サクラ大戦 (TVシリーズ 内容概略その3)
サクラ大戦TVシリーズ。
明らかになる黒之巣会の目的。そして葵叉丹の正体。ついに物語は佳境へ。
第19話〜第25話(その3)


話数

題名

内容概略

第19話

破邪の陣 大神は自分の考案した「破邪の陣」を提示し、シュミレーションにてその検証作業を行っていた。しかし同調率の悪さにさっさと部屋から出ていってしまう米田とあやめ。何回やっても同調率は低下していく。さらにその陣形は「さくら」を中心とした陣形であり、どうしても自分が劣っていることを認めたくないすみれの姿もあった。みんな疲れ切っている中で一人気を吐く大神ではあったが、アイリス機の故障の報が知らされ紅蘭が抜けたために中断となる。
米田は加山より敵の狙いが「天封石」であることを聞き、「天海」の復活を黒之巣会が企んでいることだと予想する。現在残っている天封石は3つ。守るべき天封石探しに霊力の高い花組の面々を総動員する。さくらと組んだ大神は「破邪の陣」がうまくいかない事に浮かない様子。さくらに愚痴をこぼし始める。そんな大神を励ますさくら。元気づけられた大神の前に突如現れる「脇侍」。荒鷹を手にし脇侍を叩き切ったさくらであったが、その荒鷹の反応に驚く。明らかに何かに反応をしている荒鷹。反応しているものこそ探し求めていた「天封石」であった。
それが本当の「天封石」であることが判明し、花組は光武で警護につく。そこに現れたのは倒したはずの「羅刹」。そこで気が付く大神。羅刹が蘇生したということは。。その大神の予想通り羅刹の体には「刹那」が取り憑いていた。刹那の脅威を知る大神は加勢のため、自分の配置個所から離れてしまう。刹那は「さくらに負けてしまったという事実を認めたくない」すみれの心につけ込む。「本当は納得していないんだ。自分はあの娘の脇に追いやられたこと」、その刹那の言葉に動揺するすみれ。
そしていつの間にか天封石の前に立っている叉丹。羅刹達が陽動であった事にようやく気付く大神達。叉丹の魔力により瞬間気を失う花組の面々。しかし荒鷹の霊力に守られたさくら。その増大する霊力に呼応するかの様に他の人たちの霊力も上がっていく。大神は「破邪の陣」をとることを命令し、その陣形で叉丹に突っ込んでいく。だが陣形により増大していく霊力の強さに耐えられない霊子力機関。オーバーヒートをしていく光武。さらに前の刹那の言葉を思い出し脱落してしまうすみれ。単身突っ込んださくらも叉丹の前に屈し、ついに天封石は破壊される。稼働不能になった光武を尻目に、高らかな笑い声を残してその姿を消す叉丹。「その命、残しておくぞ」の言葉に、「とどめを刺さなかった事を後悔させてやる」と米田。そして満月の夜にこだまするカンナの遠吠え。。。

第20話

しのび寄る闇 さくら主演のシンデレラは満員御礼。帝都ではその話に持ち切りであった。それを遠くで聞いているのは葵叉丹である。
さくらは町中で考え事をしながら歩いているところを呼び止められる。その呼び止めた人物は山崎真之介、つまり今の葵叉丹である。真之介は除隊して海外に仕事で出かけており、日本に戻ってきてつい最近さくらのことを耳にしたとさくらに話す。真之介はさくらの父親、一馬と共に過ごした頃の話をさくらに話す。父親の話を聞けるのが嬉しく、ついつい長話になってしまったさくら。そして再び会う約束をする。翌日、真之介は一馬から除隊時に餞別としてもらったという鈴の様なものを返したいとさくらに渡す。そしてそれをお守り代わりに常に身につけていて欲しいと頼む。
昨日まで絶好調だったさくらだが、それを身につける様になってから霊力が激減。訓練にもミスが多く、ついには訓練中断。訓練にはならないとその日の訓練は中止となる。
帝劇に帰る途中のあやめは車中から真之介の姿を見つける。真之介の姿を追って路地を曲がり、呼び止められるあやめ。真之介はこの帝都に何故降魔が再び現れるようになったのかを問い、そして降魔の温床であるこの帝都は、真宮寺の破邪の力を持ってしても、また降魔が現れるであろうことを説く。そして今回はこれは誰にも止められないと言い放ちあやめを挑発する。真之介に銃を構えるあやめ。しかし撃つことは出来ない。「我が元へ来いあやめ。お前が出きることはそれだけだ。」そして立ち去る真之介。
その夜。叉丹がお守りだと渡した奇妙な鈴が突如魔力を放ち始める。それに誘われるかの様に立ち上がるさくら。その強大な魔力に気付き起きるアイリス。地下格納庫に行くとその魔力に操られたさくらが自分の光武を斬りつけていた。その異様さに花組のみんなが駆けつける。大神の制止を振り切り、そしてすみれにも斬りつけようとする。マリアが銃を構えた時、それを妨げるかの様にさくらに抱きつくアイリス。そしてさくらと共に中庭へテレポート、さくらが腰につけている鈴の様なものから魔力が出ていることに気付く。その鈴を投げ捨て「それ壊して」と叫ぶアイリス。その声に反応してあやめが銃で撃ち抜く。その瞬間糸の切れた操り人形の様に倒れ込み、我に返るさくら。何も覚えていないさくらはみんなに迷惑をかけたとひたすら謝るのみ。そのときアイリスが怯え始める。「来るよ。黒い、怖い。」そして突如現れる山崎真之介、そして葵叉丹。「許せない。」霊剣・荒鷹で斬りつけるさくら。が、まだまだ相手にはならない。さくらの霊力のこもった一太刀も叉丹の光刀・無形の前では拡散させられてしまうのみ。そして不敵な笑いをこぼしその場から消えていく。

第21話

もうひとつの戦い 夕暮れの下町、米田の屋敷。一人縁側で酒をくらっている米田。
賢人機関では星組の失敗から再構成された「花組」が思った成果を上げていないことに対し、米田が詰問されていた。最後には真宮寺の娘、さくらに「魔神器」を使うことを要請してくる。その要請に「考えておきましょう」とだけ言い残し、立ち去る米田。降魔戦争の再来とあやめに薄ら笑いを浮かべながらもその顔は暗い。
「元気のない米田」のことを花組の面々は気にかかってしょうがない様子。米田に元気を取り戻してもらおうとみんなで手伝いをすることに決め、それぞれ動き出す。さくらはお茶くみ、マリアとカンナは資料整理、そして紅蘭は風呂での背中流し。
その晩、米田は帝劇地下室の最深部へ。そこには「魔神器」が保管されていた。「すまねえな、一馬。またこいつを使わなければならんようだぜ。勘弁してくれや。。」つぶやく米田であった。
すみれは何かを振り払うかのように一人、舞台で長刀の稽古。そこに大神は稽古をつけてもらいに現れる。「良い稽古になったよ」と立ち去る大神。その気遣いをうれしく思うすみれ。
米田は支配人室に大神を呼び酒盛りを始める。その楽しそうな様子を聞き耳を立てて聞いている花組の隊員はどうにか米田が元気になってくれた様だと安心する。やがて酔いつぶれた大神を前に、「どうにも居心地がいいぜ。良い子達だ。もしかしたら今まで俺の方が、お前達に甘えていたのかもしれねえな。」と月を眺めながら思う米田。
翌朝早く、「後のことは頼んだぜ」ときびすを返し、一人出かけていく帝劇を後にする米田。米田が向かった廃墟、そこは降魔戦争終焉の地であり、葵叉丹の姿があった。天海上人を媒体とし、その強大な魔力を使って降魔を復活させようとする叉丹の目論見を聞き、神刀・滅却を抜き、一騎打ちに出る米田。が、もはや霊力を持たぬ米田には為す術なし。そのころ帝劇では米田が一人出かけたことをあやめと大神の2人が気付いていた。「ただちょっと留守にするから頼む」と残した言葉に不安がよぎるあやめ。地下室に行き、魔神器がなくなっていたことに尋常ではないことを感じる。
叉丹の光刀・無形から繰り出される魔力。その強大な魔力の前に追いつめられていく一方の米田。叉丹の魔力を受けた神刀・滅却は折れ、ついに逃げ場のなくなる米田。「終わりだな、米田。」その言葉と同時にとどめをささんがばかりに光刀・無形を振り下ろす。しかしそれを受け止めたのは魔神器の剣であった。そして叉丹は残った魔神器の珠・鏡が作る三角形の結界頂点にいた。これは米田の賭けである。「破邪の力を持たない」米田でも自分の命を捨てればあるいは叉丹くらいを封じ込めることは可能かもしれないということに。。「俺達はどっちも対降魔戦争で消えるべきだったのさ。地獄への一本道、付き合ってもらうぜ。」叉丹を封じ込められるかの状態に見えたが、そこで叉丹の魔力が爆発する。「貴様らの生き方、その存在、不愉快だ」その爆発に巻き込まれ宙を舞い、そのまま地面に横たわる米田。叉丹がその姿を見て「米田」と言った瞬間、轟く1発の銃声。「何だ」と抑えた腹部からは血があふれている。後を振り替えるとそこには涙を流しながら煙の立ち上る銃を構えるあやめの姿があった。
「あやめ、お前が私を撃ったのか。愚か者めあやめ、私こそが世界を」その瞬間さらに火を吹くあやめの銃。「少、少佐。。」涙を流すあやめ。ことが終わるかに思えたその瞬間、高らかに笑い声を上げる叉丹。「あやめー」と叫びながら放たれた魔力があやめに襲いかかる。銃を構えたままそのあまりの出来事に動こうとしないあやめ。そこに「副司令」と叫びながら大神が突っ込んでくる。かろうじてその魔力をかわすことができ、叉丹は姿を消していた。叫ぶ大神。「司令ー。米田司令ーー。」

第22話

帝劇、炎上! 4番目の天封石。そこを警護の月組は全滅し、叉丹の剣で天封石は叩き切られてしまう。
司令・副司令・大神のいない帝劇では残された花組のみんなは心配な顔をして待っている。ようやくあやめと連絡が取れて一安心。あやめと大神はかすみの迎えの車の中にいた。一方、司令達は最近何か隠し事があると言っているマリア・すみれ・カンナの前で、さくらは葵叉丹が対降魔部隊で米田達と一緒に戦った「山崎真之介」であることを話す。それは辛いだろうと納得するみんな。そんな時にあやめと大神が帰って来る。マリア達に食堂に連れて行かれる大神。そこで大神は叉丹がかつての米田達の仲間であったことをついさっき知ったと話す。そして米田が「急な出張で留守にした」ということも。その無責任な米田の態度に腹を立てるすみれ達。しかし本当のことを言えない大神。作戦室に戻ったあやめは椿にすぐに状況を報告する様に命じる。
見回り中のさくらは、2階の自室でアイリスが一人怯えているのに気が付く。さくらが声をかけても動転して逃げ出すアイリス。そして窓をみながら、「来るよ。ここに来るよさくら。。」と言いさくらにしがみつく。
脇侍を伴って突如現れるミロク。そして羅刹と刹那。紅蘭が花やしき支部から戻ってきた時、警報が鳴り響いく。作戦室で帝劇内の脇侍出現をキャッチしていたからだ。脇侍は花組のみんなにとっては数は多いものの敵ではない。が、ミロク・羅刹・刹那にはそうも言ってられなかった。2階で戦っていたさくらとアイリス。その背後に迫って来たのが叉丹であった。叉丹出現で剣を構えるさくら。そこに大神が駆けつけてきた。「叉丹、何故お前は帝都に徒なそうとする。かつて対降魔部隊で米田司令達と共に戦った仲間だったんだろう。それが何故?答えろ山崎真之介。」その言葉に「なんやて」と出てくる紅蘭。紅蘭は自分が一番大事にしていた宝物、山崎真之介が残した光武の初期設計図を取りに来ていたのであった。紅蘭はこの現実が受け入れられない様子である。
動力室に進入した脇侍。帝劇内の電源は停まり真っ暗となる。その間に紅蘭を連れ、逃げ出すさくらとアイリス。叉丹と戦っていた大神も隙を見て撤退する。切り替わった副動力を全て格納庫に集め、「轟雷号」への光武の搬入を命じるあやめ。帝劇放棄を決意し、自爆装置を起動する。「帝劇からの退避命令が出ました。各自格納庫に向かって下さい。」この館内放送に格納庫に向かう花組面々。格納庫の扉を突き破ってくる脇侍。それを死守する花組の面々。ようやく光武の収容作業が終わり退避しようとしたときに、「大神さん、紅蘭が未だ来ていません。」と知らされる大神。「探してきます。」と駆け出すさくらの後を一緒に付いていく。
当の紅蘭は叉丹の前に立っていた。「光武はほんまにすばらしい芸術品や。心を持ってるなんてほんまにすごい事や。うちはその設計図を書いた山崎はんにあこがれて、少しでも近づきとうて頑張ってきたんや。せやのに脇侍には心なんてあらへんやないか。なあこの設計図を書いた山崎はんに戻ってえな。これ見て、目ぇ覚ましてぇな。」設計図を掲げる紅蘭。「笑止。」叉丹が振り下ろす剣。「紅蘭」と叫びながらかばうさくら。光武の設計図が真っ二つになり宙を舞う。そこに加勢に入る大神。そして2人を逃がし自分も逃げる。3人が乗り込んだ瞬間、発車する轟雷号。叉丹は巨大な「火球」を作り轟雷号に向けて放つ。一度は火球に包まれるが離脱に成功。そして帝劇もそのころ自爆。爆発・炎上していた。「帰るおうちなくなっちゃったね。」さくらの腕の中で悲しそうにつぶやくアイリス。その言葉を聞き、米田が残した杯を握りしめる大神。。。

第23話

夢見る機械 帝劇花やしき支部・・ここが銀座の帝劇が落ちた後の本部とならざるを得ない。轟雷号が到着し、早速光武の点検が始まるが、紅蘭の姿が見えない。紅蘭は花やしきの観覧車に登っていた。そのてっぺんで銀座の「帝劇」が燃える様を見て愕然とする。
狭い花やしき支部では何かと不都合なところが目立つ。隊員の部屋も個室ではなく1つ。光武を整備するハンガーも1つ。その光武の整備を見ながら大神は支部責任者、森田に光武のパワーアップができないかを尋ねる。しかし森田は正確にその回答ができるのは紅蘭しかいないと答える。その紅蘭は失踪したまま姿をくらませていた。森田の紅蘭捜索の手助けを断り、「花組の隊員」の手で紅蘭を説得し連れて帰らせることを約束する大神。
そんな時に雷門、浅草寺、浅草ロックに出現する脇侍。目的はこの「花やしき支部」である。花やしき支部と花組の合同作戦を開始しようとするが、そこには紅蘭の姿は未だなかった。遅れてきたさくらは紅蘭が帰っていないことを知り再び探しに戻ろうとする。さくらを引き留めようとするマリア達に対し、「でも、花組は6人そろっての花組です。みんながいて、紅蘭もいて、それが帝国華撃団花組なんです」と答えるさくら。大神が問う。「さくら君、紅蘭を信じられるか」「はい」と答えるさくら。「ならば戦場で待つことは出来ないかな」
花やしき支部は戦闘態系に、そして技師達の手で「人造天封石」が作動を始める。その波動は脇侍を誘導する一方、人体への影響も与えてしまう。シルスウス綱に守られる花組隊員には影響はないとしても、一般人には少なからぬ影響を与える可能性はあるのは確かだ。そして光武に乗らず外に出ている紅蘭にも。。紅蘭は幼き自分に会うという幻覚に陥っていた。
再開発地区にしかけられた「人造天封石」に誘導されて脇侍が集まって来る。それを撃破していく光武。だが「簡単に行き過ぎている」ことに不安を覚えるマリア。突如花やしき支部の内部に出現する脇侍とミロク。それは紅蘭の目の前であった。撒き散らされる炎に辛亥革命時代のトラウマを思い出す紅蘭。
「逃げたって無駄だもん。逃げたってどこに行ったって悪い奴が追いかけて来るよ。」
「そんなことない。ああいう奴をやっつける機械がちゃんとある。」
「どんな機械。」
「それは。。うちが毎日整備しとったあの機械は。。。」
人造天封石に剣を振りかざす脇侍。その剣を突き刺した瞬間、天封石を爆破。脇侍は殲滅できる。
「やっぱりないんだ。この世界を守れるものなんて本当はないんでしょ。機械なんてああいう悪い奴の一吹きで壊れちゃう弱いものなんでしょう。」
ミロクを乗せた巨大脇侍の吐く炎で炎上が続く花やしき。
それを見つめる紅蘭。
「そんなことない。そんなこと。。。」
紅蘭の姿に気付くミロク。「壊れろ」と言うやいなや紅蘭に対して吐かれる炎。
「そんなことない!」紅蘭をかばうアイリスの紅蘭。その炎を押し戻す。そこに花組の光武が全機駆けつける。
「そうや、これが光武。世界を守る機械や。」
「そうや設計したんは確かに山崎はんや。でもそれに改良を重ねたんはうちで、それを乗りこなしてくれたんは花組のみんなや。うちは何を迷ってたんや。壊れたら作り直せばええ、壊れたところを改良してもっと強い光武にすればええんや。」
「良かった。約束したよ。もっと強くしてね。悪い奴らに負けないように。この世界を守れるように。」いつの間にか消えている幼きころの紅蘭。そしてそこに立っていたのは紅蘭の光武であった。
すみれを掴んで離さない脇侍にミサイルをぶちこむ紅蘭の光武。すぐさま破邪の陣形を組み、ミロクと光武を撃破する。
戦い済み、花やしきはめちゃめちゃ。光武も破邪の陣形のせいでまたもや大破。光武は紅蘭の手によって改良を加える為、神崎重工川崎工場へ運搬されることになった。

第24話

帝都を蹂躙する脇侍。銀座・浅草と帝撃の本部・支部は壊滅し、被害範囲は広がっていく。そしてその状況は賢人機関でも当然問題となっていた。賢人機関では帝都中の蒸気機関を暴走させ、帝都を壊滅、それと引き替えに黒之巣会を殲滅することを最優先にした。藤枝あやめの「帝撃は未だ健在であるからその決断は早まらないでくれ」の進言に対しても、「帝撃はすでに見限った」の冷たい言葉をあびせるのみ。
花組は全員神崎重工川崎工場に来ていた。一番複雑な心境なのはすみれ。家族を顧みない父親、重樹の態度にいらつき、祖父忠義に当たる。大神とマリアは被害状況を整理しつつ副司令からの連絡を待っていた。しかし何の連絡もなし。「12:00までに戻らない場合は開封せよ」というあやめの命令に従い、命令書の開封をする大神。その命令書は大神を司令代行にするという内容であった。命令書を開けた時に現れる加山。加山が月組隊長だったという事実に驚きを隠せない大神。
地下工場で光武の整備に忙しい紅蘭・カンナ・さくら。そこに現れ話しかけてくる重樹。すみれが現れた途端「不足しているものがあったら何でも言ってくれ」と言い立ち去る重樹。すみれの「お父様」という言葉に、今まで話していた人がすみれの父親だと知り驚く3人。加山を加え被害状況を見ていた時、何故か被害の空白部分があることに気付く。その部分、上野・寛永寺は月組の調査では「天封石」の存在がないことは確認済である。だが大神は「放神記書伝」に「寛永寺の地下に巨大な遺跡のようなものがある」ということを思い出す。その寛永寺では叉丹が念を送り、「江戸城」を浮上させていた。それこそが最後の天封石、そして天海僧正の棺、天海そのものであった。賢人機関では「江戸城」の姿を見て、帝都中の蒸気機関を暴走させるスイッチを入れようとしていた。「それでは叉丹が行おうとしていることと一緒ではありませんか」と食い下がるあやめ。「汚れた魂に滅ぼされるよりはいい」スイッチを入れようとした瞬間、現れる米田。「それは私に任せてもらいましょう。」「任せろとはどういう意味かね。」スイッチを手にしながら「帝都はこの私の手で吹っ飛ばす、と申しております」と答える米田。御託を並べる賢人機関のメンバーに渇を入れる米田。「じゃかあしいやぃ。おめえさんらに類は及ぼさねぇ。俺の一存で帝都を吹っ飛ばすってんだ。がたがたぬかすな。」声のトーンを落とし、「ただし俺の育てた子供らが負けたらだ。川崎には俺の用意した切り札がある。」
江戸城内の巨大な天封石の前で高らかに笑う叉丹の姿。「まもなく天海が復活する。米田、私の勝ちだ。」
アイリスの寝かされた部屋で、父親への不満を言葉でぶつけるすみれ。それを柔らかく受け止める重樹。そこに割って入ってくるさくら。寛永寺の江戸城出現を告げに来たのだ。江戸城突入の策を巡らせる大神達。そして光武の整備を急ぐ紅蘭達。すみれは光武整備の人手を頼むために、地下の重樹の所に来ていた。そこでは怒鳴る重樹の姿。すみれはそこで決戦兵器「翔鯨丸」の姿を見る。その決戦兵器こそ重樹が家族を顧みず、忙しく働いていた理由である。すみれの人手手配のお陰でどうにか光武整備も早く終了する。そこに花組の集合命令。地下翔鯨丸のドッグにて大神が帝撃司令代行に任命されたことが発表される。そして米田は江戸城が見えるところで花組の戦いを見るために座り込んでいた。そしてスイッチを手にしながら、
「こんなちっぽけなもんで帝都がなくなっちまうとはな。こええ時代だよ。奴にそれ見たことかと言われちまいそうだ。あやめくん。もしもの時は介錯を頼む。もっとも帝都を吹き飛ばした責任は俺の首くらいじゃ軽すぎるかもしれねえがな。」
とあやめに語りかける。がそのあやめはそれを聞いて吹き出す。
「こらそこで笑う奴があるか。」
「その時はありませんもの。」
「さくらが来てから1年か」ほころびかけている桜の蕾。
「みんな立派になりましたね。」
「ああ。。」
川崎、翔鯨丸の最後の調整に忙しい重樹の姿を複雑な気持ちで見つめるすみれ。突如眠りから覚めるアイリス。「来る・・」この川崎工場にも刹那と羅刹が脇侍を連れ現れたのである。翔鯨丸に光武の搬入を急ぎ、生身で脇侍に立ち向かう花組。その時重樹が脇侍に襲われる。駄目かと思われた瞬間に動きの止まる脇侍。アイリスがその力で止めたのである。「いっちゃえー」その力で吹っ飛ぶ脇侍。「お父様お怪我は?」「大丈夫だ」「アイリス、有り難う。」「ううん、だって、だってすみれの大事なパパだもん」微笑むアイリス。
「翔鯨丸は私がお前達に用意した花道だ。」その背後に現れた脇侍を叩き切るすみれ。「神崎重樹には、その娘神崎すみれが指一本触れさせませんわ。」「お父様、私立派に勤め上げて見せますわ。花組の名にかけて」「見せてもらうぞ、お前の晴れ舞台。」
「光武、全機積み終わったで。」紅蘭の言葉に大神の命令、「全員搭乗。」アイリスを抱きかかえようとするすみれ「さ、行きますわよ、アイリス。」喜んで頷くアイリス。
光武の搬入も終わり翔鯨丸を発進させようとした時、発進口に立ちふさがる刹那と羅刹。「マリア、翔鯨丸の指揮は君に任せる。俺が囮になって突破口を開く。」私がと言うさくらやカンナに対し、「駄目だ。破邪の陣は君たち誰一人が欠けても駄目なんだ。君たちを敵地に送り出すのが俺の役目。そして君たちの役目は戦地に赴き、そして勝利することだ。」敬礼する大神。敬礼を返す花組。「俺は死なん。必ず君たちの下へ追いつく。花組及び風組に命令する。翔鯨丸をもって江戸城を殲滅せよ。」
「了解」、全員の声。
「これが終わったら花見でもするか。帝撃のみんなでさ。もちろんすみれくんの父上や祖父殿も一緒にな」「米田司令そっくりになりやがった」とそれを聞いて微笑む加山。
2人を引きつけるために囮として、単身光武で出撃する大神。そしてそれに付き合う加山。その戦いの最中、飛び立つ翔鯨丸。その舳先は江戸城に向かっていた。「頼んだぞみんな。」大神の念。そして窓から翔鯨丸を見送る忠義、「己の信じる正義を信じよ。米田の子らよ。」

第25話

夢のつづき 江戸城出現後の帝都は一面火の海。少しでも速くと江戸城に急ぐ翔鯨丸。夢組が江戸城内部の霊視を懸命に行っているが、魔の力の強さにままならない状態であった。
刹那・羅刹と大神・加山の戦いも未だ続いていた。大神の光武と羅刹の格闘はやや羅刹の方に分がある。羅刹に殴られ宙を舞った光武はすでに稼働不能に近い状態。衝撃で大神も意識を失っていた。光武を殴り続ける羅刹。その衝撃で目を覚ます大神。「俺は・・みんなの所に行くと・・・約束・・したんだ」大神の霊力に反応し、光に包まれながら動き始める光武。羅刹を押し飛ばす。驚愕する刹那。「どうして、こんな時に自分以外の奴のこと考えているんだよ。」「狼虎滅却・快刀乱麻」逃げる刹那。羅刹はその技の前に倒れる。「みんな、今行くからな。」すでに動かなくなった光武を降り、歩き出す大神。その大神を隠れて見ている刹那。「あんなおかしな奴とは遊べないよ。」そこに「刹那」と呼び止める声。「海はいいなぁ。」刹那の眼前に広がる海の景色。「これは、まさか・・」「お前も催眠術にかかるんだ。」後から刹那に抱きつく加山。「今まで色々遊んでくれたよね。」「何をする。」怯える刹那。「決まっているじゃないか、責任をとるんだ。」悲鳴とともに絶命する刹那。「人間をなめるんじゃねぇよ。」
江戸城の城壁が変化し、翔鯨丸への砲撃が始まる。翔鯨丸も主砲を発砲。たしかにその弾着は江戸城城壁に確認され、煙とともに大きな穴が開いたはずである、が魔の力によりすぐにふさがってしまう。「私たち風組の任務は、花組を無事送り届けること。いいわね」かすみはみんなに確認するように言い、翔鯨丸を江戸城に向かわせる。江戸城天守閣のてっぺんに突き刺さる翔鯨丸。無事花組を送り届けるという任を果たすかすみ達。
江戸城に潜入した花組の目の前には、天封石の前で呪文を唱える葵叉丹の姿があった。迎え撃つ脇侍はすでに花組の敵ではなかった。「少しは出来るようになったか。なら、こちらも相応のもてなしをせねばなるまい。」葵叉丹の呪文と共に召喚されたのは魔操機兵「神威」。破邪の陣を構え応戦する花組。だが何度攻撃しても再生する神威。「この神威は帝都の大地に染みついている憎悪、嫉妬、恨み、欲望、すべて人間の負の力によって動かされている。」「どういうこと?」「すなわちその力は無尽蔵。」神威から発射される魔力に花組の光武は沈黙してしまう。
そこに届く帝都の人々の応援の声。その声に応え、よろめきながらも立ち上がるさくらの光武。「こんなことで負けてなるものか」つられるかの様に起きあがる他の光武。だが容赦のない神威の攻撃。またも宙に舞い倒れる光武。「きっと、きっと、約束守ってくれるよね。」アイリスの悲痛の声。「お遊びはこれまでだ。」と叉丹が言った時、かすかに聞こえるバイクの音。それは大神の乗る蒸気バイクの音であった。「お・お兄ちゃん」うれしさで叫ぶアイリス。
「みんな、遅くなってすまない。マリア、すみれくん、カンナ、紅蘭、さくらくん、そしてアイリス。君の力が必要なんだ。アイリス。」「イリス・マリオネット」アイリスの力で回復する光武の機体。そして破邪の陣を再度組む花組。光武の霊力反応値は過去最大のものであった。花組のみんなが必殺技を出しながら、神威を攻撃していく。「まるで舞台を見ているみたい。」椿の言葉。「これがあなたの目指した花組。すごい、素晴らしいです米田司令。」大神の言葉。
「この私が敗北するなどあってたまるか」叉丹の光刀・無形から放たれる魔の力。しかしアイリスが作るバリアはその力をすべてはじき飛ばす。「絶対、絶対負けないんだから。」そしてそのバリアから飛び上がるさくらの光武。「破邪剣征・桜花放神」それを光刀・無形で受け止める叉丹。だがその力、及ばず。ついに負ける叉丹。崩れ始める江戸城。
「何故だ、何故私が負ける。何故だ。」江戸城が煙とともに陥落。その場所には巨大な天封石がそびえ立つ。帝都で暴れ回っていた脇侍もそれと同時に動かなくなる。「やりましたね司令。」「ああ、本当にすげえ娘達だぜ。」
桜舞う上野の公園を鼻歌まじりに歩く米田。その米田の後に微笑みながら立つ一馬。それに気付いて振り返る米田。だがそこには誰もいない。帝都では復興作業が始まり、みんなが喜びを取り戻していた。上野の花見の席でひっそり一人で酒を飲んでいる米田。そこに大神が現れ、お辞儀をする。「米田司令、今回の件ですが・・」「大神!」紅白幕を投げ渡す米田。「あのぉ、これは。」「そろそろあいつらも来る。だろう?とっとと準備しろや。」帝都復興の姿を上野の高台から眺めるさくら達。「みんな、早くいらっしゃい」のあやめの声で動き始める。そのときさくらの目の前を走る子供の一団。そのなかの一人が転ぶ。助け上げようとするさくら。だがそのほかの子供達が助け、また走り去る。それをほほえみながら見守るさくら。「さくらさん、はやくいらっしゃいな」「さくら、はやくはやく」「はぁーい。今行きます。」


2000. 9.23 Update

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