ここに紹介する果実酒は季節の果物のほか手に入りやすい野の草花などを、使って家庭で手軽に作れる嗜好性の高い飲み物です。適量をたしなむことで血行が促進され疲労回復に役立ちます。果実酒づくりには、従来は氷砂糖が一般的でしたが、現在は、果糖を利用することが多いようです。日頃の健康と美容に一役買う果実酒づくりを、ご家庭でお試しください。なお、原酒についてとくに明示がない場合は35度のホワイトリカ−1.8リットルをベ−スにします。
疲労回復,健康増進、気つけなどに
解 説 果糖を使用すると氷砂糖を使った梅酒とはうって変わって、砂糖くさくない爽やかな甘みが楽しめます。しかも、強い浸透圧の力によって、梅エキスが完全に浸透して、最高の嗜好性をもった梅酒となります。梅酒の香りのもとであるかたい種子の中の梅仁(天神様)の成分も完全に浸出されるので、薬効性も倍加されます。氷砂糖の場合は、梅の実はシワだらけになりますが、果糖の場合は全然シワがよらず、食べると最高においしいのです。
材 料 ウメ1s。黄色味をおびたものが最適。果糖500〜700g。果糖700gは氷砂糖1kgに当たります。杏仁30〜50g杏仁はアンズの種子を乾燥したもの
作り方,飲み頃 一ヶ月ぐらいで飲めるようになりますが、種子の中の天神様の成分が完全に浸出するには3ヶ月を要します。杏仁を用いるときは、カビがはえていることがあるので、よく水洗いして乾燥した物を用いることが肝要です。
疲労回復,せき止めなどに
解 説 プラムは種類が多く、いずれも酒に適していますが、サンタロ−ザとソルダムの2種類がとくにすぐれています。サンタロ−ザは表皮が濃い赤紫色で果肉も真紅。ソルダムの表皮は薄緑をし果肉はスイカのような赤色です。
材 料 どちらもよく熟したものを1kg。果糖100〜200g。
作り方,飲み頃 水洗いして水分をよくふきとり、まるごと入れます。表皮に穴などをあけるには禁物です。3週間で飲めるようになりますが、熟成には約1ヶ月を要します。サンタロ−ザ、ソルダムとも真紅の美しい酒ですが、サンタロ−ザの方が、色彩、風味ともにすぐれていると思います。とくに、サンタロ−ザのよくできた酒は、高級ワインに劣らぬ風格をもっています。
食欲増進,健康増進に
解 説 スイミツ系のいわゆるモモ類で、英語ではピ−チ。プラムは酸味に酸味に富んでいますが、モモ類の酸味は薄くなっています。モモは香気にすぐれた芸術品のような美観を呈していますが、酸味不足のため酒の原料としてはプラムに劣ります。
材 料 モモ1s(なるべく赤色の濃いもの)、レモン4〜5個、果糖100〜200g
作り方,飲み頃 モモは表皮の毛羽をよくふきとって、丸ごといれます。レモンは酸味補強のために入れるもので、皮をむき、実だけを二つ切りにしていれます。3週間で飲めるようになりますが、熟成には1ヶ月を要します。モモのあのふくよかな香気を楽しむ酒です。
美肌づくりなどに
解説 グレ−プフル−ツのあの爽やか酸味は、アルコ−ルとよくマッチするようです。それも低アルコ−ルがいいようです。この酒だけはベ−スにするホワイトリカ−は25度のものにするとようでしょう。
材料 グレ−プフル−ツ約1kg.レモン3〜4個,果糖100〜150g、原酒25度のホワイトリカ−1,8リットル
作り方,飲み頃 グレ−プフル−ツは皮をむき、実の部分は二つ切りにして入れます。皮は1個分だけ入れます。レモンは全部皮をむき、実の部分だけを二つ切りにして入れます。一週間で飲めるようになりますが、3週間ぐらいが飲み頃です。よく冷やしたこの酒と梅酒をカクテルすると、絶妙な清涼感を楽しめまするるグレ−プフル−ツの皮は一ヶ月以上入れておかないこと。長く入れておくと悪臭が出るおそれがあります。
せき止めや疲労回復などに
解 説 お酒の先生としても著名な東大名誉教授.坂口謹一郎氏が、毎日新聞に掲載された「酒十話」の中で「カリンの酒は世界の美酒たる資格がある」と力説されたことがあります。梅酒に次いで大衆受けの可能性が大きいのはカリンの酒でしょう。
材 料 よく熟したカリン1kg(青い未熟は不適),果糖100〜200g
作り方,飲み頃 カリンの表皮には蜜がにじみ出ているため、ゴミが付着しやすいので、ぬるま湯でよく洗うことが肝要です。そして長さ3〜4センチの輪切りにして入れます。種子も入れた方がよいでしょう。3週間で飲めるようになります。
強壮,健胃整腸,病後の回復などに
解説 最近は色々なオレンジ類が輸入されていますが、果実酒にするに場合は、猛烈にすっぱい在来種の夏みかんが、原料として最高です。柑橘類はネ−ブルでもハッサクでもいい酒になりますが、夏みかんのようにはいきません。甘夏でも代用できます。
材料 夏みかん1kg,レモン4〜5個,果糖100〜150g
作り方,飲み頃 夏みかんは全部皮をむき、実は大きく2つ切りにして入れます。皮は、爽やかな香りを出す為に1個分を入れ、5日ぐらいで引き上げます。長く入れると苦みがですぎます。
食欲増進,美容,病後の回復
解 説 イチゴはビタミンCの宝庫といわれています。ビタミンCはこわれやすいのが難点ですが、アルコ−ルとは大変仲が良く、これと一緒になるといつまでも活性を失わず生きています。だからイチゴの酒はビタミンCのお酒といってもようでしょう。
材 料 イチゴ1kg,レモン4〜5個,果糖100〜200g
作り方,飲み頃 イチゴは水洗いして1個ずつ乾いた布に包んで水分をよく取ります。洗剤は使用しないこと。レモンは全部皮をむき、実の部分だけを二つ切りにして入れます。1週間で飲めるようになりますが1ヶ月ぐらいが飲みごろです。引き上げたイチゴはジャムにするとよいでしょう。
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