ちょこっと行って来る温泉


    No.14   秋保温泉 市太郎の湯  



     笹谷街道を峠まで車で登り、そこから北蔵王の雁戸山に登って来た。
    帰り道に疲れた足を湯に浸したいと思って「笹谷温泉ゆぽぽ」なる施設に立ち寄った。
    真ん前にあるセントメリースキー場の宿泊施設として川崎町がオープンさせた施設で、286号の曲がり角に「日帰り入浴」の看板が大きく立っていて目立つ。
    山登りを終え笹谷峠を下って程なく、286号から左折してすぐ、なかなか洒落た建物が在った。
    とても静かで、営業してるのか?と疑ったが、窓には明かりが点いているし、入り口に「営業中」の看板も出ていた。
    私はお風呂セットと着替えをぶら下げて建物の中に入って行った、が、案の定人の気配がない。
    しかし、施設内の電気は全て点いていて、本日のランチ終了しました、の札も下がっている・・・ふぅーん、営業中では在るんだな、と。
      宿泊受付のカウンターで「こんちはー」と声をかけてみた・・・しーんとしたままだった。
    もう一度、今度はかなり大きな声で「こんちわぁー・・・・」とエコーを聞かせ気味に呼んでみた・・・何の音沙汰もなかった。
    無駄だなとは思ったけれども、ほとんど焼けクソの大声で「ん、ちゃぁー・・・」と怒鳴ってみた・・・何んの変化も無かった・・・諦めた。

     うっひゃぁー・・・宛が外れたなぁ・・・後は秋保温泉か?作並温泉かぁ?・・・作並は温泉旅館の風呂で1000円以下は無いからなぁ・・・高すぎる。
    んじゃぁ、秋保しか無いなぁ・・・爺様が浮かんでいる共同浴場じゃ足を伸ばしてのんびりは出来ないなぁ・・・どーしよう?。
    あっ・・・あれだっ・・・天守閣自然公園の露天風呂・・・700円とか言っていたが、背に腹だな、よっしゃ・・・そこだ。
    と、言う事で、秋保温泉の市太郎の湯へ行く事に決定・・・笹谷から秋保までは川崎町経由で40分程度と、そんなに遠くも無い。

     秋保温泉の「天守閣自然公園」と言えば、今でこそ中々立派になって、バンガローやら露天風呂やらと賑やかだが、30年前は野っ原と池に錦鯉が居るだけの施設だった。
    その内、園内の池の脇に蕎なんか喰わせる食堂のようなものが出来て・・・あれからこつこつと進化し続けた訳だ・・・継続は力の典型だな、と。

     で、蕎麦屋と風呂の一緒になった入り口を入ると、蕎麦屋の会計兼事務所のような窓口で入浴券を買い求める。
    おばちゃんが、770円です、と言ったので、私の耳がピクピクっとなった・・・おばちゃんはこの手の反応に馴れているらしく、10パーセントの入湯税ですぅ・・・と宣った。
    まっ、消費税じゃないから内税表示か併記でなくても良いのか・・・? でも、今時珍しいな、流石だわ・・・ガメツイ。
    ここは昔から、ああだこうだと煩いことを言う施設であった・・・庭園の順路やら、ここは見晴らしが良いから座って休め、とか・・・一々煩かったのだ。
    で、おばちゃんのお釣りが100円足りない・・・えっ?下足の鍵の預かり金で、帰りに下足札と引き換えと・・・ はいはい、分かりました・・・疑り深いねぇ、まったく。

     蕎麦屋の食堂の脇の暖簾をくぐって外に出ると、なんだかちょっと雰囲気の良い通路を通って風呂へと向かう。
    たぶん蕎麦屋の裏手だな、と思う、手前側が男湯で、女湯はその先だった。
    なにぃー・・・風呂の写真撮影絶対禁止、とな・・・そんな大事な秘密が隠されているのか?・・・そりゃぁ楽しみだわい・・・ホントかぁ?
    脱衣場には100円が戻って来る貴重品入れのロッカーがあって、下足は、居酒屋なんかに在る、昔の銭湯と同じような下駄箱に入れる。
    トイレに入ってみて驚いた・・・今時珍しい、簡易水洗便所だった・・・昭和の50年代頃に田舎で流行った水洗便所だ・・・知らないかい?。
    これは、ここには下水道が無いと言う事なのか? 地下から温泉汲んでいるのに、まさか、自然浸透式・・・そんなバカな。

     さて、風呂です・・・これはなかなか雰囲気は良いです。
    ゆったりしたスペースで、洗い場も窮屈感が在りません・・・流石に770円取ってるだけはある・・・シャンプー・石けん完備・・・770円じゃ当たり前か。
    そして、10人までなら隣を気にしなくて済みそうな内風呂と、それと同等の露天風呂が外に2カ所・・・奥の露天風呂が雰囲気、お湯ともに良し、と。
    一応掛け流しと言っているのだが、温度が低いので循環させて湧かしていると、能書きが書かれていた。
    しかし、温泉ハンティングで、少し感の良くなっている私としては、掛け流しの湯量と、湯船の大きさのバランスに釈然としないものを感じた。
    湯船に浸って手足を伸ばした時に、新鮮な温泉で感じる、足先にジーンとくる電流感がほとんどないのだ・・・加水の沸かし湯だと感じない。
    男湯だけでもドでかい湯船なのに、これに女湯を付け足して、果たして加水せずに湯量を賄えるのか?・・・能書きには動力揚湯で毎分90リットルとあるが・・・。
    加温しているので、外も内も温度が同じなのは納得できる・・・しかし、掛け流しだと言う、溢れ出ている新鮮な湯が、なんだか私には薄味の水増しに感じられてならない。

     施設が大きく、すべてにゆったり感が味わえ、風呂場のいたるところに休息用の腰掛けなどが用意されて、心配りもなかなかだ。
    お湯の質などと言うものは、黙って目を閉じていれば分かりはしない・・・しかし、目を閉じるとプーンと臭うものが在る。
    いやいや、温泉の硫黄とは異質な、少し油臭い匂いが、湯気の中に微かに感じられるのである・・・風向きにもよるようだが。
    それは、露天風呂の囲いの外、すぐ傍らに、蕎麦屋の排気ダクトがあって、天ぷらを揚げる時の匂いが流れて来るのだと思われる。
    このあたりに、秋保の山奥の土地持ちが開発の波に乗って手を出したと言う、詰めの甘さが伺えて微笑ましくもある・・・まあ、昔はこの辺り、ホントーに在郷でしたから。

     本日、天ざるは喰いませんでしたのでナントも言えませんが、品書きをチラッと眺めた所では、たぶん税込み1200円だったと思います。
    これを喰いながら、のんびりと温泉気分・・・運転手に酒の嫌いな人なんか選んで行ったら、ホントーにのんびりできると思います。
    もっとも、平日の午後3時半・・・空いていて当たり前で、日曜の午後、どんな塩梅なのかは知りませんが・・・。

    市太郎の湯 外観

    市太郎の湯 通路


     市太郎の湯・・・うんちく

     源泉   35.8度 弱アルカリ性 無色 透明(時間経過で薄茶に変色) 極薄塩味 微硫黄臭。
     泉質   硫酸塩泉
     成分   塩化物・ ナトリウム・カルシウム
     効能   切り傷・皮膚病・やけど・神経痛・疣痔・・・など。
     飲用   不可。
     入湯料  700円(別途70円入湯税) 駐車場あり  シャンプー・石けん 有り 手ぶら可 


     この話 完。


    まあ、ネタは新鮮ですが信憑性は・・・?


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