よたよたと、山登り


    No.45

       

    旗坂〜船形山頂〜蛇ヶ岳山頂〜旗坂

      10月05日 メッカ 巡礼

     船形山は晴れていた。
    この日、升沢の登山口から聖地船形山の山頂を目指す巡礼の列は、いつ果てるとも無く長く続いていた・・・。
    と、言う程ではないのでありますが、巡礼の列は総勢40名と言う事で、登山道を行く列としては、異例の長さである事は間違いない訳です。
    まず、こんな列とすれ違う他の登山者に取っては、えらい迷惑な話でありまして、抜いていただくのにも恐縮する訳であります。
    まあ、もっとも、学生の学校登山などでは数十、数百を超える事もある訳でそれ程のモノでもないと言えばそうでもあるのですが・・・。

     
    巡礼の背中の段ボールには「聖なる薪」が納められている

       さて、巡礼の一行はそれぞれが自分の体力に見合った薪を背負って、聖地「船形山山頂避難小屋」を目指している訳であります。
    まあ、早い話が、いわゆる「薪揚げ」と言われる行事な訳でして、来るべき冬に備えて避難小屋へ備蓄の薪を運び上げたのであります。
    これは、船形山のブナを守る会の行事と言う事で、毎年行われているのだそうでありますが、私は初めての参加でありました。
    運び上げる薪は、初夏の頃に植林地の杉を間伐した際に切られた木を利用したもので、これも会の皆様が準備した自前の薪と言う事であります。
    ええ、もちろん、私も黄色いヘルメットを被り、借り物のノコギリなどを手にして杉の木を切ったのでありますが、コレが結構大変な作業でして、それを自分で担ぎ上げるのでありますから、そこには自ずと気合いも入る、と言う訳であります。

     そんな訳で、それぞれが思い思いに、背負子やザックに薪を背負って山頂を目指した訳であります。
    私はとんでもない悪天候を呼ぶタイプなんでありますが、どういう訳かこの会の山行に参加させていただく時は常に晴天な訳であります。
    まあ、普段の行いの善し悪しで天気が決まるんだとすると、国会議員なんて人達は毎日暴風雨になるはずなんでありますが、そんな事も無い訳で、天気と日頃の行いに因果関係は無いと思うんでありますが、しかし、どういう訳か、晴天な訳であります。

    紅葉の登山道・・・気温は低いんですが日差しはまだ暑い位です。

     で、何分にも老若男女入り乱れての総勢40名の団体でありますから、色々アレやナニでありまして、登るスピードは超スローペースになるのは致し方無し、と言う事な訳です。
    まず、普段はゆっくり登るなんてのは、体調が悪い時くらいしか無い訳でして、息が切れる事も無く、背負った薪の重さを感じる事も無く、紅葉が陽の光に輝く様など眺めつつ、山頂到着でありました。

    意外に虫が多く、ミツバチと思われる蜂が忙しく飛んでいました

     定かではありませんが、メッカ到着は12時30分を過ぎていたと思う訳でして、それから薪を下ろし昼飯タイムとなった次第であります。
    で、本日は山頂でストーブを取り出しているグループがとても多く、山での昼飯はラーメンを煮て食うのが昨今の主流となっているのかもしれませぬ。
    しかも、焼豚やら、青梗菜やらゆで卵やらが入ると言った超スペシャル手の込んだ豪華なラーメンをいただくグループもあったりする所を見ると、山飯のトレンドはグルメに傾いているのかもしれませぬ。
    余談でありますが、件の豪華ラーメンのグループの昼飯には、シャンペンが添えられていた訳でして、私も一杯ご相伴にあずかった訳であります・・・ごっつぉーさんでした。
    で、余談はまだある訳でして、食後のデザートに、外国産のライチーの大きな缶詰なども担ぎ上げている訳であります・・・ええ、これもご相伴にあずかったんでありますがね。
    で、到着が遅れたので時間がなかったと言う事で手をつけられなかったんでありますが、キゥイフルーツなんかも持っていた訳でして、そして、食後のコーヒーを飲む時間がなかったのが心残りである、と言うのがグループの声であった訳です。
    で、結論なんでありますが、山飯でグルメをしたければ体力勝負であるなと言う事で、誰でも気軽に担ぎ上げられると言う事ではないので、これは所謂一つのエリート集団と言う事になるのかも知れないと・・・ンな事ぁ無い、か?。

     
    メッカを目指した巡礼で山頂はごった返していました。

     さて、昼飯を食っている間に風が強くなり、日陰では寒くなって参りまして、聖地船形山山頂にそびえ立つ「モスク」である避難小屋へ供物である「薪」を奉納して、蛇ヶ岳経由で下山の途についたのは13時20分を過ぎでありました。
      我々の一行だけで40名でありますから、その他の登山者をあわせると、総勢では100名を超えるであろう人が山頂に立っていた訳であります・・・この日、船形山は人の重みで標高が25センチ程下がっていたと思うのは・・・錯覚でありましょうか?
    船形山の山頂からは山形側の黒伏山の絶壁やら、蔵王連峰の稜線、面白山の山群、大東岳、眼前に紅葉して迫る千畳敷とその向こうには三峰から北泉への稜線と後白髪、黄金色の大崎平野と365度くらい見渡せる訳であります。

     
    千畳敷の紅葉です。

     下りは水気の多い沢道を避けて蛇ヶ岳経由と言う事で周回した訳でありますが、この道筋の眺めがまた最高でして、前を見て良し、振り返って船形山頂方向がまた捨て難く、なんとも贅沢な帰路でありました。
    しかし、アレです、蛇ヶ岳と言う名前が何故付いたのか知りませんけど、この山の周りには木の幹を剥き出しにして白くのた打つような姿形の這松が多い訳です。
    で、何百年物なのか知りませんけど、白く太い這い松の幹が蛇に見立てられた物ではなかろうかなどと言う推測をしてみた訳でありますが・・・如何でしょうか?・・・ええっ?却下、でありますか?

    蛇ヶ岳湿原の池糖です。

     結構な高い山で池糖を持つ山と言うのは多いんでありますが、蛇ヶ岳湿原の池糖も中々趣きのある物であります。
    どんな生物がいて、どんな花が咲くのかも全く知りませんが水の澄み具合がとても良く、本日折しも満月と言う事で、ここで夜を迎えて、水に映る月などを眺めたらどんなに美しかろうかと、心を惹かれた訳であります・・・是非、チャンスを見てやってみたいと。

     さて、ここからの下りは泥濘地などもあって歩き難い所もあるのですが、それでも下りは絶対に蛇ヶ岳経由がお勧めでありまして、船形山頂から1時間で升沢コースの登山道に出るまで、ずーっと楽しめるコースでありました。

     そんな訳で、登りにゆっくりした為、下りはちょっと急ぐ事になった・・・いや、普通の早さで降りた訳でありますが、これがまた、西日、夕日で刻々と変化する紅葉や空の色が楽しく、一人なら日没に追われて楽しむどころではない山道を、団体の気軽さから堪能させてもらった訳であります。
    で、旗坂の駐車場到着は4時45分頃、と、足の速い秋の夕暮れとの追いかけっこに勝てて、明るいうちに無事下山でありました。

     皆様・・・どーも、お疲れさまでした、と。


     この話 完


    場所や時間はかなり適当ですので、ご注意下さい・・・


    ご意見ご感想は 承っておりませんが・・・


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