ちょこっと行って来る山登り
No.1 北泉が岳(1253.1m)〜大倉山(933.9m)
海おやじが陸に上がって二ヶ月・・・? 最後に潜ったのは八月半ばのモアルボアルだから、ひと月か?。
陸に上がった海おやじは、潜れない寂しさを紛らわす為に、温泉おやじになったのだった。
しかし、最初は中々良いものであるな、と思った温泉巡りは、それだけでは間が持たないし、とっても爺臭いなと思えて来てしまった。
と、ある日、お湯に浸かって深山幽谷を眺めていると・・・温泉と言うのは大抵の場合山の方にある物で、これを見逃すのも勿体ないな、と気がついた。
しかも、海おやじは、元々山おやじ・・・いゃ、あの頃はまだ額にも毛が生えていたので山兄ちゃんであったかな?
で、この度・・・本日はお日柄も良く、絶好の山日和と言う事で、軽く足慣らしに、北泉が岳周辺を歩いて来た訳であります・・・前置き終了。
30年ぶりの山に入るにあたって、けっこう真面目に考えた。
体力と山の格とのバランスを計って、どこら辺りが適当だろうかと、最新と思われるガイドブックを古本屋で買い求め、参考にしながら検討した。
いくつか候補を挙げ、チャンスを待っていたのだが、天候が不順でなかなか行く事が出来ずに居た。
そして、この度、絶好の山日和では無いけれども、午前中ならなんとかなると言う天気と休みが重なって、山行きは決行された・・・それ程大げさなものでもないのですがぁ・・・。
午後から雨です、間違いなく降りますから、と天気予報が言うものだから、あまり長い行程や沢沿いは嫌だな、と言う事で、お手軽で家からも近い北泉が岳の桑沼コースを選択した。
家から桑沼の駐車場まで30〜35分で、裏庭とも言える距離の所に、まずまず本格的な山があると言うのも凄い環境であるな、と思いつつ・・・田舎と言う事ですね、はい。
泉が岳スプリングバレースキー場までは舗装道路で、そこから桑沼まではとても塩梅の良い良い未舗装の林道を走る。
今から30年くらい前・・・もっと前かも?、この林道の工事が始まった頃には、バイクで宮崎町を経て山形県の尾花沢側まで延々と林道走行を楽しむ事が出来た。
さて、桑沼の駐車場には8時20分到着で、既に3台の車が駐車していた。
おっ、先導者ありか・・・熊避けサンキューだな、とか思いながら靴を履き替える等して準備をする・・・安物のトレッキングシューズだ。
ここは一つ格好を付けて、面積の拡大した額にバンダナを巻こうかと思ったが、何せ根っからの田舎者なのでやはり似合うのはタオルの鉢巻きだなと思い直し、頭に巻いた。
縄文の森だそうで、原生林なんでしょうか?
桑沼遊歩道に入り、軽快な足取りで緩い登りを進む・・・これ、登山道?遊歩道で桑沼一周してお終いとかなったら嫌だな、などと余りに快適な遊歩道を疑いつつ進む。
10分も歩くと真っ当な登山道らしい様子に変わったが、それでもまだどちらかと言えば遊歩道的で楽チンだ。
あたりはブナの大木がうっそうと茂り、トチの実が栗鼠に喰われた跡などが現れた辺りから本格的な登りになった。
遊歩道的急な登り・・・これで45度位あるそうです
登り始めて30分程経ってからは本格的に登り一辺倒で、こりゃぁ文句無く山登りであるな、と納得しながら大量の汗をかいた。
手には軍手をして、所によっては両手両足総動員でないと登れない急な坂も出現して、いよいよ山登り気分は絶好調となった。
平日だし、紅葉の時季には早過ぎるしで、今日は人が少ないのだろうが、登山道の踏み跡はしっかりしており入山者が多い事を物語っている。
見事なブナの大木を見ながら歩いていると、風に揺れる木々の葉や枝の音が森の声として聞こえて来る。
何を言っているのかなど分かるはずも無いのだが、木々は確かにお喋りをしていて、その声で森はにぎやかだ。
地図で見ると稜線に出る手前の登り100〜150メートルが急になっていたが、正にその通りで、舐めて掛かって失礼しましたと謝らざるを得なかった。
汗びっしょりになって登り切り稜線に出ると、左北泉が岳、右大倉山の標識があった。
北泉が岳の頂上手前に急な登りが少しあるが、ほとんどは平らで快適な稜線上を歩く。
稜線上は標高が低く、北泉が岳頂上の手前まで見事な大木が見られ、視界はあまり良く無い。
それでも時折開けた視界の下に、薄日のさした田が黄金色に輝いて見えた。
白いブナの木が男で、女の木を抱え込んでいる・違いますか?
この辺りで先行者二人に追いつき、軽くご挨拶・・・老夫婦がキノコを取りながらのんびりと登っていた。
キノコ採りを勧められたが午後からの雨を警戒して先を急いだ。
踏み跡の通りに歩くと堅く締まった道なのだが、少し脇に寄って歩けば、どんな高級絨毯でも絶対にかなわない、ふかふかの落ち葉と苔の道がある。
足下の感触を楽しみ、今しがた見た「抱きしめの木」は、どちらが先に芽を出したのかなどと考えて進んでいると、クマザサと灌木の尾根になった。
一寸した急坂を登り切ったら北泉が岳の頂上だった。
大して視界も良く無い上に何も無い、無愛想な山頂です。
あまり感動的ではない北泉が岳の山頂に拍子抜けしてすぐに下る事にした。
登りのピークはここなのだが、歩く距離はこれからの方が遥かに長く、後半は私の知らない道なのでどうしても先を急ぎがちになる。
ここから次の目標の大倉山まで、地図を読むと、緩く下るなだらかで楽なコースだった。
三峰山を経て船形山へ行く縦走路との分岐を過ぎ大倉山へ向かった。
大倉山の頂上は地図には記されているが、実際はだだっ広い尾根で、山頂の確認は出来ない・・・たぶん。
北泉が岳よりももっと無愛想な、なんだか騙されたような山だった。
山頂が無くて示しがつかないので展望台が設けられたのか?
まだ11時だったが昼飯を食うに都合の良い東屋があったので、休憩を取る事にした。
東屋は展望台になっていたが、見えるのは薬莱山だけと言う、北泉が岳に勝るとも劣らぬ眺望の無さには恐れ入った。
お昼御飯と言ってもおにぎりとゆで卵とお茶だけなので食べるのに10分と掛からない。
しかも、歩くのを止めると急速に冷えて来て、合羽を羽織ったのだがそれでも幾分寒かったのでさっさと歩く事にして出発。
大倉山山頂にも、桑沼の登山口に有った「縄文の森案内板」が設置されていた。
説明を読むと、ここからは縄文の森遊歩道と言うらしく、平成八年に整備したのだとか・・・なんだ、遊歩道なのかと少し落胆した。
クマザサの道はきれいに刈り払われており、流石に遊歩道で、その気になれば4駆の軽トラが入れそうだったが、しかし、車が上って来られるような道はない。
伸びたクマザサに視界を遮られた、無駄に広いだらだら坂を下って行く。
やがて尾根筋の道を外れたと思ったら、本格的な山道に変化して急激に下り出した。
地図に依れば、林道から30分程で大倉山の東屋、案内板まで来られる。
しかし、遊歩道の看板を真に受けて軽装備に運動靴で着てしまった場合、けっこう難儀するだろうなと思われる下り道だった。
つづら折りの急坂を下って行くと、沢の音が次第に大きくなって道は沢沿いになる。
へえ、こんな立派な沢が有ったのかと驚くとともに、夏場なら沢登りも楽しいだろうと、来年が楽しみになった。
この場所を「氾濫原」と言うらしく、まさに名前の通り、沢水が氾濫したと思われる痕跡が随所に見られた。
倒木が流木になり沢を流れ下って溜まっていて、水に曝されて骨の様に白くなった木が神秘的だった。
勢い良く流れていた沢は氾濫原で地下に潜って伏流水となるらしく、こつ然と水が消える。
残念ながら、ここへ辿り着く少し前から雨がポツポツと落ちて来ていたのでゆっくり鑑賞せずに通り過ぎた。
しかし、ここへは三脚を持ち込んでゆっくり撮りたい風景が沢山有り、紅葉が終わる前にもう一度行かなくてはと思う。
氾濫原一帯も縄文の森遊歩道が整備されていたらしいが、今はほとんどが崩れており、道は分かり難くい。
地図で見ると、大倉山を巻くようにして林道へ出る道が書かれていて、氾濫原からまた登りになる。
踏み跡が薄いのだが一本道なので間違いは無いと進んだが、視界の無い森の道はとても長く感じる。
コースの後半で疲れている事も有るのだろうが、地図で読んだ距離よりも相当に長く感じた。
北泉が岳から大倉山まではガイドブックよりもいくらか早い時間で廻ったが、氾濫原から林道まではガイドブックよりも20分余計に掛かった。
何処か余計な遠回りをしたのだろうかと地図を読んでみるが、間違えそうな道は無いので、後半ばてたと言う事なのか?
林道に出て時計を見ると12時30分で、駐車場まで戻った一廻りの9.5キロの所要時間は4時間20分だった。
ガイドブックには予定時間4時間20分と記されていて、まるっきりモデルケースだなと感激。
しかし、ガイドブックは休息時間を含まない、歩行だけの時間を記してある。
おにぎりを食べた15分程度の休憩しかとって居ないが、まあ、平均的な歩行速度は稼げることが分かったのは嬉しかった。
と、言う事で、山おやじは本格的に始動する事になったのでありました。
この話 完
まあ、適当に書いてますんで、間違いが有ったらゴメン・・・?
ご意見ご感想は
承っておりませんが・・・
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