機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争

題名・内容
 
OVA全題名・内容一覧

第1話 〜 最終話

機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争の題名及び内容概略一覧です。

宇宙世紀0079。平和なサイド6内で突如起こる連邦軍とジオン軍のモビルスーツ戦。戦争とは全く無縁であったアルフレッドは、その戦いで墜落したザクのパイロット、バーナード・ワイズマンと出会う。
そのアルが撮影したビデオから、サイクロップス隊が逃した連邦軍の最新鋭モビルスーツ、ニュータイプ専用ガンダムがサイド6に運び込まれていることが判明する。そのサイクロップス隊の一員としてサイド6に侵入するバーニィ。だが、ひょんなことからアルと再会してしまい。。。


第1話 戦場までは何マイル? 連邦軍北極基地へ向けて潜水艦を出発するサイクロップス隊のズゴックE。陽動作戦のため、地上より派手な破壊活動を始めるミハエルとガルシア。しかしサイクロップス隊が探している荷物は基地内には見あたらなかった。一方シュタイナーとアンディはまさに発射態勢に入っているシャトルを捕捉。探しているものはまさにこのシャトルにあるとにらんだシュタイナーは、先行するアンディにシャトル発射の妨害を命じる。焦ったアンディはシュタイナーの「待て」という命令を無視して、ミサイル弾発射を敢行しようとする。だが、護衛のジムに阻まれ、その命を落とす。一歩遅れたシュタイナーの目の前で、打ち上げられたシャトルは、まばゆい閃光と共に上空へと消えて行った。亡骸となったアンディを抱え、シュタイナーの悲しみの雄叫びがこだまする。

サイド6。昼食時間の小学校。アル達はそのメニューに文句を言いながら食事をとっていた。その時、兄貴が連邦軍モビルスーツのパイロットであるチェイが、アルに連邦軍の階級章を見せびらかす。うらやましがるアル。テルコットはアルとチェイからもらった給食を食べるのに夢中で、興味がない様子。そこに「連邦軍にモビルスーツなんかいない」とドロシーが割り込んできた。日頃から仲が悪いアルとドロシー。当然、言い合いが始まる。アルは格好をつけようと連邦軍のモビルスーツを見たと嘘をつくが、ドロシーに「証拠は?」と迫られたじろぐ。さらに連邦軍の階級章を偽物と言われ、カッとなるチェイ。ついには取っ組み合いの喧嘩となり、アルとチェイは先生のお咎めを受けることとなってしまう。
何とかドロシーに口で勝ちたいアル達。一つの妙案をチェイが言い出す。父親に会うため港に行く予定であったアルに、港でモビルスーツを撮影して来ることを提案。うまくいったら階級章をくれるという条件に、アルはビデオカメラを持って港へ。係官のゲートを抜け、アルは父親の船が入港する23番ポートとは別の8番ポートに潜り込む。そこから「NT-2」と書かれたコンテナを撮影してはみるが、モビルスーツではなく、がっかりするアル。作業員に見つかってしまい、適当な言い訳をして、その場を後にする。実は、そのアルが撮影したコンテナこそ、連邦軍の秘密兵器、ニュータイプ専用ガンダムのコンテナだったのである。

目的果たせず、父親と会ったアルは元気が無い。父親から母宛の手紙を託されたタイミングで、話を切り出す。「父さん、お願いがあるんだけど。」父親に頼み港へ入れてもらったアルだったが、何も収穫が無く、しょんぼりして家路につく。そのアルにぶつかった、たくさんの荷物を持った女性。それは、昔お隣に住んでいたクリスだった。しばらく地球に行っていたのだが、つい先ほど着いて、荷物を運び込んでいるらしい。そこで突然降り出す雨。アルは荷物の運び入れを手伝い、クリスは部屋でアルにお茶をもてなす。アルには政府関係者と言っていたクリスだったが、実は連邦軍の軍人だったのである。そのことには気づいていないアル。
家に戻ったアル。遅くなるなら何故連絡しないのかと母親に怒られながら、食事をとる。だがクリスの家でお茶をごちそうになっていたため、それほど食べられる訳でもない。わずかに食事をとり、自室で隠れてゲーム。親の前では良い子でふるまうアル。だが、そんな生活はアルにとってはちっとも面白くなかった。。

翌朝、窓で朝日を浴びるクリスを何となく撮影していたアル。撮影しているアルを発見するクリス。アルは出勤するクリスとともに登校。学校がいかにつまらないかを愚痴るアル。学校では、チェイ達に収穫が無かったことを告げ、撮影したビデオの画像を見せる。確かにコンテナしか映っていない。チェイはアルに階級章はあげられないと告げる。がっかりするアル。そこに、おもちゃ屋で売っていた階級章を見せ、昨日のも偽物だとからかいに来るドロシー。

チェイが「うるせい。」と言ったその時、大きな爆発音。街で爆炎が上がる。呆気にとられるアル達。そこにジムが現れる。「あそこ、連邦のモビルスーツだ。」「ジオンのよ。」相変わらず連邦軍のモビルスーツの存在を認めようとしないドロシー。そのジムが突然現れたザクに攻撃される。攻撃を受け、倒れるジム。街では入り込んだジオンのザクとドムが連邦のジムと銃撃戦を展開していた。ただ、それを学校の屋上で見つめるアル達。そこに被弾したザクが1機急接近してくる。校舎にぶつかる直前で急上昇するザク。そのザクの姿をまじまじと見つめるアル。なんとか校舎への激突を回避したものの、バーニアの出力が上がらず、西の方角へと墜落していくザク。アルはそのザクを追って、外に飛び出していった。
ひたすらザクを追うアル。ザクは公園近くの丘に墜落していた。墜落したザクのすぐ側まで接近するアル。ザクの足を触り、未だ熱いことを確認する。持っていたビデオカメラで撮影を始めるアル。そして右肩辺りにカメラのファインダーを向けたとき、自分を銃で狙っているジオン兵を発見したのだった。
第2話 茶色の瞳に映るもの アルに銃口を向けるバーニィ。驚き、カメラを向けるのを止め、バーニィを見続けるアル。先に口を開いたのはアルであった。
「あのぉ、これに乗ってたんですか?」墜落したザクを指さし、話しかける。
その言葉に銃を向けるのを止め、アルの所に降りてくるバーニィ。そして再び銃をアルに向ける。
アルはバーニィに話しかけ続ける。「これに乗ってたんでしょ。」
バーニィはアルに銃を向けるのを止め、アルに背を向け、ザクに向かって歩き始める。が、アルの「やられちゃたんですね。」という言葉に立ち止まり、悔しそうに肩をすくめる。「その拳銃本物でしょ?ちょっとさわらせてもらってもいいですか?」アルの質問は、バーニィの神経を逆なでしているようだ。
「ちょっとだけだから。」というアルの言葉についに、声を出すバーニィ。「こら。」銃を再び向けるが、アルが走り寄るのを止めたことを見届け、再び歩き始める。「こんなところまで来て、ガキの相手とはな。」とぼやきながら。

近くの岩に腰を下ろし、アルを睨み付けながら、話し始める。「平和な顔をして。このコロニーにも軍隊はあるんだろうが。」「戦争見たの、初めてだよ。本物のモビルスーツも。」「ジムもか。」バーニィの言葉に頷くアル。「ふーん。」
アルは、バーニィが構えるのを止めた銃を見て、にんまり笑っていた。「待ってたって、触らしてやらないぞ。」そのバーニィの言葉に「ケチ」と言って、立ち去るアル。そのアルを呼び止めるバーニィ。「おい!ほら。」銃を差し出すバーニィ。「触らせてくれるの?やったぁ!」喜んでバーニィの元に走り寄ってくるアル。「わぁー」と銃を眺めるアル。その隙をついて、バーニィはアルの持っていたビデオカメラを取り上げた。

「何が映っているのかなぁ。」バーニィはカメラに撮られた映像のチェックをする。「返せよ。」と怒るアル。「撮ってくれちゃって、まぁ。」と言いながら映像チェックを続けるバーニィ。クリスの姿を見つける。「かわいい。お前の姉きか?」「返せったら返せよ。」ジタンだを踏みながら怒るアル。気になる映像までたどりつくバーニィ。そのコンテナには「NT-2」と書かれている。「これは、ただのコンテナにしちゃ、ものものしいな。」そこでバーニィはひっくり返る。「うわぁ。」アルが後ろから飛びかかったためだ。倒れたバーニィにかみつき、ビデオカメラを奪い取るアル。そこで動きが止まる。バーニィの階級章が気になるようだ。それに気づくバーニィ。階級章を外し、アルの目の前でちらつかせる。そのエンブレムから目を離そうとしないアル。「欲しいか?これとそれと交換っていうのはどうだ。」エンブレムとビデオカメラの交換を要求するバーニィ。「本当に?」乗ってくるアル。「ああ。」「だまさない?」「約束するよ。」ビデオカメラを素直に渡すアル。約束通りエンブレムを渡すバーニィ。「わぁ」と言いながらアルはエンブレムに夢中。

ビデオカメラよりディスクを抜き取るバーニィ。そのビデオカメラに「ALFRED IZURUHA」と書かれているのが目にとまる。「アルフレッド。」バーニィはアルに呼びかけ、自分には用の無くなったビデオカメラをアルに返す。バーニィより投げられたビデオカメラを受け取るアル。「要らないの?」アルの言葉に、「もらったよ。」とディスクをかざして見せるバーニィ。

そこに現れる迎えのザク。「わぁ。」見とれるアル。「このことは、秘密だぞ。」そうアルに言い残し、着地したザクの元へ急ぐバーニィ。バーニィを乗せたザクは、上空へと飛び立っていった。「すっげぇ。」ザクを見ながら感動しているアル。そして自分の手にあるエンブレムを見返す。「すっげぇ。やったぁ。やっほぉ。」と喜ぶアル。

街に戻ったアル。破壊された町並み。混乱が続いていた。「アル。」車の屋根に立ち、様子をうかがっていたアルだったが、チェイ達にひき吊り下ろされる。「先生怒ってた?」「午前中は休校になったから。」「ラッキィー。」チェイ達とともに学校に戻るアル。
学校は先ほどの戦闘の話で持ちきりだった。アル達が何より嬉しかったのは、連邦にモビルスーツがあるという決定的な証拠をドロシーに突きつけることができたこと。悔しそうなドロシーを笑うアル達。そこに授業中止の知らせ。喜ぶ子供達。
家に戻ったアルは興奮冷めやらぬ様子。一人、モビルスーツごっこに興じて一日を過ごす。

グラナダでは、バーニィが持ち帰ったディスクの内容について検討が行われていた。バーニィが気になっていた「NT-2」のコンテナについてである。このコンテナこそ、シュタイナー率いるサイクロップス隊が北極で追っていて、そしてシャトルもろとも取り逃がした荷物であった。シュタイナーの失敗を詰るキリング。「戦局を打開するためには、いかなる犠牲を払っても、あいつを奪うか、破壊するしかないのだ。」
「ニュータイプ用ガンダムですか?」
「今回の作戦では、君の意見もよく聞かせてもらう。補充兵の件も認める。君の希望通り優秀なパイロットを選んでいる。せいぜい鍛えてくれ。」

サイクロップス隊の補充パイロットに選ばれたとは知らず、早くもザク1機を潰したことにお咎めを受けるのではと、びくびくしながら出頭するバーニィ。「バーナード・ワイズマン伍長入ります。失礼します。」そこでは、何か必死で書き物をしているシュタイナーと、くつろいで何かに没頭しているミハエル、ガルシア。その雰囲気にどうして良いかと立ちつくすバーニィ。「どうした?椅子にかけたまえ、ワイズマン伍長。」「はい。」バーニィが椅子に腰掛けると同時に、「よし、では作戦の説明に入る。」と説明を始めるシュタイナー。「作戦って?」バーニィが疑問を投げかけた時、いつのまにか、ミハエルとガルシアもテーブルを取り囲むように座っていた。「待ってください。作戦って一体?」エンブレムをバーニィに放り投げるシュタイナー。そのエンブレムを見るバーニィ。「特務部隊?」「本日より君は我が部隊に編入された。隣がミハエル、向こうがガルシア、俺が隊長だ。飲み込めたかな?」「はぁ、少し。」と返すしかないバーニィ。「少し?」「言葉が不明瞭な奴だな。はっきりしない奴は死ぬぞ。」と前置きされ、そのまま作戦が説明される。バーニィの任務は偽装した民間の貨物船を、サイド6の港につけることである。バーニィの何とも間抜けな質問を軽くいなしながらもシュタイナーは本作戦を「ルビコン計画」と名付け、本日23:00よりの発動を宣言する。

アルは、先生に呼出を受けていた。前回の一斉テストの成績が芳しくなかったためだ。落ち込むアルを励ます友達。だが、アルの落ち込みはそう簡単に直るものでは無かった。家でも、落ち込むアルを心配する母親。だが、「そろそろテストの結果、返ってくるんじゃないの?」という問いかけにギクっとするアルであった。
部屋に戻り、ベッドに寝ころぶアル。上空に飛び立つザクの姿が思い出される。「そうだ。」と窓を開け、こっそり家を抜け出そうとするアル。「こら!」という声に思わず「ごめんなさい」と謝るアル。その声の主はクリスだった。アルはクリスに適当な嘘をつき、母親には内緒にしておくことを念押しする。黙っている代わりに今度は私も混ぜてくれると言うクリス。「本当はね、」と言いかけるアル。だが、バーニィの「このことは、秘密だぞ」という言葉を思い出し、「女は混ぜちゃいけない決まりになっているんだ。」と嘘をつき、走り去るアル。
アルは被弾し、墜落したバーニィのザクのところにたどり着いた。懐中電灯一つで辺りをうろつき、そしてザクによじ登るアル。「武器は回収されちゃったみたいだな。」と言いながらもザクの探検を続けるアル。何かに躓き、懐中電灯を落としてしまう。「くそ。」と同時にアルの回りが明るくなる。どうやらアルはザクのコクピットに落ちたらしい。光りが点る計器類にわくわくするアル。「こいつ、まだ生きてる。」アルはバーニィからもらった階級章を胸につけ、一人満足そうに笑っていた。

そのころ、バーニィの特務艦がサイド6に向け発進した。作戦が開始される。モビルスーツ戦が繰り広げられる宙域を突っ切るバーニィの貨物船。バーニィの必死の呼びかけに、サイド6のドックが開く。「やったぁ」首尾良くバーニィの偽装艦はサイド6の港に入り込んでいた。
最初のうちは担当官の尋問をうまくかわしていたバーニィ。ところが信任状不足とのことで、荷物検査が行われそうになる。焦り始めるバーニィ。そこに荷物を受け取るため、先に潜入していたシュタイナー達が現れる。シュタイナーのねじ込みでどうにか荷物の搬入に成功。トレーラーで荷物の移動を急ぐ、シュタイナー達。
そこに寝坊し、急いでいたアルが飛び出してくる。トレーラーを止め、「この野郎、死にてーのか、このガキ。」と怒鳴るバーニィ。アルはその見覚えのある顔に視線を止めた。バーニィもそれがアルだということに気づき、すぐさまトレーラーを出発させる。アルはそのトレーラーを追いかけ始める。ちょうど信号待ちで遅れたガルシアの運転するトレーラーのデッキにしがみつくアル。
「来た。ジオン軍がこのコロニーに来た。来てくれたんだ。はははは。」
第3話 虹の果てには? トレーラーにしがみつき、中身は何かと思いを巡らせていたその時、トレーラーは左折。あまりにも急に曲がったため、予期していなかったアルは、放り出され、歩道の茂みに落下する。走り去るトレーラー。アルが茂みから出てきた時には、もうその姿は無かった。
アルは、警察署に行き、そのトレーラーの目撃情報を話す。なんとしてもトレーラーの居場所を知りたいアル。だが、警察官はアルの相手をしようとはしない。アルは投げ出された時に出来た肘の擦り傷と、おしりの上辺りのあざを見せ、これはひき逃げ事件だと粘る。仕方なく動く警察。パトカーに乗せられ、トレーラーの到着地点へと向かうアル。
ついにトレーラーが並ぶ倉庫へとたどり着く。呼び鈴のブザーを鳴らす警官。シュタイナーが応対に出る。怪しまれないようにするため、すぐにシャッターを開けると返答するシュタイナー。ばれた時に備え、背中で銃を準備するミハエル。同じくいつでもナイフで襲えるよう、準備するガルシア。緊張した顔をするバーニィ。開くシャッター。その先の人影を見て、バーニィは「しまった」という顔をする。そう、そこには警官とアルの2人が立っていたからだ。社長という演技でシュタイナーが応対する。
「あの表にあるトレーラー、あれはお宅の車かね?どうなんだ。」
「うちで借りているものですが。」
「2・3、尋問させてもらおうか。」入ってくる警官。「やっちまおうか」という素振りを見せるミハエルだが、「駄目だ」という合図を送り、ミハエルへ動かないように指示するシュタイナー。
「坊や、こっち来な。君をはねた人がこの中にいるかね。」
その言葉を聞く、慌てた素振りのシュタイナー。「ちょっと待ってください。はねたなんて何かの間違え・・」そのシュタイナーの言葉を遮り、アルへ確認を促す警官。「あんたには聞いとらん。坊や、いるかね。」
「えーとね。あのおじさん。あの人が僕をはねた。」ガルシアの方を指さすアル。
ガルシアに迫る警官。「くそガキ。」つぶやくガルシア。顔には冷や汗が流れる。
「今朝6時。どこにいた?」「港から、車でここに向かってましたがね。」「ルートは?どこを通った。」「ブループラノ通りから38番街を抜けました。」
アルを睨み付けるバーニィ。アルは意地が悪そうな笑みを浮かべる。
「なるほど。あの子の証言と一致するな。」「冗談じゃない。あのガキ、嘘をついているに決まっている。」「まったく、なんか怪しいねぇ。隠し事をしているみたいだ。コンテナの中を見てみたくなった。調べさせてもらおう。社長さんよ、開閉スイッチはどれだい?こっちに来て開けてくれないか。」その言葉に銃を後ろに構えたミハエルが動く。「わ、私がやります。開けるにはカードが必要なんです。」
その時、タイミングを計ってアルが思いっきり叫ぶ。「わぁー。」驚くみんな。その後嘘泣きをしながらバーニィにしがみつく。「うわぁー、お兄ちゃん。」「一体どうしたんだ。」近寄ってくる警官。「お兄ちゃん、僕のこと忘れちゃったの?」「アル?お前アルか?大きくなったなぁ。」「お巡りさんごめんなさい。ひき逃げなんて嘘なんです。父さんと母さんが離婚して、お兄ちゃんに会えなくなって。。街でトレーラーに乗ったお兄ちゃんを4年ぶりに見つけて、それで探して欲しくて嘘ついたんです。この傷も転んでつけたんで、車なんて関係ないんだ。ごめんなさい。」「本当か?」あきれたようにバーニィに尋ねる警官。「ええ。アル、駄目じゃないか。お巡りさんに嘘なんかついて。」アルを叱るような演技をするバーニィ。「ごめんなさい、お兄ちゃん。」

警官が去り、今度は本当にバーニィに怒られるアル。警官の力を頼らないと、この場所を突き止めることができなかったと言い訳をするアル。「どうするつもりだったんだ。」アルを怒鳴りつけるバーニィ。「仲間に入れてもらう。」「仲間?戦争ごっこやっているんじゃないんだぞ。」「ごっこじゃない。」
そんなやりとりを聞きながら、ガルシアがシュタイナーに耳打ちする。「大尉、ガキ、どうします?」アルの方に動くシュタイナー。「アルフレッド君だったね?」「おじさん隊長でしょ?僕も仲間に入れてよ。ジオン軍の兵士に。僕兵隊になりたいんだ。」「仲間に入れてもいいが条件がある。」「条件?」「うん。まず私たちのことを誰にもしゃべらない。」「約束するよ。誰にもしゃべらない。」「もう一つ。君が撮影したビデオについて聞きたいんだ。」アルは地図を示しながら、ビデオを撮影したのが8番ポートであること、そして8番ポートに運ばれた荷物は12ブロックにたいてい運ばれることをシュタイナーに説明した。アルを誉めるシュタイナー。そしてシュタイナーはアルの胸に、特務機関のエンブレムをつける。そのエンブレムを見て無邪気に喜ぶアル。シュタイナーはアルをバーニィに送らせる。つまりはバーニィをアルの監視役としたということであるが。。

バーニィはエレカーでアルを送り届けながら、戦争のことを話してやる。戦争の厳しさを実感したアル。
家に戻り、こっそり自室に戻ろうとしたところを母親にばれ、早速お小言をもらうアル。エンブレムが盗聴マイクとなっており、その母親のお小言を聞きながら苦笑するバーニィ。
母親が婦人会に出かけ、一人自室で宿題を片づけているアル。そこに外から叫び声が。「パパ、ママ、早く警察へ電話して。泥棒を捕まえたわ。」窓を開けて外の様子をうかがうアル。そこにはバットを構えたクリスと、倒れているバーニィの姿があった。
「バーニィ。」「アル、こいつあなたの家に忍び込もうとしていたのよ。」「その人、僕の兄さんなんだ。」「兄さん?お兄さん。」
「ママ、電話はなし。」そう叫び、バーニィの瞳孔を調べるクリス。「良かった、まだ生きてる。」
クリスの家に招待されたバーニィ。アルのお兄さんの嘘にうまく話を合わせ、クリスの両親と談笑する。父親がクリスは気が強く、連邦軍に入ってしまったという嘆きを聞き逃さなかったアル。「クリス、軍人だったの?」「データを集める仕事なの。銃を取って戦う訳じゃないわ。」「バーニィは本物の軍人なんだぜ。」そのアルの言葉にたじろぐバーニィ。「いえ、もう、除隊しました。今は予備役ですから。」「それでこのコロニーに戻ってらしたのね。じゃ、お勤めもこのコロニーで?」「工場で機械関係の仕事をやっています。」アルをにらむような視線を送るバーニィ。だが、アルは知らんぷり。何とかその場を取り繕ったバーニィは、クリス家を後にした。

数日後、戦争ごっこしようというチェイとテルコットの誘いを断り、アルはサイクロップス隊が詰める工場跡地に急ぐ。そこでトレーラーの中身であったモビルスーツ、ケンプファーが組み立てられているのを見るアル。ただ感嘆の声を上げ、そしてシュタイナーに話しかける。あと1機でエースなんだからバーニィの方が良いと力説するアル。だが、パイロットは既にミーシャ(ミハエル)に決まっていると言うシュタイナー。そのアルの話を聞き、バーニィをからかうミハエルとガルシア。バーニィは自分がアルに見栄を張るためついた嘘を呪い、そして悔しさでいっぱいになっていた。

その頃、クリスはニュータイプ専用ガンダム、RX-78NT-1アレックスで戦闘シミュレーションを行っていた。シミュレーションを切り上げ、コクピットから出てくるクリス。いろいろと聞いてくるメカマンに答えるクリス。「早すぎて怖いくらいよ。こんな敏感な機体、実戦で使えるの?」「パイロット次第って言ったところかな。」「私ではアレックスは使いこなせないっていう意味?」「とんがるなよ。こいつはニュータイプ専用機。あんたの腕は認めるが、ちとばかり荷が勝ちすぎる。これを扱えるのは、一種の化け物さ。ホワイトベースのパイロットに回すらしいがね。」何か腑に落ちない様子のクリス。

ケンプファーの組み立てはほぼ完了の域に達していた。調整も進んでいた。アルとバーニィは連邦の秘密基地を探るため、コロニー内を行き来する車を見張っていた。必死で双眼鏡を覗くアル。だが、バーニィはあまりやる気のない様子。アルは、この任務が成功することで、ケンプファーのパイロットがバーニィになるのではと考え、必死だった。
そろそろ時間となり、バーニィは戻ろうとアルを促す。「もうちょっと。」粘るアル。出て行くトレーラをさばく守衛。その守衛の顔にどこか見覚えがある。「あー」と声を上げるアル。それはあの8番ポートで、作業をしていた作業員の顔であった。「見つけた。見つけたよ、バーニィ。」
その建物に忍び込もうとするアルとバーニィ。コロニー公社の整備用トンネルを使い、地下から忍び込もうとする2人。たどり着くが新品のシャッターが取り付けてある。こちらからではどうやら開けられそうもないらしい。そのシャッターから、あのコンテナがここに運び込まれていることを確信する2人。基地に入り込めずふて腐れるアル。だが、バーニィは場所を突き止められただけでも良しと考えていた。
アルは諦めていない。作業用ノーマルスーツに着替え、コロニーの外壁から忍び込もうと考えた。ついに建物の地下に潜り込んだ2人。アルは勝手に狭い通気口を突き進んでいってしまう。「アル、止めろ。つかまるぞ。」というバーニィの制止も聞かずに。アルはついに基地内に忍び込んだ。細い換気口を覗きこみ、ついにガンダムが横たわっているのを発見する。背伸びをして、必死でそのガンダムの姿を写すアル。そんなアルが、近づく連邦軍兵士に気づかぬはずも無かった。。
第4話 河を渡って木立を抜けて 間一髪。連邦軍兵士の姿に気づいたアルは、自動販売機上のパイプにその姿を隠した。嬉しそうな顔をしてバーニィの所に戻ってきたアル。「アル、貴様ぁ」怒るバーニィなどお構いなしに、戦果を報告するアル。「あったよ、モビルスーツ。」何がモビルスーツだ。ジムか?」首を振るアル。「名前はわからないけど、写真に撮ってきたよ。」

バーニィ達とは別で、ガルシアはサイド6のジオン諜報部員とコンタクトをしていた。基地の場所を示した地図を入手したガルシア。その頃、バーニィとアルはエレカーの中で、写真の確認をしていた。はっきりと写っているガンダム。「ピュー」口笛を吹き、喜びを表すバーニィ。
「馬鹿野郎!」喜びの表情を浮かべ戻ってきたバーニィを待っていたのは、ガルシアのパンチだった。「てめえ、作戦をお釈迦にするつもりか?勝手にちょっかいなんか出しやがって。連邦に捕まったら一体どうする気だ。え?ガキの遠足じゃないんだぞ。」「2人ともそこら辺で止めておけ。」シュタイナーの止めの言葉が入り、またミーシャになだめられようやく落ち着くガルシア。シュタイナーは、ガルシアにコスチュームの注文のため酒場へ向かわせ、バーニィにはアルを家に送るよう指示した。
家に着いても起きないアル。アルを抱え、バーニィはクリスの家の呼び鈴を鳴らす。クリスにバーニィを託し、クリスの家を後にしようとするバーニィ。振り返り、家に入ろうとするクリスを呼び止める。「マッケンジーさん。あのぉ、次からはワイズマンじゃなくて、バーニィでいいです。」「私もクリスと呼んでください。お休みなさい。」「お休みなさい。」車に向かうバーニィ。「クリス。」とつぶやき、嬉しそうに走っていくバーニィ。

サイクロップス隊が動き出した。気づかれぬように次々と仕掛けを作っていく。そのころアルはジオンのモビルスーツを落書きしていた。クラスメートに敵のモビルスーツを書いてどうするんだと言われるアル。サイド6では先日、ジオン国籍の船を追い出す決定をしたばかり。ジオン軍はすっかり敵としてコロニー内に定着していた。アルはジオンが敵ではないということをテルコットやチャイに同意を求めたかった。が、2人もジオンは敵だと考えている様子。ジムが弱っちいとなじるアルだが、一番強いのはガンダムだと言われてしまうアル。つっかかるアル。どうしてもジオンびいきになるアルに対し、チャイ達が絡んでくる。そこに席に着きなさいと文句を言うドロシー。チャイは「そうかお前達、できてたのか。」とアル、ドロシーの2人をからかい始める。「でしゃばり。」ドロシーに文句を言おうとした瞬間、「先生来たわよ。」のドロシーの声。始まる授業。アルは何も言えず、ただ前を向く。

シュタイナーは、ジオンの諜報部員として潜入していた酒場のマスター(チャーリー)と落ち合い、話をする。Gの位置を突き止めるための囮だとシュタイナーに告げるチャーリー。だが、シュタイナーはとうにそのことに気づいていたようだった。「やはりな。」とだけ答えるシュタイナー。「補充兵を頼んだら新米を送ってくるし、脱出用の船は自前で見つけろと来た。気づかん方がおかしいさ。指揮官連中は別の手を打っているんだろう。」シュタイナーに頼まれていたコスチュームを渡すチャーリー。「俺だったら逃げるがね。この戦争はもうすぐ終わる。」「ジオンは負けるな。」「ああ。」「このコロニーは良い所だな、チャーリー。」そう言葉をかわし、別れる2人。

アルはバーニィと話していた。こないだの写真はガンダムの新型であることをアルに告げるバーニィ。アルは先ほどチャイ達から聞いたガンダムのことを思い出す。ガンダムは強いのかと尋ねるアル。バーニィは、楽勝と言いたいところだが、五分五分だと強がりを言う。でも素直にガンダムは強いんだとがっかりするアル。バーニィはクリスのことが気になる様子。クリスが自分のことを何か言っていなかったかとアルに尋ねるが、特に何も言っていなかったと聞き、残念そうな顔になる。何か情報が聞き出せないかなぁと思ってと取り繕うバーニィ。何か聞き出せるかやってみると言うアル。

連邦軍施設、ガンダムの基地、爆薬設置場所などの確認、作戦の段取りを再確認するサイクロップス隊の面々。いよいよ作戦決行を明日18:00とし、装備の確認を行うバーニィとガルシア。防弾チョッキを着るのも初めてのバーニィを励ますかのように話しかけるガルシア。「バーニィ。隊の中で俺より階級が低いのはお前だけだ。威張れる相手がいなくなると困る。死ぬんじゃねえぞ。」そのガルシアの気遣いが分かり、微笑みで返すバーニィ。その時電話が鳴る。電話の相手はアルだった。アルはクリスに頼んで、基地と思われる建物近辺を見学できるように手はずしたのだった。ところがその手配した日が明日だということを知り、頑固として反対し始めるバーニィ。アルは理由も無く反対されたことに腹立たしさを覚えるのであった。

クリスマスでにぎわうサイド6内。サイクロップス隊のガンダム奪取・破壊作戦が開始された。その頃、アルは結局バーニィの言うことを無視して、見学をするために連邦軍施設を訪れていた。クリスから話を聞き、ディックの歓迎を受けるアル。
基地内のコントロールセンターを奪取し、警報装置を沈黙させたガルシア。シュタイナー、ガルシア、バーニィがガンダムのハンガーに向かうその頃、サイド6の街内にケンプファーが現れていた。サイド6市街地に向け低空飛行を続けるケンプファー。
一方、ガンダムのハンガーにたどり着いたシュタイナー達であったが、バーニィのついた嘘から怪しまれ、拘束を受けるシュタイナーとバーニィ。一瞬の隙をついて、ガルシアが兵士を射殺していく。ハンガー内で始まる銃撃戦。そんな中でシュタイナーが銃弾に倒れてしまう。さらに奮戦していたガルシアまでもが。。シュタイナーを運び込み、何とか一人奮戦するバーニィ。そこに負傷したガルシアが転がり込む。シュタイナーは出血がひどく、ほとんど意識の無い状態。
そんなバーニィ達が戦っている基地に接近するミーシャのケンプファー。クリスにスクランブルがかかる。アレックスで接近するケンプファーを破壊しろという命令である。市街戦は無理と言いつつもハンガーに向かうクリス。そしてもう一人ハンガーに向かっている人影があった。ケンプファー出現で混乱しているところ、キーを奪い、基地に潜り込んだアルの姿である。
奪取を諦めたガルシア。シュタイナーをバーニィに任せ、地雷を片手にアレックスへと近づこうとする。ハンガーをのぞき込んだアル。そこにはアレックスに取り付き、地雷の設置場所を探すガルシアの姿があった。「ガルシア!」ガルシアは地雷設置前に狙撃されてしまう。最後の力を振り絞り、地雷を爆発させるガルシア。だが、アレックスは無傷。バーニィはその隙にシュタイナーを背負って脱出。また、クリスはアレックスへと乗り込む。
アレックスを狙うミーシャのケンプファー。間一髪でアレックスを動かしたクリス。ケンプファーの攻撃は交わせたものの、ケンプファーの動きについて行くことができないアレックス。「さあ来い。戦い方を教えてやる。」あらかじめ用意しておいたトレーラーより、地雷をつなぎ合わせたロッドを取り出すケンプファー。それをアレックスの体に巻き付ける。一つが爆発し、次々と誘爆する地雷。ぼろぼろになったチョバムプレートの装甲が崩れ落ちる。やったと思いこむミーシャ。だが、落ちた装甲の下には、全く無傷のアレックスの本来の装甲が現れた。驚くミーシャ。立ち上がるアレックス。アレックスのガトリング砲の餌食になるケンプファー。クリスが弾を撃ち尽くした頃、既にケンプファーは動かぬ鉄くずとなっていた。その瞬間、前もってガルシアが仕掛けておいた爆弾が爆発、コロニー外壁に穴が開き、空気の流出が始まる。
アレックスとケンプファーの戦いを見ていたアル。ケンプファーが負けたショックで、そこから走り去ろうとするアル。その時、銃を構えた連邦軍の軍人と鉢合わせる。それは、負傷したシュタイナーを背負い、エレカーで脱出しようとするバーニィの姿だった。
第5話 嘘だと言ってよ、バーニィ グラナダ。キリングの命令で核弾頭を搭載したミサイルが準備されていた。条約違反という名目でキリングを止めようとする基地司令。だが、キリングは司令を射殺。キリングの独断で、サイド6への核ミサイル発射準備が進められていた。

一方、サイクロップス隊によるアレックス爆破が失敗したサイド6。クリスは破壊したケンプファーの近くで警察の尋問を受けていた。刑事はクリスに、昨夜森に逃げ込んだジオン兵2名の心当たりと、今回の襲撃が内部者の手引きによるものとにらんでいるが、それに思い当たる節があるかということを尋ねる。いずれもクリスにとっては身に覚えのないこと。刑事の尋問を突っぱねるクリス。そもそも何故サイド6にジオンが攻めてきたのかを攻め寄る刑事。刑事は、このサイド6で連邦軍がモビルスーツを開発していたからだと詰め寄る。だが、そのことは軍のトップシークレット。クリスはただ、「お答えできません。」と答え、刑事の問いを突っぱねる以外、術が無かった。さんざんな嫌みを言い、去っていく刑事。クリスはただ、悔しさでいっぱいであった。

街中。人々は未だ逃走中のジオン兵におびえている様子。アルはハンバーガーをバーニィに届けようとしていた。が、瓦礫の中から発見された子供の死体を見ているうちに、自分がやっていたことに恐怖を覚え、そこから逃げるように走り去った。
荷物をまとめているバーニィ。その近くには十字架が立っていた。アレックスの破壊に失敗し、エレカーで走り去る際、既にシュタイナーは事切れていたのである。そして偽パスポートを受け取った時、チャーリーからは、クリスマスの夜までにガンダムが破壊できない場合、グラナダの艦隊がサイド6に向け、核攻撃を行うとの情報を聞いていた。チャーリーはバーニィに早く逃げろと忠告を繰り返していた。そのことを思い出し、考えにふけっていたところにアルがハンバーガーを持って現れた。先ほどの死体を見て落ち込んでいるアル。バーニィがハンバーガーを勧めても食べようともしない。
バーニィはアルに話を切り出す。
「俺は今日中にこのコロニーから脱出する。」「ええ?逃げるの?」「ああ、そうだ。」「なんで?あいつは?連邦のモビルスーツはどうするの?諦めちゃうの?」「気持ちは分かるが、時には逃げるのも男としてだなぁ。」「大丈夫だよ、まだ。それにこのままじゃ死んじゃった人は?」「俺の話を聞け。あと3日、クリスマスの晩までにガンダムを始末できない場合はグラナダの艦隊が来る。核爆弾を使って、コロニーごとぶっつぶす作戦なんだ。」「じゃあ。」「このコロニーは確実に破壊される。もうどうにもならん。お前もここを離れるんだ。母さんと旅行に行くとか。」
興奮して立ち上がるアル。「でも。クリスマスまでにあいつを倒しちゃえばいいんだろう?」「出来る訳ないだろう。」「大丈夫だよ、バーニィなら。」「出来ないの。あんな化け物、どうやりゃ倒せるんだ。」「新型だっゆったって、ちょっと速いだけだろ。あのザクだって修理すれば。」「修理してどうするんだ。お前が動かすのか?」「ええ?」「俺はな、モビルスーツなんて1機も落としたことがないんだ。」
バーニィににじり寄るアル。「あと1機でエースだって言ったじゃないか。」「言わねぇよ。」「言ったよ。」「俺はただのひよっ子で、みんなのお荷物だ。ただ連れてこられただけなんだよ。」「嘘だ。バーニィはあいつが怖くなったんで嘘をついているんだ。」「ああ、怖いね。怖くない方がどうかしている。臆病とでもなんとでも言えよ。」立ち上がったバーニィは、アルに背を向け、歩き始める。
「待ってよ。」「うるせえぞいい加減に・・」バーニィに抱きつき、今まで言ったことが嘘だと願うかのように強く言う。「バーニィ!本当は強いんだろ!あいつをやっつけられるんだろ。」
バーニィはアルの胸から、特殊部隊のエンブレムを外し、ちぎって中身を見せる。「見ろ、盗聴マイクだ。お前が俺たちのことをばらすんじゃないかと思って、こいつで盗み聞きしていたんだ。仲間の印なんて嘘っぱちだ。生きたかったら逃げるんだ、アル。な。このコロニーから脱出しろ。」アルにほおに優しく手をやるバーニィ。首を横に振るアル。「他のみんなはどうなるの?ガンダム、僕たちでやっつけようよ。そうすれば・・・」「俺は逃げると決めたんだ。」意志の固そうなバーニィの顔。アルは急に悲しくなった。
「バーニィの馬鹿!」走り去っていくアル。だが、バーニィも追おうとはしない。戻ってくるアル。アルはバーニィからもらった階級章を投げつける。「警察へ行って、話すからね。」「そんなことしたら死刑だぞ。お前だって、同罪なんだから。」走り去っていくアル。バーニィは悔しそうに木の幹を叩く。

クリスは、破壊された瓦礫の中で、小さな宝石箱を見つける。改めて被害の大きさに悔しさを噛みしめるクリス。そこにアルが通りかかる。「アル!」アルを呼び止めるクリス。
クリスと一緒に歩くアル。そんなアルの姿を見て、話しかけるクリス。「どうしたの?何か心配事?」「うーん、別に。」「何でも相談に乗るわよ。」「うーん?」「ねっ、そういえばバーニィどうしたの?最近見ないわね。」「知るもんか、あんな奴。」「どうしたの?」アルの前に回り込んで、アルの顔をのぞき込むクリス。
「あのね。もしも、もしもね。宇宙艦隊が攻めてきて、このコロニーが潰されちゃうとしたら、クリス、どうする?」
「戦うと思うわ。」
「えっ?逃げないの?」
「そうね。逃げないと思うわね。」
「怖くないの?」
「怖いでしょうね。でも、怖いのには耐えられるけど、独りぼっちになるのは耐えられないから。」
「独りぼっち?」
「お母さんやお父さんやアル、それに友達。私の大切な人がみんな死んじゃって、私だけが生きているってこと。自分だけ逃げても、一人じゃ生きていけないもの、私。」
「やっぱり逃げるっていうのは卑怯なことなんだね。」
「そうじゃないの。私が戦うとすれば、結局は自分のためよ。自分が独りぼっちになるのが怖いから戦うんだと思うの。でも、それは私の生き方。逃げることもその人の生き方。どっちが正しいとか間違っているとか、誰にも決められないことなのよ。戦えばそのために人が死んでいくわ。でも戦わなくとも死んでいく。正しいことなんてどこにもない。自分に出来ることをするしかないんだわ。関係ないことしゃべっちゃたかな?ごめん、ごめん。」
「ううん、ありがとう。」走り去っていくアル。「ね、バーニィに会ったらよろしく伝えて。」去っていくアルに呼びかけるクリス。

バーニィはサイド6から出るため港にやってきていた。適当な行き先を言い、チケットを買うバーニィ。
アルは破壊された学校に来ていた。工事中の学校内に入ろうとするアル。だが、工事関係者につまみ出される。そこに同じようにつまみ出されるチェイやテルコットを見つける。2人に話しかけるアル。チェイやテルコットは、「今日の収穫」と空薬莢をアルに見せる。引きつった笑いを見せるアル。アルはこの2人とももうすぐお別れだと思うと悲しさでいっぱいになるのだった。「そんな顔すんなよ、アル。お前にもやるから。な。」「アル、どうしたんだ。」「泣くなよ。元気だせよな。」「こんなのいくらでも落ちているから、な。」とにかく笑い始めるアル。「そうだよ、笑うんだよ。」それにつられるようにチェイとテルコットも笑い始める。時折泣きながら。

アルは勇気を出し、すべてを打ち明けるべく、警察署に来た。だが、アルの話を信じてくれる警官は誰もいない。「本当なんだよ。本当にクリスマスの日にジオンの艦隊が。」だが、こないだのひき逃げの件で、全く信用されず、警察署の外に追い出されてしまう。

港のバーにクリスらしき姿を見つけ、近寄ってみるバーニィ。だが全くの別人。バーでウィスキーの水割りを頼む。勘定を支払おうとすると、そこにはアルから突き返された階級章が出てくる。一瞬、動きの止まるバーニィ。だが、その階級章をポケットに押し込み、一人、ウィスキーを飲む。その近くで、先ほどクリスと間違えた女性が、別れ話の電話をしていた。その話を聞きながら、バーニィはアルと過ごした日々を思い出していた。何かを決意したかのような顔をするバーニィ。

アルは母親より、父親がクリスマスの日に帰ってくることを告げられる。てっきり離婚するものだと思っていただけに嬉しいと思う半面、クリスマスはジオンの艦隊が攻めてくる日であり、複雑な心境のアル。
一人ベッドの上で考え込むアル。「父さんが帰ってくる。父さんまで死んじゃう。みんな死んじゃうんだ。」ふさぎ込むアル。そこに母親が入ってくる。「電話よ。バーニィって人から。」「ああ。」すぐさま電話口に降りていくアル。
「もしもし、もしもし、バーニィなの?バーニィ?」
「ああ、俺だよ。」
「バーニィ、あのね、さっきはごめんなさい。お願いだよ。僕たちを助けて、バーニィ。」
「ああ、そのつもりだ。」
「本当?」
「ああ、あいつを倒すために、もう一度攻撃をかけることにした。手伝ってくれるか?」
「うん。もちろんだよ。ありがとう、バーニィ。2人でやればきっとうまく行くよね。」
「ああ、うまくいくさ。」
「大好きだよ。バーニィ。」
「馬鹿野郎。」
最終話 ポケットの中の戦争 バーニィとアルはザクの修理を始めた。機外からのバーニィのチェックに、コクピット内でモニタリングするのを手伝うアル。「直せるの?」「もちろん。」「ガンダムやっつけられる?」「楽勝!」その言葉にアルはガッツポーズをし、帽子をかぶる。その帽子には、バーニィの階級章がきちんと貼られている。
ザクを修理するため、工具は購入し、ザクのパーツはジムの残骸から盗めば良い。そして武器はミーシャが置いていったトレーラーの中に入っている。まずバーニィ達は、そのトレーラーを引き取りに行こうとする。が、1台は連邦軍が既にレッカー移動していた。残るはもう1台。だが、こっちもまさにこれから、連邦軍兵士が取り調べようとしているところだった。近くに停めた車より様子をうかがうバーニィとアル。「いい考えがある。」と言ったのはアル。連邦軍の兵士が乗ってきたジープを、鉄パイプで殴りながら、「連邦軍は出て行け!父さんを返せ!」と暴れ回るアル。近寄る連邦軍兵士。「お前達が父さんを殺したんだ!連邦軍が基地なんか作るから、戦争が起こって。」嘘泣きするアル。「父さんを返してよ。。」アルをなだめている間にトレーラーを持ち去るバーニィ。連邦軍兵士が振り返ると、もうトレーラーは無かった。
トレーラーの中身はヒートホーク1丁にハンドグレネード12発。アルのお手柄と誉めるバーニィ。だが、飛び道具をなんとしても入手したいと考えていた。ガンダムに接近する前にやられる可能性が高いからだ。「盗めない?」と聞くアルに「そいつは難しいな。」と答えるバーニィ。「何かいい手がありゃぁな。」そのとき、車のフロントガラス越しにサンタクロールのアドバルーンが目に留まる。「あれだ。」「いい考えが浮かんだの?」「ああ、すごいのをな。」「聞かせて。」
夜、アドバルーンの貸し出し会社に忍び込むバーニィとアル。倉庫よりアドバルーン2体と拝借する。「この発煙筒と風船を使って罠を仕掛けるんだ。場所は連邦軍基地の近くの森がいい。」「どうして?」「あそこなら他人を巻き込む心配がないだろう。」「そうか。で、次はどうするの?」「ガンダムを誘い込んで不意打ちをかける。そうすりゃヒートホークでも勝てる。ひっ、楽勝だな。これは。」

そして、数日。罠を仕掛け、破壊されたジムより部品を盗み、ついにバーニィのザクは直った。故障箇所が無くなりオールグリーン表示のスクリーン。喜びいっぱいのアルとバーニィ。
ついにクリスマス前日。車中よりクリスマスパレードを眺める2人。だが、アルは浮かない顔。「情けない顔をすんなよ。明日親父さんが帰って来るんだろう?」「だって、一緒に戦えないなんて。。。本当に手伝えることはもうないの?」「戦いの方は、俺一人で十分だよ。明日のお前の任務はこれだ。」アルに箱を渡すバーニィ。「この包みを届けて欲しいんだ。」「どこに届けるの?」
「ディスクに指示が入っている。作戦が失敗したら。。俺が死んだら、そのディスクを見て、俺の命令通りに行動しろ。大事な仕事だ。頼むぞ。」「バーニィが死んだら。。」「万が一の時の用心だ。まあ、使う必要は無いだろうがな。明日2時、ガンダムをやっつけて、このコロニーを守ってみせるさ。」

アルを家まで送り届けたバーニィ。「いいクリスマスをな、アル。」「バーニィもね。」「お休み。」車のドアに近寄るアル。「バーニィ、死なないよね。勝てるよね。」「もちろんさ、まかせとけって。ほら。」アルの頭をなでるバーニィ。「お休み、バーニィ。」名残惜しそうに車を離れ、家に向かうアル。バーニィはクリスの家を眺める。そして何かを振り払うかのように車を発進させた。
アルは、自室のベッドの上で祈りを捧げる。「神様、お願いをかなえてください。もう二度といたずらはしないと誓います。本当です。約束します。カエル殺して遊ぶの止めます。ヘビやトカゲを女の子の机に入れたりしません。だから、だからお願いです。バーニィをお守りください。このコロニーを、みんなの命をお救いください。アーメン。」

翌日、父親を空港に出迎えに来ているアルとその母親。アルは時計を見る。13:54。「もうすぐ出撃の時間だ。」アルは心の中でそうつぶやく。その頃、バーニィはザクのコクピット内で操縦桿を握りしめていた。
父親と共に空港から降りるケーブルカーの中、父親は母親に話をしている。「船のすぐ近くで戦闘が起きてね。ジオンの船が沈んでいくのが窓から見えた。こちらも危ないとこだったよ。連邦軍に降伏したジオン艦には核ミサイルを積んでいたものもいるらしい。」「まあ、核兵器を積んでいたなんて。」その言葉を聞いて、ハッとした顔になるアル。「連邦軍の調査では、リーアの方に進路を取っていたらしいが、なんでも中立のこのコロニーで・・アル、どうした、アル。」アルは丁度着いた途中駅で下車。一目散にバーニィの元へ走り出した。もう、核攻撃の心配は無いということを知らせるために。「もう戦う必要はないんだ。バーニィを止めなきゃ。」
バーニィのザクは一直線に連邦軍基地めざし、進んでいた。スクランブルのかかる連邦軍基地。クリスはアレックスに急いでいた。近くの連邦軍基地への支援要請は断られ、アレックス単独での戦闘に踏み切らざるを得ない状態。残弾も十分とは言えない。「マッケンジー中尉、出撃だ。」「了解。」

ホバーで進むザクの眼前に現れるアレックス。右腕のバルカンを撃つも、バーニィのザクはそれをかわす。アレックスに目もくれず、そのまま通り過ぎるザク。「どうした、追ってこないのか?」アレックスはその後を追い始める。「ようし、いい子だ。」森に誘い込むバーニィ。平地で戦えという命令を無視して、森で戦うためにザクを追うクリス。
発煙筒で煙る森の中、斜面を登っていくザクを見つけ、その後を追うアレックス。罠をしかけたところまで行き、ヒートホークを構え、アレックスを待つバーニィ。その森の中を、バーニィに知らせようと走るアル。「バーニィ。」
アレックスのタイミングを図り、ボタンを押すバーニィ。箱が破裂し、膨れあがるアドバルーン。そのアドバルーンを撃つアレックス。その銃弾がアルの近くをかすめていく。「バーニィ、逃げるんだ。」続いてもう1つのアドバルーン。思わずそれを撃つクリス。
「こ・これは。」
そう言った瞬間、煙の中より現れるザク。攻撃するアレックス。何発かはザクの装甲を貫き、そしてバーニィのいるコクピットをも襲った。一方、ザクのヒートホークはアレックスの右腕のバルカンを叩き落とす。そしてさらにアレックスのコクピットを切り払う。コクピットが破壊され、負傷するクリス。
ザクのヒートホークと、アレックスのビームサーベルによる白兵戦が始まる。「止めてぇー」と叫ぶアル。だが、声は届かない。もつれ合いながら斜面を滑り落ちていく2体のモビルスーツ。それを追うアル。躓き、転げ落ちていく。そこにバーニィの仕掛けた爆薬が爆発する。その爆風にもあおられるアル。アルの眼前で繰り広げられる戦闘。再び起きあがって、バーニィのザクを追う。「バーニィ、もう戦わなくていいんだ。」

森から出て、市街地で対峙する2機。ヒートホークが光り、そしてビームサーベルのビームが再び集束する。近づく2体。その真ん中に向かって走るアル。だが、その目の前で決着がつく。ザクのヒートホークはアレックスの顔をなぎ払ったが、アレックスのビームサーベルはザクのコクピットを貫いていた。爆発するザク。吹き飛ばされるアレックス、そしてアル。

アルは呆然としていた。遠くで聞こえる緊急車両のサイレン。「アレックス中尉は?」「生きてます。気を失っているだけです。」「ザクに乗っていた奴は?」「バラバラに吹っ飛んじまってる。ミンチよりひでえよ。」アルに近づく連邦の兵士。「坊や、大丈夫か?こんなところで何をしている。」揺らされるアル。我に戻るアル。アレックスから運び出されるパイロットに目が奪われている。「ああ・・」それはアルがよく知っているクリスだった。そのまま放心状態になるアル。「大丈夫か?おい?」

「アル、いいかい?よく聞いてくれ。この包みの中には俺の証言を収めたテープや、証拠の品が入っている。このコロニーが核ミサイルの目標になった訳を知る限りしゃべった。もし、俺が死んだら、これを警察に届けてくれ。大人が本当だと信じてくれたら、このコロニーは救われると思う。俺が直接、警察に自首しようかと思ったんだが、なんて言うかそうするのは逃げるみたいに思って、ここで戦うのを止めると、自分が自分で無くなるような。。。連邦が憎いとか、隊長達の仇を討ちたいとか、いうんじゃないんだ。うまく言えないけど、あいつと、ガンダムと戦ってみたくなったんだ。ふふ、俺が兵士だからなのか理由はよく分からない。アル。俺はたぶん死ぬだろう。そのことで連邦軍の兵士やガンダムのパイロットを恨んだりしないでくれ。彼らだって、俺と同じで、自分がやるべきだと思ったことをやっているだけなんだ。無理かもしれないけど他人を恨んだり、自分のことを責めたりしないでくれ。これは俺の最期の頼みだ。もし、運良く生き延びて、戦争が終わったらさ、必ず、このコロニーに帰ってくるよ。会いに来る。約束だ。これでお別れだ。じゃあな、アル。元気で暮らせよ。クリスによろしくな。」

うなされていたアルは母親に起こされる。「夢見てたんだ。何時なの?今?」「8時半くらい。」窓を開ける母親。日差しがアルの部屋に入ってくる。「今日はいいお天気よ。神様が新学期を祝っているみたい。」父親がいることを除き、アルにとっては以前と代わり映えの無い1日が始まる。年は変わり、戦争は既に無くなっていた。アルは、帽子をかぶって家を出て行った。その帽子にはバーニィからもらった階級章が貼ってある。「行ってきます。」静かに出かけるアル。「大人になったんじゃないか?落ち着きが出てきた。」父親の言うとおり、アルは静かに学校へ向け歩き出した。そのアルを待っていたかのように、右腕をつったクリスが近づいてくる。
「アル!」走り寄ってくるクリス。「間に合ってよかったわ。私ね、地球に転任することになったの。」
「行っちゃうの?」
「ちゃんと会ってお別れを言いたかったの。驚かせちゃった?」無言のアル。「バーニィにも挨拶をしておきたかったんだけど、アルから伝えてくれる?私がよろしくって言ってたって。」
「うーーん、バーニィもさ、きっと、きっと残念がると思うな。」悲しそうにうつむくアル。
「アル。」アルの左頬に優しく口づけするクリス。「さよなら、アル。」「さよなら、クリス。」

始業式。平和が訪れたという校長の話に飽きている様子のチェイとテルコット。だが、アルは涙が流れてきてしょうがない。それに気がついたドロシー。「アル、どっか痛いの?先生呼んでくるから待ってて。」先生を呼びに行くドロシー。「アル、泣くなよ。戦争はまたすぐ始まるって。今度はさ、もっともっと派手で、楽しくてでっかい奴だぜ。きっと。」と励ますチェイ。「そうだよ。そしたらさ、薬莢なんかじゃなく実弾も拾えるしさ、ひょっとしたら軍隊のレイションくれるかもしんないぜ。」と続くテルコット。そこにドロシーに連れられた先生がやってくる。

宇宙世紀0080。連邦軍とジオン公国が終戦協定を結び、サイド6にも平和が訪れた。


2005. 1.10 Update

HomePage Back-IDX