ハード編

何といっても ランニングコストがかからない家 が一番です。

私が住んでいた実家でも、屋根スレートの塗り替えに始まり、
ベランダやらユニットバスの交換やら、相当な出費がありました。
ですが、それと同じ出費が自分にも出来るかというと、財政
状態からしてとても無理でしょう。

よく「一生に3回建てれば理想の家造りが出来る」と言われます
が、どう考えてもそんな費用が出て来るとは思えません。一発必
中で行うとすれば、少なくとも50年以上はもつよう多少イニシャル
コストはかかっても、耐久性のある資材を選択する必要が出て来
ますし、その辺りは自分も力を入れて研究しています。

しかし、まだ見ぬコストパフォーマンスと性能に優れた資材が存
在するのかもしれませんし、実際に使ってみてこれは良かった、と
いう資材も有ることでしょう。読者の皆さんの中で良い情報をお持
ちでしたら、是非ご一報ください。

ちなみに、私が考えていたのは

(総論) 

一辺8メートル前後の正方形または長方形の総2階住宅です。
(必要な居住面積を得るのに際し、強度・資材・コストの面で
 合理的だと考えるため。あと、延床面積が125平方メ
 ートルを越えると、住宅金融公庫の融資限度額がとたんに
 増えるから、というのもあります)

公庫融資の事を考えますと、   
(メーターモジュールで)
  8メーター×8メーター×2階 128平方メートル 
  9メーター×7メーター×2階 126平方メートル
(尺貫法で)
9.1メーター×7.28メーター×2階 132.48平方
 (4間×5間 1間=1.82メートルで計算) メートル  
       
なお、正方形は一辺が8.19メートル(4.5間)になり、 
変則の間取りになって材料ロスが多くなるとのことで
考慮からは外しました。
   
実際に3社と話をしたのですが、きれいにこの3寸法に
散らばっていました。       

ただ、これは自分で方眼紙に平面図を書いてみて感じた
のですが、メーターモジュールというのは、確かに空間に
ゆとりは出来るのかもしれないけれど、その分お金もか
かるのだな、ということ。

メーターモジュールは1メートル刻みが基準で、尺貫法だと
半間(0.91メートル)刻みということになるかと思います。
よく、廊下の幅で比較していますよね。

そうすると同じ間取りを両方のモジュールで想定するとして、
(メーター)10[1×10ブロック] ×8 [1×8ブロック]×2階
     =160.0平方メートル 
(尺貫法)9.1[0.91×10ブロック]×7.28[0.91×8ブロック]
     ×2階=132.48平方メートル
 
その差実に27.52平方メートル(約8.3坪)!。
勿論建物の構成要素は寸法以外全く同じでしょうから、
単純に坪単価を掛ける訳にもいかないとは思いますが、
坪30万として249万円!ゆとりの代償って高いな、と
思います。方眼紙図面引いていても、外回りの寸法が
上記の通り決まってますので、尺貫法の方が間取りを
考えやすいですね。9×7と9.1×7.28では後者の
方が両辺共に1ビッチ余計に取れる訳ですし。 

そんな訳で、勿論この寸法だけの理由ではないですが
正直言って、3社の内1社だけの尺貫法採用メーカーが
最有力候補でした。
      
とにかく、施工面での無駄は極力廃して、構造面の充実に振り
向けたいです(その意味で、必要以上にモデルハウス建てたり、
営業マンを抱えているメーカーには疑問符がつきます。その分
家の本質とは関係ないところでその費用が上乗せされる訳
ですから)。

本体予算は諸費用の事を考えると、2、000万円以内という
ことで考えていました(土地購入の際、諸費用だけで100万円
以上かかって、資金確保に苦労した記憶があるからです。
外構工事やインテリア、照明にカーテン、それに税金とかを
考えると・・・・)。 当初は1,500万円以内で上がらないかな、
という願望を抱いていたのですが、屋根瓦かフッ素鋼鈑、煉瓦
等のメンテナンスフリー外壁、2×4か高耐久木造仕様、樹脂
サッシに特殊金属膜コーティング(LOW-E)ペアガラスなんて事
になりますと、とてもその予算では無理みたいです(笑)。相場
からすると、この予算でも厳しいのかもしれませんが、内装等、
割り切れる所は割り切ってこのラインだけは死守したいと思って
ました・・・。

 
(私が考える各論の一例)

構造体-木造で育ち、今いる官舎は鉄筋コンクリート(RC)造。
   仕事で各構造の住宅を評価していますが、どれも一長
   一短が有るように感じています。

鉄骨造--頑丈ではあるけど、鉄自体熱が伝わりやすそうで、
    火災に遭った時にもしも限界点を超えたら、意外に
    脆いのではないだろうか、と言う気がします。
    断熱性能への影響も気になるところです。実家が
    旭化成のへーベルハウスで建て替えたのですが、
    地震の際外壁への影響を最小限にするために、柱
    との接合部に遊びを設けているとあったのですが、
    これって今流行りの気密性の確保という点では
    マイナスのような気がします(私自身は、極
    端な気密性の追求というのには疑問を持っている
    のですが、実家で見たとき結構な隙間がありました
    ので--後述)。
             
    あと、自分が買った新規造成のニュータウンだと
    何らかの地盤改良は必須なのだと思いますが、特に
    鉄骨造だと自重があるでしょうから、えらい出費になり
    そうですよね。

RC造--まず予算的に無理でしょう(笑)。それでなくても、夏の
    蒸し風呂を体験してしまうと、手が出ません。コンクリート
    の蓄熱性と逆に冬の暖房入れない時の冷え込みには、
    難儀していますから・・・(もっとも、効果的な断熱材を入
    れて計画換気をきちんとすれば別なのかもしれません)。

    あと、コンクリートを型枠に流し込む時に混ぜ込む水の
    量次第で構造体の寿命が随分違って来るとも聞きます
   (少ない方が施工は面倒だけど、その分長持ちするとか。
    ちなみに、鉄筋コンクリの基礎はどの工法でも当然必要
    になってきますが、強度を指定した方が良いようです)。
    法定耐用年数はえらく長いですが、それも良心的な業者
    に当たるかどうかなのかも知れません。

2×4造--今考えている有力メーカーの一つが、この工法です。
    地震に強いのは分かりますし、自分の場合別に開口部
    は必要最低限あれば構わないので(ローコスト化の方
    法でよく有りますよね)、開口部が余り取れないというの
    も別に気にはなりません。 

    ただ、気になるのは構造体に使われるスプルースと
    いう外国の木材が、どうもシロアリには弱そうだいう事。
    説明聞いても、数年おきに薬剤散布する必要がある、
    と言われましたしね。当然、費用も馬鹿にならないで
    しょうし、健康に良い訳ないですから気になる所です。

    あと、一部メーカーを除いて、断熱材は大体グラスウ
    ールのようですが、いくら気密フィルムを張って壁の
    中の結露を防いでいるとはいえ、コンセントボックス
    部分とかどうしても施工的に隙間が生じかねない場所
    に対する処置をきちんとしてくれるかどうか,ですね
   (現場発泡ウレタンでの隙間埋めも何十年の内には
    劣化して意味をなさなくなりそうですし)、そんな事に
    なれば断熱材が濡れて大変なことになりそうだな、と
    いう不安があります。
                                   
木造--私の生まれ育った実家がこれで、断熱性能の低さには
    閉口しましたが、反面「呼吸している」事も確かでした。
    まあ、今は高気密・高断熱が流行で、折り込みチラシで
    バンバン宣伝するレベルの建売住宅でも、グラスウール
    の100ミリは結構使われていますね、矩計図を見る限り
    では。 しかし、柱が105ミリ角だから、通気層が取れる
    訳がなく、これまた今話題の壁内結露に悩む事になるの
    だろうな、ということもこれまた容易に想像出来ます。

     木造というのは、予算次第で使われる材質がえらく
    変わって来ますよね。仕事で取得価格3、4千万の豪邸も
    拝見した事があるのですが、和室には無節の国産檜の
    5寸柱(15p角)がデンと鎮座されておりました。うって
    変わって、予算的に手が届きそうな某フランチャイズ住宅
    メーカーの構造見学会に行くと、柱は良くて細目の結構節
    ありの杉だし、土台には米栂。後者が全然耐久性が無い
    ことぐらい、家造りの研究を初めてすぐに知ったぐらいです
    から、その段階で安物はそれなりなのかなあ、と・・・。 

     あと、手抜き事例も多く見ていますし、いくら施工チェックの
    方法を本読んで研究しても、所詮は素人。それこそ信頼
    できる棟梁なりメーカーをいかにして捜すか、にかかって
    来ますね。

私は、生まれてこのかたクーラーのある暮らしをしたことが
ありません。お陰で毎年夏暑く、冬寒かったけれど、人間の体
というのはそれなりに良く出来ているもので、汗かいたり発熱
を増やすことで抵抗力を付けて乗り切って来ました。まあ、
若かったせいもあるでしょうが。ただ、今後は気温差が次第に
こたえて来るようにもなるでしょうから、「気温変動の少ない
家」ではあって欲しいと思います。

と、なれば「高断熱」ということになります。ただ、「高気密」
が果たして必要なのか、については自分のこれまでの暮らし
を踏まえると、ちょっと迷う所です。高気密の家だと、計画換気
が必須とされていますが、では(めったにないとは思いますが)
停電になったらどう対処したら良いのか、等。出来れば、多少
の空調ロスは覚悟してもガラリ戸とかで自然換気で対応出来
るような工法があれば、それに越したことはないと思うのです
が、どんなものでしょうか?
(換気システムにかかる電気代も、全館循環するぐらいだから
 相当かかるだろうし・・・。よく住宅のカタログで低冷暖房費を
 宣伝していますが、そう言えば換気システムとの合計額を
 記載しているメーカーってそんなに多くない気がします)

で、結論としては

上記予算で、かつ数多くの文献を研究して私なりに設定した
「石川純也邸希望仕様書」のレベル以上のものが建ち、更に
信頼出来る施工をしていただける一式請負の棟梁、或いは
メーカー、及び橋渡しをしてくださる設計家の方と出会えれ
ば、木造で建てようと考えてました。

それが無理なら、前に記載した多少の欠点には目をつぶっ
て2×4造ということだったのですが・・・。                     

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