その3

全てオール電化で総二階の家(延べ床面積は126−7
平方メートル・この床面積は公庫の基本融資額の関係で
自分で指定したものです)の家を3社に絞って交渉して
来ました。

予算の関係や皆さんから頂いたアドバイスにより多少
仕様を変更した部分も含め、結局各メーカー毎に以下の
仕様で決め打ちしました。


T社 高耐久仕様木造(尺貫法)
   −柱はオール4寸(12p)角の乾燥集成材−
    ウレタン(HP)パネル挿入工法
   天井・間仕切りにセルローズファイバー吹込
     (地元郡山のメーカーが売っている、段ボール
      端材を原料にしたものを使うのが手頃だと
      メーカーからは提案されました。でも、やっぱり
      古新聞原料のもの方がいいのかな、という気も
      したんですけどね)
   屋根 ガルバリウム鋼鈑  
   外壁 ガルバリウム鋼鈑
  (INAXエクセリア−メンテナンスフリーを謳う石膏板との
   こと−と屋根三州瓦は、結局このメーカーでは予算面で
   見送らざるを得ませんでした。その代替品として採用した
   のがこれ。思ったよりも耐久性があるとの事だったので) 
   床  突板張りフローリング(表面だけ・・・のもの。
                  メーカーはJUKEN)
   天井 石膏ボード吸音板−商品名ジプトーン
       (和室天井は杉木目柄化粧石膏ボード)
   内壁  ビニルクロス(この辺り、コストダウンが顕著)
   窓 国産樹脂サッシ(トクヤマのシャノンウインド)の
      LOW-E(特殊金属コーティング)ペアガラス仕様

このメーカーと付き合うようになったきっかけは、私自身
が青森県で開発された木造住宅の合理化工法に興味を
持ち(実際に青森のモデルハウスまで鈍行列車で見に
行ったりもしたのですが)、そこで名前を書いたら福島県の
代理店から連絡があり、ここを紹介されたからなんです。  

ここは、特に標準仕様というのはなく、希望通りに個別
積算してくれました。よって、見積書は各部分別に分かれた
詳細なもので、信頼度は一番あったと思います。
「出精値引き」もほとんどなし(端数分ぐらい)。
ぎりぎりの単価で積算したとの事でしたが、メーカー指定
したユニットバスの単価他からして、あながち間違いでもない
と思いました。

I社 高耐久仕様木造(メーターモジュール)I社
  −但し、通し柱のみ4寸柱使用 他は3.5寸
  (オール4寸を希望したのですが、強度的にはどちら
   でも変わらない、と言われたため。
   しかし、柱を基本にした6面体で支えるという意味で
   はオール4寸の方が荷重が均等になっていいと思う
   のですが。標準構造を動かしたくなさそうだな、という
   印象です)
      
   ポリスチレン断熱パネルに外壁レンガタイルを
   張り付ける工法(メーカーではIBS工法と呼びます)
   屋根 フッ素ステンレス鋼鈑(メーカーオリジナル品)
   床  突板フロアー(メーカーは教えてくれず)
   内壁・天井  ビニルクロス   
   窓 樹脂入りサッシ(YKKプラマード−このメーカー
      はYKKと提携しているみたいで、そこの製品に
      してくれ、と言われました。自分ではトクヤマの
      シャノンウインドにしたかったのですが、性能も
      変わらないと言われてしまうと、メーカーの方の
      取引もあるだろうし、仕方がないかな、と。

      ガラスは普通のペアガラス
     (サービスで一部LOW-Eを入れてくれる、ということ
      ですが場所は、最適な位置に入れるので任せて
      欲しい、と言われ具体的な位置は契約後に伝える
      旨、言われました)

      但し、この窓は全てオプションです。標準はただの
      アルミサッシにシングルガラスですから。差額が150
      万円出ました。よく、住宅雑誌で予算のせいでこれを
      泣く泣くあきらめて、後で後悔している、というのを
      聞きますが、確かに自分も当事者になってみると
      見送りたい気持ちも分かる気がします。ただ、ここは
      東北ですから、死守しました。
      
   このメーカーは外壁と屋根の仕様が魅力で交渉したの
   ですが、それ以外の仕様が貧弱なため、結構差額が
   出ました。坪単価32万円という割に、求める仕様にしたら、
   結局最高値になってしまいました。
   見積書も基本は坪単価×延床面積での積算なので、
   それほど詳しくなかったです。

S社 輸入住宅(2×6工法 カナダより輸入)
   断熱は分厚いグラスウールを挿入(基本は140o)
   屋根 洋瓦(オプション 標準はスレート)
   外壁 レンガ(これまたオプション
              標準は着色鉄板サイディング)
   床 無垢のオーク材フローリング19o(これは標準)
   内壁・天井 ビニルクロス
   窓 カナダ製輸入樹脂サッシにLOW-Eペアガラス 
   (これも標準−さすが輸入住宅だけのことはあります)

最初の2社はフリープランだったのですが、ここはフリー
だと工事単価が2割増しとなり、自分の予算では無理な為、
やむなく企画プランの一部変更で必要とする部屋数及び
レイアウトを確保しました。

見積書はI社と似たり寄ったりです。ただ、オフションの差額
変更品につき、最初から型番まできっちり記入していたのは
評価出来ます。
  
で、最終見積金額の方は、本体工事に電気・給排水及び
消費税を入れて1950万円から2150万円の間に散らばり
ました。規格プランの強みでS社が最も低く、ついでT社、
そしてI社が最も高くなりました。表示坪単価との乖離率も
ここが最も高く、本当雑誌の記載は当てにならないもの
ですね。皆さんも坪単価で見る前に一度標準仕様書をご覧
になるとよろしいかと思います。


さて、業者を決定する前に果たして融資自体受けられるの
か、そしていくらまでなら貸してくれるのか?これがはっきりし
なければ、決断すら出来ません。

そこで、11月の中旬に、土地のローンを借りている七十七
銀行(宮城県が主たる地盤の地方銀行です。借りられた推定
理由は作者紹介のページをご覧下さい)郡山支店に相談に
行って来ました。

差し当たり、公庫を利用すること、また建物の見積書を示して
1900万円程度の借り入れを希望する旨を伝えたところ、
担当の融資窓口の女性の方より、自分が建てる家の床面籍、
及び適用できる割増融資の種類などを聞かれ、ちょっとした
やりとりの後、検討しますので何か有ったら連絡します、という
次第です。正直に言いますと、この建築予算では、土地のロー
ンを含めて返済比率が年収の33%程度になるんですね。
私自身は勿論承知し、独身のままであれば月約9万 ボーナス
加算約25万円を返していける自信はあります。覚悟も出来て
います。しかし、銀行がどう見てくれるかですよね。

お話をした感じでは、その人の年収を主とした返済能力、そし
て融資対象となる物件の担保価値に敏感になっている印象が
ありました(私の場合は土地購入で銀行ローンを借りているか
ら尚更なのでしょう。公庫融資を受ければ、銀行は強制的に
二番抵当権者に下がる訳ですし)。まあ、土地融資を受けた時の
ように自分からアピールするより他に方法はないので、資料も
揃えて誠意をもって対応しました。 

そのお陰かどうかは分かりませんが、先月に借り入れの内諾
の電話がありました(全て、基準金利で借りることが条件になる
ようです。まあ自分の家の場合高耐久木造融資に開口部断熱
省エネ給湯融資に今年の目玉生活空間倍増融資をフルに活用
すれば、それは可能です)。100%融資となる希望金額満額に
つき借り入れを認めてくれる訳ですから、本当に有り難いもの
です。まあ、他を当たればもっと簡単に貸してくれるところもある
のでしょうが、自分は全体的に審査が厳しいところほど、借り入
れの条件は良くなるように感じています。何はともあれ、ひとま
ずはやれやれです。

そうすると、いよいよ業者の最終決定に突入ということになり
ます。とはいえ、各メーカー毎に一長一短があって決め手に
乏しい事もまた事実。    

そこで、自分なりに考えまして、各メーカーに経営状態と
施工監理体制に関する照会文書を送信し、回答をお願いする
こととしたのです(1月12日付けにて照会)。

その結果、

・T社は今後の契約交渉の続行を辞退(文書にて通知)
・I社は社長決裁を受けてから文書により回答すると連絡
があったものの、今日に至るまでその回答を引き延ば
している。
・S社は文書回答は無理だが、支店長の方から照会内
容について回答は出来る、との連絡あり。

それにしても、この業界に透明な情報開示を期待して
いた自分の考えの甘さを痛感させられました。

各メーカー毎に機密事項は多々あると思います。原価率と
か顧客トラブルの内訳とか・・・。しかし、この間NHKの「クロ
ーズアップ現代」でも特集していたように、工務店がバタバタ
倒産するご時世です。大手ならいざ知らず、中堅メーカー以下
と契約しようと思えば、そのリスクを感じるのは私だけなので
しょうか?別に現在は赤字であったとしても、金融機関が支援
するのであれば(今は結構不動産業者関連でメインバンクから
の債務免除が多いですし)、それはそれで納得は出来るん
ですけどね。

それぞれのメーカーが、それぞれの行動を取ったことにつ
いては、自分には思う節はあります(ただ、それをここで公開
してしまうと迷惑をかける可能性があるため、ここでの記載
は控えさせてください)。

ただ、S社については実際に支店長さんから、経営状況や
施工監理について説明していただきました。先週の土曜日
(1/30)のことです。その会社はマンション分譲事業もやっ
ているのですが、経営体質強化の為に不良在庫の一括償
却を行い、それが故に今季の決算は赤字となるが、これで
今度の事業拡大に弾みがつくこと、受注も堅調であること
など納得行くまで教えていただき、改めて好感を抱きました。

同じ日、今度はI社に行き、かねてから気になっていた契約
約款の内容について詰めて来ました(上記の通り、回答は
待って欲しいと言われたため)。

というのも、家づくりの本に必ず載っているアドバイス通り
契約約款のひな形を予め貰っておいたのですが、チェック
して見ると、ここのはとことん業者寄りの内容になっていた
からなんです。

例えば・・・

第20条 乙(請負業者のこと)の中止権、解除権のところで
A天変地異、風水火災等による不可抗力「など」のため、
乙が本契約の工事を行うことが出来ないときは、「乙は」
工事を中止し、または本契約を解除することができるもの
とする。

つまり、解除権は業者にしかなく、しかも、

・「乙が」上記理由により本契約を解除した場合は、「甲は」
乙に対し本契約の出来高部分等及び発注済の材料に
対する請負金額相当額を負担するものとします。

要は、丸損ですよね。

勿論、工事を続行出来る場合であっても、しっかりその分
の費用は無条件に取られるようになっています。(異議なく
これを承諾するものとします、ですから)

まあ、他の部分も推して知るべしです。 

こんな文言では恐ろしくて契約する気にもなれません。それ
で、記載文言の訂正が出来るかどうかにつき徹底的にやりあ
ったんです。
「ご契約はお客様との信頼関係で行うものですので、トラ
ブルが起こった場合には誠意をもって対処させていただき
ます」
と丁寧には返答するのですが、変える事は無理です、
ときっぱり。

契約約款というのは、トラブルさえなければ普通意識する事
はないと思います。要は何かあった時に、両者の権利関係を
決定づけるために判を押すわけなのですから。この内容では
自分は泣き寝入りするしかありません。一生をかけて「契約」
書に実印を押す重さを考えると、営業さんのいう誠意など何の
保証もないと思いませんか? 
  
一応、その場では自分でも再度検討してみますので、最終見
積の方をよろしくお願いしますということで、引き揚げては来まし
たが、もう心は決まりました。
(工法は魅力だったけど)断るしかないです。

結果、残るはS社ということになりました。
自分でも考えた結果、ここで納得が行けば契約し、そうで
なければ、一度全てをご破算にして今度は設計事務所経由
での分離発注に挑戦する、ということに決めました。
(完璧な透明性を求めるならこれしかないとよく分かりました
から)
 
ただ、金利のこともありますし、上に書いたように(あくまで
口頭回答ではあるけれど)対応も誠実、契約約款も一部業者
寄りの部分もあるものの基本的に両者が対等になるように
作ってあることもあり、気持ちは契約に傾いています。

とはいえ、あくまで自分が納得出来ることが大前提ですので
これからとことん詰めて行きます。おそらく、次の更新時には
契約/延期のどちらに決めたかを発表出来ると思いますので、
またご覧になってみてください。宜しくお願いいたします。

公庫融資の締め切りは3月12日。そこから逆算すると今月
一杯が勝負でしょう。悔いのないよう行動したいものです。
 
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