ちょこっと行って来る温泉・・・やや番外編


    No.21-1  登別温泉 ホテルまほろば   



       最初に断っておきますが、私の趣味でこんな団体専用みたいなホテルを選んだ訳では有りませんよ。
    温泉ハンターへの道を真っ当に精進しようと言う私が、韓国や中国からの団体をドガチャカと受け入れて、バイキングで飯を食わせるような観光ホテルを選ぶ訳が無いのです。
    しかし、今回はおっさん4名の団体行動な訳でして、私以外の面々の都合と言う事もあるので黙っておりました。

     11月6日は千歳空港でレンタカーを調達して小樽へ行きましたが、すっかり観光地化して、なんだか伊豆の下田あたりや熱海を歩いているのと違わない感覚はがっかりであります。
    昔々、初冬の小樽に滞在した事が有りまして、そこで人生を哲学した事が有りました。
    その時は、薄汚れて暗く、坂道の多い北の街の哀愁に魅せられたのでありましたが、今の小樽は間抜けな明るさが軽薄な観光地の風情で、なんだかなぁ、これが小樽なのか、と、ガッカリです。
    で、連れが、寿司を食うと言うので超有名店で喰った訳ですが、味は一流で、値段は超一流でありました・・・美味いけどね、仙台でも喰えるね、もっと安く。
    ガラス細工だらけの土産物屋に辟易して小樽を退散し、一路札幌へ・・・宿はチサンホテルでした・・・温泉は何処に。
    私としては近くの温泉探訪に出掛けたかったのですが、他の皆様が「もう呑むべしぃー」と言うので、フリーペーパーで手に入れたクーポンを握って居酒屋へ。
    わざと繁華街を外して札幌駅の方までタクシーを飛ばして行った甲斐が有って、超安・極旨の居酒屋でありました・・・ウニ丼、2800円、極うまでした。
    その後は、中途半端なおっさんが、ススキノでアレだのコレだのと、ちょっとナニな店を所望するもんで、仕方が無いので私も付き合った訳であります・・・付き合いは辛いもんです・・・グフフフ。

     一夜明けまして、本日は旭川の旭山動物園へ行く訳でありまして・・・何が悲しくておっさん四人で冬の動物園なんだか、と、私一人が乗り気じゃ有りません。
    結論から言えば、旭山動物園よりも、仙台の八木山動物園の方がかなりの部分で優れていると思うのであります。
    動物の数、トイレの数、動物のいない施設や人目につき難い所の清掃などは仙台八木山動物園の方が上だと思います。
    じゃぁ、何であれほどまでに旭山が人気なのか・・・そりゃぁ、間違いなくテレビの宣伝効果でありましょうね。
    展示方法に工夫が有って、動物との距離が近い・・・そんな風な評判を聞いて行ったのですが、私にはとても不自然な見せ方で、見られる動物のストレスはどれほどか、と、納得できるモノではなかった訳であります。
    おっさんはスピアガンで魚穫りはしても、心は本物のナチュラリストなので動物園や水族館などは絶対反対ですから。
    そして、無理な展示方法が祟っているのは、順路の途中の見所でかならず渋滞してスムーズに見られない事が証明している訳です。
    で、あれほど強硬に動物園を推薦していたおっさんたちも、半分も見ないうちに、もーいいや、となった訳でした・・・要するに奴らは有名なものが好きなだけなんです。
    でねっ、一番問題だと思うのは、平日でもアレだけの団体客が日本全国から押し掛けている公共施設で、便所の数が極端に少ないと言うのは如何なものかと思うんでありますが・・・年寄りの団体はホントーに困っていましたよ、特に女性トイレの列。

     さて、寒いしつまんないし、で、腹減ったのでラーメン村行って名物の旭川ラーメンを食おう、と。
    レンタカーのカーナビがとてつもないバカナビで、交差点を通り過ぎてから右だの左だの言うもんですから、標識だけ見て行けばすんなり行けたラーメン村へ、右往左往しながら辿り着きました。
    で、私はミソラーメン嫌いなので、醤油にチャーシューで行ってみました・・・まあ、こんなモンでしょ、で、一杯1000円と・・・またもや、味はそこそこ、値段は一流でありまして、どーも北海道は観光客を舐めてるな、と。
     ラーメン喰って温まって外へ出ると、雪なんかも舞っていたりして寒い訳です・・・で、今晩の宿は何所?と訪ねれば「登別」との返事。
    ええっ?ここから登別なの?今日が定山渓じゃないの?登別って言ったら、相当遠いよ・・・予約キャンセルしろよ、と、私。
    何言ってんだよ、安い料金でカニ喰い放題は登別しか無いんだから、と、宿を手配したおっさんが言う。
    と、言う訳で、シャーベットや積雪の高速を走って、3時間・・・250キロ程走って目的の宿へ・・・すっかり吹雪でありました。
    まあ、カニ喰い放題は、冷凍で冷たい毛蟹・ズワイ・タラバと、取りあえず3種類揃っておりまして、形だけは体裁を繕っておりましたが・・・あれ、タラバじゃないよ、絶対に。
    で、カニはそれなりで、料金なりのものなのですが、その他の料理が喰い放題で、ボリューム、味ともに中々のものでありまして、まあ、まずまず、酒のつまみには事欠かなかったと言う事で、合格でありました。

     さて、ようやく風呂であります・・・日本最大級の露天風呂と、でかでかと看板を掲げております・・・ホントかぁー、と。
    地下1階と2階に風呂は在りまして、時間で男女を入れ替える方式であります。
    到着してまず景気付けに缶ビールで喉を潤しまして、いざ風呂へ・・・まあ、でかい事は違いない、がぁ、日本最大級では無い・・・ああ、上下併せるとでかいかも知れない、な・・・ガイドブックでは31カ所の風呂が在ると言う事ですが、なんぼ数えても上下で20個は無いと思うんですが・・・隠してあるのか?
    湧出量が明記されていず私の勘なので間違っているかもしれませんが、湯量は少ない、と見ました。
    都合4本の源泉が在ると言うのですが、硫黄泉の湧出は特に少なく、塩化物泉はひょっとするとマトモかも知れない、かも?
    で、とにかく人が多い訳ですが、湯船と風呂場のスペースが広いのでさほどの窮屈感は感じませんが、落ち着いた雰囲気とは掛け離れており、大昔に行った、聚落の乗りだな、と言う感じです。
    今時流行の癒し系、秘湯や山のいで湯とは対局の、団体宴会型質より量の大型温泉ホテルでありました。
    まあ、普段温泉と馴染みの薄い人たちにはコレで良いのかもしれませんし、取り立てて不満の出る風呂でもないのであります・・・ただ、アジア系外国人が多いのには参りました・・・韓国語と中国語で金弾洗ってから入れよな、と書いてあると思うんですが・・・英語では書いてありました。
    余談ですが、従業員にも中国人が沢山いて、私らを部屋に案内してくれた娘がとても可愛くて、あれこれ話したら、広東省から研修で来ているのだそうで、研修と言う名目のアルバイト従業員が沢山いると言っていました・・・子供っぽく見えましたが27歳でしたぁ、と。
    翌朝、早めに起きて、昨晩は女風呂で入れなかった方の風呂へ・・・おっ、おおおっ、なんとぉー・・・こっちが本命かぁ、で、メインのようであります。
    昨晩の岩風呂はこの風呂の下にあって、天井がビルのコンクリートで蓋をされていて開放感は皆無でありましたが、こちらはオープンな露天風呂で雰囲気は格段に良くなっておりました。
    しかし、湯は同じな訳で、硫黄泉は薄く、硫酸塩泉の湧出口まわりに新鮮なお湯を感じる程度でありました・・・湧出量に対して風呂が大きすぎるんでありましょうか?。
    それでも、北の大地の吹雪まじりの風に吹かれて入る露天風呂はなかなかの趣ではありました・・・それにしても、ガイドブックの提灯は大きすぎですなぁ。

         登別温泉 ホテル まほろば・・・うんちく

     源泉   65度〜88度(酸性) 無色 透明 乳白色 硫黄臭 薬味 酸味 
     泉質   硫黄泉 硫酸硫黄泉 塩化物泉 酸性鉄泉
     成分   硫黄・塩化物・ナトリウム・鉄分
     効能   神経痛・リュウマチ・皮膚病・美肌・にきび・疲労回復・便秘・糖尿病・疣痔
     飲用   不可
     入湯料  日帰り入浴不可  駐車場あり  ・石けん あり 手ぶら可 


    No.21-2  支笏湖温泉 「いとう温泉」 露天風呂   



     ぐだぐだと、酒に淀んだ目を半開きにして起き出したご一行様を尻目に、昨晩はビールしか呑まなかった私は絶好調でありました。
    早起きして露天風呂も堪能して来たし・・・写真を撮れないのがちょっとナニなんだけれども、人が大勢居すぎて、とてもとても・・・しかもアジアの外国人だし。
    で、けっこう豊富なメニューの朝飯をのんびり食って・・・ああ、俺が運転スっからぁ、呑んでいいよ、と、最年長の私は寛大なのであります。
    さて、本日は約一名が一足先に帰ると言うので千歳空港へ16時頃には行かなくてはならない・・・そして、どういうつもりで計画したのか、また札幌まで戻って定山渓温泉泊まりなのである・・・バカじゃねぇの、宿決めてる人は。
    そんな訳で、私としては一日くらいは北海道の秘湯を廻りたいと思った目論見は見事にすっ飛ばされ、つまらない観光地巡りをさせられている訳であります。
    んじゃぁ、何処へ行く?・・・洞爺湖?・・・却下だな、千歳から離れる・・・支笏湖?・・・よし、それだな、で、午後は千歳の鮭公園、と。
    支笏湖は意外と近かった・・・10時過ぎには到着して、中国語を話すご一行様の後をついて廻ったが、寒いのなんの、風がピューピューでありまして、大半の観光施設は明日の日曜日で休業に入るのだとか。
    支笏湖はさして大きくも無いのに、湖面を吹き抜ける強風で海のように波立ち、沖目の風の通り道は白波が凄かった。
    寂し過ぎる湖畔は観光するべき見物も無いので早々に支笏湖観光センターみたいな所へ逃げ込んで、暖をとり一服。
    その時に掲示板で見つけた「支笏湖湖畔の天然温泉」の張り紙から、いとう旅館を発見した。
    近くに居た爺様に温泉の事を訪ねると、明日で冬期休業に入るけど、今日なら大丈夫だとの事。
    他に行く所も無いし、私のくすぶっている不満解消にも必要だと、全員一致で行く事に決定したわけであります・・・めでたし・めでたし。
    さて、さして遠くも無い湖畔の道を進んで行くと「いとう温泉」の看板が見えまして、雪があったら絶対に登れない急坂を心配しつつ降りて行きました。
    で、車が宿の前に入った所で、建物の戸締まりをしている人の姿が目に入りまして、ありゃぁ、店じまいかもよ、と。
    私らの姿を認めた宿の人が慌てて鍵を開け、にっこり笑顔を向けてくれたので、んじゃぁ、と言う事で入場であります。
    とりあえずレストランか食堂か迷う所へ座り込んで、ビールを注文しつつ、連れの奴らは昼飯の相談であります。
    結局店じまいの途中ですから材料も無く、ラーメンとソバしか出来ないと言う事で、否応無しにラーメンであります・・・ラーメンライスは、と言いかけたバカ者に、米があったらチャーハンでも卵どんぶりでも作れっぺぇ、と。
    で、ラーメンを食い終わった私は、お風呂に入りたいんですけど・・・と、尋ねたのでありますが・・・。
    えーと、風が強くて、しかも昨晩の雪が入りまして、露天風呂は温度の方が低くて・・・35〜36度でしょうか?・・・入りますかぁ? とま答えでありました。
    私らは一度覗いて見るべ、と言う事で露天風呂を観察に行った訳であります・・・と、湯船は湯気が立ち良さ気な雰囲気でありますが、手を入れると・・・うーん、37〜38度だが、入って入れなくは無いが、上がってから服を着るまでの吹きさらしが辛いかもなぁ、でありました。
    私以外の一行は、あー、俺は遠慮しとくは、で食堂に戻って酒を飲み始めました。
    私は他に客が居ないのを良いことに、女湯を覗いた見た訳であります・・・こちらは湖面に面していず、風当たりが弱いはず、と読んでの事でありました。
    ああ、やっぱりなぁ、思った通りだべやぁ、と言う事で、早速宿のフロントで女湯に入って良しの許可を得るべく交渉であります。
    もっとも間もなく店じまいして冬期休業に入る吹雪の宿に他の客が来る可能性は極めて低く、ちょっと困ったポーズを取りつつも、OKと・・・。

    素朴な入り口であります

     さて、やっと温泉らしい所へ入れる訳で、うれしさ百倍なのでありますが、お湯の温度が心配であります。
    取りあえず脱衣は男湯で済ませ、ちょろっと前を隠して女湯へ移動であります・・・なんて事無いんでありますが、赤く「女」と大きく染め抜かれた暖簾を分けて入る時に、ちょっとドキッとする辺りが純情なのであります。
    清冽な澄んだお湯に、これでもかぁ、と言う程の落ち葉が入って、それは風呂と言うよりも池でありまして、ここ数日、誰も入っていないのでは、と思わせる情景でありました。

    女湯の方が大きくてお湯も良いです。

    すっかり湯に沈み込んでみると、これが意外にも温かでありまして、湧出口付近では適温と言える程でありました。
    湯口は風呂の岩の隙間でありまして、天然自然湧出、源泉掛け流し100パーセント、加水・加温無し・・・本物の天然温泉でありました。
    舐めてみると・・・湯船にミミズが沈んでいたのはご愛嬌で、見なかった事にして舐めてみますと、微かな塩味でありました。

    たいした標高ではないのですが、美しい山です

    うーん、単純塩泉かなぁ?気泡はないな・・・中性の単純泉なんだろうな、と言う事で、泉質よりも、ロケーションで楽しむ風呂だな、と感じた次第であります。
    で、適度に温まった所で男湯に移動であります・・・湖面を渡る雪まじりに風に煙った向うには、風不死岳が厳然と聳えており、文字には出来ない絶景でありました・・・これ、夏に入りたいな、夕日眺めながら。
    と、言う事で、また訪れたい温泉が一つ追加でありました。

     支笏湖温泉 いとう温泉・・・うんちく

     源泉   45度(pH 不明) 無色 透明 塩味 無臭  
     泉質   たぶん単純塩泉
     成分   ナトリウム
     効能   神経痛・リュウマチ・疲労回復・疣痔
     飲用   不可
     入湯料  700円 駐車場あり  ・ 手ぶら可 


     さて、いとう温泉では私だけが入浴し、余の者は酒を飲んでぐだぐだと・・・よく飲むなぁお前らは、と。
    千歳空港で一名を降ろす訳ですが早過ぎるので、鮭パークとやらで時間つぶしなんでありますが、800円も払って淡水魚の見に水族館を見せられて、吃驚であります・・・北海道は観光客から取り過ぎだと思うんでありますがぁ。
    あんまり見る物も無い場所で、暇つぶしも難しい所でありまして困ったのでありますが、迂闊に外に出ると寒過ぎるので、見るとも無しにうろうろであります。
    さて、もうよかんべ、と言う頃合いで千歳で降ろしてから一路定山渓温泉へ。

    No.21-3  定山渓温泉 グランドホテル 露天風呂   



       定山渓もけっこう遠くて、千歳からなんだかんだで2時間近くも掛かって到着でした。
    本日満室頂いております、と・・・丁寧そうだけど、変な日本語だなぁ・・・安いので団体と宴会で満室なんだろうなぁ、と。
    で、ここも安いのでバイキング料理なんでありますが、昨晩、こんなもんだよなぁ、と、突いていた料理がとんでもなく良いものに見える程、ひどい物でありました。

     で、風呂でありますが・・・ここも男女入れ替え式で、まあまあ、それなりに、大型温泉ホテルの露天風呂の定番型を踏襲するものでありまして、まあ、これもこんなもんだろうな、であります。
    しかし、ナニでありますね、大型ホテルは宴会とコンパニオンが命だった訳で、それがバブル以後流行らないとなって、苦しい訳です。
    んじゃぁ、と言って気軽に業態変更できる程小さな規模でないだけに、可哀想でもあります。
    お風呂も昔の名残で、金掛かってんぞぉ、でありますが、今はそれが却って陳腐なのでありますから皮肉です。
    で、とても大きな露天風呂は気持ち良いと言えばそうなのでありますが、悪く言えば、700円で入れるスーパー銭湯でもこれは有るぞ、と言う事です。
    そんな訳で、温泉とか、侘びとか、錆とかに全く興味のない「ああすればこうなる、の直線思考」の輩との旅では、こんなもんだろうな、と言う事で、番外編集利用であります。


     この話 完。


    まあ、ネタは新鮮ですが信憑性は・・・?


    行った温泉について 質問を承っております


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