ちょこっと行って来る温泉


    No.12-1   只見温泉 保養センター  



     小千谷の花火は凄かった・・・写真も、写りの程は分からないが沢山撮った・・・ローカル色豊かな、昔風の花火で楽しかった。
    今日は田子倉ダムの脇を越えて須賀川へ出る予定だ・・・でも、途中でどうなるか、自分でも良く分からないが、後ろに積んである塩鮭が痛む前に家に帰り着きたい、と。
    8時少し前に友人宅を出発し、小出に向かった・・・ナビが高速に乗せようと企むが無視して国道17号を行く。
    小出から国道252号へ入ると、すぐにぐんぐんと高度を上げて行き、行く手の山は高く、幾重にも重なり深い。
    天気は快晴で、久しぶりに本格的な山の風景を目の当たりにして気持ちは踊っていた・・・快適な山岳道路を小気味良く走り抜けた。
    六十里越えトンネルと言うのをくぐって出た先が田子倉湖で、眼下遥かに見える湖面は空の色を映して蒼く光っていた。
    峠道の名前に六十里越えと言うのは他にも在って、この名を持つ峠は昔、いずれも相当の難所であった事が容易に伺える。
    カーブを曲がったら道路脇に掘建て小屋があって、道路工事の資材置き場だろうと思ったら、田子倉駅と記された札が掛かっていた。
    駅らしい雰囲気が全くなく、いったいどうなっているんだと興味をそそられたので車を停めて中を覗いてみた。
    へぇー・・・登山客以外縁のない駅だな・・・正装した美女が一人、無人の駅で降りて行方不明・・・田子倉ダムへ・・・なぁーん事をすぐに思い浮かべたくなる寂しい駅だった。

    田子倉駅のホームに正装した美人は居なかったが・・・

    ガードレールの無い道路脇から湖水を見つめるおっさんが一人・・・借金苦、か?


     さて、んじゃぁそろそろお風呂の時間です、と言う事で、本日の一湯目は・・・只見町の温泉保養センターと決めました。
    温泉保養センター・この先1キロの看板を通過してから、どう見ても5キロは走ったぞ・・・間違ったな、とUターン。
    地図通りに走って行くと、工事中でこの先行き止まり・・・疑って進んでみると間違いない、行き止まりだ。
    おっ、人が居る・・・で、保養センター場所を訪ねると、この先だと言うが、こそこは行き止まりだったと言うと、じゃぁ国道へ出て南郷村の方へ曲がって、橋を渡る前にすぐ左折すると保養センターが見えると、とても親切に教えてくれた。
    しかし、残念ながら私は南郷村を知らないので何所の角を曲がって良いのか分からない・・・また地図と首っ引きだ。
    電話番号検索でナビで行くだろうって? 私のナビはそんな賢いものとは違う、筋金入りのバカーナビなのです・・・まあ、電話番号知らないだけなんですけど。
    ちょっと手間取りましたが、南郷村への看板は大きくてで居まして・・・なーんだ、国道289号線はこれから行く道じゃないか、と。
    程なく、すぐ近くの温泉保養センターにたどり着きますと・・・火曜日定休日の立て札が立ち、温泉は静かに閉店していました・・・なんだぁ火曜日は定休日かぁ・・・えっ、今日は水曜日だぞ・・・開店の時間もとっくに過ぎてるぞ・・・どーなってんだか、会津の温泉の営業時間は、ホントにもぉー。

    悔しいから写真だけでも・・・入らなくちゃ意味ないじゃんかぁ

     どーもついてない・・・ガイドブックが古すぎるのか? それとも、世相が悪くなって急激に客足が落ちていると言う事なのか? 分からないが、頭に来るそ゜。
    あっちこちで、これほどいい加減に営業時間を変更されたのでは、遠来の客としては事前確認は怠れないな・・・しかし、だ・・・気侭な温泉探しの旅に事前確認だなんて、冗談じゃない、と言う事で・・・私はこの仕打ちをあまんじて受けようぞ、と・・・しょうがないから次へ行きます・・・。


    No.12-2   深沢温泉 むら湯  



    深沢温泉と言っても広い敷地内にある同系列のスキー用の宿泊施設に、同じ源泉利用の風呂場と日帰り専門の風呂があるだけで、実質は一カ所しだ。
    どちらへ入っても一回500円なので、私は当然こじんまりとした、日帰り専用の「むら湯」へ入った。
    建物外観、休息所と脱衣場、そして風呂場は、一般的な、あまり大掛かりではない日帰り温泉の平均的な物で、珍しい所は何も無い。
    どんな温泉でも脱衣場で目につくのが、これでもかと言う程の貴重品のカッパライに注意せよの張り紙だ。
    こんな気持ちのよい温泉に、悪いやつが出没するとは私は思えないので、持ち物は全く無造作に扱っている。
    もっとも、そんな事を言っておきながらもまるっきりの馬鹿ではないので小銭入れしか持っては行かないのだが。

     さて、風呂場の戸を開けると、先客が2人居た。
    一人は立ち居振る舞いと持ち物から、地元の常連か、施設の関係者だろうと見たが、もう一名は、間違いなく旅の人で、温泉を楽しんでいると見た。
    私は一度湯船に浸かってお湯を確かめ、掛け流しの湯の出口付近でもっともらしく温度を確かめ、少し口に含んで湯を確かめる等した・・・はったりだよ。
    そして、脱衣場からデジカメを取って戻り、湯船の端に腰掛けてのんびりしていた男性に「写真取ると背中から写りますが、撮ってもよろしいですか?」と声をかけた。
    すると、彼も温泉ハンターなのか、にこにこと笑みを浮かべて、はいはい、避けますから、どーぞ撮ってくださいな、と譲ってくれた。
    私は彼の笑顔の中に、同好の者が持つ親しみを感じ、感謝の意を表す笑顔を返した・・・無言の会話であった・・・ホントーかぁ?

     むら湯は、紛れも無く名湯だった。
    源泉掛け流し、100パーセントのお湯は、鉄分を含んで茶褐色に濁り、微かな塩味を感じさせる。
    湯船沈んで浸ると、重い湯がじわりと身体を温め、ゆっくりと沁みて来る感じがする。
    ややぬるく感じる湯は、いつまでも浸かっている事が出来、目を閉じてかけ流しの音に聞き入ると、これが適温なのだとお湯が言った。
    いやぁー、参ったなぁ・・・こんな良いお湯を駆け足でしか入れない温泉巡りなんて、意味無いんじゃないのかぁ?と激しく疑問を持たされた。
    うーん・・・沢山のお湯にドボドボと浸かれば良いと言うもんではないな、と、温泉ハンター初心者としては反省することしきりだった。

     
    むら湯の外観

    むら湯の湯船は見晴らしがとても良い


    No.12-3   下郷町 郷の湯  



     ここへ来る前に予定していた「山口温泉 きらら289」は、外観がそのまんまスーパー銭湯で、入湯料も700円と高いので止めた。
    私の中でいつのまにか、入湯料は500円までと上限が決まってしまっていたのだ・・・本音は、料金よりも混んでいる駐車場が嫌だった。
    さて、予定が外れたので、何所が良いかと考えながら走っていたら既に会津田島の街を通過していた・・・この先は秘湯は難しい、有名温泉ばかりだ。
    田島の街外れで蕎麦屋に入った・・・会津蕎の店がどうした、と能書きは良かったが、打ってから置きっぱなしの蕎は香りも無く、不味かった・・・安かったので許すが。
    腹はふくれたが、行き先が定まらない・・・惰性で国道121号を走って下郷の街へ入ってすぐ、天然温泉・岩風呂の看板を見つけ、通り過ぎる寸前に急ブレーキで駐車場に滑り込んだ。
    外観も立派な日帰り温泉なのに、手持ちのガイドブックは二冊とも記載が無かった・・・新しいからか?
    中へ入ってみると暇そうな若者がぽつんと居て、小さな声でいらっしゃーい、と迎えてくれた。
    できたて新品風の脱衣場から内湯へ入ると、なんと、健康ランド顔負けの泡風呂になっていた・・・温泉でこれはちょっとなぁ・・・。
    誰も居ないうちにと、内湯と岩風呂の写真を撮ってから、お湯を確かめながらゆっくり浸かってみた。
    あれれっ?泡風呂を馬鹿にしたけれども、これはひょっとして源泉掛け流しの新鮮、本物温泉かな、と。
    私は温泉の能書きを入った後で見る事にしている・・・ほら、先入観って見誤るからね・・・なので入って感じた泉質と能書きが違う事もたまにある。
    無色透明・無味無臭・・・たぶん単純泉だと思う温泉は(能書きのメモをとるの忘れた)低めの温度でまずまず、満足のいく物でした。
    源泉は主がかつて自力で掘り当てたもので、家族や近所の人を対象に小さな湯船で利用していたものを、今風に建て替えて営業したのだと書かれていた。
    ここのお勧めは・・・湯上がりに食べるソフトクリーム200円でした。

    郷の湯の外観

    郷の湯の露天風呂

    郷の湯にもタコ坊主が出た


    次は湯野上温泉が通り道に在るが、共同浴場の存在が書かれていない・・・無いのか? 無駄足は嫌だぞ、で通過した。
    ガイドブックには温泉宿で泊まりではなくても入れてくれる所と、河原にある無料の青空天然正真正銘露天風呂が紹介されていたが、国道沿いで握りふんどしで温泉に浸かれる程の度胸は持ち合わせていなかった・・・パスだー。

    この後、目標としたのは、秘湯の会の元祖だと言っている二股温泉の宿の風呂だった。
    しかし、駐車場からすでに敷居の高さを感じ、尻込みしてここもパス。
    私は気持ちがちっちゃいので、ごちゃごちゃした所を頭を下げながら入って行くのは嫌いです・・・なので評判の良い人の多い温泉はダメです。

    あっちゃぁー・・・随分予定が狂ったなぁ・・・後はガイドブックでは、天栄村の天栄温泉しか無いな、となってしまった。
    じゃぁ、とりあえず、天栄村はそれ程遠くも無いし・・・どうせ通り道だし、と言う事で天栄温泉をバカーナビにセットすると、案内を開始します・・・へぇー知ってんの?、と。

    No.12-4   天栄温泉 天栄の湯  



    速い話が、これは後付けで出来た温泉です・・・成分がナニとアレとか入っていれば、温度に関係なく温泉です、と言う新しい基準だ。
    源泉の温度が一年中9度と言うのはとても立派な冷泉で、温泉を謳うよりも冷鉱泉で売り出した方が良いと思うのだが・・・シロート考えか?
    しかし、しまったことに、ここの入湯料は700円と高い・・・うーむ、やられたな。
    それでは、今回の2泊3日の温泉巡りの締めくくりに、冷鉱泉の沸かし湯・・・温泉と言って良い物かどうかきわどい湯で止めにしなくてはならない不運を嘆きつつ、まったく期待しないで脱衣場に進んだ。
    すると、まったく期待していない私を裏切らない脱衣場は、宿の建物に比較してとても狭く、そして、あまり奇麗ではなかった。
    さらに、脱衣場から見える風呂場はとても狭く、全部で八畳間一つ分しか無く、湯船はたたみ三枚分も有るだろうかと言う物だった。
    うひゃぁー・・・最後にこれかよ、参ったなぁ・・・ブツブツ、ムニュムニュ・・・と風呂場へ。
    手桶を取り、下湯を使うのに一杯掛けると、あれっ・・・お湯が粘るのかぁ?と、不思議な感触が肌に流れた。
    そして、私の体感で39度位の、温泉としてはやや低めの温度を保つ湯船に沈むと、身体がべたべたする・・・手のひらで腕を摩ってみると、毛穴から脂肪でも沁み出して来たのか、と思う程にねっとりと脂っ気を感じる。
    手のひらを合わせて湯を揉んで見ると、これもまたぺたぺたとして、まるでグリスでも塗った時の様な感触になった。
    お湯を舐めてみた・・・微かに苦みが有るが無臭だ・・・手に掬ったお湯は無色透明なのだが、石で出来た湯船の縁はうっすら緑黄色に染まってい。
    少し離れて湯船を見ると、湯は微かに黄色味を帯びて見え、揺れ方に粘度を感じた。
    静かに沈んで手足を伸ばすと、原生林風の前方と谷底っぽい左側と天井をガラス張りにした、まるで温室のように採光の良い浴室は、どどーっと開放感を与えてくれる。
    最初に風呂場を眺めて感じた狭さは、湯船に浸ってしまえば、どこにも無い。
    これまで幾つかの湯に浸って来たが、この感触はかつて無く、とても不思議なお湯だ。
    温まるとか、ピリリと来るとか、しっとりするとか、抽象的で感覚に訴える表現しか出来ないのが温泉の湯だと思うが、天栄の湯は違う。
    湯に浸っていると、体中がペタペタするが、上がって身体が乾くとサラサラとして滑りが良くなる・・・やっぱり抽象的にしか無理か?。
    天栄温泉の事はガイドブックには掲載されていない・・・存在は地図上の温泉マークで確認できるが。
    こんな珍しい感触のお湯は滅多に無いと思うのだが、冷鉱泉が源泉なので取り上げられないのか?
    いやいや、いくら山奥に在ってもスーパー銭湯のような普通の温泉を羅列紹介するよりも、こんな素晴らしい温泉を紹介した方がガイドブックとしては上等だと思うのだが・・・。
    天栄温泉・・・敢えて言うならば、入湯料は500円にしてくれると良いと思うのですが・・・。
    泉質・・・硫酸塩泉 pH4.35 、源泉温度 9度、 自噴 1.7リットル/分、 カルシウム・マグネシウムを多く含む。

    天栄温泉にもタコ坊主が・・・しつこかったですか?


     さて、最後になって、とっても素晴らしい名湯にブチ当たった訳で、こりゃぁ、終わりよければ全てよし、と言うもんです。

     あー・・・温泉巡りは楽しい・・・次は、下北を狙っておりますが、さて、どうなりますか?何時になりますか?


     以上・・・おそまつでした・・・偏見と独断で書いてますから、まあ、インチキ臭いです・・・。


       この話 完。


    まあ、ネタは新鮮ですが信憑性は・・・?


    行った温泉について 質問を承っております


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