苦手項目

 さて、苦手項目に手を付けてみましょう。

 苦手項目にもいくつか種類があると思います。一つは全く苦手でどう手を付けたら良いのか解らないので、過去問を解いても一向に歩留まり率が上がらない項目です。もう一つは、学習内容について少しはなじめるけれど歩留まり率の上昇が芳しくない項目です。

 個人的な経験では、法令では行政法、教養では文学史・歴史分野が前者の苦手項目でした。こちらについては、わかりやすい参考書に出会えるかどうかがカギであると思います。こればっかりは各人の感性と参考書の相性が重要な要素ですので、自分に合ったものを探してもらうしかありません。相互リンクや無料情報源に挙げてあるサイトなどで情報収集をされると良いでしょう、としか言い様がありません。

 何とかして良い参考書に出会って、前者の苦手項目を後者の歩留まり率の上昇が芳しくない苦手項目位まで引き上げてください。

 ただし、この作業の優先順位はケースバイケースです。行政法の場合は優先順位が高いでしょうし、教養科目については他の教養科目である程度点数が取れれば優先順位は低くて構わないわけです。そもそも苦手なのだから、時間効率を犠牲にして学習する価値があるかどうかを見極めなければなりません。下手に深入りすると、貴重な時間を膨大に失ってしまうので、ダメならダメで潔く諦める勇気も必要です。今は出来なくても、あるとき急に解るようになっていることも良くあることです。

 苦手項目に限らず、私が薦めるのは、「平野」→「富士山」→「茶筒」というスタイルです。

 「平野」というのは、全く出来ない状態のこと。「富士山」というのは、得意分野をつくること。「茶筒」というのは、全ての分野を得意分野に近づけることです。こういうイメージ(うまく見えるかな?)です。横軸が単元で、縦軸が点数だと思って見てください。

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   平野          富士山        茶筒

                ○○       ○○○○○○

               ○○○      ○○○○○○○

 ○○○○○    ○○○○○○○  ○○○○○○○○

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 一度「富士山」を作ってしまえば、楽しくなるし、他の単元の到達すべき目標が出来て勉強量をコントロール出来るのではないでしょうか?

 苦手項目については一体どれくらいまで到達すれば良いのか、実感がわかないのが当然だと思います。がむしゃらに基本書を読むよりは、小さい富士山を作ることで、苦手項目の中でも少しづつ出来る部分を増やすことができます。

 ところで、実は「富士山」も「茶筒」も「小さな富士山」の塊と考えることが出来るわけです。

 戦術的には、得意項目で最初に目指す富士山よりも小さいものを作るしかありません。

 つまり、細分化し期間を短くするわけです。苦手項目の単元を出来るだけ細分化し、歩留まり率の測定期間を短く設定するわけです。

 極端な例を挙げれば、行政法のうち行政行為の種類だけしかその日は手を付けない。過去問の数では数問しかありませんが、そこだけなら出来るようになるかもしれません。そして、1日に2回解いていたのを5回に増やす。さらに、1週間してから歩留まりを測定していたものを2日で測定する。さらに細分化したければ、最終手段に手を付けるという方法もあります。

 こうして小さな富士山を作るわけです。次にはその富士山を合体させて少し大きな富士山にするわけです。

 これらの小さな富士山は、最終的に合格ラインを形成する茶筒のパーツとならなければ意味が無いので、得意項目との現時点でのバランスを考えて合体作業を繰り返して行きます。

 まず、富士山を作らなければ茶筒は出来ません。富士山の高さを決める要素の一つには裾野の広さがあります。富士山のバランスがとれたら、そこで一度茶筒を作る。その後茶筒をベースにもう一回り大きい富士山を作るという作業の繰り返しで富士山はドンドン高くなっていきます。

 このバランスを自分で見つけることが、これまた独学者には頭の痛いところです。単元ごとにまとめた過去問題集ではなく、まさに過去問(平成○○年度の試験問題)や総合形式の問題集を解くのが良いでしょう。今月は全体の正答率50%を目標、うち得意分野80%、苦手分野40%などというように計画しておいて、パーツとして不充分な大きさの富士山を見つけるのも一つの方法です。

 総合形式の問題を解くと、新たな問題点が出てくる場合もあります。自分では得意だと思っていたのに、総合形式になると全く出来なくなっているなどのケースです。バランスを意識していると、このような問題も発見できて早めに軌道修正が出来るので、いきなり大きな富士山を目指さないというも、場合によっては重要な点であったりします。

 いくらやっても、小さな富士山が他のパーツと組み合わせられるまで成長しない場合は、やはり最終手段に手を付けるしかないでしょう。全く苦手な項目をまともにやるよりは、時間をとられないだけまだましかもしれません。

 

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