ちょこっと行って来る山登り


    No.23 後烏帽子岳(1681m)〜前烏帽子岳(1402m)



       天気晴朗なれど風強し

         なめて掛かったんですけど・・・

     本当は不忘山に行くはずだったんでありますが、朝起きたらダルいんです・・・ヤバイな、であります。
    んじゃぁ、リフトで高い所まで運んでもらえる、楽チンな烏帽子にすっかねぇ?と、言う事で、急遽白石から、えぼしスキー場へ転進であります。
    とても良い天気でありまして、えぼしの駐車場では風もそれ程強くはありません。
    しかし、ナンですね・・・さすがに宮城県では一番のスキー場でありまして、平日の朝っぱらからどんどんと車がやって来ます。
    そして、平日だと言うのに駐車場管理、車誘導の係員が出ておりました・・・凄いわ。

     20年近く来ていなかったえぼしスキー場でありますから、どんな様子だったか全く記憶に無く、へぇー・・・こんな風だったっけ、であります。
    チケット売り場でゴンドラとリフトの一回券を1400円で買い求めまして、まず、ゴンドラで標高1100mあたりへ、と。
    そして、次にカモシカリフト、と言うのに乗りまして、標高1350mまで上がる訳であります。
    1680mの山に登るのに、既に1350mまで来ちまった訳ですから、実質高低差は屁みたいなもんです。
    しかし、1350mまで心の準備もせずに一気に来てしまいますと、何だかちょっと戸惑うんであります。
    しかも、下では吹いていなかった風がピューピュー鳴ってますし、雲も直ぐ頭の上をブッ飛んで行く訳であります。
    あいゃぁー・・・登って大丈夫なんだべか?と、晴れて気持ちのよい天気とは裏腹に、心配してしまうのであります・・・やたら寒いし。

     まあ、いつものように行くだけ行ってみますかね、と言う事で、スノーシューを履いて出発であります・・・9時50分でありました。
    で、歩き出してすぐに登っているスキーの跡を見つけたんで、んじゃぁ便乗だ、と付いて行くと、5分もしないうちに追いついちまったんであります。
    かぁー・・・役に立たねぇ先行者だな、なぁーんて事は一寸しか思いませんで、気持ち良くご挨拶して抜かせて頂きました。
    ああ、ガイド付きのバックカントリーと言うやつですね、と。
    そんな訳でその後は意地悪くスキーが歩けないような薮やボサッカの出た所ばかりを歩くと言う、追掛け禁止の手を打って行く訳であります。
    もっもと、スキーの人達は4名でワイワイと楽しそうに登っている訳で、私独り分のトレースなんて屁の役にも立たない訳ですけど。
    しかし、昨日は仙台市内でも吹雪く荒天でしたから、新雪が20〜30センチあって、くるぶし以上、ふくらはぎ未満程度に埋まるのは結構嫌なんであります。

    晴れてるんですけど風が強くて・・見えているのは大黒天方面と峩峩から名号への尾根でしょうか?

     スタートが標高1350mですから、出足からまずまず寒いんであります。
    二月の不忘の時程ではありませんが、鼻毛がシャリシャリしたりする訳で、目出し帽を忘れた事を後悔しつつ、タオルで頬冠りなどする訳であります。
    しかし、アレです・・・ここはコース的にはきつい登りも無く、しかも、一直線に頂上目指せば良い訳で、とても楽チンであります。
    もしも不慣れな人を雪山に連れて来るとしたら、絶対にここにしますね・・・歩く距離が少ない割りに本格的な雰囲気はバッチリですから。
    と、言う事で、一汗かいたな、と思ったらもう頂上でありました・・・11時丁度、所要時間1時間10分でありました。

    お約束の記念写真であります・・・タイマー撮影上手くなったなぁ

     さて、呆気なく登っちまった訳でして、時間もまだ早いし・・・んじゃ、屏風でも行ってみっかなぁ、と、体調が悪かった事も忘れスケベ心が湧くのであります。
    と、言う事で屏風への稜線へ向かって少し歩いてみると、これがとんでもなく風が強いんであります。
    一応アイゼンも持っているけれども、本日はやっぱりお日柄が良く無いな、と言う事で退散であります。
    で、後烏帽子の山頂に戻り、風を避けて前烏帽子への尾根に少し下って一休みであります。
    おお、そうだ、これからは下りになる訳だからもう一枚着ておいた方が良いな、と身支度などをして、チョコビスケットを食べて、と。
    そんな事をしておりますと、追い越したスキーヤーの方々が登って参りました・・・へぇ、風を避けて回り込んだ訳だ、やるなぁ、ガイドさん。  

    屏風は近そうなんですけれども・・・雲が湧いております。

     んじゃぁ時間もあるし、前烏帽子を通ってスキー場の駐車場へ出るコースを下りましょう、と、安易に決定しました、がぁ。
    正直に白状すると、烏帽子のこのコースは全部初めてであります。
    昔々、烏帽子はスキー場が出来る前はあまり登られては居なかった、と思うんであります・・・夏道は無かったと。
    なので、私は、春山シーズンに天気が良い時を見計らって屏風のついでに来るだけだったのであります。
    そんな訳で、知りもしない山を、どうせ下りだから、と、ナメて歩き出した訳であります。
     

    あまりにも光り回りが良かったので、思わず撮ってみました。

     いやぁ・・・下り始めたら一気に転がり落ちるような傾斜でありまして、ここはスキーは来ないだろうなぁ、と言う場所でした。
    かと言って、どこを歩いたら良い物やら、と言うコースでもないのであります・・・まあ、天気が良いので、と言う事ですけれども。
    右に寄りすぎれば雪屁で、左に寄りすぎると沢に落ち込む、と言う事で、歩ける場所は決ってしまう訳で楽なんですが、とても急な訳です。
    しかも、本来は凍ってガチガチだった所に、昨晩20センチ程の深雪が冠った訳であります。
    スノーシューで踏み出すと、上っ面の雪だけがズルリと滑って、下の氷には歯が立たないので止らない訳です。
    うーん・・・アイゼン履くかなぁ、と思ったりすると、今度は吹きだまりでズッポリと埋まる訳で、どーしようもねぇなこりゃぁ、であります。
    しかし、本日、非常に見通しが良くどこを歩けば良いのか簡単に分るので安全でありましたが、これが吹雪だったら、ここは危ないでしょうね。
    そんな訳でかどうか、後烏帽子から前烏帽子を通過しても、冬山に付きものの赤布がひとつも見当たりませんでした。
    赤布が無いと言う事は、冬にこのコースを登る人は居ない、と言う事なんでありましょうね。

     
    後烏帽子を下り、前烏帽子までの鞍部の尾根です。

     後烏帽子から前烏帽子の按部まで、一気に高低差300メートル程を下るんですが、これを逆から来て登るとなると、泣くな、と思うんであります。
    と、言う事で、冬にこちらを登る人は居ないんだろうと思うんでありますが、その考えは、前烏帽子を過ぎてから一層強く感じる訳であります。
    何となく、標識も見つけずに、愛想の無い前烏帽子の山頂を通過して下りに入ると、またもや急な下りでありまして、先ほどよりもまだ急な訳です。
    しかも、表面だけ雪でズルズルでありまして、万が一転がったら止めようも無いなと言う所もあったりする訳です。
    なので、もしもどちら様か、これからここを行こうと思うのであれば、アイゼンは必需品だと思います。
    吹きだまりに遭うとズッポリはまり、風の吹き抜ける尾根ではパリパリのクラストで、極めつけは、氷の上にさらりと新雪で急斜面と、下りだからと舐めて入り込んだ私を、バカめがぁ・・・と、あざ笑うのであります。
    まあ、それでも、天気が良いので気分も晴れ晴れで楽しんでいる訳ですが・・・ピッケル欲しかったなぁ。

    雁戸から神室方面ですか?見とれてしまう眺めばかりでした。

       さて、標高を1200辺りまで下げて来ると風も当たらなくなり、ダケカンバなんかが目立って来て傾斜もまずまず、なんとかかんとかになって一安心です。
    しかし、この辺りから尾根の筋が明確で無くなり、さりとて、近そうに見えるスキー場方向には深い沢が見え、どっちへ行けば良いの?となってまいりました。
    そんな訳でGPSを頼りに夏道を辿ろうとするんでありますが、なんだかどこでも行けそうで、しかし薮は邪魔だし、で、ホントーに夏、ここを歩けるのか?なんて思うんであります。
    地図で見てものんびり歩けそうなのは前烏帽子の前後だけで、後はどこも等高線が込んでいる訳です。
    しかし、地形図から読む雰囲気よりも、このコースは実際歩いた感じの方が厳しいと思うんであります。
    大多数の人は夏でも下り線用コースだろうと思うんでありますが、登りに使ったら根性要ると思いますよ、ここは。
    まあ、しかし、雪山と言うのは概ねどこでも好きな所をどーぞ、と言う感じで行けるのが良い訳でして、しかも下りと来れば楽なんであります。
    が、しかし、標高1000m位の所で、地図では分らない程度の起伏で尾根を乗り換えると、その先がまた鬼門でありました。
    見ただけでスノーシューは無理、と言う事で、35年ぶりにアイゼンの登場であります。
    岩がゴロゴロの痩せ尾根で雪が付かないんであります。
    そして、古い雪は溶けて凍って、ツルリンコのガーチガチ・・・まあ、気温が高くなってそれ程でもないんですが・・・。
    それでも、足場の悪い岩と氷では、アイゼン無しでは結構な恐怖だろうと思うんであります。
    そんな訳で久しぶりに履いたアイゼンでありますが、生来のガニマタはなんと言う事も無く履きこすのであります・・・軽出っ歯10本爪です。
    まずまず、ここに至って、夏でも絶対にこっち側からは登りたく無い、まして冬なんて、金貰っても嫌と確信した次第であります。
    で、標高750m辺りで沢沿いに出るまではザラメ雪だったり氷だったりモナカだったりと、アイゼンが有効でありました。
    最後、沢を渡ってしっかり分る夏道を少し行くと車道に出て終わりでありました。

     
    この標識がスタート&ゴールであります。

     車道に出る所に古びた標識がありまして、前烏帽子を経て烏帽子に至るとかいてあります。
    それにしても烏帽子は無愛想な山で、後烏帽子の山頂の標識からここまで、他には何も無しであります。
    登山道を示す赤ペンキなどもほとんど無く、僅かに、沢の渡渉点で見た程度であります・・・過度な御節介が無く、素朴で良い山です。
    ここからスキー場の駐車場まで車道を徒歩10分で、車への到着は、1時50分でありました・・・4時間ピッタシ。  


     この話 完


    まあ、適当に書いてますんで、間違いが有っても見逃してやって下さい・・・


    ご意見ご感想は 承っておりませんが・・・


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