やまいもの雑記

新世紀エヴァンゲリオン劇場版


過日「新世紀エヴァンゲリオン劇場版・シト新生」を名古屋駅前まで見に行った。

地下鉄東山線に乗り換えたところで、いきなり乗り合わせた男子大学生とおぼしき二人がエヴァについて語り始めた。一人はテレビシリーズを見ており、もう一人は見ていないらしい。25話と26話が最低だの何だの得意げにしゃべっている。きっと映画館でも会うに違いないと思っていたら、案の定だった。向こうは覚えてないだろうけど。

とりあえず壱阡圓也のパンフレットを買い、ジュースを飲みながら現在の回の上映が終わるのを待つ。同じく上映が終わるのを待っている映画館のおばちゃんがそばにいたので暇つぶしに話をする。

「けっこう人いるね。いつもこうなの?」
「うん、月曜日だから少ないかと思ったけど、朝の最初の回から満員だったよ。今は少し少なくなってる」
「へえ、じゃ座れそうだね。やっぱり若い人が多い?」
「そうだね、ここにいるみたいな若い学生さんが多いね。小さい子供はあんまりいない」
近所の映画館の「ドラえもん」に集まってるのであろう。
「まあ、学生なら春休みだし」
「そうか、休日平日関係ないね。あ、もう終わるよ」

中から「魂のルフラン」が聞こえ、劇場の扉が開いて人が出てきた。その中の女子高生とおぼしき一人が待合所に知り合いを見つけ、喜色満面で叫んだ。

「あのねー、○○○ちゃんがねー、復活するのー」

ここまで堂堂とネタバレやられるといっそ爽やかである。

映画が始まった。なにやら3頭身ぐらいのキャラクターと1.2頭身の敵のボスが出てきた。ケンタウロスのボケはあざといがつい笑ってしまう。なかなかおもしろいじゃないか、これなら……と、これは角川制作の「魔法学園ルナ」だった。

ようやく「DEATH」が始まった。画面の切り替わりが異常に早い。きっとテレビ版が頭に入ってない人はここで振り落とされるだろう。その上、作中と同じ登場人物が体育館に集まってストーリーとは全く関係のない器楽演奏を始めたのではよけい混乱を招く。さらに、なにやら場面場面に関係する登場人物がのべつぶつぶつとつぶやいている。非常に意味ありげな内容なのだが、音が小さい上にドラマの方の音声も被さっていてほとんど聞き取れない。

ということで、「DEATH」を見て非常に興奮した。映像のテンポや切り替わっていく画面画面が、初めてテレビシリーズを見たときのあの感覚を呼び覚ましていくようだ。総集編だから、とテレビシリーズを知らない人が見たら、おそらく全く意味が分からない断片が散らばっているだけだろう。しかし、テレビの第壱話から第弐拾四話までを楽しめた人にはかなりおもしろい作りになっていると思う。
せっかく映画館まで来ているんだから細かいところまで見落とすまいと意識を広げていたつもりだったのに、ふと気がつくといつの間にやら両目をいっぱいに開いてスクリーンの一点を見つめている。ほかの映画では滅多にないことだ。総集編ということで主要登場人物に一人ずつスポットを当てて縦につなげていった編集が、テレビの冗長な部分を取り去った場面の連続を作り出したためかもしれない。いずれにしても見る気で見ると疲れる映像だ。もう一度映画館で見るよりLDが出てから見直した方が良さそう。

カヲルくんの生首が落ちたあと、クロージングミュージックをバックに翼の生えた○○○の像が登場。四つん這いになったその姿に思わず「虎だ、虎だ、おまえは虎になるのだ」とつぶやいてしまったりして「DEATH」終了。続いて新作「REBIRTH」開始。

いきなり問題シーンである。濡れた手を見つめて「僕って最低だ」とつぶやくシンジ。さーて、何があったんでしょう。一応「暴発」説を提起しておこう(笑)。ピンクの乳頭を見ただけでってやつね。ちなみに「DEATH」の方では、水槽の中のダミープラグにも乳頭が付いていた。ご丁寧に前の方のやつの見えてる角度みんな(確認するやつもするやつだが)。テレビでは省略されてたから放送コードか何かあるのかもしれない。
それはともかく、「暴発」の方が男としては情けないと思うし、いきなり引っぱり出して……よりは自然である。何よりアスカの前でそんなことおっぱじめるのは、アスカの心が帰ってこないことをシンジ自身が認めてしまうことにほかならない。アスカが今にも正気に返ると思っていたらとてもじゃないけどできないはず。それはこのときのシンジにはさらに耐え難いのではなかろうか。
とはいえ、アスカが正気に戻ることを切望しながらもからだに正直に行動してしまうから自分のことを「最低」とののしるという解釈も成り立つ。やはりあのシーンを女性の声優にやらせたことに問題があるな。

などと本筋とはあまり関係なさそうなことをしかつめらしく語ってみたりする。でも結末がこんなだったらどうしよう(って、これを書きたくて話を引っ張ったんだったりして)。

「何よ、あたしが精神失調になってる隙に○○○○したくせに」
「ずるいよ、正気に戻ってたなんて」
「え〜、ほんとにやったのぉ? エッチ、チカン、ヘンタイ、信じらんない」
「恥をかかせおって……」

それはさておき、映画の方はネルフ本部が襲撃される中、ミサトがさまざまな「謎」を口頭でふぬけたシンジに説明して「すべての謎が明らかに」。あとは夏公開予定の「REBIRTH」後編(?)につながる部分が多いみたいなので省略。

全体的には、あくまで現時点限定の話だが、本来完結するはずだった話がまたも終わらなかった、上映時間が短い、等の不満はあるものの、弐拾四話までのテレビシリーズの流れからすればよかったのではなかろうか。金を払ってまで見る価値があるかどうかはまあ個人個人の問題だから置くとして、一つだけ書いておかなければならないのは、テレビシリーズを見てなかった人は見に行かない方がよい、ということ。映画だけを見たら後悔すること請け合いです。

あ、そうそう、ゼーレのメンバーの一人が「人類はすでに閉鎖している」といってたが、「閉塞している」の読み間違い?

あー、結局ひと月遅れのレポートになってしまった。

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