その5


そして、契約してからもう半月になりますが、今考えてみると
その日は本当にあっけないものでした。

これまでに記載したように、まあ大手メーカーレベルの(
多少業者寄りである)契約約款は特約変更を拒否され、
ただ支払条件は着手金50万円以外は引渡時払いで構わない、
という交換条件(?)を提示され、その金銭的メリット
(特に自分は100%ローンですし−手持ち金など諸費用で
消えてしまいます−だから引渡時まではつなぎ資金の金利を
負担せずに済む)、そしてローン減税のこと、
またメーカー自体は南東北エリアで堅実に業績を伸ばして
いること、現場も何件か見てきましたけど、その範囲では
問題は見られなかったことを総合的に検討して、ならここに
お願いする決意を固めた、というのがあります。

だから、2/27は本当に和やかなものでした。人間、腹を
括るとこんなに穏やかになれるものなんですね。オプション
も金額が決められているメーカーなので、完成後の家を見学
させるという条件でソファをサービスしてね、というのがせい
ぜいだというのも事前に予想がついてましたし。

ただ、やはり契約書に実印を押す手は震えました。押した
瞬間、これで後戻りは出来なくなった、という不安と覚悟が
自分の中で交錯したけれど、賽は投げられました。
 
長持ちする良い家をつくれば、これからの人生のベースに
なる訳ですから、まずは全力投球です。健康できちんと働け
さえすれば、やって行けますから(効率的な医療保障も組ん
ではいますが・・・)。

ただ、最終見積を3社に絞った段階で経営状態と施工監理体制
に関する照会文書を出したことについては、メリットとデメ
リットがあったように思います。

メリット−経営に不安があった(赤字決算続きだった)T社が
     が辞退して来たこと、またI社も結局答えられなかっ
     たことからも、リスク排除のやり方としては有効だっ
     たと思います。私自身、尺貫法モジュールによる
     間取りの良さから、向こうから辞退されるまではT社
     にしようと思ってましたから。ただ、途中で倒産され
     ては(住宅減税による底上げ景気で、自分が建てて
     いる期間はまあそれでも持ちこたえるとは思うけど)
     元も子もない訳ですから。

デメリット−但し、それを出す時期を間違えたなあ、という反省
     はあります。まだ3社競合していて、御社に決めさ
     せていただきます、と意思表示していない内に
     この文書を出したことで、契約したセルコホームも
     含めて、ガードが固くなってしまったのは確かです。
     契約するかどうかも分からないのに、うちの内情を
     開示出来るか!、という心境も対消費者という意味で
     は問題があるにしても、ビジネスとしては当然でしょう
     から。今にして思えば、最終的に契約の意思を示して
     最終(概算)見積まで出して貰い、では次回にご契約
     を・・・というところまで持ってきて、ではそれに際して
     これに答えていただけますか、ということであの文書を
     出せば良かったのではないか、と思うのです。勿論、
     複数のメーカーと交渉していれば、同じことを各社に。
     契約が目の前にちらつけば、もう少し違った展開に
     なったかも知れなかったですし。狡いかもしれませ
     んけど、こっちだって一生一度のこと。ビジネスだっ
     て駆け引きはあるでしょうし、このぐらいは・・・。

まあ、自分の場合はもう終わったことですので、
契約した約款の中で、出来るだけのことはして
行きます(トラブルがなければ問題はない訳です
から、リスク排除に注意しなくてはいけません)

この照会文書というやり方も、お客である自分たちの方
で建築面及び法律面でそれなりの知識を持っていないと
業者に丸め込まれて逆効果になる、というのはあります
ので、万人向けとしてはお勧め出来ない、ということだけは
ここで記載させていただきます。法律は自分たちを守って
くれるとは限りません。運用一つで武器にも不利にもなる
怖い存在ですから(法学部出の人間として、実感してます)。

ここで、今回私が建てる事になったカナダ製輸入住宅の概要を
記載させていただきます。

2×6工法 使用木材はスプルスファー
(ローコスト住宅ですので止むを得ませんが、シロアリ
 には余り強くないため、防蟻処理と換気には今後とも
 注意を払って行く必要はあります。最後まで、迷った
 点なんですけどね)

延床面積126平米 (9メーター×7メーター×2階)

外壁 オーストラリア製総レンガ
(勿論オプションです。差額だけで約200万。ただ、安
 いサイディングや吹き付けだとこまめに塗り替えが
 必要になって来ますよね。長持ちする家を−という
 観点でこれは死守しました)。

屋根 三州洋瓦(野安製瓦製セラマウント)
(これもオプション。だって標準は安いスレート・カラー
 ベストコロニアルですから。ただ、これは差額も大した
 ことはありませんでした。それで耐久性・遮熱性が全然
 違って来るわけですから、重さ対策で構造体をきっちり
 作っておきさえすればお勧めです)

窓 カナダ製LOW-E金属コーティングペアガラス付
  樹脂サッシ
(この家、外壁のグラスウールが150oあったりと北海
 道でも通用する仕様なのですが−但し、壁内結露
 対策はきちんとしなくてはいけないけれど−こんな、
 他のメーカーでは差額150万も見積されるような、
 高級な窓が標準なんですね。これは評価出来ます
 ただ、網戸はつきますけど、雨戸は一切付けられま
 せんので、判断が分かれるかもしれません。自分は
 別に構わないんですけどね。どうせ24時間換気シス
 テムもついていますので、そんなに窓を開けて換気
 することも多くはないでしょうから。昼間は留守だし)

内装床 (結局予算的に標準にしまして)
 一階の大部分がオーク無垢フローリング
 一階の水回りがクッションフロア
 二階がカーペット
 個人的にはオールフローリングにしたかったのですが、
 水回りに無垢材を使うと間違いなく反ると言われ、二階
 にフローリングを使うと音が凄いと言われたため、ここは
 予算的に標準で我慢しようということになりました。

内装 エコクロス(リリカラ製「土に還る壁紙」)
 標準であるのは真っ白なビニルクロスです(その辺り、
 選択の余地が少ないんですよね。だからローコストなの
 でしょうが)。ただ、自分にはもしビニルクロスを使うので
 あれば、こうしたいという野望があるんですよ。だから、
 真っ白というのは論外で、先週内装とかの色決めまで
 やったのですが、その時に気に入った色を指定したら
 このエコクロスになったという訳です。まだ、差額は積算
 して貰っていますが、おそらく2,30万のアップにはなる
 でしょうね。本当、家って金食い虫ですね、実感。

あと、オール電化仕様(フルオート電気温水器に電気
クイックラジエントヒーター)にした、ということだけ記載させて
いただきます(節約生活の項でも書きましたが、東北電力の
場合、時間帯別電灯契約にして更に電気温水器を通電制御
型にすれば、1キロボルトアンペア当たり180円のキャッシュ
バックがあるんです。10キロボルトアンペアなら1800円。
時間帯別電灯の100A(10キロボルトアンペア)の月々の
基本料金は1800円なので、要は基本料金がチャラ。だから
初期投資はかかってもランニングコストが安く済みますので、
導入を決断しました)。

でも、こうすることでもう一つ余録も生まれそうです。
外壁総レンガで、洋瓦屋根、おまけにオール電化というこ
とで、メーカーの支店長さんが気に入ってくれたらしく、
まだ確定ではないけれど、現場見学会の会場に使わせて
くれないか、との打診があったんですね。その場合は
サービスしますよ、とのこと。

悪い話ではないですよね。モノの面は勿論として、それ
よりも見学会の会場になるのであれば、造りの丁寧さも
ある程度は期待できる訳ですから。ですんで、自分の方で
は積極的に了解出しましたけど、果たしてどうなりますこと
やら。

ただ、新規に開発された大規模ニュータウンの場合、その
メーカーで最初に家を建てる場合には、どこでもかなり優遇
されるなあ、という印象はあります。自分が付き合ったどの
メーカーでも現場見学会でサービス、という話はありました
から。まあ、アンテナショップ的な位置づけなのでしょう。
数百区画の中で各メーカーが入り乱れる訳ですから。

ただ、ここまでこだわった結果、基本仕様は坪32万の
建物なのに(税込み1400万見当)、差額及び諸費用まで
入れれば、総工費は2300万を超えそうです・・・。
(内200万は外壁総レンガ分だったりとここの標準仕様が
悪いと言うわけではなく、あくまでこだわりの結果では
あるのですが。ただ、ニュータウンだから覚悟してました
けど、やっぱり地盤改良工事が必要になるのは痛いです
ね。施工は大手ゼネコンS建設ですけど、当てにならない
ものです。皆さんも気を付けましょう。まあ、数十万の出費
ケチって後で泣く羽目になるよりはいいでしょうけど)

今回公庫で月々の返済金額から逆算して1850万円を
借りる予定でいます(2.2%の基準金利で借りられる最高
額に近いんですけど)。残りは自己資金で賄うことになりま
すが、その差額で収まる訳もないので、多少両親からの
援助も仰ぐことにはなりそうです。出来るだけ自力で何とか
したいのですが・・・。

結果、土地の分も含めると2900万借りることになる訳です。
今の年収からすれば、ざっと7倍・・・。いずれ、無事に年を
重ねて行ければ、それが6倍になり5倍になっては行きます
が、凄いもの背負うことは確かです。当初5年間は併せて
月8万ボーナス時25万を返済することになるのですが、これ
をどう見るか、ですよね。それでも、この低金利だから出来る
技ですし、数年待ったって、金利が上がってしまえば、多少
お金を貯めたところで、今建てる家は建たなくなってしまいます
から。今現在、月に10万円住宅関連で積み立てたり土地の
ローンを返済してますので、月々の分は何とかなるでしょう。
持ち家手当も微々たるものですがつきますし、今の家賃相当
分は回せますからね。

本当、多少長距離通勤になっても(と、いうより今回遠隔
地異動が無かったため、1年半はそうなることが決定したの
ですが・・・)郡山に住み続けて、今年からの住宅ローン減税
のメリットを最大限に享受したいものです。とりあえず、最初
の6年間は所得税0は確実ですし。
それにまだ流動的ですけど、もし先行取得土地のローンに
ついても適用になるのであれば(大蔵省で検討しているよう
です)、11年間は所得税払わなくても済む計算になる訳
ですから。

見送られた住宅ローン利子控除だと、金利が上がればその
分所得税も安くなるというのはありますが、今度導入される
制度だと金利上昇で効果がなくなる代物ですので、今回の
公庫に間に合えばいいですけど、そうでなければしばらく
様子を見るべきだと思います。その辺り、雑誌とかでFPの
方がしきりに言っている通りだと思います。
彼らに言わせれば、自分の行動など無謀にしか映らない
と思いますが、なに自分には自分の狙いもある訳でして。

契約しても、仕事だこっちだで体が休まる暇もなく、
まず、3/6には地盤調査の結果を聞いて(結果は上記の
通り)、内外装の色決めとかをしました(輸入住宅ですので
カナダに発注する前に全ての仕様を確定させなければ
ならないため)。一人ですので、その辺りは殆ど即決で
早いものです。と、いうよりコスト削減のためか選択の余地
が余り無い、という方が正しいかもしれませんが。

そして、3/12に休みを取って郡山の七十七銀行に公庫
の融資申込に行って来ました(本来はこの日が締め切り日
だったのですが、延長になりましたよね。つまり、今回の募
集が終われば公庫金利が相当上がるから、最後のカンフル
剤にしようとしたのだと、自分では思っていますが)。 
ちなみに、七十七銀行は当時社会人2年目の人間に土地
のローンを融資していただいてからのお付き合いです。抵当
権の関係で、ここで申し込むしかない、ということもありますが。

普通、公庫融資申込は業者任せが殆どだと思います。
自分も最初はそうしようかな、とも考えました。ただ、あくまで
内諾をいただいた経緯もあるため、誠意を示す意味もあって
自分も行くことにしました。

結果からすれば、行って正解でした。
本当に公庫融資というのはくるくる制度が変わるものなん
ですね。銀行の担当者ですら把握し切れていない面があり、
危うく間違った申請を出すところだったからです。

今回、問題になったのは「生活空間倍増加算」。今年限り
の時限措置で、自分のように土地融資なしで3大都市圏
以外の居住者の場合には300万円基準金利で借りることが
出来ます。そしてこれは100%ローンでの80%を超える分
についても充当出来るそうなんです。

今回あくまで1850万円を全て基準金利で借りること、と
いうのが大前提であって、担当の方に言われるまま用紙を
書いていき、ひとまず完成しました。

その時の内訳は
 基準金利1650万+生活空間倍増加算200万。
銀行の方が記載内容を確認してくださいまして、OKという
ことで和やかに世間話をし、それでは、と失礼しようとして
最後にこの記載で全て基準金利で借りられますね、と念を
押したところ、間違いが発覚。
てっきり、生活空間倍増加算の残り100万円分は基準
金利分の中に入っているのかと思ったんです。そうしたら、
それは出来ないとのこと。なら、1650万円も借りられる
訳がないのでは?

正解(?)は      内訳
 基準金利1540万  125平方メートル超準耐火
            構造の基準融資額  1290万
            開口部断熱加算    100万
             省エネルギー設備加算150万
生活空間倍増加算
     300万の計1840万ということだったんです。

当初、1850万借りる予定でしたが、制度的に10万は
基準金利では無理だったんですね。まあ100万も金額が
足りなければ予定自体が狂ってしまいますが、10万なら
何とかなると思い、それで用紙を書き直しました。
本当、気がついたから良かったですが、もし気がつかなか
ったらどうなってたことやら・・・。ぞっとします。自分でも
制度を知ることの重要さを痛感させられました。

そして、申し込んだのはいいのですが、翌日電気屋に行っ
て公庫(省エネルギー加算)対応型のマルチエアコンを見て
きたら、最新型と比べたら性能が一世代前で、遙かに電気
代を食いそうな事が判明したんです。
そこで、急遽担当営業さんに電話し、バリアフリーにしたら
(もう一つの割増加算項目です)いくらするのか、を見積もっ
てもらい、そうしたら輸入住宅の場合、そちらの方が遙かに
高くつく(建具とかを全部日本製に変える必要があるため)
との連絡があり、ならは最新型には及ばないにしても、出来
るだけ性能の良いマルチエアコンを片っ端から探すしかない
な、ということで決着したり、といろいろです。
(このことについては、担当営業さんに大変ご迷惑をおかけ
 しました。本当に自分の色々な要望に真摯に対応して下さ
 って本当に有り難いです)

あれやこれやで、発注までまだまだ悪戦苦闘の日々は
続きそうです。 気合い入れて乗り切りたいものです。

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