その1

「ご挨拶」のところでも書きましたが、家を建てたい、という願望は
学生時代の頃からありました。

ただ、やはりスタートは平成8年4月に福島に来てからという事に
なります。自己紹介の項でも書きましたが、運良く福島県職員として
採用され、原町市勤務になりました。しかし、赴任した当時はとにか
く空きアパートが不足していて、奔走の末やっと確保出来た最初の
住まいは夏暑く冬寒い、まさに借家普請の典型でした。

しかし、クーラー入れるお金もなく、夏は扇風機、冬は石油ストー
ブで何とか凌いでいました。冬は半纏が手放せなかったけれど。
家賃の半額は住宅補助という形で支給されていましたが、こん
な住まいのために残らないお金を出し続けるのは・・・。

そう考えたのが第一の伏線でした。

福島に来るにあたって、(一人暮らしは初めてだったのですが)
とにかく何だかんだとお金がかかるものだ、という先入感があった
のですが、原町に来てみると、中規模のスーパーが何件も競い合
っているせいで、「見切り品」という名のロスがやけに多いんです。
それも半額はざらで、下手すれば8割引きも。元々、バーゲンは
好きな方でしたが、ここまでされると定価で買うのが馬鹿らしくなっ
てしまいます。で、閉店間際の常連と化しました(元々残らないもの
にお金をかけるのは無駄だと思うタイプなので、一旦その気になれ
ば人目も気にならなくなります)。

その結果、「交際費」を多少使っても(家賃除いて)月7万円前後
で暮らせる体質が確立されるのにさほど時間はかかりませんでし
た。そこで、お金の使い方を切り替えて、給料が出たら一ヶ月分
の生活費を残して全て貯金に回す、といった感じでしょうか。

それからというもの、資金づくりの方はコツコツとはいえ、順調
に進んでいきました。

そのうち、どうせ家を建てるのであれば(可能であれば)出来る
だけ早いうちから取り組んでおけば、ローンも早く終わるしその間
の家賃相当金額を無駄にすることもない、といった考えが芽生え
てきました。
(勿論、ローンの利子分も似たようなものですが、低金利であれば
比較的低コストで済むだろう、と自分は考えた訳です)

私自身、あっちこっちに出掛けるのが好きでして、温泉・ショッピン
グ等を目的として休日に県内をドライブしてますと、あっちこっちに
宅地の売り出しの幟がはためいているんですよね。で、住宅取得
に興味を持ってからは整地状況とか、建築条件の有無とか、当然
価格とかを注意して観察していました。

全国第3位の面積を誇る福島県、その職員として通勤する事を考
えれば、やっぱり動きやすい中通り(福島・郡山・白河等、東北新幹
線が通っている地域、と書けばお分かりいただけるかと思います)
地方に住むのがベストなのかな、と次第に結論付けられて来ま
した。

北は福島県と宮城県の県境(梁川町)から栃木県との県境(白河
市)まで、縦方向でも相当な距離のある地域を見て回りました。

その結果、次第に県の中央部(郡山市・須賀川市など)に住むの
が、一番利便性が優れており、また暮らしやすそうだな、いう方向
に収斂してきました。首都圏で育った自分には何だかんだいって
も、ある程度はモノが揃った街の方が過ごしやすい、というのも
ありまして・・・。

折しもこの地区には、続々とニュータウンが誕生していました。
いくら自分が育った神奈川に比べれば激安だとはいえ、さすがに
中心部では収入からして手が出ません。無理のないローンを組
む、という命題からすると、多少交通は不便でも(車があればカバ
ーできますし)、1千万円台前半で、農地の転用とかと違って水道
やらガスの引き込み(これがすこぶるお金がかかるのだとか)は
終わっているから、余計な出費は比較的少なくて済む(この時期に
売りに出されている訳ですから、地盤面に問題がない物件はまず
ないだろうと考え、結果がどうであれ、安心料的に地盤改良する
ことを前提としていた、というのはあるけれど)それはなかなかに
興味を惹かれるものがありました。

但し、どこも「建築条件付」ばっかりなんですよね。何しろ3ヶ月
以内に建物の仕様固めないと契約出来ないなんて、いくら何で
も無謀だぁ・・・。=手抜き工事という先入観があって、環境的に
はまあまあかな、と思っても二の足を踏んでおりました。

で、もうお分かりだと思います。自分が購入したのはとある
ニュータウンの一角なのですが、最大の決め手は条件なしの
純粋な「宅地分譲」であったことに尽きます。利便性と言う面で
はちょっと微妙な所ですが(水郡線という、ローカル線の駅か
らは歩けるけれど本数的にあんまり当てにならないし、郡山の
中心からは車で空いていれば20分ぐらいだけど、朝夕はそん
なものでは利かないし)

去年の秋から売り出されたので、建った家も数える程で、まだ
一面の空地と言って良いくらいですが、この先建て込んでくれ
ば、各種施設も整備されますし、このご時世でどっちに転ぶか
分からないけれど、自分としては先物買いの心境で、検討の末
清水の舞台から飛び降りた訳です。

(しかし、郡山・須賀川近辺のニュータウンはどこもそうなので
すが、売り出して最初のスタートダッシュはどこもいいのに、条件
のいいところがあらかた売れてしまうと、売れ行きはバッタリ止
まってしまってますね。もともとこの地域の人口増を見込んでの
造成だったんですけど、ちょっと当て外れのようです。うーん、
利便施設は相当先かなあ・・・。それに、売約済の区画はそれな
りに多いのですが、想像以上に家が建つペースが遅いんです
よ。金利動向をじっくり睨んで検討しているのか−だとすれば
そろそろ建築ラッシュになるはずですが−、建物の方の融資が
受けられなくて立ち往生しているのか、それとも・・・?)

1997年10月に手付、12月に本契約という流れでした。新規
造成の(新たに地目が変更になった)ニュータウンの場合、年内
に所有権移転すれば、固定資産税を払っても不動産取得税と
登録免許税が差し引き2、30万は安くなる、との知識があった
ので、実行した訳です。 

勿論、代金の8割以上を銀行融資して貰いました。が、よく25年
ローンを認めてもらったものだと思います。社会人2年目の24歳
のそれも独身男ですから・・・。大体は断られました。ただ、お世話
になっている七十七銀行さんの場合、本店窓口で住宅金融公庫の
住宅債券積立(つみたてくん)をもう2年ぐらい続けている、という
実績が大きかったのではないか、と自分では思うのですが・・・。

マイホーム計画の第一段階は、当初予想よりずっと早く終了しま
した。ただ、いくら現在の低金利と言っても、多額の借金抱えてい
ることには変わりありません。永住前提でなければ、このデフレ
状況では無謀な行為なのでしょう。

ただ、先は長いですが、頑張れば自分のものになる訳です。
それが励みになっていることは確かなんですよね・・・。
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さて、1998年も明け、いよいよ土地持ちになったのだからアク
ションを起こそうと考えていたその矢先に、自分のアパートに来客
が。それは積水ハウスの営業のひと。
「石川様が東山ヒルズの土地をご購入されたとの事で、お伺い
してみました」 ここから自分の家づくりがスタートした訳です。

それにしても、立て看板の「売約済」印を見て、登記を調べたん
ですね。わずか一ヶ月足らずの早業。この世界の凄さをいきなり
垣間見た気分でした(しかし、ちゃっかり無料で地盤の簡易診断
はして貰いましたけど・・・)。

中通り地方に異動になるのは、おそらく2年後になりそうです。
ならば、スケジュール的に今年は色々と「来る者拒まず」で見て回
るつもりだったので、このメーカーさんは言うに及ばず、資料請求
や「ウン万円で限定1棟お建てします」キャンペーンに応募する事
で、色んなメーカーさんの見込み客になっていきました。
(まあ、大手プレハブメーカーは建築単価的に割高なので、いずれ
お断りしますが、万が一モデルハウスキャンペーンに当たるかもし
れないので、今のところはのらりくらりとお付き合いしています。
向こうも薄々感じているのか、最近は連絡も本当に少なくなりまし
たが。時々建築現場説明会への招待状を貰うぐらいです)

これまでは、家建てるのは2、3年先で、今年は色々と見て回る
とはどのメーカーさんにも言ってました。ですので、今のところは
直接接触してくるのは数えるくらいです。ただ、先手を打って
モデルハウスはアポなしで1度見るようにはしています。固定資産
の家屋評価というお仕事や、(少なくとも10万円はつぎ込んで)
各ジャンル買い漁った本で得た知識をモデルハウスに行った際
に、質問という形でそれとなく伝えておけば、相手だってトーシロ
だと馬鹿には出来なくなるでしょうし(それでも、例えば「一式」
見積もり出して来るようでは、こちらから願い下げです)。

自分で各種工法を勉強して感じたのは、
「完全無欠な工法なんてありえない」 ということ。
読んだ本の中で、自社工法の優位性を述べた「メーカー本」
と呼ばれているジャンルがあるのですが、その時には大体他の
工法の欠点を述べています。よって、何冊も読めば大体各メー
カーさんの工法の(宣伝している)長所と(他で叩かれている)
短所が見えてきます。

家づくりとはベストではなく、ベターな選択の世界なのかな
と滅入りましたけど・・・。現実なのだから仕方がない、と
割り切るべきなのでしょうか?

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住宅金融公庫の金利がついに2.00パーセントにまで下がり、
しかも貸出金利としては、これが底である(今後財政投融資金利
が上がれば、公庫金利も上昇するとのこと)というアナウンスまで
なされました。おそらく、金利がまだまだ下がると予想して「待って」
いた方に下限を示して、決断を促そうということなのでしょう。

しかし、そのニュースを聞いて、いよいよ住宅建築にゴーサインを
出す時が来たのかなと思う一方、公庫の金利政策に矛盾を
感じたのです。

これまで、0.2%ずつ(小刻みに)金利が下がって来ていた所へ
一気に0.55%引き下げという大盤振舞。それは確かに家づくりを
考えている自分たちには喜ぶべきことなのでしょう。しかしそれは
最初の10年間だけ。11年目以降の4.0%は変わりません。私は
むしろ、そちらの方の引き下げを期待していたのですが・・・。
25年や30年ローンを組むとして、2%が最初の10年だけでは、
4%の期間の方が長くなる訳ですよね。まあ、特に元利均等返済
で借りた場合、最初は殆ど利息分を支払うようなものだとはいえ、
少しは元金も返していくでしょうから、単純に11年目以降の返済
額が倍になるとは言えないけれど、それに近い事態になることは
確かなのでしょう。それって、今問題になっている「ゆとり返済」を
選択した場合に起きる、6年目からの急激な返済金額の上昇と
同じことなのでは?2%という数字、確かに切りもいいですけど、
そのことを知らないで、安易に飛びつくのは危険というより、自殺
行為なのかもしれません。

では、私自身はどうなのか、ということになりますが、あくまで
金利がこれ以上下がらないという前提に立てば、ゴーサインです。
頭金を1年で100万ずつ貯めたとしても、金利が上がればそんなの
吹っ飛んでしまいますから。但し、覚悟はしていますが共稼ぎ前提で
なければおそらく結婚も出来ないでしょうし、普段の暮らしはさてお
き、人生設計においてはこれまで以上の制約が出てくることは確か
ですよね。具体的にまだ想像は出来ませんが、まあいろいろと・・・。

そこで、「金持ち優遇」であっても構いません。「所得税の体系を
崩し」たっていいと思います。是非住宅ローン利子控除を導入して
貰いたいです。

そりゃ私の年収(昨年で440万)では、住宅取得促進税制の方が
還付になるお金は多いはずです。でも、この低金利だからそうなの
であって、一度金利が上昇局面に入れば(その可能性の方が強い
ですよね。公庫であれば、11年目以降確実な訳ですし)、その分
控除金額も増えてその分戻って来る税金も増えますよね。しかも、
ローン返済期間を通してサポートしてくれる訳ですから、ローン借入
のリスクヘッジとしてはより優れているのではないでしょうか?

導入されれば、私は必ずこちらを選択します。
その意味で、前回ここに書いた内容には相当な認識の甘さが
あった事を痛感しました。

しかし、新聞読んでいても導入に対する見解が二転三転して
いて、不安になります。政策決定も年明けの通常国会まで持ち
越されたこともあり、まずはそれを見極めた上でなければ契約
も出来ませんよね。
従って、年明けの公庫の第4回募集(3月上旬までかな?)の
締め切りぎりぎりまで情勢を見極めて、要件満たせば契約しよ
うという方向で動くことにしました。
                           

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