■第16章 金を貸してくれ


ガンガーを眺めた後昼ご飯を食べに行こうとしたある晴れた日のことです。

まxが日本人を連れてきたので聞いてみると、な・な・なんとその男は貧乏人であるおれたちに金を貸してほしいと言ってきたのです。

なにがともあれとりあえず昼飯をいっしょに食べに行き、事情を聞きました。

話によるとホテルの部屋に鍵をかけずに外出し、その間に部屋を荒らされて金を盗まれたとのことでした。

無一文になった彼は飛行機代も持っておらず、身の回りのものを売ってきた。

しかし、最後に売れ残ったCDが売れずに途方に暮れていたところでおれたちに出会ったとのことでした。

本人はCDは高価で売れるだろうと最後のとりでとして残しておいたのだそうですが、これが大きな誤算だったようなのです。

なぜか?

それはインドではCDがほとんど普及していないため、CDというものの存在を知らなかったらしいのです。

そんな彼の話を聞いて同情してしまったおれたちは2人で$100貸してあげました。

何故見も知らぬ人にお金を貸すか?

それはインドでの出来事だったからなのです。

そう、ガンガーを見たという同じ体験がそうさせたのです。

本人は2月に日本へ帰ってくるようなので返してくれたらラッキー。

でも、肝心の連絡先が...


2/17のこと。まx宅へ1本の電話がきた。

なんとおれたちから金を借りた本人からだった。

貸した$100を銀行へ振り込んだとの連絡で、非常に律義な男であることがわかった。

次回ゴールデンウィークに行くための飛行機予約代に足りなかったおれたちはその場でそのお金を使った。

信じて良かったニッポン人!!

さて、おれたちが換金したときは$1=110円だったが、いまは$1=120円

得したと喜んでいるのは貧乏であることの証明なのだろうか?


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