徒然なる侭に 温泉探訪
那須湯本温泉・松川屋
昔の仕事仲間からの誘いで、那須の温泉で忘年会とクリスマスをやろうと言う事で行ったのであります。
しかし、那須は今年2度目なので新鮮味が無いのでありますが、まあ、それでも、団体行動だから仕方が無いなと諦めて出掛けて行って次第であります。
松川屋 那須高原ホテル 外観
この手のコンクリート造りの宿はあんまし好かない訳でして、正直に言うと、入る前から、あーあー、なんでありますが、まあ、私の好みで宿を選ぶと、山奥の辺鄙な宿になる訳で、車を降りてから歩く事1時間、とか言うのが好きな訳であります。
で、残念な事に私以外の人達は、車を降りたら即入り口で、歩かない方が宜しいと言う事で、勢いこのような平凡な宿になっちまう訳です。
しかも、料金は至ってリーズナブルなのが好きな訳ですから、選択の余地は左程ないのであります。
源泉掛け流しを謳いつつも、引き湯なんでありますがね
まあ、12月25日ともなれば、普通の一般人は温泉になんか宿泊しないのかも知れませぬが、空いていました。
しかし、反面、風呂だけを目的にしているらしい温泉ハンター風の人なんかは多く見かける訳であります。
うーん・・・温泉ブームは間違いないんだけれども、宿泊してじっくりと「温泉宿」を楽しむと言う趣きでは無いのだろうなぁ、お湯と風呂を楽しむ趣向の温泉ブームなんだろうなぁ、などと勝手に解釈してみたりする訳であります。
さて、いよいよ、待望の風呂であります。
松川屋は「栃木濁り湯の会」の会員でもあると言う事で、湯は、当然の濁り湯な訳です。
で、濁り湯と言った場合、大半は硫黄泉の白濁系、もしくは少し緑掛かった乳白色系と相場は決まっているのでありますが、こちらも、普通の乳白色の硫黄泉でありました。
源泉はホテルの下の「鹿の湯源泉」と言う事で、引き湯なんでありまして、掛け流しではありますが、加温しているかな、と思いつつ、ひょっとすると、加水なんかも有ったりするかも知れないな、なんて思ってみたりする訳であります・・・まあ、
邪推と言うか、言い掛かりと言うか、当てずっぽうなんでありますがね。
で、那須火山帯の鼓動を感じる硫黄の香り高い風呂は、まずまず、普通の、どこにでもある大きめの内風呂と・・・ああ、何処かの風呂に似ているなと思ったんでありますが、アレです、鎌崎温泉の木村屋に、作りと雰囲気がそっくりであります。
これはたぶん、正真正銘の源泉掛け流しであろうかと・・・
さて、大浴場は広いのが取り柄、と言う感じで、特徴的なモノが何も無いと言う、普通の風呂でありましたが、では、露天風呂は如何なモノでありましょうか、と、期待して入った訳であります。
うーん・・・これは、ちょっと小振りであるなと言う事を除けば、良いんじゃないですかぁ、と言う、お湯も、趣きも私の中の基準を十分に満たすモノでありました。
で、おっさんの勝手な判定なんでありますが、大浴場は掛け流しをしている割には温泉成分の堆積などが少なく、それで、加水などしているのではないか、と疑う訳であります。
で、こなた露天風呂は、垂れ流しの温泉の影響でか、硫黄の堆積物や湯の華がとても多い訳であります。
と、言う事で、松川屋の風呂は、露天風呂に価値があるな、と思った次第であります。
が、しかし、総合的に見て、大騒ぎして入りに行くほどのもんでも無いよな、と言うのが偽らざる感想でありました。
「松川屋」・・・うんちく
源泉 単純酸性硫黄泉(硫化水素型)・・・源泉掛け流し
泉質 ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉
成分 表示が見当たらず 不明
効能 神経痛・リュウマチ・疲労回復・慢性皮膚病・疣痔
飲用 不可
入湯料 1200円(土日祝 1500円) タオル販売あり 手ぶら可
特記事項 宿泊 2食付き 12750円〜 名物那須牛は質より量だった
塩原元湯 大出館
せっかく栃木まで来たと言うのに、満足のいく温泉に浸かっていない訳で、これでは温泉ハンターの名が廃る訳であります・・・へぇっ?廃れる前に認知されていないとな?・・・了解しましたぁ。
いや、実を言いますと、足の怪我もありますんで、歩くのは嫌だから、すんなり帰っても良いと思っていたんであります。
しかし、松川屋で見つけて買い求めた「栃木濁り湯の会 公式ガイド」300円なり、をめくっておりますと、大出館の存在を発見してしまった訳であります。
そこには、墨色の湯が紹介されていまして、これは未だ遭遇していない温泉であるな、と、食指がピコピコした訳であります。
で、距離を調べますと、下道を行っても1時間足らずでありますから、松川屋をチェックアウト後自由解散でありますから、丁度よかんべ、と、思った次第であります。
期待を裏切らない、私好みの外観は、軒下のペンキの剥げ具合などが絶品です。
濁り湯の会のガイドブックを300円で買い求めますと、それぞれの加盟の温泉で、入浴料が300円割引になる特典がついているんであります。
なので、一軒でも立ち寄れば元が取れるんであります・・・しかし、おっさんは常識人なので、このような鄙びた温泉を訪れ、たった600円の入浴料から300円も割り引いてくれとは言い難く、そっとガイドブックを隠したのでありました。
宿の主人はとても親切で、各風呂場の案内と、貴重品ロッカーが無いから、是非帳場に預けてから行けと、説明が丁寧なのでありました。
さて、自炊での湯治客が多いと言う噂を聴いている訳でありますが、宿の雰囲気はまさに湯治場のそれでありまして、おっさんの琴線にピーンと触れる訳であります。
で、長い廊下をてくてくと行きまして、まず辿り着いたのが「墨の湯」であります。
こちらは、名前の通りに墨色をした硫黄泉(硫化水素型)でありまして、案内には中性とありましたが、おっさんの勘では酸性ではなかろうかと思う訳です。
根拠は、風呂の縁取りをしている模造の大理石が腐食しているんでありますが、犯人は酸であろうと思うのであります。
墨の湯 湯船ですが、湯気が凄くてちゃんと写りませんでした
で、こちらの湯は正真正銘源泉掛け流し、加水加温無しで、湯量も豊富な、源泉垂れ流しでありました。
成分表示ではPh6.8wで中性なんですが、様々なモノの腐食具合から、たぶん酸性じゃないのかと思うんであります。
壁もボロボロ、床もボロボロで、湯のこぼれ口には、堆積した石灰成分などが石筍になっているのでありまして、なんとも言われぬ秘湯気分な訳であります。
洗面器に汲んだお湯を撮ってみましたが、フラッシュが光っちまいまして・・・
で、墨の湯の秘密は、湯に含まれる第一鉄イオンである、と言うのですが、まあ、理屈はなんであれ、驚きの色でありました。
で、お湯の色も驚きでありますが、二つある湯船が両方とも激熱なんであります。
私の場合、修行の甲斐あって、握り褌しで気を引き締めれば、47度までは入れる訳でありますが、この度は、両手で握り褌を締めてもダメでありまして、やや温めの、推定45度に浸かって身体を慣らした後に、メインの湯船に浸かった次第でありました。
いや、あんまし熱いと、沈み込んでしまえば痺れるような感覚で、やがてそれは痛みに変わるんでありますね。
痛みを感じる温泉と言うのも、稀でありまして、楽しいひとときでありました。
で、墨色のお湯は真っ白いタオルをとても小汚い色に染めるし、手足もほんのりと薄ら黒くなるのであります・・・まあ、別の硫黄泉のお湯で洗うと白く戻りますけれども。
これは、ちょっとアレだな、女子供には厳しい「漢の風呂」であるな、と勝手に納得したんでありますが、張り紙を見るとこちらは「女湯」でありまして、只今の時間帯だけ男が入れるようでありました・・・へぇぇー、と吃驚。
さて、全部で8つの湯船があると言うんでありますが、まだ二つしか入っていない訳で、後6つはどんなもんじゃろう、と・・・。
で、墨の湯を出てすぐ隣は家族風呂で只今使用中との事でダメであります。
んじゃぁ、と、露天風呂など行ってみましょうと言う事で「御所の湯」へ行ってみました。
まあ、大層な名前でありますが、造った当時は立派だったのかなぁ、と言う、私好みの趣きでありまして、はっきり言ってボロです。
御所の湯は普通に乳白色の硫黄泉でありました。
いや参った、あの熱さは尋常じゃない、あれの熱い方は普通は入れないだろう・・・あっ、年寄りが危ないな、なんて思いながら入った御所の湯は、これがまた憎い事に、まったりとした温湯なのであります。
特に、二つに区切られた小さい方の湯船は39度ほどで、なんぼでも浸かっていられる温度な訳です。
かぁーっ、なんとも憎い、温泉のなんたるかを知り尽くした達人技ですか?と、褒めちぎりたくなるお湯の使い分けであります。
写真では小さく見えますが、結構大きな露天風呂です
さて、んじゃぁいよいよ露天風呂へ、と思って、露天へ通じる扉を開けると、なんだか髪の長い人が入っている様子が伺える訳であります。
あっそうかぁ、ここは女風呂と断ってある二つを除いては基本的に混浴扱いな訳だから、父ちゃんと母ちゃんが一緒に入っているんだな、と合点が行った訳であります・・・いや、勝手な解釈で、ただならぬ仲だったり、見知らぬ他人なのかも知れませんけど。
まあ、ナンであれ、そう言う所へずけずけと割って入るほど無粋ではないので暫し待った訳であります・・・写真も撮りたいし。
で、こちらの気配を察してくれてか、早々と譲って頂けて、待望の露天風呂へ入浴であります。
さて、こちらの露天風呂は、絶品であります。
薄い緑掛かった乳白色の硫黄泉・・・すぐ上の御所の湯と泉質は同じはずなんでありますが色も味も微妙に違います。
で、こちらの源泉は、珍しく「飲用適」でありまして、ちゃぁーんと飲用許可貰っている訳です・・・胃腸病に効く、しかし、下痢気味の人は止めよ、とあったので、おっさんは飲みませんでしたが。
で、露天風呂の温度がとても良くて、ずーっと入っていられるんであります。
ああ、仙台まで帰るの面倒だなぁ、ここで湯治していたいなぁ、と、辺りの雪景色なんぞ眺めながらまったりする事ほぼ1時間、んじゃぁ帰るか、と。
建物の痛み具合などが気になる人は好きじゃないと思いますが、人里離れて静かな湯治と言う事では、ここは久々にヒットでありました。
墨湯の熱い方の湯船へ、是非挑戦して頂きたいもんです・・・良い出汁が取れるでしょう。
「大出館」・・・うんちく
源泉 炭酸水素高温泉 50.9度 Ph6.2〜6.8
泉質 含硫黄・塩化物泉
成分 ナトリウム・カルシウム・メタケイ酸・水素イオン
効能 慢性皮膚病・神経痛・リュウマチ・疲労回復・慢性中毒症(鉱毒)・疣痔
飲用 可
入湯料 600円 駐車場あり 手ぶら可
特記事項 高速の那須塩原からでもけっこう遠い。冬は雪道注意
まあ、ネタは新鮮ですが信憑性は・・・?
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