ちょこっと行って来る山登り


    No.28 後白髪山 1422m・・・(船形山系)




            いやはや、山頂は遠いです。

       もう春真っ盛り、と言う事で、家の裏とも言える後白髪山(うしろしらひげやま)に行ってみました。
    私の住む団地は、仙台市青葉区大字山奥字谷底でありますが、団地のメイン道路が真西に向いている訳です。
    して、その道路は、真っ直ぐに後白髪山に向かって伸びているのであります・・・実際は団地のどん詰まりで道はお終いなんですけどね。
    と、言う事で、私の心の故郷、瞼の母とでも申しましょうか、そんな存在の山な訳であります。
    早い話しが、家から一番近い山・・・うむ、しかし、泉ケ岳も近いしな・・・どっちが近いんだろう、ホントーは。
    そんな訳で、距離的に近いと言う事は心理的にもゆるくなる、と言う事でして、おにぎりとお茶なんかもって、気楽に出掛けた訳であります。
    なんたって、もう春も真っ盛りですからね・・・。

        
    大倉ダムの右岸から(海に向かって右・左で宜しいんですよね?)後白髪山を望む

     仙台市民には馴染みの大倉ダムとは言え、市内中心部や東部の住民には結構遠い場所に感じるかもしれないんでありますが、我が家からは裏山の道を通って15分であります。
    そして、三角油揚げで有名な定義さんまでなら25分で、そこから林道を登って私の車が行ける最終地点の標高600m付近まで、40分くらいであります。
    横川林道と言うらしいのでありますが、結構酷い道路でありまして、落石や倒木、そして、雪で倒れて道路に張り出している灌木と、障害物はてんこ盛りであります。
    本日私は、道路に張り出していた細い木の枝を大した事無い、と押し分けて行ったのでありますが、帰って来て車を見れば、見事に傷だらけでありました。

    横川林道と定義林道の分かれ道・・・左方向、定義林道へ行きます。

     9時30分出発
    車を停めた所の先は路面に崩れた石が散乱しておりまして、ジムニーなどの小型で車高の高い車なら乗り越せるのでありますが、私の車は車幅の関係で諦めました。
    そこの僅か10mを乗り越せれば、登山道入り口まで1.7キロ、5分も有れば行ってしまう訳であります。
    この林道は、下の方が荒れていて、上に行けば行く程状態が良くなると言う事でありまして、とっても不思議なんであります。
    特に、横川林道から定義林道に入れば、砕石が敷かれたフラットな路面になるのであります・・・森林管理署林道、とかなっていましたので管轄の違いが現れているのかも知れません。
    で、この一体はブナの二次林だそうで、昭和10年頃に炭焼き用に伐採して放っておいたらまたブナが生えた、と言う所なんだそうですが、60〜70年で結構立派なブナ林になるもんなんですね。

    車を置いた所から1.7キロ20分ほどで、立派な登山道入り口の標識に出会います。

     さて、林道から登山道に入りますと、これがやけに広いんであります。
    うーん・・・立派な入り口の案内板と言い、この広い登山道と言い、相当な人数が入山するのかな?・・・しかし、ここまでの林道は普通車では厳しいし・・・。
    なんだかアレだ、泉ケ岳並に整備されていたるのか?まあ、ひと山越えれば泉ケ岳で、しかも同じ船形山系だからな・・・ふぅ、結構な登りですなぁ、と。
    手作り風看板には、宮城町連合青年会の文字が・・・。

     広くて歩き易い登山道を登って行きますと、古びた看板に出会いましたが、これがなんと、宮城町連合青年会と書かれている訳であります。
    宮城町が消滅してから23年も経つと言うのに、未だに宮城町の青年会ですか、そうですかぁ・・・旧宮城町町民としては、こんな山中で昔の知り合いに出会ったようでとても嬉しゅうございました。

    公衆トイレかと思ったんですが・・・ロボット雨量計とか言うやつですか?

     駐車場・・・まあ、路肩なんですけどね・・・そこからほぼ1時間で気象観測機器らしい建物と機械に出会しまして、手入れが良いのはどうやらここまでのようであります。
    ほんの少し歩くと、本日私が遭遇した最後の標識に出会うんでありますが、これも旧宮城町時代の物でありまして、何となく、それ程手入れされたり利用されている登山道ではない様な気がしたのでありますが・・・。

    その昔は船形山の升沢コースのように、番号のプレートが有ったのでしょうか?

     ロポット雨量計がいつ頃設置された物かは知りませんが、こんなおいしい目標物が地形図にも昭文社の登山地図にも乗っていないんであります。
    そして、ここから先は、私の勘と経験で適当に言うのでありますが、25000/1の地形図と、現在踏まれている登山道は違うと思のであります。
    登りの時には地形図を見て1077mのピークを目指し、尾根に沿って付かず離れず行けば良いので、地図からは少しズレているな、と思いつつも方向としては合っているので気にせず登って行った訳であります。

    1077のピークに向かう緩やかな尾根沿いはブナの大木と雪屁の跡が見事でした。

     この辺りまで登って来たところで風が尋常ではなくなり、まるでジェット機の爆音の様な有様で木々が鳴っているのであります。
    うひゃぁー、半端じゃ無いなぁ、これは稜線や山頂は飛ばされるなぁ、と・・・下山して知ったんでありますが、市内でも風速20mを越えていたそうで。
    しかし、左手、西側の稜線には雪屁の壁があって、風は上手い具合に上空を吹き抜けて行ってくれる訳で、不気味な音の割りに、歩いている所は平穏なんであります。

    見事なブナの大木と雪屁の関係を確信しました、よ。

     先月の末、船形山の小荒沢源頭で見事なブナの原生林を観察した時に、ブナの生育と稜線と雪屁の関係を思いついた訳でありますが、本日、後白髪に向かってこの地を歩いてみて、それを確信した次第であります。
    まあ、ブナを愛する人達の間では常識なのかも知れませぬが、私にしてみれば大発見な訳でして、自分が見たこの条件の地のブナは、いずれも大木であると言う事で、とても嬉しい訳であります・・・いや、ホントーにそっくりな条件で、見事な大木が林立しているんであります。
    まあ、もっとも、ここも船形山系でありまして、私がこの条件の地と言っているのは、いずれも近所な訳ですから、当たり前なのかも知れませんが・・・。

    西側は吹きだまりで、反対側に雪屁が張って、盛り上がった積雪は10mを越していると思います。

     さて、参ったのはここからでありました・・・ほとんど迷子状態であります。
    いや、夏道の方向は分っています・・・地形図から、下空沢の頭から上空沢の頭へ出て、横川方向へ伸びる尾根に乗るのがまともなコースなんでありましょう。
    そして、たぶん、積雪期には上空沢の西側の尾根か、若しくは上空沢そのものを詰めるか・・・私としては、雪があれば1124のピークから伸びる尾根を登って横川方向の尾根に出るのが良さそうだと思うんでありますが。

    これが上空沢であります・・・なんか楽に行けそうな気がしませんか?

     とりあえず、何であれ一度は上空沢を越さねばならない訳であります。
    そんな訳で、夏道はどこだかさっぱり判然とせず、んじゃぁ、と、ついさっき、尾根を直登出来ないかと試すのに履いたアイゼンを外し、適当な所で笹や灌木を掴んで下空沢に降りてみた訳であります。
    そして、対岸の様子を探って夏道を探しましたが、薮ばかりでどこから入ったものか皆目分かりません。
    それならば、と、沢を登ってみたんでありますが、ずっと先は雪が細くなり、しかも結構急でありまして・・・。
    参ったなぁ・・・時間もアレだしなぁ・・・道探しで随分余計な時間を食っちまったからなぁ、と。
    よっしゃぁ、本日はこの辺で勘弁しておいてやるわい、と言う事で、撤退決定であります。

     12時45分・・・上空沢・1150m地点より下山開始
    しかし、ナンですよ、このコースは私的には道探しの難易度は高いと思うんであります・・・まあ、私が初心者だからですけどね。
    帰り道、雪なんか降って来たもんで、元々判然としていなかった踏み跡が所々消えている訳です。
    登りは良いとして、場合によっては下りの道探しは中々容易ではない訳であります。
    で、試してみました・・・地形図上の登山道が明確な1000mの等高線と交わる所から、夏道を辿ってみた訳であります。
    雪屁沿いの尾根は良かったんでありますが、雪が薄くなった所では、はっきりと確実に、私の身の丈程度の笹薮を漕いで行く訳であります。
    そう言えば登山地図には、部分的に笹薮ひどい、と、書かれておりました。
    数年前に踏査されて書かれたガイドブックが笹薮ひどいと言うのでありますから、それ以後、手入れがされてなければ、推して知るべしであります。
    あんまり薮漕ぎは好きじゃないし、大事な合羽が破けると泣きたくなるし・・・それでなくても傷だらけの車で涙したのに。
    で、ウロウロしている内に微かな踏み跡らしきものを見つけまして、おっ、いただき、と、跡を追ったんであります。
    すると、なんだか来る時に来た道からだいぶ外れて沢を下り始めた訳であります。
    おやぁー?・・・どこへ行くんだぁ、と、地形図を見ると、この沢は横川林道に下れて、しかも近道になっている様子でありました。
    が、しかし、これは残雪がそこそこある時に通行可能なルートなんでありましょう・・・雪解けが進んだ沢は危なくて下れるものではなくなっておりました。
    と、言う事で、景気良く下った分をクズクズと登り返して行くうちに、自分が登りで付けた踏み跡に出会いまして、ホッと一安心であります。
    すると、なんと言う事も無く、程なくロボット雨量計に出た訳でありまして、何であんな所で手こずってたの?と。
    後は立派な登山道・・・これは気象観測の機械のメンテなんかの作業道なのかもしれませんね。
    下がって来たら気温が上がり青空も出て、花の写真を撮ったり、日溜まりで饅頭など喰いつつお茶など飲んで、のんびり下るばかりでありました。



    これっ、カタクリっぽいですけど、ちょっと雰囲気が違うんですよね。

     いやぁ・・・実力不足と言えばそれまでなんですが、春先って言うのは、ひと味違った難しさがありますね。
    特に、山裾にスキー場の無い山は静かで良いんですけど、アプローチ長いので入山者も少なく、それなりに厳しいんだろうと思います。
    損な訳でこの登山道、あんまし使われていないのかも、と思います・・・雪が消えたら夏道を試してみたいですけど、車の傷が心配だよなぁ。


    3時00分・・・車に着。  この話 完


    まあ、適当に書いてますんで、間違いが有っても見逃してやって下さい・・・


    ご意見ご感想は 承っておりませんが・・・


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