ちょこっと行って来る山登り


    No.4 秋田駒ヶ岳(男岳1623m)〜(男女岳1637m) 〜(横岳1583m)



     昨日は乳頭山に登って、黒湯温泉に浸かって、秋田駒ヶ岳八合目避難小屋で一泊でありました。
    八合目駐車場には避難小屋と、併設された駒ヶ岳の管理棟と水洗トイレが在るのです・・・標高1000メートル以上の山に水洗トイレですよ、環境保護に本気の気合が入ってますね。
    避難小屋は常時開放されていて、水もトイレも完備の無料宿泊所として、この上ない秀逸な施設なのであります。
    しかも、小屋の前の駐車場がとても広く、安心して車を置いて山に登って来られるのであります。
    が、しかし、八合目駐車場は、ハイシーズンは終日、オフシーズンでも、9月の末頃にならないと一般車両で上って来る事は出来なくて、麓の田沢湖スキー場に自家用車を置いて、シャトルバスで八合目小屋まで運んでもらう、と言う事になっているのであります。
    私は登山ガイドの本でその事を知り、生保内の役場に電話をして、自家用車で上って良しと言う事と、八合目小屋はとても快適に泊まれるのだ、ということを確認していたのであります・・・けっこう豆で賢いでしょ?

     八合目小屋へは午後5時に到着でありました。
    いや、黒湯から真っ直ぐ来れば近いんでありますが、缶ビールを仕入れていなかったもんですから、コンビニに行かなくちゃ、と、下って行った訳であります。
    結局は生保内の国道まで出ないと何も買えないと言う事で、30分近くも走ったのでありまして、往復で凡そ1時間の無駄をしたのでありました。

    山小屋・・・ロケーション独り占め

     で、八合目小屋に到着すると車は皆下って行く所で・・・うっしっしぃ・・・この環境を俺独り占めだよ、参ったね・・・あれっ、夜も一人か?
    と、言う事で、日没前に食事の支度をしてしまいたかったので、急いでコンロを取り出し、準備に取りかかったのであります。
    今夜のディナーは・・・マルちゃんのパック御飯に、SBのレトルトカレー、そして、サバの味噌煮と缶ビールの豪華版であります。
    これらは全て百均で調達したものでありますが、実用性としては過不足の無いものでありまして、山の食事は随分進歩したもんだ、と感動です。

     ひとつヘマをしました・・・鍋が小さくて、マルちゃんのパックライスがスポンと入り切らないのであります。
    貴方、ご存知ですか?温め切れていないパックライスがどれほど食べ難く、美味しく無いものであるかを。
    で、電子レンジなら僅か2分の便利ものですが、鍋で煮て温めるとなると、しっかり15分掛かる訳です。
    ええっ、調理済み品なんだから、多少温まり切らなくても大丈夫、なんて甘く見たら大失敗しますよ・・・固くてボロボロして、喰えたもんじゃありませぬ。
    で、早まって、いっぺん蓋を開けてしまったら、鍋では再加熱は不可能だと言う事で、パックライスの調理には、テクニックを持って慎重を期する必要があるのです。
    まあ、その分レトルトカレーには技が不要ですし、サバ缶も蓋を開ければ喰えますからね、今晩の炊事のキモはパックライスに尽きる訳であります。
    余談ですが、水を背負って行って御飯を炊いた方が良いかも知れないと言うのは、多分、ダメであります・・・いえ、重さは問題ではありませぬ。
    使った器を洗ったり、掃除したりする手間と水の事を考えたら、絶対にパック物に軍配が上がると思うのであります。
    あと、アレです、高度のある所で米を炊くと、気圧の関係でメッコメシになってなかなか美味しく炊けないもんですからね。
    ただし、山小屋などでこれらを食べ終わった場合、ゴミとなった食べ殻を再度背負って下って来なければならないと言う面倒が着いて回ります。
    えっ、?なんて事無いだろうとおっしゃいますか?封を開けて世に放たれたレトルトカレーの匂いを舐めてはいけませんよ。
    カレーの残り汁と言うものは、ありとあらゆるものをその匂いで染めてしまう、恐るべきモノなのであります。
    山を縦走などして来た人と行き会った場合、カレーの匂いとタマネギの匂いの度合いで、何泊して来たかが分かるのであります・・・たぶん。

     さて、昨晩は飯を食った後に缶ビールを二本飲んだだけで眠くてどうにもならず、たぶん、8時前に寝入ったはずであります。
    ラジオもまともに入らない場所でして、携帯も圏外でありました・・・やる事無いので寝るしかない、と。

    朝焼けです・・・好天の予感

     早朝、夜明け前には目が覚めて寝袋から出ようかな、シッコしに行こうかな、と思うのですが、外は寒そうであります。
    でも、お昼御飯を持たずに登って早めに下って来て昼食の予定ですから、足元が明るくなったら出るのが理想ではあります・・・でも嫌ですけど。
    何が嫌かって言いますと、お日様が昇って元気よくならないと、草木の葉っぱが朝露で濡れておりまして、それこそ合羽が必要な程に濡れる訳であります。
    なので、まあ、少し余裕を見ても、7時の出発で十分だろうと言う事で、ヌクヌクの寝袋でモソモソしている訳であります。
    で、意を決してトイレに行くので外へ出た途端、赤がね色に輝く朝日が目に飛び込んで参りまして、うっひゃぁーとなって、カメラを取りに車へダッシュであります。
    けっこう思ったよりも寒くは無いのですが、それでも車のフロントガラスには霜が降りていまして、晩秋、間もなく冬を匂わせて居るのでありました。
    朝飯は割合簡単に済ませます・・・インスタントラーメンにパックライス、魚肉ソーセージ一本に梅干しのメニューでありました。
    でも、鍋でラーメンを煮てしまうと匂いが着いてしまうので最初に番茶をこしらえてポットに入れてしまいます。
    そして、パックライスを温めたお湯でラーメンを作るのが正しい手順ではなかろうかと、私は思う訳であります。
    山用の小型のガスバーナーと、家庭用のカートリッジコンロを持っておりまして、ガスが安いので家庭用を使う訳でありますが、これは低温には滅法弱くて、時々手でボンベを温めてやらないと根性が無くなり、チョロチョロとしか燃えなくなります。
    そんな訳でこんな簡単な・・・要するにインスタントラーメンを煮るだけなのに、30分以上も掛かってしまったのでありました。
    で、朝飯を食べ終わって身支度が整った時には、既に7時10分前でありまして、出掛けるのにちょうどの時間となっておりました。

     一目見て分かる登山道・・・いや、立派な遊歩道を歩いて行くと、そこはもう活火山ありありで、噴火の後がそこかしこであります。
    あれ、なんだかあの、蔵王のお釜の裏側、カモシカコースだったか、アレに良く似た風景だな、などと思いながら、しっかり整備された道を行きました。
    全体に土ではなく、火山性の礫と言いますか、岩と言いますか、火山の山の雰囲気むんむんであります ・・・それ程でもないか。
    登り始めは薮が続いて、朝露に濡れて嫌だなぁと思っておりましたが、登り始めの標高が高いので、直ぐに灌木になり視界も眺望も良くなります。
    乳頭山でも田沢湖が見えた時に感激したのでありますが、秋田駒も一緒でありまして、田沢湖が朝靄に霞む姿は神秘的でありました。
    で、ふうふう、はあはあと登って行きますと、突然池が見えて参りまして、それが阿弥陀池であります・・・えっ、と思う程近くて、1時間足らずでありました。

    なんだか曇ってしまって暗いです・・・これは湿原保護の為の歩道でした。

    さて、阿弥陀池にも避難小屋と水洗トイレがありまして、本当に秋田の山は環境に気を使っているなと感心させられます。
    ここまでやってもらうと、いろいろな禁止事項の指示にも従わざるを得ないとなるのですが、如何なもんでありましょうか?
    で、阿弥陀池避難小屋を起点に男女岳、男岳、横岳、小岳などを廻るのでありますが、どれもすぐ近くで、のんびり廻っても全部で2時間程度のものであります。
    私は最初に男岳に登ってしまったのですが、効率よくいくならば、男女岳を最初に登るべきでありました。
    で、男岳までの登りは距離が短いので楽に登れますが、実際の勾配は結構急でして、岩だらけのルートも雰囲気満点であります。

    男岳の頂上のタコおやじ

    男岳の頂上のタコおやじ 2


     さて、阿弥陀池から男岳まで20分程度でありまして、そこから尾根伝いに横岳へ行って、焼け森へ廻って八合目小屋へと・・・あれっ?男女岳にはいつ行くんだ?
    ありゃぁー・・・男女岳に登るにはもう一度阿弥陀池まで下らないとダメなんだな、こりゃ参ったぞ。
    と、言う事で仕方が無いので一旦戻って、そこから男女岳へアタックであります。
    まあ、一寸したピークを登るだけで、なんだかんだで往復30〜40分もあれば十分な距離でありますが、しかし、ほとんど直登できついのはそれなりであります。
    この登りも登山道以外を歩かせないようにと、きっちりと整備され、高山の環境保全に全力を挙げておりますの姿勢がばっちり、でありました。
    まあ、整備された登山道と言うのは、時に、歩幅が制限される階段があったりして、歩き難いと言うのが本音でありますが、でも、凄い手入れの良さであります。

    男女の頂上のタコおやじ(このピークがメインらしい)


     ここからの眺めは絶品でありました・・・岩手山の姿は惚れ惚れしますし、乳頭山をみれば、なんであの山がそう呼ばれるのかが一目で分かるのであります。

    岩手山を望む


    乳頭山まで15キロ程度なので車の問題が無ければ縦走して行きたい思いに駆られる、とても見事な稜線が続いており、いつの日か、花の咲く季節に是非歩き通してみたいと、ここでもまた次の楽しみが生まれたのでありました。

    乳頭山の名前は、秋田駒から眺めて付けられたのでしょう


     男女岳の頂上ではお茶とビスケットで小休止を取りまして、しかし、冷えきらないうちにと言う事で、ほとんど駆け足で再度阿弥陀池へと下りました。
    で、先ほど下って来た横岳へ今一度登って、そこから焼森山まで稜線を緩く下り、湯森山方面と乳頭山へ行きたい気持ちを抑えて、左へ曲がり、八合目小屋へ下ったのでありました。

     本当は乳頭山から縦走しても、または逆コースでも駒ヶ岳まで一日で歩けるコースなのですが、車の関係と、仙台からの到着時間を考慮して、2日に分けて登る事になったのであります。
    しかし、それがかえって好かったようで、時間に余裕が有り、思う存分好きなように楽しめた訳であります。
    おっさんになって再開した山登りの感想は、昔に比べると随分と楽に登れるようになったもんだと、有り難い反面、ちっょと山が軽くなっちまってるな、なんて思ったりもして、複雑であります。
    一番驚くのは、ほとんど総ての人が、必需品として、登山用のストックを持っている事で、これが刺さって道に穴が開き、沢山穴が開くと土が掘り起こされて、雨が降って土が流されて、登山道がえぐれて行く・・・私の勝手な推測だが、たぶん当たっているだろう。
    まあ、海も山も、自然はほんの僅かでも人間が関わると、もう自然ではなくなる訳で、致し方ない事ではある。
    しかし、ナンであります・・・気軽に登れる山が増えたと言うのは、たぶん、好い事なのでしょうね・・・でも、ちっよと寂しいのが本音でありました。


     この話 完


    まあ、適当に書いてますんで、間違いが有ったらゴメン・・・?


    ご意見ご感想は 承っておりませんが・・・


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