機動戦士ガンダム SEED DESTINY

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FINAL PLUS(その5)

機動戦士ガンダム SEED DESTINYの題名及び内容概略一覧です。

PHASE-50「最後の力」の追加編集版として放映された、FINAL PLUS「選ばれた未来」について、ここでは掲載します。


FINAL PLUS 選ばれた未来 園の全ての木から取って食べなさい。但し、善悪の知識の木からは、決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう。だがやがて、共に創られた、野の生き物の内で、一番賢いヘビがこう言った時、「決して死ぬことはない。それを食べると目が開け、神と同じく、善悪を知るものとなる。そのことを神は知っているのだ」と。そうして始まりの人は、その実を食べたのだという。

(デュランダル)「私たちはつい先年にも大きな戦争を経験しました。そしてその時にも誓ったはずでした。こんなことはもう二度と繰り返さないと。」
(シン)「止めろよ、馬鹿!あんただってブリッジにいたんだろ?ならこれがどういうことだったか分かっているはずだろう。」
(アスラン)「これは?どういうことですか。また私にZAFTに戻れと。」
(キラ)「戦ったの?」

(デュランダル)「本当にこれはどういうことなのでしょうか。おろかとも言えるこの悲劇の繰り返しは。」
(シン)「でも、敵の脅威があるときは仕方ありません。戦うべき時には戦わないと。何一つ、自分たちすら守れません。」

(キラ)「撃ちたくない。撃たせないで。」
(アスラン)「自分だけ分かったような、綺麗事を言うな。」

(キラ)「でもカガリは、今泣いているんだ。こんなことになるのが嫌で、今泣いているんだぞ。」

(デュランダル)「だが、それももう、終わりにする時が来ました。」

(ステラ)「いやぁー」
(シン)「あんたは俺が討つんだ。今日、ここで。」

(デュランダル)「終わりに出来る時が。」

(アスラン)「ミーア!」
(シン)「あんたが悪いんだ。あんたが。あんたが裏切るから。」

(デュランダル)「全ての答えは、皆が自身の中に既に持っている。私は人類存亡をかけた、最後の防衛策として、デスティニープランの導入・実行を、今ここに宣言致します。」

デュランダルのデスティニープラン実行を阻止すべく、オーブから宇宙に向けて出発しようとするアークエンジェル。カガリはキラ、そしてラクスと抱き合って、挨拶をする。そしてアスラン。その姿を見守るキラ達。

宇宙。ついにZAFT、デュランダルとアークエンジェルが激突する。
「キラ・ヤマト。お前の存在だけは許さない。」クルーゼとだぶるレイが決意を固め、キラに襲いかかる。
キラ、アスラン、シン、レイが混戦となって、モビルスーツ戦を繰り広げる。
メサイアに近づくアークエンジェルとエターナル。
「エターナルに攻撃を集中しろ。あれが旗艦だ。他はその後で良い。」指示を出すデュランダル。「オーブの残存も撃ち漏らすなとゴンドアナに。」
エターナルとアークエンジェルの襲いかかるZAFTのモビルスーツ。アークエンジェルは、エターナルの盾となりつつ、攻撃を展開する。そのアークエンジェルをフォローするネオのアカツキ。「おいおい、やばいぞこれは。」その攻撃のすさまじさに思わずつぶやく。

シンとレイの攻撃の前に身動きが取れないキラとアスラン。「オーブ艦隊はどうなっているんだ。レクイエムは?」
「ハイデンフェルド沈黙、ベートランド戦線より離脱します。」「スサノオ、クサナギ、ツクヨミはシグナル確認。後は駄目です。状況混乱。」
そのオーブ艦隊にさらに襲いかかるZAFTモビルスーツ軍。「レッド18アルファにゴンドール。モビルスーツ、オーブ主力艦隊に向かっていきます。」必死で侵攻するZAFTモビルスーツを食い止めようとするムラサメ隊。
「すっかり乗せられたか。まずいぞキラ。これではレクイエムが。今討てなければ一次中継点も復活する。オーブが撃たれる!」シンのデスティニーと戦いながらも、キラに判断を仰ぐアスラン。そしてアークエンジェル、エターナルにはミネルバとそのモビルスーツ群が襲いかかろうとしていた。「インパルス接近!」「その後方よりミネルバ。」さらに熾烈を極めるZAFTモビルスーツの攻撃。エターナルからドムトルーパーが出撃するも、数が多すぎる。何度となく直撃を受けるエターナル。
援護に向かおうとも、シンの攻撃を振り切れないアスラン。「これではこちらも動けない。」

ついにキラが口を開く。「アスランは行って。アークエンジェルも。」キラの言葉に驚くアークエンジェルブリッジ。「ここは僕とエターナルで抑えます。後は全てレクイエムへ。」スーパードラグーンを展開させ、シンのデスティニーの動きを止めるキラ。「えっと、命令です。」
「でも、それではエターナルが。」ラミアスがキラに訴える。「この船よりもオーブです。」きっぱり答えるラクス。

迷っているイザーク達。「どうすんの?イザーク。」ディアッカの言葉に苦渋の決断を下すイザーク。「くっ。エターナルを援護する。ZAFTの船だ。あれは。」「なるほど。」イザークやディアッカのモビルスーツが、エターナルの援護へと回る。

「オーブがプランに対する最後の砦です。失えば、世界は飲み込まれる。絶対に守らなくてはなりません。私たちはそのためにここにいるのです。だから行ってください。アスラン、ラミアス艦長。さあ、早く。」
「分かった。」ラクスの言葉に答えるアスラン。「では、また後で。必ず。」そのラミアスの言葉に「ああ、必ずな」と答えるバルトフェルド。
レクイエムの方向へ向け転針するアークエンジェル。
「行かせるか。ミネルバは何をやっている。」レイは、アークエンジェルに向かって、レジェンドを走らせる。だが、そのレジェンドを阻む、スーパードラグーンの光条。
「くそぉ、フリーダム。」シンがストライクフリーダムに向かって、突進してくる。それにSEEDを覚醒させたキラが立ち向かう。

(キラ・ヤマト)恨みを込めたレイのつぶやき。「レイ、分かっているな。あと少しだぞ。レクイエムを守り切れ。」デュランダルの通信。「ええ、分かっています。」答えるレイ。
「シン。お前はミネルバと共にアークエンジェルを追え。」レイのその言葉にややとまどいを覚えるシン。
「フリーダムは、俺が討つ。」
「レイ。。」
「お前はジャスティスを。あの裏切り者を今度こそ倒すんだ。それがお前の仕事だ。終わらせろ、全ての過去を。」
「ああ、わかった。」
フリーダムから去っていくデスティニー。視線でそれを追うキラ。だが、ドラグーンの気配を感じる。その気配は、前大戦で倒したはずのラウ・ル・クルーゼのものに他ならなかった。
「これは。。どういうことなんだ。。君は。。」とまどいを見せるキラ。

「そうさ終わらせる。今度こそ、全てを。」ビームサーベルを振りかざし、向かっていくレイ。
キラとレイの異様な戦いに何かを感じ取るラクス。「キラ!」
交錯するドラグーンの光条。

レクイエムのあるダイダロス近辺へとやってきたアスランとネオ。向かうは多くの守備隊モビルスーツ軍。
「えらい数だな、これは。」アカツキのドラグーンで、多くのモビルスーツを仕留めていく。「が、数だけいたってねぇ。」
「ラミアス艦長。」オーブの先行部隊よりの連絡が入る。「陣形を立て直して、レクイエムを早く。」そこにミネルバ接近の知らせ。アークエンジェルの左上方より襲いかかるミネルバ。アークエンジェルが攻撃されていることに気づき、急行するネオ。
艦隊戦の突入するアークエンジェルとミネルバ。

ミネルバと共に突破してきたインパルス。そこにアスランのインフィニットジャスティスが現れる。
「ジャスティス?アスラン?」
「インパルス。ルナマリアか?」
「アスラン。。」思い起こされるアスランとの日々。そしてメイリンの言葉。(お姉ちゃん、止めて。何で戦うの。何で戦うのよ。)
「ちっ、何であなたがメイリンを。よくも、メイリンを!」ルナマリアはジャスティスへの攻撃を始める。
「ってぇい。止めろルナマリア。お前も。」
「逃げるな。」ビームサーベルを振りながら、追ってくるインパルス。
「えぇい。くそぉ。」インパルスの腕を叩き落とすアスラン。「さがれ、君を討ちたくない。」
「何を!」なおも攻撃を止めないルナマリア。
「時間がないんだ。」インパルスにビームブーメランを投げつけるアスラン。インパルスの足を切り落とすブーメラン。
「ルナー!」聞こえるシンの声。
「シン。」
「このぉ、裏切り者が!」インパルスを庇うかのように現れるデスティニー。
「大丈夫か?ルナ。」
「シン。」
「あんたって人は。」エクスカリバーを振りかざし、突進してくるデスティニー。立ち向かうべく、ビームサーベルをかざすインフィニットジャスティス。
「よくもルナを、ルナをやったな!」覚醒するシン。
パワーが上がったかのようなデスティニーの動きに、圧倒されるアスラン。

「ステーション2、ポジションまで100。」
「ネオ・ジェネシス、パワーチャージ60%。」
「まだ沈まないのか?エターナルもアークエンジェルも。」
「はっ、撃沈報告は未だ。」
(しかし、すごいものだな。)デュランダルの言葉に答えるラウ・ル・クルーゼ。(なにがだ。)(たたかい。たたかい。戦いだ。人は本当に戦うのが好きだな。)(ふっ、君は違うのか?)(私は勝ちたいだけさ。戦いたい訳ではない。)(だが勝てないものもある。)(ああ。)

キラはレイと戦っていた。目の前の敵が誰かという疑問を持ちながら。「なんで、なんでこんな。」

(戦っても勝てない。)デュランダルのつぶやき。

「君は、誰だ、誰なんだ。」目の前にいるレジェンドを誰が操作しているのかが気になるキラ。

(どうしても得られない。なら人は何故生きる。何故生まれる。)(ふっふっふっ、言ったはずだ。ただそれを知るためにだと。君は気に入らんかもしれんが。)

「分かるだろう?お前には。俺は、ラウ・ル・クルーゼだ。」クルーゼの亡霊にとまどうキラ。

(ああ、気に入らないねぇ。私はゴメンだ。君のようにあがくのも。負けるのも。)

「人の夢、人の未来、そのすばらしき結果、キラ・ヤマト。」レイのすさまじき気迫に、守り一方となってしまうキラ。
「ならばお前も、今度こそ消えなくてはならない。」
「な、ない。」目の前にいる倒したはずの亡霊に、恐怖心を抱くキラ。
「俺たちと一緒に。」レイの気迫。

押され続けるキラを感じ取ったラクス。「キラ。」

「生まれ変わるこの世界のために。」フリーダムのビーム攻撃を押し戻すレジェンド。

(「ねえ、ラウは。」「ラウはもう、いないんだ。だが、君もラウだ。」カプセルを差し出すデュランダル。「それが君の運命なんだよ。」)

シンとアスランの戦い。再びアスランの力に押されていくシン。

「そんな、なぜ君が。なぜ君が、また。」キラの苦悩。
(「逃れられないもの。それが自分。」)デュランダルの言葉。
「そして取り戻せない世界。それが過去だ。だからもう終わらせる。これまでの全てを。そしてあるべき正しい姿へと戻るんだ。人は。世界は。」

ヒルダのドムトルーパーが被弾し、そしてディアッカのザクも被弾してしまう。

「でも違う。」叫びながらレジェンドのドラグーンを落とすキラ。「命は、何にだって一つだ。だからその命は君だ。彼じゃない。」キラの言葉に我に返るレイ。
ストライクフリーダムより放たれたいくつもの光条が、レジェンドを貫通する。
爆発するレジェンド。「うわぁー。」とレイの叫びがこだまする。

レクイエムに対し、爆撃をしかけるムラサメ隊。そしてスサノオ、クサナギ、ツクヨミのローエングリン攻撃。だが、びくともしないレクイエム。
ミネルバの追撃を受けるアークエンジェル。「アスラン君は?」ラミアスの言葉に「駄目です。位置特定不能。」と返すミリアリア。
「シールドが突破できなければ、オーブは。」
「俺が行く!」
「ムウ」ネオの言葉に心配そうな顔を向けるラミアス。
「ムラサメ1個小隊、ついて来い。」

アスランは、シンとの戦いが続いていた。「シン、もう止めろ。お前も。」
「くそぉー、なんであんたに。あんたなんかに。」
「過去にとらわれたまま戦うのは止めるんだ。」
アスランの言葉にハッとなるシンとルナマリア。
「そんなことをしても、何も戻りはしない。」
「な、なにを。」叫ぶシン。
「なのに未来まで殺す気か?お前は。」
スロットルを力強く握りしめるシン。「分かってる。分かってるさ。」
インフィニットジャスティスにビーム攻撃を浴びせかけるシン。「だから世界はもう、変わらなきゃいけないんだ。」
家族と逃げているシーンがフラッシュバックする。そしてステラの死の瞬間も。「だからオーブは、討たなきゃならないんだ。」
「ふざけるな!」一喝するアスラン。「そうして全てを壊す。未来も殺す。お前が欲しかったのは、本当にそんな世界か?力か?」
迷いが生じるシン。マユ、そしてステラ。レイの言葉。「だけど、だけど。」
迷いを振り切るかのようにインフィニットジャスティスに突進していこうとするデスティニー。
インフィニットジャスティスの前にルナのインパルスが立ちはだかる。
「シン、もう止めて。アスランも。」
「うわぁー、ステラ、マユ。やめろー。」絶叫するシン。だが放とうとしたパルマ フィオキーナを止めることはできない。
迫り来るデスティニーにたたおびえるルナマリア。

アスラン覚醒。インパルスを押しのけ、デスティニーの攻撃をビームシールドで受け止める。
「この、馬鹿野郎!」デスティニーをなぞるインフィニットジャスティスのビームサーベル。
両腕、片足を失ったデスティニーは、蹴られた反動で月面へと叩きつけられる。
「シン!」ルナマリアがシンを追う。

「くそぉー。もういい加減にしろ。なんでこんなもん、守って戦うんだ。」あまりのモビルスーツの数の多さに、なかなか到達できないネオ。
一方、なおも艦対戦を繰り広げるアークエンジェルとミネルバ。ミネルバの攻撃がアークエンジェルのゴッドフリートを血祭りにあげる。「突撃する。コリントス、撃てぇ。」放たれたコリントスは、ミネルバのリゾルテに撃破される。その隙をついて指示を出すラミアス。
「バレルロール。バリアント、照準。」
逆さ反転して、ミネルバと上下に交錯するアークエンジェル。
「撃てぃー。」
アークエンジェルの放ったバリアントは、ミネルバのトリントスを射抜いた。「トリントス1番、2番被弾。両舷ランチャー、発射不能。」
そのミネルバに迫るインフィニットジャスティス。
「グラディス艦長」艦長と過ごした日々を思い浮かべるアスラン。ミネルバに向け、リフターを発射する。メインスラスターを打ち抜くリフター。ミネルバは月面へと不時着、そのまま息絶えてしまった。

「レクイエム発射口にオーブ軍モビルスーツ。」「ステーション2、まもなくポジションです。」
「発射口のオーブ軍を排除する。ネオジェネシス、照準。レジェンドとデスティニーは?」「どちらもシグナルロストです。」
「メイン18、ベータにフリーダム。」
(レイも討たれたというのか?あれに。)

「ラクス、ミーティアを。」エターナル近くにまでたどり着いたストライクフリーダム。
「キラ。」キラの言葉を聞き、嬉しそうなラクス。
「要塞を討つ。エターナルは退がって。」

(まったく厄介な存在だな。ラクス・クライン、キラ・ヤマト。まあ仕方がない。奴らを討つのはまた後だ。)
かろうじて機体が生きていたレイは、その機体をメサイアに移動させていた。
キラは、メサイアを破壊すべく、ストライクフリーダムをミーティアとドッキングさせていた。

「面舵13、下げ舵8。ネオジェネシス、射線軸固定。出力90%。」
「発射口の敵を掃討後、オーブを撃ってこの戦闘を終わらせる。全軍に通達。」デュランダルの指示が飛ぶ。
イザークよりエターナルに対して緊急通達。「エターナル!」
「イザーク・ジュール?」
「メサイアが撃ってくるぞ。射線上の連中を退がらせろ。早く!」
発射されるネオジェネシス。
何とか射線から逃れたアスラン、ネオ、そしてアークエンジェルを始めとするオーブ軍艦艇。
回避が間に合わなかったZAFT軍艦艇はその光に飲み込まれていった。それを見ていたタリア。(ギルバート、あなた?)

「レクイエム、カウントダウン開始。T-30秒。」「ステーション2、射角固定。」開く発射口。集束し始めるビーム。
「くそぉー!」その中に突っ込んでいくアスランとネオ。
シールドを突き破る2機。
リフターをビーム発射口に向け射出するインフィニットジャスティス。そしてドラグーンを始め、持ちうる火器の全てで攻撃するアカツキ。
光が増し爆炎を上げるレクイエム。
離脱するインフィニットジャスティスとアカツキの後ろで大爆発する。

「シン。シン。」
「ステラ。。。」シンの前に現れるステラ。
「どうしたのステラ。駄目だよ。君はこんなところに来ちゃ。」
「大丈夫。だからちょっとだけ会いに来た。」
「ちょっとだけ?ちょっとだけなのか。」
「うん、今はね。」
「今は?」
「でもまた明日。」
「明日?」
「うん、明日。ステラ、昨日を貰ったの。やっと。だから分かるの。どっちだか分かる。明日。嬉しいの。だからシンとはまた明日。」遠ざかっていくステラ。「明日。明日ね。」

レクイエムに突き刺さるようにそびえ立つ、光の柱。それはレクイエムの爆発を示していた。
「馬鹿な。」それを見て愕然とするデュランダル。「何故。」
光の柱はシンを膝枕するルナマリアの目にも映っていた。「ステラ。。」とうわごとを言うシン。
「シン。」と呼びかけるルナマリア。
気づくシン。「ルナ。」
「シン。もう。」ヘルメットをかぶったシンの頭を優しく抱くルナマリア。
「あれは。」光の柱を見て、聞くシン。
「レクイエムよ。オーブは。。討たれなかった。」

ミーティアでメサイアの破壊を続けるキラ。メサイアは徐々にその機能を停止していく。
「シールド消滅。」「フリーダム、来ます。」「その後方にフリーダム。」
フリーダムの攻撃で、崩れ落ちる司令部。
「キラ。」レクイエムの爆破を完了したインフィニットジャスティスが、メサイアに潜り込む。

涙を流して、ルナマリアに抱きつくシン。
そんなシンを強く抱きしめるルナマリア。

「艦長、メサイアが。」アーサーの言葉に目をつぶるタリア。
方々で小爆発を起こしているミネルバ。「本艦の戦闘は終わりよ。総員退艦。」
ミネルバ上空を飛ぶアークエンジェル。ラミアスは、爆発するミネルバに敬礼を送っていた。「グラディス艦長。。。」
「本当に申し訳ないことなんだけど、後を頼める?アーサー。私、行かなくっちゃ。」
「えっ、は、はい。」
「みんなをお願い。ごめんなさい。」そう言って、ブリッジを後にするタリア。
「はっ。」と敬礼をして送り出すアーサー。

キラは一人司令室までやってきた。司令室の椅子に一人座っているデュランダル。
「君がここへ来るとは、正直思っていなかったよ。キラ・ヤマト。」デュランダルに向け、銃を構えるキラ。
「なるほど。だがいいのかな。本当に、それで。」キラに対して自分も銃を構えるデュランダル。
その司令室に向かうレイ、タリア。
「止めたまえ。やっとここまで来た。そんなことをしたら、世界はまた、元の混迷の闇へと逆戻りだ。私の言っていることは真実だよ。」

「キラ。」ラクスのつぶやき。
そしてアスランも、ストライクフリーダムの隣にインフィニットジャスティスを固定し、キラの所へ向かおうとしていた。

「そうなのかもしれません。でも僕たちは、そうならない道を選ぶこともできるんだ。それが許される世界なら。」
「ふん、だが誰も選ばない。人は忘れる。そして繰り返す。こんなことはもう二度としないと。こんな世界にしないと。一体誰が言えるんだね。誰にも言えやしないさ。君にも。無論彼女にも。やはり何もわかりはしないのだ。」

裏にレイがたどり着いた。(ギル)心の中で呼びかけるレイ。それに気づくデュランダル。
「でも、僕たちはそれを知っている。分かっていけることも、変わっていけることも。」
レイはそのキラの言葉に、先ほどキラが言った言葉(だからその命は君だ。彼じゃない。)を思い出していた。
「だから明日が欲しいんだ。どんなに苦しくても、変わらない世界は嫌なんだ。」
「傲慢だね。さすがは最高のコーディネーター。」
「傲慢なのはあなただ。僕はただの、一人の人間だ。どこもみんなと変わらない。ラクスも。でも、だからあなたを討たなきゃならないんだ。それを知っているから。」
エレベータから降りてきたタリア。その目の前では銃を構えたデュランダルとキラのにらみ合いが続いていた。
「だが、君の言う世界と私の示す世界。みなが望むのはどちらかな。今ここで私を討って、再び混迷する世界を、君はどうしようと言うのだ。」
「覚悟はある。」銃を構え直すキラ。そしてそれを見て、銃を構えるレイ。
「僕は戦う。」
エレベータから降りたアスラン。「キラ!」銃を構えるアスラン。
そしてタリアも銃を構える。

鳴り響く銃声。胸を撃たれ、倒れるデュランダル。撃ったのはレイだった。おびえ、そして座り込むレイ。
「レイ。」そう叫び、そしてデュランダルの方へ駆け寄るタリア。
「アスラン。」キラは、泣き崩れたレイの側に立つアスランに気づいた。

デュランダルを膝枕するタリア。
「やあタリア。撃ったのは君か?」
「いえ、レイよ。」
「んん、」タリアの言葉が意外だったデュランダル。怪訝そうな顔をする。
「ギル。ごめんな・・さい。でも、かれは、あした?」
「そうか。」

爆発が起きる度に崩れていく司令室。
「グラディス艦長。」近寄ろうとするキラとアスラン。
それを許さないタリア。「あなた達は行きなさい。」銃を構えるタリア。「この人の魂は私が連れて行く。」
タリアを助けることができないとはっきり悟るキラとアスラン。
ラミアス艦長に伝えて。子供がいるの。男の子よ。いつか会ってやってね。」
「わかりました。」そう言い、司令室を去るキラ。後に続くアスラン。タリアを気にするように振り返りながら。。
泣いているレイに立ち止まり、視線を投げるキラとアスラン。
「レイ、あなたもいらっしゃい。」タリアが優しく声をかける。
意外そうな顔をする、キラとアスラン。そしてその場から去っていく。
「すまないねぇタリア。でも、嬉しいよ。」声も絶え絶えにタリアに感謝の言葉を述べるデュランダル。
「しょうのない人ね。でも本当、仕方がないわ。これが運命だったということじゃないの。あなたとわたし。」
「ふっ、止めてくれ。」
タリアとデュランダルの元に来たレイ。そのレイを抱きしめるタリア。「あなたも、よく頑張ったわ。だからもういい。」
レイは、優しい笑顔を浮かべながら、去っていくクルーゼの姿を見る。

「キラ君は?」心配そうなラミアス。
爆発を繰り返すメサイアから脱出してきたストライクフリーダムとインフィニットジャスティス。

「おかあさん」レイがタリアに抱かれながら、そうつぶやく。
その瞬間、3人のいる床から吹き上がる爆炎。司令室は、爆発にまきこまれていった。

月面に落下し、爆発しながら崩れていくメサイア。
それを見つめる一同、そしてシンとルナマリア。

「ジャスティス、フリーダム、シグナルを確認。イエロー8、デルタ。」
「ゴンドーラに通信回線を開いてください。」ラクスの指示で開かれる通信回線。
「こちらはエターナル。ラクス・クラインです。ZAFT軍、現最高司令官に申し上げます。私どもはこの宙域でのこれ以上の戦闘継続は無意味と考え、それを望みません。どうか現時点をもって、両軍の停止に同意願います。繰り返し申し上げます。私どもはこの宙域でのこれ以上の戦闘を・・・」
ZAFT艦艇から出される撤退の信号弾。それに答えるように、アークエンジェルからも、エターナルからも信号弾が発射される。各艦から発射された信号弾で明るくなる宙域。それを涙を浮かべながら眺めているシン、そしてそれに寄り添うルナマリア。
シンは動かなくなったデスティニーを見つめる。よみがえるアスランの言葉。「お前が欲しかったのは、本当にそんな世界か?力か?思い出せ、シン。お前は本当は何が欲しかったんだ。」
拳を握りしめ、悔し泣きをするシン。
アスランは、エターナルへ戻る最中、そのシンの元へと、インフィニットジャスティスを向かわせる。シンとルナマリアに手を差し伸べるインフィニットジャスティス。
メサイアが落ちたシーンは、プラントにも、地球にも放映されていた。それを見つめ、呆然とする人々。

CE.74、プラントとオーブ連合首長国は停戦協定を締結し、終戦の為の協議に入った。
両国の関係を仲介したラクス・クラインはプラント評議会の要請を受け、プラント本国へと戻った。ゆっくりと入港するエターナル。

オーブ、慰霊塔前。シンと花を手向けるルナマリア。そしてその後ろにはアスランとメイリンがいた。
「じゃあ、お墓ないの。」
「うん。ちっちゃな慰霊碑があるだけ。」
慰霊碑の前でマユの携帯を強く握りしめるシン。
アスランが後ろを気にする。焦土と化したオーブの大地。たった一輪の花が咲いている。
「ずっと、ここ嫌で。」ルナマリアがシンの方に顔を向ける。「でもずっと気になっていて。こんな風じゃなかった。こんな所じゃ。誤魔化せないってことかも。いっくら綺麗に花が咲いても。人はまた吹き飛ばす。でもこんなのは、こんなのは。もっと嫌だ。」
「シン。」シンに近づくルナマリア。
再び慰霊碑を見つめるシン。

そこに現れるキラとラクス。
「キラ。」アスランのその言葉に振り向くメイリンとルナマリア。
そしてゆっくりと後ろを向くシン。
慰霊碑に花を手向けるラクス。
「来てたんだ。」アスランに話しかけるキラ。
「ああ。」と答えるアスラン。
ラクスを見て怪訝そうな顔をするルナマリア。でもメイリンの微笑みで、安心した様子。
「シン。彼がキラだ。キラ・ヤマト。フリーダムのパイロットだ。」
そのアスランの言葉に驚きの表情を浮かべるシンとルナマリア。
手を差し出すキラ。「駄目かな?」
手を握り返すシン。「あ、あの。俺。」
「いくら吹き飛ばされても、僕らは花を植えるよ。きっと。」
「あ、ああ。」キラの言葉になんて返したら良いか分からぬシン。
「それが、俺たちの戦いだな。」つぶやくアスラン。
「一緒に戦おう。」そのキラの言葉に涙を流すシン。
両手でシンの手を握るキラ。

アスランとメイリン、そしてキラとラクスは、慰霊碑の前から去っていく。
そして残されたシンとルナマリアも歩き出す。

カガリはオーブで、そしてラクスはプラントでの新しい世界造りが始まる。


2006. 1. 9 Update

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