ちょこっと行って来る山登り


    No.7 大東岳(1365.8m)



       山ぁ、楽しいねぇ・・・もの凄い快晴でありました。

     私が一番数多く通った山と言えば、本日の大東岳なのであります。
    何遍登ったのか?・・・まず、軽く山行くべ、と言うと大東岳だったのでありました。
    9月から始めた山登りは、本日No.7になる訳でありまして、それ程の馴染みだったら何故大東岳に登んないの?、と、なると思うんでありますが、この山は結構辛い山と言う記憶がありまして、足が馴れるまで敬遠していた訳であります。
    で、そろそろ山勘も取り戻せたようだし、ぐずぐずしていると雪で登れなくなるし・・・んじゃ行くか、と言う事で大東岳へ行ったのであります。

     大東岳の登山口、本小屋までは我が家から45分で行けます・・・近いんだよねぇ、俺ん家自体が山奥だから、さ。
    本小屋には二口ビジターセンターと言う、仙台市の施設が有ります・・・設置の目的などは分りませんが、在るのです。
    で、ビジターセンターの扉は24時間開いていまして、水洗トイレと水が使えますし、ドコモのシグナルが無いのでありますが、公衆電話が有ります・・・皆様奮ってご利用下さい。
    と、言う訳で、ここに入山届けを出して、登山口前の駐車場に移動の後、身支度など整えて歩き出したのが、8時15分でありました。
    この山は昔から眺望の良く無い、黙々と登る山でありまして、標高の割りには辛い山だと思っておりました。
    で、本日、35年ぶりに登ってみた訳でありますが、私の記憶には寸分の狂いも無く、しっかり厳しい登りの山でありました・・・標高の割りにと言う意味ですからね、2000メートルの山と比べたらそりゃぁ楽チンでありますよ。

     私は登り足はけっこう速いんであります・・・たぶん。
    で、登り始めてすぐに8人ほどのパーティーに追いつきまして、場所とタイミングを見計らって追い抜きました。
    この時、パーティーは歩き方などのレクチャーを受けていたようで、歩幅がどうの、と言うような事を説明していたようでありました。
    で、追い抜いた私の歩き方を指して、指導者のおっさんが「アレが平地の歩き方の典型ですね」と宣った。
    そして、総てのスポーツで姿勢、フォームが重要じゃないスポーツは有りません、と続けていた。
    ああ、また教えたがりのイントラさんかぁ・・・フォームや姿勢なんてのは超一流の話しで、昨日今日その種目を始めた人は、まずは、習うより馴れろ、で、自己流で良いのに、と思う私としては、戻って行って意見をしてやりたい思いに駆られたのでありますが、まあ、無視・むし、と。
    スポーツのフォームは、筋力・体型・質で変わって来る物で、普遍的な物は無いのであります。
    強い人の姿勢は当然理に適って良いのですが、それを真似しても、筋力も体型も違う人には真似は出来ないのです。
    で、山の歩き方こそは、習うより馴れろ、で、自分で最適のペースやら歩幅を見つけるしか無いのです。
    なぁーんて、変なおっさんの登山教室みたいなのが2組登っていおりまして、年寄りが11月の半ばに大東岳かぁ、と、ちょっと驚きでありました・・・裏コースを降りていたら日が暮れると思うので行って来いのコースだと思うのでありますが・・・それにしても遅い。

     さて、35年ぶりの大東岳は、なんだかとっても登りやすくなったんじゃないかぁ、と、言う感じで、踏み跡がしっかり有って、目をつむっていても間違いようが無い登山道になっておりました。
    昔々は薮漕ぎが結構有って、夏場に大東に登ると洩れなく獣ダニが付いて来たものでありました。
    獣ダニをご存知ですか?頭を皮膚に食い込ませて血を吸うんでありますが、無理に引っ張ると頭が切れて体内に残って厄介な事になります。
    カミソリで切り開いて取り出すとか、ピンセットを中まで突っ込んでつまみ出すとか、タバコの火で焙り出すとか、色々やるのでありますが、切り開いて取り出すのが一番だったと記憶しております・・・樋の沢に出る手前の薮に特に多く居た記憶がありましたが、本日は晩秋と言う事も有りましょうが、薮がほとんど無く、今はダニも居そうも有りませんが・・・。

     登りに使った表コース・・・昔は立て石沢コースと言っていました・・・は、距離は大した事は無いのでありますが、登りがずーっと続くので歩きながら休める場所が無いので結構辛いものであります。
    しかも、最後の詰めには、ハナコスリと言う急登が待っておりまして、標高が低い割りには登り応えの有る山だと思う訳であります。
    昔は無かった「一合目」から頂上まで立派な石の道標があるのも驚きで、随分都会的な山になったもんだなぁ、感慨に耽った次第であります。
    で、五合目の標識の少し手前で岩から湧き出る清水があって喉を潤したのでありますが、この清水は昔のままの姿でありました。
    ところで、大東岳は沢だらけで、特に裏コースに入ってからはどこででも美味い天然ミネラルウォーターが飲めるのであります。
    で、人気の無い山奥ですから汚染などの心配は無いと思うのでありますが、しかし、例えば、熊や猿が沢で水浴びなんかを絶対にしていないとは言えない訳です。
    で、ひっよとすると、カモシカやテンが沢でオシッコとかンコとかしていたりするかも知れない、と思う訳であります。
    ドーですか?山奥の水は絶対に大丈夫だと思いますか?・・・私は奴らは絶対に、そんな事をしているはずだと睨んでおりますが・・・。

     さて、快晴で気温も高く、しかも無風と言う絶好の山日和に気持ちは晴れ晴れ、足取り重く、しかし、なんとかハナコスリを登り切れば灌木と笹の緩い登りになって大東岳の山頂であります・・・10時30分着で、所要時間は2時間15分でありました。
    で、登り切って景色を眺めてビックリであります・・・見え過ぎちゃって困るの、であります。
    東側には仙台市外がくっきりと見えておりまして、中山の観音様と泉の仙台ドームもしっかりと見えておりました。

    写真真ん中の白いポチが2つ、左がドーム、右が観音様

     本日初めての休憩で、時間はだいぶ早いのですが腹ぺこで、いつも通りのおにぎりとゆで卵と番茶の昼飯を頂きました。
    で、頂上に立ったらお約束の写真撮影であります・・・山頂は広くて風も当たらず良いのでありますが、カメラを置くのに適当な石や台が見当たりません。
    方位盤やら三角点の標識やらがあるのですが山頂の標識への角度が良く無く苦労しました・・・結局地面に置いて撮ってみました。

    魚屋のおっさんが立っている訳では有りません、よ。

     昼飯喰って、記念写真を撮って、登山の安全祈願のお札が納めてある祠に会釈して、んじゃぁ下るかな、と思って北側を見ると、ドひゃぁーであります。
    北から西まで、山形盆地全域を雲海が埋め尽くし、雲の海から、鳥海山、月山、朝日連峰、そして飯豊連峰までがにょっきりと見えていたのであります。
    こんな標高の低い山でこれ程見事な雲海を見られるのは、めったに有る事ではない訳で、まともなカメラを持っていない事を悔やみつつも、とにかく、手持ちのデジカメで撮れるだけ撮っておこうと・・・。
    撮影ポイントはどこが良いのか、と、あっちこっち歩き回って、ひょっとしたら山形側に下ったらもっと良いポイントが有るかも知れないと行ってみたり・・・無かったんですがね。
    そんなこんなでいつもなら山頂には15分も居れば長い方なのでありますが、本日は都合、なんだかんだで30分も滞在したのでありました。

    雪を頂く独立峰・・・鳥海山

    左、近目の雪をかぶった山が月山、右遠くが鳥海

    朝日連峰

    飯豊連峰・遠景

     さて、興奮気味に写真を撮って裏コースへ下り始めて少し行くと、またもや絶好の撮影ポイントに出会しまして、この時ほどまともなカメラを持っていない事を悔やんだ事は有りませぬ・・・いゃぁ、たぶん、もう二度と無いわ、この条件は。
    それでも、大した写真は撮れないと分っていてもシャッターを押さずには居られない訳でして・・・えっ?道具じゃ無いだろうと?・・・。
    そんなこんなでちっとも前に進まないんでありますが、とにかく天気が良くて暖かい訳です・・・Tシャツ重ね着のみで汗だくであります。
    ああ、書き忘れておりましたが、山頂に着いた時には泥濘は凍っておりまして、パリパリですから、気温は低いんでありますが、風が無くて日差しが有るので暖かいんですね。
    で、のんびり気分で降りて参りますと「弥吉ころばし」なる場所に出まして、ここで弥吉さんが転んだのでありましょうか?とんでもなく急なんであります。
    で、転ぶな、危険、足元注意などと書かれている訳ですが、ここをボケーッと降りる人は居ない訳で、真剣に降りても大変な訳ですね。

    「弥吉ころばし」であります。

     さて、けっこう疲れていまして、急な下りはきついんでありますが、降りない事には帰れませんので行くしか無い訳であります。
    で、弥吉ころばしを降りてなんぼか緩くなった所で、初老の男性一人と、まずまず良いお歳の御婦人が二人登って来たのに出会しました。
    こんちわー、とご挨拶などすると、頂上から何分で下って来ましたか?と聞かれまして、50分ですね、と答えました。
    すると、下りで50分も掛かっているんですかぁ、と驚いた訳であります。
    写真を撮って無駄な時間を随分食って這いましたが、この御一行様ではナンボ頑張っても山頂まで1時間半は掛かるな、と思ったのであります。
    と、すると、山頂に12時30分で、休み無しで下って2時間半・・・上手く行っても駐車場に3時着・・・うーん、危ないなぁ、と思いましたが、まあ、ベテランだから裏コースを来ているのでしょうと、余計な事は言わずに、頑張ってぇー、と。

    樋の沢避難小屋

     ガイドブックでは山頂から樋の沢避難小屋まで1時間半と書かれているんでありますが、私は登りはそこそこなんでありますが降りるのは遅いんでありますね・・・ガイドブック通りの時間ぴったりでありまして、1時間半掛かりました。
    で、懐かしい樋の沢で昔の面影を探したのでありますが、とても明るく広々として、雰囲気は随分変わったような、こんなだったのかのか、自分でも良く分からず、でありました。
    で、避難小屋ですありますが、中には胴長(ウェーダー)や汚いスニーカー、古びた寝袋などがぶら下がっており、お世辞にも綺麗とは言い難い状況で有りました・・・ちょっと不気味で泊まりたく無いなぁ、と。
    で、樋の沢で水を飲んだり、写真を撮ったり、ほんの少しだけ小東岳の方への道を辿ってみたりして、20分ほどの休憩でありました・・・今回は随分休むなぁ。
    さて、ここから本小屋まで6キロ有りまして、2時間掛かるぞ、とガイドブックは宣っている訳であります。
    へぇー・・・俺の記憶では、距離は有るけれども、風光明媚な下り一方の楽な道だったと思うんだけどなぁ、と、思いながら歩き始めたのであります。
    しかし、35年前の記憶はまったくあてにならずでありまして、小刻みなアップダウンや小沢の巻き道などで登ったり下ったりと、それなりにちゃんと山道でありまして、時間を食うのであります。
    それでも裏磐司を眺める辺りにある錆びて朽ちた鉄の柵は私が高校生の時のままそっくりでありまして、嬉しくて、手でぺたぺたと叩いてみたりして、一人で笑いながら山道を急ぐのでありました。
    この道は新緑も紅葉も、落ち葉になっても素晴らしいのでありまして、滝や沢と岩と岸壁と・・・奥入瀬なんかブッ飛びなくらいに見事であります。
    さて、やっとこさっとこ、見覚えのある古い林道跡に出て、もうすぐだな、と思った所で、崩れかかった橋が現れました。

    私が高校生の頃はこの橋を軽トラが渡っていたのですが

    ああ、35年だものなぁ・・・へぇー・・・時の流れだね、と少し感傷的になりつつも、そろそろ傾きかけたお日様に急かされて急ぎ足であります。
    そんな訳で、駐車場到着が2時30分でありまして、都合6時間と15分、の山歩きでありました。  


     この話 完


    まあ、適当に書いてますんで、間違いが有ったらゴメン・・・?


    ご意見ご感想は 承っておりませんが・・・


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