SBにベロン、左サイドにホナサン・サンターナが初出場。停止明けのDHビクトール・カセレスが先発復帰、日本戦で目立ったオルティゴサ、ベラ、ボネ、サンタクルス、ルーカス・バリオス、ベニテスの6人は控え。前節延長戦の疲労を考慮か。 主審はグアテマラのカルロス・バトレス。北中米の審判では有名な人らしいが、レベルってどうなんだろうか(グループリーグ2試合でイエロー8枚、レッド1枚とやや多め)。 試合開始。パラグアイは日本戦同様、かなり高い位置からプレスを掛けて(特にCBにFWがプレスしてビルドアップさせない)、相手にボールが渡ったら複数で囲んで奪う。そして主に左サイドから上がっていく感じ。DFラインはやや高め。 スペインはピッチを広くパスで繋げて密集を作らせないような組み立てで、同じように相手ボールの時には組織的に奪う。マイボールの密集時には速くて細かいパスでかなり低い位置からでも組み立てるのと、縦のロングボールよりパス交換でサイドから上がっていくのがスペインらしい。 スペインは、プレスがあってもある程度ボールは持てるが、相手ゴール前になるとパラグアイが戻って人数を掛けて守るのでスペースが全くなく、ちょっとこの状況でゴールを奪うのは厳しいな。 シャビやビジャのミドルシュート、パラグアイのミスからのショートカウンターで打開を計るが得点には至らず。 パラグアイも、ボール持っても流れから崩すにはスペイン守備のミスがないと難しい。基本ロングパスからの速攻でチャンスが生まれるが、スペインDFに早々に潰されたりシュート精度が低い。ただこれを続けて1点取って勝つのがパラグアイのゲームプランだ。 スペインは両サイドのビジャ、イニエスタにボールがあるときには可能性が見えるが、フェルナンド・トーレスの動きがイマイチなのと、FWとしてスペースが無い状態では持ち味が出ないタイプなので、ちょっとミスマッチじゃないかなと。 あと全体的に足下パスばかりでスペースに出す人が少なく(イニエスタとシャビ・アロンソぐらい)、パス&ランも少ないんで、こう何というか、パスはバンバン回るけど組織攻撃になっていない印象がある。 後半立ち上がりからもパラグアイが前からプレスに行く。前半開始時もそうだったが、スペインは2トップ気味でビジャが中側に入ってきていて、イニエスタが下がり気味。56分、トーレスout/セスクinでビジャが1トップに。 直後の57分、パラグアイCKでペナルティエリア内でCBピケがFWカルドーソを倒してイエロー、PKの判定。まあ思いっきり腕を掴んで引っ張ってはいるなあ。これをGKカシージャスが読み切ってキャッチ。いやーさすが。 さらにその直後のプレイでシャビ・アロンソのCB間への縦パスにビジャが抜け出し、今度はパラグアイCBアルカラスが倒してイエロー、PK。ちょっとファウル貰いに行った感と審判の帳尻合わせ感が否めないが、シャビ・アロンソが決めてスペイン先制。 と思ったら、キックの瞬間にブスケツがエリアに入ったとして蹴り直しの判定。何じゃそりゃ。そしてその再度のPKをパラグアイGKビジャールが止める。その押し込み合いでセスクがGKに手で足を払われて倒されるがこれはファウル無し。審判ヤバいだろ、これ。 スローが出たが、パラグアイのPKの際にもブスケツは蹴る前にPKエリア内に入っていた。そっちは蹴り直し無いのかよっていうね。これは酷いな。 そこからスペインがショートカウンターで決定機を作るが点に至らず。場内騒然としたまま、64分、パラグアイはバレットout/ベラin。パラグアイはFWも戻って守備してるので体力がキツそう。73分、バルデスout/サンタクルスin。バルデスお疲れ。 75分、MFシャビ・アロンソout/FWペドロin。ブスケツ1ボランチか。両SBが同時に上がっている場面も増え、前への圧力は出ているんだけれど、このノラリクラリ感はパラグアイのペースだ。 延長戦が頭をよぎった83分。イニエスタ→セスク→シャビの壁パス→イニエスタがドリブルで2人かわして、DF2人引きつけてパス→ペドロのシュートがポスト直撃→跳ね返りをビジャが落ち着いて決めて、スペイン先制。美しすぎる。 決めたビジャの決定力も凄いが、この流れで、イニエスタの卓抜したテクニックとDFを引きつけてパスを出す冷静さ、そしてパスを出してからも止まらずに前へ出て行った動き(DFがボールを見てしまっていた)が、あまりにも素晴らしい。 直後にパラグアイがDHカセレスout/FWバリオスinで点を取りに、スペインがプジョルout/マルチェナinで守備をリフレッシュ。パワープレイのパラグアイに対して、スペインは前に人数を掛けすぎないようにボールを回す。 パラグアイも相当前に人数掛けてプレスしている。89分、イニエスタから2人でボールを奪った後にリベーロスがDFラインの裏に放り込み、バリオスがシュート。カシージャスがこぼしたボールにサンタクルスが詰めてさらにシュート、カシージャスが何とか体で止めたという場面も。 スペインも直後にペドロ、セスク、ビジャの3人だけでカウンターでシュートまで行ったりと、ややオープンな状況。ロスタイム3分、パラグアイはロングスローでのパワープレイとそこからのこぼれ球狙い。スペインはボールを奪うとドリブルとパスでキープ、パラグアイはそれをなかなか奪えない。 そして試合終了。カシージャスに駆け寄って喜ぶスペイン選手たち。俯いて自失で泣き続けるカルドーソに、パラグアイだけでなくスペインの選手たちも近寄って慰める。それだけお互いに気持ちが分かる、苦しい試合だったのだろう。 パラグアイは「これしかない」というサッカーで本大会を戦い続け、チャンスはあったが掴みきれずに敗れた。その姿は日本と被って見える。最後は選手のクオリティ差が出てしまった形だが、これもまた仕方ないものだろう。スペクタクルには欠けるが、パラグアイは良いチームだった。
勝ったスペインはドイツとの準決勝。ユーロ2008決勝の再現だ。今のスペインは相手のゲームプランに抗うほどのチーム戦術はない(根本的には、取りまとめ型のデル・ボスケ監督のスタイルの限界だと思う)。 ドイツ戦でもカシージャス、ビジャ、イニエスタといった個人の活躍、DFラインとアンカーのブスケツはチームとして発揮できるとは思うが、得点を取りに行くビルドアップ部分には不安が強い。 SBの攻守連動はかなり改善されたが、フェルナンド・トーレスの機能しなさは著しいし、個人的にはシャビのプレイもちょっと物足りない。素晴らしい局面もあるが、もっと有効に攻撃に絡める人だと思うんだよなあ。
あと審判。これは「ワールドカップの準決勝」を裁くレベルじゃなかったでしょ。まあ上に行くほど欧州と南米の組み合わせが多くなるんで、主審はその他のエリアの人になる訳だけれど、それにしても人材としてレベルが足りなさすぎる。西村さんの方がレベル高かったですよ。 ドイツvsスペイン戦はいいとして、ウルグアイvsオランダ戦とか大丈夫なのか。準決勝について。ウルグアイvsオランダ戦。ウルグアイはスアレスが出場停止で出られないことが大きい。たぶんアブレウ先発になるだろうが、あの3トップのタレントが戦術になってる部分もあるので、そこが機能するかがポイントだろう。 オランダはブラジル戦まで組み合わせに恵まれてきたが、大一番で実力を見せてくれた。あれが発揮できればウルグアイも攻略できるだろう。相手としてもドイツやスペインよりはまだ組みやすいし。
ドイツvsスペイン戦。ドイツは20代前半の若手中心で組織的に素晴らしいチームを作ってきた。クローゼが戦術的に重要なので(居なくなったセルビア戦とガーナ戦では苦戦した)、彼がいる状態なら攻めに関しては問題ないと思う。 ただ、絶好調のミュラーが累積で出場停止なので、その穴は大きいかな。多分トロコウスキが出るのか。守備では両CBがテクニック系ではないので、DFラインの前でボールを回された時に、ケディラとシュバインシュタイガーが大変そう。 スペインは、アルゼンチンを完封したドイツ守備陣をどう攻略するかが難しい。フェルナンド・トーレス先発だとイグアインのように抑えられて機能しないだろう。アルゼンチンよりは組織的なので、FWがDFラインと駆け引きできる攻めがどこまで出来るか。
いずれにせよ、どちらも楽しみなカードだ。 ユーロ2008ではスペイン優勝という非現実的なファンタジー(笑)が見られたが(「イタリアに延長PK戦で勝つスペイン」というスーパーファンタジー試合もあった)、今回は「ワールドカップでオランダ優勝」とか「スペインがユーロとワールドカップ連覇」とか、 そういうウルトラファンタジーなものが見られるのだろうか。「ウルグアイがワールドカップ優勝」も凄すぎるけど。
【7/8】
FIFAワールドカップ2010。準決勝の2試合。ウルグアイvsオランダ戦。退場者を出しながらPK戦に持ち込んで勝ったウルグアイと、今大会では5試合5連勝・前節は本命ブラジルを破ったオランダ。ウルグアイはスアレスとフシーレ、オランダがファンデルビールとデヨンクと重要なレギュラーが出場停止。 それに加えて、ウルグアイはCBルガーノが怪我でビクトリーノとゴディンという初CBコンビ、左SBのフシーレの所にマルティン・カセレスが入り、MFガルガーノが初先発の4-4-2。うーん、これは大丈夫かなあ。 オランダは右SBにブラルーズ(グループリーグでやってた)、DHにデゼーウが初出場で入った4-3-3。こちらはDHの出来次第というところか。オランダはサポーターが大挙して来ているほか、皇太子夫妻も来場。主審はウズベキスタンのラフスハン・イルマトフ。第四審は西村さんか。 試合は両チームとも上々の動きで、予想通りポゼッションを取って攻めるオランダとカウンター気味のウルグアイ。そのカウンターを警戒してか、オランダはブラジル戦のように両SBが上がらず、DHも上がり抑えめ。 ボール持ってるのに前の4人で勝負、というのもちょっと消極的かな、と思っていた18分。若干上がった左SBファンブロンクフォルストがロングシュートをゴール右上隅に叩き込んでオランダ先制。 確かにウルグアイがプレッシャーを掛けていなかったのだが、センターライン越えぐらいの位置からGKの油断を見て長いシュートを撃ったファンブロンクフォルストの判断とテクニックが素晴らしかった。 リードしたオランダの動きが良くなって、FWやMFが相手CBにプレスを掛けながらウルグアイの前戦に良いフィードを入れさせない。ウルグアイはやはり両CBの連携が微妙で、SBカセレスは結構それをフォローしている上に、それでもボールを持てば攻撃参加する運動量が素晴らしい。 オランダは守備に回ったときにCBとDHのブロックが相当下がるので、フォルランとカバーニにボールが入ってもなかなかチャンスにならない。 その攻防が繰り返されるが、41分、カウンター気味の状況でDFラインとDHの間のスペースに入ったフォルランがガルガーノからパスを受け、ワンフェイントでマタイセンとハイティンハの間に隙間を作ってミドルシュート。GKステケレンブルクの手を弾いてゴール、ウルグアイ同点。 このボールを抑えてシュートする技術。素晴らしい。カバーニがマタイセンをファンブロンクフォルスト側に釣って一瞬隙を作っていたのも巧かった。同点になってからはウルグアイがペースを握ったまま前半終了。 後半頭からオランダは、デゼーウout/ファンデルファールトinでファンボメルの1ボランチ。ついに前目のスター選手4人を同時に使ってきた。そういう状況なのか、ちょっと早い気もする。ウルグアイは交代無し。中盤から前目の選手が増えたのでウルグアイの守備が押し込まれる。 ウルグアイはDHアレバロをアンカーに置いてガルガーノが攻撃や前のプレスに絡む、中盤ダイアモンドの4-4-2に変更。 またオランダが前掛かったためにロング一発でウルグアイが勝負できるスペースも後ろに広がって、50分のマタイセンからカバーニがボール奪取した場面など、CBにウルグアイFWがダイレクトにプレスすることでオランダCBの怪しさも見え始める。 ただ、やはりウルグアイも前に一枚足りない感はあるな。カバーニも守備で下がってくると、ボールを取っても速攻が難しい。左SHのアルバロ・ペレイラも3トップのワイドのような動きで積極的に上がってはいるが、有効には機能し切れていない感じ。 70分、ロッベンが右サイドから持ち込んで中にパス→ファンデルファールトが速く縦に入れる→ファンペルシーが落としてスナイデルがシュート、DFに当たってゴール。オランダ追加点。 シュートの瞬間ファンペルシーがオフサイドポジションにいたこと、そのファンペルシーがボールには触ってはいないがボールに関与するような動きをしたことで、オフサイドを取られても仕方ない感じではあったが、そこは問題なしとの判定。うーん。 さらに直後の73分、左サイドに流れたカイトのクロスからロッベンがCBゴディンを振り切ってヘディング、オランダ3点目。これはキツい。ウルグアイは運動量こそ変わらないが、ミスが目立ち、オランダがボールを回してウルグアイのポゼッションが出来なくなってくる。 78分、MFアルバロ・ペレイラout/FWアブレウin。84分、FWフォルランout/FWセバスチャン・フェルナンデスin。フォルラン外すんですか…。オランダは守備がかなり引いてゴール前を固めている。89分、ロッベンout/エリアin。 ロスタイム3分。その92分、ウルグアイFKをガルガーノがショートキックで蹴って、マキシ・ペレイラがコースを狙ってシュート。これが虚を突く形でゴール、ウルグアイが1点返す。勢い立つウルグアイ。 93+2分、自陣FKからウルグアイが波状攻撃をするが、全員がペナルティエリアで守ったオランダが弾き返しきり、オランダが3-2で勝利して決勝進出。 結果的に、オランダが後半頭からファンデルファールトを入れて中盤でアドバンテージを取ったが、その時にウルグアイはオランダ守備のリスクを攻略しきれなかったことが大きかった。 そしてウルグアイは、やはり前節退場のスアレスの穴が大きく、その代わりの選手が居なかったことが戦術的に限界だった。トーナメントでここまで来ると層の薄さはいかんともしがたいが、その点でもオランダの方が上だった。 あとはリスクを負って攻めに来たオランダが凄かったというべきだろうな。
ウルグアイは伝統的に良い選手は多かったのだが(ここ10年でもレコバ、ダリオ・シルバ、ディオゴ、チェバントン、モンテーロ、パブロ・ガルシア、エグレン、カノッビオとか)、個々のキャラクターの問題なのか、どうもチームプレイができない印象が強かった。 今回の代表チームのように組織立ってハードワークが出来るというのが何より意外だったが、その力で準決勝まで来たというのはタバレス監督の手腕だろう。 南米予選では5位で、北中米4位のコスタリカとのプレイオフで勝って本戦に出てきたチームだが、この大会で完成度を高めて強さを発揮した印象だ。 スアレスがいる状態で観たかったが、さすがにあのハンドは擁護できないので仕方ないとして(苦笑)、フルメンバーの三位決定戦で良い試合が観られればと思う。ドイツvsスペイン戦。両者とも攻撃的なチームだが、ドイツは5試合13得点2失点という爆発的な得点力と堅守も目立つ。オーストラリア・イングランド・アルゼンチンの各試合で4点ずつを奪っているのが凄い。 一方のスペインは5試合6得点2失点。事前イメージとは裏腹に、攻撃で点が取り切れないのを守備でカバーし、ほとんどの試合を1点差勝負で勝ち抜けるという渋い勝ち方。本調子でないまま準決勝まで来たのか、逆に勝負強いといえばいいのか。 ドイツはミュラーが累積で出場停止、予想通りそこにトロホウスキが入り、その他は変わらない布陣。スペインは、パフォーマンス不十分ながら起用し続けたフェルナンド・トーレスを遂に先発から外し、ビジャがCF、左FWにペドロを入れたスタメン。 主審はハンガリーのビクトル・カサイ。キックオフから両チームとも前へ出てくる。ただ今のドイツを以てしてもボールポゼッションはスペインが圧倒。芝もボコボコでピッチコンディションも相当悪いのに、このパス回しはさすがだ。 4分、試合に乱入者。ジミー・ジャンプか(苦笑)。最近は乱入者は映さないのが徹底してるよな。何事もなかったかのように試合再開。スペインはいつものようにSBセルヒオ・ラモスがかなり高めで、そこから中に入っているペドロを含めた中盤メンバーでドイツ守備を崩す。 DF前でボールを回す流れの中で、ビジャが常に裏を狙っているのが恐ろしい。あと一度戻してからの組み立てでシャビ・アロンソの長短合わせたパスの正確さが半端無い。リバプール一年目のシーズンを思い出したな。 ドイツはボールを速く回されて奪いに行けず、ボールを持っても中盤のスペインの守備で潰される。ただ20分過ぎぐらいからカウンターの速攻で何度かチャンスを作り、徐々に攻撃の時間が増えてくる。 ここまでのドイツ守備の集中力と我慢強さは凄いな。前半終了直前にドイツがカウンターからペナルティエリア近辺でエジルが倒されるがノーファウル。これはちょっと貰いに行っちゃったかな。そのまま前半終了。ドイツは枠内シュート1本ぐらいか。 「リスクを冒さない”モウリーニョ・シンドローム”だ。残念な前半だった」(オシム爺)。ドイツが受け身過ぎるんだけど、消極的というにはスペインが巧すぎる感じ。とはいえ、スペインもこのままドイツのミス待ちというのもちょっと慎重すぎる。 ただこの大会、ここまでのスペインの渋い勝ち方はこのペースなんだよなあ。ポゼッションしながらどこかで点を取って堅く勝つというスタイル。 後半が始まっても同じように、スペインがボールを保持し続ける展開。前目でボール持っている時にその後ろでシャビ・アロンソがフリーになっていてシュートを撃つ、という場面も散見。 52分、ボアテングout/ヤンゼンin。SB同士だがより攻撃的な交代。ドイツは守備に回る時間が長いので、速攻に人数掛けずに行きたいところ。だがスペインにボールが渡ると前からプレスできずに、全体がズルズル下がって押し込まれる。 58分には左サイドでカプデビラがイニエスタとのワンツーでオーバーラップ、シャビ・アロンソが落としてペドロのシュート。 一度GKノイアーが止めたがペドロに拾われ、シャビ・アロンソのヒールパス→イニエスタが持ち込んで折り返し→ビジャに合わず→それをスペインに拾われて組み立て直し、シャビ・アロンソの縦パス→シャビが中に軽く流して、ペドロのシュート。 スペインの波状攻撃にドイツはギリギリで対応。ボール回しの中でシャビのちょっとした変化を付けるパスが凄すぎる。ちょこっと流すだけでDFが振り回されてる。これはドイツ守備、最後まで持たなさそう。 その後ドイツは、シンプルなカウンターからシュートまで持って行ったので、この試合では今までの前からプレスしてボールを回して崩すスタイルではなく、割り切ったカウンターサッカーの方が良いのかも。 62分、ドイツはトロホウスキout/クロースin。ヤンゼンにしてもクロースにしても、カウンターというよりボールを持って全体を押し返したいという意図の交代で、ミスからのボール奪取ながら、ボールを持てばある程度は組織的に押し込めるようになる。 これでドイツはちょっと勇気づけられた感じ。後はボールの取り所がシュバインシュタイガーぐらいなので(クローゼがプレスしてもエジルとケディラ、クロースではなかなか取れない)、前目で取れればドイツにもチャンスが増えそう。 だが73分。スペインが中央での攻撃の流れからペドロが空いた左サイドのイニエスタに送り、ドリブルからCKを取る。シャビのキックから、後ろから上がってきたプジョルがヘッドで決めてスペイン先制。 ドイツはゾーン守備だったので、走り込んできたプジョルにマークが居なかった。1点取られて行くしか無くなったドイツが完全に吹っ切れる。ここまでの試合のように、相手守備にパスをチャレンジして回し、ゴールに向かって押し上げていく。 失点するまでのあの動きは何だったんだというぐらいのアグレッシブさ。特に配球役のシュバインシュタイガーのパスとスペイン中盤への潰し守備が凄い。いやー、これが見たかったのよ。 これを受けてスペインは守勢に回るが、人数を掛けた守備からのビジャのカウンターが、後ろが薄くなったドイツ相手にかなり有効。この辺はしたたかだよな。 81分、ドイツはMFケディラout/FWマリオ・ゴメスin。スペインはビジャout/フェルナンド・トーレスin。ビジャ外すのか。 82分にはシャビのパスからペドロが抜けてフェルナンド・トーレスと併走、DFがフリードリッヒ1人しかいない1対2の状況でパスを出さずに自分で行って撃ちきれずに止められる。これは決定的だった。 その後もドイツが前掛かりで攻める。オフサイドが無くなるくらい、滅茶苦茶DFラインが高い。86分、スペインはペドロout/シルバin。ドイツはCBメルテザッカーを上げっぱなしで3バックのパワープレイ。ロスタイムは3分。 93分、スペインはシャビ・アロンソout/マルチェナin。その後のドイツの猛攻も実らず、1-0でスペイン勝利。膝を付いたシュバインシュタイガーを握手で起こすプジョル(その後、ユニフォーム交換はイニエスタとしていた)。 負けたドイツの選手は、号泣というよりも不完全燃焼感というか、モヤッとした失望感を漂わせた表情でピッチを去っていく。そんな中で最後まで一人ピッチに残ってハッキリと無念さを表すシュバインシュタイガー。 今回のドイツ代表は完全に彼のチームだった。精神的支柱としてベテランのクローゼ、ゲームキャプテンのラームもいるが、組織として攻守の要はシュバインシュタイガーだったと思う。 彼が今よりも若手でバイエルンでデビューした時には「エッフェンベルクを思い出す、見た目に似合わない器用な選手」ぐらいの印象で、リーガの09/10シーズンも慣れないDHを何とかこなしているような感じだったが、本大会では実に堂々と組織の中心を務めていた。 それだけに悔しさも人一倍だろう。力負けというよりも、あまりに受け身で試合に入ってスペインに主導権を渡し、ほぼ一方的に攻められて失点した、ということが個人的にも残念だった。なんでアルゼンチン戦みたいに行けなかったのだろうか。 「スペインが勝ったと言うより、ドイツが負けた試合」(オシム爺)。奇しくもユーロ2008決勝と同じスコアでの決着だったが、あの時よりもスペインは組織的でなく、より若がえったドイツは良いチームではあったが慎重すぎたかもしれない。 ある意味でワールドカップの準決勝らしい、面白いが渋い試合だった。
試合後のスタジオトーク、オシム爺ちゃんからゲストのフィンケ監督へのメッセージ。「この試合の、ドイツ失点時の集中力について語りましたが、Jリーグでは毎試合このようなことが起こっています。お体に気をつけてください」、 「日本人は勤勉だが、ピッチに出ると試合前に指示したことの大半を忘れてしまう傾向があります」。毒舌過ぎる(苦笑)。フィンケ監督も苦笑してました。決勝はオランダvsスペイン、三位決定戦はウルグアイvsドイツとなった。 正直言えば、今回のワールドカップは守備的な戦いが目立つ大会だと思っていたが、準決勝以降は「組織守備がある前提で、プラスどう攻撃するか」が観られる試合が多くて安心した。タレント頼みの攻撃力だけでも組織守備だけでも勝てないのがモダンサッカー、ということだろう。
そして、あと残り2試合ということは、ここまで62試合観てしまったということだ。まあ何というか、ヒマだってことですかね(笑)。
【7/11】
FIFAワールドカップ2010。三位決定戦。ウルグアイvsドイツ戦。ウルグアイは出場停止明けのスアレスとフシーレ、準決勝は怪我で欠場のルガノがスタメン復帰、足の痛みで途中交代したフォルランも先発してほぼベストメンバー。 本大会7試合目(!)と言うことで、ドイツはラームとポドルスキが疲労による発熱(インフルエンザ?)、クローゼが背中痛でダウン。 GKノイアーがお疲れ様で出場せず、なんと第3GKのブット(第2GKのヴィーゼが怪我)、SBアオゴが初出場で初先発。左SHヤンゼンに右は停止明けのミュラー、1トップがカカウ、というスタメン。個人的にはワールドカップでブットを見られて男泣きです。 試合前にブラッターFIFA会長と両国サッカー協会理事の選手激励挨拶があったが、スアレスとは一瞬目を合わせただけでサラッと流したブラッターに笑った(他の選手とは何か話したりしてたのに)。気まずいんだろうな。主審はメキシコのベニト・アルチュンデア。 キックオフ。マキシ・ペレイラが右SHでフシーレが右SBか。左SBのマルティン・カセレスと普通は逆だが、対ミューラー起用だろうな(オランダ戦で左SBでロッベンを止めていた)。 この試合はドイツはボールが良く回りポゼッションを取っている。ウルグアイは堅守から手数をかけすぎない、いつもの効率的な攻め。強力3トップが話題になりがちだが、DF4人とペレスとアレバロのDH2人は本当に魅力的だ。 18分、ケディラとヤンゼンのカウンター攻撃をクリアしたボールが、ポッカリ空いた中盤のシュバインシュタイガーに。ノープレッシャーでの無回転ミドルシュートをGKムスレラが弾き、ミュラーが押し込んでドイツ先制。ウルグアイDFがカウンターで急いでポジションに戻りすぎた。 加えて、シュバインシュタイガーのミドルの瞬間、ウルグアイがDFラインを上げたのでヤンゼンとカカウがオフサイドだったが、ミュラーがオンサイドからDF裏へ飛び出していた。これは駆け引き勝ち、良いセンスしてるよな>ミュラー。 ウルグアイはボールを奪うと右サイド中心に攻める。アオゴが初先発でちょっと怪しい(開始早々に自分のミスにラフプレイで行ってイエロー貰ってる)ので、フシーレがかなり高めで、マキシ・ペレイラが中に入ってスアレスと絡んだりする。 そしてスアレスがボール持つと場内に大ブーイングが起こる(笑)。フシーレは両CBがスピードが無いのでカウンター時のFW対応も相当やっているんだよな。フシーレが何人いるんだ、と思う瞬間も多々ある。 28分、やや高めのシュバインシュタイガーからペレスがボールを奪ってショートカウンター、スアレスがボールを溜めてからカバーニにスルーパス。決めてウルグアイ同点。 シュバインシュタイガーのイージーなミスからだが、スアレスのパスの的確さとフォルランとカバーニの交差する動き、そして決定力はさすが。 ピッチコンディションが悪い上に、30分過ぎからどんどん雨が強くなって来ている。しかし相変わらず、この試合でのシュバインシュタイガーは高い位置を保っていて、エジルにバンバン縦パスを入れたりスペースにボールを送っている。 これは意図的に攻撃性を高めているんだろうけど、ドイツは守備のリスクもあってケディラと両SBが相当ケアしている。「この試合は攻める」という意識がドイツに強く滲み出ている。つくづく、あのスペイン戦は自滅だったんだ、という事なんだろうな。 ウルグアイも高い位置で取ってからのカウンターとセットプレイで決定的場面を作るという、ゲームプラン通りだった前半戦だろう。両チームのスタイルが出て攻撃的な試合になっている。 後半開始。前半同様にドイツが攻めてウルグアイがカウンター狙い。開始早々にスアレスがチャンスを迎えるが、シュートは枠に行かず。前半もそうだが、ちょっとスアレスが力みすぎかな。 51分、ウルグアイが押し込んだ状態から、スアレスとの壁パスでDHアレバロが右サイドを抜けてプルバックのセンタリング。フォルランがダイレクトボレーでゴール。ウルグアイが逆転。これは単純に決めたフォルランが凄かった。 今度は56分、ドイツがボアテングのクロスからヤンゼンがヘッドで決めて同点。ボアテングがフリーでプレッシャー無く良いクロスを上げたことが大きく、ややボールが伸びたこともあってDF2人とGKが被り気味で、結果ヤンゼンが高さで勝ったという感じ。 ドイツが縦に速くなってきたこともあり、60分ぐらいにはややゲームがオープンになって、どちらにも得点が入りそうな雰囲気に。62分のスアレスの鬼ミドルもGKブットが止める。プレイも局面が激しくなってベンチもヒートアップ。審判大変だなあ。 73分、ドイツはFW交代。カカウout/キースリンクin。カカウはシュツットガルトでも良い選手なんだけど、あんまフィニッシャーじゃないんだよなあ。77分、ウルグアイもDHペレスout/ゲームメーカーのMFガルガーノin、攻撃的交代。ペレスは今大会を代表する素晴らしいDHだった。 80分を過ぎると両チーム疲れから若干落ちてくる。81分、ドイツはヤンゼンout/クロースin。直後の82分、カウンターからドイツのCK。フリードリッヒの戻しボールをケディラがヘッドで流し込んでドイツ再逆転。 これはもう転がってきたツキというか、各選手の執念の上で訪れた何かのような感じのゴールだった。 リードされたウルグアイは猛攻。長いボールを前に入れたらCBも攻撃参加する。88分、カバーニout/長身のFWアブレウin。ただドイツDFは高さには強いよな。ロスタイム2分。91分、エジルout/タスチin。 終了直前の93分、スアレスがフリードリッヒに倒されてペナルティエリアのギリギリ際でFK。ウルグアイはキッカーのフォルラン以外は全員前に。いやー痺れる。このFKがクロスバーを叩いた瞬間に試合終了。3-2でドイツが勝利、ドイツが3位でウルグアイ4位。 両チームの選手が達成感を表しながら健闘を讃え合う中で、フォルランのギラッとした表情が印象に残った。まあでも、フォルランが外して負けるんだったら仕方ないとしか言いようがないだろうな。
3位決定戦という、お互いが完全に勝ちに行った試合で非常に見応えがあった。両チーム合わせて5得点、シュート34本(枠内14本)という派手な内容以上に、各局面でテクニックと労を惜しまないプレイが多く楽しめた。 ウルグアイはハッキリした戦術と選手の献身さが素晴らしかった。あとはレギュラー以外のメンバーで同じサッカーが出来ないという辺りが解決されれば、南米3番手に常時居られる強さを持てるだろう。 ドイツは若手の台頭で、本当に魅力的なチームになった。ミュラーとクロースが20歳(ミュラーはプロ2年目!)、エジルとボアテング、バートシュトゥーバーが21歳、ケディラ23歳、ヤンゼンとノイアー24歳がとかですよ。大黒柱のシュバインシュタイガーとポロルスキ、ラームも25歳と26歳。 フリードリッヒ(31歳)とクローゼ(32歳)以外は、ほぼ20代前半メンバーで戦っていた。 そしてかつてのフィジカルでディフェンシブなサッカーから、モダンなパスと組織で崩して点を取るサッカーへの転換。ユーロ2008でもそのスタイルにはなっていたが、今回ブンデスリーガの地味な若手中心でも、選手が多少替わろうが、そのプレイを貫徹できたのが素晴らしかった。 ただ、あのスペイン戦を除いては…。非常に考えにくいことだが、自分たちのスタイルを信じ切れず、メンタルの弱さが出てしまった試合だったとしか言いようのない試合だった。まあ素晴らしいチームだったし、次のユーロ2012や2014年のブラジル大会も期待できそうだ。 この試合に限らず今大会、本当に両チームとも素晴らしかったのは断言できるだろう。関係ないが、3位決定戦ってやたら点が入るし、失うものがないので暗さが無くて良いよね。楽しかったです。これ地上波中継が無かったのか。勿体ない。残るは決勝、オランダvsスペイン戦のみ。どちらが勝っても初優勝か。楽しみだけど、寂しい気もしますなあ。
Created by Factory43 E-mail:fac43@mars.dti.ne.jp