訪問者に優しいWebサイト作り

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フレームは訪問者にとって本当に優しいの?

サイト内ナビゲーションをより良いモノにするため、すなわち訪問者にとって優しいサイト作りをするために、フレームを導入しているサイトもたくさんあります。

まず、結論から言うと、「フレームは、全ての訪問者にとって優しいとは限らない」のです。訪問者のWWWサーフィン環境によっては、全然優しくないことにもなりかねません。

なぜなら、フレームは、

  1. 大きな画面を使うことを前提としている
  2. URLの働きを保持できない
  3. アクセシビリティが低下する
  4. 使えないブラウザが存在する
  5. 印刷時に複数のフレームを印刷できない
  6. お気に入り(ブックマーク)の設定が難しい
  7. ロボット型検索エンジンには引っかからない

という、問題点を抱えているからです。特に1〜3の問題は深刻です。ということで、フレームを使うことで生じる問題について、解説を加えたいと思います。

 フレームを使った悪例を見てみる

解像度の問題 

訪問者にとって、物理的にフレームが優しいと思うことができるのは、少なくとも、
「訪問者が15インチ以上のCRTディスプレイ(液晶なら12インチ以上)で、800×600以上の解像度を利用している」

場合です。640×480の解像度以下しか使えない場合だと、メニュー用に使っている部分やコンテンツ表示用の部分できちんと表示ができずに、横スクロールをしないといけなくなる場合が多いです。横スクロールを訪問者に要求してしまえば、サイトのユーザビリティは地に落ちます。

WindowsCEマシンやPDAで、小さい画面を使っている訪問者にすれば、画面が小さいからこそ、コンテンツの表示のために最大限使えるスペースを使いたいと思うのは当然のことだろうと思います。ただでさえ小さな画面を切り刻まれることほど、腹立つことはないでしょう。

まして、noresize属性で、フレームの大きさが変更できなかったり、挙げ句の果てには、scrolling="no" でフレームが画面からはみ出ていてもスクロールできない(ホイールマウスがあれば可能だが)という極悪テクニックを使うのは、論外です。そんなにしてまで、見栄えにこだわりたいのでしょうか?

WWWサーフィンは、もはやパソコン上だけでするモノじゃないのです。サイトの内容にもよりますが、いろんなハードウェア環境で行っていることを考慮したサイト作りを目指していただきたいです。

URLの働きに関する問題

フレームを構築する場合、少なくともHTMLファイルが3つ必要です。縦横いずれの2分割でも、

の計3ファイルが必要となります。つまり、「分割している数+1」のファイル数が必要と言うことです。話はそれますが、その分だけ、ページの読み込みにも時間がかかるということです。

で、フレームを使ったページでブラウザに表示されるURLは、フレームの設定するファイルなのです。ですから、フレームを解除しない限り、コンテンツが切り替えても、コンテンツのURLをきちんと表示することができないのです。

具体的に言えば、URLをコピーして、ハイパーテキストリンクにしようと思っても、表示されるのはフレームの設定ファイル。おもしろそうなWEBサイトを見つけたので、友人に教えてあげようとメールをしても、メールを受け取った友人はフレームを使ったページを見ることができないのです。

自分のサイト内ナビゲーションをよくして、あわよくばリピーターの確保だなんて思っている作者のもくろみとは裏腹に、その陰で多くの訪問者を遠ざけてしまっているのです。

ここまでの話は自サイト内のことですが、外部サイトへのリンクとなるともっと大変な問題になります。というのは、著作権とのからみも出てきてしまうからです。

フレームを使ったサイトで、リンク集などを見ると、コンテンツ表示用には外部リンクしたサイトが表示されているのですが、ブラウザのURL表示は元のフレームを使ったサイトのままというのは、多々見かけます。よそのサイトを参照されて、自分のサイトに戻ってこないことを心配して、このようなことをやっているWEBサイト制作者もいるようです。
訪問者が、リンク先に行って、その後自分のサイトへ戻ってきてくれないというのは、自分のサイトが訪問者をつなぎ止めておくのに不十分なサイトであったと言うだけです。

フレームの仕組みを知らない訪問者が見れば、コンテンツ表示部分で表示している中身が、実は他のサイトから来ているというのは気がつかないでしょう。すなわち、他のサイトの内容をあたかも自分のサイトであるかのように表示してしまうのです。
リンクを張られた側にしてみれば、このようなやり方は不愉快以外の何物でもありません。

はっきり言いますが、フレーム内に他のサイトの内容を表示するのは、著作権に抵触しますよ!
 文責が誰にあるのかわからない状態になってしまいますし、あたかも他人の著作物を自分の著作物のように見せてしまうのですから。クレームを付けられたとしても文句は言えません。

 フレームを使うのであれば、外部リンクを張るときに、フレーム解除をきちんとして下さい。正しく使えないのなら、フレームなんて使わないでいただきたいです。

アクセシビリティが低下する

フレームを使うことで、音声ブラウザを使っている訪問者にとっては、とても使いづらい物になってしまいます。結論から言うと、各フレームのページについているタイトル(TITLE要素での内容)を読み上げて、NOFRAMES要素の内容を読み上げるという感じになります。基本的に、実際の画面の内容を読み上げてくれる訳ではないことに注意して下さい。
詳しくは、「バリアフリーWebデザインガイド」サイト内、
http://www.din.or.jp/~hiro-/barrierfree/sample/sample3.htmlを参照して下さい。

フレームが使えないブラウザ 

というのも、存在します。NOFRAMES要素は必ず設定しておきましょう。これすらしていないWebサイト制作者は、冗談抜きで作者としての資質を疑われます。

「このページはフレーム対応のブラウザでしか見ることができません」なんて一言だけを書き残しているサイトも見受けられますが、これはあまりにも冷酷な対応です。フレームに対応していないブラウザでも見てもらえるよう、ノンフレーム版のURLも記しておいて欲しいと思います。

フレームが使えるブラウザであっても、ノンフレーム版を用意しておくのは、Web制作者としての最低限の心遣いだと思いますね。ノンフレーム版は、コンテンツ表示用のトップページを流用すればよいのですから(ナビゲーションツールは必要ですが)。実際、ノンフレーム版があれば、そちらを見るという訪問者も多いですし。

印刷に関する問題

最新のブラウザでは、フレームを使ったページでもオプション指定により、問題なく印刷できるようです。しかし、ちょっと古いブラウザを使っていると、1部分しか印刷できません。フレームと印刷の相性はいまいち良くありません。

お気に入り(ブックマーク)の設定に関する問題

ツールバーは、「戻る」ボタンしか使わないよという訪問者も多いです。私もその1人です。そのかわり右クリックを多用する訪問者も多いのです(Windowsの場合)。当然、「お気に入り」に追加するときも右クリックでするのですが、フレームを使っているサイトでこの方法を使ってしまうと、その部分だけしかお気に入りに登録できないという悲劇が・・・。これは訪問者側も気をつけておかないといけないのですが、このような問題もあるというのはおさえておいて下さい。

ロボット型検索エンジンとの相性

これに関しては、最悪・・・としか言いようがないです。だって、ロボット型検索エンジンは、フレーム設定用のファイルにしかアクセスしてくれませんから。キーワード検索をしろと言われても無理だし、運良くヒットしても、フレーム設定用のファイルを見せられたところで、訪問者にはどうしようもないですから。

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