よたよたと、山登り


    No.56

       

    面白山

      面白山(北面白山) 

     面白山に行って来ました。
    泉ヶ岳に登って見ると、面白山の山並みはとても立派に見える訳です。 大した高さも無いのに、真っ白く雪をいただき、稜線が際立って見え、要するに見栄えが良い訳であります。
    しかし、遠くから眺める山容はなかなか厳しそうで、おっさんごときが手を出して良いものかどうか、躊躇させる威厳がある訳です。
    そんな訳で、昨年の秋に下見をし、二月にはスキー場まで行って登り口から雪の様子を観察し、周到なる用意の元に「面白山アック」を敢行した次第であります。
    まあ、結果から申しますと、そんなに大仰に構えるべき山でもないな、と言う感じでして、北泉ヶ岳の最後をちょっと急にした感じ、てなもんでありました。
    そりゃそうだね、ナンボ頑張っても標高は1264メートルな訳で、ギリギリ頂上手前で森林限界を超える程度の山でありますから・・・。

     天童高原スキー場に車を停めたのが9時15分で、出発が9時半でありました。
    快晴ではありますが少し風が強い感じで、稜線に出たらドーなんだろう、と、多少の懸念を抱かせる塩梅でありました。
    日曜日なのにとても空いているスキー場のゲレンデを平気で歩いて横切るおっさんでありましたが、既にこの辺りを滑る為に使うリフトは運転を止めているのでスキーヤーはいないのであります。
    で、夏の登山道入り口に建つ管理棟の前で身支度を整え、スノーシューを履いて出発でありました。
    ここで地元のおっさんと行き会いまして、あれこれ説明を受けながら、夏道の林道を歩いて行ったのであります。
    太平洋岸で降った先日の雪は奥羽山脈の向こう側には降らなかったようで、暫く降雪を見ていない雰囲気でありました。

     
    標高が低く日当りの良い林道はだいぶ雪が消えていました。

     地元のおっさんは秋田で開発された新型のプラスティックのワカンを履いているのでありますが、これが大して大きく無いのに私のスノーシュート遜色無い程度の沈み具合の上に、小さいので取り回しがとても良い様子なのであります。
    で、下りの足跡を見たら、急斜面で踵を雪面に食い込ませる事が出来、塩梅が良さそうなのであります・・・スノーシューは登りでは天下無敵でありますが、急な下りは情けない程弱いのが欠点でありますから、これ、欲しいかも知れない、と思った次第であります。

    この看板が冬道の目印であります。

     さて、地元のおっさんは少し離れて着いていたのでありますが、ふと気が付くといないのであります。
    ふふふっ、地元のおっさん、付いて来られなくて一服しているのかな、と思った訳です・・・が、それは大きな間違いでありました。
    地元のおっさんは夏道の林道の上にある吉野平放牧場の標識の所から尾根に入って登っていたのであります。
    そんな事とは知らず、仙台のおっさんは律儀に夏道を辿った訳でありますが、足跡もこっちにしか無かったんであります。
    で、三沢山(1042メートル)の山頂に出たら地元のおっさんは既に防寒体制で一服しようとしている訳であります。
    あれぇー・・・?冬道はどこから尾根に入ったんですかぁ?と尋ねてみると、長命水の分岐からの登りが急で嫌だから、雪の季節には吉野平放牧場の標識から真っ直ぐ尾根に入って、林道とほぼ平行に登るのだと教えてくれたのであります。
    林道と違って蛇行しない分と、長命水の急な登りを避けられるので10分程度短縮できるとの事でありました・・・仙台のおっさんも帰りはこちらを通ったのでありますが、下って来ると自然にこちらへ行きたくなる訳で、成る程な、でありました。

    三沢山から眺める、稜線とその先の面白山山頂

     そんな訳で地元のおっさんは三沢山までなので、んじゃぁドーも、と言って先を急ごうとすると、随分足跡がある訳です・・・しかも、ズボ、です。
    へぇーっ、先行者が多いんだなぁ、と独り言風に言うと、地元のおっさんが、5人くらいで登って行った人が見えたよ、と教えてくれました。
    うーむ、真っ白な無垢の稜線におっさんの足跡が点々と続く・・・予定であったのだがなぁ、まっ、日曜日だしな、と。
    しかし、春先の快晴は風が吹く、と言うのもある訳で、本日がまさにそれでありました。
    三沢山で強風でありますから、面白山の山頂は推して知るべしでありましょう・・・久々の烈風か?。

     雪庇が張っているのでありますが、大騒ぎする程のものではなく、近づいた所で落ちる類いのモノではない訳ではあります。 しかし、吹雪で足許しか見えない日にここを通るとなれば、それは一大事でありましょう・・・晴れていると言うのはとても楽であります。
    三沢山までは腐れ雪から始まって、モナカ、吹きだまりのふかふかと多彩であったのですが、面白山の登りに入ると雪面は概ね締まり気味で、灌木が切れると時折凍り気味でシャキシャキした雪面でありました。
    こう言う雪面を登るのにおっさんのスノーシューはびくともしないんでありますが、下りはアイゼンに替えようかなぁ、と思案する場面でありました。
    見た目よりも距離が短いので思いの外早く山頂に着きました・・・11時50分山頂着。

     山頂の少し下のやせたイヌブナの林の所で5名のパーティーが下ってくるのに出会いまして、皆さんが親切に、山頂の風はハンパじゃないと言って下さる訳であります。
    強風と言うのは心構えをするにしてもほとんど何もできない訳でして、まっ、それでも今シーズン初の耐風姿勢を取るのか、と覚悟した訳であります。
    で、強風なんでありますが、山頂は強風で15メートル〜時に20メートル程度なんでありますが、北西側のベロンと身を曝け出す稜線の方がハンパじゃなく強い訳でして、こちらは烈風と言うべき強さで、瞬間、飛ばされるかなぁ、と思った程でありました。

    山頂でのセルフの記念写真も上手になったもんでありますね

     もしもお日柄が良ければ山頂で鍋焼きうどんとビールの昼食を予定していた訳でありますが、恐らくここで鍋焼きうどんをコンロの上に乗せたとすると、間違いなく3秒待たずに宙に舞ってしまう事が予想されたため、さっさと写真だけ撮ったら下山でありました。

    中面白山から南面白山を経て大東岳まで続く稜線

     いや、時間的な余裕が無いので絶対に行けない事は承知なんでありますが、しかし、眼前に広がる稜線は魅力的でありまして、ウズウズする訳であります。
    やっぱし、テント背負って長左衛門平で一泊して南面白山をアタックして帰る、ナンて言うのをやってみなくちゃならないな、と思ったのでありますが・・・誰か、一緒に行かないすかぁ?

     で、急な下りにもかかわらずスノーシューを脱ぐのが面倒で突っ込んだ為に難儀している上に、時折吹き付ける息の長い烈風にやり込められて、泣きながら逃げるように下山した訳であります。
    で、1100メートルの所で吹きだまりの脇に風の当たらない場所を発見し、そこで昼飯休憩となった訳であります。

     
    ダルマ薬局で、税込み105円の鍋焼きうどん、この度は豪華に生卵を落としてみました

     ドピーカンで日差しが有るので風さえ当たらなければ天国であります・・・まあ、敷物を忘れたのでケツが冷たかったですけど。
    そこで、少しのんびりと鍋焼きうどんを食し、ビール等飲んでいると、つくづく思う訳であります・・・なんでもないような事が 幸せなんだと思う・・・でありますか?

     面白山、特別危ない所も無く、けっこう短時間に登れる割には高度感も有り、コレから暫く残雪期の春山としてお勧めのでは無いかと思う訳であります。



     この話 完


    山の状況、情報は適当ですので、ご注意下さい・・・


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