神の湯が改装した。 あの、古臭くて、それが哀愁を醸し出していた、あの、神の湯がだ。 露天風呂好きの僕に内風呂しかないのにお勧め印を付けさせた、あの、神の湯がだ。 見覚えのある駐車場に車を付けて見上げると、建物の入り口からして、かつての面影を感じさせない洗練さが漂っていた。 入り口に入ると純和風のいかにも今風で開放的なロビーにたじろいでしまう。しかし、出迎えてくれたおばあさんは、逆に今の建物には不釣合いな感じで、(失礼!)かつての面影を発見してなんだか安心した。 湯船は広くなっており、さらに開放的な大きな窓が付けられ外の風景がよく見えるようになっていた。普通より大きい(おそらく1枚で幅150cmくらい 天井までの高さを持つ)ガラス窓を開け放てば、半露天とも言える状態になる。 以前は湯船から溢れたお湯が洗い場の床を伝い、流れていた。そのため、床全体が特徴あるお湯のせいで赤茶けていた。それが良い雰囲気を漂わせていたのだ。改装後の床は石材だが湯船から溢れたお湯はすぐに排水溝に流れてしまっていた。 残念。 飲用の源泉飲み口から広くなった源泉槽に源泉が注がれている。(量が少ないのでなかなか溜まらない チョット味が薄くなったような気がした)かつての源泉槽は膝を抱えてはいるほどの小ささで、飲用の水瓶なのかと思い、入るのも躊躇したが改装後は一人がゆったり入れる広さに変わっていた。水温2度と、激、冷た状態だが不思議と長く入れるものだ。大き目の加熱した湯船と、交互に入って入浴を楽しんだ。 個人的には前の神の湯が好きだったけど、かつての湯治場のような旅館じゃ流行らないんでしょう。経営的に幅広く集客するための改装だったのかなぁ。 いずれにしても、胃液のような味で特徴のある源泉をそのまま感じる源泉槽が残ってくれたし、良かった、良かったとしましょう。 |
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手前に段があり腰掛けながらの 半身浴が出来る |
奥が源泉漕 もちろん飲用可 |
2002年4月 |
【改装前の湯船とその時の文書】 | |
下諏訪の諏訪大社秋宮からからR142をわずかに北上し、左にそれた所にあるのに、山奥の秘湯に来たかのような感があるのは、胃液のような独特の味のするお湯のせいだろうか。2人、我慢して4人しか入れない小さな湯船と、2つしか蛇口のない小さな浴室ではあるが、木で作られた湯船と温泉で赤くなった床と窓の外に広がる毒沢渓谷の木々のためだろうか。 僕は露天風呂が好きなのだが、大きくあけはなれた窓から入ってくる外気が浴室の温度を下げ、若干温めの湯船の中にいつまでも浸かっていられる快適さがいい。 この温泉は、1人で来たい温泉だ。小さな浴室の中で、1人でいつまでもボーっとしていたい。そんな空間の温泉だ。 |
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右下の白いのが源泉浴槽。ひざを抱えてはいるほどの小ささ。源泉は9度前後なので冷たい。泉質は全国的にも珍しい(らしい)含明礬泉。 | |
1998年12月 |