ちょこっと行って来る山登り


    No.30 坊主岳 1418m・・・(船形山系)




            選択ミスだったかも・・・

       半月程山登りから遠ざかっておりまして・・・前回の岩手山が遠い昔に感じてしまう程なのであります。
    予定では、一泊二日でどこか、ちょっと厳しげな山なんかに行ってみたいと思っていた訳でありますが、なんだか遅れて来た花粉症なんだか、早めに来た新型インフルエンザなんだか、はたまた更年期障害か、分りませんが、体調がイマイチ、な訳です。
    こんな状態で無理して行っても危ないだけだ、と言う事で、それでは、軽く、桑沼から北泉へ行って、大倉山でも廻りましょうかと、のんびりと出掛けた訳であります。
    8時30分に家を出まして、桑沼の駐車場到着が9時05分、出発が9時15分でありました。

    桑沼は新緑の季節を迎え、輝いていました。

     思い起こせば昨年9月、私が山登りに復帰するにあたって足試しに選んだのがこのコースでありました。
    間に合わせのトレッキングシューズを履き、ホームセンターで買って来た合羽とおにぎりをザックに詰め、期待と不安を交錯させながら大蔵尾根を目指して登って行った訳であります。
    そして、本日が、ログナンバー30と言う事で、まあ、結構登ったもんですね、と、自分でも驚きであります。
    ところで、前回は夢中であった為か、半年分若かったせいか知りませんが、本日、桑沼からの登りはなんだかとってもハードであるな、と感じたのでありますが、錯覚でありましょうか?
    とは言っても、距離が短いので時間は掛からないんでありまして、歩き始めて40〜50分もすると稜線に出てしまうんですけど。

    夏道が稜線に上がる所に本日最大の難所がありました。

     さて、ふうふう言いながら登って参りまして、大倉の稜線に出るぞ、と思ったら、関所が待ち構えておりました。
    雪屁の残りが頑固に居座っておりまして、乗り越さなければ先へ行けない訳であります。
    迂回すると行ってもなかなかの急斜面ですし、笹薮と灌木で実質無理な状況でありました。
    ピッケルでも持っていればステップ切って上がれるし、手掛りとして雪に刺して這い上がる事も出来るんでありますが、本日は、年寄り用のステッキタイプの杖を1本携えているだけでありまして、雪の切れ目からなんとかよじ登った次第であります。
    まあ、それほど大袈裟なものでもなかったのですけれども・・・。

    どーですか?森の小道風の素敵な散歩道ではありませんか。

     天気は上々、日差しを浴びて暑い程の尾根道を快調に歩いて北泉ケ岳 へ向かいました。
    所々に残る雪田が厳しかった冬を語っていたりする訳であります。
    ブナとクマザサの薮の奥からは侵入者を警戒するうぐいすの声が聞こえ、なんだか分らない小さな黒い虫の大群がまとわりつき、春と言うよりも初夏を思わせる雰囲気でありました。
    心ウキウキと歩いて行きますと、水源を経て坊主岳(三峰)へ向かう三叉路へ出ました。
    うーん・・・北泉から大倉山の周回も悪くは無いけれども、水源の幕営地の様子を知りたいな、などと思い立った訳であります。
    よし、水源の様子を確認してから戻って北泉へ行っても、時間は十分でしょう、と言う事で、予定変更であります。
    大倉尾根の分岐点は標高1120mでありまして、水源までは200m弱も下る訳であります・・・登り返しが嫌なんですね。

    途中で変なものを見つけました・・・カエルとか、イモリなどの両生類の卵、ですか?

     程なくして水源に到着であります。
    花の写真など撮りながらゆっくり歩いて来たのですが、まだ11時前でした。
    うーん・・・ここから坊主岳って、そんなに遠く無かった様な、でも、近くも無かった様な、と、言う事で地図を見ますと、2時間20分と出ておりました。
    2時間で行ったとして、1時山頂で、下りに2時間30分、プラス休憩20分で、駐車場到着は・・・4時ちょっと前か。
    今は日没が遅いから、十分でしょう、と言う事で、行ってみましょうか、と。
    水源で水を飲んで、昔は坊主岳、今は三峰と呼ばれる・・・私の中では断固坊主岳へ向かった訳であります。
    この辺から何だか風の音が強くなってきまして、ありゃぁー、天気の崩れは予定よりも早いのかな、と言う雰囲気が出て参りました。
    しかし、まだ日差しは有り、ポカポカでありました。

     
    立派なブナの林には付きものの、雪屁です。

     で、水源から15分も登りますと熊の平の手前で林道を越えるんでありますが、これが、バイクなら大倉ダム方面の定義林道や横川林道から登って来られるんであります。
    まず、ここまで登って来るのは、林道なので構わない訳ですけれども、ここから、坊主山への登山道を、トレールバイクが登って行った跡がくっきりと着いている訳であります。
    私も昔はバイクで山を走っていたので気持ちは分らなくも無いのですが、しかし、なんぼ広いと言っても登山道に乗り入れるのは御法度だと思うんであります・・・こう言うのを見ると興ざめです。

    登って来た雪渓の先に、北泉と泉ケ岳が見えています。

     熊の平を過ぎた辺りで舟形方面から下って来た女性と行き会いまして、本日、山中で出会った哺乳類はこれだけでありました。
    そして、この辺りから上は中々の残雪量でありまして、特に、尾根が細くなって行く辺りに掛けては、完全に雪上歩行となった訳であります。
    私としては、元来雪の上を歩く方が好きな訳で、雪渓をどん詰まりまで詰めて行ったのでありますが、その先に登山道は無く、薮が広がっているばかりでありました。
    ありゃぁ・・・と、言う事は、夏道まで薮漕ぎと言う事ですか?と、言う事で、多分右手に有るであろうと思われる夏道目指して、クマザサと灌木の中をガサゴソと行った訳であります。
    まあ、ほんの30m程度漕いだら狙い通りに雪の無い登山道に出た訳で、問題なかったんでありますが・・・。
    しかし、帰り道、これをグリセードで下ったんでありますが、今時の雪と言うのは、とても滑り易くて楽しいもんであります。

    3つの峰なので三峰なんでしょうね・・・私には坊主岳ですけれども。

      夏道に飛び出して前方が開けると、手前の低い方から順に3つの峰が続いているのが見えまして、成る程ねぇ、三峰だわねぇ、と。
    しかし、体力が消耗しているからなのか、一番向うの高い山頂は、やけに遠く見える訳であります。
    いやぁ・・・こんなに遠かったんだっけ?まあ、しかし、来ちまったもんは仕方が無いと言う事で、行くしか無いんでありますが。
    37〜38年前の記憶なんてほとんど無い訳でして、この山はこんなに痩せた尾根だったっけねぇ、などと思いつつ、急登に喘いで行くのでありました。

    坊主岳山頂から蛇ケ岳、船形山方向を望む。

     なんだか随分遠かったし、登りは結構しつこいし、風はビュービューだし、気温はぐんぐん下がって雪まで降って来るし・・・。
    と、ブツブツ言っているうちに山頂到着で、既に12時40分になっておりました。
    本日最初の予定では、北泉ケ岳から大倉尾根を廻るはずだったので、大倉山の東屋でラーメンを煮て食おうと思い、鍋と水の一式を背負って来た訳であります。
    そんな訳で、もしも天気が良くて、塩梅が良かったら、坊主岳の山頂でラーメンを煮て喰う事に変更したのでありますが、状況はそんな悠長な事をしている場合では無くなってしまったのであります。
    なんと言っても、これからの下山は、船形山の向う、尾花沢方向から押し寄せて来る黒い雲との競争になる訳でして、雪だろうと、雨だろうと、何であれ、早く逃げないと厄介な事になる訳です。
    で、下山して車のラジオで聞いたんでありますが、宮城県の東部では、暴風警報が出ていたそうで、どーりでもの凄い風が吹いている訳でした、と。
    なんだか、この所私が山に来ると、途端に天気が崩れて、必ず雪なんかも降る訳です・・・もう5月14日なんですけど。

    なんて言う花か知りませんが、あんまり可愛いんで、撮ってみました。

     まず、凄い風でありますが、意外と灌木やらが緩衝地帯になっていて、もろに当たる場所は少なくて助かりました。
    時折、雪ともつかぬ、霰の様なものなどがバラバラと降って来る不穏な空に焦りを感じつつも、しかし、下りには滅法弱い私でありますから、歩みは遅いのであります。
    それなのに、余りにも可憐な花を見つけてはカメラなど取り出して、呑気に写真など撮っている訳です。
    しかし、アレです・・・気温が下がったと言ってもまだ3〜4度は有る訳で、軍手に薄手のウィンドブレーカーで十分凌げる訳であります。
    寒さと風雪から来る緊張感から解放された山は、少々荒れてもどこか優しいんであります。
    と、言いつつ、結構必死で降りているんでありますが、思ったより遠かったんで、焦っている訳であります。

    朽ちて倒れたブナの大木は、既にほとんど土になっていました。

     いや、それにしてもアレです・・・小刻みなアップダウンも多く、結構足に来る道でありまして、あんまり舐めて掛かってはいけないコースであったなと、思いつつ、でも、良い感じの山だなぁ、と・・・でも、きついですけど。
    坊主岳の山頂から少し降りて風の当たらない所で小さなおにぎりを一個食べてお茶を2杯程飲んで来ただけで、昼飯らしいものを食べていないんであります。
    んじゃぁ、水源あたりでラーメンを煮て喰うか・・・コーヒーも有るし、なんて思ってやって来たんでありますが、私の足よりも雪雲の方が速いようで、とても休んでなんか居られる状態ではない訳です。
    しょうがねぇなぁ、と言う事で、残りの小さなおにぎりを齧りながら、僅かなお茶を飲んで、最後の登りを長倉尾根と大倉尾根の三叉路まで大急ぎであります。
    もっとも、急いでいるのは気持ちばかりで、足取りは益々遅くなって行くんでありますが・・・。

    私が知っている昔の案内板はこれと同じ「坊主岳」でありました。

     三叉路に出る頃には完全に雪模様となり、しかし、気温が高いので積もる様な事は無く、溶けてしまうのですが、落ち葉が滑り易くて下り坂が思いやられる訳です。
    さて、本日のハイライトは、最後の詰めの、大倉尾根から桑沼までの下りでありました。
    まず、このコースは登るだけにして、帰りは、宮城県の山のガイドブックが勧める通り、大倉山経由で下るのが宜しいと思います。
    もっとも、本日の私の場合は、既に足がガクガクのヘロヘロで、しかも、雨雪でドロドロの急坂と言う悪条件だったから、とも言えますが。
    しかし、アレです、年寄りや私のような下りが苦手な人は、やっぱり避けた方が良いと思う道で有りました。
    ほんと、尻餅つきながら泥まみれで下って来ましたからね。
    いや、桑沼近くまで来ると雪はミゾレを通り越してほとんどズブスブの雨になったんでありますが、面倒だし、寒く無いので合羽は着なかったんであります。
    そんな訳で、ほとんどヘロヘロでの駐車場到着は、3時30分でありました。
    いや、もうこの後に及んではラーメン煮て喰うよりも早く風呂に入りたくて・・・。
    体調不良で軽めの山にしたはずだったんですけど、ナニをやっているんでしょうか、このおっさんは。
    家に帰ってGPSの軌跡を見たら、累積標高差で1000m、総距離15キロ、と・・・重いはずでした。

     泉ケ岳方面の帰りは、根白石の「明日の湯」に寄って来るんでありますが、本日入ってみて、炭酸の泡が豊富になっているな、と感じるとともに、微硫黄臭も感じられ、源泉がパワーアップした感じで有りました・・・お勧めの500円であります。


     この話 完


    まあ、適当に書いてますんで、間違いが有っても見逃してやって下さい・・・


    ご意見ご感想は 承っておりませんが・・・


    INDEXに戻る 次のページへ