よたよたと、山登り


    No.50

       

    黒鼻山

      泉ヶ岳駐車場〜黒鼻のテラス〜泉ヶ岳を北へ登る尾根 

     山です・・・登山です・・・雪山です。
    と、言う事で、おっさん、40日ぶりに山登りに復帰であります。
    思えば長く辛い40日でありました・・・まぁそれは冗談でありまして、ただビッコを引いて普通にしていただけでありますけどね。
    まあしかし、流石に山になどは登れなかった訳で、その葛藤は中々のモノであった訳であります。
    で、この度、千葉B氏のお誘いを受け、しかも、聞けば泉ヶ岳の脇の黒鼻山がメインターゲットであるとの事。
    おお、黒鼻山と言えば、登った事は無いけれども、家から毎日見ている山でしかも、標高はたったの850メートルだ。
    黒鼻というよりも、鼻くそみたいなもんだわい、と言う事で、復帰第一戦としては願っても無いお手軽な山で、しかも、千葉B氏等とパーティー組んで行けるだなんて、俺って余程普段良い事ばかりしているんだなと・・・寝ぼけてんのかぁ、おっさんってば。

     さて、ホントーの事を言うととても不安でありました。
    山道雪道は平地を歩くのとは訳が違うので、全方向に力が掛かる訳です。
    ただ今のおっさんの足は、捻挫からの回復は75パーセントと言う感じで、特定方向への力は掛けられない訳であります。
    まっ、しかし、ナンたって鼻くそ山だもん・・・ヤバくなったら一人で帰らせてもらうと言う事で、様子見には最適なんだし、行かない訳には行くまいよ、と。

     で、泉ヶ岳駐車場に集合、8時出発で、一番ポピュラーな水神コースを水神まで登って、そこから沢を一本超して南へずーっと行く訳であります。
    まず、水神までのコースは踏み痕も固く締まり、スノーシューを履いても問題なく歩けた訳であります。
    今回の山行は全部御任せでして・・・いや、千葉B氏に誘われて着いて行く時には、それこそ箸一本持って行くだけで、予定から昼飯から休憩の食べ物まで、ぜぇーんぶ、おんぶに抱っこであります。
    いや、ホントーに心苦しいと思うんでありますが、しかし、千葉B氏の手を出す隙がない完璧な布陣の前におっさんは、手を拱くしか能がない訳であります。
    この度は千葉B氏の同級生で山仲間のS氏が同行しているのでありますが、この二人のコンビと言うのもまた阿吽でして、やっぱしおっさんは手を出す隙がないのであります・・・はい、言い訳終わり。

     
    目標「黒鼻のテラス」までは登山ルートではありません

     で、おっさんは黒鼻山は初めて、と言うよりも、水神コースそのものがたぶん20年ぶり以上なんであります。
    しかも積雪期でありますから、まあ、知らない所を歩いているのに等しい訳でして、たかが泉ヶ岳であるはずなのに、とても新鮮で、こりゃぁ持ち玉に加えなくちゃ行けないなと感じ入った次第で有りました。
    しかし、まあ、それでも泉ヶ岳でありますから、水神の沢を渉るポイントまでは程なく到着な訳であります。
    で、ここからが本日の核心と申しましょうか、メインイベントな訳でありまして・・・いや、食い物的にはこの後に真打ちが登場するんですが、山を味わうと言う部分ではここが核心でありました。

     水神から黒鼻のテラスまでのルートは登山道ではないので地図とコンパスで方向を定めて行く訳であります。
    本日は、千葉B氏の実践コンパス講座を受けながら、それぞれがおのおの、好き勝手にコースを考えながら行った訳であります。
    しかし、巷にあふれるハウツー本を机上にて学ぶ暇があったら、ちゃんとした人に山の中でレクチャーを受けたら、30分で理解出来る訳ですから、不安な人はそう言う人を見つけて教わると良いと思うんであります。
    ちなみに、千葉B氏は船形山の升沢小屋の管理人なんかもやっていますので、そんな所から検索などすると所在と素性が掴めるかも知れません・・・あっ、こう言う事書いてよかったかな?・・・まっ、いいか。

     黒鼻のテラスと言うのは、地形図で850メートルのボヤーッとしたピークが有る所の西の外れであります。
    いや、天気が良かったのでナチュラルナビが出来ましたから簡単に行き着きましたが、ちょっと吹雪いたりしたら結構厄介な場所だなとおっさんは思ったんであります。
    しかし、千葉B氏のナビは完璧で、一発で辿り着いたのであります・・・山はこう言う人たちと始めると、ダメなおっさんでも上達しますね。
    で、黒鼻のテラスへやって来た目的は、後白鬚山と三峰山(坊主岳)を眺めながらホットワインを飲むと言う事なんであります。

    生まれて初めての「ホットワイン」であります

     いや、ワインそのものに全く造詣の無いおっさんは、勿論ホットワインなんてのは初めてでありまして、しかも、甘く無いビスケットの上に生ハムなんか乗っけた物をつまみながらいただく訳であります。
    おっさん、不覚にも立ち上る酸味にむせ返っちまいまして、いや、恐るべし手強きホットワインの洗礼を受けてしまったのであります。
    三峰と後白鬚の絶景を愛でながら、もしもおっさんが一人で呑むとしたら、まあ、ビールは間違いない訳で、つまみはやっぱし、炙ったイカになるんでありましょうかねぇ?
    ホントー言うと、ザックの中には缶ビールが6本入っていたんですけど、ちょっと出る幕無かったです、はい。

     ここでじっくり大休止をしまして、ちょっと痛みが来始めたおっさんの足も、ワインの程よい刺激で回復し、この時点では泉ヶ岳の山頂を目指して出発であります。
    ええ、黒鼻山の山頂はここから600メートルほど南なんですが、森林の中の尾根で展望も無いのであんまし行く気にならない訳であります・・・いや、行ったらそれなりに面白いかも知れませんけど。

     さて、ここから一旦水神まで戻るんでありますが、おっさん、ここからピンチでありました。
    下りのトラバースと言うのはスノーシューは苦手な状況なんでありますが、おっさんは谷側の右足を踏ん張れない訳であります。
    うーん・・・これはちょっとしたピンチだなぁ、と思いつつも、まだそれほどの痛みではないので歩けるんですが、どーしても列から遅れる訳であります。
    で、この後泉ヶ岳の山頂を登山道ではない尾根から攻めるとなると、耐えられるかなぁ、と不安になる訳です。
    そんなこんなしているうちに水神に出まして、北泉・三叉路方面に300メートルほど緩く登って沢を越えて目標の尾根に取り付いた訳であります。
    いや、おっさんの足はほとんど限界に近い所に来ていまして、沢を超して急斜面を乗り越した所で完全にビッコになっちまった訳です・・・しかし、スノーシューと言うのは前後の動きで左右に余りぶれないので楽だと言えば、そうとも言える訳で、なんとか歩けるんであります・・・けっこう良い発見だな。
    で、GPSで残り距離を測ると、最短でも1.2キロ・・・結構な急登が予想されて、おっさんには無理、と判断であります。
    で、先頭で頑張っている千葉B氏に「1時になっからはぁー、どーしますかぁ?」と打診をしてみた訳であります。
    すると、意外にも「んだねぇー・・・俺も潮時だな、と思ったところで・・・」と言う事で、登るのは止めて取りあえず飯、と。

    雪山でカニ雑炊って、食べた事ある人は少ないでしょうね

     さて、そうと決まればあっという間の行動でありまして、ちょっと良さげな場所にてランチの支度であります。
    と、言いましても、毎度の事ながらおっさんは何処にも出る幕が無く、そうですねぇ、学芸会の役で言うと、通行人にもならなくて、案山子、と言う所でありましょうか? とにかく、何から何まで御まかせで、面倒ばかりを掛けてしまって・・・しかし、材料代だけでも大変だよなぁ、と。
    あとアレです・・・調理がもの凄く手早くて、こんな手の込んだ物を、おっさんの山での御馳走と言えるインスタントラーメンと遜色無い時間で仕上げるのであります。
    で、生卵まで入ったカニ雑炊が絶品であるのは言うまでもないのでありますが、その後のデザートとコーヒーまで続く、言わばフルコースな訳であります。
    おっさんとしては、普段に食っている物よりも山で御馳走になる時が充実していると言うのもちょっと情けないんでありますが、それが事実でありますから・・・。

     
    台湾のメイファーなんとかと言うトロピカルフルーツ入りかき氷?

     上記写真のデザートは雪に練乳をかけ、そして、トロピカルフルーツがあしらわれている物でありますが、これがまた雪と良く合うんであります。
    おっさん、お腹は弱いんでありまして、こう言う食い物はダメなんでありますが、食っちまいました。
    まあ、昼飯のちょっと前にしっかりとキジ撃ちは済ませてましたからね。
    で、雪はおかわり自由な訳で、一トンでも二トンでも好きなだけ食ってくれと千葉B氏が言うので、遠慮なくそこらの雪を拾って食った訳であります・・・いゃ、これを準備する手間ひまも驚きですけど、それよりも、雪山でこういう風にしたら美味いとか、楽しいと言う、想像力だね・・・発想がアートの世界なんだろうね、たぶん。

     さて、ここから駐車場までの下りに難所は無いし、のんびり下れば良いな、と、ちょっと痛めな足を庇いつつも、満たされた腹と気持ちを抱えて下山体制に入っていった訳であります。
    で、水神の石碑の前で記念写真などを撮って、お別れ峠のところから、千葉B氏とYさんは、スキー場のゲレンデを尻滑りで降りる、と言う事でゲレンデ方向へ。
    おっさんとS氏は、山の四方山話に花を咲かせながらのんびりと駐車場へと下った訳でありました。

     いや、千葉B氏らが、スキー場のゲレンデに危険を感じて歩いて降りて来たのは内緒です。


     この話 完


    山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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