よたよたと、山登り


    No.47

       

    つぶ沼口〜銀明水避難小屋〜焼石岳〜横岳

      10月18日 とりあえず 避難小屋まで 

     焼石岳に登ろうと思って計画を立てたんでありますが、当日、ちょっと朝方だけ都合が有って、雑事を片付けて家を出なくちゃならない事になった訳です。
    そんな訳で、時間的に日帰りピストンは厳しいな、と言う事で、んじゃぁ、のんびりと小屋泊まりでもしながら行ってみましょうか、となった訳であります。
    前沢インターで高速を降り、石渕ダムの上の登山口に着いたのは10時50分頃でありました・・・かな?
    登山口近くの駐車場は、ブナの森を観察するとかのイベントで沢山の車が入るのであっちの方へ置いてくれたまえ、と言われて、キャンプ場の上へ停めた訳であります。
    へぇーっ・・・ブナの観察会でありますかぁ?盛況でありますなぁ・・・ふんふん、と、歩き始めたのが11時頃でありました。

    岩手・宮城の地震の爪痕ですか?生々しいですな?そうでもない?

     焼石岳に登るにあたって地図など眺め、山のイメージを作ってみる訳ですが、この山は等高線や尾根筋から登山道のイメージが湧かなかったんであります・・・要するに、ポイントが無くイメージがつかみ難い山であるな、と、思った訳であります。
    で、歩き始めて小一時間もして、なるほどなぁ、茫洋とした登山道の雰囲気は、これは地図からは読み取り難いよなぁ・・・と、言いますか、茫洋とした雰囲気そのままの登山道なので、それを事前に感じていたと言う事は、完璧に読んでいた、とも言える訳ですが・・・。
    と、言う事で、はっきりしない尾根だか、沢筋だか分からない感じで、現実には山腹を巻いている、なんて言う、良くわからない道筋で有りました。
    気持ちの何処かに、積雪期の下見的な物が有ったんでありますが、これは、アレです、船形山升沢コースの三光の宮から升沢小屋までの間の平で分かり難い部分より、もっと分かり難そうであるな、と感じた次第であります。
    まっ、慣れれば良いと言う感じもしますが、明確な尾根筋なんかと違って、分かり難いのは確かでありました。
    で、錦織りなす紅葉の森、と言う感じの道を快適に・・・時々とっても不快適に、行く訳であります。

    なんだかとっても泥濘地が多いんであります。

     で、きつい登りも無く、登山道の刈り払いも完璧、指導標の類いも申し分無いんでありますが、今イチ快適感を損なうのが、泥濘地であります。
    水捌けが悪いんでしょうか?それとも、水気が多すぎるんでありましょうか?、まあ、なんであれ、泥だらけで難儀する場面が多い訳です。
    で、避難小屋で行き会った人曰く、本日の登山道は、かなりドライな方なのであるとか。
    へぇぇぇぇっ、んじゃぁウエットな時は長靴必携ですなぁ・・・いや、実際問題、焼石岳登山にはスパイク長靴が一番快適かも知れませぬ。

    今夜のお宿「銀明水避難小屋」であります

     さて、歩く事2時間45分・・・1時45分に避難小屋到着でありました。
    実を言うと、ここまで辿り着くのが精一杯でありまして、ヘロヘロを通り越し、ヨレヨレでありました。
    本日の背中の荷物は、テント無しと、小屋は水場のそば、と言う事で水を背負っていませんので、超軽量16キロに収まっていますので、軽い訳です。
    そう言えば、歩き始めてすぐから、普段の何倍もの汗が滴り落ちてたっけ・・・熱でもあったのかな?
    で、小屋には先客がザックを置いて頂上アタックに行った模様で、今夜は一人ではないな・・・流石土曜の夜だな、と。
    で、私は何もする気が起きず、でも、取りあえず水汲みだけはしておこうとタンクを持って銀明水の水を汲みに・・・。

     あれぇ・・・?銘水は小屋の下を流れて来ている風だなぁ・・・避難小屋のトイレは、簡易水洗の地下浸透式、であるなぁ。
    うーん、銘水の味の源がそう言う物であるはずは無い訳だが、いや、しかし、これは激しく気になるなぁ、と、言いつつ水を飲んでみる私でありました。
    うん、美味い水だぞ、これは紛れも無く銘水だが、いや、しかし、どういう事になっているんだか・・・まっ、今は忘れような、と。

     私は湯を沸かしカップスープを飲み、おにぎりを一つ食べて寝袋に横たわり、うとうとしながら楽天の試合をラジオで聞いておりました。

     で、夕方、我に返ってはたと気が付けば、小屋に泊まる人は、総勢6名になっているでは有りませんか。
    避難小屋で自分以外の人が居ると言うのは、白神岳以来の事でありまして、こんな大勢の人達と一つ屋根の下で寝られるかどうか、とても不安になってしまったのでありました。
    いや、ホラ、私の場合まかり間違っておなかの調子が狂い出したら、そりゃぁ寝てる暇無い程にトイレに行く訳で・・・でも、水洗トイレ完備の山小屋なのでちょっと安心です、けど。
    まっ、結果を言うと、同宿のご夫婦から、芋煮やら、漬け物やら、うどんやら、二階のご夫婦から、パスタやら御馳走になり、そして、日本酒なんかもいただいたもんですから、お腹はグルグルになっちまった訳です。
    そんなもんですから、都合二度、夜中にお騒がせをした次第であります。

    小屋からちよっと登ると森林限界を超すようであります・・・低いけど、風が強いからか?

     とっくに目が覚めていたんですけど、周りはまだいびきが聞こえていたので、五時になってうっすら明るくなるまで待っておりました。
    で、五時、もそもそと起き出し、第一次トイレタイムを静かに終え、お湯を湧かして餅入りラーメンなど作りまして、朝飯であります。
    朝食後、雲行きが定まらないので少し様子見をしまして、六時二十分、昨晩の御馳走さん、とお世話様の挨拶をして出発でありました。
    いやぁ、腹の調子が最悪で、アレです・・・山本リンダでして、もうどうにも止まらない・・・リンダ、困っちゃう、状態であります。
    まっ、朝一番で先頭だろうから「キジ撃ち」はどこでも大丈夫、と思いきや、小屋のちょっと上から森林限界でして、隠れるのに適した場所は意外に少なかった訳であります。

     
    焼石岳は、名前に違わず、やけに石の多い登山道であります

     さて、昨日の体調不良はまだ引きずったままでありますが、軽身なのでなんとか足は前に出るのであります、が、遅いです。
    それでも、急登はほとんど無く、日差しにも助けられ、まずまず、ナントかカントか、焼石岳山頂を目指して行ける訳です。
    で、登りながら、どれもこれも山の姿がはっきりしない、ドレが何れだか分かり難いのであります・・・まっ、どれでも良いや、と。
    しかし、自分の進行方向左前方、方角的には西か南西か、と言う方向に一際山らしい顔つきをしたピークが気になって仕方が無いのであります。
    で、登山道が歩いて行く方向はそっちではないので、まあ、取りあえず目的の山頂を踏んだら考えますかね、と、焼石岳の頂上を目指した訳です。

    山頂の印が気に入りましたよ・・・古い物でしょう。

     ナントカ沼の分岐点から、チョットだけ急かな、と言う感じの登りを詰めるとそこが焼石岳の山頂で有りました。
    展望は開けて良いのですが、なだらかな女性的な山容のせいか、なんだか高い山と言う雰囲気は薄く、おっとりとしておりました。
    で、ここが一番高いので、そこから連なる連峰各山を見渡せるんでありますが、これも何となく、茫洋としている訳であります。
    なので、当初の計画では東焼石岳やらをぐるっと回るはずだったんでありますが興味が無くなっちまいました。
    そこで、むくむくと持ち上がったのが、先ほど気になっていた山の事であります。
    うん、さっきの分岐点に横岳とあったな、と、地図など広げてみると、グレーの破線で微かに線が引かれているが、赤文字で、旧い登山道でベテラン以外入るな、と。
    へん、しゃら臭い事を言うで無い・・・見えてるじゃないか、テッペンが、と、体調が悪い事も顧みず足は横岳へ向かっている訳です。
    まあ、結論から言うと、大した登りでもなく、確かに踏み跡が不明瞭なところは多々有るけれども、騒ぐ程の事は無いよ、と言うもんでありました。

     
    横岳山頂ではないのですが、最高地点と思しきところに避難小屋の残骸がありました

     で、登山地図ではグレーの破線で、25000/1の地図には登山道の記載の無い横岳の山頂まで、30分足らずで登れたんであります。
    そこで思案であります・・・グレーの破線が銀明水の避難小屋までのルートを示しているのであります・・・行けるのかぁ?、と。
    しかし、目の前に広がる地形で一カ所、結構な急斜面が目に入る訳ですが、どーもそこを降りて行くようでありますが、道筋は見えませぬ。
    うーん、この体調で密な灌木の薮漕ぎはしたくないなぁ・・・よっしゃぁ、戻ろうと。

     さて、戻るとなったら一目散であります。
    と、言いますのは、焼石岳の山頂を踏んだ当りから風が強くなり、西の方から怪しげな雲も出張って来ている訳でして、下山は早い方が良かろうと思った次第であります。

     で、日曜日なのにあんまし登ってくる人も居ないなぁ、とか思いながら、さっさと銀明水の避難小屋を目指しました。
    そうだ、あのご夫婦はもう出発したかなぁ・・・ゆっくり写真とキノコなど取りながら下ると言っていたがなぁ、なんて思いながら小屋に着いてみますと、当たり前のように誰も居なくなっておりました。
    で、9時25分に小屋に到着し、なんだか腹が減ったので、ボンカレーなど食べまして、パッキングを済ませ、コーヒーなど飲んでゆっくりして出たのが、10時30分でありました。
    この登山道、ガツンと言う登り下りが無い分、体力的には楽だとも言えますが、メリハリが感じられないのは精神的にきついな、と思う訳です。
    登山道からの展望は絶望的でありますが、ブナの紅葉などは見事なんであります。
    しかし、もしもまた行くとしたら、紅葉よりも花の季節がよろしいのかな、なんて思うのでありますが、まあ、好きずきですからね。
    途中、ポツポツと雨の気配がしましたが、幸い、その後降る事も無く、ダラダラと下って、12時30分駐車場到着でありました。



     この話 完


    場所や時間はかなり適当ですので、ご注意下さい・・・


    ご意見ご感想は 承っておりませんが・・・


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