薔薇色の日々
by 遙か
一寸、目を細めて
小首を傾げて、ニコニコと
その笑顔に一目惚れ
この職業を選んで良かった、と
心底、思ったのは3ヶ月前のコト―――
**********
猪八戒ちゃんが、俺と同じ病院・同じ外科のナースに配属されて来て。
3ヶ月が経ちまシタ。
俺は2年先輩のナースで、沙悟浄。
この病院の教育システムで、新人に同じ科の先輩が付くんだけどさ。
俺が担当するコトになったのが、八戒ちゃんだったv
小柄で、本当に女のコってカンジ。
ふわふわピンクのヒツジみたいなカンジ。
ミドリの瞳が、印象的なコ。
新人教育なんて、チョー面倒と。
クサってた俺だが、彼女と初顔合わせした時は。
超ラッキーに、転がった。
真面目で、一生懸命で、素直で。
『はい、悟浄先輩』って返事する声まで。
もー、かわゆくて仕方がない。
もー、毎日仕事にかこつけて、かまいまくりなんデス。
食いっぱぐれるコトはないだろうと、この仕事を選んだんだが。
先見の明があったって、ゆーか。
運命の出逢いって、ゆーか。
八戒ちゃんがいるから、俺の人生はバラ色になったんだよなあ。
んー、幸せだ。
ただなあ…一個だけ、心配とゆーか…ハラハラするコトがあんだよなあ。
八戒ちゃんってさ。
お約束を絵にしたよーなさ。
…ドジっ子なんだよ。俺的にはソコもカワイイんだけどな。
けどさ…。
あー、ほら。まーた、怒られちまってるよ。
この世で、一番口煩いんじゃないかっての、玄奘三蔵婦長に。
『猪八戒っ!』
あらら〜。
フルネームで呼ばれてるってコトは、まあた、三蔵婦長の地雷を踏んじゃったのね〜。
早く助け舟を出してやらねえと。
待っててな〜、八戒ちゃんvv
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…又、失敗してしまいました。
…どうして、僕ってこんなに失敗ばかりを繰り返してしまうのでしょうか。
憧れていたこの職業に就けて、頑張ろうって3ヶ月………。
とても張り切っていたのに、毎日…婦長さんに怒られています。
まだまだ、手際が悪いし、慣れていないし、緊張ばかりしているから。
分かっている事でも、ミスしてしまって…。
小さいミスだからって、いいわけありません。
いつか、大きなミスに繋がる危険性があるのですから。
もっともっと、気を引き締めないと…僕。
「猪っ! 聞いているのかっ。」
「あ。はっ、はい。聞いています。」
「だったら、下を向いているんじゃない。
ちゃんと、顔を上げていないか。」
「はいっ、申し訳ありません。」
いつの間にか、僕は顔を俯けていた様です。
婦長さんの一喝で、慌てて顔を上げました。
…あ、涙がこぼれそう…です。
でも、堪えないと…泣いちゃ駄目です、僕。
ぐっと、息を飲み込みました。
婦長さんが、僕を見ています。
僕は、真っ直ぐに見返しました。
「申し訳ありませんでした。」
「以後、絶対に気を付けろ。」
「はいっ。」
今度は、謝罪の意味で。
僕は深く、頭を下げました。
カチャリ――ロッカーを開けたけど、着替えなくちゃと思うのだけど。
どうにも、何かをする気力が湧かなくて。
僕はぼんやりと、そのまま立っていました。
ロッカーの鏡に映っている、情けない顔。
…もう、頭の中がぐるぐるです。
自己嫌悪で、一杯で…。
涙がじわっと湧き上がってくるのが、分かりました。
今だったら、一人だから。
いい…ですよね? 泣いたって…。
「八戒ちゃんvv」
そんなぽろりと、涙がこぼれた所に名前が呼ばれました。
**********
あ〜、やっぱり泣いちゃってるよ。
自分を責めちゃってんだろうなあ。
八戒ちゃん、真面目だからさあ。
小さな肩と細っこい身体が、小さく震えてる。
その後ろ姿が、これまたかわゆくてかわゆくて。
声を掛けて、振り向いてくれた八戒ちゃんを。
俺はぎゅーーーっと、抱き締めた。
「ご、悟浄先輩っ/////」
「泣いていーよ。気の済むまで付き合ってやっからさ、俺が。」
顔を見ないように、更にぎゅっと抱き締めてやると。
ヒックヒックと、しゃくり上げ始めた。
我慢してたんだろうなあ。
ヨシヨシと、頭を撫でやると。
八戒ちゃんは本格的に、泣き始めた。
俺に縋って泣いてくれるのが、かわゆくて仕方がない。
甘い香りのする八戒ちゃんの髪に、バレない様にキスをして。
今晩はデートに誘っちゃおうっと、俺はホクホクと算段していた。
八戒ちゃんのカワイイ笑顔を見る為に。
俺だけで、独占する為に。
………何しろ、隠れライバルが多いからさあ。八戒ちゃんはv
そーんなコトを考えつつ。
俺の胸に顔を埋めて泣いてる八戒ちゃんを。
俺はもう一度、腰を引き寄せて抱き締めた。
2003.10.18 UP
☆ コメント ★
一寸灰さまに、捧げますvv
某日、某所で、自ら堀った墓穴で約束したお話ですv
ダメなのよ〜、こーゆーネタに弱いのよ〜、私(苦笑)。
あ〜あ、灰さまったら、人の萌え弱点を付くのが上手いのですから(笑)。
続きも強請られていますが…この続き…は。
確実にアダルトになってしまう予感がヒシヒシと(笑)。
まあ〜そのうち、こっそりと。
書けたら、秘密にUPしよかなあ…(←止めとけって(苦笑))。
モドル