ちょこっと行って来る温泉


    No.27-1  東根 さくらんぼ温泉 こまつの湯   



       山形県東根市のさくらんぼ温泉に行って来ました。
    仙台市青葉区僻地大字山奥字谷底の我が家でも雪が降っておりまして、こんな日に峠を越えて雪の山形へ出向かなくても、と思うんでありますが、まあ、今日みたいな日には宮城県内だって山の方の温泉に行けば雪になっている訳で、どこも一緒だべぇ、なのであります。
    そんな訳で、大字谷底の我が家を10時半頃、のこのこと出発でありました。
    で、関山峠を越えて山形県へ行くんでありますが、私の住んでいる仙台市青葉区は、山形との県境までが縄張りでありまして、言わば、隣町へ行くだけなんであります。
    と、言う事で、雪道にも関わらず、国道をちんたら走っても一時間も有れば、さくらんぼ温泉にはついてしまうんでありまして、東根市の温泉街と言う看板を頼りに進んで行って一番最初に行き当たったのが「こまつの湯」でありました。

     広い駐車場は折しも降り出した大粒の雪で一面真っ白でして、駐車の枠も見えませんで、はみ出してるかもなぁ、と・・・気が小さいのでこう言う事がとても気になります。
    建物はなかなか堂々としていて、公衆浴場と言うよりは、パワー銭湯か、和食のチェーン店か、と言う趣で有りました。
    中へ入ると蕎やうどんを食わせたり、足つぼマッサージのコーナーやらお土産売り場なんかがありまして、へぇー・・・まぁ、ナンだね、頑張ってんね、であります。
    木戸銭の350円は建物の雰囲気やゆったり感から言っても格安だな、と思いますが、お風呂に入ったら、安くてどーもすいません、と恐縮する程であります。
    と、言う事は、お風呂が良い、と言う事なんでありますが、施設もお湯の感じも、総て、平均点を大きく上回って花丸のたいへん良く出来ました、を付けたいと思うのであります。
    風呂のいたる所にホテル小松と言う名称が有りますんで、元は温泉ホテルであった物を、日帰り入浴施設に変えたのだと伺える訳であります。

    小松の湯 正面

     さて、お湯は・・・なんと申しましょうか、昆布のだしを採った事が有りますか?あんな感じの淡い茶褐色でありまして、ほのかな塩味が絶妙なだし汁なんであります。
    いや、ホント・・・しまった事に食べ損ねたんでありますが、温泉卵を売っていたんでありますけれども、このお湯なら美味いでしょうよ、絶対に。
    しかし、源泉温度は70度くらいなんですが、ゆで卵は70度で出来ちまうんでありますか?100度じゃなくて良いんでしょうか、と。
    そんな訳で、薄ら、微かに感じる硫黄の臭いの湯に浸かりますと、これが熱い・・・弾袋がキュゥーんと縮む感じで、思わず「ええぃ、ちくしょー、なんだこりゃぁ、ううっ」などと唸りながらでないと沈み込むのは容易でない訳であります。
    70度のお湯と言っても引き湯なので源泉口から届く間に冷えているんだと思うんでありますが、お湯の素性の説明に、掛け長しとか、加水い無しとか、書いてないんであります。
    まっ、しかし、熱すぎて入れない程手も無いし、浴槽が区切られていて、小さなしきりの中は普通の温度なんであります。
    それと、外に有る露天風呂も外気温が低いのと、雪など降り込む為か、大分低めで、ゆっくり浸かるにはこちらが宜しいようであります。
    先に小さく区切られた、と書きましたが、そこで5〜6人がゆったりで、大きい浴槽は15人程度ゆったり、であります・・・浴槽などはホテルの物をそのまま使っているのかと。
    で、露天風呂のある庭が、広くは無いんですけれどもきれいに造り込んである訳でして、元はホテル、由緒有る旅館であるぞ、と言う意地の片鱗などを感じる訳であります。

    小松の湯 風呂も洗い場も ゆったり広々、350円じゃ文句無しです。

    さて、塩化物泉は何所で入っても温まり具合がとても良くて、いつまでもぬくい訳です・・・着込みすぎると汗吹き出して困りますね。
    こまつの湯も例外では無くよぉーく温まってぽっかぽかの湯でありました。

     で、源泉なんでありますが、さくらんぼの湯は、「温泉協同組合」と言う所が総ての源泉を管理していて、そこから格宿やお風呂に湯を供給しているんでありますね。
    で、温泉の井戸の数は相当数有るようで、こまつの湯へは源泉13号が引かれていると書かれておりました。
    なので、この後に入った「巽の湯」などは、自分家の敷地から湧いているのですけれども、管理は温泉協同組合になっていて、源泉18号となっている訳であります。
    と、言う事で、巽の湯は特別でありますが、他の温泉はほとんどが同じ地域で湧き出した源泉な訳で、成分や泉質もほとんど一緒でありました。
    なので、さくらんぼ温泉には約40軒の風呂が有るそうですけれども、ハシゴをしても違った泉質に当たる事が無い訳で、その点はちょっとナニで寂しいかな、と思う訳であります。

    お土産売り場に有った「クルミ豆腐」300円はかなり美味かったし、ずんだ饅頭6ヶ入り320円も美味かったです。
    クルミ豆腐は相当に、お勧めです。

     こまつの湯・・・うんちく

     源泉   温泉協同組合13号源泉 69.7度(pH8.1) 薄い茶褐色 やや塩味・石灰質のざらつき ホントに微かな硫黄臭
     泉質   硫酸塩化物泉 
     成分   カルシウム・ナトリウムなど
     効能   神経痛・リュウマチ・切り傷・慢性皮膚病・疲労回復・疣痔
     飲用   不可
     入湯料  350円 駐車場あり  シャンプー・石けん あり 手ぶら可 


    No.27-2  巽の湯   

         さて、と・・・私は温泉ハンティングと言いながら、その辺りに有る風呂を片っ端から入って数を伸ばす、入湯の記録を伸ばすなどと言う事には全く興味が有りませぬ。
    風呂に入って楽しむのが目的なので、一つのお湯は、それなりに納得するまで浸かっていたいと思うのであります。
    もっとも、ただ風呂に入るだけなので、納得するまでと言った所で大した時間はかかりませんけれど。
    で、ぽっぽと火照る身体と、薄くなった頭からも湯気など立てながら駐車場へ行きますと、大雪の様相でありまして、もそもそと雪が降っているでは有りませんか。
    こりゃぁアレだな、さっさと帰った方が良いかな・・・でも、昼飯喰わないとな、で、バカーナビで蕎麦屋を検索すると三軒隣に「大けやき」なる蕎麦屋が・・・。
    さっそく入りまして、天ざる1600円なりを注文であります。
    本当は温かい肉蕎も喰いたかったんでありますが、温泉で温まっていると、冷えたざるそばの喉越しが堪らない訳であります。
    で、もの凄い由緒正しい雰囲気の「大けやき」は、店内の調度品や欅の柱に圧倒されて蕎はどんなもんだったのか、忘れました・・・嘘です。
    山形の名店と言われる中には、勘違い系の蕎麦屋も多いんでありますが、こちらは正真正銘、普通に美味しい蕎で有りました。
    私が一番大切であると思っている、蕎の命、風味の要・・・蕎の香りは、合格でありました・・・普通に美味しいと言うのは、誰が喰っても美味いと感じると思う蕎に対する褒め言葉でありますよ。
    蕎麦つゆ用の猪口をもう一つ貰いまして、わさびとか薬味無しで喰うんであります・・・ほんのちょっとのつゆで素の蕎を楽しむんでありますね・・・俺流です。

     で、腹いっぱいになった所で外へ出ると雪は止んでおりましたので、んじゃぁ湯巡り再開と言う事で、バカーナビにオオタの湯をセットしました。
    あらぁ、すぐ裏手じゃんかぁ、で、指示に従って移動して、バカーナビがここです、と言う所は、だだっ広い駐車場であります。
    ええっ?また俺を虐めてる訳かぁ、と、言うか、ひょっとしたらこの空き地にかつてはオオタの湯が有ったのだと言う事かぁ、と思う訳です。
    んじゃぁ、と言う事で諦めて、ご近所検索をしてみるとすぐ近くに「巽の湯」が出て来るのであります・・・移動に3分です。

    巽の湯 入り口

     巽の湯は、座っちまうとコタツの高さと同じくらいになって隠れてしまいそうな小ちゃいお婆ちゃんがポツンと番頭をしておりまして、暇そうであります。
    で、中へ入りますと、外見から見るよりも結構広くて、トイレなんかの作りや数を見ますと、これもかつては小じんまりした温泉旅館であった物かなぁ、と思う訳です。
    で、風呂場へ進みますと、たぶん、私の見立ては当たりかなぁ、と思う程に、湯船も風呂場も広いんでありまして、やっぱりなぁ、です。
    しかし、公衆浴場はコレで良い、とばかりに、洗い場にシャワーなどの近代的設備は皆無でありまして、チビた石けんが数個有るのみです。
    何とも潔いんでありますが、お湯の感じは、もっと潔くて、入れるもんなら入ってみろとばかりに熱いんであります。
    しかし、こっちも熱いお湯が好きな事に関しては、自称「たこおやじ」・・・ん?貴方も私が「タコ」だと認めていると、?
    そんな訳で、歯を食いしばり、ケツと弾に力を込めて「ううっ・・・うりゃぁ、うげげぇっ、ぐぅぅぅぉりゃぁ」と、気合いで沈み込んだのであります。
    まあ、一旦入っちまうと後は静かにしていれば何と言う事も無い・・・事も無い・・・やっぱし熱いです。
    茹で蛸一丁上がりと言う感じで水をかぶりに飛び出すんでありますが、これがまた切れるように冷たくて気持ちがよい訳です。

    巽の湯 湯船

     ところで、巽の湯は珍しく自分の敷地内から湧いて出るお湯を使っているんだそうであります。
    ほとんどが温泉町1丁目か2丁目から源泉を引いているんでありますが、ここは温泉町3丁目でして、風呂の住所と源泉地が一緒であります。
    で、婆ちゃんの説明によれば、敷地内から湧いているのは東根温泉ではとても少ないんだそうでありまして、巽の湯は珍しいんだそうです、と。
    そんな訳で、お湯は、こまつの湯に似ていますけれども、もうひと味、とろっとした感じで、舐めてみると苦みが強いんであります。
    もうちょっとお湯をぬるくして、かぶり湯用の小さな桶なんか置いてくれたら、あと3ポイント程株が上がると思うんですが、婆ちゃん曰く、近所の人の銭湯なんだそうで、コレで良いのかもしれませんね。

     巽の湯・・・うんちく

     源泉   協同18号 50.8度(pH7.6) 薄い茶褐色 やや塩味・石灰質のざらつき 無臭 
     泉質   炭酸水素塩泉 
     成分   カルシウム・ナトリウム・炭酸など
     効能   神経痛・リュウマチ・疲労回復・切り傷・慢性皮膚病・疣痔
     飲用   不可
     入湯料  250円  駐車場あり  シャンプー・石けん なし 手ぶら不可 


    No.27-3  オオタの湯   

     そんな訳で、湯上がりに婆ちゃんとひとしきり温泉談義などして、東根温泉の現状などを伺った訳でありますが、序でにオオタの湯はどーなったんですか?と尋ねてみた。
    すると、ここからほど近い所に移転して大々的に日帰り温泉を営んでいると言う事だった、が、多くは語らない言葉の隅っこに、なんか、一筋引っかかるモノをを感じつつも、オオタの湯へ向かってみた。

    オオタの湯 入り口・・・でかい駐車場とけっこう大きい建物

     で、移転していた事を知らないバカーナビは、オオタの湯跡地へと案内していた訳で、今は表通りの広々とした所で営業しているのであります。
    もの凄く広い駐車場に、見た目は中々に堂々とした、逆さクラゲの看板も鮮やかな立派な日帰り入浴施設でありました。
    で、中に入りますと、天井の高い、開放的なロビーは気持ちの良いものであります・・・ちょっとした休息用スペースも有ります。
    さて、肝心のお風呂でありますが、悪意は無いのですけれども、率直に書かせてもらっちまうと、安普請で、ちぐはぐな感じが否めないと言う・・・関係者が読んだら殴られそうな感想でありますが、私はそう思ったんであります。
    なしてかなぁ、と、見渡してみると、材木の使い方がおかしいと言うか、変だと言うか、マヌケと言うか、要するにダメなんでありますね。
    そして、太い梁だと思ってみると、集成材であったりする訳で、なんとなく違和感を感じる訳であります・・・まあ、人様の建物にケチ付けるのはナニなんでありますが、まあ、偽らざる感想でありました、と。
    で、脱衣場で感じた違和感は、風呂場に入っていよいよ絶好調でありまして、センス無さ過ぎ、ウチワでぴったり、でありました。
    浴室内には木材は皆無であります・・・一見木に見えるのはプラスティクであります。
    まあ、天然温泉だから新建材じゃダメとか、ユニットバスの雰囲気じゃダメとかは無いんでしょうけれども、しかし・・・味気なさ過ぎであります。
    湯船を水色のペンキで塗ってあるんですけれども、お湯は、茶褐色な訳で、美しくは無いのであります・・・このセンスが、私には扇風機なんでありますねぇ。
    まあ、人様の商売の姿勢を云々するのはナニですし、まあ、アレです・・・嫌なら来るなと言われればそれまでですから。

     お湯は、ここまでの2軒と同系の泉質でありまして、ほぼ一緒の感触であります。
    ここは、スーパー銭湯的ポジションを狙った物と思われますが、それであれば、もう少し風呂の種類を増やすなどして、徹底すれば良かったのに、なんてね。

    オオタの湯・・・うんちく

     源泉   67.5度(pH8.0) 薄い茶褐色 舐めなかったので味不明 無臭 
     泉質   硫酸塩泉 
     成分   カルシウム・ナトリウム・硫酸塩など
     効能   神経痛・リュウマチ・疲労回復・切り傷・慢性皮膚病・疣痔
     飲用   不可
     入湯料  350円  駐車場あり  シャンプー・石けん あり 手ぶら可 


    No.27-4  沖の湯   

     本日最後のお湯は「沖の湯」であります。
    ここは雑誌で紹介文を読んで、創業が1937年で戦時色の濃い時に始まっている訳で、なんでまた、と興味を引いたんであります。
    そんな訳でナビに導かれて行ってみると・・・普通の民家のような佇まいで、玄関入ると唐突に番台であります。
    戸を開けるとピンポーンと鳴って、奥からおかみさんらしき人が出て来まして、木戸銭200円なりを支払う訳であります。
    置きの湯は非常に無駄の無い作りでして、番台のすぐ脇が風呂場で、コンパクトであります。
    で、建物から想像するのとピッタリくらいの広さの脱衣場と、これまた想像した通りくらいの大きさの湯船の風呂なのであります。
    木戸銭の200円が総てを物語る訳で、ここまでは全部予想通りでありまして、まずまず、成る程な、であります。 で、なんでここにこの程度の大きさの風呂が、あの時代に、と考えを巡らせると言いますか、勝手に想像すると言いますか、まあ、してみる訳です。
    これは、誰か、それなりのお大尽か、名の有る人の別宅か、療養の為の家だったのではないのか、との思いに至った訳であります。
    その理由は、脱衣場の隅に掲げられた一枚の模造の絵であります・・・それの絵の下には講釈が書かれていて、何かこちらの湯に所縁が有るのか、と。

    沖の湯 ・・・何も言う事無し、でありますね。

     さて、お湯は・・・やっぱり協同源泉なんで何所も同じでありまして、ほとんど違いは有りません。
    風呂自体は源泉掛け流しと言いますか、小さな湯船に毎分280リットルの垂れ流しと言いますか、濃いのであります。
    そして、ここも やっぱりとんでもなく熱いんでありますが、もう私の身体もすっかり慣れてしまって、ユデダコを楽しみつつ、唸りながら浸かるのであります。
    で、ここが個人の為に造られた風呂であろうと言う読みのもう一つのネタが、洗い場の水道であります。
    ケロリンの黄色い湯桶は5〜6個有るのですが、水道は一カ所しか無い事から、営業目的や大人数を相手に造られた物では無いだろうと・・・どーかなぁ?

     そんな訳で、私は入った風呂の一つ一つをじっくり楽しんでしまうので、一日に10軒廻ったとか、20軒だ30軒だなんて言うのは無理なんであります。
    茹だりながら、タコ頭を巡らし、じっくりと建物や備品や調度品など眺めて、勝手な推測の世界で遊ぶ訳です。
    でもね、そんな事でもしてい無いと、只風呂に入ってたって飽きちまいますってば。
    なんぼ蘊蓄垂れて能書き言っても、所詮はたかが温泉なんでありまして、入れない程凄い温泉とか、入ったが最後出られない温泉とかも無さそうですし・・・。

    沖の湯・・・うんちく

     源泉   協同12号 62.2度(pH7.9) 薄い茶褐色 舐めなかったので味不明 無臭 
     泉質   硫酸塩泉 
     成分   カルシウム・ナトリウム・硫酸塩など
     効能   神経痛・リュウマチ・疲労回復・切り傷・慢性皮膚病・疣痔
     飲用   不可
     入湯料  200円  駐車場あり  シャンプー・石けん なし 手ぶら不可 


     この話 完。


    まあ、ネタは新鮮ですが信憑性は・・・?


    行った温泉について 質問を承っております


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