標 準
by 遙か
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ノーマルって、何でしょう?
個人の好みなんて、種々様々。
人の数だけ、好みはあるんだから。
何が普通って、決められない…ですよね?
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―――――ぅ、ん?
あれ? 珍しいな?
俺は自分の右腕に掛かってる重みに、吃驚した。
夜は確かに腕枕をして、寝てるんだけど。
朝はさっさと起きちまうんで、いつも居ないからさ。
ちと、それは恋人同士としては寂しーじゃん。
つれないじゃんと、訴えたコトもあったんだが。
『じゃあ、誰が朝ご飯のを作るんですか?』
と、返されれば、それ以上の口を返すコトなんて…出来ねーよなあ。
俺だって、命は惜しいデス。
まあ、夫婦も兼用しちゃってからさ。
仕方ないっちゃ、仕方ねえんだけどな。
何しろ、俺と八戒は恋人未満の時から一緒に暮らしてっからさ。
あはは。
で、八戒は…寝坊か?
昨日は……そんな激しいコトしてねーよな?
ま、偶にはいっか。
俺は八戒の方へと、極力動きを抑えて向き直り。
毛布に包まれた身体をソッと抱き締めて、二度寝へと突入した。
ナニか、ホント珍しいなあ…。
八戒は、コロンと丸まってるしさあ……。
……可愛いから、いーけどさあ………。
……………ネム…。
「にゃあっ!」
へ? ナンだ、ナンだ!?
俺は突然の、いるはずの絶対にナイ、ネコの鳴き声に飛び起きた。
ウチはジープがいっから、ネコは近付かねーんだよ。
そ、それがナンでた?
ナンで、ネコがいるんだよ。
しかも、寝室にさ。
と、軽いパニックを起こして周りをキョロキョロと見回した俺は。
「にゃあっ!!」
もう一度、聞こえた鳴き声の方向に視線を合わせると。
―――大パニックを起こした。
一回り…二回り……いや、三回りは確実に。
ちっこく、華奢になった八戒が、ベッドの上にちょこんと座って。
俺に向かって、三度目の『にゃあv』と鳴いた。
ネコ耳・ネコ尻尾のオプション付きで…。
身体が傾きながら、ベッドの下へと落ちながらも。
それを見つけちゃう、俺も…俺だよなあ……。
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ゴンッ! にゃん!!
ド派手な音を立てて、転げ落ちた俺んトコに。
八戒がすっ飛んで来て、碧のおめめで心配そうに見てくる。
「…は、八戒?」
「にゃあv」
恐る恐る名前を呼ぶと、八戒は嬉しそうに鳴いた。
俺の言葉は判るが、どうやら言葉は喋れなくなっているよーだ。
とてもじゃないが、ふざけているよーには見えねーし。
大体、八戒がマジでこんなコトすっか?
普段だったら、俺がいっくらおネガイしよーが、泣き落とししよーが。
聞く耳ナシの態度を崩すなんてコト、なかったもんな。
…そーゆートコ、冷てえんだからさ。
…八戒は、さ。
……………。
そおっと、八戒の頭を撫でてみる。
柔らかい髪の感触は、いつも通りなんだが。
ピンと立ってるネコ耳は、作りモンじゃなく。
柔らかくて…あったかい…血が通ってるんだよな。
「にゃあ〜v」
うわっ。わっわっわっ…と。
今の鳴き方。気持ちイー、だよな?
ふにゃ、と笑ってうっとりしてるぞ。
こんな、ストレートに表現してくる八戒なんぞ、お目にかかったコトなんてねーぞ。
「にゃあにゃあvv」
前足…じゃナイ。
腕をネコの動きで、八戒がベッドの下で胡座をかいて固まっている俺の膝の上に。
…乗り上げてきた。
「にゃあ〜んv」
頭を俺の胸んトコに、擦り寄せてきて。
ちょこんと、座り込んだ。
「にゃにゃにゃあv」
いつもの八戒の匂いと身体に。
甘やかさと、しなやかさが加味されている。
やべっ。クラクラしてきた。
「八戒っ!」
「にゃっ!!」
据え膳どころじゃない八戒の媚態に、俺は渾身の力を込めて。
にゃんこ八戒を抱き締めた。
「にゃあーーーっ!!」
途端、反撃を喰らって俺は面食らった。
暴れ回るは、叫くは、引っ掻いてくるは。
「は、八戒っ。や、ヤメロっ。
こ、こらっ。いっ、いってえー!」
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ネコの特徴のひとつ
自分から、擦り寄るのはいいけれど
相手にかまわれるのは、気に入らない
毛を逆立てて、攻撃してきます
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「八戒っ! 八戒っ!」
あんまりの暴れ様に、俺はバランスを崩して。
またもや、床へとひっくり返った―――――
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「―――――悟浄。
悟浄、もうそろそろ起きて下さいよ。」
「…八戒?」
「どうしたんですか?
夢でも見ていたんですか?」
「ゆめ…夢…か……。」
はいv
夢か 現か 幻か―――――
2003.11.28 UP
☆ コメント ★
yuri さまに捧げますv
サイトの相互リンクのお礼にと
リクエストを貰って書いたお話ですなのですが…
サイトが閉鎖となり、間に合いませんでした……
本当に、申し訳ありませんっ(汗)
でもでも、夢オチでもネコの八戒さんを書けて楽しかった…ほぅ
……悟浄もある意味、楽しんだようですし(笑)
では、慎んで贈らせて頂きますvv
モドル