![]() ![]() ![]() |
![]() 私の日誌を読んでいただいている方は,教員の方を除くと,コンピュータ関係のお仕事をしている方が多いのですが,それらの方々からいただいたメールの内容でちょくちょく目にするのが,「学校ではなぜNEC PC98シリーズが多く導入されているのか」というご意見です。 例えば,TTさん。 「fukufukuさんのところでは日本電気の計算機を使っているようですが、子供だからいい加減なものでいいというのでは、やらない方がいいと思います。バイオリンの練習でおもちゃの楽器は使わないし、お花の練習でも、そこらの雑草は使いません。日本の学校だけが子供だましのおもちゃを使ってます。」 それから,TYさん。 「なぜ、学校には訳の分からない「PC-98シリーズ」が多く導入されるのだろうか、と悲しくなることがあります。」 つい先日は,Psychonicさんから次のようなメールをいただきました。(HPに掲載OKとのこと。長文につき内容の一部を編集及び省略しました。) 挑戦的な発言ですが、以下の内容を考えてみて下さい。民間にいて長年「文化としてのパソコン」を考察し続けてきた中で、学校に関する疑問点です。 疑問> なぜ「教育関係に導入されているパソコンの割合は98やMACが多いのか?」 これは、業者癒着や世界観の小さいソフトコレクター達の趣向が公共にだけ残っているような気がするのです。(民間ではかなり改善されています>異なるメーカーのPCを段階的に購入している。) ただでさえ、将来性のある知識と公正さが必要なところで、なぜ98・MACという選択がなされるのか?あまりにも不自然すぎるのです。(昨年のNEC38%のシェアって学校の影響が大きいんですよ!) せっかく、工業界主体でないユーザー本位の情報環境が作れるチャンスだったのに...なぜだ〜 以前、アメリカではPC互換機メーカーとユーザー達の力で本家のIBMが4位まで落ちたのですよ!それからですね、表面的にせよIBMがユーザー寄りの考えを持つようになったのは。(裏では画策) 日本人の教育に最も必要なことを、あなたがた公務員では考えきれないんでしょうね。(失礼!)子供たちが「NECだ!」「SONYプレステだ!」「SEGAサターンだ!」「任天堂64だ」って文化にならないもの(=1企業のエゴ商品!)にしがみつく原因って一体なんなのでしょうか? (補足1 私の考えていた98とPCの決断について) 過去、私たち元祖98族(初代機からのユーザー)は98を広める努力をしてきました。 努力と書きましたが本当に努力の連続でした、販売業者の時代(12年前)もシャープMZの販売店では、店長とケンカして98を売ってたり、プログラマ・SE時代には客様とまたケンカです。(笑)(パソコンの創生期は販売店は家電系、企業は富士通関連が多かったのです。NECは少なかった!) しかし、それはNECを支持していたのではありません、9801がその頃最もオープンなパソコンであり、各社パソコン統一化の可能性が高いと評価してのことでした。その後にエプソンの98互換機参入によって夢が実現しようとしましたが、それを否定して妨害をしたのはNECでした。(98標準化の最大の敵はNEC自身だった!)果たせなかった夢を実現するために、多くの元98互換機ユーザー達がPC互換機を選択したことを存知でしょうか?、私が考える限り、世界標準パソコンの可能性は98互換機にもありましたが..残念です。 (補足2 一通目のメールより) 部品が壊れる操作って、アクセス中の電源OFFぐらいですし、これでもめったには壊れません。多いのは初期不良と経年故障!だからユーザー教育にも整備や診断・予防は必要だと思っています。バックアップは最低限のことですから、機器の耐用年数とかローテーションとか予備品管理とかです。これらを考えるとパソコンはPC(DOS/V)のほうが管理上は良かったのではないかと思います。この件で更に一言ですが、キーボード配列を考えると子供達に98キーでは将来が不安です。(T_T) fukufukuの反論 私は,私達の学校に導入されたのが98(NEC PC98シリーズ)だったことを心から喜んでおります。その理由として, 1 多くの教員が日頃(導入される以前から)98を使用しているので使い慣れています。 初心者にとっては,キーボード配列が少々異なっているだけでも苦痛なのです。私が知っている限りではPC(DOS/V)を使用しているのは1人です。おそらくパソコン使用者の95%以上は,98を使用していると思います。 2 NECさんは,サポート体制が整っています。 私達は素人でありユーザーです。ですから,サポートをしていただける業者さんが地元にいないと大変困ります。私たちの学校があるM市のような地方都市でもサービス拠点が整っているのは,NECさんだけではないでしょうか。 3 ソフトウェアの資産があります。 学校では,機種やソフトの買い替え(リース替え)は,数年単位でしか行われません。MS-DOSやBASICの教育ソフトもいまだに現役で活躍しています。それらソフトウェアは98シリーズ専用版が多いです。(さすがに最近はWINDOWS版が主流になってきましたが...。) うーん。何か,NECさんの宣伝をしているみたいですね。ですが,これまで何度も日誌に書いているように,NECさん(あるいは業者さん)に対して大きな不満を持っていることも事実です。 ということで,私の反論についてご意見がありましたらメールをください。ただし,掲載を前提とした内容でお願いします。また,論争の泥沼化とか不毛な議論は避けたいのでご配慮ください。 ![]() 昨日の日誌に対して,予想以上の反応をいただき,大変うれしく思います。 24日午後11時30分現在,コメントをいただいたのは4名の方です。 きむらさん,かわしまさん,のりさん,手島さん,ありがとうございます。 ・きむらさん(5/24の「れすっ」にて) サポート体制と製品の信頼度について ・かわしまさん(お客様リストにて) サポート体制について ・のりさん(メールにて) 入札における問題点と製品の信頼度について ・手島さん(5/23の「DD」にて) これまでの実績と製品の信頼度について サポート体制と製品の信頼度の点から,現状では98の方が良いのでは,という意見が多いようです。 Psychonicさんが,馴れ合い・癒着といった日本人の悪しき風習や,排他主義をとる企業体質に目を向けて,公正な判断を求めようとしたのに対し,私は,ユーザーの立場で,より使いやすいものはどれかという点から判断したので,論点がずれてしまったことは反省しています。単なる機種論争にしてしまってはいけなかったのですね。 そういう点では入札の問題にまで踏み込んだのりさんのコメントが興味深いです。 ただ,かわしまさんのコメントにあるように,私の学校のように20台以上ものパソコンが2種類のネットワークで結ばれているシステムを保守・管理していくためには,サポート体制の充実は,導入する上での必要不可欠の条件ではないかと考えております。 少し残念だったのは,「私の反論」を否定するようなコメントをいただけなかったことです。 「ぐー」で殴られるのはいやですが,「こつん」と叩かれるぐらいの衝撃は欲しかったfukufukuでした。 追記:5/24 3:00 ・竹井さん(5/24の「井筒亭日記」にて) 納入業者選定の問題点と教育用パソコンのありかたについて ありがとうございます。励ましのコメントまでいただいてとてもうれしいです。 うーん。実体験に基づいたお話ですね。やはり,日本ではそういう問題が根強く残っているのですか。 ただし,誤解のないように申し上げておきますが,私が勤務するM市では,結果的には教員の意向が反映されたものとなりましたが,入札の結果しだいではDOS/Vの業者・機種になることもあり得るとの話でしたので,公正に選定が行われたものと信じています。 DOS/V,MAC,98...。それから,本物のコンピュータ(ワークステーション)を使わせるべきだというご意見もあります。 それぞれに良さがあることが分かりました。問題はどの点を重視するかですね。 ![]() 今回の話題について多くの方々からご意見・ご感想をいただきまして,本当にありがとうございます。 学校に98が多く導入されている現状に対して,コンピュータ関係のお仕事をしている方々が抱いている問題意識(あるいはご不満)を,私なりにある程度理解できたのではないかと思います。今回の話題を提供していただいたPsychonicさんには感謝しております。 最後に,新たにいただいたメールと,「私の反論」に対するPsychonicさんのコメントを紹介させていただいて,この話題を閉じたいと思います。 ・小学校教員NOさん(メールにて) 学校での機種選定おける問題について コンピュータ担当の教員の方からの声です。現実にこのようなことが行われているのですね。びっくりしました。 ・Psychonicさん(メールからの抜粋) 「fukufukuの反論」の反論じゃなくて..願い です。機種について論争をする時代ではなくなっていると思いますので! 「1 多くの教員が日頃98を使用しているので使い慣れています。」について 現在でも98利用者の割合が多いことは理解していますが、ここ2〜3年の導入を見てみるとPCが圧倒的に多いです。少なくともNTサーバーとして98を入れているのは学校だけでしょうね。(NEC製品でも通常は58です。58=PC)現在の公立の教育機関が98を採用しているのは「過去の選択意識」が強く影響したままとは思いますが.. 98からPCに乗り換えた(98の呪縛を乗り越えた?)人達の多くが「98の慣れ親しみ」よりも、もっと大切なことを考え、そして学んだと、業界仲間(プログラマーやインストラクター)の会話でも感じます。 生産活動を行っている我々よりも、明日を見つめる時間をfukufukuさん達は多く持てるのですから。急がば回れですよ! 98依存症は私たちも大きかったのですよ、プログラムレベルから見た機種依存性はユーザーレベルの比ではありません。企業では外界や時代との関係でシステムが選ばれますから、「慣れたやり方がこうだったので..」は通用しません。 今回「98やMACが多いの?」という質問は、98やMACユーザーをけなそうというのが目的ではなくて、「こちらの広い世界に来て理想のユートピアを一緒に作りませんか?」という呼びかけなのです。日本に以前あったパソコン全てを思い出して下さい、世界中でこれだけパソコンが大手メーカーに依存してバラバラだった国は恐らく日本だけだった思います。日本のパソコン教育や意識が遅れてしまっている原因がこの「不統一」にあると見ていますが、どうでしょうか? 「2 NECさんは,サポート体制が整っています。」について やっと業者さん達がPC+Win95についての勉強を開始されましたので、いずれ98のDOS並みには改善されると思います。 最近PCを扱い始めた業者さんの例ですが、パソコンの初期不良のことでメーカーとギクシャクしていたそうですが、PCでは汎用の部品と交換ができるので問題点を速く解決できるようになったそうです。これまで書き込みが不良となるドライブを交換するには、決められたサービスルートが必要でしたが、PC時代では規制されていた部分がどんどん緩和されて、リーズナブルな方法での対応が可能になっていくでしょう。PCに統一された時代ならばサービスのあり方も考え直されるでしょうから期待しましょう。 PCのトラブルシューティングについてのノウハウは全世界で共有されていますから、だんだんと明確になっていくと思います。 「3 ソフトウェアの資産があります。」について 98の資産が残っている部分は98をDOS環境のままの状態で継続させています。(98はそれでいいのです!)DOSとWin95の環境を使い分けると不安定な要因も多くなるので、できるだけシンプルに考えるようにしています。 fukufukuさんたちは、Win95への環境移行はPCを使ってみる絶好のチャンスだったと考えませんでしたか? 1と3の問題につきましては,製品の信頼度とソフトウェアの充実度が,98並みになれば,PCでも98でも大した違いはないということは分かりました。(それならば世界の標準ということでPCを選択すべきでしょうか) 2のサポート体制の問題は,やはり大きなポイントです。ただ単に修理・部品の交換というレベルではなく,数十種類のソフトウェアと数種類の周辺機器をネットワーク環境下で正常に動かす事って,やはり素人の手に負えることではないし,現在のようにトラブルが頻発する状況では,地元に(メーカー系列の)業者さんがいないと大変困ります。(逆に言えば,サポート体制が整っていればPCでも良いのかも知れませんが。) NECさんが,98を捨て,国内でもPCを販売するという噂を,パソコン雑誌の記事で読んだことがあります。それが現実になれば,すべての問題が解決されるのでしょうか。 いえいえ,現在のパソコンは素人の私から見ればすべて失格です。 98でも,PCでも,MACでもない,これまでのパソコンの常識を覆すような超簡単で超便利な家電パソコンの登場を心待ちにしているfukufukuです。(こんな締めくくり方をしても良いのか?) 追記: この話題を今回で終了させることは,Psychonicさんからのご提案によるものであり,私の希望でもあります。また,メールの内容を一部編集・削除させていただいたことに関しては,Psychonicさんから諒解をいただいております。ご了承ください。 |
![]() |