ロスト・ヴァージン



by 遙か


女でも男でも、八戒にかわりわねえ。
と、宣言したし、そう思ってる。
けど、実際問題として。
その…あのな…えっとお。
腕の中に抱き込んだ、八戒の躯は。
男ん時より、2回り程ちっこくて。
2割増、柔らかくなっていた。

躯が、ある朝、急に女になってたら。
すっげえ、パニックになって当然。
なのに、八戒ってばよ。
我慢しちまうんだ。
まあ、あんまし俺がごちゃごちゃ言うとさ。
何とか、折り合いを付けようとしてる八戒の邪魔になると思って。
黙ってたら、八戒…自家中毒を起こしちまった。

駄目だなあ、俺。
恋人失格になっちまう。

「…ごじょう。」
「ん。」
「あの……。」
「ん、分かってから、もう八戒は何も考えんな。
 後は、俺に任せてよ。」
「……はい。」

くぅぅ〜。
腕の中から、俺を見上げて。
それから、俯いて顔を隠す仕草っ。

俺は、八戒の顎を取って、俺へと向かせた。

「八戒、俺、見て。」

ゆっくりと、睫毛を揺らしながら。
碧瞳が、現れる。

「好きだ。俺、お前のコト、好きだ。」
「僕も…好きです、悟浄……。」

キスをしたまま、八戒の躯をゆっくりとベッドへと横たえる。
体重は完全に掛けずに、それでも、逃がさない様にと、縫い止める。

八戒の柔らかい髪が、白いシーツに広がる。
俺は、八戒の上着に手を掛けた。
裾から掌を差し入れ、腹の方から上へと慎重に這わせる。
ピクッ、と。
ピクリ、と。
緊張が走っている八戒の躯が、反応を繰り返していく。

「……ご、じょ…ぼく。」
「黙って。」

唇にキス。頬に手をあてて、頬を撫でる。
このまま、八戒の意識をキスへと持っていておいてから。
上着の釦を外し、前袷を左右に開く。
流石に八戒も、女モンの下着は付けられなかったらしく。
Tシャツを着込んでいた。
そこを隆起している、胸の膨らみ。
俺は、Tシャツを捲り上げた。
白雪の肌。処女地。

八戒が女化してから、一度も肌を合わせてねえから。
男ん時に付けておいた跡が、綺麗さっぱりに消えていた。
俺はまだ、何の主張もしていない、胸の果を嘗め上げた。

「い、いやぁ…。」
「じっと、しててな。」

八戒の手が、俺の動きを止めようとしてくるもんだから。
俺は、反射的にその手首を掴んで、括った。

「い、やあ…ぃ、やあ。」

甘く啼く声が、俺を刺激する。
八戒の小ぶりの胸に、下から包むように掌を合わせて。
ゆっくりと、揉み上げた。

「いやっ、ごじょ、う…やめ、て。」

何とか、俺の手から逃れようと。
八戒の躯が、逃げをうとおとするが。
俺は自分の下半身の方に力を掛けて、八戒の下半身を動けないように固定した。
両の手首を俺の掌一つに括られ。
右の胸にキスマークを付けられまくれ。
左の胸を愛撫され。
八戒の目からは、涙が溢れ出していく。

「あっ。」

形を成してきた、胸の果を俺は歯で甘噛みしてやった。
途端に、トーンが上がる声。

「あっ……ぁ、ん…んん。」

嘗めて、吸って、舌の先で転がしてやる。
何通りにも、変化をつけてやると。
息も絶え絶えに、八戒の唇からは嬌声が零れ出していく。
もう、抵抗はないだろうと、手首を離すと。
パタリと、左右に落ちる。指先がシーツを掴もうとして、失敗していた。
それを確認した俺は。
舌と唇で、胸を。掌で、八戒の全身を。
愛撫することに、没頭していった。

白かった肌が、どんどんと薔薇色に染まっていく。
熱が生み出す産物の汗が。
俺と八戒の素肌を密着させていく。

しどけなく、俺に八戒は躯を開いてくれていて。
ディープキスも拒まない。
快楽に、素直に身を投じている。

「はっかい。」

俺は身をずらして、八戒の両脚の間に位置を陣取った。
力の抜けている、右の膝裏から持ち上げ、角度を付ける。
淡い栗色の茂みの中に指を当て。
そのまま、すっと、下へ滑らせてみる。

「あっ。」

窪みが見つかり、俺の指が入り口に触れると。
八戒の躯が、魚の様に、跳ね上がった。

「ごじょぉ、ごじょ……。」

一度、その場所から引き上げ、俺は指を2本自分で嘗め上げた。
閉じるコトの出来ない八戒の足を。
付け根の方から、もっと大きな角度を持たせる。
そして、さっきの場所へと、俺はもう一度、指を侵攻させた。

くぷり。

小さな空気の抜ける音と共に、俺の2本の指は。
八戒の中へと潜り込んでいった。

「あっ、あっ。」

指の動きに感応して、八戒が声を上げる。
傷つけないように、慎重に指を埋め。
本数を増やし、俺は八戒の中を広げていった。
トロリと、内部から蜜が溢れてくる。
俺の指を濡らしながら。

「はっかい。」

俺は一度、身を起こし。
八戒へとキスを贈る。

「ごじょ……。」

八戒の俺を呼んだ声を合図に。
俺は自分自身を八戒の準備を整えた場所へと当てた。

ぐっ。

狭い肉が、衝撃に広げられていく。
八戒の全身が、硬直した。
痛い程の締め付けの中。
俺はゆっくりと、それでも止まることだけはせずに。
確実に、八戒の奥へと侵攻していった。

「……………。」

八戒が、声にならない悲鳴を上げる。
唇が戦慄き、指が俺の肩へと食い込んでいた。

こつん、と。

一番の奥に達したのが分かって、俺は動きを止め。
八戒の躯を、緩く抱き締めた。
暫く、そのままで。
俺達は、お互いの鼓動を全身で感じ合っていた。

「ご、じょぉ。」
「何だ?」
「好き、です。貴方が、僕、一番、好きです。」
「俺もだ。俺もお前が一番、好きだぜ。」

躯も、心も、深く繋げて。
悟浄と八戒は、微笑み合っていた。
結ばれた、恋人同士として――。


2001.5.3  UP





☆コメント★

八戒、2度目のロスト・ヴァージンでしたね。しかし、悟浄。
男の時も、女の子の時も、両方奪っちゃって。
コイツ、何て果報モンでしょー。
えっと、途中から夢中になっちゃって、何を書き綴ったのか。
恐いです。はっきり言って。
出来たら、この感想を是非共、お聞かせ願いたいで御座います。
マジ・宜しく!!!