ライカM6とM3について。
最近はM6にもいろいろ種類がでたみたいですが、今の状況に詳しくなくて、申し訳ないのですが、わりといろいろな人に、M6とM3どちらを買ったらよいかとよく聞かれます。やはりいつかはライカ、いつかはM3という人が多いのでしょう。しかし愛玩物としてほしいのか、本当に写真を撮りたいのかが自分でもはっきりしていない人が多いのも確かです。細かい設計に変更はある物のこの二つにたいした違いはないと確信しています。単に写真を撮る道具としてとらえれば当然M6の方がいいに決まっています。なにしろ今の機械ですから、何十年も昔の機械であれば程度の違いこそあれ、くたびれていて当然、更にいえばメンテナンス的な問題も現行モデルに勝る物はないでしょう。またM3を選ぶ基準の一つでよく聞くのが「ファインダーがお金がかかっていて今の物とは根本的に違う。だから見え方が綺麗だ」「M6はファインダーが貧雑だし露出計の赤い光がじゃまだ」など、どこで聞いたのか、そうとうの耳年増状態の人が多いです。露出計ぐらいはあった方がいいに決まっているし、コンクールコンディションでないかぎりファインダーはM6のほうが見やすく、ピントもつかみやすいと思う。私が使っているM3は結構綺麗な方だけどそう思う。


それから私の標準的に使っているのは35mmなのでファインダーの視野率の問題を考えれば当然M3よりはM6ということでもある。その人が50mmを常用するのであれば、新型のM6を勧めます視野率が変更されたそうなので。
人に勧めるとき、使う道具としてはM6、趣味ならM3、が自分なりの結論です。ただし私のM3は異常に音が小さいので、座談会・ちゃんとした教会での結婚式(ストロボなどは使わないのが前提)ではとても活躍しています。しかし普通の人には関係ないでしょう、そんな機会は仕事でもしてない限り一生に何回かでしょうし、そのために購入というのは、既に趣味の領域です。
とりあえず、大抵そんなことを聞いてくるのは、普段オートフォーカス・AEで機械任せにしかしていない人ばかりですから、正直ライカが可哀想にもなってきます。どうせまともに写真など撮らずに飾り物なんだろーななどと考えると胸が痛みます。まあ、使わない、使えない、飾るだけならM3は結構綺麗です。しかし高い玩具ですよね。


バルナミックライカについて
現在1F・3C・3Fの3台のバルナミックライカを所有しています。
15年位前に3Fを購入して、10年位はこれだけしかライカは持ってなかったのですが、その後M型を2台ほど手に入れて使ってみると、あらためてバルナミックの素晴らしさを実感出来ました。
ライカはなぜ良いのか・・・。いろいろな人が色々なことを言うんでしょうけど、詰まるところあの大きさと使い勝手、もちろんレンズだシステムとしてだとかの話ではなく、本体単品としてみた場合です。もちろんカメラですから、レンズも付けなければいけませんし、フィルムも入れなければ写真は撮れません。当たり前のことですが、ここにバルナミックの弱点と強みがあります。要するに特徴的に、他と一線を画する部分がここに特徴的に現れると考えます。
ライカで何を撮るのか?
一般論としても定着しているとは思いますが、ライカはスナップの名手です。スナップの定義は又難しいのですが、撮り方、もしくはスタンスとして、大仰に撮るぞ〜と息巻いてジャラジャラとカメラをぶら下げて、大きなカメラバックを持って行うような物ではなく、もちろん三脚をたてたりせずに、人混みなり風景なりの中、自然体でさもその風景にとけ込むがごとく撮影する。そんなスタンスがスナッパーとして正しい気がします。そうすることで見えてくる物の多さは数多く体験しなければわからないのかもしれませんが。
話を戻しますと、そんなスタンスに何の機材が最適かというと、まずレンズで言えば広角系。目線に、画角に素直なもの。もしくは更に広角の強い物。人混みなりなんなりの中に入り込むと以外と超広角で標準に近い感覚になったりします。被写体に対してどのスタンスで撮るのかで作品の持つ意味も、もちろん作品として人に与える印象が変わります。人間の持っているスタンスのどの位置に自分を置くか、それをはっきりした形で確認して、被写体に対峙するとき、入り込むことで寄りが出来ていますから広角が必然的になります。広角系の特徴としてメリットはピントが深いこと、ある程度絞ればパンフォカスとなることです。デメリットは、例えば内蔵の露出計が当てにならなくなってくること。露出計があればですが。
それほどの広角になってくると、ピンを外すこともまずないし、先ほど言ったスタンスが取れていればだいたいいつも撮影する距離が決まってきますから、距離計が不要にもなります。露出についてはこれは異論がある方が多いとも思いますが、そんなにシビアに測らなくてもたまに測っておけば、まず外しませんし、そんなことに気を使っていたら自然体とはいえないでしょう。ただ前提として写真を撮る以上の最低限は理解しておかなければなりませんが。闇雲に撮ってもそれはそれでなんにもなりませんから。ここにも経験値がある程度必要とされるんですが・・・。
本体の話をするんですが、上記の記事で「だったらオートフォーカスのカメラでオートで撮れば良いじゃないか!」「巻き上げにしろ、巻き戻しにしろ、何しろフィルの装填が・・・」と言う人がいるでしょう。確かになにも気も使わず気軽に撮影できるでしょう、撮る側は
「ライカは良いですね。ライカでしか取れませんよ、こんな写真は」なんて言われることがたまにありますが、そんなことは絶対にありません、もし単に作品の質を向上させるためだけならニコンにモードラ着けてブン回して撮ります。しかし、ライカを使う前提に被写体との関係を大事にする要素がある以上、狩猟的な撮り方ではなく、あくまで自然体でいきたいんです。ですから静かなシャッター音、人に恐怖感さえ与えかねない大きな機材ではなく手のひらに収まるぐらいの大きさで、幾分のリスクはあっても面倒な手順を踏まずに即シャッターを切る。一通りの動作が自然に身に付けば、周りに不快感どころか気づかれることなく撮影が出来ます。人の表情や、動作を止めることなく、また気づかれたときの不快感の軽減にライカは絶大なる効果を持っています。それにそういった自分の感覚でしか到達できない次元で楽しむ事が出来るかどうかが楽しみで使うんですから、フルオートの誰でも一律の写真が撮れてしまう様な機材では感じ得ない快感があります。
さて、ライカはライカでもなんでバルナミックか、と言うことですが、上記でだいたい気が付かれたと思いますが、省いていくんです、機材に付いている物を。露出計がいらない。距離計もいらない。ファインダーもいらない。そうすることでよりコンパクトになっていきます。距離計とファインダーはあっても良いようには思います。一応理想的には画角が自分の物になっているはずですし・・・。でも確認したいときもあって・・・。36枚のうちには数枚は確認しようかな〜なんて思うかもしれないし・・。
ですから、スナップに今現在自分の中で一番良い組み合わせは1Fに28mmです。あ!まともな28mm持ってないんだっけ!じゃ、15mmか20mmもしくは自分に一番会っている35mmってとこですか。ファインダーも距離計もないので完璧です。必要に応じて付ければいいんですから。