機動戦士ガンダムSEED

題名・内容
 
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PHASE-40〜50(その4)

機動戦士ガンダムSEEDの題名及び内容概略一覧です。

地球連合軍を離反し、オーブ首長国につくアークエンジェルを襲うアズラエルと3機のガンダム。
オーブを後にして、再び宇宙に戻ったアークエンジェルを待っていたのは。


PHASE-40 暁の宇宙へ オーブに対する連合軍の攻撃が再開された。会談要求の返答をもらえぬまま戦闘状態に入ってしまったことに、怒りを隠せないウズミ。アークエンジェルの中でも緊張が走る。アスランはキラのもとに駆けより、「この状況ではどのみちオーブに勝ち目はない。わかってるんだろ。」答えるキラ。「うん、たぶん、みんなも。でも勝ち目がないから戦うのを止めて言いなりになって、そんなことできないでしょ。大切なのは何のために戦うかで、だから僕も行くんだ。本当は戦いたくないけど。戦わなきゃ守れないものもあるから。」フリーダムのコクピットに向かうキラ。「ごめんね、アスランありがとう。話せてうれしかった。」発進していくフリーダム。そこにアスランの後ろからディアッカが話しかけてくる。「まいったね。お前、あれの奪還命令受けてるんだろ。やっぱまずいんだろな?俺たちザフトが関係しちゃよ。」「だが、俺はあいつら、あいつらを死なせたくない。」「珍しく、いや初めて意見が合うじゃんかよ。」
オルガ、シャニ、クロトはフリーダムとジャスティスを探していた。そこに単身現れるフリーダム。幸いと攻撃を始める。そこにアスランのジャスティスが援護に加わる。「けちらすぞ。」再び協同するフリーダムとジャスティス。そしてアークエンジェルの援護に加わるバスター。
カガリは悪化する状況に対して今でも飛び出して行きそうな勢い。だが、キサカはそれを抑え、指揮官として成長しろとたしなめる。一方、ウズミは施設の放棄を決定する。
海底にはクルーゼが乗る潜水艦がオーブ軍と連合軍の戦いをモニタリングしていた。連合軍の3機のガンダムのデータを収集し、適当にカーペンタリアに帰投するように命じるクルーゼ。一緒にいたイザークはこの状況が腑に落ちない様子。「あの中に入って戦いたいか」とからかうクルーゼ。イザークはフレイのことを逆に問いただす。だが、戦争は何も戦いだけで終わらせるのではないとイザークにとってはあまりはっきりとしない答えを返し、立ち去っていくイザーク。
戦闘中のアークエンジェルに対し、ウズミからカグヤ、つまりマスドライバー施設があるところへ降りるよう、通信が入る。キラ、アスランの方は、カラミティ、フォビドゥン、レイダーの各ガンダムがエネルギー切れで撤退したため、一息をつける状態になっていた。アークエンジェルとともに戦域を離脱する。カグヤに降りたアークエンジェルを待っていたのは、オーブからの離脱命令であった。ウズミはオーブが無くなるのは時間の問題であるが、失ってはいけないものがあるという説得をし、ブルーコスモス盟主、アズラエルと、コーディネータ筆頭のザラ議長との永久の戦いに陥ることを恐れ、その打破をラミアス達に託しての決断であった。
宇宙への脱出準備が進むアークエンジェル。そんな中で苦渋の選択を迫られるアスランであった。ラクスの言葉を思い出していたアスランはキラにこう話す。「ザフトのアスランザラか。彼女は分かってたんだな。国、軍の命令に従って敵を討つ、それでいいんだと思っていた。仕方ない、それでこんな戦争が1日でも早く終わるならと。でも俺たちは本当は、何とどう戦わなくちゃいけなかったんだ。」微笑み、答えるキラ。「一緒にいこうアスラン。みんなと一緒に探せばいいよ。それにさ。」
エネルギー補充の終わったカラミティ、フォビドゥン、レイダーの3機がカグヤに接近していた。宇宙への離脱準備が終わったアークエンジェルは発進準備に、やや手間取るクサナギを援護するために、フリーダムとジャスティスが出撃することになる。空中戦では不利なディアッカのバスターはアークエンジェルで待機任務。カガリはウズミ達みんなで脱出することを望み、ウズミを説得していたが、ウズミに強引にクサナギに連れて行かれる。「思いを継ぐ者は泣くな。なぜそれがわからんぞ。」クサナギに待つキサカにカガリを渡すウズミ。「そんな顔をするな。オーブの獅子の娘が。父とは別れるがお前は一人ではない。兄妹がおる。」カガリに写真を渡すウズミ。母親と2人の赤ん坊を抱く写真。裏をみるカガリ。そこに書かれている文字は、Kira Cagalli。驚くカガリ。うなずくウズミ。「そなたの父で幸せであったよ。」クサナギのハッチが閉まる。「行け、クサカ。頼んだぞ。」
クサナギがマスドライバーの上を走り始める。フリーダムとジャスティスは3機のガンダムの攻撃を防ぎながら、クサナギに取り付こうとする。やや遅れるジャスティスであったが、フリーダムに引き寄せられ、無事クサナギに取り付く。マスドライバー上から無事射出されるクサナギ。
「民は飛んだ。これでよい。オーブも世界も、奴らの良いようにはさせん。」スイッチを押すウズミ。マスドライバー、オーブの軍事各施設が火につつまれる。「おとうさまー。」 
PHASE-41 ゆれる世界 宇宙空間に出たアークエンジェルとクサナギ。クサナギはドッキング作業を終了し、巨大な戦艦となっていた。カガリは落ち着きを取り戻したものの、まだ自室で落ち込んでいた。カガリの部屋を訪ねるキラとアスラン。涙を流しながらキラに抱きつくカガリを悲しそうな目で見つめるアスランであった。
ラミアスとフラガはクサナギを訪れていた。今後の航路についての相談である。物資補給、特に水の補給のためにL4コロニーへ移動しようと提案するキサカ。アスランはザフト時代にL4コロニーを調査し、数機のコロニーが生きているとの情報を渡す。L4コロニー行きは事実上決定。そんなアスランに対して、フラガはその態度を問う。
「しかし、本当にいいのか?君は。むろん君だけじゃない。もう一人の彼もだが。オーブでの戦闘は俺だって見てるし、状況が状況だしな。着ている軍服にこだわる気はないが。だが俺たちはこの先、状況次第ではザフトと戦闘になるときもあるんだぜ。オーブの時とは違う。そこまでの覚悟はあるのか?君はパトリック・ザラの息子なんだろ?」
口を挟むカガリ「誰の子だって関係ないじゃないか。アスランは。」
反論するかのように答えるフラガ「軍人が自軍を抜けるっていうのは、君が思っているよりずっと大変なんだよ。ましてやそのトップにいるのが自分の父親じゃ、自分の大儀を信じていなきゃ戦争なんてできないんだよ。それがひっくり返るんだぞ。そう簡単にいくか?彼はキラと違って、ザフトの正規の軍人だろ。悪いんだけどな。一緒に戦うのなら、当てにしたい。いいのか?どうなんだ?」
ゆっくりと口を開くアスラン「オーブ、いえ、プラントでも地球でも、見て聞いて思ったことはたくさんあります。それが間違っているのか正しいのか、何が分かったのか分かっていないのか、それすら今の俺にはよく分かりません。だが自分が願っている世界はあなた方と同じだと、今はそう感じています。」
それを聞き答えるフラガ「しっかりしているねぇ。君は。キラとは大違いだ。」「昔からね。」「俺たちがオーブから託されたものは、大きいぜ。こんなたった2隻で、はっきり言ってほとんど不可能に近い。それでもいいんだな。」アスランの代わりに答えるキラ「信じましょう。小さくても、強い火は消えないんでしょ。」「プラントでも同じように考えている人がいる。」「ラクス?」「彼女は今、追われている。反逆者として。私の父に。」
プラントでは、ラクス・クラインが反戦のメッセージを放送していた。それを打ち消そうとするザラ議長。そしてザフトはついにラクスの父、シーゲルを発見、殺害する。ザラ議長はまだ、放送を続けているラクス・クラインの存在に苛立ちを覚えていた。ザラ議長の演説放映を消すクルーゼ。「ラクス・クラインにはザラ議長もよほど手を焼いているようだ。よもやそのことで我らにも帰国命令が出た訳ではなかろう。」イザークはまだラクスが反逆者としては信じられない様子。「そう思う者がいるからこそ、彼女を使うんだよ。クライン派は。君たちがそんなことでどうするね。様々な人間の思惑が絡み合うのが戦争だ。何と戦うのか、見誤るなよ。」
ビクトリア基地での連合軍、ザフトの戦争は、連合軍の勝利で収拾。連合軍はマスドライバーを手に入れることになった。そこに投入されたのがアズラエルの持つガンダムと、サザーランドのストライク・ダガー部隊。アズラエルはオーブで戦っていた、ジャスティス、フリーダムを何とか入手したいと考えていた。アズラエルはあの機体に核エネルギーを使っているのではないかと密かに考えていた。アズラエルは決着をつけるため、カラミティ、レイダー、フォビドゥンの3機とともに宇宙に上がろうとしていた。
キラは、クサナギからアークエンジェルに戻ろうと考えていた。それをアスランに話そうとしていたとき、入ってくるカガリ。「キラ、話があるんだ。」気を利かせて、その場から立ち去ろうとするアスランを止めるカガリ。「いろって、いや、居てほしい。」カガリはキラに、父親から託された写真を見せる。「これ」「写真?誰の」「裏」キラはそこに書かれた名前を見て驚く。「カガリ?」「クサナギが発進するとき、お父様が渡されたんだ。お前は一人じゃない。兄妹もいるって。」驚きを隠せないキラ。「どういうことだ。」「そんな、僕だって、そんな。」アスランが思わずしゃべる。「双子?」
アズラエルが大気圏を抜け、宇宙に出ていた頃。クルーゼも同じようにシャトルを発進させようとしていたところであった。シャトル内ではなかなか席に着こうとしないフレイに対し、イザークがいらついた様子で声を浴びせる。「速く座れよ。」その言葉で恐る恐るクルーゼの隣に座るフレイ。「怖がることはない。私のそばにいれば安全だよ。私がちゃんと君を守る。だから安心したまえフレイ。」クルーゼの姿に亡き父親の姿をダブらせるフレイであった。クルーゼのシャトルも宇宙に向け発進する。
キラは先ほどの写真の件が気にかかり、クサナギを離れづらくなっていたが、黙々と発進準備を続けていた。先ほどの会話を思い出す。「とにかく、ごめん。これだけじゃ全然わかんないよ。」「この赤ちゃんを抱いている人は?」首を横に振るだけのカガリ。そして泣き出してしまう。「お前と兄妹って、じゃあ私は。」「今は考えてもしょうがないよ、カガリ。それにそうだとしても、カガリのお父さんはウズミさんだよ。」デッキにいるカガリを見ながら話しかけるアスラン「キラ、連れて行ってやった方が良くないか?」「いや、一緒にいると、かえって考え込んじゃいそうだし。」「そうか。」フリーダムとジャスティスを発進させる2人。
クサナギを出た瞬間、ジャスティスの手がフリーダムの肩に触れる。「キラ、アークエンジェルへ戻ったら、シャトルを1機借りられるか?」「アスラン?」覚悟を決めたかのようなアスラン。「俺は一度、プラントに戻る。父と一度ちゃんと話がしたい。やっぱり。」「アスラン、でも。」「わかっている。でも、俺の父なんだ。」「わかった、マリューさん達に話すよ。」「すまない。」
地球軍、月面基地。数十隻の戦艦にアークエンジェルの同型艦がある。ある一室に現れるナタル。「第7起動艦隊、ナタル・バジルール少佐参りました。」「うん、君にアークエンジェル級2番艦、ドミニオン、艦長を命じる。」  
PHASE-42 ラクス出撃 シャトルでプラントに向かおうとするアスラン。アスランはディアッカに戻らなかったらジャスティスに乗ってくれと頼むが、ディアッカにはすぐに断られてしまう。そこにアスランを追ってきたカガリが現れる。「アスラン、何?お前どうして?何でプラントなんかに戻るんだよ。」カガリはアスランがなぜ、プラントに戻り、父と話さなければならないのか納得がいかなかった。「ごめん」「ごめんじゃないだろう。だってお前、あれ、置いて戻ったりしたら。」「ジャスティスはここにあった方がいい。どうにもならないときは、キラがちゃんとしてくれる。」「そういうことじゃない。」「でも、俺は行かなくっちゃ。」「アスラン。」「このままにはできないんだ。俺は。」「カガリ。」カガリとアスランの間に入ってくるキラ。「キラ?」「わかるだろう。」シャトルでアークエンジェルを離れるアスラン。キラはシャトル護衛のため、アークエンジェルをフリーダムで離れる。
ザラ派とクライン派に分かれ、混沌としているプラント。ザラ議長の元には、クルーゼがオーブで集めた情報、つまりフリーダムがオーブの為に戦っていたという情報が報告されていた。ザラはそのことで、あの戦いで生き残っていた、バルトフェルドと話し合いをしていた。一矢報いたいとザラに話をするバルトフェルド。一方、イザークは新型モビルスーツ、ゲイツを見に来ていた。だが、今一つ気に入らない様子のイザーク。クルーゼもフリーダム、ジャスティスの情報をとりまとめながら、何かをたくらんでいる様子。
ラクスの方には、エザリア・ジュール(ラクス派)の演説で混沌となっている街の様子が入っていた。そろそろ動いた方が良いであろうという言葉に何かを決意するラクス。「分かりました。時なのでしょうね。私たちも行かねばならない。」
アスランとキラはプラントにかなり接近していた。「キラ、そろそろヤキン・ドゥーエの防衛網にひっかかる。戻ってくれ。」「わかった。じゃあこのへんで待機する。」待機という言葉に少し驚いた様子のアスラン。「いや、戻ってくれ。」その言葉に何かの覚悟を感じたキラ。キラは答える。「アスラン、君はまだ死ねない。わかってるね。」「君も、僕もまだ死ねないんだ。わかってるね。」「わかった。覚えておく。」「忘れないでくれ。」単身、プラントに向かうアスラン。「こちら国防委員会直属、特務隊、アスラン・ザラ。認識番号285002。ヤキン・ドゥーエ、応答願う。」身柄を保護されたとの報は、すぐにザラ議長に届けられた。ザラ議長の部屋へ案内されるアスラン。人払いをするザラ。「どういうことだ?何があった?ジャスティスは?フリーダムはどうした?」「父上はこの戦争のこと、本当はどうお考えなのですか?」「なんだと」「俺たちは、一体何時まで戦い続けなければならないんですか。」「何を言っておる。そんなことより命じられた任務をどうしたのだ。報告しろ。」「俺はどうしても、ちゃんと一度父上にそれをお聞きたくて、戻りました。」「アスラン、貴様。」
「ラクス様」ラクスにパソコンを差し出す。ノートパソコンをのぞき込むラクス。アスラン帰還の情報をつかんだ様子である。「まあ、これはいけませんはね。どうにかできまして。」
「いい加減にしろ。何もわからん子供が、何を知った風な口をきくか。」アスランを罵倒するかのうような口ぶりをするザラ。「何もお分かりでないのは父上なのではありませんか。アラスカ、パナマ、ビクトリア。撃たれては撃ち返し、撃ち返してはまた撃たれ。今や戦火は広がるばかりです。」「一体どこでそんな馬鹿げた考えをを吹き込まれてきた。あの女、ラクス・クラインにでもたぶらかされたか。」「そうして力と力でただぶつかりあって、それでこの戦争が本当に終わると、父上は本当にお考えなのですか。」「終わるさ。ナチュラルどもが全て滅びれば戦争は終わる。」その言葉に驚いた顔をするアスラン。「言えアスラン。ジャスティスとフリーダムをどうしたのだ。返答によってはお前とて許さんぞ。」アスランを鷲づかみにするザラ。「父上、本気でおっしゃっているのですか?ナチュラルを全て滅ぼすと」「これはそのための戦争だ。我らはそのために戦っているんだぞ。それさえも忘れたか?お前は。」アスランを突き飛ばし、アスランに銃を向けるザラ。「父上。」「この愚か者が。くだらんことを言っってないで答えろ。ジャスティスとフリーダムは?答えんと言うのならお前も反逆者として捕らえるぞ。」近衛兵に囲まれ、銃口に囲まれるアスラン。ウズミの言葉を思い出すアスラン。「アスラン」「うぉー」ザラに向かって突っ込むアスラン。銃声。撃たれたアスランは流血した腕を押さえながら横たわっていた。「殺すな。これにはまだ聞かねばならぬことがある。連れて行け。ジャスティス、フリーダムの所在を吐かせるのだ。多少手荒でも構わん。」連行されるアスラン。「見損なったぞ。アスラン。」「俺もです。」思い出すキラの言葉。「君はまだ死ねない。わかってるよね。」護送車に乗せられる直前、突如暴れ出すアスラン。アスランはクライン派の兵士に助けられ、辛くもその場から脱出する。
エターナル。ブリッジでバルトフェルドの放送。「あーこれより本艦は最終準備に入る。」その言葉とともにクライン派の搭乗員が、ザラ派の兵士を外へと連れ出す。アスラン逃走の報を受け、緊急配備をひかせるザラ議長。アスランはクライン派の兵士とともにエターナルへの合流を急いでいた。エターナルが突如命令なしで動き出そうとしているのをキャッチ。ゲートの暗証コードが変えられ、デッキを出られなくなったエターナルは、主砲でゲートを破り、強行発進。アスランを乗せたシャトルもエターナルに無事収容される。
その報を受けたクルーゼのヴェサリウス。追撃命令を受けるがクルーゼはヤキンの部隊に任せることにした。「しかし傑作だな。ザラ議長殿。」
エターナルのブリッジで再会するアスランとラクス。「よう、はじめまして」アスランに向かって挨拶をするバルトフェルド。
ヤキンの部隊展開の情報を聞く、アスラン達。「この艦にモビルスーツは?」「生憎出払っててね。この艦はジャスティスとフリーダムの専用運送艦なんだ。」ラクスはバルトフェルドに通信回線を開くことを要求する。「全チャンネルで通信回線を開いてください。」「了解。」始まるラクスの呼びかけ。「私はラクス・クラインです。願う未来の違いから、私たちはザラ議長に敵対するものとなってしまいましたが、私はあなた方との戦闘を望みません。どうか船を行かせてください。そして皆さんももう一度、私たちが本当に戦わなければならないものが何であるかを考えてみてください。」だが、なおも近づくヤキンの部隊。始まるエターナルとヤキンの部隊との戦闘。
防ぎきれないミサイル。「ミサイル当たります。」緊張が走るブリッジ。その時に現れるキラのフリーダム。フリーダムの迎撃行動により、エターナルは救われる、エターナルへの通信で驚くキラ。そのブリッジに乗っていたのが、ラクスとあの砂漠の虎、バルトフェルドだからである。「よう、少年。助かったぞ。」「バルトフェルド、さん?」
アークエンジェル・クサナギが入港していたL4コロニーに入港するエターナル。「初めまして、というのも変かな。アンドリュー・バルトフェルドだ。」「マリュー・ラミアスです。しかし、驚きましたよ。」「お互い様だ、な。少年。」キラに話しかけるバルトフェルド。「あなたには僕を撃つ理由がある。」「戦争の中だ。誰にでもそんなものあるし、誰にだってない。」「ありがとう。」
「いつも傷だらけだな。」腕をつったアスランに話しかけるカガリ。「石が守ってくれたよ。」「そっか、よかったな。しかしあんなもんで飛び出してくるとはね。すごいなぁあの娘。」ラクスの方に目をやるカガリ。カガリはキラと話していた。「いいのか?お前の婚約者だろ?」「もと・・ね。俺は馬鹿だから。」「まあ、今気づいただけ、いいじゃないか。でもキラも馬鹿だと思うぞ。うん。やっぱコーディネータでも馬鹿は馬鹿だ。しょうがないぞ。」「そうか・・。そうだな。」
「父が死にました。」こらえきれず、キラの胸に飛び込んでくるラクス。「ラクス。」優しく答えるキラ。思わず目を背けるカガリ。そしてその様子を複雑な心境の顔で見つめるアスラン。
PHASE-43 立ちはだかるもの 月面基地。ドミニオンを使っての模擬実戦訓練を続けるナタル。乗員の反応の遅さに一喝するナタル。そんなときに艦隊司令部より連絡が入る。ドミニオンに接近するフォビドン、レイダー、カラミティ。そしてブリッジに現れたのはアズラエルであった。3機のモビルスーツのオブザーバーとしての着任である。「よろしく艦長さん。」「はあ、ナタル・バジルール少佐であります。しかし。」「しかし僕らの乗る船の艦長さんがこんなに若くて美人な方とは、粋な計らいというやつですか?」「ご心配なく。彼女は優秀です。代々続く軍人家計の出でね。それにここに配属になる前は、あのアークエンジェルで副長の任に就いていた。」「おや?勝手知ったるってやつですか。期待しますよ。僕ら、これからそのアークエンジェルを撃ちに行くんですから。」
クルーゼはヤキン・ドゥーエのエターナル追跡情報を受信した。エターナルが逃げ込んだのはL4コロニーだと予測されることをキャッチするクルーゼ。「L4コロニーですか。やはり。困ったものですなぁ。妙な連中が根城にしたり、今度のように使われたり。」「クライン派がさほどの規模とは思えん。厭戦気分というやつか。軍内部もだいぶ切り崩されていた様だ。何が出るやら。」「バルトフェルド隊長には私もお会いしたことがありますが、よもや彼らとは。」「口のうまい陽気な男だ。ザラ議長も、まんまとそれに一杯食わされたのだろう。奇跡の生還のヒーローだしな。」「そのとばっちりを受ける我々もたまりませんよ。」「しかたあるまい。世の中はそうそう頭の中で引いた図面通りにはいかんもさ。ましてや人が胸の内に秘めた思惑などは容易にわかるものではない。」イザークに問うクルーゼ、「イザーク、今度会ったらアスランは敵だぞ。撃てるか?」「無論です。裏切り者なぞ。」
疲れた様子で椅子に腰掛けるクルーゼ。フレイが声をかける。「疲れているのですか?」「私とて生身の人間。」と答える。「我らとて何も初めから軍人だったわけではない。早く終わらせたいと思うのだがな。こんなことは。君もそう思うだろ。」フレイに尋ねるクルーゼ。そしてCDを手にしながら、言葉を続ける。「そのための最後の鍵は手にしたが、ここにあったのではまだ扉は開かん。早く開けてやりたいものだ。」
アークエンジェルのブリッジで当面の問題を話し合うみんな。ビクトリアから上がってきている地球軍の動きを心配するラクス。「プラント総攻撃というつもりですかね。」答えるラミアス。「元々、それをやりたくてたまらない連中ですからね。青き正常なる世界の為に。」茶化すバルトフェルド。「何でコーディネータを討つのが青き正常なる世界の為なのか。この青き正常なる世界っていうのが何なんだか知らんが、プラントとしちゃそんな訳のわからん理由で討たれるのはたまらんわ。しかしプラントもナチュラルなんか既に邪魔者だって風潮だしな。トップは。当然、防戦し、反撃に出る。二度とそんなことのないようにってね。それがどこまで続くんだか。」「でもそうしてしまうのも、止めるのも人間なのです。何時の時代も。私たちと同じ思いの人もたくさんいるのです。作りたいと思いますわね。そうでない時代を。」バルトフェルドの言葉に続けるラクス。
カガリは、モビルスーツに一人物思いにふけっていたアスランを見つける。「こんなとこにいたのかよ。お前、頭ハツカネズミになってないか?一人でグルグル考えてたって同じってことさ。だからみんなで話すんだろ。ちゃんと来いよな。」「すまない。」右腕の包帯に目がとまるカガリ。「痛いのか?」「痛いよな。お父さんに撃たれたんじゃな。」アスランは思い詰めた考えを吐き捨てるように話す。「俺は父を止められもしなかった。今さらながら思い知る。俺は何もできない。俺は何も分かってなかったと。」すかさずフォローするカガリ。「そんなのみんな同じさ。分かった気になっている方がおかしい。お父さんのことだって諦めるのは早いさ。まだこれから、ちゃんと話ができるかもしれないじゃないか。」突然、カガリは父親、ウズミを失っていたことを思い出すアスラン。「だからこんなところで一人うじうじしていないで。」カガリを抱くアスラン。「ごめん」「ごめんってお前?」「だから、ごめん。」
ナタルが乗るドミニオンはL4コロニーに向かっていた。アズラエルは既にプラントから、フリーダム、ジャスティスの2機がこのコロニーに入り込んでいるという情報をつかんでいた。しかしそんな情報が当てになるのかとL4コロニー行きを賛成していないナタル。「フリーダム、ジャスティス。それが例の2機のコードネーム。それ絡みでナスカ級が3隻、L4に向かっているっていうんですよ。本当だったらおしまいでしょ。。あのね、いいですか?あなたは確かにこの船を指揮する艦長さんかもしれない。けどね、その上にはもっとこの戦争全体を見ながら、考えたり指揮したりする人間がいるんですよ。僕の要請を聞くようにって言われたでしょ。そこんとこ忘れないようにしてほしいものです。」
エターナルが持ち出してきた補給物資を整理するフラガのストライクと、M1。フラガは訓練ついででの作業である。エターナルが専用運用艦であることを重視し、キラとアスランはエターナルへの移動をする。エターナルが最終調整をしている最中に近づくドミニオン。アークエンジェルを確認したとの知らせを聞き、複雑な心境のナタル。「じゃあ始めてください。船は沈めちゃって構いません。僕がほしいのは例の2機のモビルスーツだってこと。」そう言い、3機のモビルスーツの準備を言い渡す。
アークエンジェルでもドミニオン接近を感知。ラミアスは総員第一戦闘配備を言い渡す。直撃を受けるL4。ラミアスはアークエンジェルを発進させる。キサカもクサナギを発進させる。エターナルは調整に手間取っており、ドック内で待機。
ナタルはラミアスと交わした昔の言葉を思い出していた。そして思い立ったように通信回線を開け、呼びかける。「こちらは地球連合軍宇宙戦闘艦、ドミニオン。アークエンジェル聞こえるか?本艦は反乱艦である貴艦に対し、即時の無条件降伏を要求する。この命令に従わない場合は、貴鑑を撃破する。」その声がナタルであることに動揺するアークエンジェルの乗組員達。そして捕らえた光学映像がアークエンジェルと同型艦であることに更に動揺するブリッジ。そこにナタルの画像が入ってくる。「お久しぶりです、ラミアス艦長。」「ええ。」このような形でお会いすることになって残念です。」「そうね。」「アラスカでのことは自分も聞いています。ですが、どうかこのまま降伏し、軍上層部ともう一度話を。私も及ばずながら弁護いたします。本艦の性能はよくご存じなはずです。」「ナタル、ありがとう。でもそれはできないわ。アラスカのことだけではないの。私たちは地球軍そのものに対して疑念があるのよ。よって降伏、復隊はありません。」それを聞いて笑い出すアズラエル。「どうするものかと聞いていたが、あきれますね艦長さん。言って分かればこの世に争いなんてなくなります。分からないから敵になるんでしょ。そして敵は討たねば。」「アズラエル理事。」ナタルの言葉にはっとなる一同。「カラミティ、フォビドゥン、レイダー、発進です。浮沈艦アークエンジェル。今日こそ沈めてさしあげる。」ドミニオンを発進するフォビドン、レイダー、カラミティ。アークエンジェルより、それに呼応するかのようにフリーダム、ジャスティス、ストライク、バスターも発進。フリーダムとジャスティス対3機のモビルスーツ同士の戦闘が始まる。ナタルは戦況を見ながら、ミサイルを的確な指示で命令する。「そんなあさっての方向でミサイルを撃ってどうするんです?」疑問を言うアズラエル。「分からないなら黙っていてください。」冷たくその言葉を遮るナタル。
バスターとストライクが目がけてくるストライクダガーを破壊している最中、アークエンジェル左舷についていたクサナギがL4コロニーの残骸から出ていたワイヤーのようなものに絡まり、身動きがとれなくなってしまっていた。それを見つけたシャニはフォビドゥンをクサナギに向かわせる。それを追うアスランのジャスティス。
そんなときクルーゼのヴェサリウスがL4の空域に到着。クルーゼは自分とイザークがコロニー内部から潜入し、情報を収集することを決意する。
アークエンジェルはドミニオンを見失っていた。その隙をついて、後方の上空より現れるドミニオン。「回避。」「ゴットフリート撃て。」そのゴットフリートに反応して、先ほどナタルが放っておいたミサイルが突如動き始める。キラが気づき、ミサイル迎撃を行おうとするが、間に合わずアークエンジェルに直撃。「いや、すごいね君。」うなるアズラエル。「これくらいの戦術、お褒めいただくほどではありません。」ドミニオンに接近するフリーダム。「あれを鹵獲すればいいんですね。」「うん、そう。」「ではカラミティとレイダーを。バリアント、ゴットフリート、照準敵モビルスーツ。撃て。」フリーダムはドミニオンとカラミティ、レイダーの攻撃により、危険な状態に陥る。
ヴェサリウスを発進するクルーゼとイザーク。そのクルーゼの気を感じるフラガ。「この感じ、まさか。」戦場から急に離脱する。「おい、おっさん。」フラガに話しかけるディアッカ。「おっさんじゃない。ザフトがいる。」ストライクとバスターはL4に戻る。
ドミニオンの攻撃にはまっていくフリーダム。「フレンチハマー、照準。敵モビルスーツ。撃て。」フリーダム正面に迫るミサイル群。  
PHASE-44 螺旋の邂逅 キラはSEEDを発動させ、全てのミサイルを撃破する。だが、その背後を襲うレイダーの鉄球。さらにカラミティの攻撃、レイダーによる波状攻撃で劣勢に立たされる。レイダーの激しい動きによろけるフリーダム。そこにオルガのカラミティがビームを放つ。アスランもSEEDを発動。そのビームをシールドで受け止め、カラミティにまで押し戻す。破壊されるカラミティ。
「ああ、おしい。何やってるんです?ほら、どんどん撃ってくださいよ。」アズラエルはナタルをけしかける。「この状況では友軍機に当たります。」「当たったって大丈夫ですよ。トランスフェーズ装甲なんですから。」そこにアークエンジェル接近。アークエンジェルはドミニオンに向け攻撃を開始する。
 
ストライクとバスターはL4コロニーに戻ってきた。エターナルをかすめて行く2機。バルトフェルドが問い合わせをすると、ディアッカが答える。「ザフトが居るっていうんだ。あいつが。ともかく確認してくる。」エターナルの発進準備を急がせるように指示するラクス。コロニー内ではクルーゼの乗るゲイツと、イザークの乗るデュエルガンダムアサルトシュラウドが偵察行動を行っていた。そこでクルーゼが何かを感じる、同様にフラガもだ。「来るぞ」2人が同時に感じたそのとき、クルーゼ、イザーク、フラガ、ディアッカ4人が鉢合わせになる。戦闘が始まる。「ほう、今度は貴様がそれのパイロットか。ムウ・ラ・フラガ。」「新型か?この装備じゃ。」
 
「お前、お前、お前」シャニは怒り狂ったようにジャスティスに対し、ビームを連発。自分のシールドを傷つけたジャスティスを許すことができなかったのである。そんなときアストレイによるワイヤー切断に成功したクサナギも、ようやくドミニオン追撃を再開。近寄るストライクダガーを、M1アストレイが撃破していく。
「貴様、よくもディアッカの機体で。」イザークはバスターにディアッカ本人が乗っているとはまだ、夢にも思っていなかった。フラガとクルーゼの戦いも続いていた。久しぶりの戦いを楽しんでいるかのような2人。
クサナギ接近を感知したナタルは撤退命令をする。驚くアズラエル。「ここまで追いつめたのに?」「3機のパワーも危険です。撤収しなければ敗退しますよ。」確かに3機のパイロット、エネルギーともに限界に達していた。「そういうからには、今引けば次は勝てるんでしょうね。」「ここで戦死されたいのですか。」撤退の信号弾をを発射するドミニオン。諦めきれないシャニ。しつこくジャスティスを攻撃しようとするが、オルガに止められる。「今は引くんだよ。また、苦しい思いをしたいのか。」ラミアスは撤退するドミニオンを見ながら「さすがに引き際も見事ね。」とつぶやく。戦い終えた、フリーダムに近寄るジャスティス。アスランはキラに話しかける。「あのパイロット達。」「オーブの時も感じたけど。」「ちょっと正規軍とは思えないな。」「それに、ナチュラルでもないみたいだ。」
 
ドミニオンは去ったものの、クルーゼとフラガの戦いはまだコロニー内で続いていた。「ふん、なかなかやるじゃないか。」「貴様、今日こそ。」アークエンジェルは、ディアッカとフラガを何度も呼び出そうとするが、通信が全く届かない。「このナチュラルが。」バスターにビームサーベルを振り下ろそうとするイザーク。「貴様なんぞに。」イザークの攻撃をただ防ぐのみのディアッカ。そして通信でイザークに話しかける。「イザーク。」驚くイザーク。対峙するバスターとデュエル。「ディアッカ。。」「ディアッカ、本当に貴様なのか。」「ああ、そうさ。」「それが、なぜ?ストライクと共にいる。どういうことだ。生きていてくれたことは嬉しい。が、事と次第によっては貴様でも許さんぞ。」そこにコロニー内の探索に出ていたフリーダムのキラ連絡が入る。「ディアッカ。」イザークは、フリーダムの機体を見て、依然圧倒的な強さで迎撃された時のことを思い出した。フリーダムを攻撃しようとするイザーク。その前に立ちはだかるディアッカ。「イザーク止めろ。キラも。」フリーダムに向きを変えるバスター。「ここは俺に任せてくれ。」「わかりました。でも、僕とアスランのようにはならないでくださいね。」立ち去るフリーダム。バスターのコクピットを開けるディアッカ。「銃を向けずに話をしよう。イザーク。」

戦い続けるクルーゼとフラガ。「貴様に撃たれるならそれもまた、と思ったが、ここで。」ゲイツの蹴りで装備を失うストライク。「だがどうやら、そんな器ではないようだ。しょせん子は親に勝てんということかな。」フラガはアサルトナイフでストライクを突っ込ませる。が、クルーゼの攻撃の前にストライクは片手を破壊され、そしてコクピット内で発生した爆発のため、フラガは脇腹を負傷する。墜落するストライク。「やはり運命は私の見方だ。何?」そこにフリーダムが現れる。「ムウさん。」クルーゼのゲイツはフリーダムにより破壊され墜落。「ちぃ。」クルーゼは機体を捨て、ある施設の方へ走っていく。それを見てクルーゼを追うフラガ。銃撃戦をしながらフラガに言うクルーゼ。「今日こそつけるかね、決着を。」「あの野郎、何を。」「ならば来たまえ。引導を渡してやるよ。私がな。」脇腹を押さえながら、施設に入ったクルーゼの後を追うフラガ。「ムウさん。」キラもフリーダムを着陸させ、2人の後を追う。
 
イザークとディアッカは機体を着陸させ、話し合おうとしていた。「イザーク。」歩み寄ろうとするディアッカ。しかし即座に銃を構えるイザーク。「敵のそんな言葉を信じるほど、俺は甘くない。」「俺はお前の敵か?」銃を構えながら、疑問を感じるような素振りを見せるイザーク。

キラは施設の入り口で、隠れながら様子を伺っていた。そこに突如鳴り響く銃声。「ここがなんだか知っているか。」聞こえるクルーゼの声。「知るか、この野郎。」叫び、答えるフラガ。「罪だな。君が知らないというのは。」そこにキラの叫び声、「ムウさん。」「キラ。」答えるフラガ。

アークエンジェル、クサナギ、エターナルはドミニオンを警戒しつつも、反対側のドッグにいるザフトの動きを探っていた。アストレイで戻ったアサギにより、ナスカ級3隻が停泊していることはわかった。「ちっ、ナスカ級3隻とはまた豪勢な。フラガ達が何か情報を持ち帰るか?くそっ、誰の部隊だ。」苛立った様子で話すバルトフェルド。「クルーゼ隊です。」冷静に答えるラミアス。「だから、ムウにはわかったんだわ。彼にはわかるのよ。何故だかは、自分でもわからないと言うことだけど。ラウル=クルーゼの存在が。」

「君まで来てくれるとはうれしい限りだよ。キラ・ヤマト君。」「そうか、君がフリーダムのパイロットか。」フラガの元に近寄るキラ。「なんで来たんだ。」「このまま外で待つなんてできませんよ。マリューさんになんて報告すればいいんです。」「け、生意気。」フラガの脇腹に気づくキラ。「ムウさん、その傷。」「いや大したことない。それよりお前。付き合うならセーフティ外しとけ。」フラガに言われ、初めてそれに気づくキラ。あわてて銃のセーフティを外す。「さあ遠慮なく来たまえ。始まりの場所へ。キラ君。君にとってもここは生まれ故郷だ。」その言葉に動揺を見せるキラ。「ひっかかるんじゃない。奴の言うことなんかいちいち気にするな。」
 
再びディアッカとイザーク。「敵となったのは貴様の方だろうが。」ディアッカの言葉に答える。「俺は敵になった覚えはねえよ。」「ふざけるな。貴様も裏切り者だ。」「プラントを裏切ったつもりはない。」「何だと。」「けど、ただ、ナチュラルを。」「黙って群の命令に従って、ただナチュラルを全滅させるつもりもないということだ。」
 
生命プラントがある場所に紛れ込んでしまったキラとフラガ。「なんだ、ここは?」慎重に歩を進める2人。胎児のようなものが入っているカプセルに気を取られるキラ。そこにキラの頭を押さえ込むフラガ。銃の着弾がすぐそばであった。キラを伏せさせ、応答するフラガ。「懐かしいか?キラ君。君はここを知っているはずだ。」その言葉のする方向へ、駆け寄るフラガ。「知っている?僕が?」考え込みそうなキラ。フラガが入り込んだ部屋には「Prof. Ulen Hibiki M.D. ,Ph.D」のプレートが掲げてあった。
 
ドミニオンでは、ナタルがアズラエルに直談判をしていた。「どうしてもお聞き入れいただけませんか?ここは援軍を要請して待つなり、いったん引き上げ、陣容を立て直すなりして出直すところです。それを。」やれやれという感じで答えるアズラエル。「しつこいね、君も。そんなことをしてたら、ザフトにしてやられちゃうじゃないか。奴らももうじき動けるようになるからさ。」そういうアズラエルの先にはシャニ、オルガ、クロトがベットの上で苦しんでいる。

部屋に入り込もうとするフラガは銃のマガジンを変え、その機会をうかがう。隙をつき入り込んだものの、銃弾を腕に当ててしまう。「ムウさん。」キラが後を追うように中に入ってくる。「大丈夫ですか。」苦しそうなフラガ。「殺しはしないさ。せっかくここまでおいで願ったんだからな。」クルーゼが現れる。「全てを知ってもらうまではな。」写真立てを投げるクルーゼ。最初に投げた写真にはカガリに見せてもらった、カガリとキラが抱かれている写真が。そして次に投げられた写真は、肩車をされている子供の写真があった。それを見て思わず口に出すフラガ。「おやじ?」銃を構え、クルーゼと対峙するキラ。「君も知りたいだろう。人の飽くなき欲望の果て。進歩の名の下に狂気の夢を持たん、愚か者達の話。君もまた、その息子なのだからな。」
PHASE-45 開く扉 クルーゼの口から出た言葉。「ここは禁断の聖域。神を気取った愚か者達の夢の跡。君は知っているのか?今のご両親が君の本当の親ではないと言うことを。」動揺を隠せないキラ。「だろうな。知っていればそんな風に育つはずもない。何の影も持たぬ普通の子供に。アスランから名を聞いた時は、思いもしなかったのだがな。君が彼だとは。てっきり死んだものだと思っていたよ。あの双子、特に君はね。その生みの親でもあるヒビキ博士と共に当時のブルーコスモスの最大の標的だったのだが。だが、君は生き延び、成長し、戦火に身を投じてからもなおも存在し続けている。なぜかな?それでは私のような者でもつい信じたくなってしまうではないか。彼らの見た、狂気の夢をね。」「僕が、僕が何だっていうんですか。あなたは何を言ってるんだ。」「君は人類の夢、最大のコーディネーター。そんな願いの元に開発された、ヒビキ博士の人工子宮。それによって生み出された唯一の成功体。彼の息子。あまたの兄弟の犠牲の果てにね。」動揺を隠せず呆然とするキラ。発砲するフラガ。銃撃戦の元、その部屋を出るフラガとキラ。「しっかりしろ。彼の与太話に乗せられてどうする。」

一方、ディアッカとイザークの話合い。「ラクス・クラインに、バルトフェルド隊長。そしてアスランまでもか。なぜだディアッカ。なぜ?」

キラの帰りが遅いアスランは待ちきれなくなり、ジャスティスを出撃させようとする。だが、その発進を認めようとしないラクス。3機が戻って来ないからなおさらであり、そしてドミニオンがいることからもアスランに頼るしかないのである。

再びクルーゼが話し始める。「僕は僕の秘密を今明かそう。僕は人の自然そのままにナチュラルに生まれた者ではない。・・・」フラガは接近するクルーゼに焦りを感じていた。「・・・人類最初のコーディネーター、ジョージ・グレイン。奴のもたらした混乱はその後どこまでその闇を広げたと思う。あれから人は一体何を初めてしまったのか知っているか?」遺伝子操作で生まれた子供達、それは親のエゴが混じり、そしてあまりにも普通に生まれてくる状況とかけ離れていた。「高い金を出して買った夢だ。誰だってかなえたい。誰だって壊したくはなかろう。だから挑むのか。それが夢と望まれてかなえるために。」コーディネーターの問題は妊娠中の母胎の不安定さにあった。それを解消するが為にヒビキ博士は人工子宮を開発した。まるで子供ではなく、物を作るためのように。「人は何を手に入れたんだ。その手に、その夢の果てに。」ヒビキ博士の実験。だが、妻は自分の子供が実験の道具に使われるのが許し難くてたまらない。だが、博士の研究は進んでいく。妻はただそれを見て泣くしかなかった。「知りたがり、欲しがり、ましてやそれが何のためだったかも忘れ、命を大事といいながらもてあそび、殺し合う。」ナチュラルとコーディネーターの戦いが始まったことを示唆するかのようなクルーゼの言葉。「ほざくな。」クルーゼへ発砲するフラガ。「何を知ったとて、何を手にしたとて構わない。最高だな、人間は。」フラガに銃を発砲しながらも続くクルーゼの言葉。「そしてねたみ、苦しみ、殺し合うのさ。ならば存分に殺し合うがいい。それが望みなら。」「何を貴様ごときが偉そうに。」「私にはあるのだよ。この宇宙でただひとり。全ての人類を裁く権利がな。」話はヒビキ博士が研究資金欲しさに禁じられたクローン生成に手を染めるところに戻る。「覚えてないかな、ムウ?私と君は遠い過去。まだ戦場で出会う前、一度だけ会ったことがある。」クローンが生まれ、そのクローンに自分の全ての資産を継がせようとする紳士。自分が妻との間に設けた子供ではなく。だが、屋敷は燃え、その父も母も失ってしまう子供達。「私は己の死すが金で買えると思い上がった愚か者、貴様の父、アリダ・フラガの出来損ないのクローンなのだからな。」不敵な笑みを浮かべながら告白するクルーゼ。

ドミニオンでは、再びアズラエルの指示の元動きだそうとしていた。ナタルがアスカ級3隻がいるのに行動を起こすのは危険すぎると進言するものの、そんなことを聞く耳持たずガンダム達を発進させようとするアズラエル。

ディアッカとイザーク。「フリーダムのパイロット。あいつがストライクの前のパイロットさ。あいつもコーディネータだ。アスランとガキの頃からの友達だったよ。」「なんだと。」「俺には奴らほどの業も覚悟もねえけどさ、あいつら見て、アラスカやパナマやオーブ見て、そんでもザフトに戻って、軍の命令通りに戦うなんてこと、俺にはできねえよ。」「ディアッカ!」

ドミニオン動く。レイダー、フォビドゥン、カラミティも出撃。その動きはすぐにアークエンジェルで察知された。そしてナスカ級でもその動きを探知。

「親父のクローンだと。そんなおとぎ話、誰が信じるか。」「私も信じたくはないのだ。だが残念なことに事実でね。」「まもなく最後の扉が開く。私が開く。そしてこの世界は終わる。この果てしなき欲望の世界が。そこであがく思い上がった者達。その望みのままにな。」「許さない、そんなこと。」物陰から飛び出し、武器となる破片を取りながら向かっていくキラ。それを援護するかのように飛び出し発砲するフラガ、そして対抗するクルーゼ。弾はキラの腕をかすり、そして別の弾はクルーゼのマスクを落とす。

アークエンジェル、エターナル、クサナギはドミニオンに対抗するためL4コロニーのデッキを離れる。

「ふん、貴様らだけで何ができる。もう誰にも止められやしないさ。この宇宙を覆う憎しみの渦はな。」立ち去るクルーゼ。「おい、待て。」クルーゼを追おうとするフラガ。だが、傷のためにうまく動けない。

ドミニオンとアークエンジェルの戦闘が始まる。アスランはSEEDを発動させ、3機のガンダムに挑んでいった。ドミニオンの放ったミサイルはL4コロニーにも当たる。その震動はディアッカとイザークも感じる。「イザーク聞こえるか?行くぞ。」クルーゼから連絡が入る。ディアッカもその場から動こうとするが、イザークの銃が狙いを定める。「ザフトじゃなきゃ敵っていうんなら撃てよ。」「騙されてるんだ、お前は。」「さて、どっちかな。それは。わからねえけど、俺は行く。」バスターに乗り込むディアッカ。「できりゃあ、お前とは戦いたくないがな。」イザークを残し、バスターは発進する。
キラもフラガに声をかける。「行きましょう。立てますか?」「ああ。」キラの肩に捕まり、歩き始めるキラとフラガ。フリーダムとバスターはアークエンジェルに向かい、そしてイザークとクルーゼもヴェサリウスに戻ってきた。隊長と行って、ゲイツのコクピットをのぞき込むイザーク。だがそこにはクルーゼの姿は無かった。クルーゼは苦しみながら自室に戻ってきた。そしてカプセルをほおばる。部屋にいたフレイはクルーゼの元に近寄る。苦しみ続けながら、マスクをつけヴェサリウス発進を指示するクルーゼ。怒りを抑えきれないように一気に指示を出し、そして落ち着きを取り戻す。フレイの方を向き、「さて、君にも手伝ってもらう。最後の賭だ。扉が開くかどうかね。」と微笑みかける。

アスランの元に戦闘速度で近寄るフリーダム。「アスラン。」「キラ。」そしてバスターも戦いに加わる。そこにナスカ級のクルーゼ隊も割って入ってくる。キラはクルーゼの言葉を思い出していた。
ヴェサリウスではフレイがカプセルの中に入っていた。クルーゼの言葉を思い出すフレイ。「私は疲れた。だから届けてくれ、最後の扉の鍵を。それが地球軍の手に渡れば戦争は終わる。」フレイにMOを渡すクルーゼ。「地球連合軍艦アークエンジェル級に告げる。戦闘を開始する前に本艦で拘留中の捕虜を返還したい。」ドミニオンに連絡を入れるクルーゼ。
PHASE-46 たましいの
場所
フレイ引き渡しの通告をした後も、未だアークエンジェルとドミニオンの戦闘は止む気配が無かった。そしてフリーダム・ジャスティスとレイダー・フォビドゥン・カラミティの戦いも。ヴェサリウスからもエターナル撃沈を果たすためにイザークがデュエルで出撃していた。そしてクルーゼもシグーで出撃する。「私が出たらポッドを射出しろ。」と言い残して。ポッドの中には不安で涙を浮かべ、おびえているフレイの姿があった。そんなフレイにお構いなくヴェサリウスより射出されるポッド。
ヴェサリウスを始めナスカ級の動き、そしてジンの動きをエターナルは既に捕らえていた。ラミアスからの入電に対し、エターナルとクサナギで対処することを告げるバルトフェルド。クサナギからはジン迎撃のため、M1が発進する。エターナルに向かうイザーク。イザークには迷いがあった。先ほどのディアッカとの会話を思い出していた。ディアッカの言うことは正しいのか。。「くそっ」その邪念を振り払うかのようにデュエルを加速させるイザーク。ディアッカは接近するデュエルの存在をキャッチしていた。「イザーク。。」つぶやくディアッカ。ついにナスカ級3隻、エターナル、クサナギとの艦対攻撃が始まる。その攻撃を見てさらにおびえるフレイ。

「ナスカ級よりポッド、射出されました。シグナルも確認。」ドミニオンのブリッジでは、先ほどのクルーゼからの通信を怪しいと思っていたナタル、アズラエルがその言葉に反応していた。「一方的な通告のみでこんな宙域に?」自分の疑念を言葉に出すナタル。「どういうことですかね。撃ち落とさせたい?回収させたい?罠にしても妙ですし、どうします?艦長さん。」鎌をかけるような言葉で答えるアズラエル。「本当に乗ってるのは捕虜なんですかね?」
キラは精神状態が不安定になっていた。フリーダムをしつこく追い回すカラミティ。「まずいぞキラ。M1だけじゃジンに対抗仕切れない。追い込まれるぞ。」アスランは冷静に戦局を分析し、キラに通信を送っていた。だが、キラはそんな言葉は全く耳に入っていない様子。アスランもエターナルの援護に行きたいが、レイダーとフォビドゥンの挟撃に手を焼いていた。
そのエターナルではM1が奮戦するも、イザークのデュエルがついに取り付こうとしていた。そこに割って入ってくるバスター。再び戦場で出会ってしまった2人。ラクスは意を決したかのようにバルトフェルドに話しかける。「バルトフェルド艦長。」「なんです?」「クサナギとともに全ての火線をヴェサリウスに集中してください。あの船を突破し、宙域を離脱しましょう。」「そんな。あれに向かって行ったら、3隻からの集中砲火にさらされますよ。」口を挟むマーチン。「ですが、突破できれば一番追撃される可能性も低いはずです。」「なるほど。」同意するバルトフェルド。バルトフェルドはすぐにクサナギとアークエンジェルにそのことを知らせる。「ヴェサリウスを突破する?」ラミアスは不安気な言葉を吐く。「うん、このまま囲まれたらどうにもならん。一か八か突破するだけだ。アークエンジェルだけでドミニオンを振り切れるか?」バルトフェルドの言葉にキャプテンシートのそばに立つフラガがつぶやく。「やるしかねえだろう。」「わかりました。キラ君達に知らせて。」腹をくくったラミアス。
「お願い、アークエンジェル。」全方位に国際救難チャンネルでしゃべりかけたフレイの言葉は、ドミニオン、アークエンジェルなど全ての艦のブリッジ、そしてモビルスーツに無線として流れた。その言葉を聞き、にやりと笑うクルーゼ。そしてアークエンジェルのみんなはその聞き慣れた言葉に反応する。もっとも反応しているのはキラであった。「わかってる?わたし。わたしここ。」「何なんです?これは。」フレイからの無線に思わず言葉を漏らすアズラエル。「フレイです。フレイ・アルスター。」「フレイ。」キラはあのフレイと過ごした日々のことを思い出していた。戦場の中で我を失ってしまうキラ。「もらったー。」クロトの叫びとともに発射されたビームはフリーダムのリアバーニアを見事に破壊した。「やめて、もうやめて。」「捕虜ってこの子なんですか?子供ですよね?アルスター?」アズラエルは言葉を続ける。誰かを思い出そうとするかのように。「カラミティ、サブナック少尉。ポッドを回収しろ。」命令するナタル。獲物のフリーダムを諦めるのが残念そうなオルガであったが、命令に従いポッドの方向にカラミティを向かわせる。「彼女、亡くなったジョージ・アルスター外務次官の娘です。」「いや、しかし。だから罠じゃないってことじゃない。」「鍵を持ってるわ。私。戦争を終わらせるための鍵。だから、だからお願い。」フレイの回収に向かったカラミティの後を必死で追いかけるキラ。「フレイ。くそっ。」アスランもフリーダムを追いかける。「キラ。」フォビドゥン、レイダーの波状攻撃によりフリーダムはメインカメラである顔を失い、もはや戦闘を継続できる状態ではなかった。「へえ、面白いことを言いますね、彼女。何をお持ちなのかな?鍵って。」フレイの言葉に興味を示したアズラエル。それに対して冷たく答えるナタル。「そんなもの。そちらは信用なさるんですか。」「だって気になるじゃない。普通言いませんよ。戦争を終わらせる鍵なんてことを」

エターナルとクサナギの波状攻撃で、ヴェサリウスは徐々に追いつめられていた。「突破する。ラミアス艦長。」その言葉で我に返るラミアス。「彼女はドミニオンが保護した。マリュー。」フラガの言葉に何をすべきかを思い出すラミアス。「信号弾。」射出される信号弾。そんな信号弾にお構いなく、ただフレイを取り戻そうとするキラ。「フレイ、フレイ。」その通信にフレイもキラが来たことを気づく。「この声、キラ・ヤマト。生きていたのか。」ナタルは、そのキラの通信を聞き、驚愕する。その言葉にナタルの方を見るアズラエル。
「キラ。」「フレイ。」「キラ。うそ。」フレイはまさか死んでいたと思っていたキラが来てくれたことに嬉しくてしょうがない様子。もう一歩でフレイのポッドにたどり着けると思ったところで再びフリーダムに攻撃をしかけてくるレイダー。そこにジャスティスが盾となって割り込んでくる。「下がれ、キラ。」レイダーの足を破壊するジャスティス。「その状態で、ひとりで敵艦に突っ込むつもりか?」フリーダムを捕まえ、戦線より離脱するジャスティス。そこをディアッカのバスターが援護する。「僕が傷つけた。僕が守ってあげなきゃならない人なんだ。」「キラ。」アスランに連れられ、アークエンジェルへ向かうキラ。そしてキラへの思いもむなしく、カラミティによりドミニオンに収容されるフレイのポッド。
ついに沈黙するヴェサリウス。被弾してヴェサリウスをかすめていくクサナギとエターナル。その後を追って続くアークエンジェル。そのアークエンジェルのデッキに着艦するジャスティス、バスター。アスラン、ディアッカは沈みゆくヴェサリウスに敬礼をする。炎上するヴェサリウスのブリッジではアデス艦長が敬礼を返していた。アークエンジェルが通過し、爆発するヴェサリウス。その爆発を消沈した面持ちで見つめるイザーク。「こちらも撤退する。残存部隊は座標デルタ・ゼロへ集結しろ。ここで地球軍とやり合っても何にもならん。」クルーゼの言葉に従い、機体を指示された座標に向かわせるイザーク。

怯えながらドミニオンのブリッジに連れてこられたフレイ。真っ先にフレイに近寄るアズラエル。「へえ、君が。で、鍵って何?本当に持ってるの?」フレイはアズラエルにディスクを手渡す。「なんだか本当っぽいじゃない?誰に渡されたの。」「ク・クルーゼ隊長。仮面をつけて。」何とかそれだけを話すフレイ。「ふーん。」あまり興味なさそうにMOを持って出て行くアズラエル。フレイはそのブリッジにナタルの姿を発見する。「バジルール中尉。」「久しぶりだな、フレイ・アルスター。大丈夫か?」その言葉に泣きながら抱きつくフレイ。アズラエルはフレイから手渡されたディスクの中身を早速確認していた。そこにはジャスティス、フリーダムのデータが入っていた。最も欲しがっていたニュートロン・ジャマーの詳細情報も。「ははははは。やったー。」そのデータに思わず喜ぶアズラエル。

エターナル。モビルスーツデッキ。アスランとぐったり疲れ切った顔のキラがいた。「キラ、大丈夫か?」「うん、大丈夫。ご・ごめん。」そこに現れるラクス。「キラ?」その姿がフレイに見えるキラ。はっとなるキラ。「ごめん。」そう言いながら気絶してしまうキラ。
その状態はアークエンジェルのラミアスのところにも入っていた。ラミアスはフラガを心配して、フラガが横たわる彼の部屋にいた。「キラ君、倒れたそうよ。戦闘で負傷したって訳じゃないってことだけど。」「無理もないなぁ。」フラガの昔のアルバムを見始めるラミアス。「俺の親父ってさぁ。傲慢で、横暴で、疑り深くってさぁ。俺がガキの頃死んだけど。そんな印象しかないけど。信じられるか?こんなの。何でこんな。」クルーゼとの先ほどの出来事を思い出しているフラガ。「おまけに失敗作?テロメアが短くて、老化が早いって。なんだよ、そりゃ。」「あなたのせいではないのよ。ううん。」フラガを励ますかのように額をなでるラミアス。「奴には、過去も未来も、もしかしたら自分すら無いんだ。」「まもなく最後の扉が開く。私が開く。そしてこの世界が終わる。果てしなき欲望の世界が。」クルーゼの言葉を思い出すフラガ。「だから世界を道連れにするって?」「そんなことさせねえよ。俺が。」
キラが寝かされている部屋に入ってくるカガリ。そこにある双子の写真に驚く。それは自分が父より渡されたものと同じだからだ。「どうして。」その写真を入った写真立てを取って、自分の持つ写真と見比べるカガリ。それは同じ写真である。うなされていたキラが気づく。「キラ?」近寄るラクス。そのラクスが一瞬、裸のフレイに見え、目を背けるキラ。そして我に返る。起きようとするキラ。それを止めようとするラクス。「ごめん、ありがとう。」そこにカガリが声をかける。「キラ。。。」カガリの方を見るキラ。カガリは2つの写真を持っていることに気づく。その瞬間、クルーゼが言っていた言葉を思い出したキラ。悔しさというか複雑な気持ちに悲しみを浮かべる。その様子に気づいたアスランはカガリを部屋の外に連れ出すアスラン。「何すんだよ。」「今は、ちょっと待ってやれよ。なんだかあいつ、ぼろぼろで。」一呼吸おき、カガリに尋ねるアスラン。「あの声、知っているか?」「声?ああ、フレイ。前、アークエンジェルにいたキラ達の仲間だ。」「そうか。」
今にも泣きそうなキラを心配して声をかけるラクス。「キラ?」「大丈夫、僕、もう泣かないって、決めたから。」「泣いていいんですよ。だから、人は泣けるのですから。」その言葉に堰を切ったかのように泣き始めるキラ。そっと抱き寄せるラクス。「キラ、悲しい夢が多すぎます。でも、今ここにいるあなた。全てですわ。」
「みんなが泣いているみたいだな」つぶやくアスラン。そのアスランの肩にそっと顔を寄せるカガリ。  
PHASE-47 悪夢は再び Nジャマーキャンセラーの情報を手に入れたアズラエル。貴重な情報を手に入れたことについて、喜びの意を表す委員会であったが、即核攻撃へ結びつけようという考えにはなかなかなれない様子である。その態度に業を煮やすアズラエル。「なにをおっしゃってるんですか?みなさん。この期に及んで。撃たなきゃ勝てないでしょうが、この戦争。敵はコーディネーターなんですから、徹底的にやらなきゃ。だいたい核なんてもう前に撃ったんでしょ。それを何をいまさらためらうんです。核は持ってりゃ嬉しい、ただのコレクションじゃない。強力な兵器なんです。兵器は使わなきゃ。高い金かけて作ったのは、使うためでしょう。さあ、さっさと撃って、さっさと終わらせてください。こんな戦争は。」
地球軍・月面基地より第6、第7起動艦隊が、核兵器を搭載し、プラント本国、ザフト軍宇宙要塞ポアズへの攻撃のために出撃した。

ボアズへの地球軍侵攻はプラント本国の首脳陣を震撼させていた。ただボアズの防御は堅い。ザラ議長を始めザフト軍はボアズが絶対に突破されることはないと信じている様子。そこに進言をするクルーゼ。地球軍とはいえ、ボアズを突破するのは容易ではないと知っているはず。必ず何らかの勝算があるに違いないと。その勝算の根拠となる訳が気になると。だが、そんなクルーゼの声を一蹴する委員会。
ボアズに対して、ついにドミニオンよりレイダー、フォビドゥン、カラミティの3機が出撃する。たくさんの敵に張り切って破壊の限りをするシャニー、オルガ、クロト。「うーん、いいねぇ。初陣からケチのつきっぱなしだったけど、なんか、強いじゃないの。あいつらもさ。」3人の働きにご機嫌のアズラエル。そこにワシントンより、ピースメーカー隊発進の連絡が入る。
クルーゼの進言が気にかかる様子のザラ。「何が言いたいのだ、クルーゼ。」「申し上げにくくありますが、我々にはいくつかの不安要素があります。フリーダム、ジャスティス、ラクス・クラインと。」「何?」「まさか、奴らの手に再び核が戻ったとそう言いたいのか。貴様は。」「いいえ、よもやとは思いますが。」
ボアズに接近するピースメーカー隊。「くたばれ、宇宙の化け物。蒼き正常なる世界のために。」ボアズに向け、次々と発射される核ミサイル。次々と核爆発を起こすボアズ。「こ、この激震動は、核?」壊滅状態のボアズ。そのボアズを見て言葉を失うザラ達国防委員会の面々。にやりと笑うクルーゼ。
ドミニオンからその光を見ていたフレイもそのあまりにひどい惨状に言葉を失う。「さすがに速い速い。あっという間だね。核を撃たれちゃ、ザフト自慢の要塞もさ。」「アズラエル理事は、いくら敵軍に対してでも、核を撃つことを何とも思われないのですか?」思わず口走るナタル。「そりゃ軍人さんの口から出るとは思えない台詞だね。勝ち目のない戦いに死んでこいと自分の部下を送り込む人たちより、よっぽど僕の方が優しいと思ってるよ。さぁ、次はいよいよ本国だ。これでやっと終わるよ。本国もさ。」そう言ってドミニオンのブリッジから出て行くアズラエル。
ザラ議長はボアズ壊滅を見届け指示する。「おのれ、ナチュラルども。ただちに防衛線を張れ。」振り向きざまにクルーゼの方を見る。「クルーゼ。ヤキン・ドゥーエに上がれ。ジェネシスを使うぞ。」クルーゼに向かい話すザラ。「はっ!」

この情報はエターナルにも届いていた。けたたましくなる発進準備のための警報。キラとアスランはエターナルのブリッジへと上がる。「ラクス、動くのか?」「月艦隊のボアズへの侵攻というのは?」先ほどカガリがキャッチした情報を確認するかのようにラクスに話しかける二人。だが、ラクス達は既にボアズ壊滅の知らせをつかんでいた。「いえ、事態はもっと速く、そして最悪な方向に進んでしまいました。」「こっちのルートからさっき入った情報では、ボアズはもう落ちたさ。地球軍の核攻撃があって。」ラクスの言葉に続けるバルトフェルド。エターナルに続いてアークエンジェルも発進。「でも。核だなんて。」ラミアスはフラガに漏らす。「あんまし驚きはしないよね。ジョシュアの後だし。けど、あの野郎。」クルーゼの言葉を思い出していたフラガ。「こういうことかよ。」怒りのやり場がないフラガ。
「ともかく、これでもう、プラントもだまっちゃいまい。」バルトフェルドがラクスに話しかける。「ええ。」「Nジャマーキャンセラーはプラントが持ってるということだし。」
発進準備に忙しいフリーダムとジャスティス。コクピットで発進準備が整い、キラはアスランに話しかける。「プラントも核、撃ってくると思う。」「うん。父が正気なら、まさかと思うが。今は、わからない。」そう答えるアスラン。「何でそんなもんがあるんだろうね。核兵器なんてさ。モビルスーツも銃も同じだけど。」フリーダムのチェックをしながらつぶやくキラ。

ドミニオン。宇宙が見渡せるところでナタルは自分がやっている行為に多少の疑問を感じつつあった。なぜか思い出すラミアスの言葉、そしてアズラエルの言葉。そこにやってくるフレイ。
「どうした。大丈夫か?やはり残っていた方が良かったのではないか、月基地に。前線に出たからと言って、アークエンジェルに出会えるとは限らないぞ。」「でも私、どうしても会いたいんです。」フレイはそう答える。「キラは生きていた。だから、会って、このこと、ちゃんと話して、私、みんなとも。」「ならば、ブリッジを出るか。居住区に居ればそれほど怖くはあるまい。怖いのだな。」「怖いけど、私知らなかったから。みんな、ずっと見てたのに。私。」泣き始めるフレイ。「見ずに済めばそれに越したことはない。この先、戦闘はますます激化する。さっきのような光景も。」「あの人、これで戦争が終わるって言ったのに。」フレイはあの磁気ディスクを託したクルーゼを思い出していた。「確かに終わるさ。敵であるものを全て滅ぼせばな。確かに終わるんだ。」自分に言い聞かせるかのように答えるナタル。
補給を終えたドミニオンは、プラント本国に向けて発進した。

「ナチュラル共の野蛮な核など、もうただの1本とて、我らの頭上に落とさせてはならない。」エザリアの演説を聞き、母上とつぶやきながら、デュエルに乗り込むイザーク。続くエザリアの演説。「血のバレンタインの折り、核で報復しなかった我々の思いをナチュラル共は再び裏切ったのだ。」発進するイザーク。「もはや奴らを許すことはできない。」プラント本国に迫る地球軍の艦隊。そしてドミニオン。「ザフトの勇敢なる兵士達よ。」射程圏内に入った地球軍に対して、発砲を開始するザフトの戦艦。「今こそその力を示せ。やつらに思い知らせてやるのだ。この世界の、新たな担い手が、誰かということを。」
「核の、たとえ1つでもプラントに落としてはなりません。撃たれる言われ無き人々の上に、その光の刃が突き刺されば、それはまた、果てない涙と憎しみを呼ぶでしょう。」ラクスはそう言い、プラントにエターナルを急がせる。だが、そんなラクスの思いもむなしく、地球軍艦隊よりピースメーカー部隊が再び発進していく。
「私たちは、間に合わなかったのかもしれない。」その言葉を無言で聞くバルトフェルド。エターナル、アークエンジェルより発進する各モビルスーツ。切り離されるミーティアとドッキングするフリーダム、ジャスティス。「平和を叫びながらその手に銃を取る。それもまた悪しき選択なのかもしれません。でも、どうか、今、この果てない争いの連鎖を、断ち切る力を。」
イザークは戦闘中に核ミサイルを積むピースメーカーを発見する。ピースメーカーより発射される核ミサイル。「あのミサイルを落とせ。プラントをやらせるな。」ミサイルに向かうザフト軍モビルスーツ。だが、それはことごとくレイダー、フォビドゥン、カラミティに撃墜されていく。「だめだよ。あれは。綺麗なんだぜ。」プラントにまさに着弾しようとしている核ミサイル。そのとき現れたフリーダムとジャスティス。ミサイルというミサイルに照準を合わせ、その全てのミサイルをことごとく撃墜していく。驚くイザーク。「アスラン、それに。」それに続いてエターナルを先頭に3隻の戦艦が現れる。そこからラクスの無線。「地球軍は直ちに攻撃を中止してください。あなた方は何を撃とうとしているのか、本当にお分かりですか?」ラクスの登場は、現場のザフト兵士達、そして国防委員会に動揺をもたらした。
突然聞こえてきたラクスの声に、不機嫌そうなアズラエル。「何ですか?これは。まあ、なんであれ邪魔をするなら敵です。あれもやっかいなモビルスーツでしょ。ちょうどいい。消えてもらいましょう。プラントと共に。」
そしてヤキン・ドゥーエにいたザラ議長にもラクスが現れた知らせが入っていた。「ラクス・クラインがだ?こざかしいことを。構わん、放っておけ。こちらの準備も完了した。部隊を下がらせろエザリア。我らの真の力、今こそ見せてくれるわ。」イザークの元に退避命令が下る。「全軍、射線より退避?ジェネシス?」
ミラージュコロイドが解かれ、ヤキン・ドゥーエ後方に巨大な物体が現れたことを地球軍も探知する。「何?あれは。」その物体を見てつぶやくラミアス。
「下がれ、ジャスティス、フリーダム。ジェネシスが撃たれる。」叫ぶイザーク。
「Nジャマーキャンセラー起動。ニュークリアカートリッジを激発位置に設定。全システム、接続オールグリーン。」「思い知るがいい、ナチュラルども。この一撃は我らコーディネータの創世の光とならんことを。発射。」ザラ議長の命令とともに、ついにその火を吹くジェネシス。
PHASE-48 怒りの日 放たれたジェネシス。ドミニオンをかすり、地球軍を真一文字に抜けていったその光の威力。人々の言葉を失わせるには十分であった。悲しみに包まれるラクス達。「こんな」「父上」これしか言葉が出せないキラとアスラン。
ジェネシスは最大出力の60%で発射された。それでも地球軍の半分を壊滅させるだけの威力。「さすがですな、ザラ議長。ジェネシスの威力、これほどのものとは。」ザラ議長に話しかけるクルーゼ。「戦争は勝って終わらねば意味はなかろう。」答えるザラ。
混乱に陥る地球軍。ナタルは情報を集め、ドミニオンを中心に集結を急がせていた。そこにザラ議長の演説が始まる。「我らが勇敢なるザフト軍兵士の諸君。」ラミアスの元にバルドフェルドから連絡が入る。こちらも一時撤退。モビルスーツ全機を呼び戻した方が良いと。なおも続くザラ議長の演説。「傲慢なるナチュラル共の暴挙をこれ以上許してはならない。プラントに向かって放たれた核、これはもはや戦争ではない。虐殺だ。そのような行為を平然と行うナチュラル共を、もはや我らは決して許すことができない。」その演説を聴き、いきり立つザフト軍の兵士達。撤退をしようとする地球軍のモビルスーツにやたらと追撃をかけようとする。その行為を黙ってみてられないキラ。「やめろ。戦闘する意思のない者を。」ミーティアを切り離し、フリーダムをザフトのモビルスーツに向かわせる。後ろから援護するアスラン。
「新たなる未来。創世の光は我らと共にある。」フリーダムとジャスティスはエターナルに帰還する。「この光と共に今日という日を、我ら、新たなる人類コーディネーターの輝かしい歴史の始まりの日とするのだ。」この演説に喚起するザフト軍の兵士。そしてこの演説に苦虫をかむような顔のアズラエル。
 
「あーそう。そうだよ。またく冗談じゃない。これは今までのたくたやっていた、あんた達トップの傲慢だよ。」インカムに血相を変えてどなるアズラエル。ドミニオン艦内も救援要請、そして救助した兵士の看護で騒然としていた。ナタルは救援信号を発信した船に対し、すぐに向かうと返事しろと言う。それを聞いていたアズラエルがナタルにどなる。「おい。ふざけたこと言うな。救援だ?何でこの船がそんなことすんだよ。」「アズラエル理事。しかし、」「うちの艦は、すぐにでもサイドの総攻撃に出るんだ。そんなことより補給と整備を急げよ。」「そんな、無茶です。現在我が軍がどれだけのダメージを受けているのか、理事にだっておわかりでしょう。」反論するナタル。「月本部から、すぐに増援も補給も来る。君こそ何を言っているんだ。状況がわかっていないのは君の方だろが!あそこに、あんなもの残しておくわけにはいかないんだよ。何がナチュラルの野蛮な核だ。」アズラエルはすぐにコンピュータの分析結果をモニターに表示させる。ジェネシスの攻撃能力が表示される。「あそこからでも、地球を撃てる、奴らのとんでもない兵器の方がはるかに野蛮じゃないか。そしてもう、いつその照準が地球に向けられるかわからないんだぞ。撃たれてからじゃ遅い。奴らにあんな物を作る時間を与えたのは、お前達、軍なんだからな。無茶でもなんでも絶対に破壊してもらう。あれとプラント。地球が撃たれる前に!」
緊張感が走っていたのはラクス達の方も同じであった。エリカのジェネシスに対する分析結果が出た。「発射されたのはガンマ線です。泉源には核爆発を用い、発進したエネルギーを直接硬X線化したもので、でつまりあれは巨大なガンマ線レーザー砲なんです。地球に向けられれば、強烈なエネルギー輻射は地上全土を焼き払い、あらゆる生物を一掃してしまうでしょう。」ラミアスは落ち着いた声で尋ねる。「撃ってくると思いますか?地球を」バルトフェルドは答える。「強力な遠距離大量破壊兵器保持の本来の目的は抑止力だ。でも、もう撃たれちまったからな。核も。あれも。どちらももうためらわんだろうよ。戦場で初めて人を撃ったとき、俺は震えたよ。だが、すぐ慣れると言われて。。確かにすぐ慣れた。」ラミアスが再度尋ねる。「あれのボタンも核のボタンも同じと?」「違うか?人はすぐ慣れるんだ。戦いにも、殺し合いにも。」ラクスが話し始める。「兵器が争いを生むのでしょうか?それとも人の心が?」キラはクルーゼの言葉を思い出していた。「核も、あの光も、絶対に互いを撃たせちゃだめだ。そうなってからじゃ、全てが遅い。」「ああ。」そう答えるアスラン。
地球軍は体勢を立て直しつつ、ジェネシス攻撃のための月基地増援を待っていた。ザフトもジェネシスのミラーブロック交換作業を急いでいた。クルーゼはザラに言う。「おそらく補給・増援を待っているのでしょう。こちらから仕掛けますか?」今の地球軍など眼中にないかのようなザラ。「そのようなことをせずとも、2射目で全てが終わる。我らの勝ちだ。」「では、地球を?」「月基地を撃たれても、なおも奴らが抗うのであればな。」
イザークは母親と会っていた。イザークは母親に何かを尋ねたかったが、その言葉を言わせず「あと少しです。未来は私たちのものよ。」とイザークを激励する母。そしてすぐに次の持ち場へと向かう。「では、無茶はしないで。あなたの隊は後方に回します。あなたの仕事は戦後の方が多くなるのよ。」そう言い残して、イザークの元から去っていく母親。
ラクス達はジェネシス撃破のための作戦を立案していた。ジェネシスは連射が効かない。ミラーの交換が必要ということは分かったが、ジェネシスに辿り着くまでに、ヤキン・ドゥーエと何重もの防衛線を突破しなければならない。そして次の標的が月か地球かもわからない。「地球軍はまた核を撃ってきますね。」キラは確認するかのように尋ねる。「ええ。」と答えるラミアス。
地球軍がドミニオンを先頭に進撃を開始した。警報が鳴り響くエターナル。キラ達は出撃のためにブリッジを後にしようとする。「キラ。」ラクスがキラの元へ走り寄る。気を利かせて2人きりにするみんな。「これを」リングを渡すラクス。
アスランの顔をのぞき込むカガリ。「何だ?」カガリに言うアスラン。「今度は私も出られる。パーツのまま持ってきたストライク・ージュが、どうにか間に合った。じゃあな。」「ちょっと待てよカガリ。」行こうとするカガリを呼び止めるアスラン。
「ありがとう。」「帰ってきてくださいね。私の元に。」キラに言うラクス。「うん。」行こうとするキラを呼び止めるラクス。優しくラクスの頬に口をつけるキラ。「ラクスも気をつけて。」立ち去っていくキラ。悲しそうなラクス。
「出るって?ストライク・ルージュ?」「何だよ。モビルスーツの訓練は受けている。アストレイの連中より腕は上だぞ。」「いや、けど。」「できること。望むこと。すべきこと。みんな同じだろ。アスランも、キラも、ラクスも、私もだ。」「カガリ。」「戦場を駆けてもだめなこともある。なら、今は必要だろ?今は。そんな顔をするな。私よりお前の方が、全然危なっかしいぞ。死なせないから、お前。」「カガリ?」「弟かもしれない。あいつの。」「弟?兄さん、じゃなくて。」「ありえん。あいつが弟だ。」「そうだな。」カガリを抱き寄せるアスラン。赤面するカガリ。「カガリに遭えてよかった。」「アスラン」「君は俺が守る。」唇を重ねる2人。
 
ザフト軍と地球軍の戦いが始まる。それを後方から見守るイザーク。キラ達も出撃をしようとしていた。「ジェネシスと核と戦いながらどっちも防げって言ったってさぁ。」ミリアリアに愚痴をこぼすディアッカ。「じゃあ止めれば」そう言って、通信を切るミリアリア。「おい!」再びモニターに現れるミリアリア。「うそよ。ごめん。気をつけて。」「サンキュー。」
そしてストライクに乗って待機しているフラガの元に、ラミアスが現れる。コクピットハッチを開けるフラガ。「間に合わないかと思った。」「何にだよ。馬鹿。」ラミアスの首からぶらさがるネックレスを見て、昔の恋人のものだと察知するフラガ。「モビルアーマー乗り、だった?」「ええ?」「大丈夫。俺はすぐに戻ってくるさ。勝利と共にね。」唇を重ねる2人。
ジェネシスの照準ミラーブロック返還が終了した。ザラは月基地を照準設定として命じる。クルーゼも自ら出撃しようとする。「では、私も出ましょう。」「ああ、クルーゼ。これ以上の失態、ゆるさんぞ。エターナルを撃てなかった貴様の責任においても、奴らにプラントを撃たせるな。」切り返すクルーゼ。「アスランを討つことになってもよろしいので?」若干間があき、「構わん。」と答えるザラ。
エターナル、アークエンジェル、クサナギから各モビルスーツが発進する。クルーゼもプロビデンスに乗り込む。「ふん、使ってみせるさ。あの男(フラガ)に出来て、私に出来ないはずはない。ラウル・クルーゼだ。プロビデンス、出るぞ。」
ジェネシス、2射目が発射される。そしてクルーゼのプロビデンスもヤキン・ドゥーエを後にする。
PHASE-49 終末の光 進撃を開始した地球軍を尻目に、ついにジェネシスの2射目が放たれる。目標は月面、プレマイオスクレータ、地球軍基地。つまり月基地である。月基地に向けた放たれたジェネシスの光は、先ほど発進したばかりの増援艦隊を飲み込み、そして月基地に直撃。月基地を消滅させた。さっそくミラーユニットの交換作業を指示するザラ議長。
ドミニオン内に損失状況が入ってくる。「支援隊より入電。先の攻撃により、我、艦隊の半数を喪失。」「何?」驚くアズラエル。「それをも狙っての照準か。」ほぞを噛むナタル。
「月基地を失っては、地球軍はもう引くしかないわ。ナタル。」ラミアスがナタルに報告する。「これ以上、あれを撃たせてはなりません。」ナタルは言う。続いてバルドフェルドが喝を入れる。「矛先が地球に向いたら終わりだぞ。」キラ達は何とかジェネシスのところに辿り着きたかった。だが、ヤキンの二重・三重の防御になかなか進める状況ではない。
 
アズラエルは司令を呼び出す。「核攻撃隊を出せ。目標はプラント軍だ。」「アズラエル理事!」その言葉を聞き、立ち上がるナタル。「あのいまいましい砂時計。1基残らずたたき落とすんだ。奴ら(レイダー、カラミティ、フォビドゥン)を呼び戻して、道を開かせろ。」一気に命令をするアズラエル。「しかし、それでは地球に対する脅威の排除になりません。」ナタルはアズラエルに先に落とすのはジェネシスではという疑問をぶつけていた。「我々はあの兵器を。」「あーどうしてそう、うるさいんだ。あんたは。」いらつき、ナタルに銃を向けるアズラエル。
「ドミニオン、他数隻、転進します。」その言葉にはっとなるラミアス、そしてキラ達。「追います。エターナルとクサナギはジェネシスを。」ラミアスは通信を入れ、アークエンジェルをドミニオンの追撃ルートに乗せた。
ドミニオンのブリッジは、アズラエルが銃をナタルに向けていることで緊張が走っていた。「そんなものを持ち出して、どうされるおつもりです?船を乗っ取ろうとでも言うのですか?」「乗っ取るも何も、命令しているのは最初から僕だ。君たちはそれに従うのが仕事だろ。なのに何でいちいちあんたは逆らうんだよ。」そこにピースメーカー準備完了の連絡。アズラエルはピースメーカーの発進と、フォビドゥン、レイダー、カラミティにその護衛の任に就くよう命令する。「いくらあんなものを振りかざそうが、プラントを落とせば戦いは終わる。だいたいコーディネータ全てが地球に対する脅威なんだぞ。僕らはそれを討ちに来ているんだ。」「しかし。」「自軍の損失は最小限に、そして敵には最大の損害。戦争とはそうやるもんだろ。」ラミアスの言葉を思い出すナタル。地球軍に疑念を抱いて動いているという言葉、そしてかつてラミアスに説教したときの、良い指揮官論を唱える自分の言葉を。。
 
プラントに向け発進したピースメーカー隊。その部隊を見つけ、緊張の走るキラ達。それを迎え撃つイザークの部隊。「来るぞ。散開。プラントへ放たれる砲火。一つたりとも通すんじゃない。」
ドミニオンに近づくアークエンジェル。「アンチビーム爆雷発射。スレッジハマー装填。」ドミニオンを沈めるための準備を命じるラミアス。ドミニオンでは、まだアズラエルとナタルの緊張が続いていた。「さあ、わかったらあんたもちゃんと自分の仕事をしろよ。あの裏切り者の船を、今度こそ沈めるんだ。」
「なぜ、そんなことを平然とできる。」SEEDを覚醒させ、発射された核ミサイルを次々と破壊していくキラとアスラン。イザークはレイダーに手を焼いていた。「これで、激殺。」ビームを放とうとした瞬間、ディアッカがイザークを救う。「ディアッカ。」ジャスティスに襲ってくるフォビドゥン。撃ち漏らした核ミサイルを、カガリのストライク・ルージュが落としていく。
近づくアークエンジェル。「ゴットフリート、バリアント照準。目標、地球軍アガメトロ級。」近づくアークエンジェルをただ見つめるだけのナタル。「ドゥルーリップルを討たせるな。前へ出ろ。何をやっている。撃て、撃たなければ、討たれるぞ。」アズラエルの怒声が響く。観念したかのようにキャプテンシートに就くナタル。「推力最大。対抗20。アンチビーム爆雷発射。ゴットフリート照準。」「撃てぃー。」ナタルとラミアスの声が重なり、放たれるゴットフリートと共に、ドミニオンとアークエンジェルの艦隊戦が始まる。「地球を攻撃させるわけにはいかない。」被害が広がっている両艦。「終わる。確かにそれで全て、プラントを討てば。」ナタルは心の中でそれを繰り返していた。思い出すのはラミアスとアークエンジェルで言い合った日々のこと。
クルーゼを感じ取ったフラガは、クルーゼがいるらしき宙域に移動していた。クルーゼはプロビデンスで、寄ってくるストライク・ダガーをことごとく撃破していた。「ふっふっふっ。はーっ、はーっ、はーっ」クルーゼの高笑いが響く。
 
エターナルとクサナギはジェネシスに向けて急いでいた。「右翼を狙う。クサナギ。」「ローエングリン、撃てー」活路を切り開いていく2艦。そんななかでクサナギを守っていたジュリのアストレイが被弾し、爆発。散っていく。怒るカガリ。カガリもまた、SEEDを覚醒させる。
フリーダムとジャスティスが居る限り、核ミサイルは全て無駄になる。地球軍はフリーダムとジャスティスを撃ち落とすことに集中していた。「なんなんだよ、お前達は。なに必死にやってるんだ。」レイダーに乗るクロトが、思わず叫ぶ。「お前達こそなんだ。いったい何のために戦っている。」「そんなこと、俺は知らないね。やらなきゃやられる。そんだけだろうが。」「何?」「やられないけどね。」レイダーの攻撃をよけ一瞬スキが出来るジャスティス。そこをねらい澄ましたかのようにフォビドゥンのビームが襲う。回避運動が間に合わないジャスティス。そこにイザークのデュエルガンダムがカバーに入る。ビームを盾で受けるイザーク。そしてフォビドゥンに攻撃をしかける。いつものようにビームが効かないフォビドゥン。そこにディアッカが攻撃を噛ませる。よろけるフォビドゥン。そこにイザークが捨て身の特攻をしかける。「いけー。」フォビドゥンの懐に入り込み、ビームサーベルを突き刺す。さすがのフォビドゥンもこれを防ぐことはできない。ついにシャニのフォビドゥンが宇宙に散った。
 
そのころ、フラガはクルーゼと死闘を繰り広げていた。ビットを操り、ストライクを攻撃していくクルーゼ。それを交わすので目一杯のフラガ。「はっ!」吐き捨てるような笑いのクルーゼ。「これが望みか。貴様の。」「私のではない。これが人の夢。人の望み。人の業。」「他者より強く、他者より先へ。他者より上へ。」「ふざけるな。」ビームサーベルでの白兵戦を繰り広げるプロビデンスとストライク。「競い、妬み、憎んで、その身を食い合う。」
 
続いて、カラミティのオルガが、アスランの生け贄となった。ジャスティスのビームサーベルで胴体を切られ、爆発するカラミティ。そしてイザークはついに艦隊司令の乗る戦艦を撃沈させる。
 
「貴様の理屈が、思い通りなど。」渾身の一振りをするフラガであったが、それを交わすプロビデンス。「既に遅いさ、ムウ。私は結果だよ。だから死ぬ。自ら育てた闇に食われて、人は滅ぶとな。」ビットに囲まれ、逃げ場を失うストライク。ビットからの集中攻撃で小破するストライク。
エターナルの真横で爆発するストライク・ダガー。それを見て、目を伏せるラクス。そしてつぶやく。「私たち、人は。おそらくは、戦わなくとも良かったはずの戦争。なのに、戦ってしまった者達。何のために?守るために。何を?自ら、未来を。誰かを討たねば守れぬ未来。自分?それは何?なぜ。そして討たれたものにはない未来。では、討った者達は。」ラミアスがキラ達に言う。「必要な機体は補給を。ドミニオンは抑える。ジェネシスへ。」ラクスのつぶやきが続く。「その手に掴むこの先の未来は幸福?本当に?」
フラガのストライクがアークエンジェルに戻ってきた。被弾をしている模様。受け入れのためにアークエンジェルはハッチを開ける。「今だ、撃て。」それを見て叫ぶアズラエル。「速くあいつを沈めろ。ローエングリン照準。」ナタルを見つめながら、火器管制を行うオペレータ。ナタルは悔しそうだがこらえていた。「駄目。もう止めて。アークエンジェル、逃げて。」耐えきれずにフレイがそれを止めようとする。「お前、このー。」フレイの頬を銃で殴る。ブリッジ内を漂うフレイの体。アズラエルが発砲しようとした瞬間、アズラエルに突進するナタル。発砲した弾は跳弾し、ブリッジ内をはね回った。「何をやっている?」「貴様こそなんのつもりだ。」ナタルの首を絞めるアズラエル。「総員退艦しろ。」一瞬悩みながらも席を立つ乗組員達。「貴様ら。」怒り、それを阻止しようとするアズラエルをそこから引き離すため、床を蹴り上げるナタル。ナタルとアズラエルはゆっくりとブリッジのモニターの方に流れていく。「急げ、アークエンジェルに行け。」フレイの方に微笑みかけ、迷っていたフレイは、それに答えるかのようにデッキより出て行く。もみ合いになるナタルとアズラエル。「くそー、お前。」「指揮官だと?命令する立場だと言うのなら。」発砲音。ナタルは左脇腹を打たれ、一人押し出される。「こんなことをして、どうなるかわかってるんだろうな。」捨て台詞を残し、ブリッジを後にしようとするアズラエル。ナタルは苦痛をこらえつつ、キャプテンシートに辿り着く。そして入り口をシャッターで閉鎖する。外に出れなくなるアズラエル。「あなたはここで死すべき人だ。私と共に。」「なんだと。」再び発砲。銃弾を浴び、すっとぶナタル。ドミニオンから脱出艇発進。アークエンジェルに向かって飛んで行く。「ふざけるんじゃないよ。ドアを開けろ。」ますます怒りを増すアズラエル。ナタルはすでに生きているのがやっとという状態。更にナタルの足を打ち抜くアズラエル。「うわーっ」苦痛でのたうち回るナタル。近づいてくるアークエンジェルがモニターに大映しになっている。「くそー、こんなところで。」「アズラエル、何を。」「僕は勝つんだ。そうさ、何時だって。」アームドコントロールを動かすアズラエル。「止めろー」ナタルの叫び声もむなしく、発射されるローエングリン。脱出艇をかすめ、まっすぐアークエンジェルのブリッジめがけ、ビームが迫る。「回避。」「駄目です。間に合いません。」そのとき、傷ついたストライクが盾でビームを受け止める。「やっぱ俺って、不可能を可能に。」だが、熱に耐えられるだけの機体をストライクは有していなかった。メインモニターが焼け落ち、そして爆発してしまう。目の前でフラガを失ったことが信じられないというような顔をし、泣き崩れそうなラミアス。「うーわー。」
攻撃が失敗したことに落胆するアズラエル。そしてそれを見届け微笑むナタル。「あなたの負けです。」「おまえー。」さらにナタルに銃を向けるアズラエル。泣いた顔を上げ、命令するラミアス。「ローエングリン、照準。」ゆっくりと出てくるローエングリン。「くっそー。」更に撃たれるナタル。苦痛の声を上げる。「撃てぇー。マリュー・ラミアス。」叫ぶナタル。アークエンジェルから放たれたローエングリンは、ドミニオンのブリッジを直撃する。「ぐわー。」アズラエルの叫び、そして全てに満足して微笑んでいるかのようなナタルを巻き込み、すっとぶブリッジ。そして爆発するドミニオン。 
PHASE-50 終わらない
明日へ
なおも続くザフトと地球軍の戦い。その両軍の戦いの中をまっすぐジェネシスへ突き進むエターナルとクサナギ。「ザフトはただちにジェネシスを停止しなさい。」ラクスは、ザフト軍に語りかけていた。「核を撃たれ、その痛みと悲しみを知る私たちは、それでも同じ事をしようと言うのですか。撃てば癒されるのですか?」クロトは既に半狂乱。エネルギー残量が少なく、アラートが出っぱなしのレイダーをただ突き進ませる。「同じように罪無き人々や子供を。これが正義と。互いに放つ砲火が何を生んでいくのか、まだ分からないのですか。」
プロビデンスを進ませていたクルーゼは、漂うストライクの顔を見つける。クルーゼはフラガが既にこの世にいないことを感じ取る。「帰って、くるって言ったのに。」フラガを失った悲しみ。ラミアスは涙が止まらない。
「なんだ。」ジェネシスに向かっている最中に何かを感じたキラ。突如、併走しているアスラン、カガリの元から離れていく。「キラ。」突然のキラの行動に疑問を感じ、話しかけるカガリ。「カガリを頼む。何かが。」キラはアスランにそう言い残し、何かを感じた方向へと針路を変更した。「わかった。」キラの言葉にそう答えるアスラン。「キラ。」行くなと願うような言葉のカガリ。
「まだ、犠牲が欲しいのですか。」

被弾したアークエンジェルはすでに姿勢を維持するのがやっとであった。泣き続けるラミアスを構うことなく、忙しくアークエンジェルを操作するサイやミリアリア。一方、ドミニオンを脱出したポッドは近くの友軍艦を探せずにいた。フレイは「アークエンジェルに」と乗組員達に伝える。そんな宙域に接近するプロビデンス。「アズラエルめ、案外とふがいない。アークエンジェルに迫り来るクルーゼ。
「モビルスーツ接近。」ミリアリアの言葉に緊張感の走るアークエンジェルブリッジ。「けっ。」「友軍機?あんな機体?」ディアックと一緒にいたイザークはプロビデンスを見て疑問を感じた。すぐにバスターで迎撃体勢をとるディアッカ。「くそー、こんな時に。」プロビデンスのビット攻撃が展開。その直後キラのフリーダムがその宙域に現れる。そのフリーダムの気を察知したクルーゼは、すぐさまプロビデンスをフリーダムの方に向ける。ディアッカは、ビットによるオールレンジ攻撃を回避することができなかった。破壊されていくバスター。「ディアッカ!」
フリーダムは、プロビデンスとの戦いを始めた。プロビデンスのオールレンジ攻撃を高速でかわすフリーダム。その様子をポッドの窓から見つめるフレイ。「キラ」フレイの言葉に、誰に呼ばれたのかと反応するような素振りをするキラ。
「また君か。」クルーゼは、キラの存在に気付き、フリーダムに対して一層の攻撃を行う。フリーダムの一斉攻撃をことごとくかわすクルーゼ。「厄介な奴だよ。君は。」「あなたは。」キラの方が幾分劣勢。「援護できる?」その様子を見ていたラミアスはサイに尋ねるが、「この状況では」と答えるサイ。アークエンジェルは動けるのがやっとなのだから、やむを得ない。「あってはならない存在だというのに。」「何を。」
被弾し、深刻な被害のため稼働がうまくできないバスター。心配そうに近づくイザーク。ところがそこにバルカンを連射しながらレイダーが接近してきた。高笑いしながら近づくクロト。その攻撃で、イザークはライフルを失う。「イザーク」

「知れば誰もが望むだろ。君のようになりたいと。」なおも衰えることないキラとクルーゼのぶつかり合い。「君のようでありたいと。」「そんなこと。」「ゆえに許されない。君という存在を。」ミーティアの左半分を、プロビデンスの攻撃により失うフリーダム。

「僕は。僕はね。」バルカン連射がつきず、たまらないという感じのイザーク。デュエルでバスターをかばってはいるが、武器がないため何もできない。「ええぃ。そいつを寄こせ。」業を煮やし、バスターのリニアレールガンを勝手に取っていくイザーク。それをレイダーに向ける。「こんな奴に。」レイダーもビームを発射。レイダーのビームは、ディエルの左肩を破壊。だが、イザークの一撃はレイダーを確実に捕らえていた。爆発するレイダー。
 
「僕は、それでも僕は。力だけが僕の全てじゃない。」ビームサーベルを抜き、プロビデンスに向かっていくフリーダム。「それが誰に分かる。」集まるビット。「何が分かる。」一斉にビットがフリーダム目がけ飛んでいく。「分からぬさ。」ビットの一斉攻撃によけるのがやっとのキラ。「誰にも。」ミーティアの右エンジンをビームサーベルで突き刺すクルーゼ。震動が走る中、キラは近くにいた1隻のポッドに気づく。その窓には、心配そうにこちらを見つめるフレイの姿があった。「キラ!」「フレイ」ミーティアを切り離したフリーダム。ビットの攻撃が続く中、ポッドの方へとフリーダムを進ませる。後方で爆発するミーティア。「ふん。」クルーゼは、キラが目指すポッドに照準を合わせる。ポッドに手を伸ばすフリーダム。その瞬間、ポッド目がけてビームが走る。何とか、フリーダムの盾が間に合う。ポッドへのビームを遮断でき、「キラ。」と感激するフレイ。その言葉に答えるかのようにフレイに向かって微笑みかけるキラ。
だがその瞬間、全く別方向から、ビットより発射されたビームが、フレイの乗ったポッドを貫く。爆発するポッド。フレイはその爆炎の中を漂っていた。微笑んでいた顔がみるみる曇り、悲しみの顔に変わるキラ。「フレイー」狂乱するキラ。「キラ。」幻想のフレイがキラの目の前に現れる。「そんな、フレイ。そんな。」「ありがとう。ごめんね。」「どうして。」「ずっと謝りたかった。」「どうして。君が、フレイ。」「苦しかった。怖くて、ずっと。知らなかったから。私、何も分からなかったから。でも、今、やっと自由だわ。とても素直にあなたが見える。だから、泣かないで。」「畜生、僕は。」「あなたはもう泣かないで。」「君に、何も。」「守るから。本当の私の思いが、あなたを守るから。」キラに抱きつき、消えていくフレイの幻像。ポッドが爆発した煙から出て、急降下を続けるフリーダム。降下が停止し、フリーダムの背にある羽が開く。立ち直ったかのようなキラ。目は鋭く、再び戦場へと戻っていく。
 
エターナルとクサナギはついにジェネシスをその視線に捕らえられる距離まで近づいていた。「ジェネシス、射程距離に入ります。」「フェイズシフトだって無限じゃないんだ。ローエングリン、撃て。」ローエングリンを発射するクサナギ。
そしてそれに呼応するかのように主砲を撃つエターナル。だが、ジェネシスはびくともしない。
ザラはその攻撃をきちんと確認していた。「あんな小娘やナチュラル共の船、さっさと叩きおとさんか。」側近達の様子が少しおかしいと感じ始めるザラ。モニターに大映しになっているエターナルとクサナギ。そして「ラクス様」という声がどこからともなく小さな声で聞こえる。「急げ、照準入力開始。目標、北米大陸東岸地区。」「議長。」
 
「ヤキンに突入してコントロールをつぶす。」外部からの破壊が難しいと分かった今、アスランはそうするしかないと感じていた。「アスラン。」心配そうに語りかけるラクス。「時間がない、いくぞ。」ミーティアを切り離したジャスティスに近寄るストライクルージュ。「アスラン、カガリさん。」ラクスの不安そうな言葉。「大丈夫だ。まかせろ。」ラクスを元気づけるようなラクスの言葉。ヤキンに向けて加速していく2機。
その瞬間、エターナルのブリッジでは、モビルスーツ接近のアラームが鳴り響く。それはプロビデンスだった。エターナル上空にプロビデンスを位置づけるクルーゼ。「君の歌は好きだったがね。」そう言いながらビットを放出する。「回避、取り舵。」指示するバルドフェルド。「あれは。」そのモビルスーツの主に気づいたかのようなラクス。「だが、世界は歌のように優しくはない。」ビット攻撃により破壊が進んでいくエターナルとクサナギ。
「うわー」うなるようなキラの叫び声とともに現れるフリーダム。「あなたは、あなただけは。」「ふん。いくら叫ぼうが今さら。」ライフルによる撃ち合いとなるフリーダムとプロビデンス。
 
「ジェネシス照準。目標、地球連邦太平洋首都、ワシントン。」ジェネシスの照準設定がされたころ、アスランとカガリはヤキンに入ろうとしていた。「止めろ、もう止めるんだ。こんな戦い。本当に滅ぼしたいのか。君たちは、全てを。」攻撃を止めないザフト軍に対し、叫ぶアスラン。だが、「奴らが先に撃ったのだ。」という兵士達の言葉が聞こえ、説得できる言葉が無いことを理解するアスラン。

「これが定めさ。知りながらも、つき進んだ道だろう。」「何を。」「正義と信じ、わからぬと逃げ、知らず、退かず。」「その果ての終局だ。もはや止める術などない。」「そして滅ぶ、人は滅ぶべくしてな。」キラとクルーゼの戦いはなおも続いていた。
 
ヤキンの中を進んでいくジャスティスとストライクルージュ。中では負傷した兵士達もいる。それを見ていたたまれない気持ちになるアスラン。
「何をしている。急げ、これで全てが終わるのだぞ。」ジェネシスコントロールルームの中で、ザラは檄を飛ばしていた。「議長。この戦闘、すでに我らの勝利です。撃てば地球上の生物の半数が死滅します。もうこれ以上の犠牲は。」諫めようとする側近。突然、コントロールルームに鳴り響く銃声。今までザラを諫めていた側近の体が宙を舞っていた。撃ったのはザラ自らだった。
バスターとデュエルはアークエンジェルに帰還していた。何も情報が入らないのに不安を抱いている様子のラミアス。「フリーダムは?」「わかりません。エターナルもクサナギも。」そうとしか答えられないミリアリア。
 
「そんな、あなたの理屈。」「それが人だよ。キラ君。」「違う。人は、人はそんなものじゃない。」「はん、何が違う。なぜ違う。」「憎しみの目と心と、引き金をひく指しか持たぬ者達の世界で、何を信じ、なぜ信じる。」「それしか知らないあなたが。」フリーダムとプロビデンスはビームサーベルを交錯させ、時折の接近戦を繰り広げる。「違うさ。所詮人は己を知ることしか知らぬ。」今までキラに浴びせられてきた様々な言葉を思い出しているキラ。
「まだ苦しみたいか。いつかは、やがていつかはと。そんな甘い毒に踊らされ、一体どれほどの時を戦い続けてきた。」
 
アスランとカガリは、銃を撃ち、手榴弾を投げ込みながら、ジェネシスのコントロールルームへと近づいていた。そのコントロールルームでは、先ほどの銃声で、異様な雰囲気が漂っていた。
「奴らが、敵がまだそこにいるのに、なぜそれを撃つなと言う。討たねばならんのだ。討たれる前に。敵は滅ぼさねばならぬ。なぜそれがわからん。」立ち上がり、ザラ自らジェネシスのコントロールコンソールを操作し始める。「議長、射線上には、まだ、我が軍の部隊が。」「勝つために戦っているのだ。みな、覚悟はあろう。」「議長。」止めさせようと近づく側近。そこに先ほど撃たれた側近が、銃で狙いをつける。何かを感じ、その方向を向くザラ。再びコントロールルームで鳴り響く銃声。1発。そして2、3発。撃たれ、そして宙を漂うザラの体。
アスランとカガリがジェネシスのコントロールルームに入ったとき、撃たれたザラと、撃った兵士の体が宙に浮いていた。ザラ議長という指揮官がいなくなり、自ら任務を放棄していくザフト兵達。次々と自分の持ち場を離れ、外に出て行く。アスランは宙に浮くザラに近寄った。「ジェネシス。我らの、世界、むくい。」それだけ言い、血を吐き、眠りにつくザラ。「父上。」涙ぐむアスラン。
 
ヤキンから脱出をしていく多数のザフト軍艦艇。事態が急変したがどうなっているのか分からないラクス達。そこにアークエンジェルが辿り着いた。「キラ君達は?」ラクス達に問いかけをするラミアス。「ヤキン・ドゥーエは放棄されたのですか?ジェネシスは?」
ヤキンでは自爆装置のカウントダウンが勝手に起動していた。あと1800秒しかないことを告げるモニター。「はっ」コンソールを操作するアスラン。「ヤキンの自爆シーケンスに、ジェネシスの発射が連動している。」その言葉を聞き、驚くカガリ。コンソールをいじり回すも、自爆がどうしても止めらずコンソールを叩くアスラン。「こんなことをしても、戻るものなど何もないのに。」浮かび、流れていく父の死体を見ながらつぶやくアスラン。
 
高笑いを始めるクルーゼ。「どの道私の勝ちだ。ヤキンが自爆すれば、ジェネシスは発射される。」「えっ」その言葉に衝撃を受けるキラ。「もはや止める術はない。血は焼かれ、涙と悲鳴は新たなる戦いの狼煙となる。」
 
アスランとカガリはヤキンから離れた。「どうするつもりだ。」カガリはアスランに尋ねる。「内部でジャスティスを核爆発させる。」アスランのその言葉に返す言葉を失うカガリ。フリーダムの前を横切り、ジェネシスに進むジャスティスとストライクルージュ。「アスラン、カガリ」言葉をかけるキラ。だが、それに気づかず、ジャスティスとストライクルージュは行ってしまう。「人があまた持つ予言の灯だ。」フリーダムを破壊するプロビデンスのビーム。「そんなこと。」同じようにフリーダムがプロビデンスのランドセルを破壊する。「それだけの業、重ねてきたのは誰だ。」
ジェネシスのハッチを突き破り、ジェネシス内部へと進入したアスランとカガリ。「そんなことをしたらお前は。」カガリはアスランを止めたい一心で言う。「それしか方法はない。お前は戻れ。」返ってくるアスランの答え。「アスラン。」「駄目だ。」加速するジェネシス。「アスラン。」おいて行かれるストライクルージュ。
「君とて、その一つだろうが。」「それでも。」

カウント残り58秒。ついにジェネシスの融合炉に辿り着いたアスラン。コンソールを引き出し、ジェネシスを核爆発させるべくプログラムを入力するアスラン。「アスラン。」声と共に現れるストライクルージュ。カガリは結局アスランを追って来たのだ。「カガリ。」「駄目だ。お前。逃げるな。生きる方が戦いだ。」その言葉、もっともだというような顔をするアスラン。
「守りたい世界があるんだ。」ビームサーベルを抜き、一直線にプロビデンスに向かってつき進むフリーダム。ビットを操りそれを阻止せんとするクルーゼ。メインカメラをやられ、胸の装甲が落ちようとも、その勢いが止まらないフリーダム。「うわー。」ついにプロビデンスのコクピットを貫くフリーダムのビームサーベル。クルーゼのバイザーが割れ、マスクがはがれる。
カウント0。ヤキンが自爆を始める。それと同時にジェネシスから放たれる光。ジェネシスの真ん前で戦っていたフリーダムとプロビデンスであったが、フリーダムはその瞬間に射線上より立ち去る。プロビデンスはその光に飲み込まれ、爆発するプロビデンス。と同時にジェネシスも爆発する。爆発するヤキンとジェネシスをただ見続けるアークエンジェル、エターナル、クサナギ。その光の方向をただ見つめるラクス。
「宙域のザフト全軍並びに地球軍に告げます。現在プラントは地球圏およびプラント理事国家との停戦協議に向け準備を始めています。それに伴いプラント臨時最高評議会は現主席における全戦闘行為の停止を地球軍に申し入れます。」
 
漂うストライクルージュ。そのコクピットハッチが開き、アスランが顔を出す。その後から涙が止まらないカガリが出てくる。アスランもそれを見て泣き出す。涙を流しながら抱き合う2人。
アークエンジェルからトリィが飛び出す。宇宙空間を飛ぶトリィ。「キラ。」「キラ君は?」そんなアークエンジェルのブリッジの声などお構いなく、何かを目指して飛ぶトリィ。
トリィはストライクルージュの前を横切っていく。それを発見するアスラン。「キラ。」「キラは?」
トリィが行く先、それは壊れ、稼働不能になったフリーダムの漂う宙域。そして宇宙空間に大の字になっているキラが漂う宙域。「僕たちは、どうして、こんなところに来てしまったんだろう。」涙ながらにつぶやくキラ。キラのバイザーには、涙と、そしてラクスから預かったリングが張り付いている。キラの視線に入ってくるトリィ。そしてその後から、光と共にアスランとカガリが乗ったストライクルージュが現れる。キラを見つけ喜ぶアスランとカガリ。その顔を見て微笑み返すかのようなキラ。
 
「僕たちの、世界は。」 


2003. 9.28Update

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