ちょこっと行って来る温泉


    No.28  作並温泉 都の湯   



       作並温泉には日帰りの温泉施設は有りませんでした。
    なので、もしも作並のお湯を味わいたいと言う事になれば、温泉宿の風呂を訪ねるしかなかった訳でありますが、これがどこも中々立派な値段でありまして、まず、相場は1000円、と。
    しかも、私は、生まれて初めて入った温泉が作並で、小学校の子供会の夏休みの行事や、会社の泊まりの忘年会やら、チョットした接待やらと、なんでかんで温泉と言えば作並であった訳です。
    仙台の奥座敷と呼ばれた作並温泉でありまして、馴染み過ぎていた為に、今更1000円払って入るほどのもんでも無いべぇ、と言う事で近い割りには避けていたのであります。
    ええっ?仙台の奥座敷と呼ばれる温泉は秋保だろう?ってかぁ?そう言う事を言うのは、仙台っ子ではないのでありますね。
    秋保なんて在郷が有名になったのはずっと後の事でありまして、しかも、合併前は、あっちは仙台市では有りませんでした。
    ところで、何で作並が秋保に水をあけられたのか、ご存知ですか?・・・知る訳も無い、と・・・私もです。
    しかし、想像してみました。
    昭和の40年から50年頃に掛けて大きな温泉宿、いわゆる、加賀屋タイプとでも申しましょうか、そんな物が最初にドンドンと出来たのが秋保温泉でありました。
    この頃でしょう、仙台の奥座敷の座を秋保に持って行かれたのは・・・宣伝でも仙台の奥座敷、と言っていたと記憶しておりますが。
    で、方や作並温泉は、ホテル・グリーングリーンなどが出来ましたけれども、古くからの老舗は、どちらかと言うと湯治場的発想のままで、静かな落ち着きを重んじたのでは無いのかと思う訳です。
    で、その差は、建物の豪華さや、飲食の豪華さなどよりも、コンパニオンの派遣と言う、宴会での隠し玉で顕著に出たのだと思う訳です。
    そんな訳で、景気が良くて、イケイケドンドンの時代の名残のような大きな温泉施設は秋保、で、静かにのんびり上品に、が作並となった訳であります。
    もっとも、後には作並も遅れてはならじと大型の近代的温泉ホテルに変わって行く訳でありますが、今となってはそれが重荷・・・いや、余計なお世話であります。
    しかし、秋保にはストリップは有りませんでしたが、作並には天下の「温泉名物化け物屋敷」・・・もとい、関西ストリップの小屋があったのであります。
    で、蛇足ですが・・・あまりの酷さに酔った客が暴れ出すと、地回りの兄ちゃんが出て来て、太刀回りになる訳でありますが、それでも、作並は静かな湯治場でありました。
    何でそんな事を知っているのかと言うと、高校時代の友人の母親が作並の芸者であった訳で、良く泊まりに行っては夜の華やかな、狸と狐が跋扈する温泉街で社会勉強などしていたのでありました。

     さて、とっても長い前置きになりましたが、作並温泉初の日帰り入浴施設、都の湯であります。
    はっきり言って、まあ、長くは持たないでありましょう、と、言うのが私の偽らざる感想であります。
    日帰り天然温泉と銘打って客を呼ぶには、あまりにも湯船と浴室が狭過ぎて、窮屈なんであります。
    仙台は大都市ではないけれども、取り敢えず、百万都市な訳で、当たれば客は来る訳であります。
    風呂は、洗い場の隣とのスペースがきつく、自分の流した湯が隣へ迷惑を掛けかねないので気を使います。
    シャワーなど使うと、直ぐ後ろが湯船でありまして、ちょっと間違うとこれも迷惑を掛けそうで、気の小さい私などは恐縮しながらの使用になります。
    さて、極めつけは、極小の湯船でありまして、定員は、大人が5名で、しかも、体育座りであります。
    これでは、せっかく金を払って温泉に浸かりに来た意味が全く無い訳でして、何を考えてこのようなやっつけ仕事の風呂場になったのか、聞いてみたいと思うほどでありました。
    予算の関係ではないはずです・・・休息室やロビーやロッカー室などと、他では金を掛けたがらない所には、そこそこのナニがアレしている訳であります。
    で、想像してみますと・・・都の湯は岩盤浴が売りになっている所でして、風呂だけの人700円で、岩盤浴もセットだと2000円な訳です(ガウン・マット・ミネラルウォーター付き)。
    と、言う事で、岩盤浴を売り物にしているので、温泉の湯船はオマケ的発想なのか、と思うのでありますが、これ、失敗すると思いますよ。
    岩盤浴は今時、そろそろ下火でありましょうし、それにしてもあの浴室の狭さに700円払うなら、秋保の一太郎の湯にも神ケ根温泉にも勝てない訳です。
    で、もっと言うと、正統派の温泉好きなら、あと30分足を伸ばして、山形県東根のさくらんぼ温泉に出向いて美味い蕎でも喰いながら湯浴みした方が良いと思う訳です。
    しかし、私ってば、人様の商売に堂々とケチつけるよねぇ・・・言うよねぇ、でありますね。

     余談でありますが、最初は秋保のはずれの神ケ根温泉の隣の、鴻巣の湯へ向かったんであります。
    道々、看板が消えているし、除雪は甘いしで、なんか様子が・・・と、思いつつも到着すると、しーんとしている訳です。
    で、奥の方に、顔のしわの数を数えたら3日は掛かるだろうと言うくらいにシワクチャの婆様が雪かきなどしていたので「温泉、やってねぇのすかぁ?」と聞いてみました。
    すると、梅干しの種のような目をしばたかせながら婆様は「んだぁ、おぎゃぐ さっぱり来ねぐなっつまったもんで、やめだのっしゃぁ。おらいではぁ、わがすゆ(沸かし湯)だがらねぇ、油代たがくて、はぁ、やめだのっしゃわぁ・・・まずまず、きてけらって、ご苦労さまでがしたぁ」と。
    そんな訳で、一昨年までのマップルなら掲載されている神ケ根温泉は廃業していたのでありました・・・侘びであります、寂びであります。

     ああ、都の湯、ねぇ・・・スタッフはとても感じよく、駐車場の誘導のおっさんでさえとても感じよくて、風呂ば意外はナンにも言う事無いんですけどねぇ。
    後はアレですか、休憩所には私としては一分とは居られませんで、自販機で缶コーヒー買う間も我慢出来ないタバコの煙が気になりました。
    で、お湯は、単純泉でこれと言った特色は何も無い、無色透明、無味無臭の低張性高温泉と言う事でした。
    まっ、私の勘違いで繁盛する事を祈ります。

    都の湯 正面

       都の湯・・・うんちく

     源泉   52度(pH不明) 無色透明・無味無臭
     泉質   単純泉 掛け流し 加温あり 加水・循環なし
     成分   不明
     効能   神経痛・リュウマチ・疲労回復
     飲用   不可
     入湯料  700円 駐車場あり  シャンプー・石けん あり 手ぶら可 


     この話 完。


    まあ、ネタは新鮮ですが信憑性は・・・?


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