サクラ大戦 (TVシリーズ 内容概略その2)
サクラ大戦TVシリーズ。
いよいよ黒之巣会の謎が明かになっていく。そしてアイリスが花組になじむのは果たして何時なのか?
第10話〜第18話(その2)


話数

題名

内容概略

第10話

嵐を呼ぶ女(カンナ) 帝劇の屋根。青空の下で寝ころぶカンナ。そのカンナを探し回るさくらの声。次回公演の看板が出来たのでそれを確認してもらおうというのがカンナを探し回っていた目的である。そのことを聞き、一番高い屋根に駆け登っていくカンナ。そして一言、「間違いない。やってくるぜぃ。」
「大スタア誕生 奇跡の生還」の看板を見ている大神達。主役のマリアよりはるかに大きいすみれの姿。大神達としてはあんまり良くないという意見の様だが、米田・マリアの意見は「いいんじゃないの。面白いから。」という同じもの。ちょうどそこに現れたカンナも同意見。だが「看板は下ろした方が良い」と付け加える。カンナの勘ではもうすぐ台風が来るとの話である。
帝都気象台の除幕式。その気象台は神崎重工の技術の結晶とも言えるものであった。花小路伯爵や米田長官らも出席でパーティーが執り行われていた。そこで伯爵に耳打ちする気象台職員。そのころ帝劇の食堂では、食事中に台風の来る・来ないでカンナとすみれの間で喧嘩が始まり、最後には賭けをすることで話が落ち着く。その台風は史上最大規模の台風であり、上陸した場合には帝都は壊滅状態になるとの予想が気象台で話し合われていた。伯爵の命令で帝都全域に警戒警報が発令される。気象台より早く台風の来襲を察知したカンナは、大神達にとってある意味で英雄。台風の備えの準備を率先して仕切り始める。
米田はこの台風に合わせ何かが起きる可能性もあると睨み、加山に警戒を命じる。その勘は当たっている様で、叉丹がこの嵐の力と脇侍の力を利用して、「天封石」の封印を正に解ことしていた。天封石は叉丹の太刀で叩き割られ、その役目がなくなる。つぶやく叉丹。「あと3つ。」
帝都気象台では自動気球を使用して台風のデータの収集を開始していた。ところがその気球は台風の渦に飲み込まれる。台風の進路の正確な測定が出来ず、帝都では全員の避難が始まっていた。カンナの仕切った作業も一段落しようとした時、屋根から遠くを見つめていたカンナは気がついた。「台風はそれる」と。すみれは自分の「台風が来ない」という考えが間違えていた事を素直に認め、大神に「公演の看板」を降ろしてくれる様に頼んだ時、「降ろす必要はない」と割り込んで来るカンナ。今度はすみれが「台風は来る」、カンナが「台風は来ない」の喧嘩。カンナは強引にすみれを屋根のてっぺんに登らせ、台風の気を感じ取ってみろと言う。
八丈島測候所との連絡が途絶えていた為に機能が麻痺していた帝都気象台。その機能が復活したとき映し出された映像が大きくそれた台風の天気図であった。平穏な帝都が戻り、帝劇の食堂には食事中のみんなの給仕をするすみれの姿があった。

第11話

花組合宿 今日は花組の合宿の日。アイリスは光武の合宿だからと行くのを躊躇していたが、さくらの「アイリスが来ないと私寂しいよ」の言葉に行く決心をする。そんなとき紅蘭の部屋から爆発音。どうやら紅蘭の発明品がまた爆発した様である。
合宿場となる島に着き、ストレッチをしながらあやめの言葉を聞くみんなを尻目に、一人重い鉄下駄を置くカンナ。「はくかい?」の一言にみんな横に首を振るが、一人はかせてもらおうと気張る大神。こうして思い思いのメニューをこなす1週間の合宿生活が始まった。
夜。紅蘭の機械いじりに目が覚めるさくら。どうやら合宿に出発する直前に作っていた発明品らしい。そこで紅蘭にどうして発明家になろうと思ったかを尋ねるさくら。気が付くとこっそりさくらの布団に潜り込んでくるアイリス。アイリスの訓練が大変だったかの問いかけに、帝都を守るためだからと話すさくら。「帝都を守りたいってどうして思ったの」のアイリスの問いに一時言葉を失うさくらと紅蘭。「最初は父の遺言、でも今はそれだけじゃないような気がする。」と答えるさくら。一方、紅蘭は「秘密。」と答える。
翌日、大神・さくら・紅蘭、そしてマリア・すみれ・カンナの2班に分かれ実戦練習。大神の作戦に従い洞窟を抜けるさくら・紅蘭の光武。だが洞窟から抜けようとした瞬間、島の火山が噴火。滑落事故に巻き込まれ、紅蘭は負傷して気絶をしたまま。紅蘭の光武も稼働停止。紅蘭の光武を背負ったさくらの光武も途中で足が破損してしまう。気が付いた紅蘭は、光武から見た溶岩で幼き頃の辛亥革命の辛い記憶を思い出し、再び気を失ってしまう。残りの花組は捜索に向かいたいものの、噴火が続き待機のまま。2次災害を恐れてのことである。
目を覚ました紅蘭が気付いたのは看病を続けたさくらの姿であった。紅蘭は「2人とも助かるためにさくら1人でふもとに行ってくれないか」と言うが、さくらは寝ながら泣いていた紅蘭を置いていけないと断る。そんなさくらを殴り、行ってくれる様に頼む紅蘭。その説得に負け、一人ふもとに下りる決意をするさくら。
翌朝、「困ったときはボタンを押せ」と出発するさくらに新発明を渡す紅蘭。決意を胸に秘め紅蘭を一人残し出発するさくら。花組の面々もようやく捜索を開始していた。残った紅蘭は必死で光武を直す。一方さくらは黙々とふもとを目指すが、ついに力尽きて倒れてしまう。倒れた時、紅蘭の発明品に目をやる。ボタンを押したときに流れてきたのは紅蘭の激励する声であった。その声に勇気づけられ、再び歩き始めるさくら。ようやくマリアの光武に保護される。
光武は相変わらず動かない。ふと外の溶岩流に目が行ってしまう紅蘭。再び辛亥革命の記憶がよみがえり怯えるが、その気持ちに反応したかの様にうなりをあげ始める光武。そして上空の飛行船から「紅蘭」と叫ぶさくらとアイリスの姿を見つける。紅蘭の独り言。「何で帝都を守るか。それは帝都が燃えるのをみたくないからかもしれへんな。」

第12話

ひとりぼっちのバースデー 帝劇に配達される1個の小包。預かったさくらはそれが誰宛てのものかがわからず、米田の所に持っていく。それはアイリスの両親からアイリス宛のものだとわかるが中身が何だかと気になるさくら。「今日は5日か。それならたぶん中身はプレゼントだ。」と言う米田。
アイリスは朝から上機嫌。食堂でカンナに何で上機嫌かを言おうとした瞬間、さくらがその小包を持ってくる。さくらとカンナが見ている前で箱を開けるアイリス。中身は綺麗なブローチ。カードが添えられているが読めないカンナ。横からマリアが読むには「アイリス、10歳のお誕生日おめでとう。フランスより愛を込めて」。でもさくらは「でも生まれた日にプレゼントを貰うなんて面白い習慣ね」と不思議がる。「日本にはないの」と驚くアイリス。カンナの日本では誕生日のお祝いは正月にやるという話を聞いているうちに、なにやら不機嫌そうに食堂を出ていってしまう。地下格納庫で光武を整備中の紅蘭も「お誕生日パーティーは中国や日本では行わず、その代わりお正月に騒ぐ」という事を言い、それを聞きさらにガッカリするアイリス。部屋で昔の「一人での過ごす誕生日の寂しさ」を思い出し、一人落ち込む。
食堂では花組全員がアイリスの心配の真っ最中。マリアは「みんなに誕生日を祝ってほしいのではないか」と言い始め、そして西洋では誕生日にパーティーを開くという習慣を話し始める。それを聞いてみんなはパーティーをやろうと張り切って準備を始める。程なく準備も整いアイリスの「生誕記念会」が始まる。ところがアイリスの期待しているパーティーと違い、食事はお赤飯と鯛のお頭、さらに紅蘭の爆竹と獅子舞が続く。獅子舞に頭をかまれると健康に過ごせるという紅蘭の説明で頭を出せと催促されるが、獅子舞を恐がり霊力を発動。アイリスは「違うよ。こんなの全然違うよ。フランスにいたときはバースディケーキとテーブルいっぱいのフランス料理と、パパとママからたくさんのプレゼントを貰って・・」の台詞を残し、涙ぐみながらテレポテーションで食堂からきえてしまった。
一人浅草で、あやめの迎えに来た時の事を思い出しているアイリス。そのときの「同じ力を持った仲間がいる」という言葉に「バカみたい」とつぶやく。帝劇には買い物から戻ってきたすみれが「これのどこがバースディパーティーだというのですの」と嘆く。マリアならバースディパーティーがどんなものかわかっていたはずなのに何故黙っていたかという大神の問いに、「どんな形であれ喜ぶと思った」という答えを返すマリア。そして昔あやめに聞いた「人身御供」同然の生活を強いられていたアイリスの過去を話し始める。今度こそ「アイリスが想像していた本物のパーティーをしよう」というさくらの提案に再び準備を開始する。
地下を走る「轟雷号」。その前方に謎の地盤沈下で起きていた土砂崩れが広がる。かろうじて車両の破壊こそ免れたものの脱線をしてしまう。その報を受け米田は花組に召集をかけ、復旧作業の援助を命じる。アイリスのパーティーの準備が遅れる事を心配しながらも光武で脱線現場に向かう花組の面々。
アイリスは以前、さくらの「上野から眺められる帝都の景色は綺麗だ」という言葉を思い出し、上野に来ていた。そこにあやめが現れ、アイリスを帝劇へ連れ帰る。あやめはアイリスに作っている最中のバースディパーティーや料理を見せる。そして「ちょっといびつだけど大事なのは気持ちよね」と言う。そして「あなたはひとりぼっちじゃないのよ、アイリス。前にも言ったでしょ。ここにはあなたの仲間がいるのよ。あなたの喜びも悲しみも共に分かち合いたいという仲間が。」と。その言葉に涙ぐむアイリス。
帝劇の舞台の上で花組のバースディソングを合図に、アイリスのバースディパーティーが始まる。今度は嬉しくて感激で泣き始めるアイリス。「さくら、これからもみんなずっと一緒だよね。アイリスの前からいなくなったりしないよね。」とさくらに抱きつくアイリス。そして地下格納庫、米田が用意したプレゼント、「アイリス用の光武」が鎮座していた。
 
【余談】
アイリスが花組の一員として溶け込む契機となる話。これでゲームの様なアイリスの無邪気さが見られるのであろうか。ゲームを知っている者にとっては一番興味のあるところだ。

第13話

花と咲かせよ!乙女の意地で! 長屋を壊していく建設工事機器。そこには「浅草十三階」という塔が建設される予定で、すでに骨組みが出来上がっていた。それを見ていたミロクは「その人間達の所業を手伝ってやる」と言い残し、その姿を消す。夜、「浅草十三階」を覆う強力な霊力をキャッチし、花組の光武が現場に到着していた。
大神の合図で浅草十三階への攻撃を開始する光武。その建物は「生き物」の様な傷を負っていく。そしてすみれの攻撃を合図にするかの様に突如建物に穴が開く。罠の予感を感じつつも大神はさくら、カンナ、すみれを連れて中に入る。中はまるで生き物の中であるかの様な状態。突如出てきた触手の様なものをカンナの光武はまともにくらってしまい。カンナは負傷。そのことを黙ったままで残る3人に「先に行ってくれ」と告げ、一人気を失ってしまう。なかなかカンナが追いついてこない事に心配を感じたさくらは、「何故カンナを残したままにしていくのか」と大神・すみれの行為に納得がいかない様子。すみれの「付いて来れないものは足手まとい」との言葉に我慢できなくなり、「カンナを見に行く」と告げ単身カンナの下に戻る。気を失っていたカンナはさくらの声で目が覚め、手当を受けた後さくらと2体で後を追い始める。
浅草十三階の外で待機しているマリアと紅蘭。その目の前に突如降ってくる大神の光武。大神が落ちてきた階ではすみれがミロクと戦っている真っ最中であった。最初は強がりを言っていたすみれも、ミロクの指示で繰り出される触覚で次第に苦境に追い込まれる。そこに助太刀に現れたさくら。さくらの手助けで危機を切り抜けたすみれは、挑発するミロクを追いさくらと上に登り続ける。触覚の様なものを登っていたが、とても2体の光武の重量に絶えられそうもないとすみれが言った時、さくらはすみれに先に行ってくれと残ろうとする。ところがさくらを襲おうとした脇侍を叩き切ったすみれが脇侍に囲まれてしまい、さくらがすみれの指示で単身先に行く事になる。
単身屋上に辿り着いたさくらを待っていたミロク。
「こんな恐ろしい塔を作り、人々の生活を壊すなんて許しません」というさくらに対し、「元はと言えば人間が始めた事じゃないか。ここから仲間を追い出したのも、塔を建てようとしたのもね。わらわはそれを手伝ってやっただけさ。欲望を解放すればいいのさ。自分が幸せになる為ならば他人がどうなろうと知ったこっちゃない。そうだよね。」と言い返すミロク。
「違います。」ときっぱり言うさくら。
「バカだね、全く救い様がないね、お前は。何でこんなものを建てようとするかわかるかい?高いところから街を見下ろして、ああ下界ちっぽけだ。まるで人がゴミのようだ。そんなことを考えたくて建てるのさ。そういう人間達が一番ちっぽけなのに。お前だってここに来るために仲間を置き去りにしたじゃないかい?え?」と言うミロクに対し、後ろめたそうに「すみれさんは大丈夫に決まっています。」と答えるさくら。
「貴方も随分分かって来たようですわね」という台詞と共に現れるすみれの光武。2体の光武の前に「口の減らない奴らだね。お前達など何人来ようと同じだよ。さあこれでどうだい。」という言葉と同時に、浅草十三階は突如脇侍に姿を変える。さくらの剣で切れない管。しかしすみれの長刀が加わり切れてしまう管に突如焦りの姿を見せるミロク。優勢から一転して劣勢になったミロクは脇侍から延びた触覚より出てきた目より光をため込む。「死ねぃ」という言葉と同時に光線を放たとうとしたが、突如力尽きる脇侍。塔の壁を登るカンナはどこからか聞こえてくる「心臓の鼓動」の様な音に気付き、それを調べているうちに心臓の様なものに辿り着き、それを突き破ったからである。今度はミロクとの直接交戦が始まる。その中、ミロクの攻撃を受けさくらの光武は稼働不能に。。しかし力に勝るすみれの光武はミロクを追いつめ、ついにミロクに手傷を負わせる。そこで突如光柱に包まれるミロク。その光柱は浅草十三階をも包み込む。浅草十三階は元の工事中の骨組みに戻る。それを見ていた葵叉丹が立ち去る姿、それは叉丹の姿を追っていた月組の加山にもキャッチされていた。
戦い終わり、すみれが珍しくさくらをほめる。ただ「まだまだあなたは脇役」というすみれのいつもの口調も当然続き、さくらのすみれへの受け答えにすっかり気を良くするすみれ。高笑いのすみれの声を聞き呆れるカンナであった。。。
 
【余談】
この題名はゲームではすみれとカンナの見事な掛け合いであった。とてもテレビシリーズでは扱われない様な話であるが、放映してもらいたかった様な話でもあっただけに残念。ゲームではこの話ではとても頼りになった大神であるが、テレビではあっさりとやられてしまう情けない役回り。テレビの大神は、最近何とも影が薄いと感じる。

第14話

アイリス出撃す! 葵叉丹の唱える呪文。その呪文によって魔法陣の上で復活を遂げる脇侍。「しばし待て。時期思うがままに働くときが来る。」と脇侍に告げる叉丹。
帝劇の地下プール。アイリスは未だ光武に乗りたがらない。その理由をさくらは聞いてみる。アイリスが光武に乗らないが為に調整が出来ないと嘆く紅蘭に、成り行きからアイリスを説得する事になってしまったからである。しかし「光武に乗ってみることと戦うことが同じとは限らないんじゃないかな」というさくらの問いに「同じだよ。同じ。脇侍になっちゃう。」と答えるアイリス。その答えの意味について花組の面々が色々と論議をする。アイリスの答えは光武の扱い方を間違えたらどうなるか、つまり心で動かす光武をもし「悪意」で動かしたらどうなるかを直感的に見抜いているかもしれないというマリアの意見に対し、紅蘭が絶対にその様な事にはならない、アイリスを直接説得すると言い出した時、花組全員が作戦室に召集される。
脇侍の秘密工場らしきものを確認し、こちらから先手を打つというのが今回の作戦内容であった。そしてその重要性から、高性能爆弾「播磨 乙型」の使用が前提の作戦となる。
紅蘭はアイリスを地下格納庫に呼び出し、アイリスに自分の光武を触らせる。「どうや、動いてへんのに暖かいやろ。ついさっきアイリスが入って来たときからや。光武がアイリスの霊力に反応しとる。うちが触れてもそうはならん。光武はそれぞれの霊力に反応するように出来とるからな。うちは光武を整備してるのはただ強くするだけやないで。みんなの個性っちゅうか気持ちみたいなもんを反映できへんかなぁ思うてるからや。マリアはんは光武に乗ったら戦わないかんと言うたけど、うちは色んな人間がおるように色んな光武があってもいいように思うておる。戦わへん光武もな。光武はみんなの思いや夢を叶えるものになってほしいんや。夢みたいなもんやけどな、うちと設計者の。そんな光武が脇侍になんかならへん、絶対にな。アイリス。」とアイリスを説得する紅蘭。
「わあ暖かい。さくらみたい。」と光武に触りながら答えるアイリス。
 
作戦行動を開始する花組だったが、すでにその作戦は叉丹達の知る所であった。地下鉄工事現場を作戦通りに進む光武。予定通り播磨乙型の設置作業を始める。そこに「無駄だ。ここを破壊したとて帝都がある限り、魔はどこにでも生まれる。」との声。「誰だ」の大神の声に「葵叉丹」と答える声。そして花組の眼前に現れる叉丹。光武より送られてきた叉丹の映像を見た瞬間、「今の男の顔、まさか」と動揺するあやめ。その瞬間映像が途切れてしまう。花組は脇侍の大群に囲まれ交戦状態に。叉丹を追おうとした時、紅蘭の光武の背後に立つ羅刹。紅蘭の援護にカンナを残し、叉丹を追う他の隊員達。紅蘭の光武は羅刹に投げられて足をやられて、紅蘭も気を失ってしまう。そこに割って入るカンナの光武は羅刹と格闘戦を始める。
光武からの受信は闇の霊力により寸断されており、前線にいるあやめとかすみにも一切その様子はわからない。あやめは叉丹の事が気になりかすみにその場を任せ、単身持ち場を離れて外に出ていってしまう。一方外に出ようとしている光武の前に刹那が現れる。すみれとマリアにその場を任せ、さくらと外を目指す大神。残ったすみれとマリアをもてあそぶ刹那。心を閉ざしたままの2人に刹那は話しかける。「どうしても僕と話してくれないんだね。それじゃあこれはどうだいクワッサリー。」その言葉に動揺するマリア。その隙を突いてマリアの心を操作する刹那。マリアは隊長を殺した敵の兵士をすみれと思いこませる刹那の罠にはまり、すみれに攻撃を始めてしまう。残った大神とすみれも程なく脇侍に囲まれ、すみれの光武は脇侍の攻撃で中破してしまう。大神はさくらを光武から降ろし叉丹を追うように命じる。
羅刹と格闘していたカンナの光武は左腕を残しすべて破壊されていた。残った手を使い羅刹の口に「播磨乙型」をくわえさせていた。そして気が付いた紅蘭に羅刹の頭を狙って撃つように頼む。一方すみれもマリアに対し本気で攻撃をせざるを得ない事を観念し、マリアと膠着状態となっていた。そういう花組の苦しみを感じ取っていたのは他ならぬアイリスであった。そのアイリスの念でアイリスの光武が起動を開始する。
カンナの光武の腕はすでに限界。2人で犬死にする位なら羅刹の頭を打ち抜き紅蘭だけでも生き残ってくれと懇願するカンナには従えず、苦しむ紅蘭。そこに突如テレポテーションで現れるアイリスの光武。カンナの光武と共に再びテレポートし、「紅蘭!」と叫ぶアイリスの声と同時に羅刹めがけ発砲する紅蘭。そして紅蘭の光武もその場からテレポートした瞬間、炎の中で爆発する播磨乙型。
膠着状態の続くすみれとマリアの場所にもその爆発が襲う。その衝撃に我に返るマリア。そして姿を消し逃げる刹那。その時「マリア、上!」というアイリスの声に、天井に向かって撃つマリア。マリアに撃たれ、地べたに落ちる刹那。「ず・ずるいよ僕の場所が分かるなんて。無しだよ。今のはな・」と言った瞬間、爆炎が刹那を包む。マリアとすみれの光武も、そして大神の光武の救出するアイリス。
一方叉丹が出てきた先ににはあやめが待っていた。
「あやめか。そうか、そういうことか。だから今更光武などという過去の遺物が。すると米田も一緒か。」
「どうして、どうしてあなたが少佐。答えて下さい。」
その時「見つけたわ、逃がさない」という声と共に割って入るさくら。叉丹に斬りつける。その剣をかわしながらさくらの剣を見た叉丹は「何故一馬の荒鷹を持っている」と話しかける。「どうしてお父様の名前を。」「一馬の娘か。面白い余興だ。」叉丹も「光刀・無形」に魔の力を宿らせ、さくらとの戦いに応じる。さくらの力及ばず「霊剣・荒鷹」の刃はこぼれ、その霊力が消えてしまう。容赦なくさくらを斬りつける叉丹。さくらを助けようと割って入ったあやめは背中を代わりに切られてしまう。ここでは一足遅かったアイリスの光武であった。
葵叉丹の映像が帝撃本部に届く。「まさか山崎、おまえなのか。。」机に拳をたたきつける米田であった。
 
【余談】
この話は「黒之巣会」の話としては一つの転機かもしれない。すでにミロク、羅刹、刹那はいなくなったように思えるし、「サクラ大戦2」で明らかになった葵叉丹の正体、つまり光武の設計者であり、降魔大戦で米田、あやめ、一馬と共に戦った山崎真之介だということが米田にばれている。未だ「天海」が出ていない事も気にかかるが、明らかにゲームと異なった展開となることが想像出来よう。

第15話

さくら故郷へ帰る 仙台行きの汽車にいる大神とさくら。さくらは悲しげな表情で霊剣・荒鷹を握りしめていた。大神は米田とあやめの命令でさくらに同行することになったのだ。刃こぼれを起こした荒鷹を直すため、そして同じように「刃こぼれ」を起こしているさくらの心を直すためにも。
仙台に着いた大神とさくらを待っていたのは真宮寺家使いの者達であった。すべてを納得したかのようにその者達と一緒に行ってしまうさくら。残された大神は迎えに来た権爺と一緒に真宮寺家に向かう。真宮寺家の神事には大神が同席する事は許されないからである。荒鷹神社にて鉄馬の手により霊剣・荒鷹を治す為の神事が始まる。
帝劇では山崎真之介の出現に思い悩むあやめの姿があった。地下格納庫で紅蘭との話が光武の設計者、真之介の事になる。何か知っていそうなあやめに少しでも「光武」の設計者たる山崎真之介のことが知りたいと迫る紅蘭に対し、必死で自分は真之介の事を知らないと説明するあやめ。
大神は桂と若菜から真宮寺家の歴史的な役割を聞く。これから試練を受けるというさくらの事を聞き、何か手伝いたいと申し出る大神だが、さくらのことを祈る事しか許されない。一方さくらは待ち受ける自分への試練を受ける為、ひとり地下道へ向かう。地下道を進み部屋に辿り着いたさくら。その部屋で霊体の一馬と仕合いを始める。さくらは「例えお父様でも負けられない。私を待っている人たちの為に、帝都の為に。それが試練ならば。」と考え、一馬に斬りつけようとする。その瞬間、大神の「駄目だ!さくら君。」という声。その声に木刀を振り下ろすのを止めるさくら。霊体ははっきりと一馬の姿になり、さくらは一馬に語り始める。「そうでした。さくらはお父様から教えていただいた大切な事を一つ忘れていました。闇を恐れず恐怖に打ち勝つこと。心を乱さず心眼を持つこと。そして人を殺めるのではなく活かすための太刀。」そして再び一馬へ刀を振り下ろし、寸止め、「これがさくらの剣です。」と語りかける。その瞬間、部屋の壁が割れ、一馬の姿が消える。さくらがその洞窟から出てきた時、そこには打ち直された荒鷹があった。その荒鷹を手に一馬の墓前に立つさくら。「お父様、もうさくらは迷いません。お父様の志を継いで帝都を守ります。」
大神・さくらは帝都行きの汽車で帝都に戻った。その車中で大神に礼を言うさくら。「何?俺役に立ったのかい?」と不思議がる大神に、「はい」と微笑むさくらであった。

第16話

対降魔部隊 話は太正6年12月。降魔と剣にて戦う米田、あやめ、山崎真之介、そして真宮寺一馬の姿があった。陸軍特殊部隊、対降魔部隊であった。
真之介はあやめに「霊子甲冑」の設計書を見せ、これにより降魔との戦力差を一気に逆転できると意気を揚げていた。しかしその霊子甲冑製造は莫大な研究費と予算を必要とすることから軍本部により却下。失意の山崎を慰めるあやめであった。一馬との仕合でも見せた山崎の一途さ。それが気がかりな米田。一馬はそれが「若さゆえのもの」と言うが、やはり不安を覚えているのは同じであった。
太正7年1月、帝都各所に膨大な数の降魔が発生した。さしもの対降魔部隊の4人も疲労のピークであった。ついには多数の降魔が融合し、巨大な降魔としてその姿を現す。4人は霊力の全てを併せ、その気をぶつける。しかしその気は降魔の前では全くの無力であった。一馬は一人何かを決意し、一つの封印を開けようとする。一方真之介はその降魔の前には自分の考案した霊子甲冑さえも何の意味も持たないということを思い知り、ついには自分が守ろうとした帝都が本当に守るべきものなのかどうかという疑問に辿り着く。ついには気がおかしくなった様にふらふら歩き出す山崎。そして降魔の前に我が身をさらし、降魔の怪光線に飲み込まれその姿が消える。米田がもはやこれまでと観念しようとしたとき、現れる一馬。一馬は魔神器を使い降魔を消滅させる。しかしその行為は自らの死を意味していた。帝都には雪が降り、平穏さを取り戻していた。
太正7年4月、軍部はようやく対降魔兵器の準備を始めた。一馬の墓前で酒を飲みながらそのことを報告する米田であった。

第17話

序曲 葵叉丹の呪文により黄泉の地より召喚された紅のミロク。
帝劇には荒鷹を治し戻ってきた大神とさくら。そんなさくらを待っていたのは戦闘服を着たアイリス。ようやく光武に乗る気になったのである。一方大神は仙台出張報告を米田に行っていた。そろそろ本格的な敵の攻撃が始まるとの情報を掴んだと告げる米田に対し、敵の正体がわかったのかと問いつめる大神。だが正体に関する答えを濁す米田、そしてあやめ。叉丹の正体が山崎であるかもしれないというショックが与える動揺が拭い切れてない為である。
地下格納庫では実際にアイリスが乗り込んで光武の調整が行われていた。アイリスの霊力が強すぎて暴走し始める光武。暴走し稼働不能になっていく光武を見て、腕の振るい甲斐があると楽しそうな紅蘭。ただその場にいた他のメンバーはすすまみれになりたまったものではない様子。その夜、紅蘭は早速アイリスの光武の整備に取りかかる。その紅蘭におにぎりの差し入れをするアイリス。紅蘭はアイリスの強大な霊力をどの様に処理するかのアイデアに悩んでいたが、霊子水晶にアイリスの霊力を還元するというアイデアを思いつく紅蘭。そんな時に鳴る非常警報。
陸軍弾薬庫近くに黒之巣会が出現したとの報が入り、阻止すべく花組が出撃。弾薬庫の爆発を抑える為にも迅速さを要求する作戦を立案し、敵の主力攻撃の任をさくらにする大神。だが、それが気にくわないにはすみれである。作戦中のさくらの気迫はすさまじく、その迅速さに他の光武は追いついていかない。陣形が崩れる中で、さらにさくらより先行するすみれ。そこで確かにすみれが倒したはずの「紅のミロク」を発見するすみれとさくら。その姿を見て単身建物に入るすみれ機。建物の入り口が崩れ、他の光武は入っていけない。一方ミロクのすさまじい怨念と魔力に翻弄されるすみれの光武。その怨念に恐怖するすみれ。その恐怖を感じ取ったさくらと「荒鷹」。建物の壁を突き破りミロクとすみれの間に割って入ってくる。さくらのすさまじい霊力の前にいつの間にか姿を消してしまうミロク。そこで弾薬が落ち爆発する建物。しかしさくらの霊力に守られ、さくらに救出されるすみれ。すみれはさくらに助けられた事を認め、自分の鍛錬不足を痛感していた。
大神より報告を聞き、「そろそろかな」とつぶやく米田。
ミロクは叉丹の下に戻ってきていた。「イノチホシイ、スミレ。イノチホシイ。」を繰り返すミロク。

第18話

シンデレラ 米田は次回作品、シンデレラの主演にさくらを推挙する。というより月形先生にそうしてもうらうように頼み込む。その結果さくらは次回公演で「主役、シンデレラ」を務めることとなる。もっとも米田の目的は「さくらの霊力」の更なる増進である。あやめとしてはその性急さのあまりプレッシャーに押しつぶされてしまっても困ると反対ではあったが、「山崎が待ってくれると思うか」の米田の言葉に反論はできない。突如主役に抜擢されたさくらは、稽古の出だしからみんなの足を引っ張りっぱなし。一人悩み、そして時には綺麗な衣装に心躍らせるさくら。
その一方で米田は大神に「放神記書伝」、つまり過去から今までの降魔について事件、そして未来の降魔が引き起こすであろう事件の予言が記載された書物を渡し、降魔に対抗すべき新しい陣形、破邪の陣形についてを考案するよう命じる。だが大神の考案する陣形は「霊力を活かした陣形」ではなく、何度も米田から突き返される。
本格的な立ち稽古に入っても、さくらはシンデレラという役を掴みきれない。ついにはマリアに「一緒にシンデレラの気持ちを考えて欲しい」とお願いするが、「それはできない」と断られる。主役は自分自身で作っていかなければならないのである。マリアやすみれならどう演じるだろうと考えながら一人居残り稽古を続けるさくら。日に日にプレッシャーに押しつぶされ、悩むさくら。最後の通し稽古もうまくいかず、その夜放心状態のまま冷蔵庫の食べ物をあさるさくらの姿をマリアとすみれが見つける。怖がりマリアに抱きついたまま泣き続けるさくら。その姿を見て腹立たしさを覚えるすみれ。
ついに公演初日。しかしさくらは恐怖のあまり楽屋に立てこもってしまう。その楽屋の扉を長刀で叩き切るすみれ。そしてさくらに刀を渡し、いきなり仕合を始める。刀を取り、すみれの長刀を払った所でようやく笑顔を見せるすみれ。「ようやくいつものアホ面に戻りましたわね。弾薬庫の中であろうと、炎の中であろうと、どんな敵であろうととにかく一直線に向かっていく。それがあなたでしょう。」敵の前から逃げ出すのと同じ事をしようとしていた事に気が付いたさくら。
「あなたは誰?」
「私はシンデレラ」
ついに舞台に立つさくら。その懸命の演技にスタンディング・オベーションで迎える観客達。一人カーテンコールに応え、その観客の拍手に涙を流すさくらであった。


2000. 8.12 Update

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