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表紙 ≫ 特集 雪の地獄谷猿公苑・後楽館めぐり

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雪の風景を眺めつつの露天風呂は良いものだ。猿が温泉に入っている姿を見るのも周りが雪に覆われた冬こそ、意義がある。
そう思い立ち、正月も終わった1月のある日、お猿が温泉に入ることで有名な地獄谷猿公苑へ向け山ノ内町へ車を走らせた。
地獄谷への出発地点スタート地点
雪道を行く
最初の100mは歩きにくい下り坂
 
地獄谷猿公苑園と後楽館へのアプローチは雪のない時期ならば渋温泉側からでも行けるのだが、雪が積もる時期は上林温泉側のみになる。
車は“後楽館”の駐車場か、“かんばやしスキー場”の駐車場のどちらかに停めて、20分の雪道を歩くことになる。後楽館の“駐車場コース”と“スキー場コース”は途中で合流するが、その合流地点まで後楽館駐車場コースの道はほとんど平坦なようだ。スキー場コースは合流地点まで坂道で歩きにくいのだが、200m程距離が短いようだった。
僕はスキー場の駐車場に車を停めて歩いた。最初の100mは幅30cmくらいの歩きにくい下り坂で、“無事たどり着けるか?”という不安に包まれる。が、スグに歩きやすく、ある程度除雪された平坦な道になった。しばらく歩くと、後楽館の名物チマキを販売する建物が見えてきて(この時期は休業)、程なく後楽館に着いた。スタート地点の案内看板通り、ぴったり20分間歩いた計算だ。
昨年の秋に来た時は渋温泉側から有料の駐車場に車を止めた。上林温泉側より距離こそ短いものの、それなりにアップダウンのある山道を歩いた。そのことを考えると、今回は雪があったとはいえ、上林側からの方が歩きやすかった。駐車場も無料だし。お得。
後楽館
雪の中の後楽館
後楽館の露天
後楽館の露天風呂
後楽館で入湯料400円を払って脱衣所へ向かう。ガイド雑誌によると、冬の朝方だと猿と一緒に露天に入れる可能性が高いとあった。
『でも、猿と一緒に風呂はいるのって、イヤだよなぁ。蚤とか浮いてそうだし…どちらにしても、今、14時過ぎ。そんな心配も不要か…』なんて考えつつ露天へ向かう。
内風呂から露天へ続く扉を開けると、
『入っているじゃん!!“サル”』
ガイド誌の情報もあてにならないものである。
そこには人間様の露天風呂に浸かる猿の姿が一匹。その周りでくつろぐサルも結構いる。
その中の一匹がこちらに近づき目の前で座った。『お!露天の前にたたずむ猿の姿!!シャッターチャンス!!! 』と、右手でカメラを構える。左手には、財布と使わないときにカメラを入れる防水性の袋を持っていたのだが、被写体となった猿は左手に持った袋に一瞬の内に手をかけ、奪おうとしてきた。
幸い僕の気力の方が勝り、奪われないですんだけど。
そういえば前出のガイド雑誌に『買いの物の袋とかブラ下げて歩くと猿に取られるから気を付けて』って書いてあったわ。ガイド誌のいうこともしっかり参考にせねばなりませんな。
で、その奪われそうになった瞬間が一番上のタイトル写真の猿なんです。彼の右手が前に出ているでしょ。(分かる?)奴の行動がシャッターを押すのと同時だったので、こんな写真が取れました。
後楽館の露天の湯船は2つある。秋に来た時は内風呂から見て手前の湯船は熱くって入れず、奥のが適温だった。
今回、奥の湯船はぬるくってとても、入れない。
手前の湯船は少し、熱めだがなんとか入れそうだった。さっきまで、猿が入っていた湯船にひざまで浸かって、さあ、腰を据えようかとした、その時だ。
茶色の丸っこい排出物が『1つ、2つ、3つ、・・・プカプカ・・・』。
気づけば、ひざまで浸かった状態で硬直している僕の目の前に背中に子供を乗せた猿が近づいて来て、物欲しげにこちらを見つめているのである。こっちは、素っ裸で引掻かれたりしたらきっと痛いだろう。
『イカン。隙を見せたら、イタズラされそうだ。結構、こ、怖い。』
猿の浸かる後楽館露天
僕の入る直前までお猿が入っていた
地獄谷噴泉
間欠泉とは異なるらしい
(違いが分からん)
野生動物との共同浴作戦は甘くないのだ。
とりあえず、今日のところは露天風呂に入るのは諦めだ。というか、もう、一生望まない。
その後、ヒノキ造りの内風呂に浸かって、直前に背負った精神的ダメージをゆっくり癒しました。


後楽館と川を挟んだ向かいに“天然記念物 渋の地獄谷噴泉”が地上高くにガスと共に温泉を吹き上げている。これは、途切れることなく、なかなか壮観だ。
後楽館からゆるい斜面を登ること約5分、地獄谷猿公園がある。
この時、お客は僕以外にカップルが1組。職員の方が1人。猿は、数十頭いる。
ここの特徴は、動物園の猿山のように、人間様と猿を隔てる“柵”が無いことである。
彼ら彼女達(猿のことね)は人間の足元で、猿同士、普通に喧嘩を始めたり、寝そべったりしているのだ。
栃木県の日光のように食べ物欲しさで猿が人にチョッカイを出すということも見られず、ここに居ると、猿と人間が一緒に空間を共有している事に、感動すら覚える。
公苑内 露天風呂までの道
柵の右側が道 
通るには少し勇気が必要だった
お猿用露天風呂
地獄谷猿公苑露天風呂
入浴シーン近撮
一応、入場券には猿を見るときの心得として、“離れてみる” “目をじっと見つめない” “エサを与えない”等のルールが書いてある。身近だからといって油断は禁物なのだろう。僕は、後楽館で懲りてるから、どうしても“警戒”して接しちゃったんだけれど、普通は猿に対して親近感を感じてしまう、前に来た時は猿を撫でてる大胆不敵な人までもいた。

公苑の一番奥に猿用の露天風呂が作られている。
そこに、猿達が気持ちよさそうに温泉につかる姿が確かに見られた。なんでも、猿が集団的に水を恐れないのがここ特有の現象らしい。
猿が露天風呂に入っている姿って、想像に難くないけれど、実は珍しいのだ。
 
 
       【後楽館】 日帰り入浴 11〜15時 500円
       【地獄谷猿苑】      8時30分〜17時(11月〜3月は 9時〜16時30分)
                              500円 無休
       
長野県下高井郡山ノ内町 2002年1月


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