機動新世紀ガンダムX

題名・内容
 
TV全題名・内容一覧

第27話〜第39話
ガンダムXの題名及び内容概略一覧です。


第27話 「おさらばで御座います」 ロアビィは酒場で出会ったピアニストの家に転がり込んでいた。キッチンで朝食を作るロアビィ。その一方で女性はベッドの下より銃を引き出していた。ロアビィはしばらくここに置いてくれないかと頼み込んでいた。その女性はかつてここもエスタルドであったが、新連邦によって強引に統治下に入ってしまった。自由を求めて市民運動ということを話し始めるが、ロアビィはその話をやめさせる。「名前、まだ聞いてないんだけど。」と話題を変えるロアビィ。その女性はユリナ・サワハラと言った。外に新聞を届ける音がした。「新聞が来たようね。」ユリナは新聞を取りに行く。そこには連絡員がいた。連絡を受け取り、命令に納得した様子のユリナ。
エスタルドとガスタールの民族紛争という新たな課題について話し合う、ドクター、キッド、トニヤ、そしてティファ。トニヤはウィッツとガロードが起きてきていないことに気付き、起こしにいこうとティファを誘う。だが、ドクター・ゲイツは2とも疲れているから止めろとトニヤを止める。それを面白くないと思ったトニヤは自室に戻り、そのことをサラに愚痴ろうとする。そのサラはボーっと外を眺めていた。サラの心配はロアビィが出て行ったままだというのと、キャプテンが帰ってこないということであった。新連邦が出てきてからどこかみんなおかしくなっていると漏らすトニヤ。
エニルはセインズ・アイランドに戻ってきていた。ところがセインズ・アイランドは既に新連邦軍の統治下。そしてマイルズも既に真だことを聞かされる。
ティファはこっそりガロードの部屋に入り込む。ぐっすり眠っているガロード。その顔を見ながら、「ガロード、やっぱりあなたが遠くにいるような気がします。」と話しかけるティファ。ガロードの部屋から出てくるときにウィッツに話しかけられ、走り去っていくティファ。
モビルスーツ、ブリドバ。ためらいもなく同じ新連邦のモビルスーツを破壊していく。そのためらいもない破壊ぶりに感心するフロスト兄弟。パイロット、東部戦線の狩人と称されていた、ドゥエート・ランブラは、捨て犬とじゃれあっていた。そこに現れるフロスト兄弟。例のごとくダブルエックスを破壊すれば2階級特進になると言い残し、その場を去っていった。
ガスタール政府と新連邦が和平条約を締結したという知らせに、エスタルドは震撼していた。その知らせに怒りを隠せないガロード。ガスタールは新連邦の傘に入り、一気に民族紛争のケリをつけようと考えていることは明らかであった。ガスタールはエスタルドの国境付近に主力部隊を配備。エスタルドへの圧力をかけてきた。ウイリスは降伏か、徹底抗戦かの答えを出せずにいた。なかなか意見を出さないウイルスに代わり、ルクスは自分の独断で降伏を提案、閣議は降伏と決まる。リー将軍は降伏に我慢できず、10機のモビルスーツで最後の出撃をする。それを知ったガロード達は、将軍を連れ戻すために出撃する。
ダブルエックスが出撃したことを知り、ブリドバを発進させるドゥエート。彼は二重人格者であり、モビルスーツに乗ったとき、残虐な性格へと変わるのである。その攻撃に身動きがとれなくなるガロードとウィッツ。時間が余り残されていないことに焦りを感じていたが、どうしてもブリドバを振り切っていくことができない。ブリドバの武器がワイヤーカッターであることを見切ったガロードは、ウィッツに囮になってもらうことを頼み、見事ワイヤーカッターを破壊。ウィッツの攻撃により、ブリドバは撃墜される。
リー将軍のもとに急ぐ2人。だが、そこにあったのは、リー将軍の機体を残し、全滅したモビルスーツの残骸と、もはや傷だらけのリーのモビルスーツであった。「将軍!」「今助ける。」リーに呼びかけるガロードとウィッツ。「やる。わしはこのときを待っていた。」傷だらけのリー将軍が答える。「何馬鹿なこと言ってんだよ。」「死んじまったら、元もこうもねえじゃねえかよ。」「それは違う。さあ、来い。」新連邦のモビルスーツに突っ込んでいくリー。2機がかりで、リーの機体を貫くビームサーベル。「がはは、一人でも多くの敵を道連れにしてやる。」2機のモビルスーツを破壊するリー。「我が民族に栄光あれ!」リーの機体目がけて一斉砲撃が行われ、爆発するリーのモビルスーツ。
エスタルドの民族独立戦線が立ち上がろうとしていた。ユリナはそのメンバーの一人であった。その民族独立戦線に利用するために、ロアビィはユリナが自分の家に置いていたのである。
ウイルスの補佐官、ルクスは新連邦政府に降伏を伝えていた。だが、それに先立ち、勝手に一つの提案をしていた。そんなことは知りもしないウイルス。
リー将軍を失い意気消沈のガロードとウィッツ。「これで良かったかもしんねえな。」と言うウィッツであったが、ガロードは納得できない。「そんなはずはない。」ただ、突っぱねるだけしかできないのであった。
第28話 「撃つしかないのか!」 ウイルスとルクスはジャミルに対し、全面降伏をする前にエスタルドから脱出して欲しいことを告げる。お別れの晩餐を提案するウイルスであったが、ルクスはそのような事態ではないとその提案を一蹴する。だが、ウイルスの命令として晩餐を許すルクスであった。
晩餐の席で、話をするウイルスとガロード。ガロードの力を羨ましがるウイルスであった。それをこっそり後ろから見守るティファ。翌日、戻ってこないロアビィを残し、フリーデンは出発する。フリーデンを見送るウイルスに対し、何かの耳打ちをする側近。その言葉に驚くウイルス。
ロアビィはユリナにフリーデンに戻らなくて良いのかと尋ねられる。最後には弱者よわばりされるロアビィ。だが、適当な返事しか返さない。そこにロアビィを尋ねて、民族独立戦線の仲間がやってきた。ロアビィは前々から気づいていたユリナのベットの下の銃も含め、説明を要求する。民族戦線の連中は、ゲリラとなって新連邦と戦うことを強要する。だが、ロアビィは首を縦に振ろうとはしない。銃を突きつける兵士達。だが、そんな強要する姿に対し、それは新連邦とやっていると同じだと、止めさせようとするユリナ。そこに新連邦の兵士達がユリナの家を取り囲んでいることに気づく。ユリナの家から脱出をはかるみんな。だが、ユリナは家を出る瞬間に撃たれてしまった。
国境を進むフリーデンの前に、ウイルスが立っていた。晩餐の時の手はずで、ウイルスは国外脱出をすることになっていたのだ。ウイルスは「国家主席としてこれが許されることなのか」と悔しさで一杯の様子。そこに第3の刺客、インド戦線で不死身の殺人マシンと称されたミヌア少尉の乗るモビルスーツが現れた。ウイルスをフリーデンに乗せ出撃したガロードであったが、その巨大さに驚く。
フリーデンのブリッジでガロード達の戦闘を見守るジャミルとウイリス。そこに現れるティファ。「悪い予感がします。」それはウイルスの国外脱出計画を察知し、それを阻止せんが為に動き出したガスタール軍のことであった。ルクスとの取り決めで、降伏文書への調印が終わるまで軍を動かさない約束をしていた新連邦。だが、動いているのはガスタール民族軍であり、正規軍ではないという認識で黙認を決め込む。
銃撃戦のまっただ中のなか、ユリナはロアビィに「仲間のところに戻ってあげて」と言う。励ますロアビィ。だが、「好きな女性、いるんでしょ。」と言い、涙を流しながら眠りにつくユリナ。「ユリナー。」と悲しむロアビィであったが、民族戦線の兵士に「仲間のところに戻れ。」と説得される。自ら犠牲になりロアビィの活路を開く兵士達。
ダブルエックスとエアマスターはミヌアのモビルスーツに蹂躙されるがままだった。そこにジャミルがエックスで援護に出る。だが、3機がかりでも全く歯が立たない。そこにロアビィがバギーで駆けつける。レオパルドも戦いに加わる。ビームが効かないということを聞くや、至近攻撃で全弾をぶち込むロアビィ。致命傷を受けるミヌアのモビルスーツ。「今だ、ビームをぶち込め。」その合図で一斉攻撃をするガロード達。モビルスーツは爆発する。
それが終わったと思ったら、今度はガスタール軍が現れた。「ガロード、ここはお前のサテライトで一掃するんだ。」ウィッツの言葉に月を見上げるガロード。昼間ではあるが、確かに月は出ていた。「撃つしかないのか!」覚悟を決めたガロード。「待ってくれ。僕が、僕が投降する。」ウイルスの無線が入る。ウイルスに説得する側近。だが、ルクスの言葉を思い出す。「ウイルス様、命令というお言葉は、使うべきところでお使いください。」「放せ、グランド。これは命令だ。」説得を諦める側近。「ガロード。僕も戦うよ。僕のやり方で。」
エスタルドに戻ったウイルス。ルクスは自分の命と引き替えに、新連邦への帰属を果たせるように裏工作を進めていたことを知るウイルス。その行為に涙する。「人前で泣くのは、これが最後です。たとえ新連邦の支配を受けても、あなたは我が民族の代表です。」
エスタルド帰属のニュースを聞きながら、エスタルドを後にするフリーデン。ガロードは遠くを見つめていた。それをこっそり見守るティファ。
第29話 「私を見て」 ティファは寂しかった。夢の中でガロードを追い求めていた。目が覚め、自分が見た夢に赤面するティファ。そこに入ってきたジャミル。「頼みがある。」ジャミルはニュータイプ研究所をティファに探してもらおうと考えていたのである。
フロスト兄弟の元にアベル・バウアー中尉が来た。ニュータイプ覚醒率は5%。だが、それにかけてみようと考えるフロスト兄弟。
ティファの能力低下はガロードのせいだと考えているゲイツ。ガロードがティファだけではなく、外の世界に目を向け始めたことに、ティファが置き去りにされていってしまったのが根本の原因と考えていた。
そんなときにフロスト兄弟とアベル中尉がフリーデンを襲ってくる。動きから普通のパイロットではないと察知するガロード。ロアビィはレオパルドの修理が完了していないことに苛立ちを覚えていた。一方、フロスト兄弟はアベル中尉の覚醒にかけるために適当な理由で撤退してしまう。一人戦場に残されるアベル。そのアベルの能力はニュータイプとして覚醒。フラッシュシステムが起動する。一気に形勢が逆転する。ジャミルは叫ぶ。「あれはフラッシュシステム。」アベルも最初は困惑していたが、ようやく状況を理解した。「私がニュータイプに?了解した。」動きのないビットモビルスーツに翻弄されるガロード達。そこに加勢するジャミルのエックス。揺さぶりをかけ、本体を探そうとするガロード達。アベルはその揺さぶりを止めさせるため、フリーデンへの攻撃を開始した。
ティファは今まで出会ったニュータイプと違う気質を感じていた。ガロードを助けなくてはと攻撃を受けるフリーデンのデッキに出るティファ。ビットモビルスーツに囲まれているダブルエックス。「戻れガロード。やはり本体を見抜くことはできん。」ジャミルの連絡もむなしく、ダブルエックスは何機もの攻撃を受けてしまう。ティファはガロードに願いを送る。「お願い、ガロード。私を、私を見て!」その願いに気づくガロード。フリーデンのデッキにティファの姿をとらえる。そのティファはゆっくりと指を向ける。ガロードに本体が見えた。「そこだ。」ティファの教えてくれた機体目がけ、ビームサーベルを投げるガロード。ビットモビルスーツはコントロールを失い、墜落する。
何とかピンチを切り抜けたのを見てホッとするティファ。そこにアベルのモビルスーツが襲ってくる。「お前の仕業か?」ティファ目がけて襲ってくるアベル。「死ね。」そこに斬りつけるガロード。「ティファに手を出すな。」アベルはフロスト兄弟の命令で撤退した。「ティファ」そう話しかけた瞬間、ティファは気を失う。一方、フラッシュシステムを起動させたアベル中尉はフロスト兄弟によって殺されてしまう。フロスト兄弟の本当の目的は、軍内部でのニュータイプ排除だからだ。
医務室から出てくるドクター・ゲイツ。「ティファは?」尋ねるジャミル。「訳あって、面会謝絶だ。」そう答えるドクター。ガロードはティファの手を握りながら、看病をしていた。「夢、見てるんだな。きっと。」ティファは笑顔で眠りについていた。
第30話 「もう逢えない気がして」 セインズ・アイランド。そこではエニルが一人、新連邦軍への攻撃を続けていた。今やマークされる身となったエニル。新連邦政府は北米大陸の制圧に手を焼いていた
。そんな新新連邦政府の思惑など関係なく、フリーデンはニュータイプ研究所へと針路をとっていた。だが、情報があまりにも少なすぎる。レオパルドはレオパルド・デストロイヤーとして改装を終了していた。その自信作をガロードに教えたがっていたキッドだが、ウィッツに止められる。ガロードはティファのモデルになって、2人での時間を楽しんでいたからである。ガロードの部分を描き上げたティファは、絵に最後の仕上げをしていた。
ニュータイプ研究所。そこにはオルバと別行動中のシャギアが尋ねてきた。シャギアは所長にティファが来ようとしていることを教えていた。シャギアは所長にティファを抵抗せず招き入れて欲しいということをお願いする。一方オルバは新連邦政府に、ニュータイプ研究所にクーデターが起きると情報を流していた。
深夜、ティファが涙を流しながらガロードに会いに来た。夢を見て、ガロードにもう遭えない気がしたとのこと。ティファを慰めるガロード。ティファにもそれが予知夢なのか、全く関係ない夢なのかが分からなかった。ひとまず落ち着いたティファ。だが、二人は別れがたい様子。ティファもなかなかまっすぐに自室に戻りがたかったようだ。「また、明日ね。」振り向かないと思っていたティファが振り向き、びっくりした様子のガロード。
シャギアの情報通り、ニュータイプ研究所にフリーデンが到着した。所長のカロンから直接連絡が入る。ジャミルはフリーデンを外で待たせ、一人研究所に入ろうとするジャミル。そのニュータイプ研究所にフロスト兄弟率いる新連邦政府軍が接近していた。カロンと話し合いをするジャミル。だが、ジャミルとカロンの意見は真っ向から対立していた。「それでも、私たちがニュータイプの戦争利用を止めないと言ったら?」ジャミルに問うカロン。「そのときはここを破壊する」そう答えるジャミル。「残念ね、屈服するのはあなた達の方よ。」「なんだと?」フリーデンは新連邦軍に攻撃を受けていた。出撃するガロード達。そんな戦闘をよそに自分達の理想のまま行動に移すフロスト兄弟。ニュータイプ研究所への攻撃を開始する。自分達をカテゴリーFと呼んだカロン所長に恨みをはらすべく、施設の徹底攻撃をするフロスト兄弟。カロンもその火の中に散っていった。
所員のニコラはマーベラ作戦の続行をすべく、ジャミルとともに研究所を脱出。フリーデンに着いたニコラはティファを連れ去り、フリーデンを去っていった。その知らせを聞いたガロード。「もう遭えないかもしれない」と言っていたティファの言葉を思い出し、必死でその後を追う。ティファが連れ去られた施設より、飛び立つシャトル。「あの中にティファが?」確かにシャトルの中にティファがいた。「助けて、ガロード。」
フリーデンへの攻撃は熾烈を極めていた。フロスト兄弟も加わりフリーデンはまさに虫の息。ガロードは必死でシャトルを追った、が、シャトルに間に合うはずもなく、高々度へと消えていく。「返せよ。ティファを返してくれ。約束したんだ。ずっと一緒にいるって約束したんだ。それにまだ話したいこともたくさんあるんだ。ティファー。」フリーデンのティファの部屋は炎に包まれ、ティファの描いたティファとガロードの絵は炎に包まれていった。
新連邦政府はついに情報公開を決断する。敵は、宇宙にいる。宇宙革命軍、未だ健在なりと。
第31話 「飛べ、ガロード!」 ティファの乗ったシャトルはコロニーに向かっていた。「ガロード」地球を見つめるティファ。「コロニーは君を歓迎するよ。」
シャトルが飛び立ったことをキャッチした新連邦政府は非常事態宣言を発令、全ての作戦行動の中止を発表した。それを受け、撤退していくフロスト兄弟、新連邦軍。フロスト兄弟はこの急変した事態に対して、静観を決め込むことをひそかに決意する。
ジャミルはシャトルの飛び立った旧連邦施設へ、修理が終わり次第発進しろと命令する。ガロードはそこにいた。呆然と空を眺めるガロード。ガロードは何を聞かれても無反応であった。そこに焼け残ったティファの絵を持ってくるドクター・ゲイツ。「ティファ」と言いながら泣き崩れるガロード。ガロードの口からティファが宇宙に連れ去られたことを知るみんな。だが、ティファを取り返しにいこうとしても手段が無かった。ジャミルは新連邦政府なら宇宙進出のための準備を進めているはずだと言った瞬間、バルチャーサインが打ち上げられる。エニル・エルが宇宙軍秘密基地の情報を持って現れたのである。エニルはニコルの誘いを受け、宇宙軍秘密基地の情報を知ったのである。そこでティファの情報を得て、フリーデンに来たのであるが、一足遅かったという訳である。
娯楽室で一人酒をあおるエニル。そこに現れるガロード。「どうして助けてくれる気になったんだ。」「色々あったって言ったでしょ。」話続けるエニル。ガロードの未来を信じる気持ちに揺り動かされたことも、そして気持ちに負けてしまったことも。そしてガロードに約束させる。ティファを連れて、必ず生きて戻ってくることを。
フリーデンは第8宇宙軍基地に着いていた。その第8宇宙軍基地と連絡が取れないということが新連邦政府に連絡されていた。様子を見るためにフロスト兄弟達がいる部隊に出撃命令が出る。
亡命希望ということで潜り込もうとしたものの、ガロードは受け入れ拒否にあっていた。そこでジャミルは提案する。ダブルエックスを研究材料として持ち帰れば良いと。宇宙革命軍にとっては願ってもいない申し出である。ガロードは宇宙に行けることになる。ガロードがフリーデンのみんなに別れの挨拶をしている最中に、新連邦軍が攻撃を開始してきた。フロスト兄弟は、そこにフリーデンを発見した。「今日こそフリーデンを沈める」と心に誓うシャギア。ガロードを宇宙に送り届けるため、宇宙革命軍と共に戦うジャミル、ロアビィ、ウィッツ、エニル。発進準備に手間取る宇宙戦艦。新連邦軍の戦艦から過粒子ビーム砲が撃たれ、炎上する格納庫。その炎から現れる宇宙戦艦。その戦艦に過粒子ビーム砲の照準が向けられていた。それを阻止すべく、特攻をかけるフリーデン。戦艦に突っ込むフリーデン。フリーデン、爆発。サラやトニヤ達はバギーで脱出する。上がるシャトル。「飛べ」「飛べ」「飛べ、ガロード。」みんなの願いを乗せて、宇宙戦艦は視界から消えていった。「しっかりね。坊や。」
その頃、ティファを乗せたシャトルは、コロニー、クラウド・ナインに到着していた。
第32話 「あれはGファルコン!」 ガロードを乗せた宇宙戦艦はクラウド・ナインに向け、順調に航行していた。宇宙が初めてのガロードははしゃぎっぱなし。そこでガロードは革命軍の同士よりニュータイプ理論を聞かされる。
クラウド・ナインでは、ザイデル総統閣下の前にティファが連れてこられていた。ティファはニュータイプである自分を理解してくれているのを感じる一方、強引に連れてくるというその方法に嫌悪感を抱いている様子。さらにこのコロニーが戦場になることを悲しんでいるようでもある。
ガロードの船ではクラウド・ナインとの通信が復活したことに湧いていた。総統はクラウド・ナインに直接来るのではなく、ダブルエックスと宇宙戦艦を第7番軍事コロニーに降ろしてから来ることを命じる。更にガロードはスパイの疑いもあるので、ダブルエックスとともに拘留と命令した。ガロードはティファのいるコロニーに辿り着く前にダブルエックスを手放さないために、行動に出ることにする。
ランスロー大佐は総統の命令を受けて、第7番軍事コロニーへ、ガンダム引き取りに向かう。彼こそ、前の大戦でジャミルと戦った、因縁の敵なのである。ガロードはコロニーに入った瞬間、ブリッジを制圧。クラウド・ナインへの航路データを奪取し、宇宙戦艦より逃走。だが、ランスロー大佐の部隊が到着し、ガロードは足止めを食うことになる。不慣れな宇宙戦で、苦戦するガロード。だが、短時間で慣れていくガロードの前に、撃破されていくモビルスーツ。最初は出るまでもないと思っていたランスローであったが、ガロードの短時間での上達ぶりに、自ら出撃していく。コクピットへの集中攻撃を受けるガロード。ダブルエックスはその攻撃に耐えられず、次々とダメージを受けていく。敵を欺き、稼働不能になっている不利をして逃げだそうとしたガロードであったが、ランスローの一撃を受け、気絶してしまう。
ガロードに似た気を感じていた、ティファ。気絶した瞬間のガロードの気を、確かに感じ取ったようである。
そこに現れる戦闘機。「どきな、この雑魚メカども。」「あれは、Gファルコン。15年前の連邦の機体がなんでこんなところに。」Gファルコンはダブルエックスに近づきドッキング。「いただき、そしてさらば。」ランスローの目の前から去っていくGファルコン。パイロット、パーラ・シスが操るGファルコンはある宇宙戦艦へ向かっていた。「おい、パイロット?生きているか?っけ、もう死んでいるのかよ。」
第33話 「どうして俺を知っている!?」 サテリコン、クラウド・ナインに対する反政府組織であり、その基地にガロードが運び込まれていた。手術室に運ばれるガロード。
クラウド・ナインではザイデル総統を先頭に宇宙革命軍のパレードが行われていた。その中にいるティファ。ティファは危険を感じた。パレードの中止をニコラに告げる。パレードの中止をザイデルに訴えるニコラ。だが、総統は聞く耳を持たない。その瞬間、先頭の車両が地雷により大破。総統はティファの力を認めるとともに、その地雷をしかけたサテリコンに対し、掃討作戦の発動を宣言する。
ガロードは治療室で目が覚める。パーラ・シスより5日も意識不明であったことを聞かされる。5日も寝ていたことを聞かされ、すぐに出発しようとするガロード。だが、体もいうことを聞かず、そしてダブルエックスも破壊されたままであった。ガロードはパーラに言う。「頼みがある。」「修理しろっつうの?」「そうだ。」「私たちの仲間になるっていうならいいぜ。」「仲間?」「そう。私らサテリコンの仲間になって、クラウド・ナインと戦うっつうなら、修理してやってもいいけど。」「わかった。」「商談成立。これでお前って、自動的に私の相棒になるわけだから、そこんとこよろしく。」ガロードの肩を叩きながら言うパーラ。「はあ?なんでそうなんの?」聞き返すガロード。「だって、そういうシステムなんだもん。ほら、あれが私のGファルコン。スクラップ同然で宇宙に漂っていた連邦の機体を基にして作ったんだぜ。」」「それと相棒と、どういう関係があるんだ?」「だから、あんたのガンダムと私のGファルコンは合体するのさ。」「ええっ」その言葉に驚くガロード。
ロイザー司令にガロードが仲間になってくれたことを報告するパーラ。パーラは妙に浮かれていた。同年代の人間が今までいなかったからであろう。ガロードの所に食事を運んできて、何をぼぉーとしているのかと尋ねるパーラ。「ティファって奴のこと考えていたんだろ。」「ど・どうしてティファの名を。」「寝言で何遍も言ってたぜ。ティファー、ティファー、ティファって。恋人?」赤くなりながら答えるガロード「そんなんじゃねえよ。そんなんじゃないけど。。」「けど?」「大切にしたいって思える娘なんだ。」ガロードの背中を思いっきり叩くパーラ。「ばーか。まともに答えてるんじゃねえよ。」咳き込むガロードを笑って見つめるパーラ。ガロードはパーラになぜサテリコンにいるのかを尋ねる。昔の境遇を話し始めるパーラ。パーラは難民船で生まれた最初の子供。その難民船がサテリコンに保護されたのがその経緯。地球も同じような状態であったことを話すガロード。そしてティファも同じ年で同じような境遇だったと聞き、「そうか」と答えるパーラ。
サテリコン秘密基地である資源衛星を前にして、ランスローはザイデルに作戦中止を進言する。ランスローは来るべきダリア作戦の実験として、サテリコン攻略を選んでおり、そのやり方が気に入らないときっぱり言う。ザイデルはたかだか一兵卒のランスローにそのようなことを言われる筋合いはない、と取り合おうともしない。
ザイデルの部屋から戻ってきたランスローに近寄るティファ。「君か?今、私の心に触れたのは?」ランスローの言葉にうなずくティファ。「そうか。君が地球から来たニュータイプか。」「あなたに合いたいと思ってました。あなたはジャミルに似ている。」「なんだと?ジャミル・ニートを知っているのか?」驚くランスロー。
ダブルエックスの修理が終わり、ガンダムにほおずりをするガロード。そのガロードにノーマルスーツを渡すパーラ。そこに爆発の震動。クラウド・ナインの攻撃が始まったのである。サテリコンもモビルスーツ部隊を出撃させる。だが、クラウド・ナインの新型モビルスーツは、サテリコンのモビルスーツの性能を凌駕していた。そんななかでガンダムを探すランスロー。
ティファはザイデル総統とディナーをとっていた。その席で、ティファは「あなたが使おうとしている力を捨ててください。」と頼む。「断る。」ただ、それだけしか答えないザイデル。
調整が終わったダブルエックスは、Gファルコンとともに出撃する。だが、サテリコン側の戦艦は、クラウド・ナインの攻撃に耐えられず沈む。新型モビルスーツの圧倒的な能力により、サテリコンはおされつつあった。戦いの中で出会ってしまうガロードとランスロー。ダブルエックスを押さえつけるランスロー。「貴様がガロード・ラン」「どうして俺を知っている?」驚くガロード。「質問に答えろ。ジャミルは?ジャミルニートは今、どうしている。」「えっ?」言葉が出ないガロード。。。「それじゃ、ティファが俺に会えって言ったんだな。」ようやく状況が飲み込めたガロード。「そうだ、だからお前に聞く。ジャミルはまだ連邦軍にいるのか?」「まさか、その反対だぜ。」「なんだと?」「ジャミルは戦っている。ニュータイプを戦争に利用させないために、過ちを繰り返させないためにだ。」「ジャミルが、ニュータイプのために?」「おいおっさん。こっちの質問にも答えろ。ティファは今どこにいる?」「ティファ・アディールのことか?」「当たり前だろう。俺はティファを取り戻すまで、地球に帰るつもりはないんだ。」「まさかお前、あの娘を追って、宇宙に来たのか」驚くランスロー。たった一人の少女のために宇宙まで来たガロードが信じられなかったのだ。そこにGファルコンがやってくる。「ガロード。」パーラの声。攻撃を受け、その場を離れるランスロー。「戦っているのか、ジャミルも、あの少年も。」そんなときにランスローのもとに過粒子反応弾を使うので、その場から離れろと命令が出る。資源衛星に向かって発射される過粒子反応弾。
「ガンダム。そこからすぐに離れろ。」ランスローからの通信。その瞬間、資源衛星に反応弾が着弾。崩壊していく衛星。だが、なかなか衛星から離れようとしないガロード。ダブルエックスのバーニアが点火しないのである。パーラはGファルコンをダブルエックスとドッキングさせ、その場から離脱する。「はぁー助かった。サンキュー、パーラ。」だが、パーラからいつもの明るい返事がない。「ガロード、よく見ておけ。革命軍の本当の恐ろしさはこんなもんじゃない。それにしてもだせえよな。また故郷が消えてしまうなんてな。」涙が止まらず、バイザーを上げるパーラ。
サテリコンがなくなった今、ダリア作戦、コロニーレーザーを使った地球への直接攻撃がまさに発動されようとしていた。
第34話 「月が見えた!」 準備が進むコロニーレーザー。クラウド・ナインでは先日のパレードでの事件以来、みなのティファへの関心が強まっていた。ザイデルとの対立の構図が出来つつあるティファ。
サテリコン壊滅により行き場を失ったガロード達は、無人レスキューステーション1107、ドッジベイに身を寄せていた。ガロードは宇宙革命軍のコロニーレーザーを示すマップを見つめていた。突然、マップ上のある地点を指さすガロード。「これ使えないかな。いや、使える。」パーラの方を見て微笑むガロード。
花畑を見つめるティファに声をかけるランスロー。ランスローはサテリコン壊滅作戦の功績を認められ、総統から勲章をもらうために呼ばれたのである。ティファはランスローからガロードが無事であったことを聞き、安心していた。ランスローはもしもっと早くにガロードやティファと会っていれば、ジャミルのようなことをしていたかもしれないと漏らす。「今からでも遅くはありません。未来は自分で切り開くもの。ガロードは私にそう教えてくれました。」ティファはランスローに言う。「それがニュータイプのかいま見た未来だとしてもか。」ランスローは尋ねる。「はい。」そこにランスローを呼びにニコラが現れる。ザイデルが苦手なランスローは、ニコラとティファに勲章授与の立ち会い人として一緒に来て欲しいと頼む。
 
式典でザイデルよりの勲章授与が無事に済み、ザイデルとともにお茶を飲む4人。ザイデルはダブルエックスの行方を気にしていた。ランスローは資源小惑星の爆発に巻き込まれたのだろうと答える。ティファに向かって、「だそうだ。」と言うザイデル。「これで君を助ける者はいなくなった。君の未来は私の手の中にある。」「未来は誰の者でもありません。」反論するティファ。側近が戒めようと動くが、それを手で抑えるザイデル。「ティファよ、君のその強さはどこから来る。自分がニュータイプであるという信念からか。」「違います。私は自分をニュータイプであると思ったことは一度もありません。」「そうだろうな。君は力こそあるが、ニュータイプとは思えない。ニュータイプとは、この宇宙が人間を変革させて、初めて成立するもの。高度な認識力も洞察力も、宇宙に生きることによって初めて露呈される人の本質。地球で発生した君を、私は突然変異と認識している。」ニコラはそれについて反論とも言えるコメントを挟む。机を叩くザイデル。「だからこそ、私はこの少女を認める訳にはいかんのだ。我々スペースノイドの信じるニュータイプこそ、真のニュータイプ。たとえどんなに力があろうとも、我々は認めねば、それはニュータイプではない。そして私がニュータイプを正しく定義する者なのだ。」
突然立ち上がるティファ。「あなたの中に、確かに何かを感じます。それはとてつもない力を秘めた存在。あなたが、いえあなたたちの中には、確かにそれは存在している。私もいずれそれに触れる。全ての源、ニュータイプの真実、憎悪、あこがれ、呪縛。DOME?」そう言い倒れるティファ。すぐにランスローが駆け寄り、ティファを抱きかかえる。気を失ったティファを驚きの顔を持って見つめるザイデル。ザイデルはティファをダリア作戦に連れて行くと言い始めるが、いつか殺されることになるだろうと感じているニコラとランスロー。ティファを寝かした部屋で、ティファを連れてきたことを後悔し、元居た場所に帰したいと話し始めるニコル。ランスローはまだ生きているガンダムに望みを託そうと考えていた。
ダリア作戦がついに開始された。ランスロー艦隊を従え、ザイデル総統自ら、コロニーレーザーに向けて出発した。その動きはガロードとパーラもつかんでいた。ティファ奪取のためにステーションを後にする2人。地球の裏より月が見える位置まで来たガロード。「見えてきた。あと、少しだ。」月がほとんど見える位置まで来たガロード。「よし、月が見えた。」
ダブルエックスを停止させ、サテライトキャノンの発射準備をするダブルエックス。パーラはガロードの指示の通り、コロニーレーザーの斜線上をGファルコンで進んでいた。「見えたぜ。」パーラの目にはコロニーレーザーがはっきり視認できるようになっていた。コロニーレーザー側でGファルコンの存在を探知する。そのとき、ダブルエックスからサテライトキャノンが発射される。「来る。」叫ぶティファ。サテライトキャノンはコロニーレーザーの上方をかすめていった。損害率は0.1%。ただザイデル総統への伝文メッセージが届いていた。「読め。」と命令するザイデル。「親愛なる総統閣下へ。我らはティファ・アディールの身柄の引き渡しを要求する。この要求が受け入れられぬ場合は、コロニーレーザーを破壊する。以上。サテリコンの亡霊、パーラ・シス、炎のモビルスーツ乗り、ガロード・ラン」サテライトキャノンの連射などできるものかと高をくくろうとするザイデル。そこに第2射が接近する。遠距離でも微妙に外すガロードの腕。ザイデルは要求を受け入れ、Gファルコンのパーラの元にティファを連れて行く。Gファルコンに渡されるティファ。「あんたがティファか。」「あなたは?」「ガロードのだちだよ。速くのんな。」
ザイデルは即座にガンダム討伐隊を組織した。「さあ、ガロード。愛しのティファは戻ったぜ。」通信を送るパーラ。「作戦成功か。よかったティファ。よーし、最後の仕上げといくぜ。」
ガロードの放った第3射はコロニーレーザーを直撃させる。コロニーレーザー爆発。「嘘つきで悪かったな。総統閣下さんよ。」「サテリコンのみんな、見えるかい?ガロードがやってくれたよ。」Gファルコンから涙ぐみながら見つめるパーラ。ガロードはその手にティファを取り戻し、手を取り合って喜び続ける。
その後ガロード達は消息不明。ランスローとニコルはダリア作戦が振り出しに戻ったことに、喜びを感じていた。一方、ガロード達はGファルコンを使って、地球へ戻ろうと考えていた。地球に近づくGファルコン。ところが突然Gファルコンを襲ってくるビーム。「あ、あれは。」「ガロード、一体こいつらは。」「新、連邦軍だ。」
「よくぞ戻った、ガロード・ラン。」「僕たちが祝福するよ。」Gファルコンの行く手を遮るフロスト兄弟のガンダム。
第35話 「希望の灯は消さない」 ガロード達目がけて襲ってくるフロスト兄弟のガンダム。Gファルコンはガンダム・アシュタロンに、そしてダブルエックスはガンダム・ヴァサーズに苦しめられる。ガロードにシャギアが言う。「無駄な戦いは止めるのだな。仲間の二の舞を踏みたくなければ。」「なんだと?ジャミル達をどうした?」「彼らは収容所送りとなった。」
走る列車の中にフリーデンの乗組員達がいた。行き先はシベリアの強制収容所である。ジャミル達は信じていた。ガロードがティファを連れて戻ってくると。
Gファルコンはアシュタロンに捕まってしまう。コクピットを握りつぶそうとするオルバ。ガロードはそれを見てフロスト兄弟に降伏する。地球に降ろされたガロード達。軍事基地でパーラは監禁され、ガロードとティファはブラッドマン卿のところに連れて行かれる。先に部屋に通されるガロード。ブラッドマン卿は、コロニーレーザーの破壊について、まずは礼を述べる。そして宇宙でガロード達は何を見てきたのかを話して欲しいと告げる。ガロードはジャミル達の解放を交換条件にする。しばらくしてブラッドマン卿の部屋にティファも連れてこられる。ティファに対してザイデルと対面したときの話を聞かせてくれるよう頼むブラッドマン。「お断りします。」きっぱりと告げるティファ。「ガロード。この人は初めから約束を守るつもりはありません。」ガロードはティファに耳打ちする。心の奥底に何があるのか知りたいと。「わかったわ。」そう答えるティファ。目を閉じるティファ。ザイデルの時と同じように、心の奥底に、月のDOMEを見つけるティファ。「DOME。月のDOME。」驚いた顔で立ち上がるブラッドマン卿。苛ついた様子でティファをどなりとばすブラッドマン。「もう、いい。ティファ・アディール。君は力の使い方を誤った。もっともそれは、ニュータイプというものの悪い癖なのかもしれんがな。」「私は、自分を。。」「君たちニュータイプに力があることは認めよう。だが、使いこなす術がない。だからこそ我々がその力を正しく使う道を示そうというのだ。」「道具になれってことかよ。」ガロードが今度は反論する。「そうだ。ニュータイプは人の革新であるかどうか、私にはわからん。わかりたいとも思わん。ただ必要なのは確固たる力だ。その力をもって、我々人類に利益をもたらす。それがニュータイプの存在意義だと思っておる。だが、あの男はそれを否定した。」「あの男って。」「ジャミル・ニートだ。彼は我々に従おうとはしなかった。我々を受け入れれば死なずにすんだものを。」「なんだと。まさかジャミル達はもう?」立ち上がったガロードを止めるティファ。「大丈夫。あの人がいます。」
ジャミル達の乗った列車が突然停止した。ジャミル達は列車を降ろされ、穴に沿って並ぶことを要求される。塹壕にそって並ぶジャミル達。「小隊一歩前へ。射撃用意。」銃を構える兵士達。そこに現れるベルティゴ。「希望の火は消さない。」カリスはそう言い、攻撃を開始する。寸前のところを助けられたジャミル達も、銃を奪い取り反撃に出る。なんとかその場を鎮圧したジャミル達。カリスはさらに連邦軍に奪われたガンダムも運んできたのである。そこに襲いかかってくる新手の新連邦軍。ジャミル、ウィッツ、ロアビィはガンダムに乗って戦い始めた。一気に新連邦軍を殲滅するジャミル達。カリスは北米大陸の反政府組織のリーダーとして活動をしていた。ジャミル達の情報が入ってきたので、駆けつけたという訳である。さらにジャミル達に、ガロードとティファが既に地球に戻ってきていることも知らせる。ガロード達は連邦総司令のもとに送られたことを教える。「会いに行きましょう。あの2人のところへ。」
ガロード達はブラッドマン卿の屋敷に監禁されていた。鍵をやぶってガロードとティファは脱出。その頃ブラッドマン卿のもとにはフロスト兄弟が来ていた。連邦議会はコロニーとの和平工作を考えているが、ブラッドマン卿は地球とコロニーの双方を統治できるとかつぐフロスト兄弟。地球との和平はクラウド・ナインの人々も同じ考えであった。だが、それを断固として許そうとしないザイデル総統。
軍事基地で寒さに震えながら、監禁されているパーラ。そこにガロードが助けに現れた。パーラを連れだし、ダブルエックスとGファルコンのハンガーまで辿り着く。「さあ、行くぜ。」
第36話 「僕らが求めた戦争だ」 ダブルエックスを奪取したガロード達は、ティファの力を借りてジャミル達と合流することを考えていた。フロスト兄弟のガンダムがスクランブルで出撃する。カリス達もガロードが脱出し、こちらに向かっていることを察知していた。ティファの力でなんとか敵に会わずに進んでいたものの、ついにフロスト兄弟に捕まってしまう。ダブルエックスはヴァサーズとアシュタロンの2機を相手に苦戦。「もう少し我慢して、みんなが来るから。」そう言うティファ。その言葉の通り、ジャミル達がガロードの戦っている場に向かっていた。
油断したダブルエックスを捕まえるアシュタロン。「これで最後だ。」ヴァサーズが斬りかかろうとした瞬間、ティファが言う。「間に合いました。」ヴァサーズが攻撃でよろける。みんなが来てくれたのだ。フロスト兄弟は撤退をしようとする。そこに斬りかかるガロード。ダブルエックスのビームサーベルを受けるオルバのアシュタロン。「覚えておけよ、ガロード・ラン。再び戦争が起きたなら、それが僕ら兄弟の勝利だということを。」「なんだと。」「次の戦争は、僕らが求めた戦争だ。」ガロードの前を去っていくフロスト兄弟。追おうとするガロードだったが、ジャミルの言葉に思いとどまる。
ガロードとの再会を喜ぶみんな。そしてパーラをみんなに紹介する。ガロードは色々とみんなに話をする。しかしみんな「DOME」という言葉は聞いたことがなかった。そしてランスローの話に。「あの男とは、幾たびも戦場で相対した。そして私は、いや。」ジャミルは言葉を濁す。「未来を見たのですか?」ティファが代わりに言葉を投げかける。「そのときの体験が今の私を動かしている。あのとき垣間見た未来を忘れることができないのだ。」
ガロード達はニュータイプがなんなのかについて話していた。ティファはついに「私は自分をニュータイプと思ったことはありません。ただ、自分の力が災いの源になるので、それが怖くてずっと逃げてきました。でも、不思議なんです。ガロードと一緒にいるとその怖さを余り感じません。それよりも、自分の力の正体が知りたいとさえ思うようになりました。」ガロードが続ける。「俺もニュータイプが何なのかこの目で確かめたい。なぜだかわからないけど。」「それはきっと、世界を感じ始めたからでしょう。」カリスがガロードの疑問に答えるように話し始める。「世界?」「君たちはこれまで、様々な体験を果たしてきました。それらの体験が答えを求めているんですね。」「ニュータイプに対する答え?」「それを明らかにすることが、あの戦争の終わりに生まれた、僕たち世代の果たすべき役目かもしれません。」そこにキッドがパーラに追われて入ってくる。どうも、パーラの承諾なしでキッドが勝手に改造したらしい。
フロスト兄弟は、ブラッドマン卿の前で、ダブルエックスを取り逃がしたことを報告する。ブラッドマン卿は問う。自分に地球とコロニーの両方を統率できるだけの器があるかと。フロスト兄弟はブラッドマン卿に未来を感じたからこそ、同胞をあやめ、ここに辿り着いたと吐露する。ブラッドマン卿も本音を語る。ブラッドマン卿は、コロニーは地球に隷属すべきだと思っていた。そしてニュータイプを人の革新だと認めたくないと思っていた。そしてニュータイプは我々の力の為にあるのだとフロスト兄弟に告げる。「賛同致します」とすぐに返答するシャギア。ブラッドマン卿に秩序ある世界を求めるフロスト兄弟。だが、心の中では、全く違うことを感じていた。「かかったな」シャギアはテレパシーでオルバに送る。
ジャミル達はニューオリンズ基地にたどり着いていた。基地に降り立ち、感動するガロード。カリスは来るべき宇宙への出撃に向け、地下にあった宇宙船の修復作業も急いでいることを明かす。何はともあれ、フリーデンのみんなに宿舎を用意し、ここまでの労をねぎらうカリス。ジャミルはその言葉に甘え、新しい世界を考えるための時間が欲しいとカリスに言う。カリスも世界の行く末を考え、何時までもここにいていいのかどうかを考えていると述べる。
クラウド・ナインでは、未だ地球との和平を模索していた。ザイデルに和平を進言し続けていたニコラは、政治犯として逮捕されてしまった。ニコラは密かに地球からの和平交渉を期待していた。だが、ブラッドマン卿は和平反対派であった。和平推進派の新連邦政府首脳の乗せた航空機は、フロスト兄弟の攻撃により墜落してしまう。ブラッドマン卿は、フロスト兄弟がその航空機を沈めたことに勘づく。だが、それ以上追求しないブラッドマン。
ニューオリンズ基地では、Gファルコンをレオパルドにドッキングさせ、テストを行っていた。ご機嫌のロアビィ。そこにカリスが新連邦が動いたという知らせを持ってくる。ついに戦争が始まる。ガロードは、こないだの戦いでフロスト兄弟が言っていた言葉を思い出していた。「あいつらが、あいつらが動いたんだ。」クラウド・ナインめざし、動き始めた新連邦艦隊。
第37話 「フリーデン発進せよ」 北米の反政府基地で、戦争が始まることを知ったフリーデンの乗組員達は、前の戦争のことを思い出し、辛気くさい顔をしていた。ティファの言葉から考えても和平はあり得ないということであり、ガロード達は戦争開始を覚悟していた。
クラウド・ナインでは、ランスローがニコラからの最後のメッセージを聞いていた。ニコラは政治犯として処刑をされたいたのである。ザイデルは自ら出撃した。月のDOMEがある場所に向けて。その情報はブラッドマンの耳にも届いていた。それを聞き、ブラッドマンも自ら出撃することにする。
新連邦軍に引き続き、革命軍も動いたことを知り、覚悟をするジャミル達。トニヤは、ウィッツよりプロポーズを、そしてサラはロアビィからプロポーズを受けていた。トニヤは返事を考え、サラはジャミルの返事を待っていたために、ロアビィへの返事は出来ずにいた。ティファは月を一人でみていた。そこに現れるガロード。ティファは言う。「もう寂しくない。ガロードと一緒だから。」と。優しく肩を抱きしめるガロード。「たとえ地球がめちゃくちゃになっても、俺、ティファのこと守ってやる。」「私も、何が起きてもガロードのそばを離れない。」「戦争なんて起きなければ。。。ガロード、約束して。死なないって約束して。ずっーと一緒にいるって約束して。もう一人になるのは、私。」月明かりの下で優しく唇を合わせる2人。
翌日、ティファの容態がおかしくなる。死んだように眠り続けているのである。ティファはDOMEに導かれていた。DOMEはティファの望みをかなえるためには、自分の元に来いというメッセージを送る。その夢から覚め、目を開けるティファ。そしてこう告げる。「お願いがあります。私を月に連れて行ってください。」
宇宙革命軍は、旧連邦軍の月面基地を破壊すべく、針路を月にとった。カリスは反政府組織が持つ宇宙戦艦を借りることについて交渉を続けているが、難航している様子。革命軍に先を越されたとがっかりするガロード。「大丈夫。誰も月に近づけないわ。」そのように話すティファ。月面基地には自動防衛システムがあるため、簡単に制圧できるものではないのだ。
宇宙革命軍が月面基地に攻撃をしかけようとした瞬間、自動防衛システムが発動する。近づけない革命軍のモビルスーツ。さらにビットモビルスーツまで登場し、革命軍のモビルスーツはことごとく破壊される。「なぜだ、なぜDOMEは受け入れない。」愕然とするザイデル。そこに新連邦軍の艦隊も近づきつつあった。
カリスは上層部の決定を待たず、宇宙戦艦を勝手に動かし始める。つまり宇宙戦艦の奪取である。キャプテンシートに座るジャミル。カリスに問う。「この船の名称は?」「フリーデンです。」答えるカリス。「了解した。」エンジンに灯が入るフリーデン。「フリーデン!発進せよ。」マスドライバーを駆け上がり、宇宙に上昇していく宇宙戦艦、フリーデン。目的地は当然、月面基地。DOMEの所に辿り着くために。。
第38話 「私はD.O.M.E・・・
かつてニュータイプと呼ばれた者」
新連邦軍と宇宙革命軍が月軌道上での交戦が始まっていた。ブラッドマン、ザイデル双方が直接指揮をとる総力戦。その中には明らかに別目的で参加しているフロスト兄弟もいた。
フリーデンは月軌道に向け進んでいた。一通りの作戦内容をサラが説明した後、ジャミルはもう1つ目的があるとみんなに話す。それは、「生き残ることだ。」と付け加えるジャミル。「生き残ること?」とつぶやくガロード。そして「死んだら負けだぞ諦めるな。」と後を続ける。
デッキでは、ウィッツとロアビィが必ず帰ってくると気合いを入れていた。エニルは、この旅がニュータイプを探すものであれば、DOMEに会いさえすれば最後の任務になると2人に話す。ガロード達も含め、みんなが戦いが終わった後の思いを巡らせていた。
フロスト兄弟は、たまたま出会ったランスローと戦っていた。そこに突如マイクロウェイブの光。両軍ともサテライトキャノンを恐れ、一時撤退する。サテライトキャノンはダブルエックスによる脅しであった。月までの道が開く。エニルを残し、月に向かって飛び立つみんな。ガロードとティファが乗るダブルエックス、カリスのベルティゴ、ジャミルのエックスの3機で月をめざしていたが、フロスト兄弟に行く手を阻まれる。フロスト兄弟の激しい憎悪を感じ、苦しむティファ。「あの人達の心に激しい憎悪を感じます。世界を滅ぼしても有り余るほどの憎しみを。」ダブルエックスはシャギアとオルバに捕らえられた。
シャギアとオルバが代わる代わるガロードに話す。「我々こそ世界の中心にある存在だと、分からせるためだ。」「僕たちに生まれながらに力があった。」「だが、その力はフラッシュシステムに対応しなかった。」「たったそれだけの理由で、僕たちは黙殺されたんだよ。」
ガロードはフロスト兄弟に反論する。「それが、世界を変えようとする理由か。」
続けるフロスト兄弟。「貴様には分かるまい。人を超える力を持ちながら、評価を受けぬ者の苦しみは。」「僕らが味わった屈辱、そして絶望。それは、この世界の滅亡と引き替えにしてこそ癒される。」「そして全てが破壊しつくされたなら、新たな秩序が築かれるのだ。」「それが僕らの求める、正しき未来だ。」
「そんな勝手な理由が、あるもんか。」怒るガロード。フロスト兄弟を振りきるダブルエックス。「俺は貴様らを認めない。」「誰だってつらいことや、悲しみことを考えて生きているんだ。」「そんな勝手な理由で世界を滅ぼされてたまるか。」フロスト兄弟のガンダムを殴り続けるダブルエックス。オルバが言う「貴様などにわかるか。僕らの悲しみや憎しみが。」「わかってたまるか。」更に攻撃を続けるダブルエックス。「世界が我らを黙殺するから、我らは世界を滅ぼすのだ。」シャギアはそう言いながら、ついにダブルエックスを捕らえる。アシュタロンがダブルエックスを羽交い締めにし、ヴァサーズが過粒子ビーム砲を放とうとした瞬間、ジャミルのエックスが、盾となるように滑り込んでくる。「来ちゃ駄目。」ティファが叫ぶが、時すでに遅し。シャギアはビーム砲を発射しようとする。その瞬間、ランスローの攻撃により、アストロンは攻撃をし損ずる。その隙に月に向かうダブルエックス。「ランスロー、力を貸してくれるのか。」ランスローに尋ねるジャミル。「私もあの2人に賭けてみたくなってな。」そう答えるランスロー。2人の連携攻撃が始まり、かつカリスもそこに加わる。「頼んだぞ、ガロード。」2人を見送るジャミル。
マイクロウェーブ送電施設に近寄り、ビットモビルスーツに誘導され、ダブルエックスは着陸する。「ティファ、みんなをここに。」目を閉じるティファ。「真実を知るべき人たちを、ここに導いてください。」飛び立つビットモビルスーツ。ビットモビルスーツは、導くべき者達を捕獲していく。唯一従わないのがフロスト兄弟。自分達を捕獲しようとするビットモビルスーツをことごとく破壊していく。
DOME内で待つガロードとティファ。ついに役者がそろう。ブラッドマン、ザイデル、そしてフリーデンの面々。ジャミルが言う。「ここがDOMEなのか?」そして、ザイデルと共に来たランスローと握手をする。
「答えろ、ブラッドマン。ここが、いやこれが、本当にそうだと言うのか?」ザイデルはブラッドマンに問う。「そうだ。このDOMEが、いやこの月面基地のシステム全てがファーストニュータイプそのものなのだ。」答えるブラッドマン。
フロスト兄弟は、停戦命令を無視して、単独行動を開始する。突入部隊を送電施設に送り込むフロスト兄弟。
ザイデルは、ファーストニュータイプを恐れ、細胞レベルでDOMEに埋め込んだ地球連邦を責め、そしてブラッドマンはニュータイプを宇宙移民と結びつけ、増長しているのを止めるために埋めたと宇宙革命軍を責め合う。そこにジャミルの「黙れ」という一喝が飛び。「私は自分が何者であるかを追い求めてここまでやってきた。答えはまだ見付かっていない。だが、これだけは言える。ニュータイプは神ではない。主義・主張を語る道具ではない。ましてやオールドタイプに利用される存在でもない。ニュータイプの命を奪い、このような姿にする権利など、誰にもないはずだ。」言い切るジャミル。
そこにティファが続く。「いいえ、彼はまだ死んではいません。DOMEはまだ生きています。DOME、私の心を感じてください。そして全てを明かしてください。」
内壁が光り始める。驚くみんな。ランスローはそんな中でジャミルに話しかける。「戦いながら考えていたんだ。我々は、どこで道を踏み誤ったのか、ってな。」「答えは示さないんだ。15年間探し求めてきた、その答えを。」
「私はD.O.M.E・・・かつてニュータイプと呼ばれた者」どこからともなく声が聞こえる。
第39話 「月はいつもそこにある」 フロスト兄弟、反乱。マイクロウェイブ送電施設は、フロスト兄弟の部下達の手によってDOMEより切断された。自動防衛システムは完全にフロスト兄弟の手に墜ちた。マイクロウェイブ送電施設がマニュアルモードに切り替わったとの連絡を受け、オルバはアシュタロンのサテライトランチャを展開させる。そのサテライトランチにヴァサーズをドッキングさせるシャギア。ヴァサーズガンダムの背中より放射板が開く。「ジャミル・ニートはこの引き金を引いて、心に深い傷を負った。ガロード・ランは引き金を引こうともしなかった。」引き金に手をかけるシャギア。「けれど、僕らは違う。ためらいも後悔もない。」
「マイクロウェイブ、照射開始」ヴァサーズに向かってマイクロウェイブが照射される。
 
ガロード達は光の渦の中にいた。「はっ」「ガロード」ガロードに近寄るティファ。「ティファ、これは?」
「一体どうしちまったんだ?」「夢でも見てるっていうのか?」ウィッツとロアビィの問いかけ。「集団幻覚?」とドクターゲイツが言えば、「それにしては現実味がありすぎるわ。」エニルがそう言う。「何だっていうんだこれは?」キッドが問えば、「私に聞くなっつうに」とパーラは払いのけ、「僕にもわかりません。でも、あの2人が導いてくれた場所です」とカリスがガロードとティファの方を見て答える。
光の渦に大きな光が現れ、ガロード達の方に迫ってくる。
「誰か説明しろ。ここは一体どこなのだ。」うろたえるブラッドマン。「あの輝きの意味するところは。」ザイデルが疑問を投げかける。「あれがDOME。肉体を失ってもなお存在する、ファーストニュータイプと呼ばれるものの意思。」ティファがそう言う。「ここがティファの求めていた場所なんだな。」ガロードはティファに話しかける。「ええ。私は過ちを繰り返させたくない。この戦争がニュータイプをめぐる人々の対立で起こるのなら、それが何なのかみんなに知ってもらいたい。それに私自身も知りたいの」と答えるティファ。光の球体はティファの手の中に収まる。
 
「よくここに辿り着いたね。ティファ・アディール。」「みんながわかってくれたから。」「拒絶した人もいるね。」「ええ。真実よりも戦争を求めているんです。」「戦争、よくも飽きずに続けるものだ。ニュータイプを神と等しくする崇拝するも、封印し、力を利用しようとするも、かつて力を持っていた者、みんなそれぞれにニュータイプという言葉を捕らえている。そしてそれがまた、次の戦争の引き金となろうとしている。。でもそれは、ある意味では仕方がないことかも知れぬ。僕らはニュータイプという幻想で繋がった世代なのだから。」
「ニュータイプは幻想だと言うのか。」その言葉に思わず言葉を出すジャミル。「馬鹿な。」続くブラッドマン。「ファーストニュータイプ自らがなぜそのようなことを言う。己を幻と定義するなら、この超常はどうに説明する。」疑問を投げかけるザイデル。
「それは僕にある力によるものだ。」答えるDOME。「その力こそ、人の革新。ニュータイプと呼ばれる力ではないのか?」ジャミルはそのように反論する。「そう思いたい気持ちは理解できるけど、残念ながらそれは違う。人を超えた力と人の革新とは別のことなのだ。」ジャミルに教えを諭すようなDOME。
 
「かつて僕らは全ての価値観を失っていた。道を示すべき大人は沈黙し、平和と豊かさの中で、僕らは何かを求めて続けていた。そんな世界で戦争が起きた。やがてここが生まれた。僕になぜ力があったのか?それは僕自身にも分からない。人が言うように、時代が生んだ突然変異だったのかもしれない。だけど、僕の力は、道を失った人たちにとって新たなる価値観となってしまった。それがニュータイプという言葉だった。僕の終わりと共に、ニュータイプという言葉も消えるべきだった。けれどそれにとらわれた人たちは、その次を求めてしまった。」
「ニュータイプは未来を作らないのか。」DOMEの言葉に疑問を投げかけるブラッドマン。「そうだ。それと同時に過去にしがみつき、それを利用することしか考えなかった者にも未来は作れない。」愕然とするブラッドマン。
「私にとって、ニュータイプとは信じるべきものなのだ。今になって否定しろと言われても、それは不可能だ。」続けて疑問を投げかけるザイデル。「君自身がそれに陥っている限り、スペースノイドにも未来はない。」答えるDOME。
「では、私にも答えをくれ。私はあのとき少年だった。自分がニュータイプであると信じて戦ったのだ。時を見た。未来を感じたのだ。それは全て幻だったのか。答えてくれ。頼む。」ジャミルも続けてDOMEに疑問を投げかける。いつしか、波が押し寄せ、海岸に立っているかのような状態に変わっていた。「そう、全ては幻だ。たとえどんな未来が見えたとしても、それを現実のものとしようとしない限り、それは手には入らないのだ。ニュータイプを求めてさすらう時代はもう終わったんだよ。そして、君たちは新しい未来を作っていかなきゃならない。」「新しい未来を作る?」ジャミルが問いかける。
「それは不可能なことではない。そこにいる少年はそれを繰り返してきた。そうだろ?ガロード・ラン。」「ええ?俺?」突然、名前が呼ばれ驚くガロード。「君はティファが予言した未来をことごとく変えてきた。」「俺はただ、ティファのことを守りたいと思っただけで、特別な力なんてないし。」鼻をかき、照れながら答えるガロード。「その心の強さが、君に未来を変える力を与えたんだ。そして、それは戦争を知らない世代に共通した希望の光。古い時代に左右されず、新しい時代を生きる力だ。」「ニュータイプという言葉に捕らえられていたのは、新連邦や革命軍だけではなく、私自身が誰よりもニュータイプという言葉に縛られていたのだ。」サングラスをとり、遠くを見つめるジャミル。「ジャミル。」そう言葉をかけるランスロー。
「ティファ・アディール」DOMEはティファに話しかけた。「はい。」「君は、ガロードと結ばれて初めて、自分の力を求めたね。強くなりたいとすら思った。」「ガロードと生きる未来を、悲しい時代にしたくなかったから。」「今も自分の力を認めているかい?」「しかたのないことだと思います。でも、できることなら普通の人間として暮らしたい。」「ならば、ニュータイプという言葉を捨てればいい。それで願いはかなうはずだ。」そうティファに言い残し、ティファの手から離れるDOME。ゆっくりと上昇していく。「これでニュータイプと呼ぶべき者はこの世界にはいない。そして、僕も、元居た場所に帰る。」みんなの頭のはるか上に上っていくDOME。
「待て、これほどまでの力を見せながら。」「行かないでくれ。ニュータイプが無けなれば我らはどうなる。」DOMEを追い求めようとするブラッドマンとザイデル。「おやめください。そんなものはなかったんですよ。初めから。」ランスローがザイデルを諫める。「そうだ。」「ジャミル。」力強く頷くジャミル。
「ガロード、ティファ、それにみんな。古い時代はこれで終わりだ。」DOMEはそう言い残し、強い光とともに消えていった。
サテライトランチャへのチャージが完了。「我らの世界に、栄光あれ。」シャギアが撃とうとした瞬間、オルバが静止する。「待って兄さん。あれを。」それはDOMEから出てきたブラッドマン、ザイデル達の船を指していた。「作戦、変更だ。」シャギアはブラッドマン達の船のほうにサテライトキャノンを向ける。ブラッドマンは中断されていたはずの戦闘が始まっていたことに驚愕していた。双方とも抜け駆けをしたと思いこみ、ブラッドマンとザイデルの船で艦隊戦を開始しようとする。そこにシャギアのサテライトキャノンが襲う。最初にザイデルの船、そして次にブラッドマンの船。
「やったね兄さん。」「勝利者はザイデルでもブラッドマンでもない。我々、兄弟だ。」そこに迫るガロードのダブルエックス。「貴様ら。」ビームサーベルを使った白兵戦となるダブルエックスとヴァサーズ。「なぜ沈めた?味方の船まで。」「奴らはここに来てなおニュータイプにこだわった。だから殺したのだ。」「ニュータイプは僕らにとって天敵だからね。もちろん君たちも同じだよ。」「お前達もDOMEに触れれば。」「そんな必要はない。」
そこにフリーデンのみんなが助けに現れた。一気に形勢不利になるフロスト兄弟。「兄さん。」「最後の最後まで邪魔をしてくれる。」そこで、背後に連邦軍のモビルスーツがやってくる。「やっと後続部隊が突破してきた。」「奴らの相手にはちょうどいいんじゃないの?命を捨てて阻め。」そう言い残し、ガロード達の前から立ち去っていくフロスト兄弟。ガロードはフロスト兄弟を追おうとしたが、他のモビルスーツに阻まれてしまう。モビルスーツを撃墜していくジャミル達。「ガロード。」ガロードに話しかけるジャミル。「奴らは15年前の悪夢を再現しようとしている。」「なんだと?」「だったらぼさっとしてんじゃねぇ。」「過ちは繰り返さない。なんでしょ。」「ここはまかせて。」「速く。」口々にガロードに話しかけるウィッツ、ロアビィ、カリス、パーラ。ガロードはそこを離脱する。「頼んだぞ、ガロード。」ジャミルもその場にとどまり、ガロードを援護する。
フロスト兄弟は再び、サテライトランチャへのチャージを行っていた。「さあ、やろう。兄さん。僕たちの時代の幕開けだ。」「マイクロウェイブ照射。」再びアシュタロンにマイクロウェイブが照射される。シャギアが定めている照準にダブルエックスの機影が入ってくる。「あれは?ダブルエックス。」ダブルエックスもサテライトキャノン発射態勢に入っていた。「過ちは繰り返させない。」ガロードのスイッチにより、マイクロウェイブはダブルエックスへと照射方向を変更した。「馬鹿な、送電施設はこちらの手中にあるはず。」「けっ、兄さん。」「ダブルエックスを討つ。」「でも、チャージが。」「構わん。」放たれるサテライトランチャ。「させるか。」ガロードもサテライトキャノンを発射する。ぶつかるエネルギー波。アシュタロン、ヴァサーズ、ダブルエックス、そしてマイクロウェイブ送電施設までも巻き込む衝撃波。
 
地球上でのある駅。「ここでお別れか。なんだか寂しいな。」出発するガロードとティファを見送るカリス。「いつまでもお2人の邪魔をしているわけにはいきませんからね。」「そんな。」反射的に答えるティファ。「大丈夫か、そのぉ。。体のこともあるし。」言葉を続けるガロード。「ええ、この体とは一生付き合うつもりでいますから。それに、一人になって色々と考えてみたいんです。半年前のあのDOMEでの出来事を。じっくりとね。」「そうか。」出発を知らせる警笛がなる。「では、どうぞお元気で。」手を差し出すカリス。「そっちもな。」握手するカリスとガロード。
車中。誰のともわからぬラジオからニュースが流れてくる。「スペースコロニー、クラウドナインとの停戦協定をめぐり、第3回目の会談が大詰めを迎えました。その一方、両軍の小規模な衝突も各地で続いており、なおも両国間には緊張が続いています。」それを聞きながら窓から入り込む風を心地よく感じているガロードとティファ。
新連邦軍とクラウドナインとの停戦交渉。ランスローと握手をする新連邦軍の軍服を着たジャミル・ニート、そしてサラ。「こんな形で、また君と会えるとはな。」「ああ、まったくだ。」サラの方に目配せをするジャミル。ランスローに握手を求めるサラ。「サラ・サイレル。同じく和平協議会のメンバーです。」「私の頼もしい、パートナーだ。」紹介するジャミル。「ほお。」「よろしくお願いします。」
キッド達はジャンク屋をしていた。「ビックニュースだ。モビルスーツのメンテの仕事が入ったぞ。」「ほんとかよ。久しぶりだな。モビルスーツいじくるの。腕がなるぜ。」飛び上がって喜ぶキッド。「パワーアップとか勝手にすんなよ。」パーラに釘を刺される。「チーフならやりかねませんね。」「本当に。」「うるせえやい。」みんなに笑われるキッド。
野戦病院で働くゲイツ。「貴様は新連邦か!」「なんだと!」喧嘩を始める2人に声をかける。「怪我人に新連邦もゲリラもなかろう。それよりも1杯どうかね。たいがいの問題はコーヒー1杯飲んでいる間に心の中で解決するものだ。」患者にコーヒーカップを差し出すゲイツ。「あとはそれを実行できるかどうかだ。」
ウィッツはトニヤと故郷に帰ってきていた。麦畑を高台から見つめる2人。「まるで金色の絨毯ね。私、ここに来れて良かった。本当に。」「そうか。俺よう。お前のこと、幸せに。」赤くなりながら話すウィッツ。そこに車が停まる音。それはロアビィとエニルが乗ったバギーの音だった。「やっぱり近くにいたくって。ごめんね。邪魔だった?」「うーうん、そんなことないって。友達じゃない。」エニルの元に走っていくトニヤ。ひとりぼっちとなったウィッツ。ふてくされている様子のところに近寄ってくるロアビィ。「っうことだからしばらく世話になるんで、よろしく。」「あんでてめえも一緒なんだよ。」「いいでしょ、別に。」「めげねえな。てめえってやろうはよ。」そんな2人を置いて、勝手にバギーで行ってしまうトニヤとエニル。「じゃあ先に行ってるねー。」

ある街の噴水広場。いつぞやの兵士2人組が大演説。「前の戦争で超能力を使う兵士がいるって噂を聞いたことがあるだろう?あれは根も葉もない流言、デマのたぐいかと言うとそうではない。実はこの男こそ、その生き残り。人は我らを呼ぶ、ニュータイプと。」そこを通りかかるガロードとティファ。「今時はやんないぞ。」観客からやじられる。「そんな職探し。」怒る兵士。「これは職探しなどではない。ニュータイプだ。兄ちゃん。兄ちゃんは信じてるよな。」ガロードに話しかける兵士。ガロードに注目するみんな。「えっ、俺?」慌てるガロード。「ニュータイプって言葉、聞いたことあるだろ?」笑いながら答えるティファ。「もちろんです。ね、ガロード。」「ああ、よく知っているよ。ニュータイプのことなら。」逆にその答えにびっくりする兵士達。

戦後15年。今、新しい時代が来ようとしていた。月の周回軌道を漂う破壊されたダブルエックス。たとえどんな時代が来ようとも、月はいつもそこにある。 


2003. 9.27 Update

HomePage : Back-IDX :